令和7年4月
令和7年4月8日(火曜日)に行われた、室伏長官の記者懇談会冒頭発言の映像です。
令和7年4月8日室伏スポーツ庁長官記者懇談会 冒頭発言(※「YouTube」スポーツ庁動画チャンネルへリンク)
冒頭、9件ございます。少し長いですが、お付き合い願えればと思います。
まず、新年度を迎えました4月ということで抱負という形で述べさせていただきたいと思います。今年度は、第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025、東京2025世世界陸上競技選手権大会が開催されます。出場される選手の皆さんのご活躍を期待するとともに、全国的な盛り上がりによる大会の成功に向けて引き続き支援を行ってまいりたいと思っております。また、同じ年度内ですけれども、ミラノ・コルティナ2026冬季オリ・パラ大会も開催され、次年度になりますが来年度は愛知・名古屋2026アジア・アジアパラ競技大会も控えております。こうした形で国際競技大会が国内で行われますけれども、選手の皆さんが最高の状態で臨めますようにスポーツ医・科学の支援も含めてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
加えて今月から、今話題になっておりますけれども、2025年大阪・関西万博が開催されます。スポーツ庁でも、少し先ですけれども9月に1週間程度のイベントを実施することになっております。スポーツを通じた共生社会、スポーツを通じた健康長寿社会、スポーツで活性する経済・社会ということで三つのテーマを設けて、好事例や先端技術を活用した新しい「する」、「みる」、「ささえる」スポーツの体験の発信を行っていく予定になっております。多くの方にご来場いただきまして、1週間という短い間ですけれども、私も現地に行ってイベントに参加する予定になっておりますので、少し先の話にはなりますがご期待いただければと思います。
また、目的を持った運動スポーツの推進を図り、年齢、性別、障害の有無に関わらず、多様な人々のスポーツを通じたライフパフォーマンスの向上を目指します。推進にあたっては、私が考案させていただいている身体の機能チェックであったりセルフチェック、改善エクササイズ、また紙風船エクササイズとか、誰もが手軽にできるような運動の啓発をしっかりしていきたいと思います。手軽にできるので効果がないかというとそんなことはございません。手軽にできて効果もあるものを選んでやっておりますので、こういった普及をしっかりやっていきたいと思います。
運動部活動の改革について、改革推進期間の最終年度となる今年度は実証事業の規模を拡大して実施するための費用を確保しております。また、令和8年度以降の部活動改革のあり方について、現在、有識者会議において議論を行っており、本年5月頃に最終とりまとめを行う予定になっています。スポーツ庁としましては、今後の議論も踏まえまして新たな地域スポーツの創造と部活動改革の取組の一層の推進に努めてまいりたいと思っております。
スポーツは国民の皆様を元気づけ、生活や心を豊かにし、心身の健康保持増進に寄与するほか、交流人口の拡大や経済・地域の活性化にも資するものと考えておりますが、スポーツ庁設立10周年を迎えることになったこのタイミングで10周年記念ロゴを新たに制作しました。こちらになります。ロゴの活用を含めまして、10周年を記念した様々な取組を通してこれまでお支えいただいた関係者の方々に感謝の意を表すとともに、スポーツの新たな価値創出に向けたスポーツ庁の取組を広く周知していき、感動していただけるスポーツ界の実現に向けて引き続き精一杯取り組んでまいりたいと思っております。これは、選定方法に関しては職員の皆さんにやっていただきました。いくつかありましたけれども、私が独断で決めたものではなく投票していただいて、皆さんが参加して、今10周年を迎えて、今後のスポーツ庁のことを考えて選んでいただいた内容になります。こちらはかなり、2番を引き離してなった内容になりますけれども、これを適宜活用しながら10周年を皆さんに感謝の意を込めてこれを使用していきたいと思っております。ありがとうございます。
