学術分科会(第92回) 議事録

1.日時

令和6年7月31日(水曜日)15時01分~17時02分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 他委員会からの報告
  2. 第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
大野分科会長、五十嵐委員、白波瀬委員、鷹野委員、観山委員、井野瀬委員、尾辻委員、尾上委員、加藤委員、神谷委員、北本委員、木部委員、治部委員、城山委員、関沢委員、戸田山委員、中野委員、長谷部委員、松岡委員、水本委員、安田委員、山本委員

(科学官)
松方科学官、北野科学官、染谷科学官、北川科学官、原田科学官、藤森科学官、柳田科学官、松岡科学官、橋本科学官、外田科学官、安原科学官

文部科学省

塩見研究振興局長、生田振興企画課長、柳澤大学研究基盤整備課長、小川大学研究基盤整備課大学研究力強化室長、松本学術研究推進課企画室長、柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官、熊谷大学研究基盤整備課長補佐、大場人材政策課人材政策推進室長補佐、助川学術企画室長、林学術企画室室長補佐

5.議事録

【大野分科会長】  それでは、定刻をちょっと過ぎていますので、ただいまより、第92回科学技術・学術審議会学術分科会を開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、事務局に人事異動があったということですので、御紹介をお願いいたします。
【林学術企画室室長補佐】  事務局でございます。7月に人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 7月11日付で振興企画課長に着任しました生田でございます。
【生田振興企画課長】  ありがとうございます。文部科学省の振興企画課長を拝命しました生田です。これまで人材政策課というところで、JSTの所管ですとか、博士人材もしくは次世代の研究者人材みたいな、そういったことを担当しておりましたけれども、この7月から現在のところに異動してまいった次第でございます。今後ともよろしくお願いいたします。
【林学術企画室室長補佐】  それから、私でございますけども、7月16日付で振興企画課学術企画室室長補佐に着任いたしました林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 人事異動につきましては以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは続いて、事務局より配付資料の確認及び注意事項をお願いします。
【林学術企画室室長補佐】  本日の資料でございますが、事前に電子媒体でお送りさせていただいておりますが、議事次第に記載のとおり、資料1から資料2-2、参考資料1から参考資料6をお配りしてございます。もし資料の不足等ございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 会議の際、発言される際は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、分科会長より指名を受けましたら、マイクをオンにしていただいて、お名前から御発言をお願いいたします。終わりましたら、ミュートにしていただきますようお願いいたします。もし不具合等をございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先まで御連絡をお願いいたします。
 本日の会議でございますが、傍聴者を登録の上、公開の会議としてございます。
 本日の出席状況でございますが、委員29名中、現時点で22名の御出席をいただいておりますので、本分科会の定足数を満たしておりますことをここで御報告いたします。
 それから、事務局でございますが、本日は塩見研究振興局長ほか関係官が本会議に出席してございます。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 まず、助川学術企画室長より、本日の流れについて御説明をお願いします。
【助川学術企画室長】  失礼いたします。学術企画室長の助川でございます。本日の流れを簡単に御説明申し上げます。
 先月の第91回学術分科会におきましては、第7期基本計画に向けた論点案について御議論いただきまして、ありがとうございました。また、先週23日、総会の下にございます大学研究力強化委員会におきましても、この論点案を御紹介して、第7期に向けた御議論を頂戴しております。
 つきましては、本日は、まず議題(1)として、事務局より国内外の研究大学の好事例ですとか、強化委員会での主な御意見を御紹介申し上げます。先日の学術分科会でも好事例の横展開が重要という御指摘をいただきましたところ、強化委員会での議論も踏まえて、本日も御議論いただけますと幸いでございます。
 引き続いて、議題(2)として、事務局、私どもにおいて作成いたしました第7期基本計画に向けた学術分科会意見(案)を御説明申し上げますので、議題(1)と(2)まとめて先生方から御意見・御質問等を頂戴できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、まず資料1に基づき、小川室長から御説明をいただき、その後、議題(2)を続けてやると今おっしゃられたんですね。それでは、お願いします。
【小川大学研究力強化室長】  御紹介ありがとうございます。大学研究力強化室長の小川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほどお話がございましたとおり、先日7月23日に開催されました第15回大学研究力強化委員会におきまして、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定を見据えまして、御意見をいただいております。その際、用いた資料が、こちら、資料1でございます。
 1ページ目を御覧いただければ幸いです。大学研究力強化委員会では、多様で厚みのある研究大学群の形成に向けまして、必要な施策などを議論してきております。本資料では、そのための支援の全体像について示しております。
 国際卓越研究大学が世界最高水準の研究大学へと成長し、大学ファンドによる支援を通じて大学の機能拡張の加速を図っていくとともに、多様で厚みのある研究大学群の形成に向けて、地域中核・特色ある研究大学等への支援を一体として進めていく。また、優秀な研究者が所属機関の研究環境に左右されることなく力を発揮できるよう、最先端の研究設備を活用した世界最高水準の研究基盤を整備するほか、大学の研究基盤の強化としましては、共同利用・共同研究機能や世界トップレベルの研究、産学連携機能といった観点での拠点の整備、さらに、広い枠組みとしましては、大学・高専機能強化支援事業など高等教育全体の活性化、また、既にSPRING事業を通じまして博士課程学生支援が進んでおりますけれども、大学ファンドからも今後、博士課程支援が行われてまいります。
 こうした重層的な支援を通じまして、日本全体の研究力発展を牽引する研究システム構築を図っているところでございます。
 近年、こうした支援の取組も立ち上がる中、研究力向上に向けまして、多くの研究大学がそれぞれの将来像を描き、その実現に向けた検討・取組を進めております。文科省としてもこうした改革の火を絶やさずに、各大学による研究力向上に向けた改革を継続的・安定的に後押しすることが重要だと考えているところでございます。
 次のページ、2ページ目をおめくりいただければ幸いでございます。各大学におかれましては、国内外の先進的な知見を参考としつつも、従来のアプローチにとらわれない発想も取り入れながら、自らのビジョンの下で取組を進めていただいているところと思います。
 研究力強化という点では、重要な観点・取組といったものにつきましては、これまで国際卓越研究大学制度ですとか研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ、こうしたところで議論されてきたところでございます。そうした内容につきまして、項目下にチェックでお示ししております。
 文部科学省では、年度末に向けて国内外の研究大学等を対象として、事例収集とその調査・分析を進めており、改革の取組の可視化としまして、本日、その一例として、研究時間の確保、全学のリソース等のマネジメントについて、こちら、各大学の事例といいますか、新たな取組を少し御紹介させていただければと思います。
 3ページ目を御覧ください。研究時間の確保という観点でございます。研究以外の時間の効率化や研究の専念時間の確保の取組など、例を挙げれば、研究支援の拡充や研究以外の業務削減として、大阪大学であれば、IRデータ分析とURAの支援を掛け合わせる取組ですとか、意欲ある事務職員をキャリアアップして、教員に代わって学内の管理業務などを実施するような取組を進めております。
 教員の業務削減・外注化という観点では、九州大学におきまして、授業等の依頼を希望する教員と退職教員をマッチングさせて、代行するような取組ですとか、また、国外ですけれども、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などでは、勤務時間の40%を研究に充てることを一つの目標としまして、バイアウト制度を活用する。また、教育よりも研究に専念するような、少し研究特化型の専門研究教員の採用なども進めているといったところでございます。
 次のページをお願いいたします。18ページ目、19ページ目、こちら、後ろに参考資料として各大学の事例をつけておりますけれども、例えば大阪大学、今申し上げましたが、一例として、実際に研究者の生の声を把握するURAの活動と、執行部等による意思決定を支援する経営企画DXシステムによるIR活動を組み合わせる。こういったことによって、研究動向の兆しの把握と、それに基づく研究支援ですとか新たな領域への投資につなげていくということでございます。
 次のページをお願いいたします。当然ほかの要因もあると思いますけれども、導入のタイミングと同じくして論文数が拡大するようなデータもあるということで、こちら、御紹介まででございます。
 戻りまして、4ページ目を御覧ください。こちら、全学的なリソース配分等のマネジメントとしまして、全学的にいかに情報収集していくか、また、戦略的な資源配分や資源獲得の工夫というものをお示ししております。
 全学的な情報収集の観点でありますと、Caltechは国外ですけれども、こういったところで、教員全体から光るアイデアがあれば、ファンドレイジングキャンペーンと連携して資金をつけていくような取組もございますし、早稲田大学であれば、トップダウンで研究テーマを示しつつも、ボトムアップで個別の研究シーズを全学的に収集して、文理融合研究を推進する枠組みですとか、筑波大学であれば、本部主導型の人事、また、そういったものを通じて、持続的な若手研究者の採用を推進するための仕組みなどを導入しております。
