令和7年2月5日(水曜日)13時00分~15時30分
Web会議
部会長 村山 裕三
部会長代理 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 金井 宣茂
臨時委員 木村 真一
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 徳行
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 山崎 直子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 米澤 千夏
研究開発局長 堀内 義規
大臣官房審議官(研究開発局担当) 橋爪 淳
研究開発局宇宙開発利用課 課長 嶋崎 政一
研究開発局宇宙開発利用課 研究開発戦略官 原田 大地
研究開発局宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 阿部 陽一
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 池田 宗太郎
研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 五十嵐 郁貴
究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一
研究開発局宇宙開発利用課 研究開発戦略官付課長補佐 川端 正憲
研究開発局宇宙開発利用課 研究開発戦略官補佐 館下 博昭
(内閣府)
宇宙開発戦略推進事務局 参事官補佐 吉元 拓郎
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事 瀧口 太
CONSEO事務局(第一宇宙技術部門地球観測統括) 前島 弘則
CONSEO事務局(第一宇宙技術部門衛星利用運用センター 技術領域主幹) 松尾 尚子
CONSEO事務局(第一宇宙技術部門衛星利用運用センター 技術領域主幹) 川北 史朗
第一宇宙技術部門 事業推進部 部長 森 有司
第一宇宙技術部門 事業推進部 計画マネージャー 有川 善久
第一宇宙技術部門地球観測統括付 シニアアドバイザー 平林 毅
有人システム安全・ミッション保証室 室長 小林 亮二
有人システム安全・ミッション保証室 技術領域主幹 佐藤 崇行
宇宙戦略基金事業部 部長 内木 悟
宇宙戦略基金事業部事業推進課 課長 渡邉 陽平
第一宇宙技術部門衛星利用運用センター 技術領域上席 落合 治
第一宇宙技術部門地球観測研究センター センター長 沖 理子
第一宇宙技術部門衛星システム開発統括付 技術領域主幹 村木 祐介
第一宇宙技術部門衛星利用運用センター 主任研究開発員 渡邊 康宏
経営企画部企画課 課長 笠原 希仁
経営企画部企画課 参事 平野 義鎭
【村山部会長】 それでは、定刻になりましたので、第94回の宇宙開発利用部会を開催いたします。
今回も前回同様オンラインでの開催となっております。委員の皆様にはご多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
まずは、事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
【木元補佐(事務局)】 事務局でございます。
本日は宇宙開発利用部会の16名の委員のうち15名に御出席いただいております。
また、本日の資料については、議事次第のとおりです。
オンライン状況について、音声がつながらない等の問題がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。
今期第12期の委員の皆様の任期は今月14日までとなっております。そのため、今回は第12期としての宇宙開発利用部会最後の会合となります。
本日の御審議に先立ちまして、これまでの宇宙開発利用部会運営への御協力に対し、研究開発局長の堀内より、一言委員の皆様に御挨拶させていただきます。
【堀内局長】 文部科学省研究開発局長の堀内です。
本日は、第12期の宇宙開発利用部会の最後の会合となりますので、冒頭、事務局を代表しまして、一言御挨拶申し上げたいと思っております。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、この宇宙開発利用部会の委員をお引き受けいただき、日頃から宇宙開発利用の推進に御協力賜りまして、誠にありがとうございます。
第12期の2年間を振り返りますと、いろいろございました。特にいくつか申し上げますと、第11期から引き続きですが、イプシロンロケット6号機、さらに、H3ロケット試験機1号機の打上げ失敗に関する原因究明や対策、検討活動などございまして、調査・安全小委員会とともに、精力的に御参画いただきまして本当にありがとうございました。
おかげさまでH3ロケットについては、先日、5号機の打上げを成功させまして、2号から5号まで4機連続成功で、ということになっております。
一方、イプシロンロケットにつきましては、イプシロンSロケット用に改良しました第2段モータの開発におきまして、まだなお困難な状況にあります。JAXA、メーカーと共に引き続き原因究明、対策検討に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
また、昨年1月に小型月着陸実証機SLIMのピンポイント着陸、それから、昨年4月にはアルテミス計画におきまして、文科省と米国NASAとの間で、有人与圧ローバによる月面探査の実施取決めが署名されるなどありました。この署名の中では、世界初となる有人与圧ローバの開発を行うということになりましたし、さらに米国が日本人宇宙飛行士の2回の月面着陸機会を提供するというようなことが確認されております。月・惑星探査の分野でも大きな進展があった時期でもありました。
昨年4月には、月面探査における当面の取組の進め方について報告書も取りまとめていただきました。
また、国際宇宙ステーションを含む地球低軌道の活動に関しまして、現在、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会におきまして、今後のISSも併せて、ポストISSの利用拡大に向けた我が国の低軌道活動についての議論もいただいているところです。
さらにもう少し申しますと、宇宙戦略基金の創設やJAXAにおける産業競争力強化に向けた取組、官民の連携の推進に係る議論などについて、貴重な御意見もいただきました。本日も、基金に係る議題が用意されているところでございます。
ここ2年間で宇宙開発利用は大きく進展しまして、その活動のすそ野を大きく広げてきたというふうに思っております。
このため、第12期の宇宙開発利用部会としましては、例年になく会議の開催頻度も多くて、皆様には御負担をおかけするようなことになってしまいましたけれども、これまでの御貢献に感謝申し上げたいというふうに思っております。
国民の多くから期待を受けております、この宇宙開発利用分野におきまして、私どももしっかりと、いろいろな多方面にわたる施策に取り組んでいかないといけないというふうに認識しております。今後も様々な場面で、御支援、御指導を賜る機会もあろうかというふうに思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
簡単ではありますが、私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【村山部会長】 堀内局長、どうもありがとうございました。
さて、本日の議題は4件あります。4番目の議題については、一部政府内で検討中の内容が含まれていますので、当部会運営規則第3条3号の定めにより非公開とさせていただきます。
それでは、早速議題の方に移りたいと思います。最初の議題は、昨年10月の当委員会で取り上げた、官民連携による災害対応訓練、いわゆる防災ドリルの結果についての報告です。それでは、CONSEO事務局として、JAXA第一宇宙技術部門の前島地球観測統括に資料の御説明をお願いいたします。
【前島統括(CONSEO事務局)】 ありがとうございます。JAXAの前島です。
本日は、衛星地球観測コンソーシアム、CONSEOの事務局として御報告をいたします。それでは早速ですが資料をめくっていただきまして、2頁目、1ポツ経緯から御説明をさせていただきます。
2024年1月1日に発生いたしました能登半島の地震におきましては、我が国の官民衛星によって緊急観測が行われたところです。
CONSEOの2023年度、光学SAR観測ワーキンググループにおきましては、この能登半島地震の観測及びデータ提供に係る実績を共有いたしました。その結果、官民衛星それぞれが初動での観測を行ったものの、官民各衛星の特徴を踏まえた有機的な観測の連携が今ひとつできていなかったのではないかという課題が見つかりまして、今後の課題と認識され、産学官の関係組織による効果的な初動観測を実施する仕組み、あるいは、画像・データプロダクトや分析情報を迅速に提供すること、こういったところが必要という御意見が出されました。
そのため、災害発生時に我が国の官民衛星が連携した観測体制や、一連のプロセスを確認する防災ドリル、訓練ですね、こちらについて、CONSEO防災ドリル準備委員会を構築いたしまして議論を行ってまいりました。
それで、議論を行った結果、計画を立案したところですけれども、その計画につきましては、2024年10月に本利用部会において御報告をさせていただいたところです。
それで、実際に2024年12月に、CONSEOにおいて国内の衛星事業者との調整や解析事業者等の公募を行った上で、12月17日から19日にかけて、防災ドリルを実施いたしました。本日はその結果について、御報告をさせていただきます。では、めくっていただきまして3頁です。
まず、本ドリルの目的ですけれども、能登半島地震における官民衛星のそれぞれの観測実績や課題を分析しつつ、ドリルの準備段階、ドリルの実施、実施結果の評価等を通じて、A)からC)について目的を立てまして、それぞれについて将来の激甚災害における官民連携での衛星の役割や適切な観測に向けてのあり方をまとめるということを目的といたしました。
まず、目的のA)ですけれども、衛星観測システム、その提供すべきプロダクト、提供タイミングなどを実際に検証してみる。それで、災害対応に資する衛星観測システムのあるべき姿を検討すること。
B)としまして、初動対応時に衛星観測で何を把握するのか。官民の各種衛星に対する効果的・効率的な使い方・使い分けを検証すること。
C)といたしまして、ユーザからの観測要求、それから観測計画の調整・立案、そして観測データの受信・解析、それでサービスの提供、ここまでの一連の流れを検証すること。これは実際に実用してみて流れを検証しました。一連のプロセスにおける官民連携の仕方も検証するということを目的といたしました。
それで、下に絵が書いてありますけれども、全体案としては、まず大規模地震を対象として、本防災ドリルを計画いたしました。2024年12月に数日間実施というところまで計画としては公表しまして、実際にいつやるかということは伏せて、実際にドリルを行ったものになります。
それでは、1枚めくっていただきまして4頁目。早速ですが、実施結果の概要になります。まず、対象ですけれども、今回緊急観測の対象といたしまして、南海トラフ地震が発生したものという想定のもとにドリルを行いました。
