高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第13回)議事録

1.日時

令和6年6月20日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室(WEB会議も併用)

3.議題

  1. 全日制・定時制・通信制課程の在り方、遠隔授業配信センターの体制等の在り方、高等学校の指導体制の充実のための方策等
  2. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた
学校教育の在り方に関する特別部会
高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第13回)
令和6年6月20日
 
【荒瀬主査】  それでは、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 高等学校教育の在り方ワーキンググループ第13回を開催いたします。御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 この会議も、ウェブ会議システム(Zoom)を併用しつつ、文部科学省内の会議室におきまして開催させていただいています。傍聴者の方につきましては、YouTubeにより御視聴いただいております。
 なお、本日、報道関係から録音及び写真撮影の希望があります。これを許可しておりますので、委員の皆様におかれましては御了承いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議の配付資料につきまして、事務局、度會参事官補佐から御説明をよろしくお願いします。
【度會参事官補佐】  事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。本日の配付資料は議事次第のとおりとなっておりますので、不足等ございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 では、議事に入りたいと思います。本日は、「全日制・定時制・通信制課程の在り方、遠隔授業配信センターの体制等の在り方、高等学校の指導体制の充実のための方策等」ということで議論をお願いすることになっております。
 それに当たりまして、本日、まずヒアリングを実施いたしたいと思っております。YMCA学院高等学校長でいらっしゃる鍛治田委員から、続いて岡山県教育委員会の瀧川総括副参事から、最後に兵庫県立阪神昆陽高等学校の桑田校長先生から、それぞれ10分程度で、大変申し訳ありませんが御発表いただきまして、その後まとめて質疑応答の時間を、20分程度になりますけれども、設けたいと思っています。さらにその後、事務局から昨年度の視察結果の御報告をいただき、それらを基に、本日の議事内容について、さらなる充実や改善を図るためにはどのようにしたらいいかなどについて、引き続き御意見をいただくということを思っております。
 では、ヒアリングを行いたいと思います。最初に、YMCA学院高等学校の取組事例につきまして、鍛治田委員から御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【鍛治田委員】  YMCA学院高校の鍛治田と申します。
【小林校長代理】  同じくYMCA学院高校の小林と申します。
【鍛治田委員】  では、資料の1ページ目になります。まずYMCAについて御説明いたします。
 その次のページお願いします。YMCAは180年前、イギリスのロンドンで生まれた社会教育団体です。本校はYMCAの資源・リソース、キャンプなどのグループワークを通した青少年育成や、世界119の国と地域に広がるネットワーク、発達障害の療育など、そういったものを用いて、広域通信制・総合学科として2002年に誕生しました。
 大阪YMCAは公益財団法人、学校法人2つ、社会福祉法人と4法人ございます。その中の学校法人に5つの学校があります。
 網かけをしているところが高校生対象になります。専門学校の高等課程、国際学科、表現・コミュニケーション学科、本校、そして全国初の公設民営の中高一貫教育校大阪府立水都国際高校、こちらもYMCAが運営しています。
 YMCA学院高校は大阪市天王寺区にあります。本校は2年前から100人増えて604人になっております。
 連携校は東京、大阪、神戸、和歌山とYMCAグループになっております。
 名古屋YWCAが今年度から増えました。教育課程に日本語がある本校に連携のお申出がありました。同じキリスト教基盤でミッションが一緒、古くから関係がある団体でしたので、連携もスムーズに進みました。
 関わる学校、つながる学校を目指しています。
 右の図が学びと成長のプロセスです。真ん中のところに生徒がありますが、9割以上が不登校経験がある生徒たちです。非常に不安と緊張を持ちながら入ってきます。その生徒たちが安心して、この学校に居場所を見つけ、自分らしさが出てくる。そうなると、学習や人間関係にも積極的に取り組めます。ですので、ここまでの過程に非常に注力しています。
 右にグランドデザインがありますが、幹のところの三角形が学習指導要領になります。その真ん中に命の尊厳を置いています。できるできないではなくて、あなたの存在そのものに価値があるということを生徒たちに伝え続けています。
 左が生徒との3つの約束です。2017年につくりましたが、この約束を大切にしてくれますかと尋ねることによって、想定外でしたが、生徒層が激変しました。自分を大切にする、周りの人を大切にする、学びを諦めない。このことにより通信制だから簡単に卒業できると思って入ってくる生徒はいなくなり、本当に勉強したかったんだなと思える生徒たちが入るようになりました。
 次お願いします。多様なニーズを持つ生徒たちが入ってきていますので、2019年から合理的配慮に取り組むようになり、生徒たちが力を出せるように取り組んでいます。
 申請状況としまして、左側の円グラフです。
 すいません。その前の資料にお願いします。それですね。その真ん中の円グラフですが、申請理由としまして、発達障害、精神的な不安を持つ人、健康に不安を持つ人など、合理的配慮申請者は25.4%、約4分の1になっています。
 配慮内容は右のグラフになっています。メディア課題、レポート期限の延長、別室受験などは別室で受験する、廊下で受験する、時間延長、時間短縮など、多様な対応をしています。その他の中ではルビを打つ。また、中には中学校嫌いだった先生と似ている先生がいるので、あの先生と会わないようにしてほしい、そんな個別のこともあり、生徒支援部で協議しています。
 本校では生徒支援部、進路指導支援部といった言い方をしていて、生徒たちが主体的に動くことを支援しています。
 個々の取組では対応し切れないことが出てきたことや、誰もが安心できる学校生活を送れるよう、UDLに取り組み始めています。誰もが安心。このパワーポイントの字体もそうですが、UDデジタルフォントを活用しています。また、外国ルーツの生徒もいますので、やさしい日本語ガイドラインを活用しています。さん付けで呼ぶことも推奨しています。
 次お願いします。教室に入れない生徒のためには、廊下受講できる机が、どの教室の前にもあります。ここで授業を受けている生徒がいると、空き時間、このフロアに生徒も静かに過ごし、違う学び方が自然に受け入れられています。
 にぎやかなことが苦手な生徒のためのサイレントフロア。トイレでお弁当を食べたとか、お弁当を持たせたのに食べずに帰ってきた、そんな声を聞いて、今年からサイレントランチルームをつくりました。一人になりたい生徒は、廊下の隅にあるフリーブースに入っています。
 次お願いします。生徒への心と学びのケアには取り組んできたつもりでしたが、体へのケアが十分に取り組めてきていませんでした。起立性調節障害など、健康に不安のある生徒たちが多く在籍しています。その生徒の中には、通学ができない、また体調により卒業延期する、退学するケースもあって、2020年、体づくりへの支援をすることに決めました。
 下の青いところですけれども、関西医科大学、東京都立大学大学院、公益財団法人大阪YMCAと連携してプロジェクトを始めました。
 右の真ん中の四角のところが具体的な内容です。健康の集いを年に2回、医師による学習と親子別のトークタイム、オンラインヘルスケア講座というのはエクササイズですね。自宅でも学校からでも受けられるものを年間30回、夏には医師、看護師帯同のキャンプなどを行っています。生徒たちにはウェアラブルデバイス、スマートウォッチを貸し出してデータを取っています。
 成果としまして、右のところですが、下肢筋力測定として173%の増加が見られました。活動量測定では142%。自分の居場所と病気に立ち向かう意欲が育ったと生徒から聞いています。
 下のほうに自己効力感評価も行っております。数年の取組を行えば自己効力感の向上が見られると考えられると分析してもらっています。
 次お願いします。幾つかの取組例を挙げました。
 生徒支援において、左ですけれども、わいわいカフェを行っています。居場所の一つとして行っています。そこに大阪市若者自立支援事業のコネクションズおおさかに参加してもらっています。というのは、進路未決定の生徒たちに卒業後、コネクションズおおさかやサポートステーションにつなごうとしていても、なかなかうまくつながらないので、在学中につなげることを始めています。生徒たちは、ボランティアの人が1人いる、そんな感じに思っています。
 常勤のSSWが中心になって、心の勉強会を今年度始めました。生きづらさを持つ生徒が多いですので、メンタルヘルスの正しい知識、同じ境遇の人たちとの出会いと語らいの場となっています。
 本校には幾つかコースがありますが、2つのコースを紹介します。
 真ん中のところです。外国にルーツのある生徒への日本語教育です。法人内に日本語学校があります。カリキュラム作成や教員派遣など、コラボレーションを行っています。他校で同じように外国ルーツ生の日本語指導に困っていることがあれば、半年間や1年間、本校で学ぶような学校間連携ができないかと今思っています。この子供たちや家族のために何かしていくこと、これは日本社会にも影響することで、ムーブメントのようなものを起こせないかと思っています。
 次のコースは、通学に不安な生徒のためのセーフティネットのようなコースがあります。各期に集中スクーリングがありますが、それまで毎週オンラインでホームルームとヘルスケア講座、先ほどのエクササイズ、体づくりを行っています。お茶会をする場合など、対面で来れる子は学校に来てもらい、来れない生徒には同じお茶を送り、ハイブリッドでティータイムをしています。安心して高校生活を送れることにより、学びの意欲や生きることへの意欲がでるような、そんな仕掛けをたくさん入れています。
 一番右下の教職員のチームづくりですが、決めなければいけないこと、やらなければいけないこと、いわゆるコンテントだけではなくて、教職員がどう思っているか、プロセスを日々大事にしています。
 次お願いします。いろいろな取組により退学率が減り、進路決定率は、通信制の中では高くなっております。未定が10%です。
 最後に、右下に大阪府認可通信制グループというのが大阪府にあります。私たちは12校協力して情報発信、進路改革、行政への陳情、要望、情報交換など、非常に協力し、密な関係を取って質を担保しています。
 次に。「みつかる。つながる。よくなっていく。」、このことを体現しようとしています。
 御清聴ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。冒頭申しましたように、ヒアリング全てお願いをして、その後で御意見を頂戴します。
 では次に、岡山県立岡山御津高等学校の取組事例につきまして、岡山県教育庁高校教育課高校魅力化推進室企画推進班総括副参事の瀧川潤也様に御発表いただきます。本日は、お忙しい中、ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。
【瀧川総括副参事】  それでは、失礼いたします。ただいま紹介にあずかりました岡山県の瀧川でございます。本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。
 それでは、ここから10分程度のお時間をいただきまして、令和7年度から県立全日制高校で運用を開始するフレックス制について説明をしたいと思いますが、本県ではフレックス制の導入に伴いまして新たな入試制度等、複数の取組を一体的に導入することとしておりますので、今回はフレックス制も含めて網羅的な説明となります。制度の趣旨等について説明させていただきますので、御了知ください。なお、現時点で運用実績はございませんので、このことにつきましても御了知をください。
 それでは、資料、県立岡山御津高等学校の改編についてを御覧ください。
 資料の1、趣旨でございます。
 このたびフレックス制を導入する岡山御津高校については、従前から多様な生徒を受け入れている実態がありましたが、令和4年度から、スクール・ミッションに基づきまして、不登校経験者の受入れも明確に打ち出したことで、志願者数が大幅に増加したと、こういった実績がございました。
