令和7年1月24日(金曜日)10時00分~12時00分
15F特別会議室(WEB会議)
【秋田部会長】 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第146回教員養成部会を開催いたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず、事務局から会議の開催方法と資料について御説明をお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 秋田部会長、ありがとうございます。
文部科学省教育人材政策課の柴田でございます。会議の進め方等について確認させていただきます。
本会議の模様は、報道関係者の方々と一般の方向けにライブ配信をしております。Zoomを使用しておりますけれども、Zoomのチャット機能につきましては、傍聴者の方が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段といった場合に使用していただく等、補助的な使用としていただくようお願いいたします。
また、前回の教員養成部会におきまして、秋田部会長より制度の根本に立ち返った、より一層の議論の深掘りに向け、審議体制の在り方についても検討が必要であるというふうな御意見があったことを踏まえまして、本日より新たに当部会に御参画いただく委員を御紹介したいと存じます。
なお、御欠席、御遅刻の委員もいらっしゃいますが、併せて御紹介させていただきます。委員の一覧につきましては、資料1-1を御覧ください。
では、順に御紹介させていただきます。
東京都大田区立志茂田中学校校長、全日本中学校長会会長、青海正委員でございます。
【青海委員】 よろしくお願いします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 よろしくお願いします。
東京都立三田高等学校校長、全国高等学校長協会会長、内田隆志委員でございます。
よろしくお願いいたします。
住友生命保険相互会社取締役会長、日本経済団体連合会教育・大学改革推進委員長、橋本雅博委員でございます。
【橋本委員】 よろしくお願いします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 よろしくお願いいたします。
読売新聞東京本社編集委員、古沢由紀子委員でございます。
【古沢委員】 よろしくお願いします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いします。
学校法人第二麻生学園理事長・山口短期大学長、日本私立短期大学協会会長、麻生隆史委員でございます。
【麻生委員】 よろしくお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いいたします。
学校法人千葉学園千葉幼稚園園長、一般社団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構教育研究委員会委員長、岡本潤子委員でございます。岡本委員におかれましては、遅刻とお伺いしております。
学校法人玉川学園理事長、日本私立大学協会会長、全国私立大学教職課程協会会長、小原芳明委員でございます。
【小原委員】 よろしくお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いいたします。
佐賀県教育委員会教育長、甲斐直美委員でございます。
【甲斐委員】 よろしくお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いいたします。
東京学芸大学長、日本教育大学協会会長、國分充委員でございます。
【國分委員】 よろしくお願いします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いいたします。
鳴門教育大学長、佐古秀一委員でございます。
【佐古委員】 よろしくお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いいたします。
滋賀県湖南市長、松浦加代子委員でございますけれども、本日は欠席とお伺いしております。
続きまして、東京都武蔵野市立第二小学校校長、全国連合小学校長会常任理事の松原修委員でございます。
【松原委員】 よろしくお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 お願いいたします。
東京都立文京盲学校長、全国特別支援学校会副会長、安田咲登子委員でございます。
【安田委員】 よろしくお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【秋田部会長】 どうもありがとうございました。新しく御参加いただく委員につきましては、御多忙のところ、部会への御参画につきまして御快諾いただきまして、誠にありがとうございます。心より御礼を申し上げます。
それでは、本日の議事について申し上げます。議事は、議事次第に示しているとおり、2つでございます。
それでは、まず、議事1に入りたいと思います。昨年12月25日、中央教育審議会総会におきまして、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について諮問がなされました。諮問を踏まえました議論については、今後、正式には初等中等教育分科会において諮問された事項について、本部会で審議を行うこととするなどの確認をしていただくことになります。
