デジタル学習基盤特別委員会(第3回)議事録

1.日時

令和6年2月26日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省
※対面・WEB会議の併用(傍聴はWEB上のみ)

3.議題

  1. 義務教育の在り方ワーキンググループ中間まとめについて
  2. ICT環境整備に係る最近の動向について
  3. 「GIGAスクール構想の下での校務DX化チェックリスト」に基づく自己点検結果の報告について
  4. 教育DXに係るKPIの方向性について
  5. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

五十嵐委員、石井委員、植阪委員、梅嶋委員、緒方委員、神野委員、高橋委員長代理、中島委員、中野委員、奈須委員長代理、西端委員、平井委員、平田委員、藤村委員、堀田委員長、森田委員、横尾委員
(50音順)

文部科学省

矢野初等中等教育局長、浅野大臣官房学習基盤審議官、安彦大臣官房審議官、武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー、神谷GIGAスクール基盤チームリーダー、黄地教科書課長、小畑教育制度改革室長、藤原教育DX推進室長、中村学校デジタル化PTサブリーダー、渡辺学校デジタル化PTサブリーダー

オブザーバー

奈良県立教育研究所 教育情報化推進部 主幹 小﨑誠二

6.議事録

 中央教育審議会 初等中等教育分科会
デジタル学習基盤特別委員会(第3回)

令和6年2月26日

 
 
【堀田委員長】  皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の第3回を開催いたします。本日もまた、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議の開催方式及び資料につきましては、事務局から、まず御説明をお願いいたします。
【渡辺学校デジタル化PTサブリーダー】  おはようございます。本会議は、前回までと同様、対面とオンラインのハイブリッド方式にて開催させていただきます。つきましては、ウェブ会議を円滑に行う観点から、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含めまして、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1から資料5まで、参考資料が1から3までとなっています。御不明な点等がございましたら、事務局までお申しつけください。よろしくお願いいたします。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 それでは早速、議題に入ってまいります。本日は議題が4つございます。今画面に提示されていますけれども、1から4です。まず議題1は、義務教育の在り方ワーキンググループで大きな方向について御検討しておりますので、そちらの御報告。2つ目は、ICT環境整備に係る最近の動向について。3つ目は、GIGAスクール構想の下での校務のDX化についてチェックリストがつくられ、各学校や各教育委員会の自己点検がありましたので、その御報告について。最後に教育DXに係るKPIの方向性についてと、盛りだくさんでございます。
 また、本日は、報道関係者と一部の一般の方向けに、本会議の模様をZoomウェビナーで配信しておりますので、御承知おきください。
 それでは早速、議題1の義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて、事務局より資料の御説明をよろしくお願いいたします。
【小畑教育制度改革室長】  教育制度改革室長の小畑と申します。私からは議題1、義務教育の在り方ワーキンググループの中間まとめについて、お時間も限られてございますので、概略を御説明させていただきたいと思います。資料1-1を御覧いただければと思います。こちら概要資料になります。
 令和4年10月にワーキンググループが設置されて以降、審議を重ねてまいりまして、昨年の12月に、これまでの議論が中間まとめとして取りまとめられたところでございます。資料1枚目の上に記載してございますように、本中間まとめの位置づけといたしまして、義務教育を取り巻く今日的な課題への対応について、専門的な議論・検討が進みつつあるということを受けまして、義務教育における今後の学校の在り方についての基本的な考え方や、その実現に向けた取組の方向性について取りまとめたものを記載しています。
 また、本中間まとめにおきましては、資料左側にございますように、義務教育を取り巻く今日的な課題を踏まえつつ、我が国における学校の意義・役割に係る歴史的経緯や法令上の位置づけなどを踏まえた上で、資料右側にお示しいたしましたように、目指すべき義務教育・学校教育の姿及び取組の方向性といったものを整理しています。
 義務教育の目的につきましては、教育基本法に定められておりますとおり、一人一人の児童生徒の有する能力を伸ばしつつ、社会で自立的に生きる基礎を培うことと、国家・社会の形成者として必要な基本的な資質を養うことの2点にあるわけですけれども、本中間まとめにおきましては、これらの実現に向けた目指すべき義務教育・学校教育の姿として、右側の①に記載のとおり、義務教育の中核としての民主的で公正な社会を形成する基盤としての学校教育の役割を再確認した上で、こうした学校教育の本質的な役割を今後も果たしていくための在り方として、②公教育としての共通性の担保と多様性の包摂、③児童生徒と教師が集い、共に学び、生活する場としての価値の最大化、④生涯学習社会を生き抜く自立した学習者の育成、さらには⑤学校現場において創意工夫を凝らした教育活動が展開できる環境整備の推進といった点をまとめております。
 そして、これらの実現に向け、⑥教育を支える学習基盤に係る一体的な検討・充実といたしまして、働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援の一体的な推進、教育課程の編成に関する学校裁量、教科書・教材、教員免許・教員研修、ICT、学校施設など、公教育を支える学習基盤の在り方について、学校現場における創意工夫を引き出し、子供たちの学習意欲や創造性を育むものとして、それぞれ専門的な検討を深め、充実を図るとともに、本中間まとめで示された内容が、今後各会議体等における専門的な議論を進めるに当たっての共通の方向性となることで、各分野の検討が一体的に深められ、次期学習指導要領の改訂の検討と相互に連動しながら進められることが期待されるとしているところです。
 次に、概要資料2枚目を御覧いただければと思います。本中間まとめにおきましては、これからの学校の在り方の実現に資するものとして、学びにおけるオンラインの活用についても、その基本的な考え方や必要な方策を整理しています。
 中間まとめにおきましては、義務教育段階においては、対面による指導の中でオンラインを適切に組み合わせることで、子供たちの興味・関心を喚起し、学習活動の幅を広げる観点から、教師をサポートし、児童生徒の学習をより充実させるものとして位置づけるべきであるとした上で、義務教育段階では、必要な専門性を有する教員免許を持った教師が各学校に配置されているということを踏まえまして、左側の下の(1)に記載してございますが、特にプログラミングや英語などの外部専門人材の有効な活用が期待される分野における発展的な学習活動のほか、各教科や総合的な学習の時間などにおける探究的な学習活動や、教科等横断的な学習活動、あるいは進学先が同一の中学校である小学校同士の連携、中山間地域や離島に立地する小規模校における学習活動などにおいて、その積極的な活用が期待されるということ。また、一番下左下にございますが、こうしたそれぞれの実情に応じた効果的かつ柔軟な取組の実施を後押しするために、遠隔教育特例校の見直しを行うことが必要であるとしているところでございます。これを踏まえまして、文部科学省においては来年度から、都道府県教育委員会等による適切な関与の下、一定の要件を満たした場合には、文部科学大臣による指定によらず実施することが可能となるように制度改正を進めているところでございます。
 また、右側でございますけれども、不登校児童生徒や義務教育未修了者・形式卒業者への対応のほか、働き方改革や生活スタイルの多様化への対応といったものにつきましても、学びへのアクセスを保障するための選択肢の一つとしてオンラインの活用を位置づけつつ、学びにおけるオンラインの活用に係る基本的な考え方を十分に踏まえながら、それぞれの状況に応じて適切に活用していくことが考えられるとしているところでございます。
 以上、大変駆け足で恐縮でございますけれども、義務教育の在り方ワーキンググループ中間まとめの概要について御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 1つ目の議題につきましては、これは私どものこの会議と同様、中教審の初等中等教育分科会で、大きな枠組みとして義務教育がこれからどうあればいいかというのを、社会の変化を踏まえて検討しているワーキンググループの中間まとめを御報告いただいたということです。私たちはデジタル学習基盤の整備の在り方について検討していますけど、これはこれからの義務教育がどうあるべきかということと背中合わせの課題ということになります。
 そういう観点で今日は御報告いただいたわけですが、私もこのワーキングの委員の1人です。今、小畑室長から御説明いただいたように、令和の日本型学校教育の推進に向けて、学校というものがどうあるべきかといったことを、学校に来るということの意義や、あるいは共通でやらなければいけないことの意義、あるいはみんなと一緒にやることの意義をもう1回確認すると同時に、多様性にどう対応するかとか、学びへのアクセスがなかなか難しいようなお子さんにどういうふうに学びの場を提供するかとか、そこにオンラインをどのように使うかとか、そういうことを教員、教師のウェルビーイングを保ちながらどうやって実現していくかというような、組み合わせ直しといいましょうか、そういうようなことがよく議論され、整理されたところでございます。
 これはあくまで報告ですけども、これについて何か御意見や御感想等ある方は、少しお時間を取りますので、御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 緒方委員、お願いいたします。
【緒方委員】  緒方です。ありがとうございます。ぜひこういった取組を進めてほしいと思いますが、オンラインで遠隔教育といっても、同期でする場合と非同期でする場合があると思いますが、どちらの場合も、本当にその学生さん、子供たちがどの程度理解して、どの程度学習しているかということを、やはり担保する、保障する必要があると思いますが、そういった意味では、学習ログといいますか、データをうまく使って、この子はここまで学習を進捗して、ここまで理解しているというふうなことをきちんと示していくということが大事かなと思います。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。大変貴重なことかと思います。
 それでは、梅嶋委員、お願いします。
【梅嶋委員】  オンラインの活用、特にオンラインの遠隔授業の活用に関して明記していただいたことは、すごく重要だと思います。逆に、その上で考えなければいけないといったところが、今まで以上に、どこからアクセスしても遅延がなく、高速なインターネットアクセス、これをしっかりと担保するということを、技術的にも経済的にも対応できるというデザインでつくらないといけないといったところに関しては、全ての大前提になるのではないかということで考えておりました。意見となります。
【堀田委員長】  これもまた重要な御指摘です。ありがとうございます。
 平井委員、お願いいたします。
【平井委員】  私、今ちょうど石川県に来ておりまして、能美市というところで、災害時のときなんかのオンラインのことについて、こういった形で示されていたことはありがたいことだなと思っております。その中で、先生方も公務員ですので、そこの勤務地の問題、先生方がオンラインで自宅からやるということも、こういった災害時なんかは特にこれから考えられてくると思います。そういったところの対応とはどうしたらいいのかというところです。そういったところは文部科学省だけでなくて、ほかの関係省庁の問題もあるかと思いますが、併せて議論していただけるといいなということをちょっと感じました。
 また、これから遠隔特例校については、地方の中山間部辺りになってくると、こういった特例校の見直しがあって、さらに柔軟にできるようになると、非常に中山間部の小規模校などにおいては、さらにオンライン教育の可能性というのはこれから出てくるなと今感じているところです。意見です。以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、この後、中島委員、平田委員、植阪委員の順番で行きます。よろしくお願いします。
 まず中島委員、お願いします。
【中島委員】  ありがとうございます。今、私はカンボジアから入っておりまして、途中でちょっと抜ける形になりますが、よろしくお願いいたします。カンボジアからもこうやってつながるというのは、すばらしいなと思っております。
 幾つかあるんですけども、1個目、細かいことなのですが、通信制の高校で、実は通信と言いながら、ほとんどが郵送で、一切オンラインを使わないという学校が地方ではかなり多いという話をこの間聞きました。私も知らなかったのですが、かなりのところがそうだよと、そのときに問題になったのは長野とか、その辺りでした。そうすると、学校に来たとしてもオンラインでつなぐこともできないということで、郵送ベースであると。これ何か国などがしっかり入り、変革していいことのほうが圧倒的に多いと思うので、うまくいけるといいかなと。ただ、現場の先生方はやはり慣れていないというのがあるので、いろんな支援の下、移行が進むといいなと思いました。