 こうした状況の中、全国と同様、本県におきましても不登校経験者が急増したということがございます。それから、COCOLOプランの趣旨も踏まえまして、令和7年度から、多様な学習ニーズに対応する一つの手段といたしまして、全日制高校に在籍したまま、一部の科目を他校の通信制課程で単位修得できる学校間連携、これを活用しまして、不登校経験者が全日制高校を卒業しやすくなる仕組みをフレックス制として設けるとともに、不登校経験者を対象とした新たな入学者選抜制度を導入し、これらを岡山御津高校で運用することとしております。
 岡山御津高校におきましては、不登校経験者を含む多様な生徒の学習ニーズへの対応が可能となりますよう、これらの仕組みなどを活用して機能強化を図ることで、多様な価値観を持った生徒が共に学んで、互いを尊重しながら自己の伸長を図るとともに、他者と協働して社会に貢献できる人材を育成する、こういった新しいタイプの学校を目指すこととしております。
 資料、同じページの下段になります。2の改編の概要を御覧ください。ここでは機能強化の概要についてになりますが、具体については後ほど説明をいたします。
 大きく4つの柱を設ける予定としております。グレーにしている部分で、一番大きい四角囲みを御覧ください。
 機能強化の1つ目が、系列を5つにする、増やすということです。2つ目が、不登校経験者を対象とした新たな入試制度の実施と、それから学校間連携の活用。3つ目が、敷地内に県内中学生を対象とした教育支援センターの設置。最後、4つ目になりますが、これにつきましては、右隣にありますグレー部分を御覧ください。他校からの転学の緩和ということでございます。
 資料、次のページにお移りください。3の改編の具体でございます。
 まず(1)でございますが、令和7年度より、全日制高校への進学を目指している不登校経験者を対象としたフレックス制に係る入学者選抜を新たに設け、岡山御津高校で実施する予定でございます。
 現行の制度におきましては、本県においては、2月に特別入学者選抜、3月に一般入学者選抜を行っておりますが、令和7年度からは、特別入学者選抜と同じ時期に、フレックス制に係る入学者選抜を実施します。
 フレックス制に係る入学者選抜の募集人員は、そこの表でもお示ししておりますとおり、募集定員の20%、特別入学者選抜では80%を選抜する予定でございます。
 一般入学者選抜につきましては、2月の時点で募集定員に対する欠員が生じている場合に実施をすることとしております。
 フレックス制に係る入学者選抜における選抜等につきましては、学力検査は実施せず、志望理由書及び面接の実施により選抜を行います。調査書につきましては、不登校経験者であることを確認する意味で提出を求めますが、選抜資料としては使用いたしません。
 それから、2つ目の丸でございますが、第2志望の可否です。この入試制度自体が不登校経験、不登校ではあるものの全日制高校で頑張りたい中学生を対象としていることから、第1志望をフレックス制に係る入学者選抜とした場合に限り、第2志望を認めたい、認めるということで考えております。
 次の丸でございますが、フレックス制に係る入学者選抜を経て入学した生徒さんにつきましては、徐々に対面授業等に慣れていくという観点から、学校間連携を活用して単位履修をしていくようになります。
 生徒の履修イメージを、その下に図示しておりますが、1年次では通信教育の学びが多く、学年が上がるごとに対面での授業が増えていくといったものにしております。
 なお、イメージ図における通信と対面の境界線につきましては、直線で示しておりますが、実際は各年次によって学校間連携での履修する科目数を指定していますので、正確には階段状になるということを御了知ください。
 また、こうしたフレックス制を活用して単位履修を行う生徒が岡山御津高校に登校して通信教育に係る質問、それから学習支援等を受けることもできるよう今後、体制を整えていきたいというふうにも考えております。
 次に、(2)番でございます。全日制高校への進学を希望する不登校経験者が、学校生活の具体的なイメージが持てるよう、学習をしながら落ち着いて生活できる「新たな居場所」を創出するということを目的に、岡山御津高校内に、県内中学生を対象とした教育支援センターを設置し、今年度から運用を開始しております。
 なお、開所につきましては原則火曜から金曜までの週4日としております。現時点で通所している中学生の方につきましては18名という状況でございます。
 次に、このページ最後でございますが、(3)です。こちらも令和6年度からの運用開始としておるものでございますが、岡山御津高校を不登校経験者も受け入れる学校とするということから、他校からの岡山御津高校への転入学についても要件を緩和しておるところでございます。
 資料は次のページにお進みください。ここでは令和7年度から岡山御津高校での教育内容の変更を図示しております。
 現行では、選択科目によって構成される科目群でございます系列を2つとして教育活動を展開しておりますが、令和7年度からは、教育目標をウェルビーイング、それから自律、自尊と他尊としまして、より多様な選択的学びを展開するために、下側にあります表にありますとおり、特別進学、教養・自然・スポーツ、ビジネス・情報、美術・デザイン、保育・福祉、この5つの系列に再整理をするという予定でございます。
 それから表の下側、枠外になりますが、教育課程の内外において、丸印をつけておるものにも取り組みながら教育活動を展開していく予定としております。
 次のページ、最後の2ページでございます。カラー刷りを2ページ入れておりますが、こちらにつきましては、今まで説明をさせていただいたものをまとめた広報用のチラシですので、御参照いただければと思います。
 岡山県からの説明は以上です。
【荒瀬主査】 瀧川様、どうもありがとうございました。
 では続きまして、兵庫県立阪神昆陽高等学校の取組事例につきまして、桑田耕治校長先生から御発表いただきたいと思います。お忙しいところ、ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。
【桑田校長】  兵庫県立阪神昆陽高等学校並びに阪神昆陽特別支援学校で学校長を務めさせていただいております桑田耕治と申します。どうぞよろしくお願いします。本日は貴重なお時間をいただきまして発表させていただき、ありがとうございます。
 それでは、本校の概要について御説明させていただきます。
 では、次のスライドお願いいたします。本校は、先ほども申し上げましたが、阪神昆陽高等学校と、阪神昆陽特別支援学校、この2校が同一の敷地内に設置されています。私、両校の校長を兼任させていただいており、特別支援学校には副校長、そして教頭。高等学校のほうには教頭が3人で運営をさせていただいております。
 それぞれ高等学校、特別支援学校の校舎があり、加えて特別教室棟や体育館、プール、そしてグラウンドなどは両校が共同で利用している学校でございます。
 それでは、それぞれの学校につきまして御説明をさせていただきます。
 では、次のスライドお願いいたします。本校は、2つの学校が共に助け合って学んでいく機会を設定し、社会におけるノーマライゼーションの理念を進展するための礎となる学校を目指しています。
 下に本校のグランドデザインがございますが、これは特別支援、そして高校を、一体としたグランドデザインとしています。
 では、次のスライドお願いいたします。では、このうち阪神昆陽高等学校の特徴について御説明させていただきます。
 高等学校は、平成24年、働きながら学ぶ生徒あるいは高等学校の全日制の中途退学者以外にも、自分のペースや興味・関心に合わせてじっくり学びたいという生徒に対応するための3部制の多部制高等学校として設置されました。1部、2部、3部とございまして、横の時間帯を見ていただきますと分かりますように、1部は1から4限、2部は3から6限で、3部は9限から12限をコアタイムといたしまして、基本的には、このそれぞれの部のコアタイムを使いますと、4年間での卒業となりますが、その前後の授業を取ることによって3年間での卒業もできる仕組みとなっております。
 本校は学びの重点としてノーマライゼーション、学び直し、この2点を重点化していき、その結果、自己肯定感、自己効力感、自己有用感を育み、社会に貢献できる人材を育成することを目標としております。
 では、続いてお願いいたします。併せて同一敷地内にございます阪神昆陽特別支援学校は、知的障害のある生徒が主体的に生活を営むことができる力を身につけ、職業教育を主とした就業体験の機会を積極的に設け、キャリア教育に取り組む職業科の高等部のみの特別支援学校となっております。
 したがいまして、登下校は自力通学ができる者、そして昼食等も給食はございません。弁当や食堂を利用しております。
 時間帯を見ていただきますと、1限から6限までとなっておりますが、この時間帯が高校の1限から6限の時間帯と同じ時間帯で運用させていただいているという形になっております。
 なお、高校の生徒と同様に食堂で昼食を注文して食べるなど、授業以外の場でも交流の場を設けております。
 次のスライドお願いいたします。こちらは特別支援学校、職業科ということで3つのコースを設けており、それぞれの技能を高めるための学習をしております。
 では、次のスライドお願いいたします。本校の特別支援学校、高等学校併せまして、学びの重点であるノーマライゼーションについて御説明させていただきます。
 まずは交流及び共同学習。本校では4つの交流及び共同学習のタイプを設けています。
 まず、高校生と特別支援学校の1年生が共に同じ授業、特に実技系の科目を中心に受講する、これをタイプA、そして特別支援学校の生徒が高校の授業を受講する、これをタイプBという形で、交流及び共同学習を行っております。
 次のページをお願いいたします。タイプA、これは1年生の授業の中で高校の生徒と特別支援学校の生徒が同じ授業を、実技系の授業、体育、音楽、美術、情報などを学んでおります。見ていただいても分かりますように、ほぼ同数で授業を行っている講座も多数あり、特別支援学校、そして高校の生徒が共に同じような場で学ぶ仕組みになっております。
 次お願いいたします。タイプBは、高校の授業に特別支援学校の生徒が参加するというものでございます。特別支援学校は職業科の授業を学んでおりますが、その中で、自分の進路あるいは興味に応じて一部の授業をこのような形で選択して受講することができます。本年度は30名程度の特別支援学校の生徒が高校の授業を受講しております。
 では、次お願いいたします。これ以外にも本校では交流及び共同学習ということでタイプC、これは高校生が特別支援学校の授業を受講、タイプD、これは両校の生徒が近隣の高等学校と共同学習をするものです。
 タイプCは高校の授業「キャリアプランニング」というものを受けている生徒が、特別支援学校の「ビジネス総合」の授業のうち何時間か、特定の期間参加するという形。タイプDは、両校の生徒のうち、高校の「地域社会への支援」の受講者及び特別支援学校の福祉・介護コースの生徒が、現在は伊丹北高校という近隣の高校と共同学習を行っております。場所が離れていることもありまして、年に数回やらせていただいているという状況になっています。
 では、次のページお願いいたします。生徒の声ということで、交流及び共同学習をやることによって高校生、それから特別支援学校の生徒も、それぞれ本当に楽しく関われた、あるいはグループワークで自分から話しかけられるようになってよかったなどという肯定的な意見をいただいております。
 では、次お願いいたします。このような交流及び共同学習以外にも、高等学校のほうでは新入生全員が受講する「ノーマライゼーション」という学校設定科目を設けています。内容としては障害理解、様々な障害がありますけれども、これを理解していくための授業となります。
 講師には、隣にございます特別支援学校の教員の先生方にも御協力いただき、最終的には「ノーマライゼーション発表大会」を実施し、共生社会に向かう方策を提案するなど、障害理解に向けた授業を、1年次の最初のところで全員が学ぶ仕組みを設けております。
 次のページをお願いします。それ以外にも通級指導を行っておりまして、本校では希望する者が自立活動を受講する、このような仕組みも設けております。
 では続きまして、次のスライドお願いいたします。ノーマライゼーションに続きまして、学びの重点2つ目ということで、学び直しを御説明いたします。
 本校は、やはり多部制の学校ですので、例えば中学校でなかなか学校に行けなかった生徒も登校してきております。そういった生徒を対象に、義務教育段階の内容から学び直す科目、これを設け、そして高校の基礎、そして就職や進学へ対応する授業へとステップアップできるようなカリキュラムを設定しています。
 また、評価方法の改善も行い、定期考査を廃止し、ふだんの授業の中で発表や話合い、あるいは小テスト、単元テストなど、こういったものを用いて評価する、こういう仕組みを令和4年度より導入しております。
 これによりスモールステップによって学力を向上させていこう、これは「ひょうご学力向上研究事業」という兵庫県教育委員会の事業の指定校を受けた中で実施してきた研究の成果ですけれども、生徒の主体的な学びを大切にする評価の方法に取り組んでおります。
 次のスライドお願いいたします。このような中で、授業アンケートを取らせていただいていますが、研究指定を受ける前の令和2年度と、そして研究指定最終年度の令和5年の数値を比較いたしますと、例えば授業に遅刻せずに欠席をしないように努力する、あるいはスマートフォンなどを触らずに集中して授業を受ける、こういった生徒の割合が本当に多く増えてきているようなアンケートの結果が出ております。