 例えば、こちらも一例としまして、次のページ、30ページ目で、個別の項目、Caltechの例を簡単に御紹介させていただきます。教員数300名という、アメリカにおいては比較的小規模であるというところを生かしつつも、プロポストが学内の多様な教員と1年を通じて面談を行いまして、光るアイデアがあれば、ファンドレイジングキャンペーン等と連携し、資金をつけるといった取組も行いますし、教員がいつでもホワイトペーパーを作成して、執行部に直接提案すると。こういった仕組みを取り入れることで、執行部が最新の研究動向を把握するとともに、教員自体も自らのイニシアティブを執行部に伝える手段が明確にあるというところを理解しているというところもございます。
 5ページ目を御覧ください。戻らせていただきまして、前回の大学研究力強化委員会では、来年度より第7期科学技術・イノベーション基本計画の期間が始まるに当たりまして、策定を見据えて、今後、多様で厚みのある研究大学群の形成に向けてどのような取組が必要であるか、また、各大学が改革の取組をさらに加速して、先ほど申し上げたような取組を大学全体に広げていくためにはどのような方策が考えられるか。こういった点も含めまして、前回6月26日の学術分科会でお示しした資料を示しつつ、御意見をいただいたところでございます。
 次のページ、6ページ目を御覧ください。こちら、前回の学術分科会でお示しした資料でございますが、こちらを用いまして、大学研究力強化委員会でも御意見を頂戴したというところでございます。
 前回お示しした資料、一番下に丸1から丸3と。研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の後押し、また、大学等における研究環境の改善等、丸3として、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成。この3点で方向性をお示ししておりますので、前回の大学研究力強化委員会でいただいた意見も、これに沿った形で御紹介させていただきたいと思っております。
 少し飛ばしまして、10ページ目でございます。こちら、いただいた御意見でございまして、字が小さくて大変恐縮でございます。大変いろいろな意見をいただいておりますので、幾つかといいますか、なるべく御紹介するような形で進めさせていただきたいと思います。
 1つ目、赤字の部分、独創的な研究の後押しといった観点でございますと、各大学固有の課題ですとか何を武器に戦っていくとか、こういった特徴を出していくといった考え方も重要であるという点。また、円安の影響も目下ございますので、例えば海外から研究者を呼んでいくにしても、給与格差への問題にどう対応するのかといった点。また、質の高い研究者を集積していくという観点と、一方で、人口減少が進んでまいりますので、レベルの高い外国人研究者の確保、こういったところも重要性をまた増してくるのではないか。こういった点が挙げられていたところでございます。
 次に、丸2でございますけれども、研究環境、マネジメント改革といった観点でございます。こちら、複数大学が連携して戦略的に中規模設備を導入する、こういった大学・グループとしての基盤的な体制の充実の重要性。また、そうした際にも必要なりますけれども、技術系職員の処遇、また、機能を強化して、新たな技術職員像を描いていく。こういったことも必要ではないかといった観点がございました。
 また、先ほど事例の中で研究時間の確保ということも挙げさせていただきましたけれども、研究時間に割くことのできる時間の割合が、昔は50だったけど今は30%だったということが紹介されました。また、そういった中で、職員の増加ですとか、あと、大学全体をマネージするチーム、いわゆる執行部のことを指しているんだと思いますけれども、こういったチームがいかにしてそういったことを意識して時間を増やしていくかといったところを実行していくかが重要ではないかという観点もいただいてございます。
 また、関連しまして、共用化の進捗の認識ですとか阻害要因、こういったもののアンケートをこれまで行ってきたところですけれども、一つ、その阻害要因として、経営層の意識というものも挙げられていることですので、経営層の意識改革ですとか大学のマネジメント改革をさらに進めていくことがこういった観点で重要ではないかということ。
 また、予算や政策への波及という意味では、例えば重要性を述べるだけではなく、そこからもたらされるものだったり、世界的な動きの中でサイエンスや産業にどのようなことが起きるのか、こういったものをそもそも示すのが大学の役割ではないか。こういった観点も挙げていただいたところでございます。
 また、次のページ、よろしいでしょうか。すみません。口頭で駆け足になってしまいましたけれども、研究大学群の形成という青い丸3の部分でございます。こちら、今後の人口減少の点から、地方大学の経営ですとか研究力強化が難しくなっていくという点も一定考えられる中で、産業と地域の特性を踏まえた一定のエリアごとで人と地域を共有する大学群を形成していくことの重要性ですとか、人材の流動性を確保するためのメカニズムの重要性、さらに、日本の大学は国内競争で閉じているのではないか、大学の序列の中に安心感があるのではないかといった問題意識をお示しされるとともに、一方で、国際卓越研究大学ですとか地域中核・特色ある研究大学の事業は今現在進んでいるところでございますけれども、大学の序列を一気に壊す可能性もあると。なので、中途半端なものではなく、本当の意味での研究大学をつくると。そういった考え方が重要ではないかという点も挙げていただいたところでございます。
 次のページをお願いいたします。そのほか、博士課程関係の御意見もいただいておりました。博士課程の人材、こちら、複雑な課題解決策を提示できる人材を育てているという意識を教員側にも持っていただくことが重要なのではないかということ。また、その先に、教員側で多様な人材をつくらなければいけないという意識を、じゃあ、逆にどのようにしてつけていただくのか。そういった問題意識などを御意見としていただいているところでございます。
 非常に駆け足になってしまい恐縮ですけれども、私のほうから御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、その次の議題(2)第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見(案)についても御説明いただいて、全体をまとめて皆様と意見交換・議論をさせていただきたいと思います。
 それでは、助川室長、よろしくお願いします。
【助川学術企画室長】  ありがとうございます。学術企画室長の助川でございます。
 まず、資料2-1を御覧いただければと思います。先日の論点案から、先生方から頂戴しました御意見ですとか強化委員会を含めた他部会での検討を踏まえまして、こちらの意見(案)を事務局で作成してございます。
 まず、資料2-1で全体像を御説明申し上げますと、構成は先日の論点案と同じように、「1 学術研究の意義・現代的役割」というものと、各論「2 多様で質の高い研究成果を創出する「知」の基盤の構築」、こちらの2つから構成してございます。各論部分については、(1)、(2)、(3)の3つの観点から、課題と今後の取組の方向性を記載してございます。
 それぞれの詳細につきまして、資料2-2の本文で御説明申し上げたいと思います。
 まず、「1.学術研究の意義・現代的役割」でございますけれども、こちらが総論でございます。前回御説明した内容と重複いたしますが、1ページの真ん中あたりでございます、多様な学術研究や基礎研究を安定的・継続的に実施する、行うことは、言わば「基礎体力」をつけることでございまして、それらが時を得て花開くときに、イノベーションという果実をもたらすものとして、第7期の基本計画においても、引き続き学術研究・基礎研究を重要な柱として位置づけることが重要と強調してございます。
 続きまして、2ページでございますけれども、ここが各論「多様で質の高い研究成果を創出する「知」の基盤の構築」の部分でございます。冒頭、我が国の研究力の相対的・長期的な低下傾向を反転させるために、ここに書いてございます(1)、(2)、(3)について、今後の取組の方向性を盛り込むべきとしてございまして、以下、それぞれについて御説明申し上げたいと思います。
 まず、2ページ目の、今表示しております(1)研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の後押しについてでございますけれども、研究支援といたしましては、ここにありますように、トップダウン型の研究支援とボトムアップ型の研究支援がございまして、それらを適切なバランスで行うことが重要であるとしておりますけれども、ただ、その次の行にあります科学技術・イノベーションを生み出すシーズそのものは、多様な基礎研究や学術研究により創出されるものでございまして、基礎研究力の低下が指摘されるその中で、研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究を後押しすることで、基礎研究・学術研究の卓越性・多様性を取り戻さなければならないとしてございます。
 一方、2ページ目の終わりの辺り、現状の課題でございますけれども、このページ最後の段落、定常的に措置される教員一人当たりの研究開発費が減少傾向にあることを、まず現状の課題の1つ目。ページ変わりまして、3ページ目の最初の段落でございますけれども、科研費のニーズの拡大とそれに伴う充足率の低下が起きているということ。さらに次の段落でございますけれども、円安・物価高等による実質配分額の目減りというものを指摘してございます。
 これらを踏まえた今後の取組の方向性でございますけれども、まず、アの2段落目の終わりあたりですが、明確な研究課題の設定に至る前の試行的な研究ですとか探求を支える、そういう基盤的経費を十分に確保することが必要であるということ、その次の段落ですけれども、多様な資金調達を通じて経営基盤を確立・強化すること、これらによって使途自由な経費を充実する必要があるということは掲げてございます。
 続きまして、イでございますけれども、科研費につきまして、3ページ目の終わりから4ページのところでございますが、研究種目体系の見直しですとか、あるいは、ページが変わって4ページ目の初めに入ります、国際性の評価の導入、さらに、国際・若手支援強化枠の新設などを通じて、科研費の質的・量的な充実を目指すということ。また、同じ段落の終わりですけれども、中長期的な課題といたしまして、科研費予算の望ましい規模に関する検討を進めるということ。また、その次の段落ですけれども、大型の研究種目についても基金化を目指すということを挙げているところでございます。
 次に、ウでございますけれども、革新的な学術的発見を目指すためには、短期的な成果を追い求めるのではなくて、ここにありますように、長期的に腰を据えて研究に取り組む必要があるとして、そうした問題意識の対応の一つとして、ここにありますけども、創発的研究支援事業の定常化が強く求められるとしてございます。
 以上が(1)でございまして、続きまして、(2)大学等における研究環境の改善・充実、マネジメント改革、こういったものを通じた研究の質・量の充実でございますけれども、現状の課題といたしましては、5ページのところ、冒頭でございますが、アといたしまして、まず、研究設備・機器が老朽化・陳腐化しているということ。
 イといたしまして、先月の学術分科会の後に最新の調査結果が出たのですけれども、最新の調査結果においても、やっぱり研究の時間が引き続き減少傾向であるということ。