 それから、今の御時世だと、もう皆さんWi-Fiとか持っているとは思うのですが、私がニューヨークにいたとき、そのときはコロナのときでしたが、やっぱりアンケートで家にWi-Fiがないおうちとかに対しては貸与するというような政策が取られていました。どこまで面倒見るかというのはあると思いますが、だんだん、持っている子は端末も、やっぱり自分で持っているほうが楽だと思うので、Wi-Fiにしてもパソコンにしても、もう自分のものを持ってくるというので基本いいと思うんですけど、持っていない、どうしてもそれが持てない御家庭に対して、何かしらの支援があるというようなことがあるといいのかなというふうに思いました。あるいはスマホでできるのか、ちゃんと代替案があるのかどうかのチェックみたいなものがないと、どうしてもなかなかそういうものがない御家庭にとっては非常に厳しいことになるのかなと思っています。
 あと、外部の支援員が入るのは非常によいと思いつつ、先生方御自身もやっぱりスキルアップしていけると、これからの時代、いいという部分があると思うので、研修なり、あるいはそういうスキルを持っている先生を少し、何かそこを応援するような配慮があるといいのかなと思いました。
 あとは、こうやって私も今つながっているんですけど、国際教育というか、先ほど英語、プログラミングとありましたけど、海外とつながったりするみたいなことも今後オンラインを通じて推進されると、非常に面白い部分もあるのかなというふうに思っております。
 一旦以上です。ありがとうございます。
【堀田委員長】  ありがとうございます。現在挙手いただいている方までとさせていただきたいと思います。
 平田委員、お願いいたします。
【平田委員】  ありがとうございます。平田です。先ほどの御説明、とってもすてきなことが話し合われていると思いました。その中でも、委員長御説明の中で、共通で子供たちが学ぶことと、多様化・多様性への対応というところの組合せが大事になってくることや、学びへのアクセスの多様化がさらに大切になっていくというところに、特に共感しました。
 共通でというところと、それから多様性というところを考えたときに、DXが果たす役割はものすごく大きくて、例を挙げると、デジタル教科書だと、子供が興味を持ったところをクリックすると深い内容が広がっていくというように、多様性をさらに担保するような仕組みでもあると思います。その際に、共通で学ぶところをしぼり、明示することで、個に応じた教育を、教員が創意工夫しやすいのかと思うところでもあります。
 委員会でお考えいただいた中に、様々なところで「学習指導要領と連携させて」という表現が見られます。学習指導要領のなかで、共通のところを絞ることで、個に応じた教育をやりやすいと思った次第です。
 以上です。ありがとうございます。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、植阪委員、お願いいたします。
【植阪委員】  よろしくお願いします。この次の世代の公教育を考えられるということ、非常に勉強になって、面白いなというふうに考えております。学校現場の先生、ある自治体さんとかと協力しながら、ICTを使って深い理解とか深い学びをどう日々保障するのかということを考えて動いているところなんですけれども、その場合に、授業、ちょっとやっぱり変わってきたなというのを感じることがあります。
 例えば授業というのは、確かに中核になるのですが、授業前後には家庭での学習が入っているわけです。そこのつながりというのが、ICTを活用することによって、随分うまくいくようになっています。例えば事前にPDFで1枚教科書を配信して読んでおき、ここが分からないという情報をロイロなどで集約した上で先生が授業をするということもできます。また、終わった後に、自分で何が分からない、分かったということを動画で伝えるようなことをやっている学校もあります。そうしますと、かなり学力低い子でも、どこが分からないというのがはっきりわかります。ですので、それを使って次の授業のフォローアップをするように、授業の前後で、家庭での学習をうまく巻き込める可能性がかなり見えてきています。その辺、授業を核にしながら、家庭学習まで射程に入れて子供たちがサイクルを回しているという視点で少し考えていくと、デジタルツールが身近にあるのは更にいいのかなというふうに思っています。
 一方で、持ち帰りの問題です。家庭に持って帰った際、ユーチューブ漬けになってしまうという問題がある一方、うまくやっている学校もあったり、その辺どうバランス取っていくかというのは大事な問題というふうに思っています。
 最後に今、台湾とつないで一緒に授業を設計しているのですが、やってみると、1コマの時間が違う、タイムギャップがあるなど、色々な問題があるので、実際にやられていた人の体験のようなものがどこかに集約されていると、次やる方にはかなり役に立つのかなというのを思いながら工夫しているところです。ありがとうございます。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 では、藤村委員、お願いします。
【藤村委員】  御説明をお聞きして、とても共感しながら聞いておりました。私は少し視点を変えて、学習系というよりは、校務系に近い話を少ししたいと思います。
 この左上にある義務教育を取り巻く今日的な課題の一つに、4つ目に質の高い教師の確保のための環境整備で長時間勤務の話が出ていますが、それに対する対策がもうちょっと色濃く出るといいのかなと思っておりました。といいますのも、校務DXという話を最近強力に進めているところではありますけれども、長時間勤務の根本的な原因を見ていくと、日本の学校では教員が担う業務が多過ぎる。諸外国に比べて、チーム学校で取り組んで負担軽減を図るという部分弱い。それに対して、ICTを使ってやりたくても、正規職員以外の臨時の教員ですら端末が配付されなかったり、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、子供たちの課題を共に解決するはずの人たちにもアカウントすら発行されずに情報共有ができない部分も、現場に行くと結構あったりします。したがって、その部分でチーム学校も一緒に取り込む一つの重要なツールとして、このICT、デジタル環境というものをお考えいただくといいのではないかなと思って聞いておりました。
 以上でございます。
【堀田委員長】  ありがとうございました。時間の関係もありまして、ここまでとさせていただきますが、今たくさん貴重な意見をいただきました。私どものデジタル学習基盤の特別委員会と、義務教育の在り方のワーキングとをつなぐ意見だったと思います。特にネットワーク基盤の重要性とか、家庭のWi-Fiの話とか、今のアカウントの話、関係する人のアカウントの話とか、これは整備上の課題になりますし、デジタル学習基盤として非常に大事なことで、それは当然コストの問題とか、どのお金でそれを整備するのかとかいう問題と関係するかと思いますし、遠隔教育の特例校制度を緩めて、柔軟に遠隔教育が取り入れられるようにしようというのも制度改革ということになろうかと思いますし、最初に緒方委員がおっしゃったログの話は、植阪委員がおっしゃった、家庭での学びと学校での学びをつなぐ意味でも非常に重要なところになろうかと思います。高校の通信制は、これは義務教育のワーキングなので、ちょっと違う話になりますが、高校の通信教育のような考え方の一部を義務教育でも柔軟に適用できる部分があるかもしれないという意味では、高校教育ワーキングとの連携が検討されているところです。
 いずれも次の学習指導要領がどのようになるかということに、この義務教育のワーキングの検討が関係しますし、それをどのように支えるかという観点で、私どものこの委員会の役割は非常に大きかろうというふうに思ったところです。皆さん貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、議題2に参ります。次の議題2と議題3は関係しますので、一度に御説明をいただいて、皆様からも、またその後、御意見をいただきたいと思います。
 まず議題2は、ICT環境整備に係る最近の動向について、その後、議題3がGIGAスクール構想の下での校務DX化チェックリストに基づく自己点検結果の報告についてということです。実は事務局にこの説明をしていただいた後に、地方自治体におけるICT環境整備や校務DXの話を、今日は奈良県教育研究所から小崎先生にお越しいただいておりますので、御説明をいただくということになっております。
 立て続けになりますが、まず最初に資料2-1について、武藤課長、お願いいたします。
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】  学校デジタル化プロジェクトチームの武藤です。少し駆け足になりますけれども、御説明いたします。
 まず資料2-1、ICT環境整備に係る最近の動向ということで、この間補正予算等もありましたので、かなり大きな動きもあった中で、今後の見通しも含めて御説明したいと思います。
 1枚次のページに行っていただいて、まず令和5年度の補正です。右上にありますように2,661億円ということで、端末の更新の予算というのを確保することができました。中ほどの事業内容・スキームの青いところですけれども、都道府県に基金5年間を造成して、当面、令和7年度までの更新分を今回の補正予算に盛り込んでいるということであります。そして、都道府県中心に共同調達等を行って、計画的で効率的な整備を推進していきたいと、このように考えております。
 その下、補助の基準額も単価を1万円アップすることができました。また、予備機を15%買うこともできるようになりました。全体としては補助率3分の2でございます。
 次のページに行きまして、共同調達のスキームです。真ん中に文部科学省があります。文部科学省がまず基金の造成を補助して、都道府県が基金を造成して、さらに市町村に補助率3分の2で補助をして、残りの3分の1については地方交付税のほうで明確に補助を出すということでございます。そして文科省は、右下ですけども、最低スペック基準とガイドラインを提示するということでして、そしてかつ、右側の緑色のところですけれども、自治体向けにピッチイベントをデジタル庁と共催で開催して、その中で、おおむね補助額を想定する基本的なパッケージ、あるいは基本パッケージに加えて様々なサービスも加えた内容にする応用パッケージ、こういうくくりの中で、様々な企業に御参画をいただきます。そしてそのイベントに、都道府県に設ける共同調達に関する会議体の構成員の方々にここで勉強していただきつつ、戻った後、また別途、地方のピッチイベント等を開催することによって、最終的な共通仕様を定めつつ、そして公告をして調達に移っていくと、このような大きなスキームを考えているところであります。
 右下を見ていただくと、国の最低スペックの基準とガイドライン、それからピッチイベントで示されたパッケージを参照しながら、それぞれの地域の実情に応じて共通仕様を策定するということについて、例えば、より高度な教育を行うために、より高スペックの端末を導入したり、あるいは政令市等で十分に価格交渉を行うことができる規模のところはオプトアウトというのが可能といったスキームにしているところです。
 1枚おめくりいただいて、今度はスペックでございます。スペック基準というのを示しております。GIGA導入時と比べ、今回は1万円単価をアップしています。これは当然物価の高騰などもあったわけですけども、物価高騰のみならず、なるべくスペックは向上させたいということで、関係各所と調整の上で決定しているものです。
 まずOS、これは当然、最新のものにアップデートされ、CPUも、おおむね世代変更で30%ぐらい機能向上するということ。それからメモリについては、Windowsは8ギガ以上としており、これは活用実態を踏まえてこのようにいたしました。それから画面が少し大きくなって、無線のところもWi-Fi6に対応するということで、より高速かつ安定した通信が可能になると考えています。またハードウェアは、キーボードに加えてタッチペン、それからカメラも両側のカメラを必須にし、かつ外部接続端子ということで、いわゆるタイプCに対応したポートをつけてくださいということで、多くの携帯電話等にある充電のやり方で充電できるようになります。持ち帰り等を行う上でも、このことが有効に作用するのではないかと思っています。最後、その他でOSメーカーが提供するソフトウェアあるいはライセンスのバージョンアップ、例えばグーグルワークスペースであればプラスライセンスであるとか、あるいはウィンドウズであればA3やA5など、こういったバージョンアップしたものもサービスが出ておりますので、それをこの単価の中に含めるということも可能にしたいと思っています。例えばデータ分析のダッシュボード化ができたり、あるいはプログラミング等の様々なソフトウェアが充実した機能が使えるなどもあろうと思っております。
 それから次のページに参りまして、端末更新の当面のスケジュールでございます。今年の1月にスペック基準、ガイドライン等を出し、説明会等を開催しています。もう2月も終わりですけど、これから2月、3月にかけて都道府県の議会で基金条例が制定され、そうすると基金が造成することができ、お財布ができるので、そこから国が予算を流し込むことができるようになります。市区町村ごとに端末の需要調査を実施し、調達会議を設置していただきます。4月の半ばを目途に自治体向けのピッチイベントを開催し、それを見ていただいた上で最終的には共同調達まで進んでいっていただきたいと考えているというのが最近の更新に関する動向でございます。
 続いて、ちょっと1つ飛ばしますが、資料3、校務DXのチェックリストというのを簡単に御説明したいと思っております。