続きまして円卓会議(スポーツ政策の推進に関する円卓会議)、皆さん会議後に記者レク、ブリーフィングがあったかと思いますが、改めましてお話しさせていただきます。先月26日に「スポーツ政策の推進に関する円卓会議」が開催されました。会議では、まず「大規模な国際又は国内競技大会の組織委員会等のガバナンス体制の在り方検討プロジェクトチーム」の設置期間を令和8年3月末まで延長することについて構成委員の皆様にご了承いただきました。また、スポーツ団体ガバナンスコードに基づく令和5年度の適合性審査において要改善事項がついた団体の改善状況や、令和6年度適合性審査の結果、小規模団体への柔軟な対応の進捗、そしてその他の取組について報告されるとともに、残念ですけれども日本身体障害者アーチェリー連盟の不祥事事案について報告がありました。一連の報告を受けまして、スポーツ団体のより一層のガバナンス強化に向けて構成員の皆様と活発な議論をさせていただきました。その他、先月改定されました「持続可能な国際競技力向上プラン」に基づく取組や運動部活動改革、国民スポーツ大会の改革、4月に開幕します大阪・関西万博におけるスポーツ庁主催の催事について、スポーツ界が一体となって取り組んでいくことで確認させていただきました。今回も議論を踏まえまして、引き続きより良いスポーツ界の実現に向けて統括団体等と連携していきながら進めてまいりたいと思います。
今話にありました「持続可能な国際競技力向上プラン」の改定についてお話しさせていただきます。「持続可能な国際競技力向上プラン」につきましては、先月、改定版を策定し公表いたしました。同プランは、東京大会後における我が国の国際競技力の維持・向上のため、令和3年12月に策定いたしました。プランに基づいて行ってきた取組は、その後の北京大会やパリ大会における日本選手団の輝かしい結果に一定の役割を果たしてきたと思われます。他方で、「持続可能な国際競技力向上」のためには、アスリートの強化活動の基盤たる発掘・育成・強化の取組を一体的に捉えて質の向上を目指すとともに、刻々と変化する情勢を踏まえながら重要が増している観点も含めて、先手を打って取り組んでいく必要があると考えております。これを踏まえ、有識者会議における検討を経て改定版を策定いたしました。改定にあたっては、取組の「根底にある考え方」としまして、まず身体の機能やコンディショニングに関するリテラシーの向上、これは受ける側のアスリートやコーチの方々のリテラシーの向上も大事であるということです。競技やオリ・パラの枠組みを超えた連携強化です。我々、選手村に入ると選手団が一体感を増してチーム一つに一丸となってやっていく雰囲気があるのですが、日頃から交流を持つということは4年をかけてそれを構築していく、時間をかけて競技の枠を加えて取り組む、またオリ・パラも含めてそういうことに、試合に向けてもより一緒に戦ってきている、一緒にトレーニングをした仲間たちがそこで頑張ろうとするとまた応援する気持ちにもなるかと思いますし、そういう効果もあるかと思います。また、強化活動を通じた人類の潜在的身体能力の開拓を掲げた上で、アスリートセンタードの視点から、取り組んでいく事項を再整理と記載の充実を図りました。個別の観点を含む詳細につきましては、本日お配りしております資料にあるとおりですので、またスポーツ庁のホームページにございますので是非ご確認いただければと思います。今後、本改定の趣旨・思いを、スポーツに関わる全ての人と共有し、スポーツ界が一体となって、我が国の持続可能な国際競技力向上に向けた取組になりますように全力で取り組んでまいりたいと思います。
続きまして、最近話題になっておりますアスリート等に対する誹謗中傷への取組についてです。先月25日、JOC(日本オリンピック委員会)とJPC(日本パラリンピック委員会)が共同で記者会見を開きまして、令和6年度補正予算を活用したSNS上の誹謗中傷等からアスリートを守るための取組を開始する旨の発表を行いました。JOCとJPCにおいて、SNS上の誹謗中傷等に悩むアスリートの相談に乗り、必要に応じて発信者情報開示請求や、削除要請などの対応を行うための相談窓口の設置、誹謗中傷の防止に向けた普及啓発の他、各競技団体と連携したアスリートへの研修、SNSのモニタリングによる不適切な投稿を早期発見し削除をすることも取り組むことが掲げられております。