ただし、これはあくまで発生したという想定のもとですので、実際に災害が起きていないことから、解析については、解析に係る過去の観測事例として、能登半島地震と、あと能登半島の水害のときに実際に観測した画像をこのタイミングで提供いたしまして、実際にデータの解析を行っていただきました。実施期間については、12月17日から12月20日までかけて実施をいたしました。
それで、右側に絵が書いてございますけれども、衛星ワンストップシステムというものを防災科研が開発しておりまして、今回こちらを利用いたしました。
こちらは、緊急観測の要請から、実際に観測した観測データと、あと解析、解析をしたあとのプロダクト、こういったものを一括管理するということで、まさにワンストップで行うことができるシステムとして開発がされております。こちらを全面的に採用、利用させていただきました。
本ドリルに係る参加機関ですけれども、参加省庁といたしましては、計14機関に参加をいただいております。緊急観測等の参加機関はこちらに示しています、4機関。あと解析プロダクト作成の参加機関としては、9機関の参加をいただきました。観測要請や情報システムの参加機関として、先ほどの防災科研に参加いただいております。
それでは、5頁目、タイムラインにおける実施活動をこの頁でまとめております。下半分の絵のところを御覧いただきますと、これがタイムラインですが、12月17日の15時に発災したという想定のもとでドリルを開始いたしました。
観測機会の確認、立案して観測準備をして、緊急観測を実施、実際に実施をしておるわけですけれども、ここは結果として、11回の緊急観測を行いました。この緊急観測におきましては、計画的にシナリオに基づいて行う観測と、あとは個別に追加して行う観測というものがございまして、この個別要求というものが国交省と書いてございますけれども、特に国交省から追加で港湾の観測をしたいというような要望をいただきまして、こちらの追加観測をしたものでございます。
具体的には、次の頁6頁を御覧いただきますと、こちらがドリルにおける緊急観測の結果を表に示したものになります。
衛星名のところを御覧いただきますと、ALOS-2、ALOS-4、あとはStrix-4、GRUS-1C、こういった電波センサ、光学センサを織り交ぜての観測が計画通り行われております。
観測要求という列を御覧いただきますと、先ほど申し上げた計画に基づく観測、あるいは追加で出されました個別要求に基づく観測で、こういったものを組み合わせて実際の観測が行われましたところです。
それでは7頁目、御覧いただきます。こちらがドリルにおける緊急観測の結果を図で示したものですけれども、真ん中に大きく日本地図のところにプロットしてある図がありますけれども、こういった感じで広域を観測できる衛星、あるいは狭いエリアですけれども詳細に観測できる衛星、こういったものをうまく組み合わせた観測ができたものと考えております。
続いて、8頁を御覧いただきますと、こちらは緊急観測の解析結果をまとめたものですけれども、こちらの表の被害情報のところを御覧いただきますと、具体的にどういったところを目的として観測が行われたか、リクエストが出されたか、というところを示しておりますが、例えば、橋梁ですとか、浸水被害、あとは建物被害、道路、土砂、海上漂流物、こういったところを目的として解析が行われております。
では、続いて9頁を御覧いただきます。こちらが実際に解析を行ったプロダクトを、大変細かくて恐縮ですけれども並べたものになります。こういった形で、参加いただいた解析機関がそれぞれ得意とする解析を行っていただきまして、このような情報、プロダクト、あるいはインテリジェンスというところを提供いただいたところです。それをユーザに届けたというところになっております。
続きまして、10頁を御覧いただきます。こちらは実際に観測したときは、実際に災害が起きていない画像でしたので、それとは別に、同じタイミングで過去の観測画像を提供いたしました。それを使って、実際に災害に伴う状況を解析してもらうということをやりました。
この10頁に示しているのは、能登半島の地震のときに取得した画像についてです。それについて、実際に建物被害ですとか、津波の被害、地殻変動、こういったところの解析をしていただき、ユーザに提供いたしました。
続いて、11頁を御覧いただきますと、こちらが続きですが、能登半島の水害のときの観測画像を提供いたしまして、こちらを解析してもらったということを示してございます。
続いて、12頁を御覧いただきます。こちらから防災ドリル結果に対するまとめに入ります。先ほど、目的としてA)B)C)を掲げましたけれども、それぞれについて評価を行いました。それぞれ実施した機関、あるいはユーザとして参加いただいた機関から講評をいただきまして、それに基づく評価を行っております。
その前に、この12頁の下半分のところを少し御説明させていただきますけれども、官民衛星の観測対象として枠で囲っているところですが、基本シナリオといたしましては、広域観測を行えるSAR衛星、分解能1m以上。あるいは、中分解能の小型衛星、分解能1m以上。あとは高分解能小型衛星、分解能1m未満。こういったところの特徴を活かしまして、それぞれ事前にどういったところを見るべきか、どういう順番で見るべきか、というところをシナリオとして作っておりました。
このシナリオは、大規模災害衛星画像解析支援チームというものを作っておりまして、これは事務局を内閣府防災と、JAXAが務めているところですけれども、こういったところでシナリオを作っております。今回は、まず計画観測としては、それに基づく観測を行って、それにプラスして、追加の個別要求というものに対応したということになっております。
それでは、13頁を御覧いただきます。こちらが目的のA)に対する評価です。
まず、下のチャートを御覧いただきますと、これが発災後の初観測・提供・解析までのタイムチャートを示しております。例えば、12月17日15時に発災をいたしまして、要求が出されて、それぞれのタイミングで、衛星が来るタイミングで観測を行っていただいたというところですけれども、例えば、ALOS-2であれば、23時30分に観測を行って、01時56分にデータの提供をしたというような見方になっております。あとは民間の衛星でもStrix、あるいはGRUS、こういったところに緊急観測を行っていただきました。これは複数回観測を行った衛星もあるのですが、初観測のところまでを書いてあるというチャートです。
こういったところで、まずA)の目的に関しては、観測システムとしましては、要望から観測実施及びデータ提供までのタイムラインを把握することができました。
提供すべきプロダクトについては、災害時はどのような被害状況が提供されるのか整理をして、参加機関にデモンストレーションすることができました。
提供タイミングについてですけれども、これはユーザ機関からもフィードバックをいただいたところですが、求められている早期把握のためには、観測能力のより一層の拡充が必要であるという御意見をいただきました。
また、観測システムのあるべき姿といたしましては、機数の増加で、それによって観測機会を向上させることが必要である、というコメントをいただいたところです。
それでは、14頁を御覧いただきますと、これが大規模災害発生時の災害応急対策のタイムラインを示したものです。上半分は応急方針として、災害対応としてこのような作業が行われるということを示したものでして、下半分が人工衛星による緊急観測対応を示したものです。
これはL-SAR、ALOSシリーズにつきましては、200km幅の観測ができますので、こちらは12時間ごとに飛んでくるということになります。だから、12時間後におよそ1回の観測、24時間経てば2回の観測ができるということを示しております。
あとX-SAR、StriX、QPSにつきましては、現状のシステムの機数を想定いたしまして、12時間後に5回程度の観測、24時間後までには10回の観測ができるというシミュレーションをしたところです。
15頁を御覧いただきますと、こちらはALOS-4の観測できる領域をシミュレーションしたものですけれども、先ほどのとおり、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後までに、このような観測ができて、おおよそ南海トラフ地震で必要とされる領域が72時間経てばカバーできるというようなシミュレーションをいたしました。
では、続いて16頁を御覧いただきます。これが評価のB)に対してですけれども、衛星観測対象につきましては、防災ドリルの実施前に十分な準備ができたという御意見がありました。それによって、緊急観測の観測対象の確定などについては、迅速に運用が行えました。
官民の各種衛星の役割分担につきましては、ユーザフィードバックも踏まえまして、本シナリオの妥当性が確認されたというふうに評価いたしました。個別要求を受け付けて、優先対応を行ったのですけれども、その結果としまして、ユーザフィードバックからは、その運用は適切であったということが確認されました。
続いて、17頁を御覧いただきます。評価のC)、目的のC)に対する評価ですけれども、一連の流れの検証につきましては、一連のプロセスを実時間で実際にドリルすることによって検証することができました。また、防災関係機関からも妥当性を評価いただきました。あと、データの入手方法や提供までの迅速な対応のためのプロセスは一部改善が必要であるという御意見をいただきました。例えばですけれども、GIS形式のダウンロードを可能とすることなど、機能付加の要望もありました。
あと一連のプロセスでの官民連携の仕方につきましては、防災関係機関からの個別要求に際しては、計画観測や他観測要望との競合が発生いたしました。そのことを踏まえますと、優先度決定において司令塔が必要であるということが判明いたしたところです。
18頁ですけれども、こちらは実際にいただいた御意見、講評をまとめたものでして、こちらは次の頁にまとめてございますので、割愛いたします。
19頁、こちらが最後のチャートになりますけれども、まとめと今後について、になります。
まず、各衛星システムの特性と提供プロダクトの現状が体系的に整理することができました。広域観測で被害箇所を推定して、その後、高分解能観測を行うことで詳細な被害把握とすることを連携することができたということで、それが確認できました。広域から詳細観測という流れの重要性を改めて確認することができました。初動対応時の衛星観測シナリオの妥当性は確認できました。官民衛星の効果的な運用方法が明確になりました。また、緊急観測における一連の流れを、衛星ワンストップシステムを用いて検証することができて、基本的なフローの実効性が確認されました。これによって、官民の衛星を活用した防災活動の基本的な枠組みを検証することができました。
続きまして、アンケートの要望を踏まえますと、早期の被害状況把握のためには、広域観測衛星、高分解能、中分解能衛星ともに機数の増加が必要であるという御意見が出されました。
続きまして、複数の観測要請が同時に発生した場合の調整機能が現状では不十分であって、全体を統括するコーディネート機能の確立が求められるという御意見がありました。
あとは、持続的な活動とするためには経済的に成立する仕組みが必要であるという御意見もありました。
本結果につきましては、大規模災害衛星画像解析支援チームへ報告をこれからいたします。それとともに、衛星観測の初動シナリオについての更新を進めてまいりたいと思います。