 次のページをお願いいたします。また、真ん中にございますが、自分の考えや意見を出しやすい授業ということで、生徒が主体的に取り組む授業、これを実施した結果として、生徒自身もそれが自分自身で実感できるような数値という形で結果にも表れております。
 では、次のページをお願いいたします。このような形で学びの重点についてお話しさせていただきましたが、それ以外にも学校行事の中で両校の生徒、特別支援学校と高校の生徒が共に行事に参加して共に楽しむ、そして活動する場を多く設けています。
 例えば前期入学式。入学式は両校で一緒に行い、あるいは定時制ならではの生活体験発表大会に特別支援学校の生徒も一緒に発表する機会を設けています。
 次のスライドお願いいたします。また、こやっこフェスティバル(体育祭)や、阪神昆陽祭(文化祭)など、特別支援学校と高校の生徒が共に1つの行事で盛り上がっております。
 では、次のスライドお願いいたします。このように交流及び共同学習、あるいは学校行事、こういうことを2つの学校で、同一敷地内で行うというものの、なかなかそれに向けては様々な苦労がございます。その中で、できるだけ連携をスムーズにということで、まず私、学校長として兼務させていただいております。2つ兼務しておりますけど、給料は1人前ということで頑張らせていただいております。
 それから、その下に管理職がおり、それ以外に総務部、これは学校行事で、あるいは教務部、これはカリキュラムあるいは授業の場所の調整、こういう形でふだん連携していただいています。
 また、交流及び共同学習推進委員会ということで両校の職員が、月1回程度ですけれども集まり、交流及び共同学習の円滑な推進に向けて委員会を設けております。
 さらに、体育祭や阪神昆陽祭については実行委員会を両校の教員が一体となって行うことにより行事が円滑に行えるように、また高校の特別支援教育委員会には特別支援学校の特別支援コーディネーターが支援をしたり、あるいは先ほども申しましたが、「ノーマライゼーション」という授業で特別支援学校の教員が講師として実際に参加していただいたり、これ以外にも様々な場面で連携をしております。
 したがって、いわゆるインクルーシブな学校運営モデル事業のようなカリキュラム・マネージャーというものはいないのですが、こういう形で職員が交流することにより、一体化した運営を心がけております。
 しかしながら両校は、あくまでも高校と特別支援学校ということですので、一体的な運用については、まだまだ多くの課題が残されていると実感しております。また、高校での3部の生徒が夜の時間帯になるので、この3部の生徒は直接交流することができないというような課題もございます。
 課題がいろいろとある中ではございますが、できるだけ連携を進め、生徒が本当に共に学び、共に伸びる学校づくり、これを進めさせていただいております。
 では、最後のスライドお願いいたします。阪神昆陽は社会におけるノーマライゼーションの理念を推進するための礎となる学校を目指し、日々頑張らせていただいております。
 御清聴どうもありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。私が御紹介するときに阪神昆陽高等学校という言い方をいたしましたけれども、今、校長先生がおっしゃったように、阪神昆陽ということで、両校の校長先生として、両校のお取組を御発表いただきました。大変失礼いたしました。
 それでは、今からの20分程度、質問をいただく時間を設けたいと思いますが、後からまた委員の皆さんに御発言いただく時間はありますので、実は阪神昆陽の校長先生が5時までというふうにお聞きしております。ですから、御質問等は阪神昆陽と、それから岡山県教委のほうに中心にやっていただいて、鍛治田先生はそのまま残っていただきますので、まず岡山県教委、阪神昆陽両方に質問等いただければと思います。いかがでしょうか。
 何かお見合いになっていますね、今。
【岡本委員】  いやいや、あるのですが、鍛治田委員にお聞きしたかったので。いいですか。
【荒瀬主査】  どうぞ。すいません。私が変なこと言いました。
【岡本委員】  いやいや、大丈夫だと思います。
【荒瀬主査】  岡本委員。
【岡本委員】  いいですか。すいません、早速。鍛治田委員にお聞きしたいのが、すごくきめ細やかな生徒に対して対応をされていると思うんですけれども、教員の数のほかに、どのようなスタッフの方がどのくらいの数いらっしゃるのかということをお聞きしたいというのがあって。なぜこれをお聞きしているかというと、私は前々からすごく不思議だったのが、ここにあるこの通信制高校の学校数の推移とか生徒数の推移見ているときに、私立はすごく増えているんですけど、公立に関して、数でいうと通信制に関しては特に増えているような様子がないわけなんですね。これの要因がどこにあるのかなということはずっと考えていて、今、高校無償化の話は進んでいるとは思うのですけれども、費用のかかる私立に流れているというところに、例えば公立のほうでは、このYMCAさんがやられているようなスタッフの充実だとか、そういうところに手が届いていないということがあるのかなと。この部分はそこまで勉強していないので詳しくはないんですけれども。ですので、この教員の数とスタッフの数で、これは一般的な公立の通信制と比べて多いのか、もしくは、そもそも公立じゃない枠組みのものがあるのか、何か工夫されて、こういう方を入れていますとか、もしあれば、お聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
【鍛治田委員】  人数は少ないです。事務職員が7、教員が十数名ですね。SSWが1人入れている。カウンセラーは非常勤の方で週3日入れている。あとは非常勤の方が多いです。指導員みたいな形で、学習指導員のような形で入っていただいているのと、ボランティアの方も数人いらっしゃるという形です。
 全日制に比べると通信制のお給料って平均150万ぐらい少ないんですね、そのデータから見ると。教員もなかなか募集できない。うちも今2名減で、補充できない状況でやっています。かなり厳しい状況です。
【岡本委員】  それ、公立も同じなんですかね。
【鍛治田委員】  公立は。
【岡本委員】 まだいい。
【鍛治田委員】  初任給が全然、私どもと違うので。
【岡本委員】  いいということですか。
【鍛治田委員】  大阪市でいうと初任給、言っていいんですかね。
【岡本委員】  いや、でも、どのくらい違うかぐらいは。
【鍛治田委員】  5万ぐらいは違うと思います。
【岡本委員】  ああ、初任給。
【鍛治田委員】  はい。初任給でいうと、大卒、新卒でいうと。
【荒瀬主査】  今みたいな数字の話は、しっかりとしたデータがあるはずですので、それをまた確認していただく。
【岡本委員】  公立の通信制が増えない理由というのはどこに。これちょっと。そこまで厳しい状況で、こんなに人、高校の数も増えているというのは、なかなか不思議というか、どうも詳しい点がちょっと……。
【鍛治田委員】  卒業率が悪いというのも聞いています。
【岡本委員】  特にこのスタッフの数とかに特別な何か、ほかの公立にはないようなものがいるというわけじゃなく、むしろ逆に厳しいという感じなんですか。
【鍛治田委員】  数でいうと厳しいですが、思いがある教員が多いと思います。この人たちのためにやりたいと思って入ってくる人たちを来ていただいているので。
【岡本委員】  それは、いろんなところを勤務されていたりするんですか。
【鍛治田委員】  いや、新卒で。そうですね。新卒が半分と、他校を見て半分とか、非常勤から入っていて、あっこの学校でフルタイムにやりたいとか、様々な理由はありますが、皆さん、すごく熱心な思いでやってくださいます。
【岡本委員】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  ちょっとその今の数字は事務局のほうで確認をしていただくということと、公立がどうなのかというのは公立のほうに確認しないと、なかなか難しいと思います。以前、公立の通信制の先生とお話をしていると、公立の通信制の先生も非常に熱心な方がいらっしゃるので。
【岡本委員】  もちろん、そうですね。
【荒瀬主査】  ちょっとその熱意があるかないかとか、そういったことについては、評価が今ここでできるものではないというふうに思います。
 すいません。では、今村委員、お願いします。
【今村委員】  とても先進的ですばらしいプレゼンテーション、ありがとうございました。YMCAの方のプレゼンはまた後でということなので、まず岡山の先生に聞きたいんですけれども、今、東京の義務教育段階の、これは通信制ではなくて……。ごめんなさい。すいません。
 今、東京のフリースクールに助成が月額2万円始まりまして、東京都は小中学生なんです。これ高校じゃないんですけれども、フリースクールを選ぶことによって、選べるという選択肢が、ある意味、ダブルスタンダードで始まったわけなんですけれども、めちゃくちゃ人気のフリースクールというのが出てきていて、今までは不登校だった子たちの受皿として機能する想定での制度設計だったんですけど、むしろ人気の私立学校みたいになってきているということがあって、その人気のフリースクールはもう結局いい子を選ぶみたいなふうにも、力学として働きかねない状況になっているという感じです。
 今回2つの都道府県の取組を聞いたんですけれども、これ今の段階ではそうじゃないかもしれないんですけど、定員を設けるということはやっぱり人気の学校になる可能性があったときに、ここはどういう基準で落とすのか、または落とさないのかみたいなところについて、今どんなお考えか。でも、やっぱり選抜があるということは、基本的にはこの学校に合った子を選ぶということかなとは思うんですけれども。ちょっとごめんなさい。的外れだったら申し訳ないんですけれども、どういう選択にしていこうというふうに今お考えか、選択肢にしていこうとお考えかということを聞きたいです。
 というのは、やっぱりN高をはじめとした通信制の存在が、すごく私立においては台頭して……。YMCAさんも、NHK学園もそうなんですけれども、一つの選択肢として、公立の学校が費用も安く、より自分の時間の使い方としてすばらしい時間が、ここでのほうが学べるとなったときに、そういう選択肢が、むしろ選びたいみたいな選択肢にもなってくるときが来るのかなと思ったので、その選抜についてどうお考えか、2校の先生方に聞いてみたいなと思いました。まず1問目、それです。
【荒瀬主査】  では、岡山県教育委員会と阪神昆陽の両方に同じ質問でいいですね。
【今村委員】  はい、そうです。
【荒瀬主査】  いかがでしょうか。まず岡山県教育委員会のほうからお願いします。
【瀧川総括副参事】  御質問ありがとうございます。人気が出たときに、定員を設けていることで、定員があふれた場合、その選抜をどうするのかという御質問だと思っております。なかなかその選抜の具体になってきますと、公表できるもの、できないものというものもございますので。ですが、現時点では志望理由書と、それから面接といったもので選抜をしようと思っておりますので、やっぱりその学校で学びたい意欲であったりとか、なぜその学校を志望したのかという、そういったもので選抜していくという、そういうふうなことは想定しております。
 以上です。
【今村委員】  前提として、やっぱり不登校の経験者の子であっても学びたいという意欲があるというところはまず選抜条件になっていて、それは完全に福祉ではなくて、やっぱり教育現場だから、そういう選抜をするということは、学校現場として、されるということですよね。
【瀧川総括副参事】  そうですね。はい。
【今村委員】  すいません。当たり前のことを聞いたかもしれません。ありがとうございます。
【荒瀬主査】  では、阪神昆陽のほうはいかがでしょうか。
【桑田校長】  やはり入試、選抜制度というのがございますので、その兵庫県の選抜制度に基づいて入学者選抜を実施させていただいております。本校、2月と3月に試験を行っているんですけれども、2月のほうでは小論文ということで、志望動機を中心に、あと面接で選抜を行っています。また、3月にも学力検査というもので募集を行っているんですが、その中にも面接というものを取り入れまして、あくまでも志望動機を十分に確認しながら最終的に選抜をしているというところです。
 どうしても、やはり1部、2部というお昼の時間帯のほうは人気が高くて倍率が出る。3部の夜のほうは若干空きが出ているというのが、ここ近年の現状かなと考えております。
 以上です。
【今村委員】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  よろしいですか。
【今村委員】  ほかの方もいらっしゃるので、また2周目があれば。
【荒瀬主査】  分かりました。では、青木委員、お願いします。
【青木委員】  ありがとうございます。御報告ありがとうございました。
 まず、岡山県の御津高校の校長先生にお話ししたいと思います。不登校が、中学校の頃に不登校だったので全日制を志望するけれども難しいというような表現が何回かあって、これは岡山県特有のことではなくて全国一般的に、そういう子の場合には、いわゆる内申点が低いので、一般的な高校の入試では不合格になってしまうという意味でおっしゃっているんだとすると、今回、新しいタイプの高校をつくって、まず入試でのそういうハンデを解消したということだと理解すると、今度その次の入学後の不安というのはカリキュラム上どう解消したのかという問題になってくると思うんですが、それを今日御報告いただいたと理解すればいいのかもしれませんが、この入試の問題とカリキュラムの問題というのが岡山県ではどう捉えられて、このタイプの新しいタイプの高校に結実したのかというのを、ちょっと改めて伺えればと思います。
