令和6年7月26日(金曜日)15時00分~17時00分
文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【貞広部会長】 では、定刻となりましたので、ただいまから第14回中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。本日も皆様、お忙しい中、また、大変暑い中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事に入ります前に、事務局に人事異動があったとのことですので、御紹介をお願いいたします。
【堀家財務課長補佐】 事務局でございます。7月11日付の事務局の人事異動を御紹介させていただきます。
初等中等教育局長に望月が着任してございます。
また、大臣官房学習基盤審議官の森でございます。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。本日の会議も、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただいております。会議を円滑に行う観点から、いつもどおりのお願いでございますけれども、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、本日も報道関係者と一般の方向けに本特別部会をユーチューブにて配信しており、ユーチューブでの傍聴者から録音及び録画の御希望がございましたので、御承知おきいただければと存じます。
それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【堀家財務課長補佐】 事務局でございます。本日の配付資料は、お手元の議事次第の4、配付資料にありますとおり、資料1から資料4-3及び参考資料1から参考資料7までとなっております。御確認いただき、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】 それでは、議題1といたしまして、「審議のまとめ」に関する情報発信及び「審議のまとめ」に対する意見募集の結果についてに入ります。
前回の特別部会において「審議のまとめ」を取りまとめた上で盛山大臣に私からお渡しいたしましたが、「審議のまとめ」において、国がその内容を広く社会に分かりやすく情報発信する必要があると示したことも踏まえまして、文部科学省から様々な情報発信がその後なされております。また、6月14日から28日にかけて、広く国民の皆様から「審議のまとめ」に対する意見募集を行い、大変多くの御意見を頂戴したところでございます。
これらの2点につきまして、資料1及び資料2に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。また、この間、6月には経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針が閣議決定されていますので、資料3に基づき、こちらについても併せて御説明をお願いできればと存じます。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】 財務課長でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から、まず資料1につきまして御説明をさせていただきます。「審議のまとめ」に関する情報発信についてでございます。5月13日に本特別部会におきまして「審議のまとめ」をおまとめいただきました。こちらの中で、国はこの「審議のまとめ」の内容を広く社会に分かりやすく情報発信する必要があるという御指摘を頂戴したところでございます。これに基づきまして、これまで情報発信をさせていただいた状況について御報告をさせていただきます。
資料2ページにお進みいただければと思います。5月13日、特別部会でおまとめいただいた当日でございますが、貞広部会長から大臣に「審議のまとめ」を手交いただいた際の状況を、まず文科省のホームページで御紹介させていただいてございます。
また、資料3ページでございますけれども、全体の「審議のまとめ」をより分かりやすく御理解いただくために、説明用のリーフレットにつきましても2種類作成をさせていただきまして、様々な場面で御覧いただいているというところでございます。
4ページを御覧いただきますと、文部科学省からも様々な場面におきまして、「審議のまとめ」についての行政説明をさせていただいているところでございます。
また、5ページを御覧いただきますと、「審議のまとめ」の概要につきまして、文部科学省初中局のメールマガジンでも御紹介をさせていただきました。
また、7ページでございますが、中教審の荒瀬会長(部会長代理)に御出演いただきまして、「審議のまとめ」のポイントを分かりやすくまとめた動画を作成して、公開させていただいております。今後もこのような特別部会からいただいた「審議のまとめ」のお考えについての広報、情報発信についても努めてまいりたいと思います。
続きまして、資料2を御覧いただければと思います。5月13日の「審議のまとめ」をいただいた後に、6月14日から28日にかけまして、この「審議のまとめ」に関する意見募集を行わせていただきました。行政手続法で求められるものではございませんが、幅広く国民の方々から意見を頂戴するということで実施させていただきまして、結果、1万8,354件の多くの御意見をいただいたところでございます。教師を取り巻く環境整備についての国民各層の高い問題意識の表れと受け止めておりまして、いただいた御意見につきまして大変感謝を申し上げる次第でございます。
資料2におきまして、いただいた御意見の全体像がお分かりいただけるように整理をさせていただいたものでございます。「審議のまとめ」につきまして、全体に関する御意見、また、各章ごとにも意見をいただいてございますので、こちらの資料におきましても、それぞれ意見の概要について整理をさせていただいたところでございます。
全体の状況を簡潔に御説明させていただきますけれども、こちらの資料の1ページから3ページにつきまして、「審議のまとめ」全般についての御意見をまとめさせていただいております。教育の充実、あるいは教師を取り巻く環境整備の重要性に関する御指摘を頂戴してございます。また、「審議のまとめ」におきまして、働き方改革の加速化、指導・運営体制の充実、処遇改善、こちらの3つの柱の一体的改革を進めるということを評価する御意見も頂戴いたしました。また一方で、「審議のまとめ」以上の抜本的改善を求めるというような御意見も頂戴してございます。
資料4ページから5ページにかけましては、「審議のまとめ」の第1章、学校教育と教師を取り巻く環境の現状についての御意見でございます。教育投資の充実の必要性ということについての御意見を頂戴いたしました。また、子供に関することを全て学校で対応するというような社会の認識があるのではないかということで、この辺りが学校の本来的な役割を超えた勤務の状況ということにつながっているのではないかというような御指摘なども頂戴したところでございます。
資料6ページ、7ページにお進みいただきますと、こちらは第2章、教師を取り巻く環境整備の基本的考え方に関する御意見でございます。教師が教職生涯を通じて学び続けることが必要であるというような御意見を頂戴いたしましたし、また、そうしたことのために学びの時間を確保するため、学校業務の見直し・削減が必要であるといった御意見も頂戴してございます。
7ページから12ページにかけましては、「審議のまとめ」3章の学校における働き方改革の更なる加速化についての御意見でございます。非常に多岐にわたる御意見を頂戴してございますけれども、例えば、登下校対応は行わないことなどの業務適正化に向けた3分類、こちらについて行政がしっかり周知をしていく必要との御指摘がございました。
国が業務削減の取組をしっかりと行っていく必要性についても御指摘を頂戴してございます。また、プールの管理をはじめまして学校施設の管理が負担になっている状況とか、その改善のために管理の外部委託、あるいは事務職員の方々との分担ということの必要性についての御指摘などもございました。また、部活動の在り方についての御意見も頂戴してございまして、土日の活動についての地域移行を求める御意見も頂戴してございます。
働き方改革の取組状況を見える化していくことによりまして、市町村の教育委員会が学校と共に取組を進めということが推進されるのではないかという御意見を頂戴いたしました。また、働き方改革に関する学校の管理職の方々の責務ということの関わりの中で、徹底した研修を実施していくことが必要だというような御意見も頂戴したところでございます。資料13ページ以降17ページまでが第4章の学校の指導・運営体制の充実に関する御意見でございます。教職員定数の改善を求める多くの御意見を頂戴いたしました。授業時数の削減、また、こういったことのために小学校の教科担任制の促進のための改善ということを求める御意見、あるいは基礎定数の改善の重要性を御指摘していただく御意見がございました。また、不登校の増加に伴いまして、不登校対応が過度な負担にならないように、専任の担当教師の配置が必要であるというような御意見とか、外国にルーツを持つ児童生徒の増加への対応についての必要性も御指摘を頂戴しております。
事務職員が効果的に行える業務を教員から移譲するということで、教師の負担軽減が図れるのではないかというようなこと、また、学年単位での副担任制度などによりまして、経験が浅い教師の方々を副担任として御活躍いただくような形も御指摘がありました。また、教員業務支援員、副校長・教頭マネジメント支援員等をはじめといたしまして、支援スタッフの充実の必要性についても御指摘を頂戴してございます。
17ページから21ページについては、教師の処遇改善についての御意見でございます。教師の仕事の内容と責任の重さに鑑みた場合に、現状の給与水準の処遇改善ということが必要であるという御意見を頂戴してございます。また、その上で、教師の職務の在り方を踏まえまして、教職調整額の引上げをすべきという意見をいただいてございます。また一方で、教職調整額ではなく、時間外勤務手当の支給を求める意見もいただいてございまして、両論の御意見を様々いただいております。また、教職調整額の引上げと併せて、授業時数の削減や定数改善が必要であるというような御意見も頂戴してございます。
21ページが、第6章の教師を取り巻く環境整備の着実な実施とフォローアップ等についての御意見であります。実効性のあるフォローアップを求める御意見、また、次期の学習指導要領における指導内容の精選といったことについての御意見なども頂戴したところでございます。
資料2につきましての御説明は以上でございます。
続いて、資料3でございます。経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針につきまして、6月21日に閣議決定をされたところでございます。こちらの資料では、初等中等教育関係に関する記述を抜粋して御覧いただいております。
働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進めるということでございます。また、教師の時間外在校等時間の縮減を徹底して進めるということでございます。処遇の改善につきましては、教職の特殊性や人材確保法の趣旨、教師不足解消の必要性等に鑑み、教職調整額の水準を少なくとも10%以上に引き上げることが必要などとした中央教育審議会提言を踏まえるとともに、新たな職及び級の創設、また、各種手当の改善など検討を進め、2025年通常国会へ給特法改正案を提出するなど、教師の処遇を抜本的に改善するという記載がされているところでございます。
また、教職員等の配置の充実につきましては、小学校教科担任制の拡大や生徒指導担当教師の中学校への配置拡充等の教職員定数、副校長・教頭マネジメント支援員等の支援スタッフの充実を図る。また、35人学級等についての小学校における多面的な効果検証等を踏まえつつ、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制を構築していくという規定がなされているところでございまして、このように一体的な改革の方向性が規定されたところでございます。