CONSEOにおきましては、官民連携での衛星の役割や適切な観測に向けてのあり方をまとめるとともに、将来SAR観測のあり方などについても検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
以上、御報告になります。
【村山部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に対して、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。いつも通り、挙手いただければと思いますいかがでしょうか。それでは、まず山崎委員、お願いいたします。
【山崎委員】 御説明ありがとうございます。
このように防災ドリルを実施されたということが大きな成果だと思います。多方面にわたる関係省庁、いろいろな企業と共に、こうしたドリルを実タイムで行ったということで、今回新たな、いろいろなレッスンズラーンド出てきたと思いますので、ぜひ衛星の今後の開発に役立てたり、運用の方に、ぜひフィードバックしたりしていただきたいと思います。
質問としましては、自治体が関係機関の中には見当たらなかったのですけれども、今後、防災、あるいは、その対応を図る自治体との連携については、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。
【前島統括(CONSEO事務局)】 まず、開発や運用にこれから役立てていってくださいということ、承知いたしました。ありがとうございます。
それと自治体の参加ですけれども、そういう議論がございました。確かにそのとおりで、ありがとうございます。
これは省庁と、当然自治体もユーザとしてありますので、今後検討してまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。
【山崎委員】 ありがとうございました。
【村山部会長】 それでは、続きまして、秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 サイエンスライターの秋山です。よろしくお願いいたします。
こうした防災ドリルの実施ということで、本当に実運用に向けた訓練、経験がたまっていくことは大変素晴らしいと思います。
その中で様々な課題も出てきたということで、次年度以降の、机上訓練ですので、繰り返すことも必要ではないかと思いますけれども、その御方針というのは今のところいかがでしょうか。その点についてお願いいたします。
【前島統括(CONSEO事務局)】 御意見ありがとうございます。
やはり同じような御意見を講評として、ユーザ機関、参加機関等からいただいているところです。継続につきましても、今回の振り返りを踏まえて検討してまいりたいというふうに思います。
【秋山委員】 分かりました。ありがとうございます。
【村山部会長】 ほかの方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは前島統括、どうもありがとうございました。
【前島統括(CONSEO事務局)】 ありがとうございました。
【村山部会長】 それでは、次の議題に移らせていただきます。
二つ目の議題は、ISS構成要素及び搭載物の安全性確認について、審査対象をDELIGHT、展開型軽量平面アンテナの軌道上実証とした、第54回調査・安全小委員会での調査検討結果の報告です。小委員会の木村真一主査より、御報告をお願いいたします。
【木村主査】 木村でございます。報告させていただきます。
本件、宇宙ステーション関連のところの安全審査を年1回、プロセスが正しく行われているということを、調査・安全小委員会の方で確認を行っております。
ちょっと前後しますけど、参考資料の3というものが4頁目からついているのですけど、そこまでちょっと送っていただけますでしょうか。
ちょっと簡単に、アウトラインをここから説明させていただきます。国際宇宙ステーションでの実験機器、搭載機器については、ここの次の頁にありますように、NASAと日本国の間で合意しておりまして、日本の中では、赤字で書いてありますが、安全審査の実施はJAXAにおいて、NASAの支援を受けながら行うということになっており、政府、文科省としては、安全要求を満たしていることを、確認するという役割分担になっております。その次は、プロセスのMOUを中心にした図面で表しております。
ここで年に1回、調査・安全小委員会の方で、JAXAが実施する安全審査のプロセスが適切であることをチェックするという役割を持っております。あるミッションをサンプルとして取り上げ、その安全審査のプロセスが適切であるということをもって、JAXAが実施する安全審査のプロセスが妥当であるということを、判断するということになっております。今回はその報告になります。
今回対象として選ばれましたのが、令和7年度の打上げになります、DELIGHT、展開型軽量平面アンテナの軌道上実証という、このミッションです。
それでは、ここで、資料の1-3ですかね。私の方で持っているものと番号がちょっと若干違うのですけれども、もう一回戻っていただいて。先ほど示していただいたもので結構です。
具体的には、こちらの資料に基づいて、JAXAの方から説明をいただきました。
1頁目めくっていただいて、これが安全審査のプロセスになります。フェーズ0/1が21年度に実施されまして、フェーズ2、フェーズ3と進めてきて、今回12月24日に安全審査委員会で承認されたというプロセスを経ております。
具体的にどのようなミッションかと申しますと、次の頁、その次の方が図として分かりやすいと思いますので、そちらを見ていただければと思います。
このミッションは、HTV-Xを活用しまして、HTV-Xがステーションに物資を運びます。その間は、実験としては実施せず、帰ってくるときに、再突入するときに実験を実施するというようなコンセプトになっています。
HTV-Xの上の方の写真にありますけれども、パネルを収納した状態で持っていって、ISSから分離後、再突入までの間に展開をするという実験になります。展開型軽量パネルを軌道上で展開して、展開中の挙動及び展開後の構造的特性を調べる。それから、軽量平面アンテナで地上局からの電波を受信するという実験も行われます。さらに加えて、太陽電池セルの実証も実施する。これがDELIGHT実験の目的でございます。
装置としては、このように下側の方に図がありますが、収納状態と書いてあるように、収納した状態で固定されて打上げられまして、フランジボルトアクチュエータと書いてありますけども、インヒビットが入っていて、予期せず展開をするということを抑止する仕組みになっております。誤展開抑止するという仕組みが組み込まれており、それを解除した状態で展開が行われます。ただし、この展開はISSから離脱したあとに行われますという、そういう実験になります。
次の頁を見ていただけますでしょうか。これが実験装置の詳細とブロック線図になります。軽量パネルと平面アンテナ、それから太陽電池セル、バンパ等によって成り立っているという仕組みです。右下のところに、HTV-Xの上にDELIGHTの搭載位置が示されていまして、この位置に搭載されるという計画になっています。
1頁進めていただいて、これは先ほど申し上げた、帰還するときに実験を行いますと言ったアウトラインになります。打上げ、分離、それからISSに到達して、その間は、この実験は一切行いません。展開されない状態を維持した状態で、ISSの係留から離脱して、大気圏に突入してくるところで展開実験を行うということです。
私ども調査・安全小委員会の方で審査をする対象となりますのが、打上げられてから宇宙ステーション近傍の状態について、健全な状態が保たれるということを審査することになりますので、実験そのものが行われる前まで、ということではなくて、離脱するところまで、というところが今回の審査対象ということになります。
以降、その次の頁で、審査体制の方を整理いただいております。安全審査委員会を最上位としまして、有人安全審査会、安全審査パネル、それから研究チームという、こういうような役割分担で安全審査体制を組まれているということです。
ハザードとしては、ここにあります、いわゆるスタンダードハザードとして二つ、有害な電磁波放射と回転体の破片の飛散ということが抽出され、ユニークハザード、このミッション固有のハザードとして、構造破壊、あるいは意図しないパネルの展開ということが識別されて、これをもとに安全審査が進められたということになります。
次の頁以降が具体的に記載されている安全審査の内容になりますけれども、電磁適合性については、検証を行って、電磁適合性要求を満たした設計になっているというように制御するということが基本的な対策として行われていて、電磁適合性試験を行って問題がないことを確認されています。
下のハザード、二つ目ですけれども、回転体の破片の飛散については、回転機器の、運動エネルギーで規定する規定になっており、これがISSの規定以内であるということがあって、また金属破片等が筐体等で覆われる形で封入されているので、破片が飛び散ることがないということで、制御されているという状態になります。回転体のサイズ及び回転数はいずれも規定値内になることが確認され、また封入状態で安全が確保されているということが確認されており、検証されているということになります。
次の頁、10頁目ですけれども、カタストロフィックハザードとしては、これは展開、破損ということがまず問題になり得るということで、これがハザードとして識別されていて、基本的に構造評価において、パネルの保持解放機構の安全余裕は十分正であるということを解析にて確認されています。
それから、DELIGHTは複数のカメラ、それからアンテナや次世代の太陽電池セル、これを有しているのですけれども、それらが打上げ荷重、それから軌道上の荷重で破損しないということを、構造評価において安全余裕が正であることを確認しているということで、この点についてクリアしているということが確認されました。
もう一つですけれども、これはユニークハザードで、誤展開を抑止するという部分ですけれども、基本的には3インヒビットを入れるということで対策を取られています。
保持解放機構の構造強度の安全余裕が十分正であることを、まず解析で確認しておいて、その上で打上げの荷重及び熱環境への構造並びに保持解放機構の耐性、これを試験にて確認していると。
これは実は、先ほど申し上げるのを忘れたのですけれども、この保持解放については、形状記憶合金を使っていて、熱によってインひびっとを外すという形になっております。それがほかの熱源によって動作するようなことがないということを確認したというのが、この3点目のポイントになります。
あと、電気系の故障であるとか、オペミスなどを避けるためにというか、誤動作しないように、インヒビットを三つ入れて、これで誤動作を押さえているということを確認されています。
このような説明のもとに、その次からは非常に細かい具体的な内容が記載されていますので、もし御関心のある方は御覧いただいて、本題の方に戻っていきたいと思いますけれども、本日の資料で、構造物に関する安全性ということで、こちらの資料になります。
この結果を受けまして、調査・安全小委員会を1月22日に実施させていただきました。
調査・安全小委員会は、こちらを読み上げさせていただきますけれども、JAXAから提示された資料をもとに、JAXAが実施した具体的な要素・搭載物に関する安全審査の方法や結果等が所定の安全審査のプロセスや考え方に適しているかどうか、則しているかを「国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」(JEM)に係る安全対策の評価のための基本指針」に基づきまして、調査検討を行いました。宇宙開発利用部会は、こちらは最終的な審議になると思うのですけれども、この報告を本日行っているということになります。
