大学分科会(第177回) 議事録

1.日時

令和6年3月12日(火曜日)16時~18時

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(委員)後藤景子、橋本雅博、古沢由紀子、湊長博、村田治、吉岡知哉の各委員
(臨時委員)相原道子、麻生隆史、多忠貴、大森昭生、金子晃浩、小林弘祐、志賀啓一、須賀晃一、髙宮いづみ、曄道佳明、濱中淳子、平子裕志、福原紀彦、益戸正樹、松下佳代、森朋子、両角亜希子、和田隆志の各委員

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長、寺門私学部長、西條大臣官房審議官、伊藤文部科学戦略官、奈良文部科学省戦略官、小幡高等教育企画課長、井上国立大学法人支援課長、俵医学教育課長、神山私学行政課長、桐生私学助成課長、村上私学部参事官、石橋生涯学習推進課長、髙見高等教育政策室長、篠原私学経営支援企画室長、中村高等教育局視学官、花田高等教育企画課課長補佐、疋田高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録


【永田分科会長】  大学分科会第177回を始めさせていただきます。
 年度末で本当にお忙しいところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日もハイブリッド会議として開催をします。その様子はユーチューブでライブ配信をします。
 本日は幾つか議題があります。最初の議題、認証評価機関の認証についてということで、運営規則第3条2号に該当しますので、この議事は非公開とさせていただいています。議題1が終わり次第、公開する形とさせていただきます。
 それでは、連絡事項を事務局からお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日はハイブリッド会議及びライブ配信を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、分科会長から御指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言後は、再度挙手のボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど御配慮いただきますと幸いでございます。
 本日の会議資料は、次第のとおり、事前にメールでお送りしているとおりでございます。本日、議事次第にはございませんけれども、事前にメールでお送りした資料の中に2月28日の第3回特別部会でお配りした参考データ資料集も入れてございます。また、本日、会議にお越しの先生方にはiPadのチャット機能を活用いたしまして資料URLをお送りしてございますので、適宜、こちらを活用いただければと思います。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。議事次第を見ていただきますと、本日、前半に認証評価の関係、その次に大学設置基準の案、学校教育法の一部を改正する法律案、それから、国立大学の留学生の授業料に関する案件、最後に高等教育の今後の在り方に関する特別部会の議論についてということです。御協力よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に「認証評価機関の認証について」という案件で、令和5年7月14日に中央教育審議会に諮問がありました特定非営利活動法人職業教育評価機構の認証について、認証評価機関の認証に関する審査委員会においての審査が行われ、その結果が適当であるかを審議するものであります。
 審査委員会から、前田臨時委員に御説明お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【認証評価機関の認証について】
特定非営利活動法人職業教育評価機構からの申請に関する「大学分科会認証評価機関の認証に関する審査委員会」における審議経過について、前田臨時委員から資料1-1に基づき報告があった。
その後、審議を行い、資料1-2の原案のとおり答申することが可決された。
また、中央教育審議会大学分科会運営規則に基づき、この時点から会議が公開された。

【永田分科会長】  それでは、次の議題に移らせていただきます。
 ここからはユーチューブ配信になります。それでは、配信を開始してください。
 2つ目の議題は「認証評価機関の認証について」でありまして、一般社団法人専門職高等教育質保証機構から文部科学大臣に対して認証評価機関としての申請があったということで、中教審の大学分科会にお諮りをすることになります。先ほどの1つ前の段階ということになります。
 具体的な審査については、先ほどのように本分科会の下に審査委員会を置いて行っていただいて、その審査結果をもって、後日、先ほど同じようなことを本分科会で行い、お認めするかしないかを決定するというプロセスになります。
 それでは、この案件、資料2に基づいて、事務局から簡潔に御説明をお願いいたします。
【中村視学官】  大学教育入試課の中村です。資料2に関しまして御説明いたします。
 令和5年12月21日に一般社団法人専門職高等教育質保証機構から、学校教育法第110条第1項の規定に基づく認証評価機関に係る申請がありましたので、文部科学大臣より中央教育審議会への諮問を行うものです。
 申請の概要は、この資料の35ページ目を御覧ください。
 今回の申請は、専門職大学の経営ビジネス分野、情報工学分野、農林環境分野、エンターテイメント分野並びに専門職短期大学の農林環境分野の5分野となっております。
 35ページの下から36ページにかけて書いていますけれども、当該申請機関は、専門職大学院の第三者評価を行う機関として、平成24年7月31日にビューティビジネス分野、令和3年5月10日に教育実践分野、令和5年11月6日に専門職大学のリハビリテーション分野、ファッションビジネス分野並びに専門職短期大学の動物ケア分野の3分野について認証を既に受けています。
 36ページの下から2つ目の丸のところですけれども、この大学評価基準は、専門職大学、あるいは専門職短期大学の教育活動等の水準の維持及び向上を図るとともに、個性的で多様な発展に資することを目的として5つの領域で構成されています。
 評価方法については、対象大学が作成する自己点検評価報告書に基づき、書面調査及び訪問調査を通じて当該大学の状況を分析、評価されます。
 37ページですけれども、丸1にありますように、評価結果は5領域全ての評価基準を満たしている場合に「評価基準に適合している」というふうに評価されます。それから、丸2に書いていますように、内部質保証などの重点評価項目の基準を満たしていない場合には「評価基準に適合していない」というふうに評価されますけれども、丸3のとおり、この重点評価項目の基準は満たしつつ、それ以外の基準を満たしていない場合も、全ての基準に係る状況を総合的に勘案すれば、専門職大学、専門職短期大学としてふさわしい教育研究活動等の質が確保されている状況にあるということが確認できる場合には「評価基準に適合している」というふうに評価されます。
 当面の評価対象としては、38ページから42ページを御覧ください。
 7大学が対象として予定されております。これらの申請内容については、大学分科会の下に設置しています認証評価機関の認証に関する審査会において専門的な調査審議を行うこととし、結果が取りまとまった上で大学分科会へ報告いただく予定です。
 説明は以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。ただいまの御説明に御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、質疑はないということで、本申請に係る審査については審査委員会のほうに付託することにさせていただきます。ありがとうございました。
 次に、3つ目の案件です。「学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令の改正について」ということで、事務局から御説明をお願いいたします。
【中村視学官】  資料3を御覧ください。
 1ページ目に概要を載せています。令和4年3月18日に本分科会の下に置かれました質保証システム部会で取りまとめられました「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」の審議まとめにおいて、学修者本位の大学教育の実現という考え方を質保証システムへと反映させる観点から、認証評価制度における評価内容の充実が求められました。
 この審議まとめにおける提言を踏まえまして、このたび、大学評価基準に定めるべき項目として、大学の教育研究活動の状況に関する項目を追加し、内部質保証がさらに有効に機能するような評価への改善を図ることを目的として、学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令、いわゆる細目省令を改正することとしております。
 改正の概要は、本細目省令に規定されます認証評価機関が定める機関別・分野別の評価基準に共通して定めなければならない事項として、1つ目として、継続的な研究成果の創出のための環境整備に関すること、それから2つ目として、学修成果の適切な把握及び評価に関することを追加するものとなっております。
 継続的な研究成果の創出のための環境整備については、審議まとめにおいて、教育と研究を両輪とする大学の在り方を実現する観点からは、持続的に優れた研究成果が創出されるよう研究環境の整備や充実等が行われていることが必要であるとされたことを踏まえまして、明示的に規定することといたしました。
 また、学修成果の適切な把握及び評価のほうは、審議まとめの考え方の根本にある学修者本位の大学教育の実現という観点から重要な要素であり、大学の教育活動を学修目標に即して適切に評価し、卒業認定・学位授与の方針の見直しを含む教育改善につなげるためにも必要であることから、明示的に規定することといたしました。
 本細目省令の施行期日は、認証評価機関の準備なども考慮しまして、令和7年4月1日を予定しております。
 最後に、本細目省令を改正するに当たって実施したパブリックコメントの結果についても御紹介します。6ページに概要を載せております。
 意見募集期間は、令和6年2月6日から令和6年3月6日の30日間実施しまして、4件の意見をいただきました。意見の内容は記載のとおりとなっております。
 説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。御質問等はございますでしょうか。
 御説明のとおりですが、前期の教育と研究を両輪とする大学の在り方で議論された中のものが、ここに法文として出てくるということになります。それから、学修者本位のということも、この改善のためにここに出てくるということなので、前期のものが出てきている感じがします。よろしいですか。
 御質問なければ、先に進ませていただきます。
 4つ目、「大学設置基準の一部改正について」ということで、事務局より御説明をお願いいたします。
【俵医学教育課長】  ありがとうございます。医学教育課の俵です。よろしくお願いします。
 今、会長から御紹介ありましたように、設置基準の改正に関して審議いただければと思います。よろしくお願いします。