本日は、このような諮問がなされたことも踏まえまして、諮問の概要等について事務局より御説明をしていただいた後、今後、本諮問全体を通じて議論すべき点や、それから検討が必要な点につきまして御意見を頂戴したいと考えております。諮問の個別の論点に関する議論につきましては、次回以降に行うことにしております。
それでは、事務局より御説明のほうをお願いいたします。
【後藤教育人材政策課長】 失礼いたします。教育人材政策課長の後藤でございます。
私のほうから本日の資料1-2、それから資料1-3、1-4に基づきまして御説明させていただきまして、また、続きまして、資料1-5で、先日の中教審総会、それから144、145回の教員養成部会でも本件についての意見がございましたので、それについての御紹介を続けてさせていただきたいと考えております。
では、まず、資料1-2が諮問本体でございまして、資料1-3がその概要でございます。資料1-4はその参考資料となっておりますけれども、資料1-3、概要を主に御覧になっていただきながら、改めまして諮問があった内容について御説明をさせていただきたいと思います。
資料1-3を御覧になっていただきますと、上段は、近年の中央教育審議会における答申、議論の経緯を記載しております。教師に関わるものということで、累次にわたって方向性をお示しいただいているところでございます。
まず、令和3年の答申におきましては、2020年代を通じて実現を目指す「令和の日本型学校教育」の姿を「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」ということとして、その一体的な充実を通じて、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげていく必要性が示されました。あわせて、それを担う教師、教職員集団の在り方として、環境の変化を前向きに受け止めて、教職生涯を通じて学び続けているということ、子供の主体的な学びを支援する伴走者としての能力も備えていることなどについてお示しをいただきました。
こうした目指すべき姿を実現するために、令和4年12月の答申におきましては、教師に共通的に求められる資質能力の再整理を行っていただくとともに、「新たな教師の学びの姿」の実現、また多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成等の改革の方向性が示されました。これを踏まえまして、例えば、特定分野に強みや専門性を持った教師の養成のために、4年制大学でも二種免許状の教職課程を特例的に認めるというような制度改正を進めておりますほか、「全国教員研修プラットフォーム(Plant)」を構築いたしまして、研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励の推進などの取組を現在進めているところでもございます。
さらに、令和6年、昨年になりましたけれども、8月の答申におきましては、働き方改革のさらなる加速化、指導・運営体制の充実、教師の処遇改善を一体的・総合的に推進する方策をお示しいただきました。この答申の中でも教師を取り巻く環境整備に深く関わることとして、教員免許や教員養成の在り方等について、さらに専門的な検討を行うことへの期待感も示されたところでございました。
このように「令和の日本型学校教育」の実現という目標の下、各種改革が進んでいるところでありますけれども、生産年齢人口のますますの減少、さらにはAI等の技術革新が加速度的に進む時代でありまして、そういった時代であるからこそ、教師による対面指導や子供同士の学び合い、あるいは地域での体験活動を通じた、子供一人一人の能力をいかに最大化していくかという、そういった教育の重要性が高まっているのではないかという認識を持っております。
その中で、教師の役割は、子供たちの主体的な学びへの効果的な支援や伴走に転換をしていくとともに、こうした使命を果たしていかなければならない教師には、やはり質の高い人材を十分に育成・確保していく必要があるということになると考えますが、そのことは、現在の教師不足が教員の年齢構成に起因します大量退職と大量採用ということの中で起きておりますが、その時期が過ぎ去れば、おのずと質の高い人材が教師に集まってくるかと言えば、おのずと解決するような課題ではないのではないかと、そういった問題意識での諮問でございます。
もちろん決して改革を拙速に進めていこうというものではございません。令和4年答申で示されております改革の方向性にのっとりまして、課題解決のための、しかし、戦略的な意図を持って制度の根本に立ち返った検討を行って、教師人材の質の向上と入職経路の拡幅を強力に推進して、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を丁寧に加速させていくということが必要であるという認識でございます。まさに縦側と横側の改革、これを進めるための方策について、ぜひ教員養成部会を中心に御検討いただきたいと考えているところでございます。
具体的に御審議をお願いしたい事項ということで、資料の下段に整理をさせていただいております。3本の柱で整理しております。まず、1つ目の柱は、社会の変化や学習指導要領の改訂も同時に諮問がなされておりますので、こちらも見据えた教職課程の在り方についてということでございます。また、現在、4大学を指定している教員養成フラッグシップ大学の取組も勘案しながら、今後の教職課程の学習内容や学習方法がどのようにあるべきか、御検討をお願いしたいという内容でございます。
その際、学生の声、例えば教職課程を履修したものの、教員免許に至らなかったという学生も現にいるわけですけれども、そういった学生の声として、必要な単位数が多くて全部の単位取得が難しかったという、そういった回答も多くあったところでございまして、より多くの学生が今後、教員の免許取得を目指したり、また、現職の先生方が教職生涯を通じて能力向上への意欲を喚起したりするような、そういった免許制度の在り方についても御検討いただきたいというものでございます。