審査の結果として、3ポツのところに書いてありますけれども、JAXAが実施したDELIGHTに関する安全審査の方法や結果等について、安全審査体制・プロセス、安全性解析及びそれへの対処の観点から調査審議した結果、JAXAが実施したDELIGHTに関する安全審査の方法や結果は妥当であると判断いたしました。
このことから、これをサンプルとしまして、JAXAが実施している安全審査のプロセスの考え方は適切であると、適切に機能しているということを確認したということです。
調査の中で、いくつかポイントがございます。まず、プロセスとして、ハザードの識別等については適切に実施されているということが、確認されております。
安全審査体制として、NASAの支援も適切に受けつつ、実施していると。このプロセスについての確認をまず行っております。
ハザード及びハザード原因の抽出方法について、これは正しく実施されているということをもとにして、FTAをもとにすり合わせが行われて、ハザード予測の網羅性を高めているということを確認させていただきました。
抽出されたハザード及びハザード原因への対処の仕方ですけれども、設計、それから製造・検証・運用の各段階で適切に安全対策が講じられていると。これがまず確認されました。
次の項目に行っていただいて、この中で議論された項目として、いくつかございまして、このDELIGHTをサンプルとして我々は審査させていただいたのは、非常に重要な意味があると考えています。DELIGHTというものが、まず展開構造の実験、暴露部での展開構造に関する実験ということで、非常にユニークな実験でありまして、これを代表として安全審査をすることによって、今後展開構造物の実験を行う際の一つの指標になるかなと思っています。そのプロセスが適切であると。
それから、HTV-Xを用いた最初の実験ということになりますので、これも、HTV-Xを今後の活用をする上で非常に意味のあるサンプルといいましょうか、事例を議論させていただいたと考えております。
この中で、少し具体的な話で、いくつか審査のポイントとして出てきたことがありまして、この機に御報告させていただこうと思います。一点目は、先ほど3インヒビットという考え方がございました。これは方法としては適切ですけれども、この装置のインヒビットは不可逆の過程で、切断によって解放していくという仕組みになります。フランジボルトを切断することによって解放するというプロセスです。ですので、これは不可逆過程になっています。非常に狭い意味で考えると、3インヒビット、あるいはツー・フェイル・セーフという意味でいうと、3インヒビットの考え方というのは、同時発生を抑止するというところをベースにしていることが多いのですけれども、この場合、不可逆ですので、シーケンシャルの順番に解放していくというような形になりますので、若干異なる可能性があるということで議論させていただきました。
この点については、3インヒビットが、全て、独立しているということ。それから重要なことが、これらのインヒビットの状態はモニタがきちんとできる仕組みになっておりますので、それらを合わせて時系列的に順番に解放していくという安全対策をとって、これは十分機能するということを確認いたしました。
あと、フランジボルトの切断ということを、今回インヒビットの解放に使っているわけなのですけれども、ここで、すぐ想像に出てくるのは、破断した破片がデブリになることはないのか、というような問題です。この点にもちゃんと配慮されていまして、この装置自体、破片は完全に覆われた形で切断される形になっているので、破片が外に出てくるということはないということで、デブリ発生のハザードに対処しているということが分かりました。
あと、これは、ここで扱う、本題ではないのですけれども、つまり、展開を抑止するという作戦自体は非常に理にかなっていまして、それに対しては十分対策を取られているのですけれども、もし仮に誤展開したとしても、ステーション本体に対しては、展開の方向からいって問題を起こすことがないという、そういうような、二重三重の安全を考えられているという点も非常に今回信頼できるかなというふうに思った次第です。
以上をもちまして、御報告とさせていただきまして、今日、皆様に審議いただきまして、この状況を御確認いただければと思います。私からの説明は以上でございます。
【村山部会長】 木村委員、どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、笠原委員、お願いいたします。
【笠原委員】 木村先生、御説明ありがとうございます。
非常に緻密で、かつ網羅的に安全を担保するシステムを最終的に審査されているということがよく理解できました。本当にどうもありがとうございます。
また、HTV-Xでの実験を行うにあたって、非常に重要なプロセスだということを再認識させていただきました。これによって、今後のISS等に接近して、有人のシステムとの接近や接合を含んだ実験への展開の非常に基盤になるというか、重要な土台になるということだと理解しましたし、御審議、御検討、本当にどうもお疲れ様です。
質問は一点ございまして、最後のところで、3インヒビットのところがもし一つ外れた場合、2インヒビットになって、その対処法ということで、モニタされている、つまり、2インヒビットになっているということは、多分動きはもうしないというか、その後のことは、予定通りにはできないのですが、ただモニタされ続けていますので、そうなった場合の対応を地上の方から順次予定に沿って行うことで、想定されているハザードは起こらないというような理解をしましたけど、それは正しいでしょうか。
【木村主査】 すみません、ありがとうございます。
ちょっと私の説明が回りくどかったというか、適切でなかったかもしれないのですが、実際にこれは、インヒビットは、実験運用のときは順次外していくプロセスなのですね。これは三つが外れて、実験展開開始になります。ですので、ノミナルの運用としては、これを順次外していく形になります。
ただ、意図しない、ステーションに係留している状態で、三つ全部が外れないと展開しないように作っておくことによって、係留中の誤展開は抑えようという発想でございます。
なので、インヒビットが1個、例えば、意図せずに何か外れたとしても、その状況は地上でモニタすることができていて、残り2インヒビットがいるので、それが誤展開にはつながらない、それをモニタしながら、その状況に合わせて、あとの運用を変えていくという、そういうようなやり方になると思います。
【笠原委員】 了解しました。これはあくまで係留中の内容ということですね。
【木村主査】 そうです。
【笠原委員】 よく理解できました。先生、どうもありがとうございます。以上でございます。
【村山部会長】 それでは続きまして、金井委員、お願いいたします。
【金井委員】 金井でございます。
私はコメントのみで質問はないのですが、JAXAの安全審査は、宇宙飛行士の打上げとか、帰還とか、人命に関わるオペレーションの際に、本当にそこで我々の命を守ってくれる最終防衛ラインだと思っております。その安全審査の過程が正しく、合理的になされているということを、こうやって、もう一つ別のレイヤーから評価・確認いただいたことを本当に感謝申し上げます。安心してミッションに臨めるな、というような気持ちを強くしました。ありがとうございます。コメントのみでした。
【木村主査】 ありがとうございます。
【村山部会長】 ありがとうございます。ほかのコメント、御意見はいかがでしょうか。いいでしょうか。
それでは、これまでの審議を踏まえて、資料94-2-1について、小委員会からの提案通り決定するということでよろしいでしょうか。特に異論もないようでしたので、いいでしょうか。それでは、これで決定とさせていただきます。ありがとうございました。
【木村主査】 ありがとうございました。
【村山部会長】 それでは、次の議題に移らせていただきます。
三つ目の議題は、令和6年度補正予算における宇宙戦略基金について、です。令和5年度に創設されました宇宙戦略基金は、当部会での議論を経て確定した実施方針に基づいて公募が出され、先月末、文部科学省担当分の13のテーマに対して採択結果が全て出揃いました。さらに今年度の補正予算でも3,000億円が措置され、我が国の宇宙開発をさらに飛躍させるため、宇宙戦略基金の第二期として新たな技術開発テーマや実施方針などの検討が始まっています。
本日は、事務局より具体的なテーマ設定の前提となる、第二期におけるテーマ設定の方針、考え方などについてご説明いただき、委員の皆様からの忌憚のない御意見をいただきたいと思います。それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【池田補佐(事務局)】 文部科学省の池田です。よろしくお願いいたします。
私から、宇宙戦略基金第二期について、ということで御説明申し上げます。頁をおめくりください。
まず第一期の振り返りから入っていきたいと思います。こちら、先般1月27日に内閣府の宇宙政策委員会の方でJAXAの方から報告があった資料となっておりますけれども、令和5年度の補正予算で措置された、いわゆる第一期と我々は呼んでおりますけれども、それについての執行状況でございます。
基本方針及び、実施方針の策定以降、JAXAにおいて、技術開発テーマの説明動画の配信等による周知活動を実施し、準備が整ったテーマから、7月5日より公募を段階的に開始しまして、8月23日までには、文科省、経産省、総務省の、全てのテーマについて公募が開始されました。
それ以降の経緯については、下のところを見ていただければと思いますけれども、途中、シンポジウム・講演会等の各種のイベントを通じた情報発信も行いながら、現在、様々な採択が実施されて、かなりJAXAにも頑張っていただき、スピード感を持って進めています。次の頁をお願いいたします。
こちらは、第一期の執行状況の中で、どういう形で応募がなされたか、の概略でございますけれども、総務省、文科省、経産省の全22テーマに対して、全体で130件、247社からの応募があったところでございます。
内訳を見ていきますと、民間が55%、4分の1がスタートアップであったということでございまして、また大学等からの提案も36%入っております。
また、コンソーシアム形式、いわゆる複数組織による公募が65%と多数を占めたというところでございますので、一代表事業者のみならず、その後ろにたくさんの事業者が関わっているところす。
右の上を見ていただきますと、民間の60%が宇宙分野で実績のある企業とされておりますが、裏を返せば、新しく40%もの民間企業者が非宇宙分野から、今回新しく、こうした宇宙の取組に参入してきている・参入を試みてきている状況でございます。
また、全国の39の都道府県からの応募があったということで、北は北海道、南は沖縄まで、全国津々浦々からの提案があったと聞いております。次の頁をお願いいたします。