 参考資料の1‐2を見ていただいてよろしいでしょうか。今回、設置基準の改正に関しては、地域医療連携推進法人の仕組みが変わるので、その仕組みの変更に伴った改正になります。
 参考資料の1‐2は附属病院の設置形態を整理したものでありますが、医学部と歯学部を置く大学は附属病院を置くことになっていまして、基本的にはこの資料の左側の形で附属病院を置くのが一般的であり、現状はこの形のみになっています。
 右側に地域医療連携推進法人と書いていますが、病院がより効率的に運営できるように、この仕組みが平成28年度にできました。これは地域医療連携推進法人制度についてと文字で書いていますが、例えば共同で医師の研修を行う場合、あるいは共同で医薬品を購入する場合など、こういったことをやることで効率的な運営を行おうということでできた仕組みになっています。今回、この地域医療連携推進法人の枠の中に個人立の医療機関が参加可能になるという仕組みの変更が行われました。
 この連携推進法人の中には、今でも大学附属病院が中に入って行うケースもあるんですけれども、実際に大学の下に附属病院を置く場合、この連携推進法人の中に入っていて、入っている法人が行う民間病院に関しては附属病院になることができるという仕組みに今なっています。
 今回、個人立ができることによって今後どう対応するかということですけれども、附属病院になる場合、上の真ん中の枠の右側にちょっと書いていますが、病院の教育研究機能を担保できないといけないという要件が1つかかっています。今回の制度の改正に関しては、個人立については、現状、教育研究機能を担保できるようなものが想定できないということもありますので、現状と同じように、地域医療連携推進法人の中で法人が行う民間病院に関しては附属病院になることができるという形で、現状をそのまま継続したような形での制度にしたいということがあります。
 ちょっと細かいですけれども、資料の4‐1に戻っていただいて、2ページに新旧対照表をつけています。
 2ページの左側に改正後とありますけども、附属病院を置かないといけないとなっています。これは医療法に規定する参加法人が開設する病院ということで、法人に限定した形での制度改正を行うものになっています。
 審議のほどをよろしくお願いします。
【永田分科会長】  御質問、御意見等お伺いいたします。よろしいでしょうか。
 少しややこしいですが、このような新しいカテゴリーにしておかないといけないという意味でありました。
【俵医学教育課長】  ある意味、形式的な改正になろうかと思います。
【永田分科会長】  よろしいですか。
 これは大学設置基準の改正なので、ここの議決が中教審全体の議決になります。分科会として議決を行いますので、定足数の確認をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  大学分科会委員及び臨時委員の数は29名であり、現在、25名に御出席いただいてございますので、中央教育審議会令第8条第1項に定める過半数を満たしております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、お諮りをしたいと思います。今、御説明のありました大学設置基準の一部の改正について、お認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 この諮問は適当ということなので、文部科学大臣に対して答申するということにしますが、今後の取扱いは私に一任していただきたいと思います。
 それでは、5つ目、「学校教育法の一部を改正する法律案について」、これは先日閣議決定されたということですが、事務局から御説明をお願いいたします。
【石橋生涯学習推進課長】  失礼いたします。生涯学習推進課長の石橋でございます。
 まず、資料の5‐1を御覧いただければと思います。
 今回、学校教育法の一部を改正する法律案ということで、専門学校の取扱いについて5点ほど改正を考えておりまして、これは3月1日に閣議決定をして国会に提出しております。
 少し内容を御説明いたしますと、専門学校は、御案内のとおり、高等教育機関として職業教育をしっかりと進めてきていただいているところでございますけども、さらなる教育の充実を図るために措置を講ずるものでございます。
 概要のところ見ていただきますと5点の改正案がございまして、丸1は専門学校の入学資格を大学の入学資格と同様とするということ、それから、丸2は単位数を用いて最低限必要な学習時間に関する基準を定めることができるようにするということ、それから、丸3は2年以上の専門学校で一定の要件を満たすところには専攻科を置くことができるということ、それから、4番目は特定専門課程と2年以上と一定の要件があるところでございますけれども、修了者は専門士と称することができる。これは今までも称することができたのですけれども、今回、法律上に位置づけさせていただくものでございます。それから、丸5は大学と同等の項目での自己点検評価の義務づけ、そして、外部の有識者による評価を受ける努力義務を定めるという内容になっております。
 これを踏まえまして、今日お話をさせていただきたい内容が資料の5‐2になります。この学校教育法の一部を改正する法律案に関しましては、参考資料‐3でお配りしております専修学校の質の保証・向上に関する調査研究者協力会議、これは吉岡委員に座長をお願いしているところでございまして、前田委員、多委員にも御参画いただいておりますけれども、こちらでおまとめいただいた内容を法案にさせていただいたものとなっております。
 資料5‐2を御覧いただければと思います。
 資料5‐2の中で、今申し上げました専攻科というものを今回初めて専門学校に設置できるようにすることになっておりますけれども、この専攻科を修了した方に大学院入学資格を付与することを考えてもよいのではないかということを1つ、今日をお話させていただきたいと思っております。
 1つ目のところ見ていただきますと、一定の基準を満たす4年制の専門学校の修了者には、現在も大学院入学資格が認められております。これを踏まえまして、専門課程と一貫した教育を通算して4年以上行う専攻科で一定の基準を満たすものの修了者については、大学院入学資格を付与してはどうかと事務局としては考えております。
 その基準としては、専門課程と一貫した通算4年以上の学修を行うものであることに加え、現在、大学院入学資格を付与することのできる4年制以上の専門学校の基準と同様にするべきではないかと考えております。このときには文科大臣認定をこの専攻科についても考えていきたいと思っておりまして、このような方向性で進めさせていただきつつ、具体の基準についてはまたお諮りしたいと思っておりますので、現時点の本件についてお話しさせていただいたところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 内容が2つありまして、最初に御説明いただいた資料5‐1の丸1から丸5まで、それから、今後このようなことを検討していくことについて説明です。一言で言えば、だんだん大学に近づいているということかと思います。
 御質問、御意見等あればお伺いいたします。
 志賀委員、どうぞ。
【志賀委員】  よろしくお願いします。
 まず、お伺いしたいんですけれども、専修学校の質保証の向上に関する調査研究協力会議で提言が取りまとめられたのが、ホームページ見ると1月24日、その後、報道によると自民党文部科学委員会に送られたのが2月8日、そして、先ほど説明ありました閣議決定が3月1日にされましたが、大学院に関わる事項があるにもかかわらず、この中教審の大学院分科会に意見を聞くことなくここまで至って、このタイミングで中教審に出したという理由を教えてください。
【永田分科会長】  先ほど申し上げたように、ここで決めるのは先ほどの資料5‐1の部分で、大学院はこれからこのようなことを考えていきますという前振りです。これは法案ではなくて、これはこれを機に考えていこうとしているという御説明だったので、ここでの内容は先ほど資料の5‐1に基づいたものです。
【志賀委員】  であれば、提言内容を協力者会議のほうのもざっと読みましたが、全体的に、何だかもう専修学校は既に現状でも大学と同等の質保証されている前提で書かれているように見えました。当然、専門学校の中でもすばらしい教育をしている学校もありましょうけれども、全ての学校ができているわけでもなくそれを保証するというのは、設置基準や認証評価といった法で定められた規制でないのに、それをそのまま認可だけで進むことに強い懸念を感じます。
 その会議では学位とか国際基準の議論もされているみたいなんですけど、むしろもっとややこしくしているように思います。留学生のことも視野に入れているようですが、これは海外の大学院でも適用されるんでしょうか。きちんとした手続ができる学校でないと、ディプロマ・ミルとかそういうことを指摘されないかということもありますし、本来であれば、現行の認められている大学院の進学の実態や今後の在り方から実態を確認した上で、それを延長すべきか、それをやめるべきか、見直すべきかを議論すべきなのに、専攻科をつくれば自動的にそれを認めるというのは拙速だと思いますので、私は現時点ではこういうことはしなくていいと思う、議論はその前の段階で、実態の把握が必要かと思います。
 そもそも大学等と専修学校というのは、異なる制度で異なる選択肢としてすみ分けているからこそそれぞれの特色があるのに、今回の政策では、ここに書いてあります、大学等と制度的整合性を高める措置って、どうにもよく分からないんですけど、だったら大学の専修学校も全部統一した設置基準にすべきではないでしょうか。せっかく専門職大学というすみ分けの選択肢もできたのに、それより甘い条件で同等の立場を与えようとしているしか解釈できないですので、これは専門職大学に対しても失礼じゃないかと思います。せっかく一生懸命設置認可申請されたのにですね。
 でも、どうせ法については見直すつもりはないということは理解しましたが、だから各条件についてお伺いしたいんですけど、まずはここにある入学資格の改正について、これは当然入試制度も大学に合わせるということで、現在11月まで合格通知を出しちゃならないといったことまで厳しいんですけど、専門学校はそれより前に合格通知出したりしている実態があります。これも制度化するということでよろしいのか。
 それからもう1つ。自己点検評価を義務づけるというのであれば、先ほどもありましたとおり、大学等に準じたということであれば、専門学校の認証評価機関をつくって、今後認証評価を受けさせることを義務づける予定であるかということ。
 それから、3点目、先ほど修学支援制度の適用がありましたけれども、現状、大学院は修学支援制度がないのに、専攻科のところだけ就学支援制度を適用するというのもおかしいし、そもそも今、都道府県所管である専修学校と大学・短大の修学支援制度の機関要件が、非常に要件が違う、不公平な感じです。そもそも私はそういった機関要件自体廃止してほしいと思っているんですけれども、それはさておき、ここで言及されているということは、やはり専修学校も、専門課程については都道府県知事所管じゃなくて文部科学大臣所管として高等教育局が掌握しないと不公平がどんどん加速するのではないかと思います。