また、文科省では、地域教員希望枠、地域枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化も推進しているところでございますが、各地の大学が教育委員会との連携を深めて、地域に求められる教師人材確保につながっていくということのために必要な取組についても御検討をお願いしたいと思いますし、加えまして、急進化します少子化の中で、各地域、各県できちんと不可欠な教師人材が安定的に、免許を持った人材が安定的に輩出されるために、必要な教職課程が大学で今後も継続的に開設、実施できるようにするためのあらゆる柔軟な方策についても御検討をお願いできればというものでございます。
続きまして、2つ目の柱でございます。教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方についてでございます。できるだけ多くの志願者を確保するために、採用選考の例えば早期化ですとか複数回の実施ですとか、特別選考の実施など、いろいろな改革を文科省としても推進し、教育委員会でも取組を広げていただいているところです。
さらに、現在は教員採用選考について、第一次選考の共同実施ということについて、各教育委員会にも御協力いただきながら、文科省としても行政として検討を進めているところもございます。こうした動きも勘案しながら、優れた教師人材の確保に必要な方策について御検討をお願いしたいというものでございます。
また、あわせまして、採用の話だけでなく、昨今の大量退職と大量採用により採用倍率が低くなっているという状況がありますが、その中で、例えば今30代の教員が全体の3割を占めているというような、若い世代の教員が全体の中で非常に膨らんでいるという構成になっております。こういった世代の若年層の教員が今後学校教育の中核を担っていただくということになってまいります。
中長期的な視点を持ちながら、こうした現職の先生方の学び直しを、いかにレベルアップを図っていくかという点も重要になるかと思いますので、このため、働き方改革を通じて、研修や学ぶ時間の十分な確保によって自己の資質能力を高められるような環境整備とともに、研修履歴を活用した対話に基づく研修の受講奨励の進捗状況の検証ですとか、また、管理職のマネジメント力の強化、また、教職大学院が場として非常に重要になってまいりますが、そこでの指導の質を確保していくための方策の在り方などについても御検討をお願いしたいと思っております。
最後に、3本目の柱でございますが、多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度についてでございます。令和4年答申では、教師一人一人の専門性を高めるとともに、学校組織が多様な専門性や背景を持つ人材との関わりを常に持ち続けるということ、そうした人材を積極的に取り込んでいくということの重要性をお示しいただいております。
一方で、実は令和4年度のデータですが、公立の小中高、特別支援学校の採用者に占める民間企業等の経験者の割合は約4%にとどまっているというのが現状でございます。これまでの間、特別免許状の指針の改訂ですとか、あるいは先ほど申し上げました教職課程の特例をつくったりというようなことは進めてきておりますが、さらにいま一歩、教職への入職経路の拡幅という視点が重要ではないかという問題認識を持っております。
このため、例えば教職課程を大学のときに取らなかった方にも教職への道を開くことを目的といたしまして、教員資格認定試験というものを実施しておりますけれども、現在、教職員支援機構において実施していただいております。幼稚園、小学校、高校の情報ということで実施を今いただいておりますけれども、この実施している免許種の範囲でありますとか、また、試験の実施方法も含めまして、在り方について、ぜひ御検討いただければと思っております。
また、学部段階で教職課程を履修しなかったという社会人の方が大学を卒業しておりますので、大学院で学んで教員免許、教職に転じようという方がいらっしゃいますけれども、そういった方々が教員免許の取得をしやすい、そういった仕組みの構築についても、諸外国の事例なども参考にしながら、具体的な方策について今回の審議の中で御議論いただきたいと考えております。
加えまして、特別免許状のさらなる活用促進ですとか、また、民間企業に勤務されている方が企業をやめてというのではなくて、企業に在籍しながら学校の教師として勤務するということの柔軟な任用形態の在り方などについても御検討をお願いできればと考えております。あわせて、養成・採用・研修、これを有機的につなげる観点から必要な支援策についても御検討をお願いしたいと思っております。
以上が諮問事項の主なポイントの御説明ということでございます。
これから、先ほど冒頭、秋田部会長からもお話がありましたけれども、範囲が非常に多岐にわたっておりますので、テーマを設定させていただきながら審議を深めていくということで、あわせて、諮問が中教審の中でなされております学習指導要領についての議論も併せて横目に見ながら御審議を進めていただけますと幸いに存じております。
私からは以上でございまして、続きまして、総会、それから先立って開催された教員養成部会での議論、状況についての説明を続けさせていただきたいと思います。お願いします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 続きまして、資料1-5でございます。先日行われました第140回中央教育審議会総会及びこれまで2回ほど、第144回、145回の教員養成部会でも委員の皆様から御意見を頂戴しておりますので、多数の御意見をいただいておりますけれども、少し長くなりますので一部の御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、1ページ目でございますけれども、こちらは第140回中央教育審議会総会、昨年12月末における主な意見ということでございます。