こちらが全22テーマのうちの文部科学省分の13テーマについての執行状況をお示ししたものでございます。細かく言うと、13テーマではなく、17ぐらいの小テーマがありますけれども、輸送、衛星、探査、そして共通といった分野それぞれにPOと呼ばれる先生方についていただいておりまして、責任を持って審査採択をしていただきました。大変多数のテーマに対して、いずれも既に文部科学省分においてはテーマの採択が決定しておりまして、最後は一番下、1月31日のSX研究開発拠点の5件の採択結果の公表でもって、全ての採択結果が終わっております。予算をどれだけ使っていくか、といったところについても、見通しがついている状況でございます。次の頁をお願いいたします。
こうした中で、第二期に向けた検討を我々としても本格化しているところでございますけれども、これに先立ちまして、JAXAの中に宇宙戦略基金のステアリングボードといった体制がございまして、そこの中で第一期の審査採択状況等も踏まえたフィードバックがございました。ステアリングボードといいますのは、下の図にありますとおり、こちらSPACETIDEの代表理事、かつA.T.Kearnyの石田先生がプログラムディレクター(PD)をされ、全体統括をするといったところで、このステアリングボード中には、石田PDと各領域総括のPOが入っておりますけども、このステアリングボードの中で基金の全体の管理を行うとされておりまして、今回、このステアリングボードからフィードバックをいただいたというところでございます。次の頁にその概略を示しております。
全体の報告の中身については、すみませんが、出典の方の資料を御覧いただければというふうに思いますけれども、つまるところといったところで、いくつか項目を抜き出して抜粋しております。
例えば、一番上、テーマ設定過程の更なる透明性の向上と、公募時の競争環境の確保といったところで、テーマ設定過程の透明性や客観性を高めることといったこと(一層広い議論と有意な意見の反映によるテーマ設定)です。こうしたところの元々の問題意識としては、第一期全体の22テーマのおよそ6割が1社の採択、1社からの応募といったところもございましたので、そうなることは致し方ない面も当然あるのですけれども、では、そうしたテーマがどうして選ばれたのかとか、どうして設定されたのか、といったところについての透明性の確保が必要であろうといった点。
あるいは真ん中のところ、技術開発テーマの大括り化や柔軟な公募と執行が可能となるような実施方針の策定といったところ。
また、実施方針策定後、JAXAからの公募に向けて、必要十分なスケジュールな設定ですとか、たくさんの方から提案が募れるような周知広報活動も必要であろうといったフィードバックがございました。
二つ目、より幅広い視野でのテーマ設定です。こちらは、先ほどのところとやや被るところもございますけれども、より広いコミュニティに対して支援を実施する技術開発テーマの設定といったところで、例えば、第一期では、衛星開発の分野で行きますと、衛星開発やコンポーネントの開発といったところが注目されておりましたが、データ利用とか、ソリューションの開発のところも含めて支援すべきではないか、といったような点の御指摘がありました。
また、必ずしも技術開発本位ではない、事業やサービスの成立を到達目標としたテーマ設定も視野に入れた検討をすべきではないかといったところで、文部科学省が所掌するテーマについては、基本的にはTRL、技術成熟度がそれなりに低いところがメインになってきますが、3府省を横断的に考えたときに、後ろの分ですね、事業やサービスの成立自体に到達目標を置くというところも一つ検討してはどうかといったフィードバックがございました。
また、三つ目、重点テーマ/民間企業等への戦略投資スキームということでございますが、例えば、より大胆かつ重点的な支援を可能とするスキーム等、国際競争力を有したプレーヤーを育てる視座と戦略、といったところでございまして、これは必ずしも第一期、第二期にすぐにやるということでもございませんが、いろいろプレーヤーが増えてきて、その中で技術が伸びてきて、ここはいけるぞとなれば、諸外国に比して、まだ我々の宇宙戦略基金の投資の金額というのは、国内では大きいですけれども、まだまだ諸外国に比べては規模として劣ると思っておりますので、そうしたところにより重点的に、大きく張るといったところについても必要ではないかといったコメントがございました。
四つ目、国際連携を加速させるための仕組みの導入といったところで、これもまたすぐにといいますか、中長期的に検討していくべきものというふうには理解しておりますけれども、経済安全保障上の考慮等を前提とした上で、本基金を活用した海外宇宙機関等とのCo-Fundingスキームの導入といった検討を進めてはどうか、といったところ。例えば、JAXAの宇宙戦略基金の支援を受けている国内の事業者と、パートナーとなる海外の事業者、そこには海外の宇宙機関がファンディングをして、一緒に立ち上げていきましょう、みたいな、そんな枠組みが作れるといいよね、といった話でございました。また、こうしたことについて、募集段階から将来的なグローバル展開を見据えた企業同士のパートナーシップ締結を推奨するというところも一つの起爆剤として考えられるというところでございます。
五つ目、政府調達の段階的なシグナリング強化でございます。こちらは我々としても極めて重要と思っておりまして、宇宙戦略基金、あくまでも技術開発の支援になっておりますので、その先の事業成立性の担保といったところについては、どうしてもアンカーテナンシー、政府調達の実現性を高めていく必要があるだろうと考えております。我々としても、技術の成熟を見ながら、どういうサービスができるかといったところも見極めていく必要があると思っておりますので、必ずしも最初から絶対調達するよ、というところが言えればいいのですけれども、そうではなくても、例えば途中途中で技術の成熟度を見ながら、政府内外でどんな調達が可能かといったところについても検討していきながら、そこをうまく組み合わせて施策として展開していくような取組といったものが必要であろうというふうに考えております。
最後、六つ目、事業化・商業化に向けた技術開発以外の支援といったところで、こちらは我々といいますか、むしろJAXAの伴走支援の強化といったところになることもあるかと思いますけれども、技術開発成果のみならず、事業計画やアンカーテナンシーの見通しに関する状況等を適切に確認・モニタリングし、改善を進めていくと。そして、本基金事業を起点とした中長期的な民間金融の輸入促進、民間投資の拡大に向けた金融機関等との対話・連携というものも間に入ってやっていきますよ、といった点ですね。かつ、また周波数の確保等に向けた調整もより円滑にやっていかないと、なかなかその辺のプロセスでストップしてはいけないといったところで、総合的に宇宙開発に民間企業等が参入できるような、総合的な取組をやっていきますよ、といったことがフィードバックとしてありました。次の頁をお願いいたします。
こうしたところ、実は我々としても、いくつか近い課題感は持っておりまして、こちらの資料は第二期テーマの全体方針となっておりますが、内閣府を中心に、我々の予算要求の時点である程度まとめていたものでございます。
我々の整理としては、そもそも第一期、先ほどお伝えした令和5年度補正予算第一期というのは、どういう性質のものが多かったかと言われると、当該時点で既に宇宙分野の計画や資金のニーズが顕在化しており、速やかに着手すべきテーマについて補正予算でもって、すぐにやらないとまずいもの、というところにかなり予算を振ってきたといったところで考えております。
他方で、先ほどJAXAからのフィードバックがあったところもありますし、我々としても、よりもっと可能性を広げるようなファンディングといったものを考えるべきであろうといったところを考えておりまして、2ポツ目、第二期では、こうした基金の創設や、これが参照するとされている技術戦略ができたことによって、ある意味、旗が立ったといった状況でございますので、政府により中長期的な見通しがつけられておりまして、民間企業や大学等が宇宙分野の活動の拡大といったものにかなり関心をいただいている、企図するといった中で、これを機に、今後は一層非宇宙分野のプレーヤーの宇宙分野への参入を促進すること。あるいは、新しい宇宙産業・利用ビジネスを作っていくこと。あるいは、既に宇宙に関わりがある事業者からすれば、もっと宇宙事業にコミットをしていただくといったところの観点から、宇宙分野への関与や裾野の拡大が特に期待できる新しい取組への支援というものを、第二期テーマの全体の方針として検討するといったところで考えていきまして、これ自体を政府全体として、宇宙開発戦略本部で決定する重点事項としても、ほぼ同じ文言が入っていたといった状況でございます。次の頁をお願いいたします。
いろいろ予算要求もございまして、先般の国会で補正予算が成立しました。黄色マーカーのところ、右上のとおり、令和6年度の補正予算として、新たに3,000億円、合計で6,000億円になりましたけれども、内訳として、文部科学省では1,550億円、昨年度補正と合わせて3,050億円になっているというところでございます。先ほどの方針のように、令和6年度補正予算においては、こういったところを特に着目してやっていきます、というところも記載させていただいているところでございます。次の頁をお願いいたします。
ここから先、分野ごとの方向性について、大まかなところを御提案させていただきまして、部会の委員の先生方から、ぜひ御意見いただきたいと思っております。文科省としては、第一期の実施方針、技術開発テーマの策定以降も、継続的に各事業者や大学等への研究者へのヒアリングですとか、関連団体等との意見交換を重ねまして、様々なニーズですとか、それを踏まえた施策的な検討というところを進めてきたところでございます。
こうした検討に加えまして、先ほどお伝えしたJAXAからのフィードバックですとか、第二期のテーマの全体の方針、切り口を踏まえて、今回、宇宙戦略基金における第二期の方向性について、輸送、衛星等、探査等、そして共通といった分野においての方向性みたいなものを、このあとの頁にお示ししたいと思います。次の頁をお願いいたします。
まず、輸送分野についてでございます。背景としまして、改めて言うまでもないのですけれども、昨今、世界中で民間主体でのロケット開発が加速するとともに、宇宙輸送システムの高頻度化・低コスト化が激化しているといったところで、右側の図では、スペースXの取組によって、重量当たりの価格というものが3桁近く下がっていきますよ、といったところが記載されております。
2ポツ目、我が国では民間事業者による小型ロケットの2027年度の打上げ実証を目指した、SBIRフェーズ3といったものが進行中でございまして、2024年度では第一回のステージゲート審査が実施されたところでございます。
こうした民間企業主体での取組の高まりを受けまして、現在、様々な形態・事業者によるロケットの打上げに対する射場、あるいは射点への構想が全国各地において立案進行中であるという状況でございます。
こうしたことを踏まえまして、宇宙戦略基金の第一期の方では、宇宙輸送機の革新的な軽量・高性能化及びコストの削減、低減技術、これはロケットの質量ですとか、部品の製造期間、コストを低減することを目的としたようなものでございます。また、将来輸送に向けた地上系の基盤技術、これも打上げの高頻度化に向けて再使用をはじめとする、新しい機能を付加する地上系のシステムに係る基盤技術を獲得するものでございます。こうしたテーマを技術開発テーマとして設定して、公募を終えたというところで、採択結果が出たというところでございます。