事務局からは以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。ただいま御説明いただいた点に関しましても、委員の皆様から御意見や御質問があるかもしれませんけれども、次の議題2に関する意見交換の中で併せてお受けしたいと思っておりますので、その際までいましばらくお待ちいただければと思います。
続きまして、議題2といたしまして、答申案についてに入ります。前回の特別部会や、「審議のまとめ」を御報告した初等中等教育分科会及び中央教育審議会総会におきましても御意見をいただいたところでございます。また、先ほど事務局から御説明がありましたとおり、国民の皆様方からも様々な御意見をいただいたところです。
そこで本日は、これらの御意見も踏まえ「審議のまとめ」を修正の上、答申案を作成いたしましたので、皆様にこの点について御議論いただきたいと思います。まずは事務局より、答申案の内容につきまして、資料4-1から4-3に基づき御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】 事務局でございます。資料4-1につきましては、答申案ということでまとめたものでございますけれども、資料4-2が、これまでの「審議のまとめ」から今回答申案として追記・修正を行ったものを赤字で明記しているものでございますので、資料4-2のほうを御覧いただきながら御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料4-2の冒頭、これまでの部会における御審議におきましても、サブタイトルを答申をまとめる際に設定していく必要があるという御指摘を頂戴してございました。それに基づきまして、サブタイトルにつきまして、「全ての子供たちへのよりよい教育の実現を目指した、学校における「働きやすさ」と「働きがい」の両立に向けて」というサブタイトルの案を規定しているところでございます。この特別部会の議論の全体的な方向性につきまして、その目的について、全ての子供たちへのよりよい教育の実現ということの御審議を頂戴してございました。また、これを実現していく過程の中で、学校における在校等時間の縮減等の働きやすさということと、高度専門職としての働きがい、こちらの両立に向けてという趣旨でございます。
また、資料をおめくりいただきまして、2ページでございます。こちら、「はじめに」でございますけれども、「審議のまとめ」をおまとめいただいて以降、先ほど御報告させていただきました意見募集の実施、あるいは骨太の方針の策定というところがございましたので、その状況について追記をしてございます。また、この答申案の中におけます様々な御提言につきまして、提言されている施策の速やか、確実な実現に向けた取組を強く期待するということで行政に対するお考えをお示しいただくというところを追記しているところでございます。
資料をさらに進んでいただきまして、19ページでございます。こちらは3章の働き方改革の取組についての箇所でございますが、業務適正化の一層の推進の一環の中での追記でございます。先ほど意見募集の中でも、学校施設の管理あるいは学校プールの管理についての御意見も紹介をさせていただきましたけれども、最近、学校プールの管理につきまして、給水の停止ができなかったことで水道料金の賠償事例も発生してございました。こういったプール・施設の管理につきまして、教師の過度な負担につながっている事態も見受けられるということでございます。
こちらにつきましては、3分類の考え方に照らした場合に、学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務という分類とも考えられるわけでございます。近年、自治体におきましても、指定管理者制度を活用したり、民間業者へ管理の業務の委託を行って負担軽減を図っている事例も増えてまいりましたので、このようなことについても御紹介をさせていただいた上で、今後、学校施設の管理についても、引き続き有効な方策についても検討を行っていく必要があると追記をしてございます。こちらについては、自治体の取組事例につきましても、参考資料1のほうで事例を紹介させていただいてございます。
続いて、資料21ページでございます。こちらは教育課程の編成についての見直しの御提言に関するものでございます。国が定めております標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成している学校におきましては、その見直しを行うことの御提言をいただいておりました。一方で、学校現場におきまして、週当たり29単位時間の授業を行うということの必要があるという認識が根強くあるという御指摘も頂戴していたところでございます。その取組について様々見直しを行っていく方策もあるということで、その一つといたしまして、年間を通じた業務の平準化のために、例えば夏季休業期間を短縮して授業日数を確保した上で学期中の6時間授業の日を減らすということで、児童生徒、教師双方の負担の平準化を図っている事例もございますので、そちらについて追記、御紹介をさせていただいているというものでございます。こちらについても、参考資料1の資料の中で事例を御紹介してございます。
続いて、資料22ページにお進みいただきまして、学校における働き方改革の実効性の向上についての取組の関係でございます。勤務時間管理の責務を負っている主体といたしまして服務監督教育委員会と記載をしておりましたが、実際に学校現場でその責務を具体的に果たしていただく主体としては、校長先生が主な役割を担っていただくわけでございますので、その旨、校長の明記をさせていただいたところでございます。また併せて、学校側の、また、あるいは校長の安全配慮義務の注意義務に関する判例についても追記でより詳しく説明をさせていただいております。
また、23ページ、脚注の51でございますけれども、令和元年の給特法の改正によりまして、国が法律に基づいて業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針、いわゆる上限指針でありますけれども、こちらが給特法の改正によって法的に位置づけられたという経緯をより詳しく規定してございます。
資料25ページにお進みいただきまして、こちらは、教育委員会が定めます働き方改革についての目標設定に関する記述の部分でございます。こちら、分科会、総会における御指摘をいただきまして、在校等時間に関する目標だけでなく、教師のメンタルヘルスの状況、例えば精神疾患などにより病気休職されている教職員の状況、こういったことも含めた働き方改革の多面的な目標設定の必要性ということを御指摘いただいてございましたので、こちらを追記しているものでございます。
続いて、26ページでございます。校長等の管理職によるマネジメントによって学校における働き方改革を進めていく際に、副校長・教頭、主幹教諭が校長を補佐して取組を進めていくという記述がございましたが、こちらに分科会における御指摘も踏まえまして、事務長についても追記をしたというものでございます。
また、27ページに進みまして、校長等の管理職が学校におきまして実際に時間外在校等時間を把握した上で改善を具体的に行っていく措置が必要であるということをより具体的に規定しているものでございます。時間外在校等時間が特に長時間になっている教師に対して、目に見える形で働き方を改善していくための具体的な手だてを講じていくことが必要であるということと、併せて、校長だけでなく、服務監督教育委員会におきましても、こういった校長の取組がしっかりと学校現場で着実に行われていくように、教育委員会としても取組をしていく必要性ということをより明確に記載をしたものでございます。
続いて、36ページでございます。教職員の配置、指導・運営体制の充実に関しまして、教科担任制の重要性ということも意見募集でもいただいてございました。こちらも「審議のまとめ」においても提言をいただいているところでございますが、これまでの取組状況につきましてより詳細に記載をしたものでございます。
続いて、資料40ページでございます。通級指導につきまして、平成29年に基礎定数化の法律改正が行われておりますが、併せて日本語指導の体制整備についても改正されてございます。また、今後も日本語指導が必要な児童生徒について増加が見込まれるところでございまして、こういったことの必要性についても追記をしてございます。
また、資料57ページでございますが、これまで審議まとめの御議論のプロセスの中でも、改革の具体策を分かりやすく示していくということで工程表の作成の必要性について御指摘を頂戴しておりましたので、こちらについて、後ほど御覧いただきますが、工程表についての記載でございます。
また、58ページ、最後の部分でありますけれども、部活動の在り方の見直しにつきまして、意見募集でも御意見を頂戴したところでございましたが、先般スポーツ庁におきましても、今後の地域移行をはじめとした部活動改革の在り方についてさらに検討を深めていく検討の場を新しく設けるという方針も示されたところでございます。今後、そちらにおきましても、さらにこの問題について専門的な議論も深めていくということでございます。
それから、資料の別添になりますが、工程表でございます。こちらは、これまでの御指摘を踏まえまして作成をされたものでございます。全体として青色で記載をしておりますのが国の取組でございまして、緑は自治体の取組ということになってまいります。答申案の3つの柱、働き方改革、指導・運営体制、処遇改善、この3つの柱を基に整理をしてございます。
1ページ目が働き方改革のさらなる加速化の関連でございます。まず、業務量とか働き方改革の取組状況の見える化につきまして、国において仕組みを検討した上で、各自治体において目標設定の充実も含めて取組をさらに進めていくというものでございます。また、法律に基づいて国が策定する校長の資質向上に関する指針に働き方改革のマネジメントを位置づけるという御提言についても整理をしてございます。また、3分類に基づく業務の適正化、標準授業時数を大きく上回る授業時数の見直し、学校行事の精選、校務DXの推進、こういったことについての取組も推進いたしまして、また、勤務間インターバルの推進のために留意事項あるいは好事例の整理といったことも取り組んでいくというものでございます。
2ページ目に移っていただきまして、指導・運営体制の充実でございます。教職員定数の充実につきましては、提言をされております教科担任制の拡大や若手支援、生徒指導担当教師の配置・充実、あるいは支援スタッフの充実について、検討して取り組んでいくということでございます。また、新たな職の設置につきましても、仕組みの検討を行っていくというものでございます。また、教師の処遇改善につきましては、給特法の改正案の検討を行いまして、来年の通常国会に向けた法案の提出も検討していくというものでございます。併せて、手当等の改善についてもしっかりと取り組んでいくというものでございます。
以上、答申案について御説明をさせていただきました。
それから、参考資料の御紹介を少しさせていただければと思います。参考資料2を御覧いただければと思います。こちらは、意見募集の中でも、学校業務の見直しについて、3分類などを広く周知していく必要性について改めて御指摘もいただいたところでございます。今回、学校現場で取り組むことができる内容を中心に、校長が教職員の方々と一緒に各学校で取組を進めていただくきっかけにしていただければということで、働き方改革の振り返りシートというものを作成させていただきました。自治体ごとの状況に応じまして、項目の追加というようなことも適宜行っていただきながら、取組の一助としていただければと思います。
また、参考資料3におきましては、先ほど答申案におきましても御説明申し上げました学校プールの管理につきまして、先般、文部科学省から出された通知でございます。
また、参考資料4でございますけれども、こちらは公立学校共済組合におきまして実施をしております教職員の方々のストレスチェックにつきまして、その関係のデータの分析を行った報告が6月末に公表されたところでございますので、御参考にお配りさせていただいたものでございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明のありました答申案につきまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、議題1に関する御質問、御意見もあれば、併せてお願いいたします。また、本日、この特別部会は最終回でございます。本来であれば、時間の最後に委員の皆様から全体を振り返って一言いただく時間を設けるべきなのですけれども、この部会を毎回司会しておりますと、恐らくそういう時間はないような見通しでございますので、申し訳ありませんが、この議題1、議題2に関わる御意見と併せて、可能であれば、審議全体を振り返ってのコメントもいただければと思います。