まず、1つ目の丸でございますけれども、次期学習指導要領改訂に向けた議論と連動・連携していくことが重要ということで御意見を頂戴しているところでございます。
その下の丸でございますけれども、その下ほどです。免許制度についても、二種・一種・専修という免許種の区分や、免許取得に要する単位数等も、これからにふさわしい在り方を議論すべきという御意見を頂戴しているところでございます。
その下の丸でございますけれども、社会人等の民間の力を一層活用していくべきではないか、こういった意見もいただいているということでございます。
その下の丸でございますが、教師人材の量的な確保と質的な確保は喫緊の課題であり、タテとヨコの改革というものが必要ではないかということ。入職ルートの多様化を推進する方策についても併せて検討が必要ではないかという御意見もいただいたところでございます。
その下の丸でございますが、学生時代に免許を取得していなくても、社会人になってから教員免許を取得しやすくなる仕組み等を総合的に検討していくべきではないかという御意見。
また、その下の丸でございますが、教職課程における単位数の見直し等も検討することが必要ではないか。
最後の丸でございますが、教職生涯を通じた学びにおいて、理論と実践の往還の真の実現、こういったものが求められるのではないかという御意見をいただいてございます。
おめくりいただいて、2ページでございます。一番上ほどでございますけれども、科学と根拠という二つのKの視点からの手だてが重要といった御意見でありますとか、その下の丸でございますが、教師の役割の転換や、大学での教員養成の段階からの学びの転換、こういったものが必要じゃないかという御意見をいただきました。
1つ飛ばしまして、2つ下のポツでございますが、大学での教員養成の指導環境が学校現場と同様に、GIGAスクールの環境になっているか。こういったものを併せて検討すべきではないかという御意見をいただきました。
1つ飛ばしまして、2つ下の丸でございますけれども、普通免許状の取得に当たって修得を要する単位において、児童生徒の「心身の発達」だけでなく、不登校やいじめ等の具体的な現状・課題を履修していくことが重要ではないか、こういった御意見もいただいたところでございます。
おめくりいただきまして、3ページでございます。3ページ、上ほどでございますけれども、教育系の学会でありますとか、任意研修団体、こういったものによる支援もこれから研修においては重要ではないかという御意見をいただいております。
1つ飛ばしまして、2つ下の丸でございますけれども、外部人材が教育現場にスムーズに入っていくためにはということで、現場での運営面の工夫でありますとか、外部人材をチームに迎えて協力し、授業を進める体制をどのように構築していくか、こういったものも検討が必要ではないかという御意見。
その下でございますけれども、このため、企業と学校のマッチングを行うような機関の活用策についても検討が必要ではないかという御意見をいただいています。
その1つ下でございますけれども、経済界を含む広いセクターの人材を活用し、教育の質を高めていく、こういった具体的な方策についても議論を深めていくべきという御意見を頂戴したところでございます。
2枚おめくりいただいて、5ページになります。以上が総会でいただいた御意見でございますけれども、昨年の144回でありますとか、145回の教員養成部会でも諮問につながるような議論がございましたので、こちらも併せて御紹介させていただきます。
5ページ、少し飛ばしいただきまして、(1)教職課程の見直しというところを御覧いただければと思いますけれども、最初の丸です。こちらでも学習指導要領の改訂に合わせて、コアカリキュラムでありますとか、教科の専門的事項の区分の見直しが必要という御意見を頂戴しておりました。
2つ下でございますけれども、教員養成フラッグシップ大学の先導的な取組の成果や知見を踏まえ、教育課程や免許制度の在り方自体を改めて見直し、教育現場における課題に応じた科目の充実を図ることが重要ではないか、こういった御意見も頂戴しておりました。
おめくりいただきまして、6ページでございます。少し飛ばさせていただきまして、5つ目の丸でございますけれども、大学ごとにというところでございますが、その下ほどです。教職の理念をしっかりと理解している大学ばかりではない現状もあり、一定程度の質保証としてのコアカリキュラムは必要であり、バランスが重要という御意見を頂戴しております。
その下の丸でございますが、教員側が準備したカリキュラムではなく、学生自身が新たな科目等を含めどうつなげていったのかというような、学生視点での連携の検証というのは重要ではないかという御意見を頂戴しておりました。
おめくりいただきまして、7ページでございます。7ページの(3)地域の教師人材の確保についてという下ほどでございますけれども、地方の教師の成り手不足は深刻ということで、地域枠事業ということで、地域教員希望枠を活用した教員養成大学の学部の機能強化事業でございますけれども、そういった事業も始まっておりますが、当該事業を行っている大学だけではなくて、地域全体の取組に拡大していくことが重要ではないか、こういった御意見もいただいております。