 ウといたしまして、欧米に比べて、我が国では研究者と研究マネジメント人材・技術職員等の方々の間の適切な分業が進んでおらず、結果、研究者の業務負担が重いことなどを掲げてございます。
 ページ進んで、6ページになりますけれども、これらを踏まえた今後の取組の方向性といたしまして、まず、アといたしまして、アの段落の真ん中あたりですかね、我が国全体で効果的・効率的な共用化をさらに促進して、全ての研究者が研究活動を行う上で必要な研究設備・機器にアクセスできる環境を確保するということ。また、同じ段落の最後でございますけれども、技術職員の配置も併せて推進することなどを記載してございます。
 続いて、イにつきましては、1段落目の真ん中からですけれども、研究時間の減少について要因を調査・分析した上で、対応策の例とともに分かりやすく発信するべきであるということ。また、各資金配分機関におきましても、負担軽減の取組を進めるべきであることなどを記載してございます。
 続いて、6ページの終わりのほう、ウについてでございますけれども、ウの真ん中あたりから申します。各大学の経営層の方々が研究開発マネジメント人材・技術職員の重要性を理解してくださった上で、適切な分業体制を構築する、適正な評価・処遇を行うことで、そうした人材の方々のキャリアパスを拓いていくということ。また、政府側に対しても、政府においても、ガイドラインの策定ですとか、研究開発マネジメント人材の研修の創設などによって、こうした動きを後押しすることを記載してございます。
 説明は省略いたしますけど、こちらの部分については、参考資料4で、人材ワーキンググループにおいて議論がありまして、そちらを踏まえた書き方としてございます。
 続いて、エについてでございますけれども、ページ変わりまして7ページでございます。1段落目の終わりのところ、好事例の可視化により、優れた取組を分野を超えて全国的に波及させること。あるいは2段落目の終わりのほう、大学・大学共同利用機関等において、取組の意義や有用性を分かりやすく説得力のある形で発信していくことが重要であるとしてございます。
 引き続きまして、(3)日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成でございますけれども、現状の課題といたしましては、7ページの真ん中よりちょっと下のところですが、アのところで、この段落の終わりですけれども、世界最高水準の研究大学を実現すること、あるいは質の高い研究大学群の層を厚くすることが必要であるということを挙げておりまして、また、イにおきましては、多様な規模の大学が研究活動に参画しているという我が国の特徴を踏まえますと、7ページの終わりのところでございます、大学の枠を超えた共同利用・共同研究機能をより一層強化する必要があるとした上で、中規模研究設備の整備と新しい学際研究ネットワークの形成について、それぞれ課題を記載してございます。
 これらを踏まえた今後の取組の方向性として、8ページでございます。丸2ですけれども、アに関しましては、先ほどの課題の前者につきましては、この段落の末尾にあります、国際卓越、J-PEAKSを契機とした各大学の改革の灯を絶やさず、さらに活性化させて、各大学の意欲的な改革を継続的・安定的に後押しする必要があるということ。
 引き続き、イでございますけれども、イは8ページの終わりから9ページの頭にかかりますが、大学共同利用機関の機能を強化するということ。また、括弧で2つありますけれども、中規模研究設備につきましては、戦略的・計画的な整備を図るべきであるということ。また、新しい学際研究ネットワークの形成として、学際領域展開ハブ形成プログラム事業の充実などによって、学術研究のネットワークを全国に複合的に形成・拡大することが重要としてございます。
 ちょっと時間が延びてしまって恐縮なんですが、もう1点、御説明させていただければと思いまして、今度は参考資料3を御覧いただければと思います。こちらは、科学技術・学術審議会の総会の下にあります研究開発基盤部会が今月取りまとめた「先端研究設備・機器の共用推進に係る論点整理」というものでございますけれども、これが先ほど私が申し上げました意見(案)の研究設備・機器の部分に関係するので、概要を御説明申し上げたいと思います。
 まず、基本的な認識といたしまして、1ポツのところですけれども、イノベーション創出のためには、持続的な先端研究設備・機器の整備と、それらの利活用による研究成果の創出だけでなく、新たな研究ニーズの創出とそれに基づく基盤技術の高度化・開発までを含めたサイクルが必要不可欠であるということ。このようにしておりまして、現状と課題について4点述べておりますが、1点目が、プラットフォーム化やコアファシリティ化は一定程度進んでいるけれども、イノベーション創出を意識した戦略的な共用の場の構築・運用はまだ十分ではないということ。また、2ポツ目の終わりですけども、共用を核とした技術開発と研究、その成果の社会実装が長期的に作用するエコシステムの構築が必要であるということ。4点目のところ、コアファシリティ化については、先進的な取組が生まれている一方で、機関の格差は広がっているという認識の下、全体を底上げする必要があります。そういう仕組みが必要であって、実効性のある横展開が必要としております。
 これを踏まえまして、目指すべき方向性として、まず、丸1、エコシステム形成ですけれども、2つ目のポツで、機器メーカーと連携した共用設備・機器の運用、共用の場を実証の場として活用することなどの取組を求めてございます。
 また、もう一つ、丸2として、現場課題の解決と全体を底上げする仕組みの構築といたしまして、1ポツにありますけれども、地域・分野等の枠組みで連携して、相互補完的にコアファシリティ化のノウハウ等を共有するネットワークの構築ですとか、3つ目のポツ、全国の共用システムについて、携わってくださる技術人材も含めた見える化などが必要であると。そういうことも求めているところでございます。
 ちょっと長くなって申し訳ございません。私ども事務局からの説明は以上でございます。御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、残りの時間を皆様との意見交換、そして議論に使いたいと思います。
 多分、多々御発言があろうかと思いますけれども、まずは挙手ボタンを押して御発言いただければと思います。できるだけ皆様に御発言いただけるよう、司会を務めたいと思います。
 中野委員、お願いします。
【中野委員】  御説明どうもありがとうございました。
 資料2-2についてちょっと意見があるので、幾つか挙げさせていただきます。
 まず、資料2-2の3ページ、科研費について、科研費の質的・量的充実というところなんですが、最初に、「我が国の研究力の向上にも寄与することが期待されている」とありますが、これは「寄与する」と言い切ってもよいのではないかと思います。実際、寄与していると考えられます。
 その上で、同じ段落ですけれども、「再び世界のトップレベルに返り咲くためにも」の後にいろいろなことが書いてあって、その後に「科研費の質的・量的充実を図っていく必要がある」とありますが、最も重要なのは科研費の質的・量的充実なので、「返り咲くためにも科研費の質的・量的充実を図っていく必要がある」と言い切り、これと同時に「科研費制度の抜本的な見直しが不可欠である」というような文章をつなげてはどうでしょうか。さらに、その下の段落で「具体的には」とありますので、その上の段落であるいろいろな取組や検討のうち、下の段落と重複する部分、例えば「国際性を強化するための方策」などについては下の段落に移し、具体的な取組は次の段落で説明したほうが分かりやすいのではないかと思います。
 もう一つは、同じページなんですけれども、そのすぐ上のアの最後の段落です。最後の文章が、「企業等からの寄附金や社会からの投資の拡大など多様な資金調達を通じて経営基盤を確立・強化するべきである」と、ゴールだけ示しているんですけれども、今の状況でこれをいきなり実行しろと言われても、なかなか難しいのではないかと思います。それを助けるための支援あるいは施策が必要だと考えますので、「広げるために、」の後に「グッドプラクティスの共有やさらなる規制緩和を通じて」というような支援策を入れたほうがよいのではないでしょうか。
 最後ですけれども、大分飛ぶんですが、9ページです。中規模研究設備の整備というところです。この段落の文章を読んでいくと、「おり」、「おり」という言葉が繰り返され非常に長くて分かりづらくなっております。そこで、最初の文で「供されている」と言い切ってしまい、それが一番中心的なことなので、その後に、「これらの設備は、」として続ければよいのではないかと感じました。
  以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 まずは御意見を頂戴したいと思います。
 城山委員、お願いします。
【城山委員】  ありがとうございます。2点、コメントです。
 1点目は、メインの筋からはそんなに大きな点ではないんですけど、資料2-2の2ページ目の(1)研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の後押しというところで、この1行目で、有用なシーズに対する集中的な投資によって成果を出すミッションオリエンテッドと、キュリオシティドリブンを対置しているわけですけども、ミッションオリエンテッドとキュリオシティドリブンを対置するのはいいと思うんですが、ミッションオリエンテッドを有用なシーズに対する集中的投資ということだけに限定しちゃうと誤解があるのかなと思うので、ちょっと表現に気をつけていただければと思います。
 つまり、トップダウンで行く場合には2つあり得て、このシーズで行くんですよという、シーズをピックアップする場合もありますが、社会課題のようなものを、例えばGXとかですね、明示して、その上でこれをやりなさいという場合もあるので、必ずしもシーズだけではないと思いますので、ちょっとそこは表現を気をつけていただければと思います。
 2点目は、3ページ目の真ん中の今後の取組の方向性のところで、活動の基盤となる使途自由な経費の充実の2つ目の段落なんですけども、要するに、基盤的経費が必要だというときに、どういうロジックで言うかということなんですが、ここでの言い方は、2段落目の最後のところだと、競争的研究費を活用した研究のさらなる発展につなげ得る明確な研究課題の設定に至る前の試行的な研究や探求が大切であって、そこをサポートする基盤的経費が必要だというようになっています。こう書かれた趣旨を若干明確にしていただきたいのですが、一つは、基盤的経費の役割が試行的な段階での研究だとしてしまうと、若干限定的なような気もします。多分これまで議論されてきたので言うと、日常的な研究室運営に必要なルーティン的なものというのは、当然基盤的研究経費としてサポートされるべきだというようなことが議論されてきたと思うので、若干ここは限定したという趣旨なのかどうかというのが一つと、ただ、限定して言うのも、戦略的に言うということもあり得て、つまり、そのルーティンのところを措置してくださいといってもなかなか厳しいので、そうではなくて、競争的研究費に行くにしても、その前段階の試行的なところを支える役割というのは基盤的経費があるので、少なくともその部分については強化をしてくれという、そういう趣旨というふうにも読めるかなと思うのですが、基盤的経費の目的をここではいろいろな意味で多分限定的に議論しているというところがあるので、ここはどこまで意図的なのかというのが質問と、その場合に、どういうふうに考えておられるのかというのはお伺いしたいなと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 質問には、後でまとめて事務局のほうから答えていただくということにしたいと思います。ぜひ忘れないようにきちんとメモをして、私も忘れないようにしますけど、よろしくお願いします。