御意見のある方は、対面の方も含めまして、「手を挙げるボタン」を押していただきますようお願いいたします。こちらで指名させていただきますので、ミュートを解除して御発言をお願いいたします。なお、毎回大変恐縮でございますけれども、殊更、最終回ということで全ての皆様から同じように御発言をいただけるように、御発言はお一人当たり3分以内としていただけますようお願いいたします。また、御発言の際は大きな声で明瞭にお話しいただきますよう、お願いいたします。
では、こちらから拝見しまして、戸ヶ﨑委員、秋田委員の順番で御意見をお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 改めて、広範な意見をまとめていただき、貞広部会長並びに事務局の皆さん方には敬意と感謝を申し上げたいと思っています。
この「審議のまとめ」に対して1万8,000件を超える意見提出があったということは、このテーマの内容に国民が非常に高い関心を寄せているということの証左でありまして、教師を取り巻く環境整備が我が国の重要課題であることが改めて明らかになったものと思っています。この点は、政府全体の方針として閣議決定文書である骨太の方針に改革の策が具体的に書き込まれたこととも整合するものであって、今回の骨太の方針は歴史的なものになったと思っています。これらを踏まえて、政府全体として、教師を取り巻く環境整備に関する政策や予算の優先順位をさらに高めていただきたく、強く期待をしています。
その上で、この答申案には意見募集への御意見が可能な限り反映され、別添として、工程表が作成されたことで、国と地方それぞれの今後取組むロードマップが可視化されたことも高く評価しています。
答申案は今後、実現に向けて確実に動き続けていく必要がありますけれども、働き方改革に関して、僭越ながら、全国の教育委員会や学校の教職員の方々に改めてお伝えしたいことがございます。それは「自問自動」、自分で問うて自分で動くということであります。誰かが何かをしてくれることを待っているのではなく、それぞれの主体が自分事として何ができるのかを自ら問い続けて、「50cm革命」という言葉がありますけれども、自分の身の回りの半径50cmから改善のために動くことが大切だろうと思っています。
それを継続していくことで、「変えられない」という諦念を乗り越えて、変えられるんだという実感を体得していくということが重要です。これまで何度も申し上げてきましたけれども、真の教育改革は、国や教育委員会からではなくて、学校現場から起こるべきであろうと思いますし、そもそも学校は内側からしか変えられないと私は思っています。
なお、資料1で発表がありましたけれども、文科省の様々な手段を講じた情報発信には大変敬意を表するところです。特に先日アップされた荒瀬会長による「審議のまとめ」の解説動画は極めて中身の濃い、渾身の動画です。本市でも全ての教職員がこれを視聴するように校長たちに依頼しました。どんなに忙しくても6分の時間が取れないということはないので、日本中の教職員全員がこれを例外なく視聴するように、国にはさらなる訴求に努めていただきたいと思っています。
結びに、この特別部会の審議は、今後我が国の学校教育において歴史的な意義を持つ、大変重い使命を帯びたものだったと感じています。思い返してみますと、かつて昭和46年に中教審は、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」を答申し、エポックメーキング的な役割を果たしています。この46答申を踏まえて人確法が成立し、3次4回にわたる給与改善が実現したことによって、教員採用試験の受験者数は大きく増加し、現在の学校教育の礎が築かれました。今回のこの答申案もそのような歴史的転換の端緒となる答申となることを心から期待しております。ぜひ国には、文部科学省のみならず政府全体として、予算上、それから、法制上の措置を行って、不退転の決意で改革の断行に取り組んでいただきたく強くお願い申し上げます。
私からは以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 学習院大学の秋田です。貞広部会長や文部科学省の御関係者の皆様が、1万8,000件を超える国民のいろいろな声にも耳を傾けていただいて、それが答申の中に入ったということは大変大きなことであり、そして、先ほど工程表が示されました。まさに本気度が具体的に伝わってくるような資料の出し方をしていただいたということがありがたいと思いました。
また、先ほどの議題1とも関わりますが、戸ヶ﨑委員も言われましたが、私も荒瀬先生の動画を全て拝見しました。長くない、そして文字では伝わらないその思いが明確に伝わってまいります。ぜひこれからも様々な形で、文字での発信をいろいろ広報いただくだけではなくて、6秒動画とか、本当にこの一体的な3本柱が何なのか、また、荒瀬先生の動画には、こんな意見もあるけれども私たちはこう考えたというメッセージが明確に出されております。そうした形で、国民の皆さまの意見に耳を傾けつつ我々はどう考えたかが伝わるような動画をさらに、今回のものはこれでいいとも思うんですけれども、やっていただきたいと思うというところでございます。
ただ1点だけ、もう間に合わないのかもしれませんけれども、私の個人的なコメントは、副題でございます。実は今回、副題、サブタイトルをつけてほしいということを申し上げ、つけていただきました。「全ての子供たちへのよりよい教育の実現を目指す」ということで、何のためかというのが伝わります。また、「働きやすさと働きがいの両立」ということが12ページの本文に出ておりまして、それを引いてくださったということもよく分かります。
ただし、その働きやすさと働きがいを実現するために私たちはどういう理念で考えたかということを考えますと、「学校における」という言葉よりも、可能であれば、専門職としての教師の働きやすさと働きがいの両立を目指してというような、やっぱり専門職としての教師の在り方とは何かということで仕事の3分類を考えたり、それから改めて、給特法ということも、教師の自立的な専門家としての在り方ということと関連づけて我々は考えてきました。また、単純に労働者の働きやすさというだけではなく、生涯において様々にお互いに学んでいくという意味での働きがいと働きやすさ、そして、日本の学校教育の最も大きな特徴の一つは、教頭先生や校長先生も皆さん教員の方が圧倒的に多いというところであります。そういう意味での教職員集団、専門家が働きやすさと働きがいを考えていっているという原点に戻った改革だと私は思っています。
その理念をもし、「学校における」というのは、「「令和の日本型学校教育」を担う」と書いてあるので、そこで学校というのは分かるので、このサブタイトル長いなと思って、どう短くできるかも考えたんですけれども、少なくともここに「学校における」の代わりに、高度専門職、高度は入らなくていいんですが、「専門職としての教師の働きやすさと働きがい」という、私たちは専門家は何なのかということからもう一度問い直したという理念はサブタイトルにぜひ入れていただきたいというのが切実な願いであります。これは今さら遅いということであれば、無念ですが、秋田の発言として議事録に残るだけでいいんですが、ぜひ間に合えばお考えいただきたいと思います。
最終回ということで、多くの皆様の知恵や御意見を伺うことで私も多くのことを学ばせていただきましたし、妹尾委員から資料が出ていますが、これで終わりではありません。しかし、これで一つの分岐点を越えて、新たな学校教育の在り方、そこでの教師という存在をどう位置づけるのかという方向性を示した答申になったのではないかと個人的には思っております。本当に委員の皆様にもお世話になりました。ありがとうございます。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。まさに議論の出発点の確認をしていただいたような御意見ですけれども、事務局、まだ間に合わないわけじゃないですよね。大変重要な点だと思います。秋田先生、「学校における」を「専門職としての教師の」というふうに変更したほうがいいという、確かに本当にそうですね。そこが我々の議論の出発点だったかと思います。どうもありがとうございます。
それでは次に、対面参加されている吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 埼玉県本庄市長の吉田でございます。全国市長会の社会文教委員会はお役は御免になりましたが……、失礼しました。ミュートのままでございました。申し訳ございません。私自身、この会合に出させていただいて、本当に専門的な見地からいろいろな先生方のお話を聞くことができましたし、また、今1万8,000という数字が出ておりますけれども、これは本当に私の地元でも多くの先生方が関心を持たれた、多分多くの方が意見を出していただいたのではないかと思っております。
私もこのサブタイトルで、今、秋田先生から本当にすばらしい御意見をいただきましたけれども、私はこの「働きやすさと働きがいの両立」という言葉が非常に胸に刺さったというか、これは教師のみならず、およそ仕事をするときの働きやすさと働きがいというのは両方本当に大事だなと感じるところでございます。特に教師の場合は、働きがいというところは働きやすさと並んでもちろんそうなんですけれども、働きがいというところに非常にやっぱり重きを置いてきたのが日本の教育だったのではないかなと思っています。
もう少し考えてみますと、多分この働きがいということは、お子さんへの教育、人と人との教えと学びの中での知・徳・体における達成感のようなもの、これを先生が感じることによって、教師として頑張ってきてよかったなということにつながっているのではないかなと。毎日毎日は大変なことだらけだと思うんですけれども、達成感、これが本当に先生方の生きがいになっている。だからといって、この中にも書いてありましたけれども、子供たちのためにということに熱心になり過ぎるあまりに過労死になってしまってはいけないと、これもそのとおりだと思うんです。
そういう中で、私自身も意見を申し上げた中のことを補足してというか申し上げさせていただきたいんですけれども、19ページで学校プールの管理のお話があって、その後ろのほうに、「今後、学校施設の管理について、教師等の負担を軽減する観点から、引き続き有効な方策等についても検討を行っていく」。地方自治体でよく市民が、学校施設を使えないでしょうかと言うんですけれども、学校側がそれを、市民の側から見ると拒否するように見える。拒否では実はなくて、責任が負えないので、管理する側とするとなかなか使わせられない。ところが、市民から見ると、物すごく拒否というか縦割りに見えてしまう。そうではなくて、先生方、特に校長先生、教頭先生が学校管理の責任を負わされているので、なかなか難しい。
でも、それが本当の意味での、さっき言った、人と人との教えと学びの中の知・徳・体における達成感という働きがいなのかというと、いっそのこと管理は、これは先生方じゃなくて、例えば行政、行政が重いのであれば例えば民間とか、管理は思い切って変えていくということも私は大事なんじゃないかと思うんです。その中で子供との教育、学びの中での先生方の達成感をより充実させる、それから、働きやすさを充実させるという意味でも、施設の管理ということはもっとこれから考えていくべきだなと感じました。
一方で、清掃はどうなるんですかと。清掃も実は子供たちの徳の部分では非常に有効な部分もあるんです。ただ、先生方が全て子供たちの清掃に付き合わなければいけないかというと、ここは働きやすさという観点からはやっぱり考えなければいけないだろうと。そういう意味では、分類した中の、学校の業務ではあるけれども必ずしもというところに入ったということは、むべなるかなという感じがするところでございます。