おめくりいただきまして、8ページでございます。(1)採用段階の方策というところの下ほどですけれども、こちらは教員採用選考の共同実施により、教師に求める資質能力について、その問題の質や手法によって明確化していくことができるのではないかという御意見を頂戴しております。
おめくりいただきまして、9ページでございます。(3)学校管理職のマネジメント力というところの2つ目の丸でございますけれども、今後、教師が多様化していく中においては、管理職のマネジメント、こういったものが重要ではないかという御意見をいただいております。
下のほうに下りていただいて、下から2つ目の丸でございますけれども、教職大学院の学びの内容についてというところでございますが、博士課程との接続というものを視野に入れる必要があるのではないかといった御意見でありますとか、その下の丸でございますが、教職大学院における実務家教員の養成が必要ではないかといった御意見を頂戴しておりました。このほかにも多数の御意見がございましたけれども、一旦私からの御説明としては以上とさせていただきます。
【秋田部会長】 後藤課長、柴田補佐、御説明ありがとうございました。
先ほど説明をした諮問と同日に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」の諮問がなされました。この諮問は別の部会で議論されることになりますが、今後の教員養成部会での議論は教育課程に関する議論と同時に両輪で進んでまいりますので、こちらの諮問についても事務局より御説明をいただきますが、高橋委員のほうが他の御用務のため途中退席されますので、先に先ほど御説明した諮問について御意見を頂戴したいと思います。
高橋委員、よろしくお願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。高橋でございます。このように機会をいただきまして、誠にありがとうございます。私から1点コメント、意見をさせていただきたいと思います。
私は、この諮問に対応した検討するに当たっては、デジタルの力が欠かせないと思っております。今回の諮問文を拝見させていただきますと、学習指導、子供に対応してデジタルということを考えていくことが必要といったような記述はあるとは思うんですが、特に私は、教職員の一層の働き方の改善とか、多様な教師の多様なニーズを包摂していくような手段として、デジタルを前提に検討していくということが極めて重要じゃないかなと思っております。それがこの後、御説明あるとのことですが、教育課程のほうの諮問もかなりデジタルに触れられていますので、そういった意味で両輪の検討ができるのではないかと思っています。
例を申し上げますと、例えば今の先生方の働き方とか、いろいろな制度、仕組みは、紙や判こを前提とした昔に決められた、手順が非常に多いと思っております。ファクスとか判こは大分廃止になっておりますが、そういったものが単純に廃止になっている程度の改善にとどまっている例が多く見られると思います。非同期で、分散で仕事ができ、かつ共同で処理が可能といったクラウドとかAIといった新しいデジタルに合わせた本質的な改善に至っていないケースがたくさんあるかなと思っています。
これは、我々やはりPDCAという考え方に大分縛られていると考えております。目標や手順が大まかに決まっているときは非常に有効な方法だったと思いますけれども、こういうふうに時代や技術の変わり目、船のへさきを変えていくような場合に適合しているかということも含めて考えていかなきゃいけないかなと思います。
そもそものビジョンや教育目標、AIが入ってきても変わらないような教育目標を我々立てておりますので、そういった教育目標に向かって、本質にしっかり向かっていくためにもデジタルの時代に合わせていくことが非常に重要かなと思います。
もう一つだけ申し上げさせていただきますと、文部科学省が行っている校務DXチェックリストというものがございます。これはクラウドを使って校務が適切に改善されているかという数値なんですが、都道府県別、市町村別に数字が出ております。都道府県別に見ますと、下は270点、上は480点と2倍とは言いませんが、かなりの差がついております。こういったことの差も縮めていかないと、デジタルを適切に使っていくということができないのではないかなと思います。先ほどほかの勤務をしながら週数日だけ働くとか、昼間だけ働きたいとか、例えばそういうような働きを認めていくと言うとしたら、時間割とか、特別教室の利用とか、教員の配置とか、時数計算とか、予算の処理とか、そういった先生方のそのような動きを自動計算、自動処理できるような仕組みをもってやっていったり、そういうことがなく、今までのようにエクセルで先生が手作業で処理して電話をかけるというやり方では、とてもこういったことは検討することも難しいかなと思います。クラウドの活用、システム開発も含めてデジタルの力を借りることが、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成の加速になるのではないかと私は思っております。
すみません、私からは以上になります。ありがとうございました。
【秋田部会長】 高橋委員、貴重な御意見をどうもありがとうございます。これからの新たなデジタルを活用することによって働き方の改革をすると同時に、システム開発、クラウド化など新たな概念を通して、質の高い教職員集団を形成していくことの必要性についてお話をいただきました。ありがとうございます。御多忙のところ、御礼申し上げます。
それでは、事務局より初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について、御説明のほうをお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。教育課程課でございます。昨年12月25日に学習指導要領の改訂に向けまして、中央教育審議会に諮問をいただきましたので、要点を御説明いたします。