 これは12月27日に出させていただいたもので、1枚ページをめくっていただき、上から3行目ぐらいで、去年の4月以降、主に若手、それから中堅の先生方から様々な課題を聴取しました。校務のDX、とりわけGIGAスクール環境、つまり、子供1人1台、先生1人1台、そしてクラウドと、こういったGIGAスクール環境でかなりのことができるだろうと、実際に色々なことが行われているということで、課題と優れた取組事例の収集、分析を行ってまいりました。それを踏まえて、上から3つ目、③ですけども、望ましい取組項目を整理したチェックリストを作成して、実際それに基づく自己点検の結果を報告していただいた、その結果でございます。
 3ページ以降、実際の結果が出てきていますが、上から下に行くに従って取組の実施率が低いと、赤が多くなればなるほど、まだまだ取り組まれていないというふうな見方でございます。
 少し高速で流していきますけれども、左上、学校徴収金、これを現金じゃなくて、いろんなことをやっていますか、②欠席・遅刻・早退連絡にクラウドを使っていますか、③保護者の調査・アンケート、④お便り・配付物、それから⑤業務時間外の問合せや連絡、⑥で学校への提出資料とか、⑦保護者との日程調整、それから学校説明会等でオンライン形式、ハイブリッドでやっていますかと、こういうことを聞いています。
 それから、次のページに参りまして、児童生徒への調査・アンケート、②の小テスト、③家庭へ端末を持ち帰られるようにしているか、④子供への各種連絡、⑤宿題、あるいは⑥長期休暇中の宿題、こういったところにどれだけデジタルが使われて、その結果として先生方の負担の軽減や効率化につながっているかということでいくと、まだまだ取り組まれていないのが多いというところでございました。
 5ページに参りまして、学校内の連絡のデジタル化、①個人メールアドレスが付与されているかどうか、それから②職員間の情報共有や連絡、チャット等使われているのか、③職員会議の資料をクラウド上で共有できているのか、④教職員への調査・アンケート、⑤オンデマンド視聴など、校内研修での協議にクラウドが使われているか、⑦教材の共有がなされているか、⑧職員会議等の検討事項について、あらかじめクラウドで事前に情報共有して意見を聞くということで、相当時間がカットできるわけです。そういったことが行われているか等、様々なことをここで聞いていて、御覧のような取組状況でございました。
 次に6ページに参りまして、⑪先生方から学校に提出する事務手続資料、あるいは⑫校内研修のハイブリッド化等も聞いております。そして、⑬学校から教職員に紙で提出を求めている資料はありますか、やはり圧倒的多数がまだあるというふうにお答えになっております。それからその他ということで、例えば②ですが、1人1台端末のパスワード、これを先生方が全部管理して、その結果、非常に多忙になったりトラブルを招いているといった事例が多いわけですけども、まだまだ先生方の管理というのが多い状況でございました。それから押印・署名、ファクス、この辺りがまだ学校では非常に使われているということでございましたし、⑤で生成AIについて、校務での活用を今推進しており、出てきたばかりということはありますけど、まだ進んでいない状況が見てとれたわけでございます。
 その次、7ページに参りまして、今度は教育委員会のほうのチェックリストであります。先生方に校務用のメールアドレスを付与していますか、②学校と同様のクラウド環境がありますか、③指導主事はGIGA端末を持っていますか、この辺り教育委員会で同じような環境があると、伴走支援が簡単になってくるというところであります。④研修で端末の利用とか持込みを基本にしていますか、研修でオンデマンド視聴をやっていますか、研修アンケートはクラウドでやっていますか、あるいは教職員へのお知らせ、相互の情報共有にクラウドを使っていますか、⑧通知や調査、これらをクラウドを使ってやっているか、こんなことが書いてあるところであります。
 次の8ページに参りまして、ここも様々あるわけですけれども、例えば⑩で研修資料をクラウド上にアップロードしているか、それから、教職員が校務用の端末を校外で使える環境を整えているか、これは先ほどの先生方からの御指摘にも関わってくるところでございます。そして、その他というところで、フィルタリングに関する要望があったときに柔軟に反映していますかとか、セキュリティーポリシーをちゃんと策定していますかとか、こういったところが盛り込まれているところでございます。
 それから、大分飛ばすんですが、12ページに参りまして、まとめのようなものを記載しております。今回の自己点検結果の受け止めと今後の対応ということで、見ていただいたとおり、教育委員会間、学校間で大きな差がありました。まだ2年半経過時点のものであり、かつ整備面での課題が様々残っている時点の結果であるということは加味する必要があると思いますが、大きな差が出ているというところでありますし、ここで書かれたことのほとんどは、必ずしも追加で有償ソフト等を入れなくても――もちろん入れればもっとできるというのはあるにしても、入れなくてもかなり可能なものだというふうに考えていて、ここはもっと進めていきたいと思っています。
 下半分ですけれども、今後3年程度を集中期間と位置づけて、私たち、手軽な改善方法を具体的に示した資料をお出ししたり、オンデマンドでの学習機会、アドバイザー派遣、こういったものを徹底的にやって、学校現場の困り感に寄り添った支援を拡充していきたいと思います。また、②で、整備面の課題があったわけですけれども、私たち今回、例えば指導者用端末の整備とか、あるいはネットワークの遅延とか、こういった学校の責任というよりは教育委員会の部分のところがありますから、端末の更新の条件にこれらを位置づけることによって、一気に取組を加速させていきたいと思いますし、特に押印、ファクスについては、相手もあるので、私どもからも関係の団体に慣行の見直しを働きかけていきたいと思っています。
 今日これをお目にかけている趣旨としては、このチェックリスト、これからも改善していきたいと思いますし、特に高校段階はまだございませんので、よく高校バージョンも考えていきたいと思っておりますので、今日この場でも御意見頂戴して、私たち次のブラッシュアップに生かしていきたいと思っております。
 私からは以上です。
【神谷GIGAスクール基盤チームリーダー】  続きまして、事務局のGIGAスクール基盤チームリーダーの神谷と申しますけれども、議題2の一つといたしまして、次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループの検討状況を御報告させていただきます。
 このワーキンググループは、高橋委員長代理に主査を務めていただき、主査代理を堀田委員長に務めていただきまして、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画、現行のものが令和6年度末までの計画であることから、令和7年度以降の整備方針を議論いただいているものでございます。この特委において具体的に検討事項とされているものの中には、端末更新に関するものが多く含まれていたところでございます。これにつきましては、今ほど武藤から説明のありました補正予算案の編成過程におきまして、文部科学省側において整理が進んできていたところでございます。補正予算の成立後、昨年12月のワーキンググループの第2回会合におきまして、文科省の考える整理について御報告し、また御議論いただきつつ、いただいた御意見につきましては、今ほど御説明申し上げた予算の執行スキームの中に反映させていただきました。その後、このワーキンググループでは、端末更新以外の論点を含む具体的事項の検討に入ってきております。本日は現況として、先週の木曜日、連休の前に第3回会合がございましたので、その際の事務局資料と委員の皆様からいただいた御意見を御紹介させていただきます。
 具体的には資料2-2でございまして、タイトルの帯が濃い青になっているものが事務局資料の抜粋でございまして、ところどころに淡い青のページが差し込まれておりますけども、こちらが委員の皆様からいただいた主な御意見となります。
 まず1ページでございますけれども、学校のICT環境整備の基本的方針ということで、事務局からは、円滑なクラウド活用を前提とした1人1台端末をはじめとする学校のICT環境は、これまでどおりの指導や学習を単に効率化するための付加的な整備ではなくて、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図る上で必要不可欠な学習基盤であるという基本的方針を示させていただきました。
 その上で、以下のとおり整理していくことが考えられるとしておりまして、下の枠内1つ目のポツですけれども、整備方針の基礎となる指導要領につきましては、次の整備方針や次の地方財政措置の計画下においても、現行の指導要領が前提となる見込みであると。それゆえに次期整備方針は、現行の整備方針と同様に、現行の指導要領が目指す個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を実現するために必要なICT環境整備のための方針と位置づけると。そして、一番下の丸ですけれども、現行方針の骨格を維持しつつ、GIGA1期の中間的な課題や成果のまとめ、また外部環境の変化を十分に踏まえた部分的な改訂とすることが適当ではないかとさせていただいております。
 次の2ページからは、具体的な事項についての検討でございます。学習者用端末につきましては、現行の整備方針をつくった際には3クラスに1クラス分の目標水準でございました。その計画の途中でGIGAスクール構想が始まりまして、1人1台端末の整備が始まりました。それで次期整備方針におきましても、1人1台端末環境を前提とした継続的支援が必要ではないかとしております。
 義務教育段階につきましては、GIGAスクール構想加速化基金がつくられまして、国費で経費の3分の2の支援が決定しており、残りの地方負担分につきましても令和6年度の地方交付税措置が講じられる予定です。そのため、新たな整備方針もこのことを踏まえるべきとしております。
 高校段階につきましては、設置者負担中心、または保護者負担中心の整備が進められまして、1人1台端末環境が実現予定です。なお、この際、3クラスに1クラス分の端末整備に必要な経費について地方交付税措置が行われております。今後もこの環境が維持されるべきではないかとしております。その場合におきまして、保護者負担の場合においても低所得世帯への支援が必要なことに留意すべきではないか、また、義務教育段階と同様に、十分な予備機が必要ではないかとしております。
 次の3ページ、学習用ツール等でございますけれども、各教科等の学習活動に共通で必要なソフトウエア、これを学習用ツールと呼んでおりますが、ワープロソフトや表計算ソフトなど、ここに列挙しているものが含まれますけれども、これらにつきましては、文科省が1月に示した最低スペック基準を満たす端末を整備することで、1人1台端末に標準実装されることとなります。また、2つ目のチェックですけれども、GIGAスクール構想はブラウザを通してクラウドにアクセスすることを基本とするものであることを踏まえまして、1人1台端末に標準実装されている汎用のクラウドツールの利用を中心としまして、標準実装される機能を活用した実践事例を創出している段階であるとしております。また、AIドリル、デジタルドリルといったものへの支援の適否につきましては、費用負担が様々である、つまり公費負担であるもの、保護者負担であるものなど様々であり、また、別に策定しております教材整備指針、これも地方財政措置と別途ひもづいているものでございますけれども、これとの関係等も留意しつつ検討すべきとしております。
 一旦ここで事務局資料の説明を区切りまして、委員の先生方からの御意見を御紹介させていただきます。4ページを御覧ください。
 まず基本的な考え方に関する意見につきましては、学校のICT環境が、これまでへの付け加えではなくて、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実のために必要不可欠な学習基盤であると位置づけられたことは非常に重要であるという御意見をいただいております。その次の学習者用端末につきましては、高等学校段階につきまして、きちんと義務段階と区別して整理をし、経済的な支援や故障時の対応といった観点での支援の必要性が明確化された点は評価できるとの御意見をいただいております。
 次に、1人1台端末の利活用環境に関しまして、まず学習用ツール等の前に、総論的な御意見を多くいただいておりまして、特にクラウドが重要であるということについての御意見を多くいただいております。
 1つ目のポツですけれども、GIGAスクール構想はブラウザを通したクラウドアクセスが基本であること、これが学校現場に伝わっていない場合があるのではないかと。このクラウド環境の、協働しやすい、他者参照しやすいといった利点と、令和の日本型学校教育の方針とのつながりがうまく伝わるとよいという御意見をいただいております。
 2つ目のポツで、関連して、教育委員会側においてクラウド利用に過度な制限をかけている事例が見られ、これは学習観の変容を阻んでいるものであるから、導入方針を考え直していただく必要があるのではないかというご意見です。また同時に、ネットワークの高速化もクラウドの円滑な利用のために必要でありまして、ネットワークに課題があるにもかかわらずアセスメントを実施していない自治体は問題ではないかという意見をいただいております。
 4つ目のポツですけれども、能登半島地震の際の被災地域における学校の端末利用を踏まえますと、普段からOSや機器の別に関わらず、IDだけでブラウザを通じて端末を活用できる環境としておくことが大規模災害時にも強みとなるという御意見もいただいております。
 5ページに移っていただきまして、学習用ツール等についての御意見でございます。小見出しの学習用ツール等を御覧ください。まずここでは、基本として必要なツールがクラウドを活用したものである旨が明快になっていて評価ができる。この上で自治体が工夫をすることで、多様性を持ちながらも本質を踏まえた環境整備が進むのではないかという御意見をいただいております。また、AIドリル、デジタルドリル等は様々であって、自治体によって分類もばらばらで共通言語化されていないという課題があるという御意見をいただいております。2つ目、3つ目のポツです。