 城山委員、ありがとうございました。
 それでは、観山委員、お願いします。
【観山委員】  ありがとうございます。研究力強化という面で、様々な政策が打たれていて、それぞれ非常にもっともな政策が取り入れられているなと思っております。ただ、この研究力、論文数(ボリューム)の点、ボリュームの経年変化、それから質、これはサイテーションからくるところでしょうけども、それの経年変化、そして各国間の相対的な位置というものに関して研究力というものが言われているんだと思いますが、ただ、いろいろな政策があっても、この数年を見てもあまり変わっていないという状況であります。
 そろそろ、やはり様々な施策、これは非常にもっともだと思うんですけども、それぞれについて、細かい評価というのは難しいかもしれませんが、どういう事業が効果的であったとか、どういう事業はあまり効いていないかということを、少なくとも6年とか5年とかというようなことで、評価をしていくべきではないかと思います。
 いろいろな、本当にもっともな施策を打たれていると思うんですけれども、そういう中でいうと、やっぱり資源も限られていますので、ある意味で、こういうことについてはこういう効果があったとかということを、先ほど申しましたように、研究のボリューム、質、それから各国間の相対的位置の観点から、どういう効果を得たというのを振り返ってみないと、なかなかやみくもに言っても説得性が少ないのではないかと思います。
 もう1点だけ。この非常によくまとめられている中に、国際性というのが書かれています。それは非常に重要で、特に質と言われているサイテーションのためには、国際性というのが不可欠です。大学教育という面では、日本人の学生を教育する面でいって、優秀なスタッフを大学の中に備えるということは重要だと思いますが、各大学や大学共同利用機関や共共拠点というのは、研究を中心にするところでの国際性がもっともっと高まるべきではないかと思います。
 欧米の研究所に行ってみると、例えばドイツの研究所は、これは人種でいうと、ほとんど多様な形になっています。日本のように、大きいところで30%ぐらい外国人が入っているところがありますけども、そういうレベルにとどまっているわけですね。非常に高いところでもそんなところです。だから、今まさに外国人の給与と日本人の給与の格差が2倍、3倍に広がっているという現実はあるのですけれども、そこは何とか努力をして、優秀な外国人、優秀な研究者を入れて、研究所においては、外国人、それから多様性を非常にたくさん上げるということをしてみるべきではないかと思いました。
 以上、2点です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、神谷委員、お願いします。
【神谷委員】  どうも御説明ありがとうございました。前議会の分科会で、国際的に研究力がトップレベルに返り咲くためには、科研費を含む研究費を飛躍的に増やすべきであるということを申し上げたところ、回答といたしまして、科研費の予算を伸ばすのが最低限、これは一番狙っているという話で、この点、よく御理解いただいているものだと理解しております。
 ただ、文言として、今出ています、真ん中より下のイですね、「科研費の質的・量的充実」と書いてありますけども、この質的・量的充実というのが何回も出てくるのですが、これは表現として弱過ぎるのではないかというのが私の感想です。
 7月1日から、複数の主要な国内学会が共同で科研費倍増ということで署名活動を行っているものと理解しております。倍増という言葉がいいかというと、そうでもないような気がいたします。倍増というのは、どうも私が読んだところ、採択率とか充足率から計算した数字で、これによって世界のトップレベルに返り咲くということでもないように思いますので、2倍というのも必ずしもいい数字ではないと思います。私の理解では、分野にもよりますけども、例えば量子科学では、日本の研究費というのは海外のトップレベルの国の研究費と比較しますと、桁が全く違うと理解しております。
 ということで、まとめますと、とにかく質的・量的充実ということでは言葉が弱過ぎると思います。さらに言いますと、2倍とか数字を入れるのはあまり適切ではないと思いますので、何かうまい言葉を探していただけるとありがたいなというのが、まず第1点でございます。
 それから、城山委員のお話とかぶりますけども、この少し上、真ん中ぐらいですかね、「明確な研究課題の設定に至る前の試行的な研究や探求が重要であり」と。ここに基盤的経費を使いたいというお話になるかと思うのですけども、ここが不足しているということだと思いますが、城山先生がおっしゃるように、これは戦略的にお書きになっているのかもしれませんけども、私の感覚とはかなり違っていて、例えば我々の分野の経済とかですと、図書費とかそういうところでも不足してしまっていて、もっとはるかに基盤的なところで不足してしまっているというのが私の感覚でございます。
 なので、これは戦略的にお書きになっていて、こう書くことによって予算を増やしてもらうことができるのかもしれませんけども、ただ、実態とはやや違うかなという感覚を受けております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、木部委員、お願いいたします。
【木部委員】  非常に重要なことが盛り込まれていると思います。1つだけ申しますと、4ページの「若手研究者が自由で挑戦的・融合的な」、これは非常に重要なことで、今も御意見がありましたけども、3行目ですか、短期的な成果を追い求めるのではなく、長期的に腰を据えて研究に取り組む必要がある。これは非常に重要なことだと思うので、ここに書かれていることはすばらしいと思います。これと矛盾するのが、現在行われている評価システムです。
 現在の短期的な数値目標に基づく評価というのは、ここに書かれていることとはかなり矛盾するわけですね。大学も研究機関も現在の評価システムに縛られて、それにあくせくしております。評価をやめろというつもりはありませんけれども、本当に長期的な腰を据えた研究に取り組むことを推進しようと思えば、適切な評価をする、現在のような短期的・数値的な評価ではなくて、適切な評価システム、パラグラフの最後に「仕組みを整えることが重要である」と書いてありますが、ぜひ、これを実現するために、適切な評価システム、現在の評価システムを見直すということを書いていただきたいと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、関沢委員、お願いいたします。
【関沢委員】  ありがとうございます。私は、9ページをお願いいたします。新しい学際研究ネットワークの形成というところの第1段落目に、「我が国においても自然科学と人文学・社会科学協働を視野に、新たな学際領域に」というような、自然科学と人文社会科学の協働という言葉を入れるのがいいのかなと思いました。と申しますのも、学際ハブなどを見ましても、それがなかなか実現できていない、まだ課題である部分が大きいのですけれども、けれどもやらなければいけないことだと思いますので、そういう人文学・社会科学との協働という言葉を入れていただけたらと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、尾辻委員、お願いします。
【尾辻委員】  ありがとうございます。尾辻でございます。私は2点ほど、端的にコメントさせていただきたいと思います。
 まず、資料2-2の3ページ、今まで各委員の先生方から御指摘がありました、研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の後押しのための、今後の取組の方向性でございます。
 私、アの基盤的経費を中心とした非競争的な支援、それから科研費を中心とする競争的支援、両方とも、両輪で充実しなければいけないということを言い切っていただいたところが、まず大変結構だと思いました。
 総論としてはそうで、各論としては、各先生御指摘になった点はあろうかと思うんですが、アの活動の基盤となる使途自由な経費の充実の第2段落が、各先生方、御意見おありだったと思うんです。
 私なりに理解しましたのは、前回の分科会でも発言させていただきましたが、学問という、学び問うという立場でこの2つを理解するならば、学びの部分は広く支援の手を広げ、そして学びの先に生まれる問いがどれだけ深く広いのか、その問いを生むためには学びが十分でなければならないという理解で整理いたしますと、第2段落の文言が意味するところが見えてくると思います。ですので、個々の言い方は、共通認識を与えるという意味では、まだ推敲の余地はあろうかと思うんですけれども、そのように御理解いただけると、国に訴える戦略というものが見えてくるのではないかと思います。これが第1点です。
 その次の点は、8ページ、9ページにわたってのところなんですけれども、学術研究基盤の形成の次に、9ページのところで中規模研究設備の整備から新しい学際研究ネットワークの形成という大きな枠組みに向かって文言が展開されているんですけれども、文科省であり、学術分科会の範疇という意味では、大学の施設、共同利用・共同研究拠点も含めて、大学がネットワークを組んで、しかも学際融合的な立場で、施設・設備、それから人材も含めて活用するんだという立場で書かれているところは理解できるんですけれども、民間、それから国研、大学、そういった垣根を越えた連携をしていかないと、例えば今後の量子技術の研究が、各国、大変な競争になっているわけですけれども、フランスですとLETI、それからMINATECといった開発拠点が連携し、大学と深いコミットの上で、巨大な実験施設・設備が実際に営まれている。ドイツでも、国研がフラウンホーファー、マックス・プランクまで非常に広いダイナミックレンジを持ちながらも、大学との連携が非常に緊密である。フランスの場合はまた、CNRS、国立科学研究センターが大学拠点の中に混在している状況がありますので、何かそういった大学だけの枠組みのように見えてしまうこのネットワーク形成の表現は、民間とか国研だとか、そういったものとの連携が今後さらに必要になるんだというようなことを、そのためにも大学として、大学全体として大きなポテンシャルをさらに充実させる必要があるんだと。そういった立場でここのロジックを展開していただく必要があるのではないかと思いました。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】  五十嵐です。どうも説明ありがとうございました。
 私からは、先ほど関沢委員のお話の人文社会科学との協働と同じなのですけれども、全体の内容がナチュラルサイエンス、自然科学とそれに関連する技術・イノベーションに聞こえてきました。第6期でも、人文社会科学との協働、ウェルビーイングであるとか、心を豊かにするにはどうすればいいかとか、あるいは、社会受容性ですよね、そのための総合知の活用。イノベーションを起こそうと思ったら、それが社会に受容されなければならなくて、そのときには必ず倫理哲学やELSIの問題が出てきます。