本日は資料1-7、概要で御説明をさせていただきます。まず、1枚目でございますが、1枚目は、今後の社会状況や現行の学習指導要領の成果や課題などを整理してございます。子供たちを取り巻くこれからの社会は、ますます変化が激しくなっていくことが予想される一方で、生成AI等のデジタル技術の発展は、多様な個人の思いを具現化するチャンスを生み出しているという側面もあると思っています。こうしたことを踏まえまして、「持続可能な社会の創り手」を育てること、そして、テクノロジー等の資源も総動員しながら、全ての子供が豊かな可能性を開花できるようにしていくことが重要です。
学校現場の状況に目を向けますと、コロナ禍に苦しみながらも、GIGAスクール構想による1人1台端末も活用し、精力的な授業改善に取り組んでいただき、質の高い教師の努力と熱意に支えられ、大きな成果を上げ続けております。
一方で、中段の課題の部分でございますが、課題もございます。不登校児童生徒など主体的に学びに向かうことができていない子供たちや特別支援が必要な子供、外国人の児童生徒、特定分野に特異な才能を有する子供を含めて多様性を包摂し、可能性を開花させる教育の実現などが課題となっております。
また、資料マル2の学習指導要領の理念や趣旨の浸透が道半ば、また、マル3、デジタル学習基盤の効果的な活用など、様々な課題が顕在化している状況でございます。こうした認識の下、教育課程の実施に伴う負担への指摘にも真摯に向き合いながら、これまでのよい部分を継承しつつ課題を乗り越えて、よりよいものとしていくということを基本的な方向性としてお示しをしております。
2枚目を御覧ください。主な審議事項を4つの柱で整理しております。まず、左上ですが、第1に、質の高い、深い学びを実現するための分かりやすい学習指導要領の在り方です。知識の概念としての習得や深い意味理解を促すことなどが一層重要になることを踏まえ、授業改善に直結するような学習指導要領とするための方策や表形式、デジタル技術等も活用した示し方などを御検討いただきます。
続きまして、右に目を転じていただきまして、第2に、多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方です。子供たちの可能性を引き出すための柔軟な教育課程編成の促進の在り方や、不登校児童生徒や特異な才能を有する児童生徒など、一つの教育課程では対応が難しい子供を包摂する方策などを御検討いただきます。
左下ですが、第3に、各教科等の目標・内容の在り方です。情報活用能力の抜本的向上を図る方策や、主体的に社会参画するための教育の改善の在り方など、項目として挙げております。
右ですが、第4に、教育課程の実施に伴う負担が生じにくい在り方など、学習指導要領の趣旨の着実な実現方策についてです。授業づくりの実態を全体として捉えた上で、教育課程の実施に伴う過度な負担や負担感が生じにくい在り方の検討や、情報技術など変化の激しい分野において、最新の教育内容を扱うことを可能とする方策などを御検討いただきます。
1月29日に教育課程部会で御了承いただけることを前提として、今後、1月30日に教育課程企画特別部会を設置し、審議を進めることとしております。教員養成部会におきます、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策についての御議論と十分に連携させていただきながら、中央教育審議会における審議を踏まえながら、今後の教育課程等の在り方について丁寧に検討を行ってまいります。
以上でございます。
【秋田部会長】 栗山室長、御説明をどうもありがとうございます。
それでは、この後、御説明いただいた諮問等を基に各委員の皆様からの意見交換とさせていただきたいと思います。全員から今回は御意見を頂戴したいと考えておりますので、お一人様2分程度で御発言をお願いしたいと思います。
なお、本日、初めて委員で御参加の皆様もおられますことから、この機能のオンラインの使用につきまして、簡単に柴田補佐のほうから御説明をお願いいたしたいと思います。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 ありがとうございます。特にオンラインで御参加の方にお願いでございます。Zoomの機能でリアクションというボタンがあろうかと思いますので、挙手いただける方はリアクションというボタンを押していただいて、挙手というボタンがございますので、こちらで挙手の合図をお願いいたします。そうしましたら、順次秋田部会長が御指名いただいて、御指名いただいた方からミュートを外していただいて御発言をいただくということで考えてございます。会場にいる方も同様に挙手ボタンを押していただければと思いますけれども、もしお分かりにならない委員がいらっしゃいましたら、目の前に名前を書いた札を御用意しておりますので、それを立てていただければ事務局のほうで対応いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
説明は以上でございます。
【秋田部会長】 御説明ありがとうございます。それでは、各委員から順番に発言をしていただくんですが、御事情により先に退席される方もおられますので、まず、小原委員、それから安田委員、岡本委員に御発言をいただいてから、順に御発言いただきたいと思います。
それでは、小原委員、お願いいたします。
【小原委員】 ありがとうございます。少し早めに退席させていただきますので、最初にコメントさせていただきます。