 また、一番下のポツですけれども、データの活用について、今後は、利用状況が把握でき、指導に活用できる仕組みも重要ではないかという御意見をいただきました。
 次の6ページですけれども、再び事務局の資料となります。大型提示装置と実物投影装置、これらについては現行でもよく活用されておりまして、少なくとも現行の整備方針と同様の水準での整備が必要ではないかとしております。また、充電装置ですけれども、充電保管庫について、端末の持ち帰り学習が進んだことによって、家庭において端末を充電するケースが増加した一方で、バッテリー損耗や充電忘れ、また予備機の保管場所という意味でも対応を可能とすべきではないかとしております。
 これについての御意見が7ページでございまして、大型提示装置、実物投影装置については次期環境整備においても必要で、また大型提示装置については、当時は大型と言っていたものが、もはや大型とは言えない環境にもなってきており、さらに大きく高性能なものがコストダウンしていることも踏まえた判断が必要ではないかという御意見をいただきました。充電装置につきましては、確かに充電保管庫の利用は減っていて、そこを踏まえた上で在り方を考える必要があるという御意見や、モバイルバッテリーのようなものの併用も考え得るのではないかという御意見をいただきました。
 8ページ、事務局資料に戻りますけれども、ICT支援員についてです。現行ではICT支援員は4校に1人程度を目標としておりますが、令和4年度末時点で4.6校に1人ということで、目標水準が達成されていない状況にございます。実態は様々であり、まず、配置目標を満たす、または上回る措置がなされた上で、ICT活用推進に大きく貢献している例が多数あります。他方で、4校に1人の配置水準には至っていないものの、遠隔サポートを組み合わせている例でございますとか、学校の先生方、現場の教職員に十分なICT活用能力やトラブル対応能力が備わり、常駐支援を必要としない例も見られます。
 一方で、次のチェックですけれども、ICT支援員が担う業務は多様で、得意とする分野も異なる中、人材も頻繁に交代が発生することもありまして、4校に1人以上配置しているものの、学校現場のニーズとのミスマッチが生じている例や、学校現場からの十分な信頼が得られずに活用が進まない事例も見られると、また、人材の不足により配置が困難という例も見られます。
 その上で、方針ですけれども、目標が未達成でございますので、引き続き4校に1人の配置水準を目指して配置を促進しつつ、ニーズや実情に応じた支援体制の構築を推進していくことが必要ではないかとしております。またその際、先行自治体の事例を踏まえますと、ICT支援員の能力に応じた処遇改善も重要ではないかとし、配置目標を目指しつつも、こういった観点も含めて課題を整理し、今後の方向性を改めて検討する必要があるのではないかとしております。
 これについての御意見が9ページでございます。1つ目のポツですけれども、ICT支援体制が、支援員とそれ以外の要素も活用して構成されていくという点は重要な視点であり、例えば遠隔で共通的にクラウド上で処理する業務も増えてきておりまして、4校に1人の支援員が学校を巡回し、学校現場の負担を減らすということに加え、共通的にクラウド上で処理を推進するという方針もあるのではないかという御意見がございました。
 また、ICT支援員の業務についての共通理解が重要ではないかという御意見もいただいております。授業関連の支援から、活用が進むと環境整備の支援にシフトしていくと考えられるので、環境整備に係る支援の好事例を示すことが重要ではないかという御意見、また、人材不足の折、処遇の改善ということももちろん重要という御意見をいただいております。
 4つ目のポツですけれども、環境整備関連の支援が多くなってきていて、この環境整備関連のニーズはずっと残るものであろうという御意見をいただいております。他方で、ICT環境の活用があまり進んでいない学校においては、管理職と一緒に支援員が研修を受けるなどして、目指す姿についての共通理解をつくり、ニーズを掘り起こすことにもつながるのではないかという御意見をいただきました。
 また、次の10ページ、1つ目のポツですけれども、4校に1人の適正配置が望ましいが、学校内にICT支援の能力を持った教職員を育成するという観点も重要ではないかという意見をいただいております。
 最後のポツが総括的な御意見ですが、現行のICT支援形態は、人が訪問しての支援や、センター機能での組織的な支援などのヘルプデスク的な支援など様々あり、これが現場の慣れによって支援形態が変わったりとか、地域によっては人材不足があるゆえに、戦略的にある形態を選択されているということもありますと。今後方向性を改めて検討するに当たっては、こうした実態も踏まえた上で、必要な事項、理想的なケース等を国として示し、自治体が判断していくことになるのではないかという御意見をいただきました。
 駆け足でしたけれども、以上となります。
【堀田委員長】  ありがとうございました。報告が続きますが、この次期ICT環境整備方針の在り方のワーキンググループは、私どものこの特別委員会の下で設置されているものですので、そちらの主査を担当していただいています高橋主査に一言お願いいたします。
【高橋委員長代理】  ありがとうございました。現行整備方針の骨格を維持しということですので、基本的にはこの骨格を維持しつつということだと思います。ただ、この特委の委員の先生方にも伺いたい点は、やはりデジタル技術が非常に発展して、クラウド等、非常に色々なサービスが総合的で包括的に提供されるようになっております。例えば教材もツールも交ざったような状態で提供された場合は、それはICT環境の整備指針なのか教材の整備指針なのかといった問題や、ディスプレイが、大型だったのが今はもう小さめという意見もありまして、あまりにも大きくなると、今度は学校施設と連動していくのではないかということで、デジタル学習基盤という考え方に基づいて、色々なことが複雑に関係しておりますので、この辺りの整理をどういうふうに考えていくのかというところがWGの中では少し迷っているところでございます。
 先ほど校務DXの調査の結果で武藤課長からも、追加の有償のソフトは要らない、標準仕様でできるんだというお話がありました。しかし、機器等の整備が出来ていても、実際、活用できている地域、できていない地域があるということを考えますと、環境や設定の作り込み、研修等、この辺りが整備の方針に書かれるのか、あるいはこういったデジタル学習基盤の委員会で話し合われるべきなのかといったことが一つ大きな観点かなと、困っているところかなというふうに思っております。
 あともう一つ、整備に当たって、先ほどもお話ありましたけど、能登の地震を踏まえて早急に検討しなければいけない点、検討不足の点がたくさんあるなということもございますので、そういったことも含めて、今後また深く検討していきたいと思います。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。このデジタル学習基盤の特別委員会は、前回第2回が9月でした。それから5か月の間に補正予算とか、いろんな動きがありましたし、このワーキングでも綿密にいろいろ議論していただいて、県域調達に向かうためにも、端末の在り方とか補助の在り方を先に検討しておく必要があるということで動いていただいたところです。
 この後、皆さんに御意見をいただきたいところですけど、その前に、まず地方自治体での好事例ということで、今日は奈良県教育研究所の教育情報化推進部主幹の小崎先生にお越しいただいていますので、小崎先生より奈良での様子を御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小崎先生】  失礼いたします。奈良県教育委員会の小崎です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は、あくまでも議論の参考にしていただくために、既に公表されている内容を組み合わせる形で資料を用意しました。ですので、資料の全てを説明するわけではなく、部分的な説明で進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は高校の教員を20年やって、その後、教育委員会で17年めになるというキャリアです。学校と、それから教育行政の両面から、してきたことと、考えた整理の中身について今日は御説明申し上げます。
 海外に行っていろいろな交流をしていくと、資料の3にありますように、スペインに行ったとき、「世界で最も先進的かつ大成功を収めようとしている」と日本が紹介され、先生たちの中では、私たち世界中の教員の憧れとなっているという文言が出ました。自分としては、日本はICTが遅れているよと話すつもりの資料を作っていったのです。その講演の中での質問も、日本でいうお世辞の要素はあるんでしょうけれども、「本当に1人1台届いているのか、外向けにパフォーマンスではないのか」ということや、「もし子供たちに自由に学ばせるなら、20年もすれば日本が世界中をリードするようなことになるんじゃないか、大人の言うことを聞かない子供たちに自由にさせるって日本はすごいよね」という話が全体の場の質問で出るぐらいですから、これはあくまで教師、教育関係者の中でですけれども、そういう背景の下に、では奈良でどのような取組をやってきたのかということを4点で整理したものが今からのお話です。
 GIGAスクール構想をスタートしたときに、奈良県のチャレンジの原点となったのが5ページです。見事に5冠を取っているねと、どの項目を取っても全国最下位だよねと言われていたときに、県の教育長は、順位は、これはアンケートだから、先生たちが自信を持って、よし頑張ろうということが大事であって、全国平均を目指すとかそういうことではないよねと、結果としてそうなればいいよね、という助言をいただきました。発想としては、「いいネットなら」という県域の公用のアカウントを整えたら…整えるというよりも、単純に先生たちの基盤、教育活動ができる基盤を、標準化という言葉でもないですね、ばらばらでもいいんだけれども、学校や自治体を超えて横展開でつながるような運用をしていくにはどうしたらいいんだろうということを考えたら、自然にこの県域の公用アカウントという発想になりました。LGWANの回線でも、プライベートの回線、個人契約の回線を使っていても、固有のアカウントを持って、その下にいろいろなIDをぶら下げていく発想です。今では職員番号に関しても、それと統合したらどうだという話が出るぐらいの基盤が今、出来上がっています。
 そもそものコンセプトがありまして、教育を面白く、先生の仕事を楽しくしましょうというものです。イメージや掛け声でなく、実質を狙いにいきますよという宣言を県教委からしました。利用できるサービスに関しましては、先ほどから話題になっている標準という視点では、どこに勤務しても同じように使えるということで物事を進めています。
 10ページにありますように、勉強をすると、ブラウザの画面に獲得したポイントが現れるなど、少し遊び心を含めたようなことで、先生たちが楽しく学べるようになっています。11ページにあります、委員長や平田委員が先ほどからおっしゃっていた、共通性の上で多様性を認めながら自由に学べる環境をつくるということをベースに考えましたので、まず、競争や各自の努力をする前に、全員が同じことができる環境というものを教育委員会でつくっておく。その共通基盤の上で競争するなり個性を出すなりという多様性にどんどん走っていきましょうと、そこは止めませんという発想ですので、先生方に説明したのは、この1、2です。2番は2つ並べていますけれども、とにかく情報共有ができる、個別契約をせずに、県域で参加するという形でいろいろなアカウントを利用できるということを進めました。
 12ページ、13ページに関しましては、教育委員会に、県教委がやるべきことと各自治体でやるべきことはこういうことですよというのを明確化した上で、義務教育段階に関しては、特に県教委がアカウントを管理するということはありませんが、そのサポートや取りまとめについては積極的に行っていきますと宣言しました。14ページにあります教員研修のように、ロケーションフリーで多様な学びも機会も、まず県教委で用意してみますと、それぞれ個人が引っかかるところで学んでほしいということでスタートしています。これをずっと続けていくと、皆さん負担感を感じますので、2年という期間限定をして、その間にぜひ受講くださいという形で進めていきました。
 15ページにありますような、GIGAスクールの整備によって奈良県の先生たちの、先ほどのアンケート調査での気持ちがぱっと上がるわけですよね。「私たち環境もよくなったし、そういえば使っているよね」ということで、気持ちが上がっている。それを追いかけていくと、16ページにあるように、令和4年度に向けては下がってくる。この下がってくるのは、力が落ちた、後ろ向きになったということではなく、周りも一斉に進み出して、みんなが使い出したときに、「あの先生のレベルだったら私はもうちょっと実は下だよね」ということで、気持ちに左右されるというのがはっきり見てとれる。活用は進んでいますが、このアンケートの状況でいくと、周りとの比較で下がっているというのが今の現状です。
 奈良県が目指していることとしては、18ページからの内容になりまして、ステップとしては、ゴールを設定することなどについては教育委員会の中で担当者の間でやる。これは順番にやっていくということではなく同時並行ですが、こういう段階は入れますよねと。