 これらのことをしてもらわないと大学等との整合性もへったくれもないと思うんですけれども、さっきの入学制度、それから認証評価の義務づけ、そして修学支援制度を受けるのであれば、専門課程は高等教育局所轄とする、文部科学大臣所轄とするのがあるべき姿と思いますが、これらについて、学校教育法の改正はこうするとして、省令等で制度化される予定があるのかどうかを教えてください。
【石橋生涯学習推進課長】  志賀委員、ありがとうございます。
 まず、入学資格に関しましては、少し専門的なお話になって恐縮ですけども、大学の入学資格と専門学校の入学資格がずれていたのは1点だけでございまして、高等専修学校からの入学が大学の場合には認められていない場合があったというところでございます。ただ、今、高等専修学校は、もう既に98%程度、高卒と同様の資格をお取りになれる課程になっておりますので、ここは合わせても問題がないという整理の中でさせていただいております。特に入試の仕組みというよりは、入学の資格のところを合わせさせていただくということでございます。
 それから、認証評価に関しましては、ここで書かせていただいておりますように、まずは努力義務で始めさせていただきたいと思っております。実際、今、専門学校の関係者の中で、この専門的な認証評価ができる機関、こういう評価ができる機関について様々な議論をしていただいておりますし、現在4つほどの機関が、それについて自分たちも対応できるということを言っていただいておりますので、ここでまずは始めていきたいと思っております。
 それから、修学支援の仕組みも、現在、専門学校に関しては出していただいている状況になっておりますので、ここに関しては、学部の段階である専攻科については認めてはどうかということで、今、議論を進めているところでございまして、大学院レベルというところではございませんので、それは学部の段階と同様の扱いにしたいと思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。志賀委員、どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。
 逆に、むしろ私は専修学校の関係者がどのような認識であるか分からないんですけど、本当にこれでいいのかなという気はします。先ほどからちょっと専門学校の皆様には失礼と感じる言及をしたかもしれませんが、私は、専門学校というのは大学ほど厳しくない設置基準と都道府県所轄という地域性に基づいて弾力的かつ柔軟な運営することが特色であり、それをもって、いわゆる一条校とすみ分けしていると思っていました。今回の改正は、その特色を捨てるような制度改正に見えるなというのが率直な感想です。
 専門職大学の際は申請するかどうかということを選択できましたけど、それでも初年度は、それこそ吉岡先生が「総じて準備不足」とコメントされるほど制度改正の認識に乖離がありました。今回は、専門課程の学校全てにこういった義務化がされると。私が先ほど言ったほどのことじゃなくても、どんどん縛りが強くなっていく中で、大学よりも非常に多様で柔軟な設置体制を持っている専修学校がついていけるのかということを非常に危惧しております。
 だから、大学だけじゃなく、専門学校も含めて淘汰を促すという、潰せというのが文科省の方針であれば、文科省の方針としては筋が通っていると思いますけど、私はこの安易な淘汰については反対の立場ですので、このような形で中教審での各教育課程の位置づけの答申も待たずに、こんな議論がひっくり返るような制度になってしまったことは大変残念に思います。
 以上は感想なので別にコメントとかは要らないんですけど、ですから、今後、大学の認証評価というのは、今、名のり上げていると言いましたけど、ガバナンスですとか財務ですとか情報公開ですとか、私学法に基づいて今のところ専修学校はやらなくていいというところも踏み込んでおります。これらについてもちゃんとやってもらわないと質保証できないというところも視点に入れていただかないと、ほかの認証評価機関との比較で、やっぱり緩いままじゃないかと言われてしまいますし、本当にこのような特色分けじゃなくて、どんどん大学に近づけるということがいいのかどうかすら分かりません。
 ですので、今回の大学院への進学というのは、これも――ごめんなさい話が長くなって。ドイツも、専門職大学と普通の大学とでは、ルートとしてはクロスしてはいけないという議論が専門職大学の設置の際にあったと思います。それを現時点でも許しているのに、それが、リカレントはともかく、リスキリング教育の推進になるのかどうかということも疑問に思います。これは少し時間をかけて協議しないといけないと思いますので、現時点では、私は反対です。
 私からは以上です。すみません、長くなりました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。コメントはなくてもいいということですが、せっかくですから、今後の考え方、方向性だけ述べていただければと思います。
【石橋生涯学習推進課長】  志賀委員、ありがとうございます。御懸念いただいている点については、私たちもきちんとお答えできるような議論をしていかなければならないと思っておりますけれども、実際、専門学校も今、先ほど実際はどうなのかということがございましたので、今後具体的な基準を御議論いただくときに、その実態もお示しさせていただきたいと思っております。やはり専門学校を修了した方々が先に大学院で勉強したいということをお考えになったときに、その道が閉ざされていることはよくないのではないかと担当としては思っておりまして、このような議論の中で、いろいろな方々が学んでいける、そういう道をつくっていく必要はあると考えておりますので、また引き続き、御意見をいただきながら制度設計を進めていければと思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  これはまた出てくるということでよろしいでしょうか。
【石橋生涯学習推進課長】  そうです。
【永田分科会長】  麻生委員、どうぞ。
【麻生委員】  厳しい意見を志賀委員がおっしゃいましたけど、私の感想としましては、2年制の専門学校は、短期大学の制度に似てきたなと思います。短期大学は専攻科を置くことができ、専攻科を置く場合認定専攻科があり、学位授与機構から認定を受けることができます。一番の違いは学位があるかないかです。それがここで読み取れ、この場合は学位ではなく称号であるという点です。あとは、第三者評価が努力義務となっています。努力義務の件に関しては十分理解をいたしました。
 そこで、1つだけ質問ですが、実際に専門学校には文部科学大臣認定の職業実践専門課程があり、これとの関係がどのようになっているのかを質問させていただければと思います。
【石橋生涯学習推進課長】  ありがとうございます。職業実践専門課程については、特に企業との連携、それから実習をしっかりしていく、そしてカリキュラムについても企業の方々に話を入れていただくような形で進めてきておりまして、これはこの後も認定をきちんと進めていきながら増やしていければと思っております。
 この中で、今、企業の方々に入っていただいて評価をしていただくという仕組みがございますけれども、これをできれば、今、法律で決めていきます努力義務になります外部評価というものに置き換えていけないかというところを今、学校のほうとも御相談させていただいている状況でございます。
【麻生委員】  ありがとうございます。
【永田分科会長】  最後の評価のところの義務づけ、確かに外部評価については早めに対応できるようにお考えいただきたいと思います。ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。曄道委員、どうぞ。
【曄道委員】  丸3にございます専攻科についてお伺いをしたいんですけれども、その下に説明がありますが、特定専門課程を修了したものなどがより深く学び、研究することを目的とした課程ということで、この「など」のところには、ほかにどのような資格があるのかを教えていただきたいと思います。
【石橋生涯学習推進課長】  ありがとうございます。例えば短大を御卒業された方とか、大学を御卒業された方とかも入ってこられる可能性があるかなと思っておりまして、そういう……
【曄道委員】  専攻科のほうに1年学ぶことができる方たちは、そういう方たちも含むということですね。
【石橋生涯学習推進課長】  はい。例えばですけれども、看護師だと3年間の課程を経た上で、看護師資格を持って助産師や保健師をお取りになれるという資格があると思います。それが専攻科として設置された場合、看護師資格をお持ちの方が入ってこられることも可能性としてあるかなと思っておりましたので、「等」というところで表現させていただいています。
【曄道委員】  私ども助産学の専攻科を置いたものですから、ちょっとその違いが少し混乱したものですからお伺いしました。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 多委員、どうぞ。
【多委員】  ありがとうございます。資料5‐1についてでありますが、専門学校関係者の立場から、これまでの経緯も含めて一言申し上げたいと思います。
 本件につきましては、これまで公益社団法人東京都専修学校各種学校協会で所管をしております専修学校振興構想懇談会という会議体におきまして、職業教育のさらなる質保証、また、向上といったものを念頭に置いた議論を進め、その結果を報告書として取りまとめたことに端を発しているわけであります。その報告書を文部科学省の専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議に取り上げていただきまして、同会議において、その内容を精査しながら議論が深められていったわけであります。
 こうした状況を踏まえまして、全国専修学校各種学校総連合会では、職業教育の質保証・向上や専門学校教育の国内外における通用性の確保などを目途といたしました専門学校における制度整備の方向性について取りまとめをいたしまして、その結果を職業教育体系の確立に資する専門学校の制度整備についての要望といたしまして、協力者会議で座長宛てに提出をさせていただき、受理をしていただきました。
 最終的には、協力者会議での議論が「実践的な職業教育機関としての専修学校の質保証・向上と振興に向けて」と題しました報告書にまとまりまして、これが先ほど御説明いただきました学校教育法の一部改正、専門学校の制度改革案、資料5‐1につながったものと思料しております。
 今期の通常国会を経て、令和8年の4月から施行される見通しであることを十分に踏まえまして、先ほど、志賀委員のほうからも種々御指摘をいただきましたが、我々も段階を踏んで議論を深化させてまいりましたので、今後、高等教育機関としての専門学校における、より一層の教育の充実、質の保証向上及び経営の健全化などを目指してまいりたいと考えているところでございます。
 本件につきまして、御尽力いただきました関係各位には感謝を申し上げますとともに、大学分科会の先生方より御理解を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。コメントです。
 そのほか、いかがでしょうか。