 そういうところを第6期ではかなり強くうたったにもかかわらず、実際に、その総合知がどれくらい深められて、どのくらい成果が上がっているかというところがよく分からないのですね。
 ですから、もっと強く、先ほど関沢委員がおっしゃったように学際的のところでもいいのですけれども、やはり人文社会科学との関わりというのを、もっと深く定義したほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】  ありがとうございます。2点ございます。
 まず1点目は、まだ触れられていないと思うんですけど、研究時間の話です。研究時間のところについて、対応策を広報するというふうな策を今後取るんだというところ、あるいは分析をした上で行うという、多分そういうふうなご趣旨だったと思うんですけれど、そこよりは、現状のところを見ていただくと、実は教員は、研究、あるいは、ここには教育と研究と書かれていますけど、そのほかにも社会貢献を求められたりとか、外部資金を集めてきたりとか、産学連携だとか、いろいろなことが重複的にかぶさってきて、研究時間不足につながっているということなので、ここについては抜本的な対策をしっかり示していただくのがいいのかなと思っています。この資料の修文という形にならなくて恐縮ですけれど。
 冒頭の御説明でサバティカルとかバイアウトのお話をされていますけど、それもあまり本質じゃないのかなと思っていまして、そもそもいろいろな機能を全部1人の教員がやらなくてはいけないというところに問題があるのかなと思っています。
 そういう意味でいうと、もう少し機能分化をさせるような教員の在り方というものをしていかないと、研究時間というの抜本的な解決策にならないのではないかなと思います。その分析は、恐らく既に資料の中で、冒頭の資料で出ていたので、そういう意味でいうと、それをやるかどうかというところまで来ているのではないかという感じを持っています。
 2点目は、科研費の問題、これは城山先生とか神谷先生からも御指摘があったところだと思いますが、私もそもそも、その背景として、ミッションオリエンテッドな手法で集中的にトップダウンでお金を振り始めた頃と、日本の研究力の低下というのが実は相当相関しているんじゃないかという気もしていて、そういう意味でいうと、もう少しそこの振り返りをしていただいた上で、科研費の倍増だけではなく、神谷先生によると10倍以上ということだと思いますが、もう少ししっかり考えていく必要が、日本の研究力をもう一回確立する上ではあるのではないかという点、そこは私、すごく重要な点だと思います。
 ここでもう1点気になるのは、研究課題の国際性というところにフォーカスを当てられているところがありますけれど、あらゆる学問、日本の学問ですね、たとえドメスティックなものであっても、将来的には、国際性の芽はある学問分野も多いと思うんです。ただ、古文書とか、あるいは今、日陰になっている学問にこの文言を強く当てちゃうと、そこにさらにお金が届かなくなるというところを懸念しています。国際性というものの定義によるんだと思いますけれども、あまり表層的な捉え方での国際性というのは、日本の学術の芽を細めることになっちゃうのではないかなということで指摘させていただきます。
 以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】  全体を通しましてすごくよく考えられて、逆に、よく考えられていて、どうしてこれで日本の科学はなかなかよくならないのかなってちょっと寂しい思いもしたんですけれども、少し現場的な意見を述べさせていただきたいんですが、僕、このところ、国際会議ですとか、あるいは海外出張が重なったんですけども、本当に事務的な手続がしにくいんですね。
 例えば外国から共同研究者を呼んだときに、所外で一緒に食事をする。これ、共同研究をするときにすごく必要なことなんですが、例えばレストランで食事をするというのの出費というのはすごく難しくて、事務の方に納得してもらうのに半日ぐらい電話で何回もいろいろな方々にいろいろな部署に説明しなきゃいけないとか、そういう点で、5ページのところに研究開発マネジメント人材・技術職員の育成というのがあって、これはもちろん大事で、現在、それが進んで、URAができて、すごくよくなったんですが、加えて、やはり一般的な事務職員、大学あるいは共同利用研の半分ぐらいを占めるわけですよね。あとは、文科省、JSTあるいはJSPSもそうだと思うんです。そういう事務職員の方々の国際化、研究の国際化の意識を高めるような何か方策をこの5ページのところに加えていただいて、事務職員と一体となって国際化を進められたらいいんじゃないのかなと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、治部委員、お願いいたします。
【治部委員】  ありがとうございました。実は私、もともと企業出身ですので、そちらの観点から述べたいと思います。
 まず、先ほどの委員の方がお話しされていた、大学における出費の計画・実施に極めて手間がかかるというところにつきましては、企業出身者としては心から賛同するところであります。事務の方も特に悪気はないんですけれども、決まりがあまりにも多くて、本当に少しした金額を使うのにも手間がかかる。正直言いまして、これは企業出身者としては信じ難い状況ですし、研究者の方があまりにも気の毒な状況であるということを補足したいと思います。
 メインで述べたいのは、私、もともと記者でしたので、研究の深みであるとか重要性ということは皆さん御議論いただいておりますので、広報戦略の観点から一つ述べたいことがあります。
 それは、資料2-2の言葉の選び方のところなんですけれども、好事例という言葉、よい事例という言葉が何度も使われております。ちょっとここに引っかかりを感じるんですけれども、文科省以外の省庁の審議会でも、好事例という言葉、霞が関の方はすごくお好きなようで、よく使われています。そして、好事例集を作成して配布するという作業に私自身も携わることがよくあるのですけれども、この事例集というのは、今日の議題で言いますと、これこれの国内もしくは海外の大学でこういう施策をやって、このようにうまくいきましたという、そういったいわゆるケーススタディを集めることになるのだと思うんですけども、このような書きぶりというのは、基本的にはジャーナリズムの手法であることは、今日お集まりの方は皆さん研究者なので、よく御存じかなと思います。
 この会議体というのは、せっかく学術分科会ですので、私、あえてアカデミアの外の人間から、外から来た人間からしますと、これが単なる事例ではなくて、何らかの形でバリディティを確保してある提案であるということを書くことができないかなと思いました。
 この審議会は科学技術施策を議論していまして、国家戦略における、言ってみれば研究費配分のポートフォリオですとか、長期的なリターンに関する、この国がどうなっていくかという意味で非常に重要な議論をしているわけですけれども、御存じのとおり、財政が厳しい中、かなり納税者の目というものも厳しくなってきておりますので、どのように理解を得るかということを考えるときに、単なるお話、ここでこのようにうまくいっていますということではなくて、きちんとした研究者の目を通して、これは信頼に足る、やるべきことなのであるというような発信の仕方をしていったほうがいいのではないかなと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、水本委員、お願いいたします。
【水本委員】  水本です。既に何人かの委員の御発言にあって、重複するかもしれないんですけれど、非常に重要なことだと思いますので、あえて重ねて発言させていただきます。
 まず、科研費の量的な充実の点でございます。先ほど神谷委員のほうから御紹介ありましたように、先月の末ぐらいからでしょうか、大変多くの学会の会員中心に、科研費の倍増に向けての署名が始まったということを私もいろいろなところで聞いております。
 これは非常に大きな動きであるり、我々もきちんと捉える必要があると思います。ぜひ、今書いているよりも強い言葉で、科研費の、どういう言い方がいいのかな、抜本的な増額という言い方がいいのか分かりませんけど、適切な表現は思いつきませんが、本質的に非常に増額を強く求めたいというのを、もう少し言葉を強くして書き込んでいただきたいなというのが1点でございます。
 それからもう一つ、その前にある基盤的経費の増額ですね。これにつきましても、先ほど尾辻委員のほうから御指摘がありましたし、この分科会でも何回も話題になっていたと思いますが、競争的資金の強化とともに、研究基盤をつくるために本来的には必要であった経費がどんどん減っていると。ここでは少しマイルドな書き方になっているようですけれど、あえて申すと、科研費の基盤(C)がもう基盤的経費の代わりになっちゃっているというような、たしかそういうような御発言も以前あったと思います。それをそのまま書くわけには恐らくいかないと思うんですけれど、そういう状況があってはならないというぐらいの強い言葉で、基盤的経費の確保あるいは充実、こういったものを書き込んでいただけないかなと思います。
 最後、これは質問なんですけれど、前半の資料で、先ほどバイアウトというのがちょっと話題に出てきたかと思います。ここで適切にお答えいただけるかどうか分からないんですが、恐らく四、五年前からこのバイアウトがいろいろな研究費で使えるようになったということを、私、覚えています。その効果と言ったらいいんですか、事例と言ったらいいんでしょうか、どれくらいこういう経費が生かされているのか、もしこういった情報があれば、どこかで御紹介いただければと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、松岡委員、お願いいたします。
【松岡委員】  京都大学、松岡です。御説明どうもありがとうございます。今回まとめていただいた意見、大変よい内容でまとまっていると、全体的にはそのように思います。
 先ほど若手研究者について御意見がありましたけれども、私も若手研究者について少し意見を述べさせていただきます。
 長期的に日本の学術がよい発展をしていくためには、優秀な若手に研究者の道を選択していただく、そういうことが大事だと思います。今回の資料のほかの部分で、あるいはその他でも、博士を出た学生が多角的なキャリアパスを選択できるようにすべきと、よく言われていて、それも大変大事なのですが、やはり最終的に優秀な若手には、私たちと同じように研究者の道を選んでほしいと、アカデミアを選んでほしいということを思います。そして、その選択をしてもらうためには、やはり安定的な身分が必要になるのではと思います。しかし現在、若い研究者は、任期つきの身分をある程度経験しないとなかなかパーマネントになれない、そういう現実があります。
 そのようなことを思うのですが、今回のこの意見にそのような観点が見受けられないように思います。今回の意見の範囲の外なのかもしれないし、また、人事は各研究機関が主体的に行っているので、今回の意見に入れ込むのはもしかすると難しいことかもしれませんが、非常に大事なことと私は考えますので、もし可能であれば、若手研究者に安定的な身分を与える機会を拡大することを今後目指すということを少し書いていただけると良いのではないかと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、柳田科学官、お願いします。