私のほうからは3点あります。前回の審議でも取り上げられていましたが、大学の開放制、特に開放制大学で教職課程を担当する大学教員の確保と養成が必要だ考えております。といいますのは、新しい教師像というのが一方で求められていますが、その像に仕上げる教員が古い枠組みの中で教師像を捉えていると、当然、新しい方向へ学生たちを養成することはできません。したがいまして、教員養成を担当する大学教員の養成というものも大事なことではないかなと思います。
2つ目、先ほど何度か出ております、免許取得するのに負担が重いとの意見ですが、そもそも大学の卒業要件は124単位ですから、本来ならば、その中に免許課程の科目も入るべきです。実際、私も何人か採用していますが、見ると4年間で160単位とか、甚だしいのは180から200単位取っている者がおります。
一方で、大学部会のほうでは単位の実質化ということを厳しく言われていますので、教員養成も単位の実質化の対象にすべきであって、本来ならば、それにのっとって124の中に66単位を組み込むというのを、開放制であったとしてもやるべきではないかなと思います。科目というのはコストですから、それが多くなればなるほど大学への負担というものも増えてきます。私立大学は特にコストが非常に重要な要素であります。そのことを考えると、124の学科の科目に加えたような、ついでに66教職単位を取得させるような今の在り方、開放制の在り方は是正すべき点ではないかなと考えております。
3つ目が、教師教育の質保証です。現在、全私教協においては、加盟校に対して自己点検・自己評価を推奨しております。しかし、これも大学の中で行う教員養成ですから、大学の認証評価の中に教職課程という部門があってしかるべきではなでしょうか。その中で教員養成の質保証となる指針があって、それに伴って評価していただく。開放制で教員養成を行っている大学の認証につなげていくということを今後考えていただければと願っております。
以上が私のほうからのコメントとさせていただきます。どうもありがとうございました。
【秋田部会長】 小原委員、どうもありがとうございます。3点、まず1点目として、教員養成大学の教員そのものが古い枠組みではなく、これから新たな形へ。そして、2点目としては、開放制大学の単位の在り方について。また、3点目としては、全私教協のほうでの認証評価に関連する御発言を賜りました。
それでは、続きまして、オンラインの安田委員、お願いをいたします。
【安田委員】 お時間いただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
特別支援の立場から御意見させていただきます。全国的な特別支援学校、特別支援学級、通級等を利用する児童生徒の増加に伴って、やはり専門性のある教師の確保は喫緊の課題であると考えております。また、通常の学級に在籍する特別な配慮や支援を必要としている子供に対しても適切な教育・指導を届け、個別最適な教育を実現させる必要があると考えています。
教員養成においては、発達障害も含む障害の特性やその配慮について、全ての学生に基本的な知識・理解が学べる機会を設定していただきたいと考えます。加えて、特別支援学校教諭免許状、特別免許状とは違うものですけれども、これが幅広く取得できるような制度があるといいなと考えます。そのような特別支援の基本的なことが理解が進むと、いじめや不登校などの学校課題についても発達障害などを何らかの背景にしている場合がありますので、多様な視点から児童生徒を捉えることができ、学校生活の安心安全にもつながるのではないかと考えています。特別支援学校では、現在、大変大量の新規採用者が、1年に25人とかという単位で入る学校もございます。それについては、やはり基本的な大学での学び、それから学校での学び、OJT等に尽力していく必要があると肌身で感じております。
以上で、意見を述べさせていただきました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【秋田部会長】 安田委員、どうもありがとうございました。3点、特別支援学校のほうでの個別最適な学びの在り方、また、特別支援学級の教員の資格の免許のこと、そして、今後の特別支援学校でのOJT等の在り方についての御発言をいただきました。
続きまして、順にこれから御発言をお願いしたいと思います。
それでは、青海委員、お願いをいたします。
【青海委員】 まず、審議が進んでいくと審議のまとめをしたりすると思うんですけれども、各回ごとに、できれば議論の経過ですとか、結論とか課題、こういったことを見える化していくのがいいのかなというのが1つです。
それから、内容についてですけれども、3つの審議事項を示されましたけれども、1つは、人材でいうと教職を目指す学生、これからの教育を支えていく人材、この人材をどうするということですね。
それから、教職以外の仕事に就いたけれども、興味関心があって、教職以外の経験や技術をお持ちの社会人の方をどうするか。それから、現在、学校を支えていて、中でも新しい学び、リードできるような優秀な人材は大勢いますので、それをどうするか。それから、マネジメント力に優れた校長、こういった人材をどうするかということの視点で考えていくことかなと自分では整理していまして、内容はこれからですけれども、例えば学生さんで言えば、単位を精査して単位の少ない免許、このようなこと、今、二種免許の話もされていましたけれども、この辺。
それから、社会人でいうと、特別免許状の拡充、それから容易に就ける仕組みですね。それから、学校を支えている中でもリードできる優秀な人材については、やっぱり現職が、教職大学院という仕組みをもっと推進できないかなということ。それから、マネジメントに優れた管理職を育成していくということもあるんですけれども、既に優れた教員もいるので、こういった方々が校長、管理職など現場に残せる仕組み、こんなのもあるのかなということです。具体的なことはこれからとなると思います。