 志賀委員の御意見も、複線化をどのように今後日本が見ていくかということと大きく関連しています。日本は割と複線化を嫌がっていました。それが一旦、いろいろなものができて、またここで若干その一部が1.5線ぐらいになるのはどうかという議論でもあると思います。重要な観点は残っているので、具体的な省令等の時にもう一度御議論いただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、よろしいでしょうか。
 続きまして、教育未来創造会議の第二次提言が去年の4月ぐらいに出ていた事項です。国立大学の授業料に関する改正事項があるので、事務局から御説明をお願いいたします。
【井上国立大学法人支援課長】  資料の6を御覧ください。
 今、会長から御紹介がありましたように、昨年の4月の終わり頃に、教育未来創造会議のほうから、未来を創造する若者の留学促進イニシアティブというところで提言をいただいた内容への対応ということでございます。
 提言いただきました内容は、丸1、丸2にある内容のとおりとなっております。
 丸1においては、留学生の受入れの質の向上を図るために必要な対価の徴収としての授業料の設定の柔軟化を図るという御宿題、また、留学生の定員の弾力化というところです。
 丸2におきましては、海外分校の設置に係る環境整備をしっかりやるというところを提言いただいた次第です。こちらの提言に対しまして、今般、この矢羽根の赤字のところにありますが、国立大学につきましては、授業料に関して、その標準額という形で省令がございますので、その改正を行い、令和6年度からの施行ということで考えているところでございます。
 内容につきましては、丸1、外国人授業料の設定の柔軟化というところでございます。
 ここにつきましては、真ん中にございますように、受入れのための環境の整備等を考慮して、特に必要があると認めるときには標準額にかかわらず設定できるということ、また、丸2におきましては、海外分校につきましても、所在する外国のほかの大学の授業料等を考慮して設定できるということで考えております。
 先月までパブリックコメントを実施しておりまして、現在、そのコメントに対する考え方を整理しているところでございますけれども、そういったことをしっかり踏まえた上で、令和6年度からの施行ということで進めてまいりたいと思ってございます。
 また、定員の弾力化のほうにつきましては、現在、まだお示しできるものをまとめているところではございませんけれども、事務的な案も少し詰めて、また御議論いただくということで考えてまいりたいと思っております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見等をお伺いいたしますが、いかがでしょうか。
 外国人の授業料等の設定の柔軟化です。下げるというよりは、多分、上げることが考えられる内容だと思います。実際に日本人とは違う手間がかかるというのは事実だと思います。その分を上乗せするというのも合理的かと思います。かなり局面が変わりつつあるものを反映した内容であります。
 2つ目のほうは、高過ぎても安過ぎても文句を言われるわけで、やはりその現地の事情があって、安過ぎるとダンピングみたいになってしまいますし、高過ぎると設定できないということがあって、経営的にもということで設定できるということになっています。
 よろしいですか。
 平子委員、どうぞ。
【平子委員】  質問なんですけれども、外国人留学生ということでいろんな国があると思うんですが、その国の物価とか、あるいはその国の大学の標準的な授業料とか、そういったことを考慮するようになっているのでしょうか。
【井上国立大学法人支援課長】  ありがとうございます。制度上は、そういったところはオープンにしております。その上で、各大学でどういった考え方で設定をされるかというところに、今、委員がおっしゃるような観点を含める大学もおありになるのかなというところは想像いたしますが、いずれにしても国で一律に何かというよりかは、もうオープンにして自由に設計いただけるというところを大切にしております。
【永田分科会長】  国内の授業料についても、同じような意見は当然あると思います。多くの場合は授業料を値上げしたその部分をもって奨学金に充てるというような大学がたくさんあるので、そこは各大学の考え方があると思います。要するに、プロフィッタブルなものとしてこの授業料を設定しているわけではないという話です。
 曄道委員、どうぞ。
【曄道委員】  今、平子委員からの御質問の延長なんですけれども、そうすると、今、国立大学さんが対象となるということですが、世界の各地域から来る留学生に対して、地域ごとに授業料を設定するといったようなことも可能になるという解釈でよろしいでしょうか。
【井上国立大学法人支援課長】  もちろんそうです。そこも含めて自由にということになります。少し補足として申し上げれば、各国、結構、海外からの留学生は国内と違ってそういった手間暇、ケアがかかるということも含め、かなり高い授業料を設定されているのが多いほかの国々の状況と、その上で国ごとにやるのか、その国の中でもやはり非常に収入の多寡等あると思いますので、一概に「この国だからこう」ということかは分かりませんけれども、ただ、様々なところから優秀な方に来ていただきたいと言ったときに、そういった点も含めてどう考えるかというのは検討を各大学のほうでされていくかなと思っております。
【永田分科会長】  曄道委員、どうぞ。
【曄道委員】  今、ここに記載されていることだと、「特に必要があると認めるときは、外国人留学生の授業料などを設定できること」という、「特に必要がある」というのは、今、資料の一番上の丸1にある学習支援、相談体制の充実といったものがこれに当たるのでしょうか。
【井上国立大学法人支援課長】  そういったものも当然当たりますし、いろいろな環境整備が恐らく必要だと思いますので、そういった必要な取組をするためということであれば、あまり細かくこちらがこれこれというのではなく、示していただいたものを確認の上という……、確認というか、実際、授業料自体はもう大学が決められる状況になっておりますけれども、そういったことをちゃんと示しているかを世に対してちゃんと説明していただくということかなと思います。
【曄道委員】  分かりました。ありがとうございました。
【永田分科会長】  諸外国では、隣の州からは高い、さらに外国からは高いということはあるわけです。ただ、この理念は、留学生にしっかり教えたいということが基盤にあり、ある一定額を設定すべきだと考えます。奨学金で多寡をつける部分は問題がないのではないか、より全体の経済レベルが低い国はたくさん奨学金を出すということであれば、そこは同じことになると思います。ただ、理屈とすれば、ある国はとても手間がかかりますとか、ある国は手間がかかりませんという設定は多分できないので、そこは少し違うと思っていて、どちらかといえば奨学金で調節するのがよいのではないかと思っています。各大学のお考えを阻むものではありませんが、それが妥当ではないでしょうか。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 髙宮委員、どうぞ。
【髙宮委員】  ありがとうございます。質問ですが、こちらのほうに丸2として「海外分校の設置促進に向けた国内制度等見直し」という言葉がございまして、丸2の下のほうのところでも、それについての言及がございます。具体的に、今後、分校設置促進に向けた国内制度見直しというのはどのようなスケジュールで、どんな見通しで進んでいく予定なのか等、御教示いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
【井上国立大学法人支援課長】  ありがとうございます。これは非常に大きな話なので、何か具体のことがたくさん動いているわけではなく、1つ、マレーシア分校を筑波大学さんのほうで設置されるというところが、これはもう外交案件になって、ずっと積み上げられた経緯がございます。その中で特にネックとなっておりましたのがこの授業料というところでございまして、そこは1回、これで仕組みとしては解消されると。その他、今後進めていくに当たって何か国内の制度上の隘路があるときには、我々は速やかに相談に乗って対応していきたいと、ほかの国の案件が出てきたときも同様に考えているところでございます。
【永田分科会長】  具体的に分校設置のための何かということではないが、案件ごとに考えるということだと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、この点につきましては、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
【井上国立大学法人支援課長】  ありがとうございました。
【永田分科会長】  ここからが今期のこの大学分科会、それから、その下の特別部会の一番メインのテーマです。1時間ぐらいあると思いますが、高等教育の在り方に関する特別部会の現在の議論の状況をお伝えして、皆さんと議論をさせていただきたいというものであります。
 それでは、資料7‐1、7‐2の御説明をお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】  高等教育政策室長の髙見です。昨年9月に諮問されました、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方につきまして、大学分科会、また大学分科会の下に設けられた高等教育の在り方に関する特別部会で御議論いただいているところでございますが、その議論の状況について、資料7‐1及び資料7‐2に基づいて説明いたします。
 まず、初めに資料7‐1を御覧ください。「これまでの特別部会等における主な議論」というタイトルの資料でございます。
 本資料でございますが、これまでの特別部会、また大学分科会等におきまして御議論いただいた主な内容につきまして、今後の議論の指針となるよう、背景、高等教育の目指すべき姿、教育研究の質のさらなる高度化、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保、そして、高等教育全体の適正な規模という観点で、事務局において整理したものでございます。
 1ページ目の1ポツ、背景としましては、急速な少子化の進行、また、経済・産業・雇用の変化、また、学修者本位の教育への転換など高等教育改革の推進、そして、遠隔教育の普及、さらには初等中等教育段階の学びの変化、研究力の低下について、ポイントとなる事項をまとめております。
 また、1ページおめくりいただきまして、2ページ目でございますが、高等教育の目指すべき姿といたしましては、例えば、知の総和の維持・向上に向けて、教育研究の質の高度化を図るとともに、一人一人の能力を最大限高めることが必要であること、また、高等教育政策の目的として、質、アクセス、規模を設定する必要があること、さらに高等教育の多様性の確保ですとか、高大接続の推進、さらに、高等教育機関間でも流動性の確保、そして高等教育機関と企業等との意識ギャップの解消、また、これからの時代を担う人材に必要とされる資質・能力の整理、自律性の向上の必要性などについて、全体として整理をしてございます。