それから、これは29ページでございますけれども、スクールロイヤーの話を私ずっと申し上げております。これはまさに先生方が今の非常に難しい時代の社会状況の中で、先生方を法的に守ってあげなければならないということは、これは本当に深刻な状況があろうかと思います。自治体の長としてちょっと欲を申し上げれば、ここの「自治体の顧問弁護士等をより一層活用した法務相談体制」、これ、現実はこういう形でやっているんです。私が申し上げたいのはそういったところにもう少し財政的な支援も考えていただきたいなという点でございます。
それから、40ページでございますけれども、日本語指導、これはまさにこれから増えてくるであろう外国人の方々がまさに日本において生きやすさ、それから、生きがいがある生活を、まさに働きやすさ、働きがいですけれども、外国人の方々もそう感じていただけるような社会にしなければならない。一番大事なのは私は言語だと思います。日本語。ここをしっかりと来た外国人の方々が習得できるような環境をつくっていくということでは絶対大事だろうと思いました。
最後になりますけれども、部活動のことです。部活動も、実は国のほうで右だと言うと、これが自治体に下りてくると極端な右だという話になってしまうことが多いんです。左だと言うと、極端な左。今、ちまたで、「部活動ってなくなっちゃうんですか」という、こういう議論になっている。「そうじゃない。なくしはしませんよ」と言っているんだけれども、「いや、みんななくなると言っていますよ」と。部活動も先生と生徒にとってまさに知・徳・体の部分だったり、あるいは知の部分だったり、徳の部分における学びの場であり、達成感の場でもあると思うんです。働き方改革の観点から部活動を何とかしなければいけないというのは当然だと思います。当然だと思いますけれども、あつものに懲りてなますを吹くようなことが現場で起きていることも事実でございますので、部活動の有効性、そして、部活動をしっかりやることによって子供たちに向き合っていきたいという先生方の気持ちも忘れてはいけないと、このように考えております。
答申案について云々というよりも私の思いを申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、しっかりとした答申案が出来て、多くの皆様方の知見がここにびっしりと詰まっていると感じておりますので、戸ヶ﨑先生のお話ではないですけれども、しっかりとこれは改革を進めていく、日本の教育を、ここからまた新たな知恵を開いていくという意味で有意義な答申になっていると感じております。
以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。首長のお立場からも非常に大事な御指摘をいただきました。今後のということで、答申案についてはお認めいただけると理解をしました。
私、確認すればよかったんですが、戸ヶ﨑委員は恐らくお認めいただけるということで、秋田委員もお認めいただけるけれども、できれば副題は変えたほうがいいという御意見ということですね。ありがとうございます。
では、オンラインから、次に橋本委員、西村委員の順番でお願いいたします。
【橋本委員】 橋本です。まずは、答申案をしっかりとおまとめいただき、部会長、事務局の皆様の御努力に敬意を表したいと思います。
1万8,000件もの御意見が出たということは、やはり先ほどから皆さんおっしゃっているように、この答申(案)に関する、国民全体の関心の高さ、社会全体の関心の高さを示していると思います。資料2にまとめられた意見を読ませていただきましたところ、批判的な意見も多いんですが、最終的に子供たちへのよりよい教育を実現したいという思いは、全ての意見に共通していると感じました。今回の答申(案)が必ずしも全ての方に満足いただけるものではないとしても、ここに書かれた方策をこれから一つ一つ実行に移していくことが極めて大事ではないかと思います。そういう意味でも、私も以前意見を申し上げましたが、工程表を作成いただいたことは極めて有意義なことだと思いますし、本気度を表すという意味でもアピールができるものだと思います。今後はこの工程表を基にしていろいろな施策を実行していく中で、PDCAサイクルをしっかり回していく。そして、もし進捗に遅れが生じた場合には、その原因をしっかり確認して、丁寧にフォローをして、カバーしながら着実に前へ進めていくことが極めて大事かなと思います。
それから、これは言わずもがなのことかもしれませんけれども、進捗状況の把握やフォローに際して、既に多くの業務に追われている、あるいは日々時間との闘いの中にある学校現場の先生方にさらに負担をかけるということはないように、できるだけ留意をすることは必要かなと思います。
今後いろいろ財政当局との折衝があると思いますが、言うまでもなく、教育は国家百年の計でありますし、教育は未来への投資であります。そして、お金の使い道として最も意味のある投資だと思いますので、ぜひ文科省の皆さんには頑張っていただきたいなと思います。
それから、これも何度も言われていることですけれども、経済界でも今、人材投資ということに非常に力を入れていまして、今後日本経済が世界に伍するためには、人材を確保して、その人材を育成していくということが最大の武器になるということはもう共通の認識でありますので、その出発点となる教育の質を担保して確保して向上させるということは、日本の未来を担うということです。そのためには教師の方のウェルビーイング、すなわち、先生が前向きに生き生きと誇りを持って働くことができる環境と処遇の実現というのは極めて重要だということを改めてアピールをしていっていただきたいなと思います。
私もこの部会に参加させていただいて、ふだん経済界に身を置いている中、学校現場の様々な状況が理解できて、大変勉強になりました。経済界としても、高等教育のみならず、高等教育につながる初等中等教育に関してもこれからも意見発信に努め、社会全体の理解に少しでも貢献できればと思っています。
また、企業人材を含む外部人材の教育現場での活躍の場を広げることは、極めて有効な対策だと思いますので、社会全体として教育のクオリティーを上げていくという点についても、企業人材の派遣を通じて貢献することができればと考えております。
長時間の御審議ありがとうございました。私から以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。橋本委員も、答申案についてはお認めいただけるということでよろしいですか。
【橋本委員】 はい、結構です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】 成蹊大学の西村です。答申案の内容につきましては、これまでの取りまとめをアップデートしたようなものなので、異論ございません。
ただ、前回の取りまとめに対する世間の御意見の中には、誤解に基づくものも多かったように思いますので、誤解を解くための努力も継続したほうがよいのではないかと思っています。既に様々な広報活動をしてくださっていますが、例えば先ほど御紹介いただきました意見募集、パブリックコメントで誤解があるかなと思われる御意見については、答申の考え方を説明するか、あるいは御意見へのお礼とともに、併せてこうした資料も御覧くださいといった形で、作成していただいている説明資料へのリンクを張っておくなどしてもよいのではないかと思います。行政手続法のパブリックコメントは、多かった意見には府省の考え方を回答することになっておりますので、今回任意に実施したものとはいえ、そうした回答を期待する向きもあるかもしれないので、可能であれば御検討いただければと思います。
もう一つは、これだけ大がかりで複雑な改革を実施しようとすれば、実施の負担も大きくなりますので、そうした負担を軽減するような工夫が必要ではないかということです。PDCAサイクルに言及されておりますが、ある程度のノウハウが共有されていないと、このサイクルによって必要以上に負担が増える危険もありますので、例えば振り返りシートで示されたようなチェックポイントによって何に取り組めばよいかを明確化し、やたら細か過ぎる目標を立てたりして評価疲れしないようにするなど、円滑な実施へ向けて全国共通のサポートを充実させていただきたいと思います。その上で、先進事例が出てくれば、そうした事例を紹介することで、取り組み方のコツを共有できるようお願いしたいと思います。
審議全体を振り返ってですが、私の専門は教育ではないので、行政の原則を基に大枠について意見を出させていただきました。今後実施に当たって様々な問題が出てくるとは思いますが、日本の教育をよくしたいという熱意が国全体で共有されて、乗り越えていけるよう願っています。事務局の皆様、委員の皆様、これまでどうもありがとうございました。
私からは以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、鍵本委員、お願いいたします。
【鍵本委員】 鍵本でございます。事務局の皆様方には、これまでの部会での委員の方々からの御意見を受け、また、国民の皆様からの意見募集の結果も踏まえて、その内容を答申案に的確にまとめてくださり、ありがとうございました。その御努力に心から敬意を表したいと存じます。
これまで私がこの部会で申し上げてきたことにつきましては、その内容に反映してくださっておりまして、答申案について特に御意見はございません。「審議のまとめ」について国民の皆様からたくさんの御意見をいただいておりますけれども、現状を踏まえて、教職の魅力を向上させて、そして、学校の環境整備のための具体策を示す最善の答申案になっているのではないかと考えております。
そして、今後、こうした議論の結果を実効性のあるものにしていくためには、皆さんもお話ししておられましたけれども、今回工程表のイメージ案をお示しいただいておりますが、こうしたロードマップに沿って学校、市町村や都道府県の教育委員会、そして、国がそれぞれ自分事として捉えて、施策を着実に進めながら、意見募集の中の御意見にもありましたけれども、進捗状況を見える化して、責任を持って働き方改革を進めていかなくてはならないと考えております。
その際、学校と服務監督権者であります市町村の教育委員会、そして、任命権者であります都道府県の教育委員会が相互に緊密に連携を図り、必要に応じて伴走支援をしっかりと行いながら、同じ方向性や意識を持って進めていくことが今後極めて重要になってくると思っております。
本県では、県教委と県内の市町村教委の連名で働き方改革緊急宣言を出して、足並みをそろえて取り組もうとしておりますが、今回の資料の中にも働き方改革振り返りシートをお示しくださっておりますように、文部科学省におかれましても、全国の進捗状況につきまして定期的に見える化をしていただきつつ、各主体が取り組むべき内容の明確化のために、今後も引き続き、情報提供を積極的にお願いしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では続きまして、まさに今日何度も言及のありました、工程表をつくるべきという具体的な御提案をいただきました金子委員、いかがでしょうか。
【金子委員】 改めて今回の答申案の取りまとめに御尽力いただきました部会長並びに事務局の皆さんに本当に敬意を表したいと思います。
私はこれまでもこの部会の中では、現場実態を踏まえて、教員の働き方改革の必要性、とりわけ教職員の健康確保が不可欠だといった思いで様々意見を申し上げてまいりました。今回の取りまとめは、教員の健康管理については具体的に、校長などの管理職や服務監督教育委員会が責任を持って取り組む、といった趣旨が明記されたということに加えて、時間外在校等時間が特に長時間となっている教員に対して、目に見える形で具体的に改善できる手だてを優先的に講ずる必要がある、とされたことは本当に評価をしたいと思います。ありがとうございます。
なお、今回のパブコメで寄せられた貴重な現場の声には、教職員の健康及び福祉の確保について抜本的な改善を望む声が多く寄せられた、と認識しております。前回も申し上げましたけれども、労働安全衛生の観点から、給特法への在校等時間の概念の定義づけ、さらには安全配慮義務を課すことについても、これ以降もぜひ引き続きの検討をお願いしたいと思います。
工程表については、先ほど部会長おっしゃっていただいたとおり、まとめていただいたことは本当に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。ただ、あえて加えて申し上げれば、これをさらに実現可能性を高めていくためにも、時間外在校等時間の削減の目標が20時間と明記されていますので、ここに向けた段階的な削減時間をさらに書いていただければ、より実効性が高まるのではないかと思いますので、今後も検討いただければと思います。