 19、20、21に挙げていることは、これは前回のGIGAの、要するに2019年12月に出したものですので、そのコンセプトが今見て間違っていなかったというよりは、それがまだ通用する段階で物事が進んでいるのだなという実感を持っています。これについても奈良県独自のものでもなく、国の方針に基づいて文科省の示したものを整理したものですから、とにかく、個別最適というのを先生に当てはめてみたり、地域に当てはめてみたりということがコンセプトになっている。「最新のもの」というのは別に「最高の」ということではない。「質の高い」というのは別に「高価な」ということではない。
 これは給食でたとえてると、新鮮な食材を、地元の素材を使って、安心安全においしいことをやっているという、給食に近いイメージですよねということで、「学習環境を整えませんか」ということを、先生たちに、県教委としては訴えてきたということです。
 22ページにありますように、「学習環境を先生と子供たちに」という、ここの2点がすごく大事だと思っていて、「子供たちに」だけでも駄目だし、「先生たちに」でも駄目で、別々でもよくなくて、一緒に学んでいくのだから、同じようなステージの中で同時にやりましょうということを進めています。
 今、データが、23ページのような形で、LGWANとか校務支援システムで動いているんですけれども、実は奈良市を中心としてこのモデルが動き出していて、24ページの目標の形にする。この形になれば、かなりデータを安心安全に、それもスムーズに扱えて、要るものは要る、要らないものは捨てる、そういうところに向かっていけるんじゃないかということで、目標として県域で掲げています。3年後にここを目指しませんかということで、実はもう来年度からも動き出す自治体が出てきているという現状です。
 26ページからあります、デジタル化をしたことでできるようになったことというのは、国の支援を得てスタートした運営支援センターというものを、自治体ごとではなく県域で取りまとめましたので、これはもう非常に大きな迫力があると思います。
 これは県内でイベントをしたとき、武藤課長にも先日出ていただきましたけど、何かのイベントをするときに、先生方の参加する状況を想像していただいたら分かると思いますが、申込み・参加から、その後の情報の共有ということは、ほぼストレスはないです。、皆でシェアできる共有フォルダの中でデータをやり取りが完結するという、スピード感を持った取り組みができます。
 27ページにありますように、運営支援センターなり先生たちの問合せの窓口をとにかく一本化する。どの話題でもいいからこの電話番号、このアドレスへということで、学校向けの問合せや教育委員会向けの問合せというのは、まずフィルターがかかる。それを適切に割り振ってもらえる。その業務を外部委託することで業務改善を図るという形を整えていて、ここに関しては、約1年で非常に安定した運用になって、実際に問合せも激減しています。目に見えて、毎月の報告の中身の質が変わってきているということが見えますので、やはりこういう共通性、標準のところは、できるだけ広域で基盤を共有するのがいいんだなということを感じているところです。
 28ページからは、実際にやっている不登校支援のネットワーク型。29ページ、30ページという形がもともとなんですけど、これも自治体を超えてやろうとしたときに、すぐできている、これもストレスがないです。奈良県の先生たちも教育委員会も、ほかの自治体と一緒にやることがもう前提になっていて物事を考えていく基盤になっている。
 最近、「ダッシュボード」と言われている、31ページ、32ページに示しているようなものも、学校単位であったり、自治体単位であったり、県域の単位であったりということについてはいろいろな分析もできるし、データの活用もできるんですけど、大事なのは、31ページの上に書かれている教育データの取得・活用については、趣旨の説明と許諾を得るという点については、そこを県域でやる。共通でこうですよねということを広域で呼びかけた上で、活動、それぞれ個別のことに関しては各自治体に落とし込んでいくということの流れが、今のところ非常にスムーズです。
 ですので、33ページのような、利用率がどうとか、どこの自治体がどんな感じで使うのということを、少しアプリを加工すれば可視化することもできますし、34ページのような教員の利用状況、35ページにありますように、どの自治体から、どの先生たちからどんな質問が来ているのということも、全部共通で共有できています。これによって、課題解決を考える情報が非常にスムーズに流れて共有されているという形になっています。
 子供たちの状況については、36ページ、37ページにあるような状況です。37ページはアンケートです。何か把握したいというとき、例えば高校入試の範囲はどう考えているとか、保護者はどうなのかとかいうときに関してのアンケートが、共通のアカウントを持っている閉じられた中で、全ての教育委員会・職員が全ての児童生徒対象にできる。これは、むしろふだんの情報を把握するというよりは、何かアクシデントが起こったとか、重大な事案に対応しなければいけないときに役立つだろうということがベースになっています。起こってほしくないことだとは思っていますが、災害が起こったときにはこれがかなり強い力を発揮するんじゃないのかと思います。
 回線についても、衛星回線を確保しましょうということも含めて進めています。奈良も十津川村の災害で小学生たちが命を落とすような不幸なこともありましたので、そういったことも見据えています。なので、教室の中だけではないという意識を持っております。
 38ページからのように、人権のアンケート、それから教職員の今、研修履歴も取っていっていますけど、これも県域で進めることも、全て先ほどの県域公用アカウントによってガバナンスと安全性を保てるので、どんどん進めていけます。
 40ページは管理職向けの個人レポートです。先生たち自身には、先ほど説明した星マークがブラウザにつきますので、自分は今、研修履歴として140ポイントあるよねと可視化することもやっています。
 「気付き見守りアプリ」は、先生たちが子供を見ていた場合、子供自身がどうだったかということも、今はまだチャレンジしている段階ですので、組み合わせながら何かが見えるのか見えないのか。手間が増えるのであれば改善していこうという方向になっています。45、46ページにあるのは、これは定期テストです。
 今までだったら、不登校だったり、何らかの事情で学校に行けなかったら、定期テストは欠席せざるを得ませんでしたが、遠く離れていても、学校から避難的に離れていた場所であっても、定期テストはとにかく一緒に受けられる。もちろん、参考情報にはなるのでしょうけれども、それに対して、テストが終わったら、46ページのような書き込みが友達が飛んでくる。「どうだった?」「こうだったよね!」ということ。これも今ということでなく、もう3年前からいろんなところで各学校の取り組みとして自由に始まっています。
 47ページは小学1年生の算数で、紙で書いてもよいですが、まずデジタル化をしています。デジタルでやることによって、色を変えたり、この子でも何回も書いたり消したりするんですよね。つまり、待たせない。自分なりのいろんなことをチャレンジするという時間も与えながら進めていくということなんかも、これは先生たちが自主的にやっている。そういうことです。
 最後ですけれども、組織を今どうしようとしているかというお話で私の話を終わりたいと思いますが、ここまでは49ページのとおりです。先生と子供たちを支えるためにいろいろなレイヤーを作り、共同調達でやるべきことは、情報教育の内容・整備と、先生たちの研修、ここについて、できる限り共同で調達をしませんかと。端末とかデバイスをということではないですよということでした。
 それを、さらによりよく検討する際、50ページのような議論、教育委員会の話合いも会議体もブレストでやってみました。子供たちにさせることは、社会人の私たちがやってみましょうということで、県教委でこういうことを考えるときの会議体というのはブレストでやってみる。そうすると、やはり学校の先生たちにもちゃんと考えないといけないことがわかります。デバイスを渡して「使ってもらえ」では無理だよねということで、現在到達している結論が51ページです。これは3月に立ち上げ予定ですが、全ての教育長が入っている推進会議というのを核にします。そこがトップだとか下支えではなくて、まず知ってもらうことを中心に置いて、担当者会がそれを包み込む形でコア会議にワーキングを立ち上げています。当然ここは事務局というところで県教委は関わりますけれど、この全てのワーキングなり担当者会なりというところは、全て市町村の自治体の担当者なりリーダーなりが担当します。要するに分担をしながら、任せながら、常に「私の自治体を」ということではなく、御自身の自治体のことと全体のことを考えてくださいということで、今、組織を立ち上げて、4月からはそういう体制で臨んでいこうということになっております。
 以上です。私の今日の話は、奈良県内のどこの自治体ということには関係なく、どの先生にも、どの子供にも共通だということが話せる中身ばかりですので、また皆さんの議論の参考にしていただけたらと思います。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。奈良県はファーストGIGAで県域での共同調達とか、あるいはその後の自治体市町村間連携とかが最もうまくいっている自治体の一つだと思います。県の教育委員会としてどういうふうに引っ張っていったかというようなお話をいただいたところです。
 たくさん御説明がありましたが、この後、皆さんの御意見をいただく時間にしたいと思います。文部科学省からは御報告と進捗の報告、奈良県からは奈良県がこうやってきたという報告がありました。次のデジタル学習基盤の在り方に向けての御意見をいただければと思いますが、時間は15分から20分程度ですので、皆さん手短に、できるだけたくさんの方に御意見をいただければと思います。
 それでは、まず石井委員から行きましょう。どうぞ。
【石井委員】  皆さん、聞こえていますでしょうか。どこからでもネットワークが通じなければいけないこの御時世に、グループウエアが新しくなり、アクセスが集中したことでネットワークに負荷がかかり、やっと今、ネットワークに接続することができました。このような状況ではいけないと強く感じました。
 私のほうから、先ほどの奈良県さんの発表を受けてお話をさせていただきます。改めて、奈良県の取組が、GIGAの考えを生かした、県全域での活用の土台づくりをされていたんだというところ、感心して聞いておりました。このように各県がGIGA第1期でスタートできていたら、自治体間の格差というのもなかったのではないかと感じております。しかし、このような取組を進められたのは、全国でもできたのはレアで、奈良県さんだけ、またはほかの自治体がもうちょっと、という形だったと思います。
 しかし第2期では、この奈良県さんの取組をモデルとして、各県がまねできるところはどんどんまねしていく、リーダーシップを強く発揮していくということを伝えていく必要があると思っております。
 1人1台端末の活用についても、都道府県、市町村、学校、学級の格差が大きな課題であると感じております。ただ、これはICTが得意な先生が頑張れば解決するという問題ではなく、教育委員会が学校の取組状況を把握したり、また、必要なところについては研修をしたり、さらに次の方向性を示したりという、教育委員会と共に進めていくということが重要であると考えています。
 学習指導要領が目指す個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、やはりネットワーク整備と活用を前提としたICT環境整備がどれだけ重要であるかというところを、都道府県にしっかり伝えていかなければいけないと感じております。
 このデジタル学習基盤の鍵を握っているのは、クラウドの利用と、各都道府県の前向き、そして前のめりな取組だと強く感じましたので、それを様々な形で支援していくことが重要ではないかと感じました。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 これからですが、たくさん挙手いただいてありがとうございます。まず森田委員、中野委員、神野委員の順番で参ります。
 森田委員、お願いいたします。
【森田委員】  つくばの森田です。よろしくお願いします。
 まず、GIGA端末の更新の件ですけれども、本当に予備機の15%というのは大変ありがたいなというふうに思っていますけれども、ちょっと心配なのは、このまま示していくと、予備機がどのように扱われるのだろうかというところがあります。
 予備機については、倉庫にしまっておくわけではなくて、予備的に活用していて、いざというときにすぐに使える状況にしておかないとアップデートもされないという、そんな状況も起こるのではないかと思うので、示し方を少し気をつけたほうがいいのかなと思います。
 同じくタッチペンについても、今も使っているところはあるのですが、色々な仕様のものが使われているというところがありますので、タッチペンについてはこういうものが望ましいのではないかというところの示し方も、一つ必要なのかなというふうに思っています。
 それから、次期ICT環境整備の方針についてですが、これは前にもお話ししたと思うのですが、多分、各市町村の財政当局なんかは、1人1台環境が整えば、ネットワークが整えばもう完結でしょう、といった思いがあるので、やはり、この前も言ったようにコンピューター室の在り方について、1人1台ではなくて、個別最適化とかSTEAMを、より個別的な学びを充実させるためには、PC室の環境も必要なんだ、こんな環境も必要なんだという点もある程度示していかないと、全体の理解を得られないのではないかという点を危惧しています。