 また、3ページ目以降になりますけれども、3ポツ、教育研究の質の更なる高度化といたしまして、学修者本位の教育のさらなる発展、多様な価値観が集まるキャンパスの実現、大学院教育の改革を、さらに、次のページ、4ページになりますけれども、地域における質の高い高等教育のアクセス確保としまして、地理的観点、あるいは経済的観点からの高等教育機関へのアクセス確保の必要性、また、5ポツの高等教育全体の適正な規模といたしまして、18歳、国内、対面にこだわらない柔軟で多様な制度、また、意欲的な経営改革への支援や縮小、撤退を見据えたリソース配分の最適化などを通じた高等教育全体の適正な規模などについて整理をしております。
 また、別途、資料7‐2といたしまして、これまで御議論いただいた分科会もしくは特別部会、さらには総会のほうで御議論いただいた内容について、先ほど申し上げたような項目を内容に沿って整理をしておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 私からの説明は以上でございます。
【永田分科会長】  御質問でも御意見でもいいのですが、特別部会に出ていらっしゃる方の質問はないかと思います。そうでない方々から、「これはどのような意味だろうか」というようなことがあれば、先にお伺いしたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。書いてあることのこの辺の意味がよく分からないとか、今の説明の意味が分からないとか、それほど難しいことは言っていないと思うのですが、ずっと議論していると慣れてしまいます。何で東京と都市部と地方と分けるのかというような意見は出てきても不思議がないし、分けて考えないといけない事例は述べることができます。このようなことがあった場合にどうなのでしょうということは述べることができます。それは多分、皆さんもお分かりいただいてるかと思います。
 ご質問があれば途中でまたお答えするとして、基本的にはこれに捉われてもいいし捉われなくてもいいのですが、今後の在り方として、ここの急所は抑えてほしいとか、特別部会でここについてはもっと深掘りしてほしいというような意見が、特別部会としてはありがたいのではないかと思います。あるいは、これはあまり仕方がないと言われるようなものもあるのかもしれません。自由に御発言いただいて結構でございます。いかがでしょう。
 
全員が5分ずつ御発言されると終わるので、御発言は2分半程度に収めていただきたいと思います。
 小林委員、どうぞ。
【小林委員】  質問ですけれども、国公私の設置者別の役割分担の在り方については、この本会でもいろいろと議論はあったんですけれども、多様性がある中でくくるのは難しいという議論があって、この特別部会でも、見てみると同じような意見がずっと出てきているんですけれども、この設置者別の役割分担の在り方についてはどのようにおまとめになるおつもりか、お伺いしたいと思います。
【永田分科会長】  先ほどの資料7‐1を見ていただきますと、基本的には諮問にあった文言なのですが、抜けていると思うのです。あくまでも機能とか地域柄を考えなければいけないということなので、その部分については、それを話した後に最終的な役割の大まかなものが出れば書き込むつもりですが、今のところは一旦外れていると思います。
【小林委員】  分かりました。
【髙見高等教育政策室長】  補足ですけれども、5ページ目の一番最後の米印で、そういった意味では追記はしておりますけれども、今後議論を深めていただけないかと思っております。
【永田分科会長】  諮問に書かれたような雰囲気ではない、ロケーションとか機能で考えないといけないということです。
 濱中委員、どうぞ。
【濱中委員】  よろしくお願いいたします。
 先ほど、永田先生から「特にここは」というようなお話があったんですけれども、逆に、特別部会のところで、特に重点的に議論が盛り上がったところがあれば、それがどこなのかを教えていただければ幸いだなと思います。よろしくお願いいたします。
 
【永田分科会長】  概要として言ってしまえば、まだ概要ですが、人が減っていく中で、知の総和を増やすという二律背反がここに入っています。人が減るが、我が国の高等教育を受けた人たちがもたらす知の総和は増やしていかなければいけない、これは難しいことですが、その中で、当然、社会人や留学生の話は出てくるわけです。
 少子化だけを理由にして議論しているわけではなくて、どちらかというと、今、話題はだんだんインクルーシブな社会があるということをどのように認め合っていって、その上で、この知の総和を増やすという部分が実は難しくなってまいりまして、これを実現するために、今のところあまり明快な知恵は出ていません。一部の意見はあります。
 どのようなことかというと、例えば、大学院への進学率を上げるといって、個々の学びの質を上げるのは当然ですが、それ以外にマスで考えたときには、例えば、もう少し大学院に進学することを推奨するというような意見は出ています。それはマスで見たときの全体の知の総和が上がるだろうという施策にはなると思うのです。人口は減るが知の総和は増やすという、二律背反的に難しいのですが、これを何とかしないと乗り切れないので、こちらに行ったりあちらに行ったりしながら、今、話をしているという感覚であります。
【濱中委員】  ありがとうございました。とてもよく分かりました。
【永田分科会長】  森委員、どうぞ。
【森委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 内容については、納得をしながら聞かせていただきました。ただ、この1の背景のところの白丸2つ目の、3つ目ですかね。人材が不足しているというところでございますけれども、今、日本商工会議所の調査や、帝国バンク様の調査でも、圧倒的に働き手不足という結果が出されている中で、ここではもう非常に端的にITで補完するというのみ書かれているのですが、もう少し幅広い所見でもいいのかなと思ったところですけれども、そこに関してはいかがでしょうか。
【永田分科会長】  ありがとうございます。前回の特別部会で真意が伝わらず失敗した部分があるのですが、エッセンシャルワークというのはやはりあって、どうしても人が欠かせない仕事はたくさんあると思います。それは必ずしも医療とか掃除みたいな話だけではなくて、やはり人がどうしても関わらざるを得ないことはあるという認識でいます。それを確保するために、なるべくそれ以外の仕事はITでやってもらえるようにしたいという意識でここは書かれていると思うのです。皆さん、人でないとできないということはきちんと理解した上での話だと思っております。
 問題は、そこすら減っていくというときにどうしたらいいのかが、これまた本当に難しくて、ITとかロボットで助けてもらうのはいいとしても、やはりどうしても必要な部分をどうするかというのは、かなり乗り越えるのが難しい議論かもしれません。今、そういう状況です。見つけないといけないと思います。具体的に見つけないと先へは進めないので、何とか見つけたいと思います。
【森委員】  ありがとうございます。表現の問題かなというふうに思います。
【永田分科会長】  はい、そうです。
【森委員】  また、よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】  資料を拝見しまして、非常にたくさんの難しい問題を含んでいると感じております。
 その中で1つ、4番のところ、地域におけるアクセス確保、教育機会の確保ということですが、地域という観点からは、地域振興などのための教育研究資源の確保という意味で、大学の果たす役割はかなり大きいかなと思います。例えば、地域連携プラットフォームの参画機関、あるいは代表機関としての高等教育機関、そういった視点が地域というところでもう一つ必要なところかなと感じました。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。類似のことは話し合われていますが、少し文章や単語で掘り起こせていないと思うのですが、重要な観点かと思います。
 そのほか、いかがでしょう。今みたいな御質問でも結構ですし、御意見でも結構です。いかがでしょう。
 古沢委員、どうぞ。
【古沢委員】  ありがとうございます。この中で、地域における質の高い高等教育へのアクセスを確保するというのを1項目設けていただいて、非常によいと思っております。
 質問ですけれども、ここの7‐2のほうをよく読み込んでいないからかもしれませんが、2ポツのところで、高等教育機関間での流動性の確保を図るべきではないかというのは、教員間だけでなくて、学生についても具体的に論議をされているのかということです。個人的には、やはり学生についても、編入などを含めて流動性を確保できればいいと思っているんですけれども。
 もう一つは、定員管理のところですけれども、「定員管理の柔軟化」と、その次の「定員割れ大学を統合した場合のペナルティ回避等」とあるんですが、定員管理の柔軟化はどういう方向で議論をされているのかというのをもうちょっと説明していただければと思います。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  前半の部分の、高等教育機関間での流動性の確保を図るべきというのは、御指摘どおりです。頭脳循環という意味での、教職員もありますし、それから、学生さんも広がりましょう、大学等連携推進法人のようなプラットフォームがなくても、今、いろいろな大学にアクセスができるので、そのようなことを広めていきましょう、これがないと、だんだん教える先生がいないという科目が出てきたときに困ってしまうので、そのようなことは必要だと思います。
 それから、定員の流動化あるいは設置基準の中での定員の捉え方ということについては、非常に複雑です。複雑というのは、それをどうしたら何が起こるかが実に難しい条件設定になっています。ですから、意見としてはいろいろな意見があります。例えば、留学生を外枠にするようなことです。それだと留学生が増えるわけではないように思えますが、そうでもなくて、100分の30なのか、130分の30なのか、大して変わらないということです。ですから、その以前の問題のほうが大きくて、留学生を留学生だと思うかどうかです。我々が本気で学問というものの多様性を広めるのに、多様な、本当にいろいろな方々がいるというのが普通かどうかということのほうがやはり大きいです。
 そのような意味では、実は流動化しようと言って、そのような問題もあるし、それから、自分のところで十分に教えきらないものを、例えば、これは私見ですが、プラットフォームを組むような、大学等連携推進法人のようなところで回してもいいのではないかというのに類するような意見もありました。これは議事録に残っているわけではなくて、私が聞いていて思ったことがありました。
 正直に申し上げると、今回の答申の目玉かもしれなくて、そこでしか対処できないことが山のように出てくるのではないかと思います。つまり、定員問題を除いては絶対にこれは書けません。定員を縮小すればいいと言うと、先ほど申し上げたように、知の総和が下がってしまうので、それではいけませんが、少子化が進み増やすこともできない中で、定員をシェアするというようなこととか、あるいは、パートタイムで勉強している人も定員の一部に数えてほしいという意見がありました。それは何の意味があるかというと、生き残りではなく、学びの幅を広げるという意味でそのようなことも可能だろうということです。