全体を通して、今回の取りまとめによって一定の方向性を示したということは本当に成果と考えております。しかし一方で、元来当初の、質の高い教員を確保するといった本来の目的に鑑みれば、総合的な職場改善に向けて、まだ積み残された課題が多くあるとも認識をしているところです。こういったことを我々は認識をしておくべきではないかとも感じております。
今後、国として、教師を取り巻く環境整備の進捗状況だとか在校等時間の状況等について、毎年度、取組状況調査を行って客観的にフォローを行われるものと思っています。加えて、教員の働き方の実態を把握するためにも、一定の間隔を持って継続的に教員勤務実態調査を実施して、その結果も踏まえながら、積み残した課題を検討する場の設置も今後検討いただきたいと思います。
以上になります。本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。積み残された課題も少なくないという御指摘をさらにいただきました。金子委員、答申案については、お認めいただけますでしょうか。
【金子委員】 はい。賛成の立場で申し上げました。
【貞広部会長】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
では続きまして、オンラインから善積委員、その後、対面から植村委員の順番で御発言をお願いいたします。善積委員、どうぞ。
【善積委員】 ありがとうございます。答申案については異論はございません。
ただ、取り組むべきものが非常に多くて、工程表を拝見しても並行して動きが記載されているということで、今後優先順位をつけていく必要もあるかもしれないと感じております。その考え方につながるかと思って、意見として申し上げたいと思います。
もともとのお題が、質のよい人材の確保であったかと思います。魅力ある職場づくり、職として適正な処遇、学校の仕事で自分も成長し、こどもによい影響を与えることで達成感を得られる、そのための時間が確保されること、そんなことを実現するための素材はこの答申案には盛り込まれていると思います。あとは、どう現場で使いこなすかだと思っています。
工程表を作成されたことは大変意義があると思っておりまして評価をしておるんですが、別の部会でも審議されていると思うんですけれども、業務効率化に影響の大きいICT環境の整備、これが学校DXという形でくくって書かれておるんですが、この辺りも、向こうの議論の結果にもよるんですが、もしもう少し詳細に含まれると、なお現場は分かりやすいし、期待を持っていただけるのかなと思いました。あと、チェックシートもとても分かりやすくて、次に現場として何をするべきかを考える指標となるなと思いましたので、こういった素材を作っていかれることはとてもよろしいんじゃないかなと思いました。
学校現場の改善を指揮するのは、やはり校長先生であるかと思います。現場に入らせていただいて、校長先生のリードで激変した学校もありましたし、変われない理由を探す校長先生なども残念ながら見てまいりました。校長先生の、この学校をこういうふうにしたいという強い思いと、それを保護者や地域へ伝える力であったり、職員の気持ちを大事にしながらも、必要なことをしっかりと指導する意思の強さであったり、教員の意図をくみ、何から着手すればよいかを判断して教職員のチームとして動かしていく采配力であったり、職員室で先生の笑顔が見られるような空気をつくっていくという、そんなトップの下であれば改善が進むというのはもう当たり前というか、必ず進むと思います。ですから、業務改善といって何をすればという方が少なからずいらっしゃるので、意見募集にもありましたけれども、やはり現場のキーマンとして業務改善方法の情報提供や研修、あるいは次の管理職候補への意識づけというところを優先度高く取り組んでいくことはできないかなと思っております。
また、現場に行かせていただくと、公文書の多さをかなり指摘されるんです。調査統計については3分類の中に記載があるんですけれども、山梨県がやられている取組事例は記載があるんですけれども、国からのものもかなり多いと聞いておりまして、何とか工夫ができないかと。資料を割り振る人の負担、大体教頭先生なんですけれども、この先生の負担軽減が図れないかなというふうなことは思っております。
人材の確保についてがもともとのテーマでしたけれども、財源が必要な中で、今後、折衝などで文科省さんもかなり苦労されるのかなと思っておりますが、日本の教育力の高さはやはり世界に誇れるもので、私たちが形成している社会規範だったり、考え方、助け合いとか調和を大事にする心というのは、少なからず学校で教えられたものであることは事実ですよね。学校現場で今も多くの先生が試行錯誤しながら、悩みながら、児童生徒のためにどうしたらもっとうまく教えが伝わるのだろうかと努力されている姿をついこの1か月内外でもたくさん見てきました。
このなくしてはいけない財産が悲鳴を上げているのも事実なので、定数配置ができていない学校があったり、年度途中での休職者も多くいて、休む先生の代わりに学校、学年や管理職総動員で本来の業務に加えて対応されているということで、やはり教員の数というのは物すごく緊急性が高いと思います。必要とする教師の数を、リスクを想定した形で試算していかなければいけないということではないかと思いますので、やっぱり教員定数の改善ということはどうしても必要と強く申し上げなければいけないなということを考えております。恒常的に財源がそれだけ必要となりますけれども、必要な投資でありますし、よい先生に来てもらうためには、教職というのは時間に追われてストレスが多いだけの職ではなく、裁量性を生かせる職場で、高度な専門職として誇りを持って従事するところであるというメッセージを出せれば、これから教員になろうかと迷う人の背中を押すものと考えます。
私も日頃、仕事の仕方について先生にはレクチャーをする立場ではありますが、やはり本質的なところをこの答申はまとめてあると思いますので、ぜひその実効性・実現性を高めるためのより一層の工夫というか、運用される立場の皆様にはお願いしたいと思いまして、発言をさせていただきました。よろしくお願いします。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、植村委員、お願いいたします。
【植村委員】 全連小の植村でございます。大きく3点お話をさせていただきます。
まず、答申案についてです。異論はございません。その上でということでお話をさせていただきます。
全連小としては、やはり3つの柱を一体的・総合的に推進するという趣旨理解が大事だと考えています。また、この答申案を肯定的に受け止め、確実な実現を目指すというスタンスでおります。そして、今一番大事なこととして、やはり教育に携わる者が一枚岩になること、それが一番大事だということで全国の校長には強く訴えているところでございます。ぜひこの答申案を確実に実現していくということで力を合わせていきたいと考えております。
2点目です。今後に向けてということでお話しさせていただきます。資料2の意見募集結果概要についてです。大変貴重な資料だなと思って感謝申し上げます。その上でなんですが、やはりこの貴重な資料をどう分析し、今後どう生かすかということが大事ではないかなと考えております。読ませていただくと、粒の大きさが様々というか、いろいろな視点があるかと思いますが、誰が主体となるかということを整理して、明確にしておく必要があるのかなと感じました。
例えばですけれども、9ページの中段ぐらいだと思うんですけれども、通知表の所見の廃止とか、校内研修の弾力的な見直しというような御意見がありまして、なるほどなと思いました。ただ、これはやはり校長の役割ではないかなと私は受け止めまして、やはりいろいろな御意見があるんですけれども、それを誰が主体として担っていくのかということをもう一度整理していくということが、この貴重な資料を今後に生かしていく大事な視点ではないかなと感じました。
もう1点、情報発信についてですが、先ほど来、荒瀬先生のユーチューブについて本当にいいというお話があります。私も拝見させていただいて、大変分かりやすく、ポイントを押さえて、よく分かるというか、受け止められるというか、どの方にも見ていただきたいなという動画で、本当に感謝申し上げます。全連小としても、こういった広報動画を活用したり、様々な場面で繰り返し強く訴えていくということが大事なんだろうなと改めて感じているところです。
3点目です。全体を振り返ってということで少しお話しさせていただきます。今回本当にスピード感を持って、様々な論点とか、様々な意見を上手に整理していただいて、今日、答申案としてまとめていただいて、本当に感謝申し上げます。私は全連小の会長という立場で、学校現場の声を国に届けるということを心がけてまいりました。十分であったかどうか分かりませんけれども、本当に貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。
結びになりますけれども、貞広部会長はじめ委員の皆様、事務局の皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。それでは続きまして、齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】 全日中の齊藤でございます。貞広部会長はじめ文科省の事務局の皆様がこの答申(案)をおまとめいただいたことに心より感謝と敬意を申し上げたいと思います。
そして、今回の部会の中でも様々提示された資料の中で、私も一校長としまして、例えば3分類については、校務改善につなげるための絶好の資料ということで、校内研修で活用させていただいたり、地区の校長会や教員の研修会などで資料を配布させていただいたりしまして、自校の校務改善につなげてもらうとか、さらには、今回の荒瀬先生が出演された動画につきましては、区内の中学校の校長には、これを見てぜひ考えていきましょうということで情報提供いたしました。
また、今回の働き方改革の推進を含めて質の高い教師を確保するという点では、やはり心身が健康な教師でなければ、子供たちに向き合えないというところで、心身の健康につきましては、校長として責任を感じながら日頃取り組んでいるというところです。
そして、今回の議論に参加していて、これまでも様々な教育改革が進められているところですが、その取組の成否を決めるのは、学校だけでなく、行政だけでなく、保護者や地域も巻き込んで進めていくことが重要だということを1万8,000件を超えるパブリックコメントが示してくれていると感じています。この中には、我々の意図を感じ取ってくれていないなと感じる意見もありましたけれども、この理解してくれていないという数を減らしていくための努力というのは今後も続けていかなければいけないと思います。
大変お恥ずかしい話ですが、私自身も、教員の時代には通知等で様々な改革が伝えられるたびに、不満を抱くことが少なくありました。しかし、皆さんの前で発言をさせていただく現在では、しっかりとそれぞれの施策や御意見の意図を理解して、学校現場等に正しく伝わるように説明することで理解を広めていくという役割を担っているということが参加する責務の一つだと自覚しております。全日中の会長を務める間に、様々な広報活動も通じて、本部会での議論あるいは国の動向等について周知を図ってまいりました。これについては十分役割を果たしたとは言い切れませんが、引き続きそれに取り組んでいくしかないという思いでおります。
どういった資質を身に付けていれば質の高い教師になるかという基準も今は人それぞれだと思います。ただ、教師自身が自らの質が高くなったと思っても、そこがゴールではないじかくしていなければなりません。教師というのは本当にゴールのない仕事をやっていて、もういいと考えてよいのは恐らく退職をしたときにかなと私は思います。一人一人の教師が各学校現場で自分のため、子供たちのために意欲的に職責を全うできるように、これからもこの部会出委員を務める先生方はじめ、文部科学省あるいは教育に関わる全ての皆様と共に取り組んでまいりたいと存じます。