 あと、阪神昆陽の校長先生に伺いたいのは、言わば規模の経済が働きやすい地の利というか、連携の条件がそろっているんだと思いますけれども、これが生徒に対する教育にとって、生徒の学びにとって、どういうメリットがあるのかというのを教えていただければと思います。
 あと、教職員配置上、高校には教頭が2人ということですので、このことの持つ意味というのも併せて伺えればと思います。
 以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。では、それぞれ違う質問をいただきました。岡山県のほうは総括副参事の瀧川先生ですね。
【青木委員】  失礼しました。
【荒瀬主査】  では瀧川総括副参事から、まずお答えをお願いいたします。
【瀧川総括副参事】  入試でのハンデの克服と、それから入学後の不安といったもの、そういったものを岡山県としてどういうふうにというところだと思っておりますが、まずは本県でいうと、この生徒さんというのは増えておりますので、ちゃんとしたデータを取っているわけではございませんが、COCOLOプランでも、もう取り組めるものから取り組んでいこうといったところも踏まえまして、入試という学力検査もなしといったところで制度のほうを設けたところでございます。
 あとは入学後の不安といったところでございますが、学校間連携というものもやっております。それから学校のほうではサポートルームといったものも、学習支援とか、教育相談とか、そういったものも行えるようなものも設けておるといったところでございます。岡山としては、今のところ、できるところからやっていこうといったところで、現行の活用できる制度を活用して、こういった新しい学校といったところで、岡山御津高校に取組のほうをやっていただくということで進めているところでございます。
 まだ不足ございますか。
【青木委員】  ありがとうございます。ちょっと追加でよろしいですかね。
【荒瀬主査】  ちょっとたくさん御質問があるので、すいません。
【青木委員】  それでは、控えておきます。
【荒瀬主査】  時間が限られて、申し訳ないです。
 では続いて桑田校長先生、お願いします。
【桑田校長】  それでは、まず、規模の経済が働きやすいという御質問のところで、生徒の学びにどんなメリットがあるかということですが、やはり本校、そもそも高校に入ってくる子も、なかなか中学校のときに学校に行きにくかったり、あるいは様々な背景を持って入学してきている生徒がいる。一方で特別支援学校のほうも、やはりそういった知的障害という障害を持って入学してきている。このような中で、それぞれ背景を持つ、あるいは障害を持つ者同士が学ぶということは、それぞれの自信につながっていく、そういった実際に生徒の姿を見て、メリットというものを感じております。
 また、教頭が3人というところですけども、高校のほうですね。多部制ということで1部、2部、3部とございますので、それぞれの部、これを統括していくということで3名設けられているということでございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。すいませんね、青木先生。
 では、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  よろしくお願いします。ちょっと時間もないので、鍛治田先生への質問はまた後でということで、させていただけたらと思います。
 岡山県教育委員会さんと阪神昆陽高校さんになんですけども、それぞれすばらしい取組だと思って聞かせてもらっていました。質問としては、今日の議題になっている高校の指導体制の充実のための方策というところに端的に絞ってお伺いできたらと思います。
 それぞれこうした取組を進めていく中で、今感じられている指導体制に関する課題というのはどこら辺に感じられているのかということと、今後その指導体制の充実のためにどんな方策が必要だというふうに考えられているのか。特に今回であれば、国がその指導体制の充実のためにできることだとか、すべきことというところで何かお考えあれば、ぜひ今後の議論のために、それぞれの現場からお声をいただけたらと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】  それでは、瀧川総括副参事からよろしくお願いいたします。
【瀧川総括副参事】  岩本委員、御質問ありがとうございます。岩本委員がお求めになっているような回答になるかどうかはちょっと不安なんですが、まず岡山御津高校、学校間連携をします。岡山御津高校の職員は、兼務をかけて、通信のレポート添削というのも、生徒さんが岡山御津高校のほうに来て相談、面接を行うということを考えておりますので、そういった、いわゆる全日制の教員が通信教育を行うといった部分で、これをいかにして、ノウハウも含めて、こういった指導体制というのは一つの課題、大きな課題だというふうには思っておりますので、ちょっとごめんなさい、国のほうでというところではあるんですけども、今のところ、お答えできるものが以上となっております。
 岡山県は以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。では、桑田校長先生、いかがでしょうか。
【桑田校長】  指導体制の充実で、特に課題として感じられているところは、どうしても定時制の学校ということで、若い職員がやはり多いです。それから職員の入れ替わりが、やはり激しいです。そういった中で、いかにつくり上げてきたものを継続させていくかというところ、これがやはり非常に大きな課題となっています。
 それからもう一つは、本当に様々な背景と言いましたが、いろんな発達障害であるとか様々な障害、あるいは本校ではまだ少ないですけど、学校によりましては、外国籍の生徒がいて、日本語がなかなか十分に話せないといった、そういったところに対する支援体制というのが、やはり高校ですと、どうしても手薄になってしまう。こういったところを充実させていかないと、なかなか本当に生徒たちが力を伸ばしていく体制というのをつくっていくのは難しいなというふうに感じております。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。あと鍛治田委員、沖山委員、篠原委員の御質問は、桑田校長先生ということでよろしいですか。桑田先生は、多分もうほとんど時間がない状態になってしまっていまして。では、鍛治田先生、どうぞ。
【鍛治田委員】  桑田校長先生に今伺った中でほとんど聞けたように思うんですけれども、物理的な交流があったり、意識を変えるような学校設定科目があって、非常に尽力されていらっしゃるなと思いながら、実際、生徒の中で、例えば特別支援学校の生徒に対して下に見たりとか、そういうようなことがないように、いろんなことを取り組んでいらっしゃると思うんですけれども、その辺りを少し伺いたいと思いました。
【荒瀬主査】  では、すいません。桑田先生に、まだいいですか、時間、もう少し。厳しいですか。
【桑田校長】  もう少しだと、まだ何とか……。
【荒瀬主査】  すいません。皆さん、あらかじめ、もう時間がなくなったら、後から先生、メール等で質問させていただいてお答えいただくということでもよろしいでしょうか。
【桑田校長】  はい。それでも対応させていただきます。
【荒瀬主査】  すいません。では時間、いいところまでいていただいて、御遠慮なくおっしゃってください。
 では、今の鍛治田先生の御質問につきまして、いかがでしょうか。特別支援の生徒に対する高等学校の生徒の見方ということですけれども。
【桑田校長】  そうですね。やはり1つは、特別支援学校の生徒は職業科ということで、実際にこの後、卒業するとすぐに社会に出て働くことになる生徒が通ってきております。そういう中で、やはり高校と一緒に学ぶことというのが、ある意味、社会での構図と同じというのでしょうか。いろんな人たちとの交流が学校の中にあるということが、最終的に、下に見るとか上に見るとかではなくて、実際に社会に出ていく上で、特別支援学校の枠の中ではなく、交流をするということが、それぞれの生徒にとってメリットになっているのではないか、あるいは成長につながっているのではないかなと感じております。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
【桑田校長】  あともう1件ぐらいであれば何とか……。
【荒瀬主査】  すいません。じゃ、沖山委員も桑田先生にですか。
【沖山委員】  私は桑田先生ではないので、後で結構です。
【荒瀬主査】  分かりました。じゃ、篠原委員、お願いします。すいません。
【篠原委員】  ありがとうございます。桑田校長先生にお伺いしたかったのは、先ほど令和2年度と5年度の比較というのがございましたけれども、これは生徒の思いですとか、生徒からの声を中心に、すごく成果が上がっているというふうに拝見しているんですけれども、実際に例えば先生方、あるいは学校として生徒のこういう自律的な学びで学力といいましょうか、学びが深まっていると、そういうような御実感、あるいはデータみたいなものはお手元にございますでしょうか。
【桑田校長】  そちらの件なんですけれども、例えば模試とか、そういったものではかられるような成績ということでいうと、正直言って、そう伸びていないというのが現実としてはございます。
 ただ、大きく変わっているのは授業に臨む態度です。これはやっぱり先生方、実感しておりまして、本当に3年前、4年前ですと、スマホを見ながらとかいう生徒が多くいて、なかなかそういった指導に苦慮していたところが、スモールステップとかを取り入れることによって、授業に遅れずに、そして授業をしっかり聞くという、数値に表れないところで成長している。さらに、生徒自身も前向きに取り組んでいこうとすることが、卒業後、数値に表れない形ではありますけれども、前向きに取り組んでいく姿勢の育みにつながっているのではないかなと考えております。
【篠原委員】  ありがとうございました。
【荒瀬主査】  桑田先生、大変お忙しい、時間のない中、申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
 そうしましたら、また御質問が出る可能性がありますので、その場合はメール等で送らせていただきます。ありがとうございました。
【桑田校長】  本日はどうもありがとうございました。
【荒瀬主査】  どうぞ御退出ください。ありがとうございました。
 瀧川総括副参事は、まだよろしいんですか。
【瀧川総括副参事】  瀧川です。大丈夫です。
【荒瀬主査】 すいません。申し訳ありません。じゃ、もう少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず青木先生のほうから、先ほど加えてということでしたので、そちらからお願いいたします。
【青木委員】  ありがとうございます。今回御報告された事例は、全日制と通信制の組合せによる特徴あるカリキュラムと理解しています。このワーキンググループでは、太平洋学園の定時制と通信制の組合せというのも、これまで学んでいるところなんですが、岡山県で、この全日制と通信制を組み合わせるということを選ばれた主な理由と、それから既にお感じになっているような特徴とかメリットのようなものありましたら教えていただけますか。
【瀧川総括副参事】  ありがとうございます。なぜ岡山県のほうで全日、通信の組合せをしたのかという、その選択をしたのかという御質問というふうに理解をしています。説明でも簡単には触れましたが、ここは岡山御津高校のほうが令和4年度において、不登校の経験者も受け入れますよということを広く周知をしたということで、それまでなかなか定員充足が難しい状況ではあったんですが、そこから志願者も増え、定員充足のほうもかなり改善をしたということがございました。当然、受け入れるといったところで、受入れ体制というのを学校のほうは準備を進めていったということがあるんですけども、そういったところも鑑みると、やっぱり全日制に行きたいというニーズが一定程度あるというふうに、こちらのほうも確認をしたということで、まずは、まずはというか、全日に来たい、行きたいというニーズがあるといったことを踏まえて、この組合せということで考えております。
 あともう一つにつきましては、まだ実際運用していないので、なかなかちょっと今のところはというのが回答にはなってしまいますが。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  よろしいですか。ありがとうございました。
 では続いて、今村委員も後からまた続きの御質問をお願いします。
 では、沖山委員、お願いいたします。