 ですから、私自身としては、正直に申し上げると、この定員のまわりは今回の答申をつくるときの具体的な提案として非常に重要なアイテムだと思います。結局、そこに触れざるを得ないので、触れるならば、それを最大限有効化できるような方策を書き込まないといけません。話しているとすぐ定員に引っかかり、特に国立大学はもう増えるも減るもないような状況なので、必ずそのような話が出てきます。
 一部、私の印象で申し上げました。事務局からご意見があるようです事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】  若干、補足でございますが、例えば、学則上の定員を維持したままで募集定員、もしくは募集定員を縮小するといった方法はあるのではないかといった御提案も、委員の方からいただいたところでございます。
【永田分科会長】  まだ、そういうのが百出しているという段階です。
 松下委員、どうぞ。
【松下委員】  ありがとうございます。
 7‐2の2ページから3ページにかけてのところですけれども、高等教育政策の目的として、質、アクセス、規模の3つを挙げられたということです。1点目の質問は、質とアクセスは目的として分かるんですが、規模というのは目的なのか、何らかの条件なのか、ということです。規模を目的に入れるということについてもう少し御説明いただければと思います。
 もう一つの質問は、3ページの3行目のところで、「今後大学や学部の数はある程度ダウンサイズせざるを得ない」と書いてあるのですが、どうダウンサイズするのかということが非常に大きな問題になると思います。
 今でも、例えば、近畿地区でも幾つかの有名な大学が、学部を増やし、また定員も増やして入学者も増えている。けれども、中堅よりも下ぐらいのところは入学希望者がかなり減少しているということで、二極化のようなことが進んでいます。学生や保護者は、やっぱり、いわゆる名の通った大学に行きたがる、あるいは行かせたがると思いますので、このまま進むと、非常に偏った形で、生き残れるところと生き残れないところに分かれていくと思います。このダウンサイズを図るときに、どういう形のダウンサイズを考えておられるのか、そこに何らかの形で政策が介入していくのか、市場に任せるのか、その辺りをどういうふうに考えておられるのかを伺いたいと思いました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。実際問題としては、概念的な意味でのダウンサイズは、これは経営とは関係なく、全体の人口動態から考えたときにダウンサイズが必要だというだけです。どう指導するかというのは、1つ前の期のときに、大学が撤退するときの面倒はきちんと見なければいけない、学生さんの手当てはしなくてはいけないというのが1つの施策であったのですが、今、松下委員がおっしゃったことも実は問題になっています。1回設置してしまったものをどうするかというのは非常に難しいのですが、今後の設置に関してはまだ考え得る、それから、過去に設置したものも認証評価の位置づけを変えることで対応できるかもしれないぐらいであって、強者が弱者を駆逐するという可能性は、政策的に今、なかなか排除できないでいます。これからだと思います。これをきちんと政策的に活用できるような、何か良いアイデアを生み出さないといけないのですが、できていません。ありがとうございます。大変気になることなのですが。
 事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】  高等教育政策の目的のところで、質、アクセスと規模という話がございましたが、これは第1回の特別部会で、濱中国立教育政策研究所の先生から御発表いただいたんですけれども、その中で、イギリスの研究者の高等教育財政の目的というところで、質、アクセス、規模ということで、質は教育研究の質を高めること、そして、アクセスは教育機会均等の達成をすること、そして3つ目、規模というのは、社会的に適正な規模の高等教育の機会を供給することと、こういったことが高等教育財政の目的であって、それが高等教育政策の目的イコール追求すべき価値というふうに先生はおっしゃっていましたけれども、そこはニアリーイコールではないかということで、高等教育政策の目的ということでここに掲げさせていただいたところでございます。
【松下委員】  今、言われたサイズというのは、1つの大学とか学部としてのサイズですか。
【髙見高等教育政策室長】  社会的に適正な規模の高等教育機会の供給なので、むしろ全体というイメージのほうが強いです。
【松下委員】  全体として、総和としてということですか。
【髙見高等教育政策室長】  はい、そういうことでございます。
【松下委員】  はい、分かりました。それは結構アクセスに近いかなとも思いますけれども、分かりました。
【永田分科会長】  アクセスには当然ロケーションも入ってきています。
【松下委員】  はい、入りますね。そうですね。
【永田分科会長】  結構、東京と都市部と地方を真剣に考えると、何か別のパラメーターで動いていて、実はこのアクセスの中身は結構、先ほど申し上げた東京と都市部も全然違うことが分かってきました。なかなか難物で、先生がおっしゃるとおりですが、全体のサイズのことも言及しつつ、実は3つのロケーションに分けて考えて、それを統一的にまた見なければいけないという、何か非常にややこしいことになっています。
【松下委員】  はい、分かりました。
【永田分科会長】  相原委員、どうぞ。
【相原委員】  私もダウンサイジングのことについてですけれども、例えば、入学定員を半分に減らして、その代わりST比をもっと下げて、質の高い、レベルの高い教育をする。そうはいっても同じ授業料では当然やっていけませんから、授業料を倍にしてという考え方はないのでしょうか。そうするといい教育ができるのではないかと、思ったのですけれども。
 それから、もう1点は、私が見落としているのかもしれないのですが、教員に関する視点がどこにもないので、例えば、多様な教員を採用していろいろな教育をする……、2ページの2の3つ目の丸のところで「世界水準の教育研究の推進や」と書いてありますけれども、教育の面でも多様な教員を世界中またはいろいろな領域から採用するというような視点の議論はなかったでしょうか。その2点です。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  前半は先生のおっしゃることに似たようなことをおっしゃる方もいらっしゃいまして、一律、国公私立150万円でいいではないか、それによって教育の質を高めようという意見もありました。それは政策上それでいいのかどうかは別として、逆もあって、ディスカウントしてでも地域で教育するという方もいらっしゃいました。それはいけないだろうと思いまして、教育は安くない、何か自分たちで安くしてしまってはいけないという話もしました。
 それから、頭脳循環の中で、世界の話も出ているのですが、給与が足かせになっていまして、なかなか活発な議論にはならない現状ではあります。御存じのとおり、あまりにも給与水準が諸外国と違い過ぎていまして、その話になると途端に「でも給与が」という話になってしまいます。何とか乗り越える議論をしたいと思います。
【相原委員】  ありがとうございました。
【永田分科会長】  髙宮委員、どうぞ。
【髙宮委員】  ありがとうございます。私も質問でございます。
 3ページの下のほうに関連してで、主にリカレント教育についてになります。
 ずっとこのお話の過程をお伺いしまして、確かに人生100年時代、予測不能な時代で、これからの高等教育をどうするかというと、社会全体の再組織化が非常に重要であり、よく言われるように、1回卒業しても何度でも学べるような環境づくりということを考えると、リカレント教育という言葉に集約されて、それが3ページ下のほうになっているのかと思います。
 他方で、資料7‐1を拝見しましたら、そのミスマッチに関する、リカレント教育の高等教育機関の供給との間のミスマッチという点が大分たくさん指摘されているようでありました。この辺りのミスマッチの解消方法であるとか、その後に書かれた「戦略的な対象者の設定」あるいは「収容定員との関係性の整理」とございますが、この辺りのリカレントに関連する問題を今後どのように進めていく予定なのか、少し詳細をお伺いしたいと思って質問させていただきました。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。実はこのリカレントに限らず、先ほどの全ての問題が、問題を出して整理する段階で、最終的に全てに具体的な施策に通じる具体的な対応を全部入れていかなければいけないのですが、そこに至っていません。認識はただあるというのを今、ここにまとめていて、これからこれにこのようなことで対応する、このようなことで対応するということを、今回はほぼ自分で課題を上げてそれを解決するというまとめにならなくてはいけないと思っています。皆さん、いろいろな例を挙げて認識はされましたが、これをどうするかというのは、まだ具体的になっていません。今はそのような現状です。
【髙宮委員】  ありがとうございました。
【永田分科会長】  そのほか、いかがでしょうか。
 和田委員、どうぞ。
【和田委員】  金沢大学の和田でございます。
 この中で、高等教育の目指すべき姿のところでございます。知の総和の維持・向上ということは必要だと思います。その際、案の研究で示されているところ、とても大きなファクターだと思います。その中の裾野の問題、高い頂の問題、いろいろな観点があるかと思います。研究力の低下について、分析だけじゃなくて、その次のステップについてはどのような議論がされているんでしょうか。
 
【永田分科会長】  今、研究力だけを取り上げた議論はされていません。前回の期と同じで、教育と研究を両輪でという状態にようやく認識はなっていて、以前であると、研究の部分はあまり中央教育審議会で話しませんでしたが、今、ようやくそのような話もするようになっています。
 その際に、やはり全体の底上げはもちろん必要ですが、それが可能かどうかという問題が残っていて、この辺りまでしかありません。これを具体的に進めると、多分いろいろな意見が出ると思います。例えば、このようなことを申し上げるのは嫌ですが、そろそろ護送船団というか、何でもかんでも支えればいいという問題と、今までとは違う選択と集中の在り方自体も考えなければいけません。施策の部分、対策の部分になるところまではまだ行っていないので、皆さんで、減らすととにかく下がるということだけは分かっていて、それは研究もみんなそうである、まだ具体的にそこまでしか行っていません。
 ただ、昔とは違って、今日も出ていましたが、教育と研究を両輪とする高等教育というのは一応残っていて、きちんと考えるようになっています。
【和田委員】  ありがとうございます。
【永田分科会長】  多分、ここは重要です。これは私の意見です。そこの部分で考えたときに、一番大切なのは実は地域だと思っています。地域で協力しないと、いわゆる真理探究の研究も社会実装の研究も、もう単独ではできなくなっていくのではないか。
 地方自治体の役割とか、それから、そのようなことを調和するコーディネーターを置けという話がありました。人は減るが、いろいろな高等教育機関、つまり教育研究機関がうまくシェアしながら、役割分担して全体を高めなければいけないみたいな話はある。
 そのために、コーディネーターを置けといった瞬間に、誰がコーディネーターをやるのかという意見が出て、難しいというところまでしか、まだ行っていません。それは事実そのとおりです。