答申の案につきましては、私の意見も様々盛り込んでいただいており、反対する点はなく感謝しかありません。繰り返しになりますが、本答申を実現するべく、できるかぎり今後も取り組んでまいりたいと存じます。ありがとうございました。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございました。今続けて御発言いただきました植村委員と齊藤委員におかれましては、まさに現場の声をこちらの部会に届けていただくという重要な役割を果たしていただきました。貴重な御意見をいただいておりますことに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。
それでは続きまして、オンラインから、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】 ありがとうございます。先ほども数百人の先生方と一緒に、「働きがいがあり、かつ働きやすい学校づくり」というタイトルで研修会をしておりましたので、今回のこの答申も本当にいいものになればと思っております。
私のほうで少し意見出しを参考資料で出しましたので、それを出していただいてもよろしいでしょうか。投映していただきながら少しお話しさせていただき、なるべく短く申し上げます。
こちらの1番目に書きましたとおり、今回この答申を出しておしまいということではなくて、一部もっと踏み込まないといけないものもあるでしょうし、一部ひょっとすると途中で軌道修正を図らないといけないものも出てくるかもしれないとは思っております。この答申案自体について反対するものではありませんが、前回までもそうですけれども、いろいろ意見出しをさせていただきましたが、やはり引っかかっているところとか、これは本当にいいのかなと思うところは正直ございます。また今後も、委員の皆さんもそうですけれども、文科省の皆さんも検討いただきたいことはたくさんあるかなと思います。
ここに、ごめんなさい、書いていることから離れますが、関連しますけれども、やはり先ほど来ありますけれども、先生の仕事は、労働者としての性格もあれば、聖職者としての性格もあり、これは戦後いろいろ対立があったわけですけれども、あるいは3番目として専門職としての性格もあり、この3つがそれぞれの要素があるんだろうなと思います。どれかだけというわけではなくて、この3つとも大事という部分が恐らくあるんだろうなと思います。
今回の答申の中にも、それぞれ労働者としての権利だとか、先生たちの状況をもっと守らないといけないという部分もあれば、専門職としてのもっと力量形成等ができるようにしないといけないという、そういったいろいろなところが混在しているんだろうと思います。特に労働者として、といいますか、もっと言い方を変えれば、人間らしい働き方とか、無理のない働き方ができるかどうかという意味では、日中、まだまだ休憩時間もほとんど取れていませんし、あるいは心身共に健康にできないような労働実態がある中で、ここにも意見出しで書きましたけれども、やはり善積さんもおっしゃるとおり、教職員の定数の状況だとか、あるいは理不尽なクレームに悩まされるだとか、そういうところは労働者としても問題ですし、あるいは専門職としても問題ですしということだと思いますので、改めて深刻に考えていただきたいなと思います。
前回も意見出ししましたとおり、勤務間インターバルというのもあくまでも本当に労働者としての、あるいは健康を守るための最低限のものですので、今後もっと、こういうことも含めて、11時間と言わずもっと、13時間とかも含めて検討していただきたいなと思っているところです。
わくわく感がある取組というふうに書きましたけれども、東京にある、ある私立は、2枚目の名刺を持っている先生が多いということで、すごく採用上もそれがPRになっていたりとかしますけれども、一部のスーパーティーチャー的な方だけが活躍できるとか、その先生だからできるよねみたいな感じではなくて、公立だけでも全国100万人近い先生方がいらっしゃいますけれども、その先生方がなるべく無理なく、学校だけに埋もれず、いい意味で埋もれず、いろいろな御経験ができるだとか、この夏休みとかもそうですけれども、いろいろな研さんだとか、視野を広げられるという、そういうふうなことがなるべくしやすいような環境づくりというのはぜひ行政としてももっと考えていただきたくて。単にマイナスをゼロに近づけたのでは教員人気は高まらないと思いますので、その辺りも引き続き御検討いただきたいところです。
次のページです。そういったところにも関係しますけれども、今回工程表をつくっていただいてそれはありがたいんですけれども、ToDoリストにはなっているんですが、結局それで質の高い教師の確保につながっているかどうかということがよく分からんままということになりかねないと思っています。あるいは、蓋を開けてみると、まだまだやっぱり受験者が例えば減り続けていて大変だねみたいな感じになって、取り組んではいるんだけれども、その進捗がいいかどうかをやっぱりもっとモニタリングしていかないといけない。PDCAサイクルというのであれば、我々の中教審だとか文科省も言いっ放しではなくて、しっかりモニタリングしていかないといけないと思いますので、その辺りもぜひ今後ももう少しウオッチをしていただきたいなと思っております。
次のところに行きますけれども、3番目です。最後は校長のリーダーシップの下、頑張ってねとか、最後は学校頑張ってね、よろしくという感じではなくて、そういう教育委員会さんばかりではもちろんないですけれども、どうしてもそういうところがやっぱり出てくるところはあると思います。やっぱり個人依存ではなくてチームで対応していくだとか、学校任せ・校長任せばかりではなくて、教育委員会ももっとやっぱり関わっていただくということを重視していただきたいなと思います。
例えば、具体的な話はここにも幾つか書いていますけれども、書いていないことを申し上げますと、以前も申し上げましたが、メンタル不調者とか休職者に対して、校長がフォローするという運用をしている自治体がほとんどです。でも、校長はメンタルヘルスの専門家でもございませんし、場合によっては校長がメンタル不調を助長している場合のケースだって中にもある中で、校長先生がそういうこともやられているというようなことも、そういった体制なんかも現場任せ過ぎる教育行政の癖だと思います。現場任せにされ過ぎているのは、プールの管理だけではございませんので、そういうことも含めてぜひ考えていただきたいなと思います。あるいは、校長先生御自身も、熱心な先生だから頑張っているという形で放任型リーダーシップというんじゃなくて、もっと校長、教頭が関わっていかざるを得ないところもあるんじゃないかなと思います。
それから、これも釈迦に説法ですけれども、教頭の負担軽減についてはほとんど積み残しのままですので、ここも私もできることもやっていきたいですが、国、教育委員会ももっと、文書を減らすだとか、事務作業を効率化するだとか、あるいは複数配置も含めて考えていただきたいということを申し上げたいと思います。
最後のページ、3ページ目です。今回、審議はまた別の部会ではありますけれども、次期の学習指導要領がどうなるかというのは、本当に現場の先生方はものすごい気にしています。本当に総論賛成、各論反対で、そろばんは要るのか要らないのか、毛筆は要るのか要らないのかとか言い出すともう百家争鳴だと思いますけれども、ぜひこういうものこそ本当に文部科学省の仕事というか、これは優先度を下げるとか、教育的な意義はあるんだけれども、やることがいっぱいあるのでもう少し減らしていこうとか、これはもう少し時数も含めて現場の裁量にしていくだとかも含めて、ぜひ考えていただきたいなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。妹尾委員、今後に向けての御意見という理解でよろしいですか。
【妹尾委員】 はい。引き続きよろしくお願いします。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では続きまして、藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】 答申の取りまとめ、誠にありがとうございます。お取りまとめいただきました部会長をはじめ、事務局の皆さんに御礼申し上げたいと思います。
全体としてもちろん異論はございませんけれども、私自身は、秋田委員の御提案、高度専門職というのをタイトルに出すという意見に賛成の立場でございます。と申しますのも、今般の答申というのは、崇高な使命を自覚して、絶えず研究と指導が求められる学びの高度専門職というコンセプトの下でこれまで以上に一歩踏み込んだ内容が織り込まれたものであると考えておるからでございます。
審議の過程でも申し上げましたけれども、高度専門職というのは、一つは、専門性を担保する仕組みが整備されていること、2つ目に、その専門性を個人や専門職のためではなくて、社会・公共のために使用するということを職として保障すること、3番目に、これが大事なんですけれども、その見返りとして恵まれた処遇や、そしてリスペクト、自律性というのが付与されるという、この3つの属性が大事なんだろうと考えております。
もちろん専門職というのは独善的であってはならなくて、ステークホルダーとの対話を大切にする必要があると思います。さらに、学校という職場には、教師以外の専門職も多数働いておりますし、専門職じゃないと子供のために役に立たないということでは決してないと思います。様々な専門性を持ったスタッフが力を合わせて子供の多様性に応答していく、そういう学校をつくろうというメッセージも併せてぜひ伝えていただきたいと私は思っております。決してこれは教師だけの悪い意味で教師王国をつくろうというふうな趣旨での提言であってはならないんだろうと私は思っております。
そういう前提の下で、やはり教師に対して一定のリスペクトや自律性というのが付与されなければ、やはり専門職の成り手が減っていくことは私は必然だろうとは思っております。世界的に目を転じてみましても、教員確保というのはやっぱり難しい状況にございます。そして、各国において、教員候補者の開発及び離職防止に向けた取組が行われております。しかし、やはり全ての国において教員確保の難易度が同程度というわけではございません。やはりその難易度を左右する要因としては、教員の処遇とか勤務条件、教員に対するリスペクトの欠如などの事情というものが指摘されているところでございます。こういうことを踏まえながら、高度専門職という属性というものをしっかりと満たしていくような取組を文部科学省にも取り組んでいただきたいし、さらに教育界全体で取り組んでいく必要があるんだろうと。これを熱量を持ってぜひ取り組んでいきたいと私自身思っております。
最後になりますけれども、丁寧に取りまとめていただいたことに感謝申し上げたいと思いますし、また、文部科学省におかれましては、これまでと同様に、国民の理解を得ながら、答申の実現に向けて御尽力を続けていただければということをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。では、オンラインから、露口委員、お願いいたします。
【露口委員】 失礼いたします。答申案の取りまとめ、誠にありがとうございました。部会長並びに事務局の皆様方に心より感謝を申し上げます。私のほうからは、今後の意見ということで2点と、全体をまとめての自分自身の振り返りを簡潔に申し述べさせていただきます。
今後の意見の1つ目です。今回たくさん批判的な意見もいただいておりますが、多分目指すところは、働きやすさ、働きがいの両立による先生方のウェルビーイングの向上と、それによる教育の質の向上というところで、ゴールは同じだと思います。これは橋本委員も言及されておりましたが、全くそのとおりで、ただ、登り方が違うということではないでしょうか。私たちが提案している登り方と、ちょっと批判的な意見をいただいている方々の登り方が違うだけで、目指すところは同じかなという気持ちで御意見を拝読させていただきました。
ただ、結構批判の数も多いので、やはり丁寧な変化の追跡調査が必要であると思います。いろいろな今回の提案が出てきておりますし、工程表にのっとって動いていくわけですが、それらがきちんと成果を上げているかどうか。例えば教員不足の解消ができているか、さらに、志願者増、離職・休職者、在校等時間の変化、心理的ストレス、そのほかウェルビーイング指標の変化等、この辺りを丁寧に追跡していき、今回の提言がやはり先生方のウェルビーイング向上とか教育の質の向上に寄与したという、こうした説明をしていく必要があるのかなということを強く思った次第でございます。