【沖山委員】  すいません。岡山県の質問の中に、入学者選抜において調査書を活用していくというところで、この点について、どんな不登校経験があるかということを確認していくんだという趣旨の御説明があったと思うんですけども、これ大変興味深く伺いました。ちょっと伺いたいのは、不登校経験があるというか、この調査書を活用していくということについて、中学生保護者というか、受験生にどう説明をしておられるのか、説明をしていこうとしているのかということについてお答えいただきたいのと、実際に入学者選抜、選抜の場面、段階において、その不登校経験があるということを、平たく言っちゃえば加点していく要素にしていくのかとか、それから出願の条件にしていくのかとか、その辺りについては、どんな検討をされているでしょうか。お答えできる範囲で、お聞かせいただければありがたいです。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】  お願いいたします。
【瀧川総括副参事】  御質問ありがとうございます。1つは、その調査書を活用することについてどう説明するのかといったところですが、ごめんなさい、私の説明がちょっと不明瞭だったんですけども、調査書のほうは選抜には活用はしないです。ただし、その不登校であるかどうかといったところを確認するといった意味で提出を求めるというところでございます。
 それから2つ目が、選抜をするに当たって不登校であることに加点があるのかとか、要件にする、出願要件ですね、こういったところでございますが、現時点では、不登校である者。フレックス制の趣旨が、全日制高校へ入学をしたいという、進学をしたいという不登校経験者が全日制高校を卒業しやすくなるというか、卒業を支援する仕組みとして設けておりますので、やはり出願要件については、不登校である者、例えば30日とかいったところは要件としては、設けるつもりではいますが、ただ、教育支援センターや校内教育支援センターとかですよね、そういったものは出席になります。実際その教室に入れていないけどといった部分も、いう方もいらっしゃると思いますので、一律にその数字で切るということはしたくないというふうには思っております。現時点では、そのような想定でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。沖山先生、よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、岡山県のほうにお尋ね。篠原先生ですか。今村先生。岡本先生。じゃ、篠原委員、今村委員、岡本委員の順番でお願いしたいと思います。
 では、篠原先生。
【篠原委員】  ありがとうございます。2点伺います。転学要件の緩和というふうなお話がありましたけれども、具体的にはどういうことなのかを教えていただきたいと思います。
 もう1点は、通信制は岡山操山高校と連携を組まれるということで、ただ一方で、先ほどスクーリングのことについては、岡山御津高校で全日制の教員が対応するということでしたが、岡山操山さんとスクーリングの連携というようなことはあまり、まだ今は計画にはないのでしょうか。
 その2点お願いいたします。
【荒瀬主査】  お願いいたします。
【瀧川総括副参事】  2つ。まず転学要件の緩和についてでございますが、今の時点では学習意欲、学習に積極的に意義を見いだす生徒、岡山御津高校でといったところで、校長が認めたものということでいきたいと思っております。現状は、高校に入る時点、入試を行っております。ですので、今は運用において、私立さんからの転学というのは、これはもう基本的になしといったところで考えておりますが、その辺は広く受け入れるというところで、いきたいというふうに思っております。
 それから岡山操山高校通信制でのスクーリングについての連携といったところでございますが、実際の運用するに当たって、そのスクーリングについて通信制と連携することを考えているかという御質問でよろしかったでしょうか。
 今のところ、やはりその対象となる生徒さんが岡山御津高校を選んで入学してくるということになりますので、基本的には在籍する学校で、教員との関係をつくるという意味も含めて、スクーリングについては岡山御津高校のほうでやるということで考えております。
 ただし、この1年間ぐらいは岡山操山高校さんのほうに、岡山御津高校の教員もちょっとお邪魔をさせていただいて、実際どのようなことをやっているのかとかいうことを、お互いに情報共有をしながら、来年度の準備を進めていきたい、こういった意味では今年度は連携はしていくということでございます。
 以上です。
【篠原委員】  よろしいですか。
【荒瀬主査】  どうぞ。
【篠原委員】  操山の課程の一部の科目を履修・修得というふうに書いていらっしゃいますけれども、スクーリングは操山の先生ではないということですか。この通信制課程の学校の科目を履修するという意味、あるいは修得を単位認定する、それはどちら側のと言ったら変なんですけど、どういう仕組みになっているんでしょうか。
【瀧川総括副参事】  ありがとうございます。恐らく岡山操山の科目を岡山御津の教員がやってもいいのかというところを御指摘いただいているのかなと思っておりますが、岡山御津の教員は操山高校の教員としての兼務をかけようと思っております。これでよろしいでしょうか。
【荒瀬主査】  恐らくという言い方をするのは非常に曖昧ですけれども、ここ明記なさっているかと思います。入学後にフレックス制で学習を進める生徒は、岡山御津高校に在籍したまま岡山操山高校通信制課程の一部の科目を履修し、単位を修得していくようになりますと書いてあるので、それで今の篠原委員の質問が出たのだと思いますが、結局これは岡山御津高校の先生が岡山操山高校と兼務をなさって、結果的には岡山操山高校の単位なんだけれども教えるのは岡山御津高校の先生という、そういう理解でよろしいでしょうか。
【瀧川総括副参事】  そうですね。はい。岡山御津の教員であるけども、その岡山御津の教員に岡山操山の教員としての身分も持たせると。そういうことです。
【荒瀬主査】  なるほど。
【篠原委員】  ちなみにレポートの添削はどちらの先生が。すいません。細かいことで申し訳ないです。
【瀧川総括副参事】  ありがとうございます。レポートの添削については、今は岡山操山のほうでお願いしたいというふうには考えております。
【篠原委員】  ありがとうございました。
【荒瀬主査】  あれですね。これからいろいろとまだ具体的に整備をなさっていかれる中で、いろいろと具体的な姿が見えてくるということで、今のところはまだ。今のお話は、しかし、もう決定的な話ですか。レポート添削は操山の先生がなさるということは、もうこれは具体的にそうなるということですか。
【瀧川総括副参事】  はい。今のところ、それで2校間で話をしているという状況でございます。
【荒瀬主査】  よろしいですか。
【篠原委員】  はい。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 では、今村委員、どうぞ。すいません。ごめんなさいね。長く引き止めてしまっているような感じがするんですが。今村委員、どうぞ。
【今村委員】  ありがとうございます。ごめんなさい。私も長い中で申し訳ないです。2つ質問させていただきたいんですけれども。
 この北陸のとある県に関わっているんですけれども、そちらのほうでは県が設置している教育支援センターが、市町村の中での義務教育段階の子供たちが利用する前提にはなっていないので、お近くの人たちも県が設置している教育支援センターは利用しないという認識があるんですが、こちらの場合は、もうこの高校に教育支援センターを県として設置しているけれども、市町村の学校からも中学生を、市町村立の中学校からも受け入れるということだというふうにお見受けしまして、これは非常にすばらしい取組だし、1回不登校になった子たちの居場所を、こういう形で、市町村と県が共同して行うようなものなので、すばらしい移行の措置だなと思ったんですけれども、これをどのように市町村に認知をするのかということ、そこに何らかの工夫はあるのか、今どんなふうになさっているのかという、ちょっとそこを知りたいと思いました。
 というのは、その北陸のとある県では、大量に不登校の子がいるのに、そしてその教育支援センターの利用者はゼロ人で使われていないということがあって、もっと言うと、他校の全日制の進学校が近隣にあるんですけど、そこにも不登校の子がいるんですけど、その学校もその学校で、自分のところで不登校の子をぎりぎりまで受け入れるから、教育支援センターの利用を促すということは決してしないので、教育支援センターによる授業を出席とするという措置には、なかなか子供たちも移行できなくて、要は義務教育の子たちも、県立学校、他校の子たちも、教育支援センターの利用をなかなかできないことがあるという中で、どのように今回、この新しい取組においては認知をされるのかなということが興味深いなと思ったので、お聞きしたいと思います。これが、まず1点目です。ここ教えていただきたいです。
【荒瀬主査】  じゃ、順番にお願いすることにしたいと思います。いかがでしょうか。
【瀧川総括副参事】  ちょっとお答えになっているかどうかはあれなんですけども、今回の取組については、私、高校魅力化推進室なんですけども、いろいろな関係課室も関わってやっております。ここの設置をしようということで、いろんな調整をしておりますが、ここの具体の運営については、ほかの部署のほうがやっている状況でございます。今、今村委員のほうからの御質問で、他のというか、ほか県内の市町村への周知、認知をするための周知の方法というところでございますが、まずは、今日資料にもあります、このカラー刷りのやつ、これですね。これは、それぞれの市町村のほうに配布をということで、たしかやっていたというふうに今思っております。
 それから、岡山御津高校の今後の取組については、3月の中旬の教育委員会で決定をして、その後、周知をいろいろとしている。それが今日用いた資料の、今日の資料はその一部であるんですけども、それとは別に、校内教育支援センターについても、岡山御津高校で令和6年度から運用開始しますというのは別途、市町村のほうにも周知をしているという状況です。これで大丈夫でしょうか。
【今村委員】  大丈夫です。ありがとうございます。
 あと、ごめんなさい、2点目なんですけれども、これは半分感想なんですけれども、このひきこもり対策とこの子供たちが結局、広域通信制及び自宅で学ぶということを選択して、人と会わない生活が続くことによって、結果ひきこもりが長く続いてしまうという現象も一部というか、かなり大きく起きているように、福祉の側面から思っていて、ここに大変危惧しているわけなんですけれども、こちらのお取組のように、通信制高校の学びで、まず弾力的に外に出るという学びをして、少しずつ学ぶということを回復した後に全日制に転換していくという思想は、非常にすばらしいというか、まさにそうあるべきだなというふうに感じていました。こういったことを岡山県として、ここで実験して今後も広げる想定なのか、この学校だけ人気がない学校だったから今回やってみたみたいな感じなのか、どういうふうな、ぶっちゃけトークなんですけれども、どんなふうに捉えられているか。これは、だって、ここの学校に来れない広域の、どこの学校にだってあってもいい措置だと思うんですよね。なので、どうお考えかということもお聞かせいただきたいです。
【荒瀬主査】  お願いいたします。
【瀧川総括副参事】  御質問ありがとうございます。要は、こういった学校を岡山県内で拡充するのかどうなのかという御質問だと思っております。このような学校の設置というか、こういった機能強化というのは、岡山県としては初めてでもあります。全国的に見ても多分、珍しいのかなとは思っておりますが。要は、この一体的に取組を進めるといったところで、まずは成果と課題というのをしっかりと把握しないといけないというふうに思っています。
 片や一方で、現状として、不登校の生徒さんが増えるといったところがありますので、そういったニーズや状況に加えて、やはり今回の取組の成果と課題というのを検証しながら、こういった拡充をするのか。するのであれば、じゃ、どこにやるのがいいのかといったところも、検討、検証をしていきたいなというふうには考えております。
 以上です。
【今村委員】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  よろしいですか。
【今村委員】  はい。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。では、岡本委員、お願いします。
【岡本委員】  すいません。長引かせてしまいますが。重要なポイントを聞きたくて。先ほどの質問と関連するんですけど、通信制がこれだけ増えているということの要因の中に、中学校のときに学校に対して持っていた不安というものが一因としてあると思うんですね。それで全日制には、その不安がなかなか解消されていないという側面も多分あると思うので、それで通信制だったり定時制、特に通信に行かれる方が今増えていると思うんですね。それで、では全日制のほうで、もう少し不安解消すべき、しかもそれが可能な不安というのはどういうものがあって、どのような措置をすれば全日制における不安の解消ができるようになるのか、ちょっとお聞きしたいです。
【荒瀬主査】  なかなか難しい質問ですが、いかがでしょう。
【岡本委員】  小さいものでも全然構わないです。
【瀧川総括副参事】  なかなか難しいですね。今、不登校の生徒さんが抱えられているような不安というのを全日制でどのように解消していくのかという、そういう御質問でよろしかったでしょうかね。
【岡本委員】  はい。