【柳田科学官】  ありがとうございます。お世話になっております。今回の御提案、非常にすばらしいものと拝見いたしました。
 私も3点コメントをさせていただければと思っております。
 まず1点目は、若手の件でございます。最近、若手を対象にした比較的大型のグラントが以前と比べると非常に整備をされてきたと感じております。一方で、受給した若手の方たちが選抜のときに我々が期待したような成功やキャリアパスを得ているのかのフォローアップも必要なのではないかと思っております。もしすばらしい研究提案をして採択された若手研究者が、その後、我々が想定したキャリアパスを得られていないときには、それがどういった理由によるものかという検証が必要ではないかということを考えております。
 もう一つは、大学の研究改善でございます。大学院生は所属教室の教官から指導を受けることが通常だと思うんですが、海外では所属教室とは別の独立した立場の教官からメンタリングを受けるということをよく聞いております。京大医学部では最近それを始めまして、非常にうまく機能しております。言わば客観的な立場からのメンタリングによって、研究推進の適正化ができると考えております。
 最後は、国際化の点でございます。国際化に関しては本当にいろいろな御意見があると思うのですが、臨床の立場からいたしますと、日本人研究者が国際的な共同研究ネットワークの中に入っていないと、新しい薬剤が出てきたときに、その臨床治験に組み込まれない、言わばジャパンパッシングが起きてしまいます。薬効を検証する上でアジア人における薬効のデータは重要ですが、そこに日本以外のアジア諸国のデータが組み込まれる状況が散見されます。それはすなわち、患者さんにその薬剤を投与できることの遅れ、ドラッグラグに直結をしております。非常にプラグマティックな例で恐縮でございますが、やはりいろいろな観点において、日本が世界から見える立場であり続けることが重要ではないかと思っておりますし、それの大本というのは、組織間の交流も重要ですが、実際には研究者間の草の根交流が重要なのではないかと思っています。そういった点を評価するような科研費の枠組みの記載がございましたが、私はその点に賛成するものです。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、加藤委員、お願いします。
【加藤委員】  加藤です。資料PDFを拝見させて頂くと、AIという文字が表れていないようですので、提言させていただきたいと思います。
 皆さん御存じのとおり、生成AIに代表される最新AI技術の一つであるChatGPTが出たのが2022年ですから、僅か3年ですけれども、これが大きな変革、社会的に非常に大きなインパクトを与えているということは皆さんも御理解頂いていることだと思います。これまでの人類の歴史の中で、コンピューター、マイクロプロセッサー、インターネットが科学技術の発展に大きな影響を与えたことを考えれば、生成AI等の最新AI技術も科学技術に大きな影響を与えていくものだと思っています。
 提言は、例えばPDFの48ページあたりに「今後の取組の方向性」というのがありますけども、そこに、以下に述べるような表現を入れていただいたらいかがか、ということが私の提言です。「生成AIに代表される最新AI技術の発展を科学技術の推進に積極的に活用して、研究の生産性向上に役立てることに積極的に取り組んでいくべきである。それと共に、最新AI技術と著作権、研究倫理、ELSI等の様々な課題の検討も深めていくべきである。」
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。生成AI、重要ですね。
 それでは、山本委員、お願いします。
【山本委員】  山本です。ありがとうございます。
 資料2-2の一番初めのところなんですけれども、一般論ではあるんですが割と大事なところで、一番下のほうかな、「知」を生み出す大学あるいは研究機関は、「知」の生産の現場ではあるんですけど、同時に、そこで人を育てているわけです。研究力低下イコール人を育てる能力の低下になっていて、将来を考えたときに、この負のスパイラルを絶対に抜けなきゃいけないと思うんです。
 人を育てる人材育成というところが、全体として、この文章の中のトーンとしては若干弱い感じはします。なので、例えば最後の「この意味で」のパラグラフなんかのところに入れ込むことができるのではないか。基礎体力をつけることであり、また、将来の科学技術を支える若手を育てる場であるという、そのようなところを少し主張してもいいのかなという気はします。
 それに関連しまして、3ページの、いつも先生方から御意見のあった基盤的経費の件ですけども、これも、やはり人を育てるという観点が僕は必要だと思います。当面何かの研究をするためというのではなくて、それを通した人材育成にすごく貢献している部分で、これがやはり日本の相対的な研究力低下の一番大きな原因だと理解しています。そういう意味で、人材育成ということを少し盛り込んでいただくような方向でお考えいただくとありがたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、安田委員、お願いいたします。
【安田委員】  ありがとうございます。全体的に科学者が感じていたポイントをすごくぎゅっとまとめてくださっているということを感じました。
 私から3点ありまして、1つは、分かりやすいところからいくと、ワーク・ライフ・バランス、若手の研究者から見たときに、今の研究環境というか、研究競争力、不安定な雇用の下で、短期間に研究成果を出さないとドロップアウトしてしまうという中で、なかなかワーク・ライフ・バランスが取れないというところがある中で、それでも優秀な人材を今後日本の中で生かしていくことを考えると、多様な人材とかキャリアを許しつつ、ある一定期間の子育てとか介護とかが終わったときにも戻ってこられるような、層の厚さというのは必要かなと現場的には感じています。
 その点と、あともう一つ分かりやすいところだと、国際研究と若手の育成というところがあったと思うんですけれども、これは非常に同感で、若手の人たちに国際研究、共同研究にどんどん参画してもらえるような予算が増えている、重点的に増やされているということはすごくありがたいんですが、実際には二国間とかいろいろ使ってみると、日本人以外の招聘ができないとかというので、途上国とちょっとやりにくい部分があったりとかするので、研究費の利用のフレキシビリティーみたいなところにもちょっと配慮していただけるといいのかなと思っております。
 あと、全体を見てみて、非常にすばらしいんですけれども、これは研究者側の考えが組み込まれていて、果たして財務省とか一般国民からどこまで理解を得られるんだろうという観点で考えたときに、これを実行していったときに、一つは、例えばノーベル賞が増えるとか、一般国民が一番望む科学者の姿だと、これまでだと大学のランキングだとかそういった分かりやすいところになってしまうのかなと思うんですけれども、それと同時に、科学がどれだけ自分たちの実生活に役立っているかというところも、今、重点的に意識されていると思います。
 そうなると、社会実装のところに研究者が実際に入って踏み込んでいくことが重要になっていて、実際にそういう研究者が今増えていると感じています。自分自身もこういう必要性をすごく感じているんですけれども、この段階になってこそ、自然科学の研究者がやはり人文科学的・社会学的な総合知をすごく求められるところになっておりまして、関沢先生とか五十嵐先生が御指摘されていたように、総合知、特に社会実装になると、科学をどう使っていくかというところでの強い哲学というか、きちんとした筋の通った哲学みたいなものも重要になってくるなということ。あと、ステークホルダーだとか地域との信頼構築には物すごく時間がかかることとか、長期的な評価が非常に重要になってきまして、それは、その地域の人には喜ばれてよかったですねと、数年後になったとしても、国民全体にそれが知れ渡って、ちゃんと成果として認識されるのかとか、国際的にそれが評価されるのかということになると、今の段階ではそういう軸がちょっと足りていないのかなと思って、国内でももちろんそういう取組みたいなものを、科学的な社会実装への評価を高めるのと同時に、やっぱり国際的なアピールみたいなものも、今までなかった枠組みでどんどん打ち出していかないと、こういった研究が進まないのかなということを少し感じたところでした。
 あともう一つ、寄附を企業から増やすということが、よくアメリカとの比較で重要だということで、ここにも書かれているんですけれども、抜本的に、日本はやっぱりそんなに寄附文化があまり強くないなと感じている中で、何かできるとすると、税制の優遇とか、科学技術とか、社会公益のための科学技術への投資というものが優遇されるようなシステムみたいなものも考えていく必要があるのかなと感じました。
 すみません。直接のエディットの内容だけではないんですけれども、所感を述べさせていただきました。以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、尾上委員、お願いいたします。
【尾上委員】  分かりやすく、納得性ある文章で取りまとめいただきまして、ありがとうございます。
 私からは、今後の取組の方向性の中の波及効果のところでございます。7ページ目のエの辺りなんですけども、このエの最後の部分というのはすごく重要だと思っておりまして、取組をきっちり、先ほどの安田委員のお話にもあると思うんですけども、やっぱり大学の存在意義あるいは大学の最大のステークホルダーは社会だと思いますので、社会に対して積極的に発信するというところをもう少し、どこに対して発信するのかというところをきっちり明確にするということが大事だと思います。
 そういうことが、これ、全般的にお金を増やしてくれという方向がたくさん書かれているんですけども、やっぱり社会から大学にちゃんとお金を入れるべきだという流れをつくっていくというのが大事だと思いますので、そういうところを少し強調いただければと思いました。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、鷹野委員、お願いいたします。
【鷹野委員】  お取りまとめ、ありがとうございました。
 私からは、5ページの現状の課題の中のウの研究開発マネジメント人材・技術職員のところでコメントと質問をさせていただきたいと思います。
 ここでは技術職員という言葉が出ておりますが、内容としては、主として研究開発マネジメント人材のことが書かれているように思います。技術職員の内容について確認をさせていただきたいと思います。
 技術職員というのは、技官職というのが私の若い頃ございましたけども、そういったものを指しているのでしょうか。それとも、何か新しい職のことなんでしょうか。
 フランスに学生が留学していて訪ねたときに、大型装置や専門的機器を用いて実験を担当するような専門職が、誇りを持って活躍している姿を目にしたことがございます。そういった専門的技術職というのは大変重要だと思うんですけれども、ここではそういったものを指しているのか、もし指しているのでしたら、少し言葉が足りないように思いましたので、質問させていただきました。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、北本委員、お願いいたします。