記者会見にあたって寄せたビデオメッセージ、私もビデオメッセージを送らせていただきましたけれども、SNSの活用にあたってはアスリート自身も影響力の大きさを十分に理解し、SNSとの付き合い方をしっかり考える必要があるかと思います。しかし、他人を誹謗中傷する行為はいかなる理由であっても許されるものではないかと思います。スポーツ庁としましても、「誹謗中傷は認めない」という強い意思のもと、スポーツ界が一丸となって対応できるよう関係団体と連携して取り組んでまいりたいと思います。高みを目指し日々努力を積み重ねるアスリートには、温かい励ましの言葉をかけていただきますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、スポーツ庁とJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の連携協定調印式について、多くの記者の関係の方々もお越しいただきましたが、スポーツ庁とJAXAは令和7年2月19日に調印式を開催しまして連携協定を締結しました。協定には、人類の活動領域の拡大に伴う環境適応能力の開拓や地上における人類の心身能力の開拓といった人間の可能性を広げる連携内容が明記されています。調印式には、パラアスリートや宇宙飛行士、スポーツと宇宙分野の有識者にもご参加いただきまして、連携の可能性と今後の展望についても期待の込められたメッセージをいただきました。本調印式の様子はスポーツ庁のYouTubeでも公開しておりますので是非ご確認いただきたいと思います。今回の連携協定は、スポーツ庁とJAXAがお互いの知見を共有し活動の幅を広げ相乗効果を生む観点から、大変大きな意義があるかと思います。この取組を通じまして、トップアスリート、パラアスリート、宇宙飛行士の取組から、またサイエンティフィックな取組を推進していく上で、社会・国民に新たな価値を提供できるよう取り組んでいきたいと思っております。主な連携協定の内容については、皆さん配布されているかと思いますけれども、ご確認いただければと思います。
続きまして、障害のある方へのスポーツ指導・関わり方 入門ハンドブックについてです。スポーツ庁では、障害のある方へのスポーツ指導・関わり方 入門ブックを作成しております。これは、昨年度に試行的に作成したものですが、これを改訂させていただいたものになります。本ハンドブックは、様々な障害者の特徴を踏まえた指導のコツ、ポイントを学ぶことができるものです。今まで障害のある方へのスポーツ指導の機会がなかった方や、これから始めようという方などに活用していただきたいと思います。スポーツは障害の有無に関わらず、多様な方がスポーツに参加していただいていますので、指導者もそういう観点で活用していただきたいと思います。また、単に障害に関する知識を伝えるだけではなくスポーツをいかに楽しんでもらえるかや、指導を受ける方の特徴に応じたコミュニケーション方法に意識するといった心構えも触れております。運動が苦手な方、子供や高齢者へのスポーツ市場にも活用できると考えます。さらに、今回の改定ではデザインや構成などの変更に加えてパラスポーツの可能性を探るために私がパラアスリートにインタビューをしまして、それをコラムとして追加させていただきました。これを手に取る方々の意識・関心が高まることを期待しておりますが、木村選手になかなか普段聞けなさそうなことを聞いたりとかしていますので、ご確認いただけるといいと思います。また、木村選手がどんなスポーツを一緒に観戦したいのかという話をしたときにアメフトを見てみたいとおっしゃったので、実際にインタビューのときにアメフトのシーンを流して口頭で、秘書がアメフト出身ということもあって、説明し、私も大変アメフトの勉強になりましたけれども、こういう取組をしながらお互いの理解を深めていくことで新たな、例えば目が見えることによる様々なバイアスが我々にはかかっているのだなという気づきもあります。思い込みを気づかされるところも多かったので、是非こういったところも見ていただければと思います。