【瀧川総括副参事】  まずは多様な生徒というか、誰もが安心してとか安全な、そういった、学校がそういう場所なんだよというのが大事なんだろうなというふうには思っています。非常に抽象的な答えではあるんですけども、やはりその多様な生徒がお互いを認め合うとか、自分の居場所はここなんだというような、まずはそう感じてもらえるような制度をつくるというのも大事だと思っていますし、物理的にそういった場所というのも要ると思いますし、当然、指導体制というようなソフトの面という。その辺をつくって、あとはノウハウですよね。動かしていく教員というのも非常に重要になってくるのかなというふうには思っています。
【岡本委員】  不安の種類というのはいろいろあると思うんですよね。だから、その不安の種類の中で、ここは全日制でもっと入れられるんじゃないかというところが、もしあれば。もう時間がないのですけど、もしそういうところがあれば、ぜひメールとかでも何かいただければと。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  すいません。いろいろと質問がたくさん出まして、時間もたくさん使っていただいて、ありがとうございました。
 今、岡本委員が最後に話されたことも含めて、また、ちょっと事務局のほうでまとめていただいて質問をお送りさせていただいて、それに対して、大変恐縮ですが、お答えいただくということで、よろしくお願いいたします。
 瀧川総括副参事におかれましては、本当にお忙しい中、本当にありがとうございました。丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。
 御退出いただいて結構でございますので、また、よろしくお願いします。ありがとうございました。
【瀧川総括副参事】  ありがとうございました。
【荒瀬主査】  それでは、後の予定もまだあるんですけれども、鍛治田委員への質問が、皆さん、ちょっとセーブしてくださっていますので、鍛治田委員への御質問もよろしくお願いします。いかがですか。岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  すいません。じゃ、よろしくお願いします。鍛治田先生に、今日の議題の全・定・通の在り方というのと指導体制の充実というところで1点ずつ御意見というか知見を伺えたらと思っています。
 1つ目が、大阪YMCAさんは広域通信制のYMCA学院高等学校と、あとは全日制の水都国際の高等学校がある。あとは高等課程も持っているということですので、ここら辺の課程だとかの垣根を越えて、どんな連携だとかをされているのか、もしくはされていないのかも含めてですね。もしされていた場合、もしくは、されていない場合も、どんな課題があって、もしくはどんな工夫の中で、そういう課程を超えた連携をされているのかみたいなところで、御意見だとか知見あれば伺えたらというのが1点目です。
 2点目は、指導体制の充実のための方策というところに関してなんですけども、昆陽高校さんのほうからもありました外国にルーツのある生徒の日本語を含めた支援体制の充実は重要だというような御意見があったかと思うんですけども、そこに関して、まさに外国にルーツのある生徒への日本語教育、トランスリンガルコースですか、を設けてされているということで、ここは、どんな指導体制の構築をされてきているのか。日本語学校との連携の話もありましたし、また、ほかの学校とも連携しながら、そういったことを、さらに提供というのか、充実させていこうというようなことも計画されているということがあったかと思います。ちょっとそこら辺の具体だとか取組の中から、今後、この外国にルーツがある生徒、全国的に増えていくようなことも想定される中で、こういう生徒たちへの指導体制の充実のために、どういったことが重要なのか、そこら辺の知見だとか御意見を、ぜひ共有いただけたらということで、ちょっとそういった部分に関して教えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  では、お願いいたします。
【鍛治田委員】  連携については、非常に密な連携を取っています。ただ、水都国際の場合は、府立、公立になりますので、たくさんの決まり事がありますが、高等専修学校と通信のほうは、もう少し自由度が高いところもあります。お互いにいいところを、水都だったらCAS活動とかIB教育をしていますので、そのいいところを教えてもらって取り入れられるものは取り入れているし、お互いに学校間で転校や編入、転籍が発生する場合もあります。
 高等専修学校のほうはYMCA学院高校の技能連携校になっていますので、そのことにとっても、広報的な意味では4校一緒に中学校訪問に行ったりとかをしています。学習内容であったり、広報であったり、教員研修などは一緒にできるものは、極力一緒にやっております。
 また、そうですね。水都国際のほうにはカウンセラーを派遣したり、SSWを派遣したりとか、そういったようなことも行っています。
通信制と高等専修学校は日常的な情報交換、広報、教職員研修・採用は一緒に行い、水都国際はその中から一緒にできるものを連携して行っています。また大阪YMCAが行う海外交流プログラムやYMCA大会などはどの学校からも参加者を募ります。高等専修学校内に総合教育センターがあり、そこから各校へカウンセラーやSSWの派遣や生徒事象などの相談も行っています。
 外国ルーツの生徒のために、5年前ぐらいから問合せが多かったので、何とかそこをしたいと思いまして、週2回のコースを始めています。週2回は、同法人の日本語学校から教員を派遣して来てもらっています。それと別にYMCA学院高校の単位。日本語の単位が20単位あるんですが、それ以外の比較的日本語が易しい、取りやすい単位ですね。書道とか体育のほうを1年次から取るような形で行っています。
 今まで全く日本語が未学習の生徒は受け入れられなくて、日本語学校のほうに託していて、そこで日本語ができるようになってから半年遅れで高校に入ってきてくださいとお願いしていましたが、志の高いといいますか、留学、日本に来て勉強しようと思っている18歳以上の人たちと、親と一緒に帯同してきて、まだ日本の学校のシステムも分からない状態の高校生と、一緒に勉強するのはなかなか難しい。高校生は生活支援の分も、保護者が日本語でお話できないケースもたくさんあるので、留学生対応の日本語学校ではなかなか高校生の対応は難しいということがあって、今年から日本語が未学習の子たちは週5日の集中で行っています。
 ただ、カリキュラムとか教員は全部、日本語学校と連携しながらつくってもらったような状態です。共通言語がないのでGoogle翻訳とか、翻訳機を使いながらやっている部分もあります。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。岩本委員、よろしいですか。
【岩本委員】  ありがとうございます。1つ目のほうで、広域通信制のほうと、この水都国際なんかは教育課程上でも、もう何かはやっているんでしょうか。
【鍛治田委員】  教育課程上は、もう全く別ですね。
【岩本委員】  それはもう全く、垣根がしっかりあるということですね。分かりました。大丈夫です。ありがとうございます。
【荒瀬主査】  垣根というか、別の学校ということですよね。
【鍛治田委員】  はい。そうですね。
【荒瀬主査】  そういうふうになっているのかなと思いますが。
 ほかにいかがでしょう。では、今村委員、どうぞ。
【今村委員】  じゃ、鍛治田先生に、この次のアジェンダにも関わるところかなと思うんですけれども、こういう新しいタイプの学校といいますか、受皿としての意味もそうですし、水都国際のような新しいタイプの学校もそうなんですけど、こういったことを取り組まれてきた中で、結局、今、全日制の学校は、どこもかしこもカリキュラム、オーバーロードになっていて、やりたいと思っている学習指導要領の理念が浸透する前に、もうあっぷあっぷになっているから、そもそも探究とかはやめてもいいんじゃないみたいな議論にいろんな高校がなっていきそうになっているという意味において、こういう余白がある学校を、もちろん福祉の意味でつくってきたお立場から見たときに、そもそも学校の全・定・通どこであっても、あと、どんな学力層の子であっても、どういう学校が、どれぐらいの余白が子供たちに本来必要と思えているかということ。詰め込める子たちには、やっぱり詰め込むカリキュラムで学校設計したほうがいいのか、これは福祉対象のベースにしているからこういうカリキュラムでいったほうがいいとお考えかとか、そこの辺りをどうお考えか、お聞かせいただきたいです。
【荒瀬主査】  すいません、鍛治田先生、できる限り短く。
【鍛治田委員】  短く。分かりました。水都の生徒と私たちの高校の生徒がやっぱり全然違って、水都の子たちは主体的で前向きで、指示がなくても動ける。本校に来た生徒は、最初は背中を押さないといけない、まず居場所の安定のところが大事。何が違うのかなと思ったときに、家庭教育もあるけれども、やっぱり小中学校の学校の在り方で、そこは教員がどんなふうに、カリスマティック・アダルトじゃないですけど、いい出会いがあるかどうかにかかっているんじゃないかなって、ものすごく簡単に言ったら、そう思います。
 子どもの育ち、人間性の涵養には余白が必要だと思います。多様性を受け入れ、他の人とのつながりに身を任せていくことができるという体験によって、人間観の変化がもたらされ、他者を思いやる地球市民に向けた歩みがあると思います。そこには他者との時間も必要です。生徒たちが将来、心、身体、社会的な面でのウェルビーングで過ごせるには詰込みではなく、余白が必要だと実感しています。  
【荒瀬主査】  ちょっと一言では難しいですね。
【今村委員】  大丈夫です。次のアジェンダが含めて……。
【荒瀬主査】  なかなか一言では言っていただきにくいかと。すいません。
【今村委員】  そうですね。ありがとうございます。
【荒瀬主査】  では、すいません、お待たせしました。内田委員、お願いします。
【内田委員】  すいません、内田でございます。鍛治田委員、先ほどの質問とちょっとかぶるところがあるかもしれませんけれども、東京都の定通教育、沖山委員とともに取り組んでいたところで、過去の悩みとして、授業は受けたいんだけれども、語学の壁が壁になって、なかなか授業が入っていかないというところについて、トランスリンガルコースというのはすごく生徒の役に立っているなと思ったんですけれども、通常のカリキュラムの中で日本語ができない、けれども、しっかり学習したいという生徒について、どんな手だてが有効であるとお考えか、ちょっとお伺いできればと思うんですが、いかがでしょうか。
【荒瀬主査】  どうでしょうか。
【鍛治田委員】  通常のこのコースに入らなくて、語学、日本語が難しい生徒に対してということですね。それという御質問でよろしいですか。
【内田委員】  そうですね。
【鍛治田委員】  それまでは、個別対応していたんですね。ルビを打ったりとか、もうマンツーマンでやっていたので、やはりそれも対応し切れないことから、このような形でしています。
【内田委員】  ありがとうございました。やはり日本語学校の先生の力というのは大きいと思うんですけれども、授業につながるような基本的な、あるいは教科学習につながるような文法であるとか、そんなところも含めて御指導いただいているという理解でよろしいでしょうか。
【鍛治田委員】  そうですね。そこは大きいですね。去年の夏は府立高校の先生方に、うちの法人から日本語の指導の仕方とか、そういった研修をさせていただいたりしたり、そのような連携も取っています。日本語学習のゴールをどうするか何度も協議しましたが「教科につなげる日本語」をねらいとしています。
【内田委員】  ありがとうございました。
【荒瀬主査】  内田委員、すいません。本当はもっと時間取っていただいたほうがいいのかもしれませんが。
 では、長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】 ありがとうございます。鍛治田先生、不登校の経験のある生徒などを中心に多様な生徒を受け入れておられますが、広域通信制高校ということでもございますよね。7割方が本校のほうに通っておられることなんですが、合理的な配慮をするということについて、ここで書いてあります連携校、いわゆる広域のサテライト校に当たるのかもしれませんけど、そこでも同じような合理的配慮が、本校と同じような水準で行えるものなのか。この辺についてお聞きしたかったのが1つ。
 もう一つは、今、全国的に展開をしているような、広域通信制高校のサテライト施設では、新入学の入試日程が、非常に早く組まれてしまっています。不登校だからということで夏ぐらいから先に受け入れるようなことが起きているということなんですね。
 これは通信制高校の間でも問題、課題になっているんですが、大阪の例えばYMCAさんのほうなどでは、その辺のことについてはいかがかなということを伺いたいのですが。
【鍛治田委員】  1点目ですけれども、連携校のほうが単位が小さいんですね。大阪だけ高等専修学校は100人以上いますが、他の連携校は小さいので、もうずっと合理的配慮は進んでいます。本校以上に手厚くやっている。特に高等専修学校のほうは非常に丁寧に行っております。あとのサテライトのところは、やっぱり10人から40人までの小さい単位ですので、ほぼ1対1ぐらいの形でやっています。