【北本委員】  北本です。私からは2点申し上げたいと思います。
 1点目は、先ほど加藤委員がまさに同じようなことをおっしゃっていましたが、生成AIを含めたAIについて、何か入れていただければと思っております。前回の委員会でも、AIを含めたデジタル戦略について記述を入れられないかという検討をお願いしました。研究基盤として位置付けるのかもしれませんが、改めて御検討いただければと思っております。
 2点目は、9ページなんですが、学際研究ネットワークの形成について、学際研究が重要である、そして学際領域に挑戦しやすい環境を整備すると書いてありますが、この環境がどういう意味なのか、ややはっきりしない印象を受けます。
 こういった学際領域に挑戦するには、評価が重要になると考えています。学際研究が評価しづらい、あるいは学際研究に取り組んでも研究者のキャリアパスとしてあまり評価されないというリスクを感じてしまうと、挑戦しづらくなるという面があります。学際領域に挑戦しやすいような評価を行う環境も整備する必要がありますので、評価という観点をもう少し具体的に入れていただきたいと思います。
 この資料では全体的に、評価が研究費獲得という面での評価に偏っているような印象を受けます。評価はもちろん研究費獲得に表れる面もありますが、キャリアパスとしては就職や昇進などにも関係してきますので、そうした視点も含めて、評価に関してもう少し書き加えていただければと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、白波瀬委員、お願いいたします。
【白波瀬委員】  ありがとうございます。取りまとめ、ありがとうございました。
 もう先生方からいろいろあったので、あまり長く話さないようにしたいんですけれども、最初のところの、全体的な意見ということなんですけど、誰かもおっしゃったように、この中身についてはどれも正しいことだと思うんですが、しばらく言われていることでもありまして、これがなぜこういう形で繰り返し言われなければならないのかというのがかなり厳しいところだと思うんですね。
 それが第7期のイノベーション計画のほうにこの分科会から何を意見として出すのかということなんですけど、若干意見がリストされているようなところがあるので、そこでもっとその次に重要なのは、この意見の中でそれを具体的にどう優先的に、制度改革なり含めて、実現していくのかというには、どこかで本当は入っていたほうが、御意見でございますというだけではちょっともったいない内容かなという気がしないでもないです。
 そういう意味で、山本先生からもありましたけれども、これ、人を育てる、人材育成ということだったんですけど、やっぱり何といっても投資だと思うんですね。科学技術立国ということもありますので、これはまさしく投資、これがなくしては次の一歩がないという、この危機感をもう少し出してもいいのかなとすごく感じています。
 そういう意味で、文言として気になるところがあるんですけれども、気になるところで少しだけ。例えば、細かいところでごめんなさい、具体的に3ページの真ん中辺の丸2のアのところで、使途自由な経費の充実と書いてあるんですけども、使途自由というとまたちょっと誤解されるかもしれないので、柔軟に使用できるとか、利用可能なとか、そういう形で表現してもらったほうが、確かにこれ、がちがちに決められていて、それを覆すわけじゃないんだけれども、本当に使い勝手が悪いわねという形になるので、柔軟に利用できるという言葉のほうが、何でも使っていいという感覚よりは、自分のためだけではないという意味も含めてと思った次第です。
 それと、次の、今、中心的に話している科研費のところなんですけれども、質的な充実というのは分かるんです。量的な充実というのが、ちょっと甘いというところがあるので、やっぱり量的な拡大をしたいというのがありますので、この充実を、量的・質的でかけないで、それをどれぐらいかというのは本当にこれからの議論だと思うんですけども、充実というよりもと私も感じた次第です。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 御出席の委員の中でまだ御発言になっていない方は、私はこの後でさせていただきますが、戸田山委員はいらっしゃいますか。よろしいですか。戸田山委員、たしか御出席だったと思いますけれども、まだ御発言になっていないので。
 それでは、後、私が発言をして、まだしばらく時間がありますので、御質問あるいはクラリフィケーションなどが必要な場所もありましたので、私の発言の後に、事務局から幾つか発言していただきたいと思います。
 今回、第7期に向けた議論をしていますので、第7期だけでも5年間、その前の助走期間も考えますと7年ぐらいの話をしていますから、骨太の大きな流れの話をここですべきだろうと思っています。
 そういう意味で、議論すべきことの大きな柱は、学術という価値創造を、人を育てるということも含めて、いかに我が国でしていくかと。そういうエコシステムあるいは体制をどうやって整えるかということになろうかと思います。あまり議論が拡散してはいけないんですけれども、一方で、こういう5年の節目じゃないと、なかなかそういう大きな話というのを、少なくともリストアップすらできない、リストアップをしておかなければいけないと思います。
 具体的には、例えば私たち、研究時間が必要だと言っているわけですけれども、日本でどのくらい研究時間をそがれているかというところは検討が必要です。例えば入学試験は、作題、そして試験監督、採点、さらには大学入学共通テストなど、担当することになるとひと夏が飛んでしまうような活動をずっと続けているわけですけれども、これは諸外国にありません。
 そういうハンディというのは、少なくとも学術に専念するには阻害要因として挙げなければいけない問題かなと思います。私の自分の経験から言っても、教えること自身ではなくて、教務関係、入試もその一つと言うことができますけれども、それらが非常に負荷が高くて、かつ、大学の中での独特のしきたりなども含めてあるので、これらを解きほぐしていくだけで随分研究時間が出てくるのではないかと。ただ、これは変えるにはコストがかかります。時間的な、費用的な。そういう意味で、大学がやればいいことだからといって放っておくのではなく、何らかの施策にしておかないと、今の状態がまたずっと続いてしまうと思います。
 また、どなたがお話しになられましたけれども、大学以外との連携、あるいは全体の学術を支える機関がどうあるべきか、どう配置されるべきか、どう連携すべきかということも、ここで5年に一度ですので、棚卸しをし議論しておいてもいいのかなと思います。
 それ以外、非常に重要な論点が今回たくさん出ましたので、皆様からいただいた議論をさらに深めて、次の段階に進むことができたらなと考えています。
 私からは以上です。
 この後、文科省の事務局から発言をお願いします。
【助川学術企画室長】  ありがとうございます。大野先生、また、委員の先生方、数多くの御示唆をいただきまして、ありがとうございます。
 何点かお答えできる点、御質問があった点についてまず申し上げたいと思います。
 城山先生、神谷先生、尾辻先生ほか多くの先生方からいただいた、3ページ目の部分についてでございます。今表示されております「競争的研究費を活用した研究のさらなる発展に繋げうる明確な研究課題の設定に至る前の試行的な研究や探求が重要であり」という部分の書き方、このような書き方をした趣旨、事務局でこう書いた趣旨なんですけれども、尾辻先生が整理してくださったこととちょっと重なります。
 ともすると研究にかかる、研究のお金というのは基本的に科研費じゃないかというような論というのは時々出てきます。ただ、ここで書いた意図としては、それだけ、それで片づけられないよねということは表そうとしたつもりでして、尾辻先生のお言葉を借りると、問いという部分が重要であって、科研費だとかそういうのを、そこで自分として課題を設定して、それで研究をさらに発展させるという資金というのは当然必要だけれども、ただ、ちゃんとした課題の設定、問いをつくる、その前の時点でちゃんと試行的なことをいろいろやらなければならない。それというのは科研費だけあればできるものじゃないよねというつもりで書いたつもりでございます。
 ただ、そのつもりで書いたものなんですけれども、この文字を見ると、先生方からいろいろ御指摘あったように、基盤的経費というのは科研費の手前の研究のためのものなのかというふうに見えてしまうという御指摘を頂戴しました。確かにそういう面がありますので、また、基盤的経費は、人の育成にも資するですとか、その他ありましたので、研究に必要なものとしても、例えば図書の費用だとかそういうのもあるというところなので、書き方については検討させてください。文を作った、書いたときの意図としては、こういうものでございます。
 続きまして、水本先生からお話しいただいたバイアウトの件ですけれども、先ほど若干事例を御紹介したところでございますが、研究時間確保の観点から、さらに分析する必要があると考えております。現在、そういうところでございます。
 さらに、マネジメント人材及び技術職員に関してですけれども、参考資料4の本文の23ページを御覧いただければと思います。下のページ番号でいうと23ページですけれども、今表示されているちょっと上のほうでございます、昔でいう技官の方が含まれるんですけれども、その後で、「最近では」のところに関わるんですが、研究設備の高度専門化・機器の共用促進等も行っておられますし、また、そのところで、技術職員が今なさっていることとして、技術の継承を行ったり、機器のメンテナンス、高度な技術力を発揮する等、こういうこともなさっている方として、なので、昔の旧国立大学というのですか、の技官という方も含まれつつ、それよりもうちょっと広い概念として使われているところでございます。
 その他、資料に戻っていただきまして、数多くいただいた御指摘に関して、まず一番最初の1ページ目の関係で申しますと、今回、1の学術研究の意義のところで、研究というもの自体が価値を創造するということ、研究で価値を創造してということを中心に書いていたのですけれども、学術研究することが価値を創造するということにもちろんつながる、学術研究するということがそこにいる人の人材の育成にもつながるというのはそうかと思いますので、書き方をちょっと工夫させていただければと思います。そのような観点は必要な限りで入れる方向で検討したいと思います。
 さらに、ページめくって2ページ目のところでございますけれども、城山先生がおっしゃってくださいましたローマ数字2の(1)の冒頭の行のところ、トップダウンというものを、有用なシーズに対する集中的な投資、シーズがまず与えられて、それに対して集中的な投資ということに限っているんですけれども、城山先生、課題を示して、それに基づいて研究するというものもあるとおっしゃってくださいました。
 今ここでトップダウンというものとボトムアップというのをきれいに二分して書いているんですけれども、たしか前回の会議でも御指摘くださったかと思います、きれいに二分できるものではない面もありまして、課題というものをまず示して、それに基づいて研究する。こういうものがどこに位置づけられるのかというのはあるんですけれども、そういうものを排除するわけではないので、ここも書き方を工夫させていただければと思います。