2点目が、これも自分も調査をしていて思うのですが、これは御意見の中にもございましが、働き方改革の進捗等は、自治体間や学校間での格差がやはり大きいということが分かってきております。やはり一律に同じ手を打つのではなく、しっかりターゲットを絞り込んでリソースを重点配置するとか、各自治体・各学校に応じた打ち手を自律的に考えていくという、こういう取組が必要かなと思っております。なかなか一律で全自治体で全校で全教員にというのはちょっと難しいというか、やはり地域、学校の特性、進捗状況に応じた打ち手が必要かなということを強く実感いたしております。
最後に、全体を振り返ってなのですが、私は大学の教員養成の現場からいろいろ発言をさせていただきまして、短期的な視点と中長期的な視点の大切さを実感しております。例えば答申のほうでは4章の3におきまして社会人登用が提案されておりますが、これはよくよく考えると、高度専門職というビジョンとは若干齟齬のある方向性かなと。やはり短期的に、しかし、今は大事なのですが、短期的に教員不足の解消は必要であるという世界と、あと、中長期的にはこれから教員需要も低下するという見込みも示されておりますので、学部・大学院等での腰を据えたカリキュラム開発、組織開発、こういうものを進めていき、質の高い教員養成の議論の主戦場の一つとして教員養成の現場が次のステージになるのかなということを強く実感しておる次第でございます。
本当に最後でございますが、中で何回か高校生へのメッセージになっているかというような問いを出させていただきました。やはり大学は今もう目的養成になっておりますので、意思決定は高校生時代になってまいります。高校生たちがこの答申の概要に触れて、本当に期待を持てるか、教師になりたいなと思えるような意識を芽生えさせられるかどうかです。その辺りもひとつまた動画等の広報手段を活用しながら、現職教員プラス大学生プラス高校生にまで届くようなつくりになればいいなということを感じております。
答申自体にはもちろん何の異論もございませんので、以上でございます。
【貞広部会長】 露口委員、ありがとうございました。では、対面、会場から川田委員、お願いいたします。
【川田委員】 ありがとうございます。私も他の委員が述べられたことと共通するところがかなりありますが、答申案に関してはこれまでの審議の過程を丁寧にまとめていただいたものと考えており、基本的にこの内容でよいと考えております。その上で、パブリックコメント等で様々な御意見があるということを踏まえつつ、答申の考え方を引き続き分かりやすく説明をしていく、あるいは内容を着実に実施するとともに定期的に検証するということが大事であろうと思っております。
その上で、以前に述べたことと重複することも多いのですが、最後にということで、私の専門の領域である労働法、労働政策という観点から幾つか述べたいと思います。一つは、何といっても、時間的な面での働き過ぎに対する歯止めを的確にかけていくということが最も重要であると思っております。この答申の枠組みの中では、まず基本的には在校等時間について課題になっているところに歯止めをかけていくというところが大きいと思いますが、これまでのデータ等で分かっている範囲で言うと、やはりどうしても教員が行っている業務そのものを見直すというところをしっかり行っていくということが大事なのではないか。各学校の校長先生と管理職の方、それから、教育委員会、地方公共団体、文部科学省、それぞれの役割があると思いますが、それぞれの立場で、これ以上はやらなくていいんだという線引きをしっかり示すということが改めて大事だということを意見として述べたいと思います。
それから、2点目として、教員に関しては、他の委員もおっしゃられたように、高度専門職としてふさわしい働き方、それを実現できるような勤務制度・勤務条件を実現していくということで、労働法の観点からいうと、原則的な労働時間等の制度との関係で特例に当たるような制度を設けるということであるので、そのような制度を必要とする根拠がしっかり実現できるような、個々の教員の自分自身の判断で働き方を決められるような範囲をできるだけ多く取るとか、専門職にふさわしい、また、原則的な労働時間規制とは異なる制度の下に置かれることの根拠になるようなふさわしい処遇が賃金、給与等の面で実現されること、この辺りは今後ぜひ実現をしていっていただきたい点です。
それから最後に、その一方で、一般的な労働法制の考え方が公立学校の先生の働き方に関しても実際適用されるものがあり、また、それをうまく生かしていくということも改めて重要な点であろうと思います。例えば今日の資料の中にもありましたストレスチェックなどの安全衛生法制であるとか、勤務間インターバル、テレワーク、それから、以前に意見として述べさせていただいた例えばカスタマーハラスメントに関する今後の立法政策の動きなど、ほかにもありますが、適宜に今後も労働立法、労働政策の動きをフォローして、適切な生かし方をするということも重要だということを意見として述べたいと思います。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では続きまして、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 東北大学の青木でございます。答申案の取りまとめに関しまして、部会長、それから、事務局の皆様、ありがとうございました。答申案については、私もほかの委員と同様に賛同いたします。
副題について、非常にいいなと思いました。やはり働きやすさと働きがいという教師のウェルビーイングを分解して、答申案の第3章、4章、5章の一体的な推進とうまく対応させていると思います。また、副題全体を見ますと、教員のウェルビーイングが高まれば児童生徒のウェルビーイングが高まるという、こういう関係が明確になっていますので、学校や教員自身が引け目や負い目を感じずに業務改善等に取り組めることにつながるのではないかとも思っています。また、副題で「教師」ということを入れる、秋田委員、それから、藤原委員の御意見に私も賛同しますが、補足するならば、「学びに関する」とか「学びの」という形容詞、これはあったほうがいいのではないかなと考えております。
修正の内容についても、判例やエビデンスや最新の動向を踏まえて委員の御意見が反映されていますので、非常によい方向では修正されたなと思っております。
今後の課題も含めてのコメントになりますが、別紙、3分類のこちら、これはやっぱり極めて重要なものでありまして、イギリス型のように教員がやらない業務というところまで制度化するかどうかは別として、中長期的にはこの3分類が何らかの形で制度化していくような方向でまずは推進していければと思います。
次に、マネジメントです。管理職のマネジメントスキルについては言及がありますが、これはやはり裁量性あるいは専門性ある業務に従事する教員個々人のレベルでも、やはりセルフマネジメントスキルが大事だと思いますので、今後は教員養成段階からのそういったスキルを身につけていくというのが大事ではないかなと思います。
また、労働安全衛生管理体制について言及されたということも非常に大きなことだったと思います。
施設・設備の観点から1点だけ補足的に申し上げます。これまで学校施設というのはどちらかというと子供の学びの場をどうするかという哲学から設計されていたわけですが、やはり教員の働く職場であるということも含めて、例えば場としての職員室をこれからどうデザインしていくかというようなことも大事な観点ではないかなと思います。
最後になりますが、今後、社会実装に向けてこの答申を踏まえて進んでいくと思いますが、私も研究者としてできることは引き続きやっていきたいなと思っております。
貞広部会長、委員の皆様、事務局の皆様、長期間お世話になりました。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。では、この後、オンラインから沢田委員に御発言をいただいた後に、荒瀬委員に御発言をお願いしたいと考えております。ではまず、澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】 遅れての参加、申し訳ありませんでした。澤田です。答申案のおまとめ、ありがとうございます。私も異論はありません。ここからは、さらなる実行ということで、その際に各主体の中でも、特に現場に近い教育委員会と学校が擦れ違うことがなく、具体的な業務改善を進めていければと思っているので、そのことについてお伝えします。
年間数百の教育委員会と学校に関わる学校専門コンサルタントを私はしているわけですが、その私から見る限りでは、多くの教育委員会は学校のゆとり創出のためにどうしたらいいかとかなり真剣に考えています。ところが、学校現場からは不評であるということが多くて、私は元教員でもありますが、私から見ても確かに、ちょっとそこじゃないなというようなこともあって、懸命な割には学校と溝が出来て、切ない片思い状態ということも実はよく見かけています。
先ほど委員の方の中の御発言にもあったかと思うんですが、各学校で校長先生の裁量というのはかなり大きいです。学校において削減したり、やり方を変えたり、地域の人に思い切って任せたりできるという学校裁量のことは本当にたくさんありますが、その裁量の大きさについて、担任などの現場の先生たちは、法規・法令に当たって根拠を確かめたことがないという人もとても多いですし、校長、教頭・副校長という学校管理職でさえも認識が甘いということが実はよくあります。認識を深めるような方策、例えば教員養成だとか採用時や管理職登用時に知識をしっかりと問うていくようなことも改めて必要なのではと思った次第です。
また、裁量範囲について認識していたとしても、具体的な業務削減の実行に大きな困難を感じているという学校管理職は多いです。昨年出していただいた大臣メッセージの中にあった、大臣の耳にも届いているという、やめようと思っても様々な理由によりやめられないという声、これはやめる権限は本来あるのに自分たちでは難しいとも言い換えられるかと思いますし、その理由は、学校文化をはじめとした内外の理解不足だということも勤務実態調査からは読み取れたと思います。
関係者全員が当事者であるということは、学校現場や教職員の間でもかなり認識が広まってきています。学校裁量のことについて主体的に改善を進めたいけど困難だという学校と、それを後押ししたいんだという教育委員会が、擦れ違うことがなく、共に前に進むための考え方を資料にまとめさせていただきました。学校裁量の範囲の業務については、当然現場の自律的決定を尊重するのが本来なのですが、誰も拾わないこぼれ球となっていることをよく見かけます。学校裁量のことであったとしても、多くの教員や学校が途方に暮れているようなことであれば、外部委託や規則改定などの大なたを教育委員会のほうで振るっていくとか、あるいは個別の困っている学校には伴走するといった、行政が旗を振れば、具体的な業務改善アクションが進む余地はまだまだあるなと思っています。
次のページにしていただきたいんですが、勤務校について一番よく知っている教職員、学校自体が自ら自律的に意思決定できるようになるには、様々レベルがあるなと数多く見ていて感じています。校長の成り手不足の中で校長になってくださって、そして困り感を抱えている、悩んでいるという校長先生もたくさんいらっしゃいます。教育委員会の伴走というふうに答申案にも書いていただいていますので、学校裁量だからということでこぼれ球にならないように教育委員会には拾いに行ってほしいと思いますし、学校は自らの裁量範囲のことについては、校内や域内に前例がなくても、自信を持って具体的な業務改善を進めていってほしいなと思っています。教育委員会と学校が擦れ違うことがなく、具体的な業務改善を進めていただきたいと思いますし、そうなるような国の関わり方を引き続き模索していただけたらと思っています。
また、このこぼれ球の構造については、国と現場の間でも相似形な部分があるかなと思っています。これからPDCAサイクルを回していく中で、教育委員会や学校へ国からの片思いにならないように国には留意していただいて、多くの教育委員会や学校が共通して削減困難だという業務がより明らかになってきた際には、部活動のときのような国の大きな旗振りも必要だと考えます。また、先ほど露口委員もおっしゃっていたかと思いますが、特に困難を抱える自治体が取り残されることがないような個別の方策も必要だと考えます。