 2つ目の件ですけれども、私どもも中高連に入っていますので、やっぱりそこの協定はありますので、大阪でいうと2月10日の入試日はしています。大阪の通信制グループも、早くやっているところに対しては、私学課のほうから注意していただくことはできませんかというような要望は出しています。
【長塚委員】  ありがとうございました。広域通信制高校の多くのサテライト施設では、補助学習を中心にしており、通信制の本来の学習とは別なことを、ある意味売りにして全国展開しているというようなところがあります。そこに多くの生徒が今行くようになっているという実態があろうかと思いますけども、通信制の本校が本来的にやっていることが、関係のサテライト施設でも同じように行われているということは非常に感銘を受けました。
 そして、入試日程はやはり、これは通信制高校も含めて各県の入試日程が守られるようにしないといけないと思います。通信制高校だからといって、不登校だからといって早く行われると、各県の公立中学校の一般の生徒との間で、不公平さがあるというようなことになります。ここは通信制高校間で、同じ日程で行うようにということを、まず各地元の公立中学校にもしっかり働きかけていかなきゃいけない課題かなと思っております。
 これはまた、文科省さんが言っていただかないと難しいと思います。全国で行われてしまっているものですから、ぜひそういう働きかけをしてほしいなと思っているところでございます。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。鍛治田先生のところは中高連にも入っていらっしゃって、しっかりやっていらっしゃって、むしろそうでないところに対して何とかしたいという思いを持っていらっしゃるということ、承りました。ありがとうございました。
 ちょっと進行がまずくて、しかも、なかなか興味深い3校の御説明であったこともあって、ほぼ本日の時間は学校の御説明に対する質問で終わったということで、まだ質問ももっとおありの方もいらっしゃると思うんですけれども、申し訳ありません。それは今後、事務局のほうにメール等でお願いをしていただきまして、事務局のほうでまとめて、また御回答をお願いしていただくということにしたいと思います。
 もう1件、資料4及び参考資料1に基づきまして、視察の結果につきましての概要を御報告いただいて共有をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、度會参事官補佐、よろしくお願いします。
【度會参事官補佐】  よろしくお願いします。様々質疑応答ありがとうございました。
 時間も限られておりますので、早口になると思いますけど、手短に参りたいと思います。資料4、お願いいたします。
 こちら昨年、我々事務局による視察や、今年2月のワーキングの委員の先生方とともに実施した視察について、3つほど概要を報告いたします。
 1つ目が大阪府立西成高等学校さんのものですけれども、こちら2015年にエンパワメントスクールに改編しておりますけど、分かることを目指す学びや希望する進路の実現を目指す継続した進路指導を軸に取組を進めてきました。今年から、そういったよい取組を継承しながら、ステップスクールという、就職や進学を見据えた基礎的な学習や体験的な学びを可能とする、そういった取組を進めています。
 学校から概要説明をいただきました学校の特色としては、上から例えば3つ目にあるように、配慮を要する生徒として、障害者手帳を持っている生徒や、小中のときに支援学級に通っていた生徒、外国にルーツを持つ生徒、被虐待生徒やヤングケアラーの生徒が在籍していたりだとか、その2つ下に、1日1食しか食べることができていないような生徒が学年それぞれ10%いらっしゃるというところでありますけれども、そういった子たちにも、まず学校に対面で来てもらえるような指導を行って、丁寧に生徒一人一人に向き合っているというところでございます。
 また、本校では「校内居場所カフェ」を2012年から開設しており、こちら中退予防を目的とした「予防支援」的な取組を行っているところです。
 こうした取組によって、高校での学習が自分の将来につながると思うという生徒の割合が傾向として高く出てきています。ですので、高校でのやり直しに対するモチベーションが高くなってきていると、そういった傾向が出ています。
 最後のポツですけども、就職した生徒についても、小まめに企業と連携して定着支援を行っているといった取組をしています。
 事務局で視察させていただいた授業の見学内容ですけれども、1年生に対しては、午前中は30分掛ける3個のモジュール授業で基礎を固めているというところで、それぞれの授業についても学力に応じたクラス編成をしているというところです。
 その下、となりカフェとありますけれども、こちら先ほど申し上げたように、1日1食という生徒も中にはいらっしゃいますので、貴重な場所になっているとのことでした。ここでの生徒の様子から、生徒の置かれている家庭状況などを推察することもできているといったことをお聞きしました。
 また、その下のステップルームでは、アルバイトがなかなか決まらない生徒などに対して、キャリアカウンセラーが週2で支援を行っているといったお話を聞きました。
 次のページお願いします。次が、今年2月ですけれども、高知の太平洋学園さん、視察させていただきました。こちら定時制と通信制、両方持っていらっしゃいますけれども、学校の特色として、定通併修によって、定時制課程の生徒が通信制の科目を履修して3年で卒業することであったり、通信制の生徒が定時制の科目を履修することも可能となっていて、また転籍も可能となっています。
 上から4つ目のポツですけれども、アルバイトと学業を両立させて頑張っている生徒や不登校経験のある生徒など、要は多様な生徒が在籍しているというところで、そのため、個別的な支援を積極的に進めるための教員の増員や、教員間での支援方法の研究・実践などを行っています。
 また、キャリアカウンセラーや就職支援コーディネーターの配置、またスクール・ソーシャルワーカーに関しては常勤で配置しているというところでございます。
 その下の黒丸ですけど、生徒と懇談をさせていただきました。学校の仕組みや環境については、生徒が安心できる環境があるといった声や、みんなで考えながら学校をつくっている印象があるということで、とてもすばらしい取組をしていると感じたところでございます。
 学校の先生のサポートについても、先生からサポートしてもらえている実感だとか、すぐに先生に相談できる、あと2つ飛びまして、発達障害が仮にあったとしても通いやすい雰囲気やサポートがあるといった報告をいただいています。
 学校での学びについても、自ら添削課題をこなすことで計画性が身に付いたり、様々な活動から積極性や自分で行動する力などが身に付いたりしていると感じる。また、基礎から学べることがよいといった声も聞いておりますし、友人関係や学校生活についても、互いに困った経験があるため、互いに気遣い合えているといったことも聞いております。
 定通の在り方関係ですけども、定時制であれば、午前中だけの授業であることで体も心もしんどくないだとか、午後は自分の好きな活動に充てることができたりだとか、通信制に通う生徒であれば、定時制の生徒とも一緒に部活をすることができたり、友達との交流機会があって楽しいといった声を聞いております。
 最後、次のページお願いします。こちらも同じく高知県の遠隔授業の配信センターを視察させていただきました。
 センターの特色として、高知県内の全ての小規模高校に対して、例えば難関大学などへ進学する生徒のニーズに応じた授業や補習を行っているところでございます。
 次の黒丸のところで、センターの職員の方々と意見交換をさせていただきました。
 配信教科については、生徒の進学ニーズに沿ってニーズの高い教科を配信しております。また、情報Ⅰに関しては、高知に限った話ではないと思いますけれども、専門的な教員を全校配置することは難しいことから、遠隔授業の対象にしているというところです。
 こちら中学生に対しても、体験入学の際に遠隔授業の体験をしてもらうなどの取組を行うことで、小規模校からも進学できるんだという考えが徐々に生徒さんや保護者の間に浸透してきているということです。
 遠隔授業をするに当たって難しいことの一つとして、配信センターから複数の学校へ配信する場合、時程を合わせることが難しいといった課題がありますけれども、こちらでは現在、その対象校において3つのグループに分けて実施できるところまでまとめることができたといった報告を受けております。
 遠隔授業の一層の活用に向けては、機器の維持コストや、配信側の機器や人員の整備が必要となっているとのことです。また、遠隔授業については少人数指導を前提としているとのことです。
 最後になりますけれども、その受講している生徒さんとオンラインで懇談をさせていただきました。
 少人数指導に関しては、2つ目のポツですけども、中段ですが、逆に人数が多くなった場合、生徒の理解度がばらばらなので、授業を聞いても理解できない生徒が出るのではないかだとか、少人数の遠隔授業で手厚く教えてもらえる教科が増えてほしいといった声もあります。
 機器の環境については、回線に負荷がかかると音声が聞き取りにくいことや映像がスムーズに動かないといったこともあるとのことです。
 対面と比較した場合、2つ目のポツですけども、目の前に注意する人がいないと緊張感や刺激がないといったこともあるだとか、最後ですけれども、受講する生徒数が多い情報Ⅰの授業では、分からないときにすぐに先生に聞くことが難しかったり、逆に自分のいる教室の方にもサポートしてくれる先生がいたらいいなといった声が聞かれたところでございます。
 資料4は以上でございまして、次、参考資料1、お願いいたします。
 参考資料1ですけれども、こちら4月以降のワーキングで出た主な意見を事務局でまとめさせていただいたものでございます。こちら赤字になっている部分が前回の5月のワーキングで出たものを書かせていただいているという形です。
 一つ一つの紹介は控えさせていただきますけれども、例えば2ページのところで、前回のテーマが探究的・文理横断的・実践的な学びでしたので、この観点からいただいた御意見を入れさせていただいておりますし、次の3ページにおいては、コーディネーターの活用についても御意見を多くいただきました。
 4ページですけれども、高等学校の指導体制の充実に関する御意見も多くいただいておりまして、追記しております。
 そして、働き方改革についても多く御意見をいただきましたので、追記させていただいております。
 本日も様々御意見いただきましたけれども、この資料に加えていく形で議論の積み重ねを見える化していきたいと考えております。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。資料の4のほう、視察結果ということで、1ページ目は事務局のほうで行かれた大阪府立西成高等学校のこと、2ページ目、3ページ目に関しましては、これ実際に行かれた委員の方もたくさんいらっしゃいますが、こういった視察をする中で、いろいろと学びを我々も深めることができたということでありました。
 それからまた、そういったことも踏まえながら、特に委員が行かれた施設に関しては、そちらで実際に生徒ともやり取りもさせていただきましたので、そういったところから見えたことも含めて、前回までの議論の中で、こういった御意見が出ているということであります。
 これらを踏まえて、今後まとめを作っていくということになっていくわけでありますけれども、今日、もう残りの時間が5分ほどとなりましたので、今日は、大変申し訳ありません、このまま終了させていただいて、次回以降に向けて御意見等、ぜひ、いつもたくさん書いていただいているようですが、事務局のほうにメールを頂戴できればと思います。
 今後の運営の仕方につきましても、また田村委員とも相談しながら、事務局と打合せをしていきたいと思っております。
 今日は本当に質問で終わってしまったみたいな感じで、本当に進行がまずくて申し訳ありませんでした。
 ということで、次回以降の日程につきまして、事務局のほうからお願いをしたいと思います。
【度會参事官補佐】  ありがとうございました。次回の日程につきましては、また追って、今調整中でございますので、御連絡させていただければと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。何かこれだけは今日ぜひともとおっしゃる方がいらっしゃいましたら、オンラインの方も含めて、いかがですか。よろしいですか。
 じゃ、ありがとうございました。では、本日これで終了いたします。
 以上です。
 
―― 了 ――

追加のご意見
【岩本委員】
(全日制・定時制の教員への通信教育の活用に向けた研修について)
 岡山県からご指摘のあった「全日制・定時制の教職員に、通信制についての知識・理解が充分にない」という課題についてですが、今年度から不登校や国内留学などの生徒に向け全日制・定時制の高校で通信教育の活用を可能とする制度改正もありましたので、通信制課程に勤務経験のない全日制・定時制の教員を主な対象と想定した、通信教育の活用に向けたオンライン・オンデマンドの研修(例えば、通信教育の仕組みの理解、今回の制度改正の理解、全日制・定時制での通信教育の活用のイメージ・事例や実施上の工夫・知見・留意点等に関する動画コンテンツ・資料等)を、場合によってはNITSや全国通信制高等学校評価機構、教育系大学等とも連携して取り揃え、各都道府県や学校へ周知・共有していくのも一つの方法ではないかと思います。ご検討いただければ幸いです。