 続いて、3ページのところですけれども、アの基盤的経費の話は先ほど申し上げたことでして、イの科研費の話のところ、多く御意見いただきました。表現的にはいろいろと検討させていただければと思いますけれども、質のところについては具体的なことを書いておりまして、量に関してですが、先生方におっしゃっていただいたことに関して、片や、今、科研費予算の規模に関してしっかりと検討を進める必要があるということもございまして、そのような中で、表現ぶりをどういうふうにしていくかは検討させていただければと思います。
 また、科研費の若手の国際だとかそういう話も御意見いただき、ありがとうございます。こういう資金とかも使って国際的なネットワークに入るだとか、あるいは海外派遣受入れの拡大ということが将来的なネットワークに入っていくということにもつながるかと思うんですけれども、また、柔軟な使い方ということについても、今の書きぶりでも柔軟な執行を可能とする枠組みと書いてございますが、柔軟な執行というのにはいろいろな意味があって、先生方におっしゃっていただいたことも含めて、いろいろ検討させていただければと思います。
 また、評価について、木部先生が明確に4ページのところでおっしゃってくださいました。ほかの先生方も全体的な話として評価の話をおっしゃってくださいましたけれども、短期的なことにとらわれて、長期的に腰を据えて研究に取り組めなくなるというのだと本末転倒であるというのは先生おっしゃってくださったとおりなので、ここについても、評価というのは本来あるべきことではあるんですけども、評価がちゃんと腰を据えて研究に取り組むことの足かせになったり、あるいは研究時間を確保することの足かせになってしまってはいけないので、そこは施策としてできる限りでやっていきたいと思います。
 それから、技術職員の話は先ほど申しまして、あと、5ページの辺りの絡みだと思いますけれども、資金の拠出にいろいろ手間がかかるという話が、それは多分どこにボトルネックがあるかというのはいろいろあるんだと思いますが、例えば小額を使うのにも手間がかかり過ぎるとかいう話がありました。
 これは、手間がかかるものの多くは、実際はローカルルールとかも結構あって、それでいろいろ手間がかかっているんだとは思いますけれども、研究時間の確保を阻害するぐらい手間がかかることもあって、それがローカルルールみたいな話であるのであれば、好事例集というものがいいのか悪いのかというお話もさっき御議論いただいたところですけれども、ちゃんと使いやすいようにするというか、本来使い勝手が悪くないものまで使い勝手を悪くしているところに対しては、ちゃんと使い勝手よく使っていただいているというところをお示しする必要は多分あると思っておりまして、その上でさらにどういうことができるかは検討してまいりたいと思います。
 また、ちょっと飛びますけれども、人文社会科学との融合、総合知の話がありました。ここの全体の中で、人文社会科学という書き方あるいはそことの融合という書き方は、多分明確にはしなかったんだと思います。書き方は検討させていただければと思います。
 何人かの先生方がおっしゃってくださいましたように、人文社会科学との総合知というのは重要ですので、それが読めないような、実際、ここに書いてあることは自然科学を想起するような文章が多いもので、人文社会科学とは違うところでの文章であるかのように見えてしまうというのは、それは書き方をよく直したいと思います。
 ただ、ここで書いてあるような学際研究ネットワークといった場合に、これは人文と一緒になるから学際研究ネットワークというわけでは必ずしもないと思っていて、もちろんそこには人文社会科学との融合というのも、融合というか、学際領域というのも必ず含まれるものであるので、人文社会科学との総合知、あるいは人文社会科学との共同学際領域というのがちゃんと目に見えるような形にはしたいと思いますけれども、ここで書いているのは、自然科学の中の別な領域との間の学際研究というのを含んでいるつもりでございます。そこを見えるような形で、見えるような形というのは、人文社会科学との融合もちゃんとここに入っているということは見えるようにしたいと思います。
 また、順番がぐちゃぐちゃになって大変恐縮なんですけれども、多様な資金の基盤、社会からの投資ですとか企業等からの寄附ですとか、そういうお話もありました。今、ちょうどこれについて、中教審の高等教育の在り方についての検討事項となっておりまして、そちらの議論も踏まえながら、検討してまいりたいと思います。
 さらに、最後、大野先生におっしゃっていただいたことについてですけれども、全体を通して書いてあること、確かに今先生方の御指摘を伺ったところ、書いてあることは大学同士の連携あるいは大学、さらに言うと、せいぜい大学と大学共同利用機関の連携というふうに見えている面は確かにありますので、ただ、大学・大学共同利用機関等の連携の相手というのは、アカデミアだけでは当然なくて、幅広い社会の主体との連携によって大学の研究力を強化していくというのもあるかと思いますので、そのようなものは当然入っているつもりです。表現ぶりについては検討させていただければと思います。
 また、研究時間の確保、そこには例えば入試だとか教務だとかそういうのもありますけれども、まず早急にしなければならないことは、大学が組織として、マネジメントとして、例えば研究に力を入れている先生と教育に力を入れている先生とかの機能を分けておられて、それにより、大学総体としては両方機能を発揮しているですとか、あるいは、その他、教務に関する業務を、教育力を下げることなく、しっかりと効率化しているというところもあるかと思いますので、まずはそういった研究時間を確保するような事例というのはしっかりと分析していきたいと思います。
 さらに、事務局から、すみません、松本室長、お願いできますか。
【松本企画室長】  科研費と創発の担当として、2点ほど、委員の御指摘に補足をさせていただきたいと思います。
 4ページの国際性のところで、大橋委員から国際性の定義が表面的なものにならないようにという御指摘があったと思いますけれども、この点、本当に重要だと我々も思っています。国際性に関する評定要素については、日本学術振興会の学術システム研究センターで検討されていまして、各分野で国際性の定義が異なるので、できるだけ広い意味を持たせるということで、その内容を検討していただいています。
 例えば、観点の例として今検討されている内容は、まず、将来的に世界の研究を牽引することが期待されるであるとか、協同を通じて世界の研究の発展に貢献することが期待されるであるとか、我が国独自の研究として高い価値を創出するであるとか、こういったものを観点の例として検討されているということを補足させていただきます。
 それから、その下のウ)のところです。柳田科学官から、若手のキャリアパスとかのフォローアップという観点で発言があったかと思いますけれども、創発的研究支援事業については、例えば、これまで第1期から第3期までの創発研究者を調査して、採択時に既に教授になりたてだった方を分母から除いた場合、約4割の創発研究者が昇進・昇格されているということとか、あと、採択時に既に定年制ポストだった者を分母から除いた場合、約3割の創発研究者が新たに定年制ポストを獲得しているというような状況でございます。
 補足は以上でございます。
【大野分科会長】  あと、大場さんから、手が挙がっていますね。
【大場人材政策推進室室長補佐】  鷹野先生から御質問のありました技術職員の定義について、修正させていただきたいと思います。
 先ほどは、参考資料4「課題の整理と今後の在り方」の23ページの記載を御説明されましたが、技術職員の定義は、25ページの「(3)技術職員とは」にて、「内閣府が一般社団法人研究基盤協議会の協力を得て、令和5年度に「教育研究系技術職員」について定義している」の次の鍵括弧書きの内容となります。
 したがいまして、対象となる方は、研究現場で研究を支援している技術職員や研究者のパートナーとして実験の企画を担当している技術職員等であり、施設系技術職員や医療系技術職員は対象としていないという整理でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。ちょっと司会の不手際で、文科省から説明や御回答をいただいた後、もう一巡、それに対して皆さんから御発言をいただけるぐらいの時間になっているのかなと思ったら、そうでもなかったので、申し訳ありません。
 それでも、まだもうちょっとありますけど、今の御説明等で、これは今聞いておきたいということがありましたら、ぜひ手を挙げていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 じゃあ、私のほうから、すぐにお答えいただく必要はないんですけれども、経営層の意識改革の遅れというのが何か所かに出てくるので、そこはもうちょっと具体的にしたほうがいいと思います。意識改革の遅れというのは一体何を意味しているのか、何をしてほしいけれども、していないんじゃないかということを表現できると、より具体的に適切になると思いますので、よろしくお願いします。
 あと、ローカルルールというお話もありましたけれども、ローカルルールを採用しないようにする仕組み、あるいは、それこそ意識改革かもしれませんけれども、研究者の時間、自由度あるいは研究の、先ほどですと海外からお呼びした研究者とどうお付き合いするのかということを説明するのに時間がかかったというわけですが、それら研究の質を上げるためのことは何でもやるというのが、もちろん会計のルールがあるのでそこは守った上でということですけれども、そこが統一されていれば、ローカルルールといっても、より柔軟になっていくのではないかと思うので、ローカルルールといって、そこで思考を止めないようにしたいなと思う次第です。
 私からは以上ですけど、皆様から何かございますか。
 時間になりましたので、それでは、本日はここで意見交換を終わりとしたいと思います。どうもありがとうございます。
 本日いただいた意見を踏まえて、今後、9月に開催の科学技術・学術審議会総会の場で、私から本分科会の報告をさせていただくことにしたく思います。
 そういう意味で、今日、御発言しそびれてしまったり、後からこれはどうだったんだっけとか、あるいはこれは入れるべきではないかということがありましたらば、メールで事務局までお送りいただければと思います。それらを含めて勘案しつつ、最終的な総会の場での報告に取りまとめたいと思います。
 本日の議題は以上となります。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【林学術企画室室長補佐】  次回の学術分科会につきましては、日程調整の上、改めて御連絡いたします。
 また、本日の議事録につきましては、後日メールでお送りいたしますので、御確認のほうよろしくお願いいたします。
 先ほど分科会長からもございましたが、本日の議題に関しまして追加の意見等ございましたら、後日、事務局までメールでお送りいただけますようお願いいたします。
 連絡事項は以上でございます。
【大野分科会長】  それでは、どうもありがとうございました。今日は長い時間、御議論いただきまして、ありがとうございました。これでこの分科会を閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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