科学の発展やイノベーションの創出には、国際連携が必要不可欠です。こうした国際連携は開かれた研究環境を前提としていますが、近年、これが不当に利用され、海外への研究の不正流用や技術流出、ひいては国の安全保障及び経済安全保障へのリスクとなることが国際的に強く認識されてきています。
このような中、研究者が今後も安心して国際的に連携して研究を行うには、研究インテグリティや研究セキュリティの確保により、健全な国際連携を図っていくための共通の価値観である、学問の自由・独立性・開放性・相互主義/互恵性・透明性に立脚した形で、開かれた研究環境を整えていく必要があります。
このような状況を踏まえ、政府としては、研究者及び大学・研究機関等における研究インテグリティの自律的な確保や研究セキュリティの確保を支援しています。
※ここでいう研究インテグリティとは、研究の国際化やオープン化に伴う新たなリスクに対して新たに確保が求められる、研究の健全性・公正性を意味します。
※ここでいう研究セキュリティとは、外国への技術流出等につながる、外部からの不当な影響・干渉のリスクから研究を守ることを意味します。
「統合イノベーション戦略推進会議(第9回)」(令和3年4月27日)において、研究インテグリティの確保に係る政府の対応方針として、「研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応方針について」が決定されました。
本決定を受けて、文部科学省から、大学・所管研究機関等に対して、研究インテグリティの確保に関する取組を進めていただくよう周知・依頼をしております。
令和3年4月に決定された政府の対応方針に基づき、「競争的研究費の適正な執行に関する指針」が競争的研究費に関する関係府省連絡会申合せで改定されました。
令和3年4月に決定された政府の対応方針に基づき、大学・研究機関等に対し、研究インテグリティの確保に関する取組の実施状況についてフォローアップ調査を行っています。
これまで文部科学省から発出した研究インテグリティ・研究セキュリティ関連通知等を掲載しています。
令和3年4月に決定された政府の対応方針に基づき、研究者やその所属機関向けのチェックリストの雛形を内閣府と連携し作成しました。 外国の機関や大学等との契約に係る手続等の観点別に具体的に留意すべき事項をまとめています。 本チェックリストを参考に、各大学・研究機関等の特性に合わせたチェックリストを作成し機関内での自己点検等に活用いただく等、教職員の研究インテグリティに係る理解醸成にぜひ活用ください。
※大学・研究機関等向けのチェックリスト雛形については、内閣府において令和5年6月29日付で改定されています。
令和2年度の内閣府委託調査において、我が国における研究インテグリティとその確保に向けた取組の在り方について検討が行われ、令和3年度以降の内閣府委託調査においては、研究インテグリティの確保に係る海外の取組動向の調査・分析と、日本国内の大学・研究機関への理解醸成の取組等が行われています。
昨今、研究インテグリティに加え、研究セキュリティ確保の取組も、G7やOECD等の国際的な枠組みでの議論を含め、今後の国際連携を支える基盤として各国での議論・取組が活発になってきたことを踏まえ、国内でも、政府全体として、経済安全保障上の観点から、内閣府を中心として政府全体の議論が進められています。文部科学省ではそれに先んじて、大学等の研究セキュリティ確保に向けた具体的な取組の方向性を昨年12月に取りまとめました。これに基づき、令和7年度から研究セキュリティ確保のための試行的な取組を開始しています。