本ハンドブックやパラアスリートのインタビュー動画、これは順次スポーツ庁のホームページにも流していきますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、スポーツ実施率(スポーツ実施状況調査)についての結果になりますが、スポーツ庁ではスポーツを通じた国民の健康増進、健康寿命の延伸を目指してスポーツ実施率の向上に取り組んでいます。先日3月11日に公表しました令和6年度のスポーツ実施状況に関する調査では、20歳以上の週1日以上のスポーツ実施率は52.5%、年代別では20代から50代が低く、男女差も大きいという結果でした。また、障害者の週1日以上のスポーツ実施率は32.8%という結果になっています。詳細の内容については記載されているとおりですけれども、その他、新たに調査した内容としましては、運動をしたいかどうかという希望と実際に実施した状況の乖離なども調べておりまして、実際のスポーツ実施率との間では14.1%の乖離が見られたりとか、また30代から40代の女性では20ポイント近い、やりたいけれどもやれないというところが見られたところは今回のポイントかとは思います。また、勤務先の状況による実施率の違いについてですけれども、取組がある場合のスポーツ実施率は、勤務先がスポーツを推奨しているような場合には、70.1%と高いのですけれども、そういう取組は何もしていないところに関しては46.3%ということで、やはり会社、コーポレートの経営の在り方も影響しているのだなということが分かったかと思います。こういった取組、さらには障害者の調査結果についてはアクセスやバリアフリーに関する回答でできなかった理由よりも、体力がないとか体調に不安があるという回答が多かったこともあるということです。なので、それを補うために環境整備だけではなくて、周りの家族や医師だったり、そういう方に一緒に働きかけていき、安全に運動が行えるような状況を作っていくということも考えられるかと思います。以上になります。
続きまして、運動部活動改革について改革推進期間3年目に入りましたけれども、今後の進捗についてスポーツ庁では急激な少子化の中でも将来にわたって子供たちがスポーツ活動に親しむ機会を確保することを目的として令和5年度から令和7年度を改革推進期間として部活動改革を進めております。具体的には、令和5年度から部活動の地域移行に向けた実証事業を実施しており、昨年度は500を超える自治体で取り組んでいただきました。スポーツ庁では、令和6年度補正予算及び令和7年度当初予算においてもさらに多くの自治体で実証事業を実施していただくための費用を確保するとともに、有識者の会議において令和8年度以降の部活動改革の在り方について現在議論を行っております。今後、有識者会議での議論を踏まえまして自治体、関係団体、また今後大事になってきます民間企業など様々な関係者と連携していき、新たな地域スポーツの創造と部活動改革の取組を一層の推進に努めてまいりたいと思います。また、スポーツ庁では中学生等が様々なスポーツの自主学習等に活用できるような動画コンテンツも用意しております。こういった動画も3月28日に公開しておりますので、多くの方にご活用していただければと思っております。
冒頭、最後になります。今後、日本で開催されます国際競技大会の機運醸成についてですけれども、先ほど最初にお話ししましたとおり、今年の9月に世界陸上、そして11月にデフリンピックが東京で開催されます。こういった大会の機運醸成に向けて、スポーツ庁としましてはこういったポータルサイトを設置しました。そこからそれぞれの組織委員会であったりとか、そういったところに飛ぶようになってはいると思うのですけれども、こういったことで皆さんに今後行われる大会についての情報共有を図りながら、しっかりと気運醸成活動なども我々も取り組んでいきたいと思います。また、100周年の記念すべき大会ということでデフリンピックの広報動画も作成させていただきまして、今回作成したポータルサイトにもご確認いただけるようになっております。スポーツ庁では、今後、日本で開催される国際大会の成功に向けて大会組織委員会等と連携してこうした機運醸成を図ってまいりたいと思います。やはり生で試合・大会・トップの選手を観に行っていただきたいなと思いますし、そういうことでまた機運醸成を図れればと思っております。
以上
スポーツ庁政策課