 そして、最後の奈良県の事例は本当にすばらしいなというふうに思いますが、やはり、最初の中間報告のところでもそうですけれども、先生方って、やるべきことは頭では分かっているけれども、どうしたらいいのか、どういうふうにやったらいいのかというところがなかなか見えていかない。そういう点で、奈良は戦略的に全体が見える化されたというところは非常に大きいと思うんですけれども、やはり各市町村ばらばらだというところ、これについては、こんなふうにしたほうがいいという研修の方針とか、実際の具体的な方法とか、そういうものを総合的にもう少し示したほうがいいのではないかなと、そんなふうに思っています。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 では中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  本日とても、データを示したり、好事例を共有したりすることの大切さを感じさせていただきました。
 昨今、端末の破損率であったり、学習ログの取り方であったり、そういったものに関してちょっと否定的に捉えるような声もまだある中で、こうした今、目指すべきものというのを文科省が説明し、奈良のような好例をきちんと知るということが、いかに世の中の理解を深めていくことにつながるかということを感じた次第です。
 石川県の地震に際しましても、私ども、石川県の教育委員会さんともいろいろお話をさせていただいた中で、端末を文科省が配っても、保護者が「今私たちは避難所にいるので、誰かが盗むかも分からないし、壊れてしまうかもしれないので、端末を受け取れません」と端末を受け取らないというようなお話を聞いて、ちょっと悲しい思いをしたわけですけれども、目指すべきものがきちんと世の中に伝わればよいのだなということを、今、改めて感じました。
 また、ICT支援員の件ですが、十分な知識のある教員がいれば問題ないということではなく、いかにきちんとした立場で支援してくれる人がいるか、事務の人も含め、教職員ではない人で技能のある人が必要だという理解がされなければいけないというのも、ICT環境整備に係る最近の動向や、奈良県の事例を通して知ることができると思いました。
 教材に関しましても、ドリルなど、どういうふうに導入するかというのは自治体によって考えられるところだとは思いますけれども、NHK for Schoolのように垣根なく使える教材をしっかりと存在を理解していただき、お使いいただくということの重要性を改めて感じました。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 では、この後は神野委員、西端委員、五十嵐委員の順番で行きます。
 神野委員、お願いします。
【神野委員】  よろしくお願いします。御質問させていただき、いろいろ教えていただきたいのですが、資料の21ページに書かれていた、県内全域でゼロトラストを、力を合わせて知恵を絞って実現していくと書かれていますが、ゼロトラストを実現していく際に、幾つか考え方があるかと思っています。例えば、まず調達、つまり発注する際に、自治体側にかなり詳しい方がいらっしゃれば、今回は多分グーグルでダッシュボードも作られていると思うので、グーグルでやられていると思いますが、非常に安価にグーグルのサービスを使いながら実現できるというような在り方もあれば、一方、その発注スキルがない中で、ただベンダーの言いなりになってしまったら、非常に高価なものを出されてしまうという側面がある中で、恐らく奈良の場合はそこをすごくスマートにやられたのではないかと思っていて、それはなぜできたのか、どうすればほかの自治体もできるのかというところについて、少し御知見をいただきたいです。また、県内全域でという中で言えば、いわゆる環境整備というか、ゼロトラストという環境を整備するだけでなく、結局使う教員の方々一人一人が個人情報に関するガイドラインや使い方をしっかり知らないと、本当の意味で全員が安心して情報端末に対してアクセスするというのは難しいと思うのですが、その辺りに関してどのような研修などをやられたのかをお伺いしたいです。また、それは自治体間で格差はあるとお考えか。つまりは、全ての自治体が同じ画一的な在り方で調達するということでも、この国のゼロトラストといいますか、各ICT環境に関して十分だと思われるかというところを、ちょっとお聞きしたいというふうに思いました。
 その上で、私なりの発言といたしましては、ICT支援員と学校現場に対する支援は確かに必要ですが、恐らく自治体側、教育委員会の調達側にもかなり詳しい人が必要なのではないかと思っていて、それをもって、スマートで、一番コスパのいいという言い方が正しいかどうか分かりませんけど、環境整備できる、発注できる方をどのように配備するのかということも検討すべきなのかなというふうに思ったりしております。
 また、毛色が変わってすみませんが、教材整備指針というのがまた別途検討されているという話が先ほどあったのですが、この教材整備指針というのは、どこを見ればその検討があるのかということも教えていただければと思います。
 以上です。
【堀田委員長】  御質問については、後でまとめてと思います。
 西端委員、お願いします。
【西端委員】  失礼いたします。私からは2点コメントをさせてください。
 まず1点目は、次期端末整備について、入出力の支援装置が入ったというのは非常に大きなことだなというふうに考えております。例えば、弊研究室では最近、視線入力をしたら、担任が思っているより子供たちが分かっているということが分かったということがございました。今まで視線入力は、どちらかといえば余暇にゲームで使うことが多かったのですが、これからデータを蓄積することによって学びに活用できるというところを明らかにすることができる、それが子供たちの学びになるということで、非常に大きなことだと思って、非常に喜ばしく思っておりました。まず1点目はそれでございます。
 次、2点目ですが、ICT支援員のことです。幅広い、色々なことを知ってなければいけなくて、それがこれからも変わっていくということを御報告していただきました。
 今までも、民間のそうした資格試験であるとか、大学と連動して養成していくというようなこともございました。また、皆さん御存じのとおり、教員養成課程で新しい科目として、「情報通信技術を活用した教育の技能及び方法」が必修になったり、自治体によっては、教員採用試験の中でこうしたICTの活用に関する設問が出てくる、あとは、大学入学共通テストで次から「情報」が入ってくるといった、先生になる前に、そうした情報活用能力のボトムアップをしていこうというところは、非常にこれからの先生に期待できるところであります。
 また、今、生成AIの活用ということもやっておりますが、このICTの活用については、ある程度チャットボットなどの活用も期待できるのではないかと思いますので、こちらも併せて、何かできるといいかと思っております。
 以上でございます。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。私は最初の端末整備の話のところから少し言わせていただきたいことがございます。
 次期の整備の中では「キッティング」という言葉が入っていたんですけれども、端末自体のスペックだけではなくて、それを管理するMDMだったり、それぞれのアカウント管理をしている管理側というのが、非常に自治体によって違っていて、これができていないのでとても困っているところが多いです。
 でも、もううまくやっているところも絶対あると思います。そういった自治体の方が、その知見を公にしていただいて、業者がというより、教育委員会で分かっている方もいらっしゃいますので、そういうところをみんなで共有し、今、設定で困っている部分というのを、もう次の更新で解消したいなというのを強く思っております。なのでここの部分は、例えばアドバイザーとして寄与していただいたりするなど、色々な方法があるかと思いますので、ぜひその辺をお伺いいただけると、かなり平和になるかなと思っております。
 それから、ユーザーの意識という点では、本当に奈良県のお話を聞いて、まさにこれと思ったところが、先生も子供も1ユーザーとして使っていくんだという意識がすごく必要だと思っております。
 どうしても学校は、先生が子供を管理しなくてはいけない、というような頭がなかなか離れないので、そのために余計なツールを入れたり、余計な仕事が増えたりしているのは明らかです。でも、それぞれが責任感を持って、子供もアカウントの意識をしっかり持って、みんなが1ユーザーですという形で動くことができたら最高だと思っております。
 そういう意味では、外部人材であるICT支援員も、なかなかこの中に入れていただけていない状況というのがあります。端末も持たせていただけていなかったり、アカウントがなかったり、様々なアプリケーションが触れなかったり、そういう状態でやっていると、先生方は何でもできると思って我々に接してくださるのに、これはできないんです、これは触れないんですということで、そこの不整合がすごくストレスになっています。これは、実は、昨日おととい、アンケートを大分取っているんですけども、そのリアルな最近のアンケートで、不整合による不満というのが、これがICT支援員なんだと思われてしまっているという残念なところが見えてきています。
 なので、こういうことも含めて、本来私たちはどこまでやっていいのか、どこまでやれるのかということをもう少し標準化していきたいと思いますし、もちろん、専門性というのももっと高めていって、今、いろんな学校にいろんな支援員さんが入っています。「何とか支援員」って山ほどいるんですけど、かぶっているところもすごくあります。逆に、かぶっていなくて空いているところもあるので、やはり関係者としてみんなで連携していきたいです。
 それぞれが勝手にやるのではなく、支援をする人間を取りまとめていくというのが、先ほど奈良県でやられていたGIGAスクールセンターにも、色々な方がいましたが、そういった方々をつないでいただく。
 そして、育成するということを、もう事前に頭に入れておいていただきたい。野生のICT支援員はいません。なので、入れたらなるべく長い期間、そして、「4校に1人」という言葉がありますが、4校に1人だからといって、月に1回しか訪問しないのではほとんど意味がありません。、なぜ4校に1人かといったら、週1回行ける限界の人数なんです。
 正直な話、4校はきつく、3校が限界かという感じがしていますが、そうやって実際に役に立つ数字で目標を立てていかないと、形だけ4校に1人が7,000人いますが、正直、全然足りていないと思います。なので、本当に必要なのは、どれぐらい支援をしているのかという量の問題を考えていただきたいこと。
 そして、遠隔がありました。遠隔については、実際私もやっているのですが、ここは学校の意識がとても大事です。チャットを開けましたよ、支援員がいつでもいますよと言っても、誰もアクセスしてきません。ふだん使っていないからです。
 なので、校務など様々なところで、ふだんから先生同士が文字でやり取りをする、写真を送るというのが当たり前の世代になっていない限り、外から「どうぞ」と私たちが来て門戸を開けても、誰もアクセスしてくれません。
 ですから、ちょっと長い目で見ていただいて、最初は直接顔を見せて安心してもらうという時間は絶対必要かと思います。まだできていないところはそういう形でスタートし、もうできているところは、いきなりオンラインでも行けるかもしれません。
 いろいろな可能性を考えて、ICT支援員を、またこれからも絶対必要になりますので、続けていかせていただければと思っております。
 以上でございます。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 残り5人、手を挙げていらっしゃいますので、皆さん指しますが、時間の関係で、手短に御協力をお願いいたします。
 順番は、平田委員、梅嶋委員、平井委員、緒方委員、藤村委員の順番で指名しますので、よろしくお願いいたします。その後に、小崎先生と事務局に、質問に対して回答いただきたいと思います。
 それでは平田委員、お願いいたします。
【平田委員】  ありがとうございます。まずはじめに、端末の更新や校務DXのリスト化など、文科省の方々、関係の方々の御尽力に改めて感謝を申し上げます。
 奈良県の取組について、本当に感銘を受けました。群馬県でも学校、先生が自走できるように、様々な取組をしています。
 その際に、ICTを使ってどういう教育をどのようにつくっていくかということについて、学校、先生たちの裁量に相当任されて進めつつ、結果的に県全体に良い取組が伝わっていることが大切であると思います。奈良県は、県全体の視点についても県だけが主体となるのではなくて、市町村も主体となって、自分の市町村だけではなくて県全体をどうしていくかという視点を持ってやられているところが、すごいなと思いました。
 また、どこをサポートしていくと自走できるようになるかという視点が必ず大事で、そうしていかないと、やってもらうということが当たり前になってしまって、それぞれが主体になって進めていかないと、やらされ感が出てしまってうまくいかない。学校や先生が腹落ちをして主体的に進めることが大切です。自走していくために、どこをどういうふうに整えたらいいのかということについて、奈良県の取組は大変参考になると思います。
 ほかの委員さんもおっしゃっているように、この取組、いろんなところでさらに伝えていくことができるとよいと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 梅嶋委員、お願いします。
【梅嶋委員】  私のほうからは3点ほど申し上げさせていただきたいと思います。
 まず一つは、1人1台端末に関して、これによって、ゲートウェイ型からエンドポイント型へのセキュリティ設計の変更が全国で完全実施できる環境を得たと認識をしております。本当に関係者の皆様、ありがとうございます。
 この端末が定期的に更新されないと、どうしてもセキュリティー設計というところがいろいろな制約、つまり、「いつでもどこでも」ということを断念してもらうということをせざるを得ないところでした。しかし、この一番台数が多い学生の端末が更新されるということが確認されたことによって、いよいよ学校情報システムのセキュリティが、1人1台端末をベースにしたゲートウェイ型からエンドポイント型へ動くということが実現すると思っております。