 事務局、どうぞ。
【髙見高等教育政策室長】  先ほど、永田先生がおっしゃったとおりなんですけれども、資料7‐2はこれまでの意見を出されたものでございまして、例えば、17ページを御覧いただきたいと思いますが、研究力の強化ということで直接項目立てておりますが、大学院教育の改革ということで、今、文部科学省でも、博士人材の活躍とかそういった検討を進める中で、大学院教育においても多様な人材をしっかり育てていくという観点では既に御議論をいただいているところでございます。ただ、まだこれからの議論でございますので、今後、いただいた視点も含めて、今後も部会でも御議論いただくべきだと思っています。
【永田分科会長】  知の総和のところにも関わるので、大学院の重要性は指摘されて、具体的な対策はこれからです。
【和田委員】  ありがとうございます。
【永田分科会長】  そのほか、いかがでしょうか。
 曄道委員、どうぞ。
【曄道委員】  少子化の社会の中でということで考えたときに、先ほど相原先生がおっしゃられたように、定員が例えば減っていくということになったときに、授業料を上げたらといったような御提案というか1つのアイデアもあったと思います。それから、永田会長のほうからも、授業料の考え方についての御紹介がありましたが、こういった機会に、日本の高等教育の授業料はちょっと低過ぎるのではないかといった議論をもっとしていく必要があるかなと。
 私の経験からは、アメリカの私大と、例えば、交換留学の協定なんかを結んでいる中で、1対1の交換はどうも我々には不利だといったようなことをアメリカの大学は言い出すわけですね。授業料は3対1なんだから、交換留学も1対3でいいだろうみたいな話が出たり。
 これは、授業料そのものが教育の、さっき永田会長がおっしゃられたように、我々がどう値踏みをするかということもありますけれども、一種の評価にもなっている。実際に、大学の中で一番難しいのは、やはり人の確保ということの、人件費の部分だと思います。
 海外の有力大学が軒並み教員の数に比べて職員の数が多い状態で、研究支援であったり教育支援であったりを行っている状況下で、日本の大学は、私はもちろん全ては知りませんが、例えば本学の場合は、職員の数と教員の数は1対2の状態になっています。先般、アフリカに行って、ある大学でその話をしましたら、自分たちの職員に向かって「ほら、こんな数でできる大学だってあるんだぞ」といって紹介をされた経験がございます。
 やはり、これから研究力を強化するといったことを考えたときに、研究支援体制といったようなものももっと必要になると思いますし、教育力を充実させるといったことに対しても当然人員の増強が必要になります。特にこれから、留学生を増やそうという施策が今なされている中で、海外から教員を呼ぼうと思っても、いい先生は絶対日本に来ないんですね、今の授業料の設定の中で人件費を設定しようとすると。今、日本が、そういう意味では世界に対抗する力を失いつつある中で、少子化だからということではないかもしれませんけども、こういった機会にそういったことを併せて議論することも必要かなと。ただ授業料上げたほうがいいですという主張だけでは、経済的な弱者をどうするんだといったような議論も出てきますので、そこが私は、ぜひ公的な支援をお考えいただきたいなということも思っております。
 すいません、ちょっと何の意見を言っているのかよく分からなくましたけれども。
【永田分科会長】  いや、よく分かります。私は、授業料に関しては安過ぎるだろうという気がしますが、一方で無償化という方向も逆にあります。無償化の分は政府が出すというか、財務省のお財布が開かないと出ませんが、そこから出てくるわけです。
 そのような仕組みがあることを知っておいて、どう口をうまく開いてもらえるかというのは、国民の個々の家庭のお財布を開くのと、財務省のお財布を開くのとの問題なので、言葉が違って、とても違うように見えますが、実は似ております。財務省の口を大きく開けないと授業料が上がりません、つまり人件費が入ってこないということなので、事はそんなに簡単ではないと思います。
 これをぜひとも、価値のほうから先に理由づけをしていかないといけません。先ほど教育はディスカウントしないでほしいと申し上げました。それだけの知恵と知識が詰まったものを教えているはずなので、そんなに安上がりにできていいものではないだろうと思っています。これを先に確立しないといけません。
 そして、すぐには無理でしょうが、物価と一緒に給料も上がっていって、それで本当に諸外国に対応できるようになれば良いのですが。個々の大学の努力も多分必要で、プロフィタブルではないが、それを支えるマネジメント基盤もやはり上げないといけません。
 ですから、これはいろいろと出てくるのですが、誰が払うかは置いておいて、日本は教育にかける単価は安過ぎます。これは事実だと思います。誰が払うかという問題はあります。国立大学の財務諸表を見ていると、1人当たり百二、三十万かかっているのですが、授業料は50万ですから、何かおかしいという感じはします。
 村田委員、どうぞ。
【村田副分科会長】  今の曄道先生の発言にちょっと触発を受けたというか。発言しようかどうか迷ったんですが、今回の特別部会ができたのは、この前文を見ますと基本的に、やはり今の日本はGDPが下がっていきますよね、それから競争力が下がっていきますので、このままではAIのことも含めて産業が駄目になりますよねということで、生産性をどう上げるかが一番基本の問題なんだろうなと思うんですが、日本の生産性が上がらない要因は、一応私は経済学者なものですから、3つあると思っています。
 1つは、非正規雇用。非正規雇用そのものは、アメリカのレイオフと違って調整弁としての役割ももちろんあるんでしょうけれども、非正規雇用に教育がなされていなかった。それに対して今回、リスキリングはあるんですが、これが非正規雇用まで及ぶかということが1つだと思います。45%ぐらいが非正規雇用です。
 もう一つは、大学院の進学があまりにも少な過ぎる。低学歴社会。個の教育が、まさに知識集約型と言われている中で、残念ながら日本はそっちに全く行っていないという話。ですから、大学院がここに出てきているのは当然だと思いますし、私大連でも、大学院のリカレント教育が重要だという報告書をまとめさせていただいたわけです。
 もう一つは、既にこれは文科省のほうでも取り組まれていて、あるいは経団連のほうでもついこの間出ましたけども、理系の博士人材、まさに理系のシフトだと思うんです。
 まさにこの3つをどうしていくかが大きな、ある意味で生産性を上げていく。しかも、生産性の問題は、大学についての生産性の問題、鶏が先か卵が先かで、日本の生産性が低いのは、実は生産性が低いから賃金が低い。賃金が低いのは生産性が低いからなんですよね。これはもうはっきりいろんな研究で出ているんです。
 じゃあ、今、曄道さんがおっしゃいましたように、日本の大学教育が安いから、これを上げていく。私は上げたらいいと思います。むしろ上げるべきだと思っていますし、最近の実証研究では、私もやりましたけれども、いわゆる授業料と、それから――特に私立大学だけの授業料ではかるんです、国立大学はほとんど変わっていませんから、私立大学の授業料と志願率は全く関係ないんです。
 むしろ、今日ここの報告書にもありましたように、文科省が今、定員をきっちり管理されていますから。進学率の分母は高校卒業生で、分子は定員です。今のところ定員の管理がきっちりされていますから、分母が下がれば進学率は当たり前ですが上がっていくだろうし、それから簡単な経済モデルでも、18歳人口あるいは労働力人口が減れば、進学率が上がらざるを得ないと。これも簡単な分析で出てきます。そういうことで、進学率は上がっていくでしょうけども、じゃあ進学者数がどうなるかは、ここにも少し、50万少しぐらいかもしれないと。結局、生産性を上げるためには、高等教育が重要なんですが、高等教育の中でもやはり質をどうするかということが一番重要だということ。
 それともう1点、経済学者ですから、これを言うと教育の研究者からお叱りを受けるかもしれませんが、基本的に大学全体の収容定員が教育のサービスとしての供給側、そして需要側はまさに志願者数、ここが今ちょうど一対一で均衡していて、まさに全入時代というのが23年、24年に来ると言われているところで、これから超過供給になっていく可能性がある。
 じゃあ、超過供給になったときにどうするのか。それがまさに、ここに出てきたサイズの問題で、国全体としてそれをどうしていくのか。それは指導としてやっていくのか、まさに自由競争としてやっていくのか。あるいは、護送船団方式という言葉が出ましたけれども、私は5年以上前から最後の護送船団産業が大学産業だと思っていました。
 ここをどうするか。ある意味、大学の質をどう上げるかという中で、言わば、大学の在り方、学部の在り方等々をも考えていく。大学の質というのはすごく重要で、そこが担保されない限り同じ問題だと思うんですね。それを担保するためには、やはり、授業料を上げて質を上げていく。
 残念ながら、ST比はやっぱり効くんです。私はどちらかというと反対の立場に立っていたんですが、でもST比って大きいと思います。そういう意味では授業料を上げながらというところが重要になってくるのかなと、一応、経済学者の立場として言わせていただきます。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 先ほどから話していることをある1点から見ると、全部そこに乗っかっています。大学院の充実の話もそうですし、いろいろな話もそうです。
 違う形で申し上げると、最後の、どのような施策であるかは、次のような言い方をすると分かりやすいのですが、大学入学共通テストはこの間まで50万人受験していたのですが、ついに47万人まで下がってしまいました。目に見えて減っています。シミュレーションができていて、2030年のときに、今のままの正規分布で推移すれば、今、大学でとっている方々の、偏差値はあまり好きな言葉ではありませんが、大学に学びたいという最低限のレベルからいくと2割ぐらい足らなくなってしまいます。その2割を全ての大学が留学生か社会人で埋められるかといったらほとんど不可能です。
 ここからがいよいよ国策です。ただうちはもうこれ以上留学生をとれませんから滅びましたというのは、先ほどの段でいくと、結局日本中全然留学生増えなかったという結論になりかねないわけです。2割集められる大学は集めるでしょうし、しかも、ある一定の高い水準の学生さんを集める必要があるわけです。ですから、マスで考えると簡単ではありません。埋めても今程度です。先ほど申し上げたGDPが下がって、イノベーションが起こらないというのは、今のレベルで埋めてもそうなってしまいますから駄目です。それ以上に高いレベルで埋めなければいけないし、高い人々に変えないと変わりようがないわけです。
 ですから、究極今度は、一人一人の能力を上げるという、知の総和のほうの個人単位の能力を上げるというところが、例えば先生がもっと高いレベルで教えるようにしましょう、大学院まで行かせましょうというような話に今なっているわけです。非常に必然的な話です。
 国として、大学院へ進学してさらに勉強を続けるという、これをどういう施策にするかというのはかなり難しくて、先ほど専修学校の話でも出てきましたが、現在は奨学金1つとっても学部と大学院で仕組みが違っています。それを変えなければいけないので、大変大きなチェンジになります。