(外国ルーツの生徒への日本語教育に関する支援や環境整備について)
 今回いくつかご意見が出ていた外国ルーツの生徒への日本語教育に関する環境整備についてですが、今後、日本語教育に関する「教材」と「人材」の整備が必要かと思われます。教材に関しては、外国ルーツの生徒が日本での高校生活や高校での学習に必要な日本語を学ぶオンラインやオンデマンドの教材が現状ではあまりありません。
 国際交流基金が2006年に作成した外国生徒が日本の高校生活を送るための日本語教育教材が、今も高校に入学予定の外国人子女向け日本語講座の教材として活用されていたりしますが、約20年前のこれに続くような教材を目にすることがありません。
 例えば、外国にルーツのある生徒が日本での高校生活や高校での学習に必要な日本語を学ぶためのオンデマンド教材と自学自習できるオンラインプログラム等を用意していく、もしくはこうしたデジタル教材の開発を支援していくということなども、今後検討されてもよいのではないかと思います。
 また、日本語を教える人材に関しては、日本語教師の不足が言われていますが、海外の中等教育学校での日本語教師の人数は増えています(2021年の海外日本語教育機関調査では18900人を越えています)。また学校や教育行政にはあまり知られていないですが、総務省は令和5年度から「姉妹校提携など外国自治体等との各種分野における交流に基づいて招致した外国籍の外国語指導助手等(ALTやCIRに類する職務を行う者)の活用に要する経費」を普通交付税で措置できるような制度の拡充を行っています。例えば、こうした制度を活用し、海外の中等教育学校で日本語を教えている教員(そのなかで例えば英語も教えている教員)を日本の高校に招致し、海外にルーツのある生徒の受け入れや日本語の学習や生活面での支援、また日本の生徒への英語・国際教育の支援に携わってもらう(任期を終え帰国した後は日本の学校での経験を活かし、現地での日本語教育や学校教育の更なる充実に力を発揮してもらう)といった流れを促進することも考えられるのではないでしょうか。総務省や必要に応じて外務省等とも連携を図りながら、このような制度の周知・活用やモデルづくりなどを、省庁連携・政策間連携の視点を持って進めていくことも、今後ご検討いただければ幸いです。
(広域通信制の質の確保について)
 何人かの委員からご意見や議論がありました広域通信制高校についてですが、広域通信制高校が社会からの期待や話題、そして実際の生徒数を多く集めている反面、その「質」に関しては、不安や不信感が積もってきているのではないかと思います。しっかりやられている通信制高校がある一方で、通信制という仕組み自体への信用や信頼を得ていくためには広域通信制高校の質の保障・確保・向上を図る手立てを今後もより一層講じていく必要があるのではないでしょうか。以下、質保証に向けた手立ての案を3つほど出させていただきます。
 1つ目が、法令上義務付けられている情報公開状況の把握と共有です。通信制高校は、その教育活動に関する状況について情報公開をする義務を負うことが明確化されているにもかかわらず、依然として情報公開ができていない学校が多くあります。特にサテライト施設ごとに教育活動等の情報を公開できている学校は少ない状況です。
 そのため、まずもって法令上義務付けられている情報公開が徹底されるよう、文科省としても各学校の情報公開の実施状況を把握・共有すべきではないでしょうか。そのうえで、情報公開がなされておらず、改善が見られない場合には、断固とした是正措置を講じるべく、例えばこの後申し上げる2つ目の措置をしていくべきではないでしょうか。また公開情報の検索・閲覧・比較等を生徒・保護者・教職員・所轄庁等の関係者が容易に行えるように、公開情報を通信制高校プラットフォームなどに集約できるような仕組みを構築することも検討すべきではないでしょうか。
 2つ目が、法令違反等を行っている場合の措置の明確化・厳格化です。現行制度上、法令違反等があった場合、私学助成の減額措置を採ることができるものの、実際に適用されたケースは収容定員を超過して生徒を入学させた場合のみにとどまっており、まったく活用されていないと聞いている。そのため、通信教育実施計画の作成・公表ができていないケース、サテライト施設ごとの定員、教職員数等の情報公開していないケースなど、収容定員超過に限らず法令違反が見られる場合には、私学助成の減額措置・停止がなされ得る旨を改めて周知して、実効的な運用を図っていくべきではないでしょうか。
 このほかにも、法令違反に対しては断固とした是正措置を所轄庁が採ることができるよう、行政指導にもかかわらず、サテライト施設ごとの教育活動が分かるように作成される通信教育実施計画が作成・公表されていなかったり、当該施設に関する情報公開が徹底されていなかったりするなどの法令違反が改善されない場合には、所轄庁が、学校閉鎖命令(学教法13条1項)の一部適用として、当該サテライト施設との連携協力を解除する旨の命令(又は当該サテライト施設における次年度以降の募集停止の命令)を学校に発出できる旨を明確化し、文科省から周知・徹底すべきではないでしょうか。
 また、法令違反が改善されない場合には、学校名をリストアップして公表するなどの措置を講じることも検討すべきではないかと思います。
 3つ目が、法令違反等の通報窓口の明確化と質保証に向けた研修の徹底です。通信制高校が法令やガイドライン等に違反していると疑われる場合に、当該高校の教職員、保護者、生徒等が内部告発や通報をすることができるよう、通報窓口を明確化して周知徹底を図るべきではないでしょうか。これは、法令違反等への抑止力を働かせることにもなると思います。
 また、通信制の質の確保・向上に向けて関係者が当事者意識を持って取り組んでいけるように通信制高校の教職員、管理職、所轄庁向けの研修をそれぞれ充実させ継続的に実施していくべきではないでしょうか。併せて、所轄庁による通信制高校向けの質の確保・向上への研修や指導の充実に向けたコンテンツの開発や提供、所轄庁同士の情報交換や学びあいの場づくりも行っていくのはいかがでしょうか。
 
【塩瀬委員】
(全日制・定時制・通信制課程の在り方)
 いまだに世間の議論として、暗黙の序列関係が想定されていて、対等な選択肢になりえていない。そういう意味では、高校進学時にはじめてその選択肢を知るのでは遅く、小中学校時点でも全日制以外の【選択肢】があることを知る機会を設けるべきである。
 学びの多様化学校においての進路指導などで、この3つの学校形態を知る機会のある説明会が開催されることがあるが、これを小中学校の全学校種で実現してはどうか。通信制についても消極的に選ぶだけでなく、自分が向いているかどうかで選択肢、自らが通信よりも対面の方が学びやすいという自覚があれば全日制を選ぶなど、学びの相性で選ぶような選択方法も採用できるように小中学校教育との連携も重要。
(「遠隔授業配信センターの体制等の在り方」と「高等学校の指導体制の充実のための方策等」)
 遠隔授業配信が、過疎地域の代替案、不登校児童にとっての学びの手段、としてのみ議論されている。しかし、全日制で、さらに進学校に通っていたとしても、多くの学校で物理化学生物地学、地理歴史公共倫理政経、数理探究といった選択科目は、生徒の自由意思ではなく当該学校で
 開講されているか否かに依存してきわめて少ない選択肢からの選択を余儀なくされている。
 まずこの実態を明らかにし、すでにほぼすべての学校において全教科の教員が全学年において実は提供できていない実態に基づき、これを速やかに充足する手段として遠隔授業配信やアーカイブ授業による単位取得に道を拓くことを検討してはどうか。
 そもそもが学習指導要領に沿った教科選択をどの程度自由に生徒が選べているのか、選べていないのか、生徒の教科選択に制限あるいは学校格差、地域格差が存在していないのか、実態把握に努めてはどうか。
 
【篠原委員】 本日の議論では、まだまだ通信制はある意味、セーフティーネット的性格を持つという前提で進められていたが、今や積極的な意味合いで通信制を選択している生徒がいることも確かである。コロナ禍前から、地域によっては「普通科か通信制か」と同等のレベルで選択をしている生徒が多いところもあり、また、トップレベルの高校に入学せずに通信制に進学した生徒がいることに驚いていた校長先生もいらした。もちろん、まだ多数派ではないだろうが、生徒たちの意識が変化していることは、認識しておきたい。
 また、本日、岡本委員から、通信制の生徒が増加している背景の一つとして、中学時代の不安があって、それを全日制で解消することためには、何が必要なのだろうか、という指摘があったが、この視点はとても大切だと思う。生徒たちが求めているものは何か、それが今の学校にあるのか、ないとすれば、どのように形づくることができるのか、今後、そのような観点も踏まえて検討を進めたい。
 
【田村委員】本日の事例より、全ての生徒が安心安全であることをビジョンのひとつとして掲げることは、全ての高校において大切だと感じました。そのためには、どのようなカリキュラムや仕組みが必要なのかのについてや具体的な事例を示していただきありがたく存じます。新たな課程の在り方を議論している本部会においては、先進事例も参考に、ありうる形を整理し類型化した上で必要な方策を明示する必要があるように考えております。
 
【濱田委員】
(全日制・定時制・通信制課程の在り方についての意見等)
 本日、ご説明いただいた学校等の先進事例は素晴らしく、様々考えさせられることが多かった。
 不登校や発達障害等生きづらさを感じている生徒は、地域性や学校規模に関わらず存在し増加傾向にある。全ての学校で対応が求められる中、専門家の配置や教職員研修だけでは対応が難しく、高等学校自体が、どれだけ柔軟に学校運営ができるかが、問われていると思う。
 全日制のほとんどが、同一年齢集団で授業を進め、単位を習得させていくという学年制であり、一方、定時制は異年齢での集団で単位制の学校が多く、昼間定時制となると、システムは別にしても、生徒の状況は全日制に近い。そもそも全日制・定時制というくくりが必要なのか。全日制の学年制というシステムが現状に合っているのか。そろそろ、高等学校のシステムを見直す時期にきているのではないかと思う。
少々乱暴な意見かもしれないが、生徒を集団の一人として成長を促してきた学校スタイルから、生徒それぞれの発達や個性を追求しつつ、学校という集団を機能させようとするなら、より柔軟に機能するよう、学年制から単位制への移行が必要ではないかと考える。
 また、総合学科ができたとき、「一人一人の時間割をつくる」ということが言われたが、まさしく、生徒自身が自己の将来に向かって、何を学ぶ必要があるのかを、自身で考える力、いわゆる「カリキュラムマネジメント力」の育成が必要だと思う。
 生徒たちは、高校生のうちに成人となり、選挙権も行使できる。
 高等学校には、子どもを大人にする教育が求められており、それらも含めて、教師主導、学校主導のカリキュラムでは、子どものままで、大人になりきれない。
 現状の自校だけで完結しようとするカリキュラムでは、生徒一人ひとりの希望には到底そえず、ICTも駆使しながら、あるいは、遠隔授業等を各校の標準ツールとして位置づけながら、生徒たちの求める学びを提供していくことが必要あり、早急に対策していくべきである。
(遠隔授業配信センターの体制等の在り方について)
 高知県では、教育センター内に遠隔授業配信センターを設置し、県内全ての小規模高校に対して「教科充実型」遠隔授業を配信し、一定の成果を上げている。そして、令和5年度には、高校WGの視察以外にも、10県の教育委員会から視察があったと聞いている。
 このように、各県で遠隔授業を検討し始めており、先進県の事例やデータ、成果等も集約できる状況であることから、国の主要事業として強力に推進してほしいと願っている。
 そこで、配信センターの体制等について、2点述べたい。
 国の教職員定数は学校、具体的には本校及び分校に対して措置されているため、高知県のように、配信センターを近隣校の分室扱いにしている場合、県費で負担するしかない状況である。
 高知県において、遠隔授業は、中山間地域の対策として重要施策に位置付けられており、そういったことから県費で対応をできているものの、これをさらに拡充していこうとすると、県の財政状況にゆだねることとなる。
 受信側の学校や生徒が不安にならないよう、さらに充実して支援していくためには、県の財政状況に関わらず、配信センターの体制をしっかりと維持し、さらに充実していけるよう、国として、配信センターの機能を整理し、学校に準ずるものとして位置づけてほしい。そうして、是非、国の定数措置がなされるようにお願いしたい。
 加えて、予算措置である。4月、高等学校DX加速化推進事業の採択校1,010校が発表された。本事業は、高校段階におけるデジタル人材の育成強化に必要な環境整備経費を1校につき最大1,000万円、給付されるという非常に思い切ったものとなっている。この事業では、必要な環境整備経費の支援対象例に「遠隔授業用を含む通信機器整備」が含まれている。
 遠隔授業を実施するうえで、配信センターは不可欠であり、現在、配信センターを設置している各県への支援も含め、高等学校DX加速化推進事業と同等程度の思い切った事業予算化も進めてほしい。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(高等学校担当)付