 そうした中で、ぜひ一つ留意していただきたいことがありまして、「いつでもどこでも」に加えて、様々な方が特に学習データを共有するという環境になりつつあります。そうした中で、今まではセキュリティに関して義務にはなっていなかった、学校以外の方々、例えば、教材などを提供するサービス提供者の皆様にも協力していただかないと、子供たちの学習データが守れないという時代が訪れようとしております。
 その意味では、今回参考資料3で、文部科学省の教育情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインの改定が報告されておりますけども、いよいよ1人1台端末で、あらゆる専門家が学習を中心としたデータを共有するという時代を踏まえた、ガイドラインの対象を学校に限定しない、参加者拡大型のセキュリティー規格が必要になっているといったところが、私からの1つ目の意見になります。
 2つ目の意見に関しては、既に議論が出ているところでございますけれども、GIGAの運営支援センターとICT支援員の役割といったところに関して、もう少し突っ込んだ議論が必要ではないかという認識を持つところでございます。
 1人1台端末で、また、様々な環境で先生や学生が端末、ICT環境を使うということになると、例えば、何か困ったときに電話で相談するというような窓口が、これが県単位であるほうが効率的なのか、市の単位であるほうが効率的なのか、はたまた全国1か所で、教育ICT110番みたいなモデルのほうが効率的なのか、どの規模でまとめるのが最も効率的で、先生や学生の役に立つのかということで、ぜひ、そこのICT支援員、特に運営支援センターの在り方というところに関しては、今後の議論が必要ではないかというふうに思うところでございます。
 3つ目のポイントといたしましては、まさに議論でも出てきたところだと思うのですが、やはり安心安全の活用といったところに関しましては、単純に誰が責任を持つということではなくて、色々なセキュリティのインシデント、特に学校独特のインシデントが起こっていく中で、成功事例だけではなくて、例えばこんな攻撃に遭ってしまったとか、こんなインシデントがあったというようなマイナスの情報の共有体制といったところも、例えば私が専門とします電力であるとか重要インフラのセキュリティーと同じように、マイナスの情報の共有の仕組みを、ぜひ今後の検討として考えていただければと思います。
 以上3点、私からの意見となります。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 皆さん、お時間の関係で手短にお願いいたします。御協力をお願いいたします。
 平井委員、お願いします。
【平井委員】  平井でございます。よろしくお願いします。
 まず、整備について、本当にファーストGIGAのときの課題にしっかりと対応していただいた、そういったものかなというふうに思います。
 その中で、基本パッケージと応用パッケージがありますが、前回のときには、基本パッケージのみのような自治体が出ていたのが多かったのかなというふうに感じております。
 その中で、ビジョンを示して、こういった事業をやりたいからこういうものが必要なんだという応用パッケージについては、基本パッケージでなく、自治体ごとにそういうことを考えてほしいなというところで、この後の自治体ピッチ等で、その応用パッケージの部分について注目していただきたいなという、そこを強調したいなというところが要望としてあります。
 それから、先ほど森田委員からもありましたコンピューター室のラーニングコモンズ化ということについて、この整備の補助というものができないかという要望があります。なかなか、自治体であそこの部屋を有効に活用できていない。マルチデバイス化する点でも重要かと考えております。
 次に学校DXに関して、FAXに目をつけていただいたのは本当にすばらしいと思います。FAXはやっぱり旧体制の象徴みたいなものです。
 ただ、その改善に必要なところで、先生方お一人お一人がメールアカウントを持っていないというケースが多いです。ここが一番の課題なのかなと思います。
 DXを進める上で、アカウント・メールアドレスを持っていても、自由に使えない制限がかかっているケースが多いです。そこが改善しない限り、ここの部分がうまくいかないのかなと思います。
 その点で、奈良県さんのモデルは、茨城県もそうですが、県全体でアカウントを管理してやっている。そうすると、一人一人の異動の際にも、全部県が人事をやっていますから、異動の対応もスムーズに行くところがあります。県がきちんとアカウント管理をできているというところを、全部の県に、ぜひ取り組んでいただければと非常に感じました。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 緒方委員、お願いいたします。
【緒方委員】  ありがとうございます。奈良県の御報告で、共通の基盤があると様々なメリットがありますということをお示しいただきました。これは多分、一つの県だけでもなくて、国全体でも最低限の共通の基盤、ソフトウェアというのは提供してもいいのかなと思って聞いておりました。
 今回一つの企業が中心になって、奈良県の場合はやられていましたけども、例えば学習ポータルという標準の仕様もありますので、それによって様々な企業が参画して切磋琢磨できる部分もあります。こういう標準仕様をしっかりと示していくことが大事かなと思います。
 そういった意味では、端末についても今回スペックを示していただきましたけど、もう一歩進んで、ちょうど20年ぐらい前にMITのメディアラボがしていた100ドルパソコンのように、使うOSだとか、もう一歩進んで仕様を決めてもいいのかなと思いました。それによって製造コストを安くしたり、故障を少なくしたり、全国で共通の仕様ですので、先生が異動したり、子供たちが移動しても同じものが使えるとか、いろいろなメリットがあるかと思いますので、御検討いただければと思います。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 藤村委員、最後に横尾委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。藤村委員。
【藤村委員】  ありがとうございます。大変いいプランをまとめていただき、ありがとうございました。私のほうからは3点申し上げたいと思います。
 次期の整備については、教育DXという発想で根本的に設計すべきだと思っているのですが、その教育DXの特徴として、今まで後手後手の対応だったものが先手を打ってできるというのが良いと思っています。
 そこで1点目は、学習系のアプリについてはこの中の整備プランに基づいて整備することになっていますが、生徒指導室のCOCOLOプランのことも出ていますけど、先ほどの奈良県の「気付き見守りアプリ」という、非常に有効な、いじめを早期発見・早期解決したり、不登校の予兆を発見して未然防止したりというようなことにICTが非常に有効であるというものを、ぜひ明確に打ち出して、全ての学校等でこれを整備するとよい、といったものを打ち出すと、予算もつけやすいということが1点目でございます。
 2点目です。2点目は、先ほどから話が出ているように、ゼロトラストで、非常時も能登のように学びを止めないといったことができるのは、今後、南海トラフ地震や首都直下型地震が想定される中で大事だと思っています。
 その時、今回の能登もそうでしたが、非常時に持ち帰れますと言っているだけで、実際にはふだん持ち帰っていないので、非常時には端末を先生が配るんですか、ということになっています。
 したがって、持ち帰りは、文房具として当然の義務なんですよということを、ぜひ強く打ち出していただけるとありがたいです。そのためは保険も入っておいたほうがいいし、例えばACアダプターもあらかじめ家庭用と学校用で2個用意しておくとか、そういったアドバイスもあるといいというのが2点目でした。
 3点目です。もうこれは詳しくお話ししません。先ほど皆さんがお話ししているように、ICT支援の人材については、ワーキングを新規設置して検討すべきぐらいの内容かなと思っています。もう10年以上も前に、ICT支援員と教育CIOをセットで検討しましたけど、もう時代が違います。したがって、ぜひ、これについては継続検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 横尾委員、お願いいたします。
【横尾委員】  ありがとうございます。貴重な機会をありがとうございます。途中から参加だったので、発言に齟齬があったら失礼かと思いますが、聞いてください。
 まず1点目ですけども、アンケートとかの資料を細かく事前に拝見したのですが、まず感じたことは、全体をトータルでデザインするような学校マネジメントの改革みたいなものを、誰かがやっていくべきだなと思いました。
 アンケート項目だけ見ていくと、あれをつくりなさい、これをしなさい、これをちゃんとやっていますか、フルデバイスをやっていますかなど、アンケート項目に答えていくことが目的ではないので、それでトータルでいかに情報教育環境、いわゆるICT教育環境を整えるかということも、誰かが考えていくような体制も必要かというふうに強く思いました。
 2点目は教授法についてです。ベストプラクティスというのは、お互いに共有できるようなものを、文部科学省やあるいは有志の方でも良いですが、我々のICT教育首長協議会でも、できるだけそうするように心がけていますが、ぜひそういったものが、動画サイトなんかも活用しながらあると、全国の多くの教育現場の先生方が、各々自分の参考にできるのではないかというのを2つ目に感じました。
 3つ目は、セキュリティやAIについてです。私は個人的にも幾つかの会社をお訪ねしたりして、先端的なお話を聞くように努力はしていますが、例えばOS企業が基本的にパソコンを動かすときに非常に重要な役割を担っておられて、セキュリティについてもAI関係についても、チャットGPTはもちろんですけども、非常に先導的、あるいは時代に即応しながら開発をされたりしています。セキュリティについて言うと、いかにトラップは仕掛けてくるかということも教えていただきました。
 そういった最新のセキュリティ情報など、AIも含めてですが、ぜひ文部科学省でヒアリングしていただいて、OS企業が持っている最新の情報を踏まえて、その対策もしながら、教育現場でどう生かすかということはぜひ必要だと思います。
 このことについては、恐らく費用が発生したり、ネットワークのことはあるかもしれませんが、それも一つの時代を新しく開いていく条件をクリアするためということで、受け止めてやっていくべきだと思いました。
 最後に4点目ですけども、これは文部科学大臣に、私、毎年要望させていただいて、このGIGAスクール、あるいはその前で言いますとICT教育、こういったことが日本に必要だと毎年要望をさせていただいています。
 これまで、予算もついてここまで来て、第2ステージに入ろうとしていること、大変ありがたく思っているところですが、特に最近のお二人の文科大臣にお会いしますと、必ず要望手交の現場で言われていたのは、「現場でもっとICT端末を活用してほしい」ということです。このことがよりよく活用されなければ、例えば財務当局におかれては、そんな活用しないものに投資はできないというふうな話になりかねませんので、そういったことも御懸念されているかと思います。
 ぜひ多くの先生方が、今日のような話、あるいは奈良県の取組などを参考に、より活用していく現実を、我々行政もサポートしながら、教育の現場でつくっていくことが極めて重要だと思っていますので、このことについては、委員の皆様や関係の皆様のお力添えがぜひ必要だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 では、御質問が幾つか出ましたので、これまた手短に、大変申し訳ないのですが、小崎先生、まずお答えください。
【小崎先生】  神野委員から御質問いただいた内容は、恐らく全体として答えられると思います。神野委員は奈良市にも関わっていただいたりして、奈良県の状況はよく分かっていただいていると思うのですが、文部科学省が示した方針を着実にやっただけのことであって、私たち奈良県としてはそれ以上のこともやっていませんし、ただ、それ以下でもなかったということで、精いっぱい努力した、その結果としてこういう形になっています。やはり方針を国として示していただいて、それに向けてみんなで協力して努力するという、この一点かなと思います。
 専門性に関しては、運営支援センターなども含め、県内に専門的によく知っている人が誰もいないとしても、そこに外部人材を入れるなどする。そこを全体で共有するということで、今、奈良県は乗り切っているということです。
 それから、調達に関しては、どこどこの市、どこどこの町が先進的にやりますというのをモデルにしない。つまり、何かに取り組もう、何かに挑戦しようとしている自治体があれば、それはぜひ県域で全自治体に広めたいと思いますので、それも意識してくださいと言っています。各自治体は思い切りよく突っ込んでやっていますが、それはもう常に県のものだという共有ができているという点で、逆に自治体の自由度を上げながら共有しているということですので、先進的に取り組んでいるところの取組は、奈良県中どこの自治体でもできますよねと。それでほぼ解決していっているということです。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 では事務局、お願いします。
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】  では私のほうからまとめて、時間がないので説明したいと思います。
 まず、森田教育長はじめ、奈良を踏まえてというところです。私たちも非常にいい事例だと思っているので、今回出させてもらったガイドラインの中で、都道府県域のクラウド基盤の共通化とか、あるいは共通アカウントといったところはこの際検討していただきたいということを明確にお示ししつつ、今後様々な機会で、これは促進していきたいというふうに思っています。