以上です。
【貞広部会長】 ありがとうございます。では、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬部会長代理】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。今日は半分ぐらい過ぎてからの出席で、大変申し訳ありませんでした。ちょうど橋本委員が御発言になっていらっしゃるところから私、皆さんの御意見を聞いております。それぞれにもちろんお立場もおありでしょうし、お考えもおありであることは間違いないわけですけれども、多様なお考えが今回こういう形で答申案ということでまとめられた。これはまとめていただいた当事者の皆さんには本当に感謝申し上げるんですけれども、本当にまとまるに当たっては、具体的にやってくださった方と同時に、方向性を常にしっかりと分かりやすい言葉で示してくださった貞広部会長のリーダーシップがとても大きかったと思っております。
これは今さらあえて言うまでのことではないかもしれないんですけれども、私たち、今申しましたように様々な立場であったり、様々な考えを持ち持つ者が、いろいろと課題はまだ残っているということも承知しながら、しかし、今現在考えられることで具体的にできることはこれなんじゃないかということでまとめていただいたというものであります。今後これが初等中等教育分科会、それから、中教審総会で議論を経た上で大臣に答申として出されることになるわけなんですけれども、私たちがつくったものなんだという思いを常に意識しながら、この我々がつくったものがどう動いていくのかというのを、先ほどからの御意見の中にもありましたけれども、見守っていく責任が私たちにはあるなと思っております。
先ほどからビデオの話が出ていたので私は本当に恥ずかしい思いで聞いたんですけれども、私もそのビデオでその責任の一端を果たしつつあると自負しておりますけれども、そういうことだけではなくて、本当にいろいろな場面で、どうすることによって、先生がへろへろでなく、元気よくというか普通に、何が大事かということを判断できる状態でお仕事をしていただける、そういうことが非常に重要だと思います。
善積委員のお話の中にもありましたけれども、これは優れた教師を集めたいと思ってやっているわけなんですが、既に出来上がった優れた教師というのももちろん来ていただいたら大いに歓迎でありますけれども、しかしながら、人はやっぱり学ぶことを通して成長するというのも、これはもう間違いのない事実であります。教育はそれを信じて行っている営みでありますので、したがって、そういう意味では、学ぶための時間がないということはその可能性さえ奪ってしまうということで、これはとんでもないことでありますから、そういうことにならないようにいかに具体的にしていくかということが求められると思います。
緊急提言のときから貞広部会長が常におっしゃっていたことで、本当に今しなければならないことをまとめたんだと。いろいろな御意見もあるかもしれないけれども、こういうところからやっていきましょうということを常におっしゃっていただいたわけでありますけれども、これがまさしく実効性を持つためには、これも先ほど御意見がありましたが、お金が必要になってきます。どこにお金を使うかというのは、これは極めて重要な国家の判断であるわけですけれども、ここのところの判断を間違うと、本当に百年の計を間違ってしまうことになりますので、そこのところも私たちも含めてしっかりと見守っていきたいし、そういったことの具体的なアピールも社会に対してしていきたいと思います。
その意味では、橋本委員がおっしゃっていました、経済界としても大いにこの初等中等教育にも目をしっかり向けて支援していきたいというお考えは本当にありがたいことかと思います。教育の中だけでわっさもっさやっているんじゃなくて、本当に広く、社会全体で教育とはどうあるべきなのかというのは考えていけるような、そういう教育に対するリスペクトが働く社会になっていっていただければいいなということを思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。様々な御意見をいただいたところなんですけれども、そろそろ終了時刻が近づいてまいりました。今日御出席の委員の皆様には全て御発言をいただきましたので、議論はこの辺りにさせていただければと思います。
答申の取りまとめに向けまして、本日御議論いただいた内容を踏まえまして、適宜、副題が中心になりますかね、必要な修正を行いたいと思いますけれども、それを含めた文言の調整等については部会長のほうに御一任いただけるということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【貞広部会長】 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。本日も特に今後に向けての多くの貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、本日をもって本特別部会における議論は最終回となります。時間が迫っている中、申し訳ありませんが、最後に部会長としてお礼の御挨拶をさせていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、昨年6月以来今日で14回目ということでございますけれども、丁寧な御議論をいただきましたことに改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます。また、今回の審議に当たりまして、少し遡りますが、昨年意見書を頂戴いたしました36の関係団体の方々、または今回の意見募集に対して様々な御意見をいただきました1万8,000を超える非常に多くの皆様に感謝を申し上げたいと思います。
この特別部会の審議に当たっては、先ほど荒瀬委員がへろへろではないとおっしゃっていましたけれども、先生方がへろへろで疲れ切っていては、働きやすさ、働きがいの両立はもとより適切に高度専門職として、子供たちの育ちに伴走していただくこともままならないのではないかと、そこを出発点として議論をしてまいりました。
様々限界もあるところもございまして、それを踏まえて吟味を重ね、意見を積み重ねましたけれども、部会内外に様々な御意見もありまして、その全てを答申案に反映させる、または皆様全ての合意を調達するというのは難しかったところでございます。ただ、荒瀬委員の御意見にもありましたとおり、本特別部会の結論としては、まずとにかく、3本柱の一体的・総合的な推進によって、先生方が高度専門職としてより働きやすく、働きがいを持っていただくという結論を得たものでございます。
ですから、もちろんこれはゴールではなく新たなスタートですし、会議は終わりますけれども、ここで終わりというわけではありません。少なくとも答申案に記載された施策が実現されることによって、子供たちのよりよい教育の実現に向けて、学校における働きやすさと働きがいの両立がなされるべく、教師を取り巻く環境整備が大きく前進すると大いに期待しているところでございます。
今回、特に金子委員の御提案によって作成していただきました工程表も踏まえまして、計画的に取組を進めていただきたいと考えておりますし、その中では、国に果たしていただく役割も非常に大きいものがございます。骨太方針においても特別部会における議論を踏まえた方向性が示されたと受け止めて感謝しておりますけれども、文部科学省はじめ政府全体として、今回お出しする答申案の着実な実現に向けて取り組んでいただけますよう、お願いいたします。
また、こうした我々の議論が誤解のない形で国民の皆様に、または現場の先生方に御理解いただけますよう、広報につきましても、これは部会長の私だけではなく、恐らく委員の皆様も折に触れて御協力くださるかと思いますけれども、いろいろな方々の御理解を得た上で、しっかりと一体的・総合的に推進していけるということも強く期待したいところでございます。
最後に、委員の皆様に、そして事務局の皆様にこれまでの特別部会の運営への御協力をいただきましたことに感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
次に、文部科学省を代表いたしまして御出席いただいております望月初等中等教育局長からもぜひ一言頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
【望月初等中等教育局長】 1年少しにわたりまして14回、貞広部会長をはじめ委員の皆様方には、それぞれのお立場から実践と御経験に基づく御意見を濃密にいただきまして、ありがとうございました。中教審のプロセスとしては初中分科会、総会等がございますけれども、この特別部会で皆様から、限られた時間ではございますけれども、御意見をいただいたものを事務局のほうでまとめて、部会長の下でこうした形で結実をしたということに関して厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
本日もこれまでの会でも出てた意見とも重なる部分も多くございましたけれども、時計の針をしっかり前に進めて、社会や時代の変化にしっかりと、この教育行政、あるいは学校、教師がちゃんとした教育の充実を全体していけるような形で文部科学省としても、そしてこの具体的な政策が実を結んで、学校の教師一人一人に実感していただけるように努力をしていきたいと思っています。
ただ、これは文部科学省だけがとか、あるいは教育行政に携わる方々あるいは学校だけが、もちろん中心になってやるんですけれども、やればいいというものではないと思っております。要すれば、地域の方々、あるいは首長部局の方々、あるいは今、教育界はいろいろな関係の部局あるいは団体の方々としっかり連携を取って理解を得ながら、そして、任せるべきところは任せ、責任を持つところは持つといった、社会全体で子供を守り育てていくというそうした体制をしっかり作っていく、社会教育の連携ということも大事だと考えてございます。学校現場の多くの先生方が変わってきたということをしっかりと実感できるように、それぞれの立場での役割を果たしていくことも大事だと思っております。
また、これから当然、これを具体化するためにはお金の面も、それから、法制度の面も必要になってくると思います。すぐに一気にできるものではないところは当然ございますけれども、着実に実行できるようにしていきたいと考えてございます。また、フォローアップ、あるいは具体的に推進をしていくところを、あまり学校現場に負担にならないような形ももちろん考えながらしっかり追跡をしていくということ、そうしないとやっぱり自分たちの位置が見えていかない部分もございますので、それをちゃんと一人一人の確認ができるような形も取っていきたいと考えてございます。
また、委員の皆様方におかれましては、それぞれのお立場でまた御指導、御鞭撻いただきながら、また、それぞれの御支援もいただきたいと思ってございます。特別部会での審議はこれで一旦区切りを迎えますけれども、引き続きの御助言もいただきますよう重ねてお願いと、これまでのお礼を申し上げまして挨拶とさせていただきます。貞広部会長はじめ委員の皆様方、どうもありがとうございました。
【貞広部会長】 ありがとうございました。こちらの委員の皆様も、私だけではなくていろいろな審議会の委員をお務めになってきていらっしゃると思います。私もそんなに数多くないですけれども会議に出させていただいて、これほど対象範囲が広く、影響力も大きく、いろいろな意味で重い部会は、恐らく後にも先にもないのではないかと思っているところです。そうした今後への影響力の非常に大きいと思われる部会に御参画いただいて御議論いただきましたことに改めて感謝申し上げたいと思いますし、文部科学省におかれましては着実な推進をという、もう何度も繰り返しておりますけれども、これは委員全員の総意かと思いますので、お願いしたいと思います。
それでは、これをもちまして質の高い教師の確保特別部会を閉会いたします。委員の皆様におかれましては、1年以上にわたり大変慎重な御議論をいただきましたことを感謝申し上げます。ありがとうございました。
―― 了 ――