 しかし、我々はそれを何とか提言しなければいけません。この方法でやりましょうということを言えないと、今回のお話は何の意味もありません。課題だけ述べ合って終わりましたということになってしまうので、これはきちんとした提案が必要です。あと一、二回するとその段階に入っていくのだと思います。提案づくりの部分で、このようなことをやろう、このようなことをやろうとなります。それで夏から秋にかけて、皆さんで最終的な議論をしながら中間まとめとなります。先月、ようやく、3回目を開催しました。
【村田副分科会長】  もう1点だけいいですか。
【永田分科会長】  どうぞ。
【村田副分科会長】  杞憂――杞憂ではないと思うんですが、今、生成AIが、ChatGPT、この間は、画像をつくる、動画をつくるソフト、あれは本当、私も衝撃的だったんですね。恐らくゴッホの絵も描けるという話です。これからの若い人はAIが別に、パイソンが分かっていなくてもいいんですが、何ができて、何ができないのか、AIの基本的な仕組みというのがほぼ全員が分かっていないと駄目だと思うんですね。
 今、AI教える人がアメリカでも不足しています。競争力で言うと、強いのはやっぱり中国だと思うんです。そういう意味では、そこの教育を高等教育としてやっていくかいかないかというのは物すごく大きいと思うんです。
 というのも、IT革命、日本は失敗しているんです。生産性が上がっていない。アメリカは上がった。これはやっぱり人材育成ができていなかったから。これはもうはっきりしている。インタンジブルアセットというんですが、同じことが今起ころうとしていて、まさに最後のチャンス、AIのことを含めても最後のチャンスだし、ちょうど戦後の大学制度ができてから、今本当に大きく変える時、あるいは、ここで変えないと日本全体が駄目になるんじゃないかなと、私はちょっと、杞憂かもしれませんが、危機感を持っていますので、ぜひこの部会で、せっかく力強い永田先生がいらっしゃいますから、ぐっと変えていただければありがたいなと思っています。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 もう1つ、私も似たようなことを申し上げていて、アメリカの現状、確かに先生おっしゃるとおりで、今は量子科学を教えるのが普通です。一般の文系の子にも教えています。その基礎を知っていないと、その先に行けないからです。今、AIとおっしゃいました。ソフトとしてはAIですが、ハードとしては量子科学です。
【村田副分科会長】  量子コンピューターですからね。
【永田分科会長】  量子コンピューターの前に、量子科学的物の考え方を身につけないといけません。物理をやっておられた方はすぐ分かると思うのですが、少し違います。それを今、教養課程で大体教えるようにアメリカはなってきています。日本は理学部物理学科ならやっているかもしれませんが、人文系でやっているところはあるわけがありません。しかし、これは数年後に差が出てしまいます。どのような理屈ででき上がって、どのような理屈で物を考えるかで随分変わってしまいます。ですから、村田委員がおっしゃった生成AIどころではなくて、もっともっとまだ先があります。
 新しいことへの取組が遅いです。ですからやはりもっと考えないといけません。以前、冗談で事務方の方々もプログラミングできないといけないと申し上げました。できるようになりました。生成AIに問いかけて、プログラミングは、既存のものであればつくれます。それでコピペすればいいという状況になっています。ですからもう平気です。そこまでは行ったのですが、その先があります。
 あっという間に冗談が本気になっていくという世界なので、医療も運送業も劇的に変わっていく中で、「運転手やるから俺はいいよ」なんていうのはもう要らなくなってきています。明らかに生産性の問題が重要です。
 あとお二人手が挙がっているので、そこまでとします。
 森委員、どうぞ。
【森委員】  ありがとうございます。すいません、皆様発言したいのに、2回目で申し訳ございません。
 今の先生方の議論を聞いている中で、この単線的年齢主義からの脱却というのは大変すばらしい言葉だなと思っています。今回、リカレントのことに非常に焦点化されていますが、実際には、18歳のところで教科教育で失敗したり、あとキャリアがまだ決まっていない、どこの学部に行こうかも決まっていない高校生というのはたくさんいるんですよね。そこの中で、社会人だけではなく、18歳からもう一度学び直す事は、今の多くの高校生は実は大学に求めている1つの機能じゃないのかなと思っています。結果、大学で自分の興味関心が広がって、その後に大学院に進学するというパターンも徐々に増えている感じも実はあります。
 私としましては、今回そこのところはあまり盛り込まれていないような気がします。この単線的な年齢主義からの脱却という中には、ぜひその18歳といったようなものにも応用できるようなニュアンスがあってもいいのではないかなと思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。小、中、高のお話も出ているのですが、先生がおっしゃった観点で積極的に強く主張される方はいらっしゃらないので、ありがとうございます。
 濱中委員、どうぞ。
【濱中委員】  2回目で申し訳ございません。
【永田分科会長】  いやいや、謝らなくていいです。
【濱中委員】  特別部会の議論をもう少し教えていただきたくて。今回の議論がグランドデザイン答申とどう違うのかという点が大事だと思いながら聞いておりますが、今回のポイントの1つは「規模」だと理解をしております。関連して、リカレントや留学生の話もでているのかな、と。まずこの点について付け加えるべき点があればおしえていただきたいのと、もうひとつ、規模が拡大したときに論点としてあがる種別化、機能分化という点について、特別部会でどう扱われていたのかについて教えていただきたいなと思って手を挙げました。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  事務方のほうが冷静に答えられるかもしれませんが、私が割と短く申し上げます。感覚的に申し上げると、グランドデザイン答申のときは、学修者、つまり個人のレベルでどうするかというあたりが一番メインにあったと思います。今度少し違うのは、それを支える大学は変わっていないわけですが、社会とどうするかというのは結構具体的になっていって、とりわけ、先ほど申し上げたロケーションの問題が出てきたときに、地方の問題をよく言われている、産業創出というと出口が重要だと言われているのですが、もう少し具体的に今なってきています。それは根本的に地方自治体をきちんと高等教育に向かせなければいけないということです。それは多分個人個人の能力を上げるとかというところではなくて、最終的にその地域を生かしていくためにどうしたらいいかということになってきたからです。
 これは代表的な例ですが、大もとから言えば、個人の能力をいかにして高めるかという話が中心だったものが、今度は、マスでそれを何とかしなければいけないということで、その事例として自治体の話をしました。これは分かりやすくするつもりで分かりにくくなったのかもしれないので、事務局がもう少しうまく表現できるなら、グランドデザインと、今話していることの一番大きな違いは何かということのご説明をお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】  例えば資料7-2を御覧いただければと思いますけども、先ほど来出てきたアクセス、規模の話は議論が深まってきております。19ページ以降にあるとおり自治体と高等教育機関の連携や、高等教育機関へのアクセスの維持方策、こういったことにも多数の意見をいただいております。
 また、先ほど濱中先生がおっしゃっていた、21ページ以降には規模の話ということで、特に22ページから23ページにかけて、同じ内容――縮小、撤退を見据えた現有リソースの配分最適化だけでもこれだけ多数の意見をいただきながら、今議論を深めていただいているところでございます。
 グランドデザイン答申との違いということでございますけども、グランドデザイン答申でも、もちろん規模の話も含めて御議論いただいたところでございますが、先ほど村田先生からもありましたように、かなりフェーズも変わってきている状態でございますので、より緊張感を持った議論が必要なってくるのではないかと思っております。
 また、機能別分化の話については、24ページ以降のところで、これは今後の議論なってくると思いますが、設置者別とか機関別の議論の在り方、この中で例えば1番目ですね、従来型の、国立、公立、私立の分け方でいいのかといった御議論もいただいたところでございまして、今後の議論の中でそういった機能別の話もより深められていくものと承知しております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。あのような分厚いものといろいろな意見が百出する議論をまとめるのは大変ですが、もう少しすると、読んでいただいて分かるような議論になると思います。
 ここまでで今日予定していたことというのは大体終わりです。特別部会では、本気度が少し変わってきてはいて、2時間の議論では短いと申し上げたら、3時間やりましょうと合意してもらった感もあって、とにかく徹底して意見を出し合わないといけないという雰囲気になっています。
 それから、この部会ではなかったかもしれませんが、意外なことに、地域の大学のほうが有利な場合があるという意見をおっしゃるような方もいらっしゃいます。地方は地方で、何か面倒を見てやるという言い方ではなくて、地方のほうが有利なポイントもたくさんあるいう場合も出てきています。いろいろなものを全部頭に入れて議論しないといけないのでなかなかですが、いろいろな議論にたけた方々にたくさん入っていただいているので、いけると思っています。
 今日は、3回特別部会を経て、ようやく課題の幾つかが出て、シェアできて、これを最終的には、何とか解決できる方策を見つける段階にこれから入っていくので、ちょうどいいタイミングでいろいろと聞けたと思います。もう少しきちんと答えられるようにしますが、あまりに観点がいろいろあるので難しかったです。
 それでは、この議論はここまでにして全体を通しまして何か、大学分科会で話しておいたほうがいいこと、あるいは御質問があればお聞きしておきますが、よろしいですか。
(「なし」の声あり)
【永田分科会長】  よろしければ、事務局のほうから次回以降の予定等をよろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日も活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の大学分科会につきましては、現在調整中ですので、日程、実施方法等につきましては、改めてお知らせいたします。
 本日時間の都合上、御発言できなかった内容等につきましては、事務局まで御連絡ください。
 以上でございます。
【永田分科会長】  お忙しい中ありがとうございました。いろいろと議論できてよかったです。
 今日はこれにてお開きとさせていただきます。

 
── 了 ──

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