 それから、支援センターと支援員の役割分担のところ、これは幾つか、何人かの先生からありましたので、引き続きこれは検討課題で、大事なところだと思っています。一概に言えないところも含めて、よく整理をかけていきたいというふうに思います。
 梅嶋先生からあった、マイナスの事例の共有体制のところは、本当にそのとおりだと思うので、これも梅嶋先生にまさに御参画いただいているセキュリティの有識者会議でも、御検討の課題になってくるのかと思いながら伺いました。
 それと、教授法、ベストプラクティスという、横尾市長からあったところですね、ここは私たちもかなり今、動画の勉強会みたいなのをやって、一昔までは考えられなかったぐらい、2,000人、3,000人とか、今、参加者が入ってきています。そして、それをさらにオンデマンドでも見られるようにするといったことも含め、もっとここは進めていきたいと思います。
 また、最新のセキュリティというところでした。今日は御説明の時間が取れなかったんですけども、参考資料3というところで、情報セキュリティポリシーのガイドラインというのを先月末に改訂をしておりますが、これを今年中に、さらに大きな改訂というのを予定したいと思っているところであります。また、それを分かりやすくお示しすることも含めて、梅嶋先生とも御相談しながら検討していきたいというふうに思います。
 それから、五十嵐さんからあった、教育委員会で分かっている人、あるいは設定で困っているところを解消していくアドバイザーといったところの御指摘があったと思っています。今回、アドバイザーといっても、一個一個の自治体に派遣をしているのですが、それだとなかなかスピード感がないものですから、ある程度整理して、みんなが一遍に聞けるような、あるいはオンデマンドでも聞けるような、やり方を工夫したいと、今日伺って思いました。
 それから、調達側に詳しい人が必要だというあたり、この辺も含めて、今回、共同調達ということなので、一定の人的なリソースは県のほうできちっと整備していただくということだと思いますが、そこにさらに事務費もつけて、アドバイザーの派遣も含め、トータルでやっていきたいと思います。
 それから、これも五十嵐さんからあった、ICT支援員の端末・アカウントがないという点も大きな問題なので、先ほどお目にかけたチェックリストの、改訂をする際にはその中で見ていくべきことなのかなというふうに思いながら聞いておりました。
 すみません、私からは以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 私のさばきが悪くてあと5分になりましたが、議題はもう一つ、結構大事なものがあります。多少、延長させていただくことをお許しください。大変申し訳ございません。
 続きまして、議題4、KPIの方向性についてということです。事務局から御説明をお願いいたします。
【武藤修学支援・教材課長/学校デジタル化PTリーダー】  続けて御説明いたします。資料5-1です。「教育DXに係るKPIの方向性」という資料です。
 これは、昨年の12月のデジタル行財政改革会議でたたき台として示したものです。資料の一番下、今後専門家や地方教育行政関係者の意見も聞いた上で、今年度中に確定をさせるという位置づけの資料でございます。
 5-2というところで、実際に地方自治体から意見を求め、既に意見を聞いていて、先生方からも意見をいただいたり、お気づきの点をいただいたりしながら、さらにブラッシュアップしていきたいと思います。
 簡単に御説明すると、大きく左上のインプット(ハード面)と、インプット(ソフト面)というのがあって、端末関係、①ネットワーク関係、それから校務の関係、そして端末自体の積極的な活用というところで、課題をそれぞれ黒丸で掲げておりまして、その課題に対応した形でKPIのたたき台を入れております。
 例えば①であれば、指導者用端末整備済みの自治体を100%にする、十分な予備機を整備してもらうなど、今回のスキームの中である程度対応が可能なものをここに入れております。
 またネットワークの統合について、速度の計測・把握、アセスメント、その結果として十分なネットワークの速度確保済みの学校、さらにはセキュリティポリシーを策定してもらうということ、このあたりをKPIとして掲げています。
 その隣、校務DXのところですけれども、チェックの最初のクラウド環境を活用したDXの徹底について、先ほどお目にかけたチェックリストを使いながら、もう少し具体的に落とし込んでいく必要があると思っています。
 それからFAX・押印の原則廃止、不合理な手入力の一掃、生成AIの活用、次世代の校務システムの導入予定、このあたりを掲げています。
 ④積極的な端末の活用ですけれども、KPIの最初で、当該年度にICT研修を受講する教員の割合を100%にする。ICTは非常に流れが速いので、一回受けたらそれで終わりではなく、毎年毎年ブラッシュアップしてもらうという趣旨です。
 3つ目の、ICT支援員の配置について、これは4校に1人を早急に達成するということでありましたけども、五十嵐委員から御指摘があった実質の部分を踏まえ、現場の指導・助言に生かすことも含めて、考えていきたいと思います。
 また、端末を週3回以上活用する学校、デジタル教科書を活用する学校の割合について、、こういったことを進めながら、下半分でアウトカムということで、まず、個別最適・協働的なということでいうと、以下の場面で端末を活用する学校を調べることや、発表・表現など、様々な場面を入れております。
 そしてその隣、情報活用能力の向上ということで、別途やっている調査で、下位層の割合を減らしていくことや、キーボードをまだまだたたけていない子供たちのスキルということでも、これは1分間の平均の字数を格段に上げていくということで、教育活動全体をスピードアップしていくというところを入れています。
 そしてその隣、学びの保障の観点で、不登校の子供、あるいは外国人、あるいは障害のある子供たちにICTを活用して支援を実施している学校の割合や、さらに最後、働き方改革ですが、次世代の校務システム導入済みの自治体、いわゆるロケーションフリーで校務処理を行っている自治体の割合、このあたりも位置づけているところでございます。
 すみません、説明は以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございました。これは年度内に確定するということで、今日がもう2月の末に近いですから、皆さんの御意見をたくさんいただきたいところですけれど、時間の関係もありますので、後でメール等でいただけるものについてはそうさせていただいて、ここでやっぱり発言しておきたいという方だけにさせていただきたいと思います。
 また、今日は冒頭で義務教育ワーキングのお話があったように、これからの学校教育の在り方と、私どもが検討しているこのデジタル学習基盤、これはICTが進んでこうしておいたほうがいいとかいうレベルではなくて、これからの義務教育を円滑にさせる基盤をどうするかという話です。
 そういう意味で、義務教育ワーキングの主査をやられている奈須先生に、最後に一言いただくということにしたいと思います。奈須先生、突然ですみません。
 まずその前に、このKPIについて御意見をいただきたいと思うのですが、御意見のある方は挙手いただきたいと思います。奈須先生には最後に一言お願いしたいと思います。
 いかがでしょうか。では横尾委員、お願いします。
【横尾委員】  ありがとうございました。私、事前にこれを読んで一番びっくりしたのは、FAXがすごい多いなということです。やっぱり現場の混乱、手間もかかる、またそれを共有しなきゃいけないというのは大変な手間だと思いましたので、ぜひ改革をお願いしたいというふうに思いました。
 そして、教育委員会が決めたから、文科省が言ったからやるだけではなくて、各現場でよりよいマネジメントをどうしたらいいかということを、関係者の皆さんが一緒に話し合っていただきながら、お互いの頭もバージョンアップしながらやっていくことが大切というふうに感じたところです。
 以上です。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見ありますでしょうか。植阪委員、お願いします。
【植阪委員】  ありがとうございます。すごく大事な論点だなと思いながら聞いておりました。これが難しいかなとは思うんですけれども、ここで挙がっているのは、学力の質というか、ついている学力面の話をもう少し入れていただけるといいかなというふうに思います。
 EBPMの一環としておこなっているGIGAスクール構想の効果検証の会議のほうでも、深い理解というのにICTがどう寄与しているかという議論が行われたりしています。今、国が目指している深い理解とか、そういうことはついているのかというあたりを、せっかく国が持っているデータもありますので、絡めていただけると大変ありがたいかなとは思っています。KPIまで入るかどうか分からないんですけれども。失礼いたしました。ありがとうございます。
【堀田委員長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、恐縮ですけれど奈須先生、一言お願いできますでしょうか。
【奈須委員長代理】  お時間いただいてありがとうございます。前段で小畑室長のほうから御報告のあったとおり、中間まとめ、あんなふうにまとめさせていただいております。
 中間まとめは2部構成になっております。後半の学びにおけるオンライン活用は、ダイレクトにこのデジタル学習基盤にかかわっています。GIGAスクール構想、コロナ禍での経験を通して、日本の学校がオンラインを活用した教育の可能性と課題に気づいて、教育の質の向上、子供の学びへのアクセスの保障の実現、それらによるD&Iの推進を目指して、さらなるオンラインの活用に向けて、既に着実に歩みを進めていると思います。
 ただ、現状では制度面の整備がそれに追いついていません。中間まとめでは、義務教育として堅持すべき事柄を確認しつつ、今後予想されるデジタル学習基盤の一層の拡充に備えて、取るべき方策について幾つかの御提言をさせていただきました。
 今後に向けての論点の一つとして、高等学校では通信制が正規の課程なので、オンラインの全面的な活用は選択肢の一つです。一方、これを義務教育でどう考えるのか。
 中間まとめでは、「学校に教師と児童生徒が集い、共に学び、生活する中で子供たちの資質・能力を育んでいくという義務教育段階における学校教育の役割や価値が最大限に発揮されることが重要」という押さえをしております。そして、「オンライン活用を進める上では、特にこのことに留意することが必要」としております。
 ただ、今後、このことの内実や具体をさらに明確化する、あるいは実質化するということが必要だろうと思います。また、そこにおいてデジタル学習基盤がどんな貢献なり変革の可能性をもたらすかというのも重要な検討課題で、ここでもまた御議論を頂戴したいと思います。
 一方、前半はもっと広範に、そもそも義務教育の目的とは何か、あるいは学校はどうあるべきかという根源的な問いに、まだまだ予備的ですけれども、今後に向けて本格的な議論の最初の橋頭堡を築こうとした試みだと御理解いただければと思います。
 ここでの中心的な問いの一つは、先ほどの後半の問いとも通底していて、「なぜ子供たちは学校に登校し、対面で学ぶのか」というものでした。中間まとめの前半では、様々な観点・角度からこのことに言及していますけれども、その全てにおいて、デジタル学習基盤が関わっています。今後、その具体的な姿をよりよい方向で実現していく上でどんな可能性があるのか、これも本会議でも活発な御議論をお願いできればと思います。
 一点、御注目いただきたいのは、先ほどの問いですね、何で学校に子供たちが通って、対面で学ぶのかということに対して、「民主的で公正な社会を実現する場としての学校の価値を最大化していく」ということに言及をしています。
 実は、それ自体は教育基本法以来、戦後一貫した学校教育の理念だったと思いますけれども、このような形でそれを改めて確認したことは、大きな意味があるかと存じます。
 こういったことも、実は、間接的ですがデジタル学習基盤の拡充がもたらしたことです。ただ勉強するだけだったら、学校に通わなくても、先生が前に立たなくてもやれてしまうんだということが一定程度出てきた中で、ではなぜ登校するのかという問い。本当にデジタルの普及によって、「学校とは何か」という問いが、学制以来150年ということですけれども、問い直されるのだろうと思います。
 以上のように、今後の義務教育の在り方を考える上で、デジタル学習基盤の在り方というのはとても大きな影響を持つと思われます。
 義務教育ワーキングでも、本委員会での今日のような議論を踏まえて、また引き続き議論を深めてまいりたい、両方の会議体の間で緊密に連絡・連携を取って、いい形での方向性を探っていきたいなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【堀田委員長】  ありがとうございました。
 たくさん御意見いただきたいところでしたが、既に時間を過ぎております。今日はここまでとさせていただきます。言い足りない部分につきましては、事務局にメール等でお伝えいただければと思います。大変恐縮です。
 たくさん御意見いただきましたが、最後に、次回の予定について、事務局から御連絡をお願いいたします。
【渡辺学校デジタル化PTサブリーダー】  次回の日時につきましては、また事務局より御連絡させていただきます。
【堀田委員長】  分かりました。
 それでは、今日は6分過ぎてしまいまして申し訳ございませんでした。ここまでといたします。皆さん、御協力ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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