他方で、我が国の民間事業者等からは、先ほどお伝えしたSBIRのフェーズ3で支援するロケットで衛星を打上げるだけではない、新しい宇宙輸送システムの確立や、これに向けた重点技術の獲得の必要性も示されています。これについては、先般の宇宙開発利用部会でも、右側の一番下の図に示されておりますように、宇宙旅客輸送推進協議会、SLAからも御提案があったというふうに考えておりまして、例えば、いわゆる高速の二地点間輸送ですとか、宇宙旅行、そうしたものに向けた基盤技術といったものの獲得を頑張るべきではないか、といった御提案をいただいたかと思っております。
また、一番下、地上系の民間の運用です。我々も地上系の技術開発を支援しておりますが、結局のところ、これを民間主体で回していこうとすると、コストのバランスが取れるのかということで、運用コストに対してペイするのかが、結局のところ、相当クリティカルになってくるだろうと思っておりますので、その事業成立性を向上させるといったところも一つ課題になっていると思っております。
こうしたことを踏まえまして、第二期で取り組むべき方向性の案として考えておりますのは、新しい宇宙輸送ビジネスを創出したり、これまで宇宙に関わりがなかった分野の事業者が、例えば、新しい宇宙輸送システムの確立に向けて技術を提供するといった形での非宇宙分野のプレーヤーの参入促進を目指して、新しい宇宙輸送システムに対応するための基盤技術を獲得したり、ですとか、民間事業化を見据えた打上げの地上システムの運用を効率化するための技術開発に重点的に取り組んでいくべきではないか、というふうに考えておるところでございます。次の頁をお願いいたします。
次、衛星等の分野といったところでございますけれども、衛星については、こちらも御案内のとおりでございますけれども、1ポツ目、衛星のコンステレーションによるリモセンですとか、データ利用によって、今回地球観測のデータ・ソリューションの市場規模の拡大がどんどん加速しているといったところでございます。そのような中で、我々としても、これも何度も宇宙開発利用部会の方でも御発表させていただきましたけれども、官民連携による光学観測事業をはじめ、あるいは先般の部会でご報告させていただいたとおり、JAXAとしても、今後衛星の地球観測等を通じた経済社会的な便益の創出に向けて、戦略的に取り組んでいくといったところを、官のみならず、民の連携、あるいは分担により推進していくということを考えております。
こうした中で、第一期では、高分解能・高頻度な光学観測システムとして、これは高頻度の3次元観測を可能とするような小型の衛星コンステレーション、光学の衛星コンステレーションの構築に支援するようなもので、こうしたものですとか、高出力レーザの宇宙適用による革新的衛星ライダー技術は、3次元地形情報を高度化するようなライダーのクリティカルポイントになっているというか、ボトルネックになりがちなレーザの高度化を図っていくような研究開発、あるいは、もう少しひねって、多分野でブレークスルーを生み出すことが期待されて、日本が強みとしている超小型衛星を飛躍させるような高精度衛星編隊飛行技術、フォーメーションフライングを技術開発テーマとして設定してきたところでございます。
他方で、現在、地球観測衛星を活用したビジネスの創出といったところに向けては、光学ですとか、SARといった、よく出てくるセンサ以外にも、これまで民間事業化が困難とされていたセンサ、つまりは、いわば今回JAXAや政府機関しか使ってこなかったようなセンサ、そうしたものを活用して、気候変動やESG投資、カーボンクレジットといった、これまであまり掘り下げられてこなかった新しい市場へ参入する、開拓するといったところの多様化、市場の拡大が見込まれている状況でございます。
また、こうした市場への参入には、衛星のみならず、やはり、取ったデータをどう活用していって最後まで届けきるか、といったところと両輪で進めていくことが重要であろうというふうに考えております。光学やSARの画像ではないような、難しい大気変動とか、温度とか、降水とかいったデータ、これは使いづらいので、そうしたものを革新していって、使い勝手のいいものに変えていくというところで、イメージとしては右側の図にありますとおり、新しい物理量をとにかく活用して、新しいセンサを使っていくことと、解析技術、AIとかを活用した解析技術ですとか、ユーザユースケースが広がるようなインターフェースを革新しながら、全く新しい市場を取りにいくような、こうした中長期的な取組というものも必要であろうというふうに思っております。
他方で、文部科学省の第一期のテーマとしては、衛星データ利用の方については、まだ未着手の状況でございました。
そんなところで、第二期の方向性としては、次世代の国際競争力のある地球観測衛星を活用した新しいビジネスの創出・強化を目指して、民間事業者等の技術基盤の強化を含めて、観測機能を高度化して、新しい市場、新しいユースケースを作っていくこととか、あるいは、学術界・非宇宙分野のプレーヤーを巻き込んで、新しいデータ利用ビジネスの創出に向けた先端技術開発に重点的に取り組んでいくべきではないか、というふうに考えております。次の頁をお願いいたします。
こちらも、概念上、衛星等の分野というふうに入っておりますけれども、かなりテイストが違いますので、別の資料とさせていただきました。いわゆる、軌道上サービスについてです。
軌道上サービスについては、宇宙空間での物流の高効率化ですとか、衛星のリプレイスの実現等を通じて、宇宙インフラの抜本的なコスト削減や革新を生み出しうるといったところでございます。ちょっと右の図が小さくて見づらいかもしれませんが、現状、下が将来像として考えておりますけども、現在ロケットの価格が下がっていて、高頻度化されていくことによって、打上げシステムの循環というのは世界的に見れば回っているといった状況だと思っています。これに乗じて、衛星をたくさん打上げて、物量作戦でたくさん衛星を打ち上げて、市場を取っていくといったサイクルが回っておりますが、他方で、軌道上が混雑したり、デブリの問題といったものが起きたりといった状況。将来的には、シスルナ、あるいは静止軌道、そしてそれ以遠を含めて、宇宙経済圏を作っていくような話が想定されますが、未だそうした軌道に物事を投入して、何か開発実証のサイクルを回していくためには、まだ相当のギャップがあるといったところで、ここが詰まってしまっているので、ここをつないであげて、システムを合理化しながら、宇宙経済圏を好循環化させていこうというものが、軌道上サービスとして、一つのコンセプトとして、我々としては考えているところでございます。
本分野につきましては、2ポツ目でございますが、市場の成長に比して技術的な信頼性が未だ低いといったところで、技術開発、そして実証による実現性を提示することが、市場創出のドライバーになっていると考えております。いわば、早期に実証して、世の中に対して、我々はこれができますよ、と知らしめることが、その後のサービスや需要自体を引っ張って来られるといったところだと思っております。
そうした中で各国においても、現在、技術開発実証に向けた取組や、競争が加速している状況でございますが、日本においても、ETS-7ですとかHTVの開発・運用を通じて、近接運用ですとか、ドッキング技術など、軌道上サービスにある程度共通的にコアになるような技術についてアドバンテージがあるといった状況だと思っています。
文科省では、既にCRD2ですとか、SBIRフェーズ3のデブリの方であるとか、昨今、採択結果が公表されましたKプログラム等において、大型デブリ除去、ADRですとか、あるいは軌道離脱装置、PMD、あるいはヒドラジンのような化学推進薬を軌道上で燃料補給するといった技術の開発に向けて、その支援を行ってきているという状況でございます。
こうしたこともございましたので、宇宙戦略基金の第一期では、軌道上サービスについてはテーマを設定しなかったところですけども、その後、先ほどおっしゃったとおり、様々な事業者さんのヒアリングですとか、施策的な検討も踏まえて、既存の取組やターゲットとは異なる新しいサービスや、あるいは、宇宙のロジスティクスの実現に向けた、一体的な技術開発の必要性等があろうというふうに考えているところでございます。
そして、第二期の方向性としましては、新しい宇宙産業として期待される、こうした軌道上サービスについて、先行者の優位性に照らした早期の実証に向けた取組や、新しいプレーヤーの参画と相互連携を通じた厚みの形成及び、そうした厚みの形成の上での一体的な国際展開を視野に入れながら、例えば、宇宙空間の移動ですとか、軌道上で物を作って除去する、あるいは監視するも含めて、そうした一連の新陳代謝系に自在性をもたらすようなシステムの構築に向けた技術開発に重点的に取り組むべきではないか、というふうに考えております。次の頁をお願いいたします。
次は探査の方になっていきますが、こちらも探査の中でも、いくつか分けさせていただいております。
まず、地球低軌道の利用といったところでございますが、この地球低軌道利用サービスの経済効果が高いといったところは、もうまさに釈迦に説法でございますけれども、特に注目すべきは、2030年以降、いわゆる国際宇宙ステーションが退役して、民間主体の取組になっていくという中に、いかに日本の技術やシステムを売り込んでいくか、というところだと思っております。こうしたポストISSと言われる時代におきまして、今後ステークホルダーが入れ替わったり、国際情勢が大きく変わったり、といったところも想定されますので、とにかく我々としては、今まで日本として培ってきたステーションへの物資輸送の技術ですとか、実験・実証プラットフォーム等における、我が国の強みとか、実績といったものを起点に取り組んでいく、売り込んでいくことが重要だと考えております。
こうしたところを踏まえまして、第一期では、国際競争力と自立・自在性を有する物資補給システムといったところで、様々なステーションに対して物資補給を可能とするようなシステムの技術ですとか、あるいは低軌道の自律飛行型モジュールといったところで、ステーションから着脱できるようなモジュールの開発、あるいは低軌道汎用実験システム技術といったところで、ライフサイエンスの実験をある程度想定した、そういった実験の自動化技術みたいなところを技術開発テーマとして設定したところでございます。
こうしたところをやってきたわけでございますが、第一期では、比較的、こうしたポストISSでの活動の土台となるハード・インフラ面のところを中心とした取組になってきたというところでございますが、今後ステーションの運営事業者やユーザのニーズを捉えたシステムを実際に取り込んで、展開して、売り込んでいくというためには、ステーションの中、いわゆる地球低軌道の拠点の中で実際に何をするのか、といったところ、実施されるサービスや活動内容を想定して、これが欲しいのですよね、という形で、もうちょっと想像力を働かせながら、具体のユースケースを広げていくような取組をやっていくということが必要だと思っております。
そうしまして、第二期の方向性としては、こういった商業宇宙ステーションが台頭する2030年以降の新しいビジネスと民間事業者の事業化へのコミットの拡大を図るために、今後拡大、多様化するニーズを捉えた、地球低軌道利用の効率化・高頻度化や、そうした中身を想定したときに必要となるであろうデータの処理といったところに係る技術開発について、重点的に取り組むといったところが必要だというふうに考えております。次の頁をお願いします。
こちらが探査のもう一つの月面開発というふうにしております。月面につきましても、こちらも御案内ですけれども、当然世界各国の月面開発が急速に進展しているといった状況において、我が国としても官のみならず、産学官による技術開発が必要であろうというふうに考えております。
こうした月面開発を活発化させることによって、我が国としてのプレゼンスを発揮していくということが重要でございますが、民間事業者等に参画していただくといったところにあっては、やはり特に民間等が主体となるときには、事業性の確保に向けた市場の獲得の戦略も含めて、戦略的な取組が重要になろうと考えております。
中でも、月面のエネルギー確保、これはあらゆる活動に喫緊の課題であるといったところですとか、世界各国で月測位の国際的な標準化に向けたシステムづくりが進められているといったところで、我々としてもこうしたところに参入していく、あるいは一家言を持っていく、といったところについて、早期に技術獲得をしていくということが重要でありまして、こうしたことを踏まえると、こうしたことをやることによって、月面活動の優位性を含めて、様々な便益の確保につながっていくというところと考えています。
そこで第一期では、月測位のシステム技術といったところで、例えば、月測位システムの主要のサブシステムについての技術開発を行うものでございます。
また、再生型燃料電池システムといったところで、これは月面の大容量の蓄電システムに向けて、燃料電池と水電解の技術を組み合わせたようなものを作っていきましょう、ですとか、半永久電源システムに係る要素技術といったところで、長期間にわたってメンテナンス不要な半永久電源というものの開発に向けた、地上でも基盤技術開発に着手するというところについて、テーマとして設定してきました。
他方で、まだまだ月面での活動を活発化させていかないといけないというふうに考えておりまして、今後、産学がそうしたところに参画していくためには、やはりこれまで非宇宙分野と言われてきたところについても宇宙に入ってきていただいて、月面で様々な活動に入っていただくことが必要と考えております。
そうした中で、先ほどもお伝えしたとおり、結局事業者としてこうした取組に参画するメリットを生み出していくためには、将来的には売れます、使われます、といったところをしっかりと考えていく必要があるので、その際、月面活動が今後段階的に展開されていくかといったところを想定して、であれば、どういった取組がありえて、どういうユースケースになるのでしょうかをしっかり検討した上で、そこに刺さる技術というものを、先手を取って打ち込んでいくといったところが極めて重要だと考えています。
第二期の方向性としまして、将来の月面経済圏の創出を見据え、非宇宙分野の事業者の参入を促進しながら、将来の月面活動の前提となるデータ取得及び重要技術の早期獲得、月面のアセスメントの技術みたいなものを想定しておりますけども、そうした要素技術の開発ですとか、やはり持ってかなければいけないので、これらの輸送を担う国際競争力の高い高精度着陸に係る技術開発を民間主体でやっていくための取組について、重点的に取り組むべきでないかというふうに考えております。次の頁をお願いいたします。
最後、共通と呼ばれる分野について、でございます。我が国の宇宙基本計画では、2030年代の早期に8兆円の市場を目指すというふうになっておりまして、基金でもそれを受けて、市場の拡大というものが大きな目標の一つに掲げられておるところでございますが、他方で、そういった我が国で活躍する宇宙分野のスタートアップの多くは、実のところ大学における研究開発から多く創出されてきているといった状況でございますので、宇宙開発を今後10年、20年先、持続的に展開していくことを踏まえると、当然、イノベーションや産業創出の源泉となる、大学等における多様で革新的な技術開発をしっかり支援していくことが重要と考えております。
こうした先端基盤的な技術開発を行っていこうとしますと、成果の活用先が輸送とか、衛星とか、探査とか、あまり決まりきらないといったものが多いといったところもあると思いまして、かつ、その推進体制も非宇宙分野も含めて、相当に横断的に融合的になってくると考えられますので、こういった取組を推進する枠組みとしては、何か輸送とか、衛星とか、探査とか、それぞれの分野に閉じるのではなくて、横断的な分野的な共通的な枠組みで支援をするということが効果的と考えております。
ここには記載しておりませんけども、こうしたところと加えまして、これまでの宇宙開発が、日本においては、これまでJAXAと、JAXAと密な関係性にあるプライムコントラクターを中心に発展してきたと言われている中において、やはり我々としては、日本全国にピークになってくるための裾野を広げていく必要はあろうと考えておりますので、第一期では、そうした将来の拠点的な機能を期待して、JAXAにない機能を有するSX研究開発拠点といったものを技術開発テーマとして設定したところでございます。
このSX研究開発拠点については、当初5件、採択予定件数だったのですけども、テーマの中でも本基金の中でも最多となる56件もの応募がございまして、競争率が10倍を超えてしまったといった状況でございます。全国の大学等からも極めて高いニーズも示されておりまして、これで終わってしまうのですか、といった声も多々いただいているところでございます。
他方で、こうした先端基盤的な技術開発への横断的な支援策としては、こうした拠点的な支援のほか、個々の研究者のアイディアとか、比較的小粒な技術開発みたいなものを、もう少し小さく試していただくような支援みたいなものもあるといいよね、といった声も、これまでいろいろなところから上がっている状況でございます。
そうしまして、第二期の方向性としては、こうした大学等の研究者による独創的な研究開発の支援に対する極めて高いニーズを我々としても受け止めたいと思っております。その中で、宇宙分野の関与、裾野拡大及び新しい宇宙産業利用ビジネスの創出といった第二期全体の方向性にある程度重点を置いた拠点化構想への支援に加えて、例えば、小型の支援の形としては、一気に全部ばらまいてしまうと収拾がつかなくなってしまうので、例えば、一定の領域、何か今適当に言ってしまうと、何か熱とか、運動とか、そういう大くくり化した領域を作ってあげて、今まで宇宙に参画しなかったような研究者、あるいは小さな企業も入ってきて、そこで要素技術や研究者のアイディアみたいなものを早期に初期実証していくような小型の支援の枠組みを作ってあげることによって、広く日本全体の技術力の底上げになっていくのではないかというふうに考えているところでございます。次の頁をお願いいたします。
ということで、分野全体の方向性と、それぞれの分野に関する我々としての今の考えている方向性について御説明差し上げてきました。
今後のスケジュールとしましては、まず本日宇宙戦略基金第二期についてということで、大まかな方向性の御提案を差し上げて、ここでいただいた議論を踏まえて、来月上旬に想定されております、次の宇宙開発利用部会において、具体的な実施方針、技術開発テーマの案というものもお示ししたいというふうに思っております。
その後、3月中下旬に予定されております、内閣府の方の宇宙政策委員会での議論を経て、最終的には第二期の実施方針、技術開発テーマが、文科省のみならず、総務省、経産省分ということで全てが出揃うということを想定しておりまして、これを踏まえて、以後JAXAから順次公募開始を予定しているところでございます。
長らく説明かかってしまいましたけれども、ぜひ忌憚ない御意見いただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【村山部会長】 池田さん、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問があればお願いいたします。まず、木村委員、お願いいたします。
【木村委員】 木村でございます。御説明ありがとうございます。
一期で出てきた課題、それをうまく取り込んで第二期につなげていくということで、より広い視野に立って発展させられるという意味で、とても心強く思いました。
何より、実は第一期のときに、私自身、軌道上サービス分野がこれから非常に重要だなと思っていたところでしたので、これをやはりこの基金の中で大きく広げていくというのは非常に時宜にかなっているかなというふうに思っています。
実は関連して、もう一つの分野として、その話の探査分野のところで、地球周回から月という話があったときに、今ちょうどタイミング的に有人探査、月面の与圧ローバの話が動きつつあって、そこでも有人という話が出てくる、また低軌道の宇宙観光であるとか、そういう話が今非常に成熟してきているところがあって、ゲートウェイでのECLSSの話もございますし、それらを考えたときに、有人関連で、人の活動圏を広げていくような技術が重要になってくると思われます。このような技術になってくると、先ほどお話のあったように、非宇宙分野からの参入が非常に広く期待できるし、そういうムードを作っていくことによって、日本の、特に月の有人とか、そういったところでのプレゼンスを上げていく非常に良い効果になるのではないかなということを期待しています。個々の技術になるのかもしれないのですけれども、そういった関連の技術、せっかくECLSS等で日本が力を持っているところ、あるいは環境関連で日本は広い分野で非常に力を持っていたり、資源循環に非常に力を持っていたりするところがあるので、そういうものを活かせるという意味で、そういった分野も考えられてはいかがかなというふうに思いました。
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。御指摘ごもっともと思っております。
有人の技術については、先生もおっしゃったように、軌道上サービスなのか、そもそも低軌道なのか、月なのか、他所なのか、よく分からないということになってくるのですけども、今想定されているのは、先ほども御紹介したものは、例えば、宇宙旅行ですとか、将来の有人の輸送みたいなところを想定したときに、それを民間でやっていくためには、コアとなる技術ですね。これはアメリカとかは持っているけど、日本には全然ないよ、というところがあるので、そういったところをまずは獲得することによって、全分野に横で展開していくみたいところが想定されるかなというふうに思っております。
また資源の循環というところもかなり大事だと思っていて、そこは軌道上サービスの文脈の中でも、先ほど少しだけお話しましたけれども、最終的にはやっぱりわざわざ地球の極めて重要な資源を宇宙まで打上げていって、それで捨てて帰ってくるという、ものすごく勿体ないことをしているので、中長期的には、ちゃんと地産地消といいますか、リサイクルですね。要らないデブリを回収して、それを溶かして、もう一回衛星にするとか、夢の話ができればいいのですけど、そうしたところもある意味ビジョナリーに見据えながら、軌道上での製造とか、というところについても、かなり関心高くやっていく必要があると思いますし、例えば、そういった3Dプリンティングみたいな技術というものが発展してくると、それをレゴリスに使えるのでは?みたいな話にもなってくると思いますので、テーマ感の横断みたいなところも含めて、検討を深めていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【木村委員】 ありがとうございます。
【村山部会長】 それでは続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】 御説明ありがとうございました。
私からも頁6の2ポツ目のところで、今までの御発言、質疑の中にもあったのですけれども、新たな宇宙産業利用ビジネスの創出ということに大きな可能性を感じるところでして、こちらに対して支援を検討するというふうに期待されている部分があるのですけれども、新たな取組の支援というのは、基金の拠出というものになるのか、それ以外の支援の方法があるのか、というところと、あとは検討するということに関して、具体にどういった形で検討を進められる予定なのか、この辺りを教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。
こちらの頁6頁目のものは、どちらかというと宇宙戦略基金の第二期テーマ、今期いただいた3,000億円の予算要求に向けて作ったコンセプトになりますので、一義的には、宇宙戦略基金での支援といったものを想定した記載になっておりますので、いわゆる技術開発への財政的な予算の支援というものが第一になってきますが、他方で、御指摘のとおり、ほかの支援もあるのではないかといったところは、まさにそのとおりでございまして、先ほども少しJAXAからのフィードバックもありましたけれども、新しいビジネスをつくっていくにしても、新しければ新しいほど、それが成熟するためには時間がかかるといったところですので、新しいビジネスについて、ある程度、政府のアンカーテナンシーみたいなところについてもかけていきながら、最後成熟させていくような取組が必要だと思っております。
また軌道上のサービスとか、衛星データ利用とか、まさにそういったところについて、今からチャレンジする事業者が出てくるとき、我々としても、そうしたところについてどういうフォローができるのか、というところについても、しっかり採択状況とかを勘案しながら、議論をしていきたいというふうに考えています。
【鈴木委員】 ありがとうございます。そういった形で進めていただければ幸いです。
【村山部会長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 秋山です。よろしくお願いいたします。
2点コメントになるのかと思いますけれども、コメントさせていただきます。
まず一つが、第一期のテーマの中で、月の水のセンシングの件だったと思いますけれども、第一期の募集のときに採択がならなかった件がありましたので、これはもう内閣府の方でも既に様々な御説明があるということは承知しておりますけれども、そういった件がありますと、テーマ設定の適切さ、というところにちょっと関わってくるかと思いますので、今後の議論の中でも、フォローアップといいますか、どういった経緯で採択がならなくて、それに対して、どのような手当をされるか、ということは御説明いただけると良いのかなというふうに思っております。
2点目が、宇宙戦略基金の社会的な受け止め、というところにちょっと関わってくるのかなと思うのですが、先ほどのこともそうですけれども、いくつか報道等で見た受け止めなどを見ますと、一種の企業支援であるというような受け止め方をされているといったところも見ておりまして、でも御説明いただいた大学のSX拠点では、非常に多くの大学の方から期待をいただいているといったようなところもありますし、ですので、宇宙戦略基金の目指すもののモデルケースになるようなものが、もし海外にあるのであれば、例えば大学と宇宙機関との関係というところであれば、英国でいうとSSTLですとか、それから米国で言えば、OSIRIS-RExのようなミッションにおけるアリゾナ大学とNASAとの関係ですとか、ニュー・ホライズンズでのAPLとNASAとの関係ですとか、そういったことがもしモデルケース、目指すべき将来像みたいなところで示せるものがあれば、そういったことも今後議論の中での一種付帯資料といいますか、参考例として上げていただけると、どういった性質のものなのか理解しやすくなるのかなというふうに思いました。私からは以上です。
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。
御指摘の1点目、重く受け止めておりまして、実際にサービスに月面の水資源探査技術については、実際のところは文科省というよりは、ほかの省庁のテーマではございますけれども、先般の1月の宇宙政策委員会の方でも、担当の省庁の方から取扱いについて御報告させておりまして、結論としては、実施方針を一部改訂して再公募を行うといったことになっていると聞いております。
こうしたところの経緯、経緯等についても、しっかり俺としてもフィードバックをいただいているところでございますので、できるだけこうしたことにならないようにと言いますか、やはり要求水準は下げてはいけないと思いますけれども、できるだけ円滑な事業の実施になるように、我々としても努めていきたいというふうに考えております。
もう一点の大学との連携については、我々も宇宙戦略基金の中で大学のプレゼンスというところをしっかりPRしていかなくてはいけないな、ということも、ある意味肝に銘じているところでございますけれども、モデルケースになるようなもの、米国、英国との事象をいただいてありがとうございます。必ずしも産業界と大学との関係性が海外と日本で全く一緒か、と言われるとそうではないので、どちらかというと、日本のほかの宇宙以外の分野の拠点的な事業とかも参考にしながら作り込みを行ってきたところでございますが、例えば、宇宙低軌道の利用のサイエンスパークみたいなところ、そうしたところについても、一つのモデルとして、我々としては想定していると思っておりますので、引き続き情報収集しながら、何が日本の環境、あるいはアカデミアとのマッチングとして適切なのか検討していきたいというふうに思っております。貴重な御意見ありがとうございます。
【秋山委員】 ありがとうございました。
【村山部会長】 山崎委員、お願いいたします。
【山崎委員】 まとめてくださいまして、ありがとうございます。
やはり、こうした戦略基金は、御発表してくださいましたように、今後の宇宙開発において、今のこの短期間、今後10年の短期間だけではなくて、このあとも長期的な目で見たときにも、産業発展、それから宇宙開発利用の発展につながるような道筋を今作っていくことがとても大切だと思っています。そちらが幅を広げるという意味と、今あるものをより深化させて、深掘りしていくという意味と両方あると思うのですが、やはり後世に渡って、そうした波及効果が高いという観点をぜひ強調していただければと思います。
特にSXの研究開発拠点、今回56件応募があったということで、こうした拠点として採択できるのは、いくつか限られたところになりますけれども、今後、拠点だけがいいわけではないですけれども、いろいろな意味で、今回POとJAXAの皆様と、あと文科省さんと、企業さんの皆さんとで連携されているわけですけれども、よりそうした仕組みづくりをきちんと、後世に渡って続くような仕組みづくりというものがとても大切になっています。そちらもぜひよろしくお願いいたします。コメントです。
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思っております。
我々としても、SX拠点、こんなにいっぱい来ると思っていなかったので、結構度肝を抜かれてしまったところもあるので、もう少しうまくセッティングできるようになっていきたいというふうに思いますし、今いただいた意見のところをしっかり反映していきたいというふうに思います。ありがとうございます。
【山崎委員】 ありがとうございます。
【村山部会長】 米澤委員、お願いいたします。
【米澤委員】 ありがとうございます。米澤です。
私も先ほどのSX研究開発拠点についてなのですけれども、輸送、衛星、探査に入りきらなかったテーマというようなイメージを持っていますが、実際には、どういうテーマが多かったのかについて教えていただけると、参考になります。よろしくお願いいたします。
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。ちょっと頁を戻っていただいて、3頁目を。
こちらに採択事業者の先生の名前、こちらにいらっしゃる先生もいらっしゃるかなと思うのですけども、例えば、笠原先生ですとか、杉山先生、宮本先生、立命館大の佐伯先生、国立天文台の平林先生といったところが採択されておりまして、必ずしも輸送、衛星、探査以外のところというか、今回の第一期のテーマにはなっていないのだけれども、大学の技術として、こういうものはどうですか、という形でボトムアップ型の提案が出てきたといったところでの支援になっておりますので、輸送の中でも、衛星の中でも、探査の中でも、提案、採択ということはあり得るといった状況でございます。
ただ、例えば、衛星の中には今回は入っていなかった軌道上サービスですとか、これは輸送なのか、衛星なのか、探査なのか分からない。例えば、ECLSSみたいな話も含めて、そういったものについても、ある意味自由に応募できる枠組みとなっておりますので、今回の採択結果とは別として、56件もあれば、様々な提案があったものというふうに承知しています。
上から言うと、名古屋大学の笠原先生はもちろん輸送系の提案でございますし、東大の杉山先生におかれては、これはどちらかというと部品というか、太陽光パネルの話だったと思います。宮本先生は月面の話、立命館大学については、こちらも月面の拠点を作るという話で、天文台については、天文台の技術をしっかりとほかのところにも活かして、スペースセンター的なものを作っていくといったところで御提案と聞いております。以上です。
【米澤委員】 どうもありがとうございます。
採択されていなかったものにも非常に面白いものがありそうな気がしております。どうもありがとうございます。
【池田補佐(事務局)】 ありがとうございます。
【村山部会長】 ほかはいかがでしょうか。
これは明らかに56件応募と1件応募というものは、かなりのアンバランスがありますので、ここを何とかテーマ的にうまくならしていただけるような、そういう努力もやっぱり必要かなというふうに思います。第一期を踏まえて、よろしくお願いいたします。ほかいかがでしょうか。いいでしょうか。ありがとうございます。
本日いただいた御意見は、技術開発テーマ実施方針の作成などにあたって、今後の検討に活用していただければと思います。
また、本日は時間も限られておりましたので、追加の意見やコメントなどがある場合は、事務局に書面でお送りください。
ぜひとも、今日資料が出ていますので、ちょっと考えていただいて、何か追加的な意見があったらぜひとも事務局に意見を寄せていただければというふうに思います。
それでは、冒頭申し上げたとおり、これ以降は政府内で検討中の内容を含む議論となるため、非公開とさせていただきます。
一旦ここで事務局からの事務連絡をお願いいたします。
【木元補佐(事務局)】 会議資料と議事録の公開について申し上げます。
本日の会議資料は文部科学省のホームページに既に掲載させていただいております。また議事録につきましても、ここまでの内容は公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいたあと、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
事務連絡は以上となります。
【村山部会長】 ありがとうございます。
それでは、ここで公開部分の会合を終了したいと思います。YouTubeで御覧の方はここまでとなります。傍聴ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局宇宙開発利用課