ちょっと余談ですけれども、諮問文の理由の中に「学校も、同じ背景、経験、知識・技能を持った均一な集団ではなく」という表現があったんですけれども、私、現場なので、そこは言っておきたいなと思ったのは、動機は様々ですけれども、学生時代から教職を(音声途切れ)情熱を傾け(音声途切れ)いますけど、この人たちが現在の学校教育を支えてきたと。例えば知識・技能も均一ではありません。各分野に優れた能力を持つ教員も大勢いますので、このことだけは付け加えておきたいなと思いました。これは理由の第2段落の後半に載っているところです。
以上です。ありがとうございました。
【秋田部会長】 青海委員、ありがとうございます。人材育成や管理職の在り方について、また諮問文についても御意見をいただきました。ありがとうございます。
続きまして、橋本委員、戸ヶ﨑委員と順に挙手をいただいておりますので、挙手順でお願いしたいと思います。
橋本委員、お願いをいたします。
【橋本委員】 ありがとうございます。橋本です。教育の在り方につきましては、経済界としても大変強い関心を持っておりまして、特に今回の質の高い教職員集団の形成は非常に重要だと思っています。その上で、社会人の教育の参入について一言だけ申し上げたいと思います。
この社会人の教職への参入はいろいろな意義があると思いますが、やはり民間企業で働いた経験を持つ社会人の活用を通じて、語学、多文化理解教育、あるいはデジタル教育、キャリア教育、あるいは金融経済教育などといった今までの教育とは別の分野でより実践的な学びを経験してもらうということに貢献するという意味では非常に意義があることかなと思います。
そして、非常に変化が激しく予測が困難な時代で、技術革新のスピードも極めて速く、例えばAIの活用などについてなど、機動的に教育に最新の内容を取り入れていくためにも、こういった社会人の活用というのは有効かなと思います。
一方、ちょっと角度を変えますと、例えば民間人材が教職員として学校現場へ入っていけば、経営管理とか、あるいは事務の効率化とか、そういったバックオフィスの業務についても一定の見識があると思いますので、従来の先生方にはより教育に集中していただく中で、そういった民間出身の教職員がバックオフィス的な業務をサポートしていくというようなことも考えられると思います。
ただ、ちょっと総会でも申し上げましたが、もちろん免許制度の裾野を広げて多くの人をそういう教育現場に導くということは大変大事だと思いますが、一般の民間企業で働いてきた社会人にとってみれば、教育現場というのは新しい世界ですので、そういった人たちができるだけスムーズに新しい職場に溶け込んでいくためのフィージビリティーを確保していくということが非常に大事かなと思います。
免許制度の整備というのは、もちろん大事ですが、私は現場面での運営面の工夫が、こういったことを推進していくに当たってのキーポイントになるのではないかなと思います。そういう意味で教育委員会の組織的なサポートなんかもぜひ考えていかなければいけないと思います。
多くの企業が、今、兼業・副業制度を実施あるいは検討しております。また在籍型の出向制度も企業によっては採用しているところもあります。そういう意味では、フルタイムではなく、部分的に教育を担うということもだんだん可能になりつつあると思いますが、そういう環境変化の中で民間人材の活用をさらに進めていくためには、スムーズな受入れのための指針やガイドラインがあったほうがいいのかなと思います。
以上でございます。
【秋田部会長】 橋本委員、どうもありがとうございます。民間企業からの方が最新の情報を様々に教育にもたらしていただく可能性、また、バックオフィスとしての有効なリソースや知恵を出していただけるのではないとのご意見、また、そうした方が新たに学校教育に参加される場合の受入れの在り方の重要性についてもお話をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、戸ヶ﨑委員、お願いをいたします。
【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。資料1-5に記載していただいた内容や、これまでの私の発言との重複もありますけれども、改めて意見をさせていただきたいと思います。
まず、橋本委員からもありましたけれども、多様な専門性等を有する社会人等の教職参入は、今、教師不足が深刻化している中で待ったなしであろうと思います。それには特別免許状の活用の推進や、教職の魅力向上のための環境整備、さらには社会人等が免許を取得しやすい仕組み等を早急に検討すべきであろうと思います。
また同時に、現行の教職課程や免許制度の在り方自体を改めて見直し、教職課程については、特にオンデマンドの活用など学修方法の高度化を進めつつ、より多くの優秀な学生が教壇を目指せるように単位数の見直し等も必要です。このことは量の確保にも繋がると思います。
さらに、「理論と実践の往還」の真の実現、つまり、理論に裏づけられた「実践的指導力」の育成が急務であろうと思っています。それには、令和4年の答申で示された改革の加速化に加えて、大学の教員養成段階から教師の学びの所作を学ぶということも重要であると思っています。
また、教員養成の質を高めても、新任の教師にスーパーマン的な能力を求めるということは困難であります。全業種が今人材不足である中で、そもそも教師に求める能力の上昇は、志望者減少の要因になりうることに留意すべきなのかなと思います。教師というのは教職の生涯を通じて学び続けることが求められているのであって、学び続けることが質の高い教師の条件であろうと思っています。
これらを踏まえれば、教員研修の効果を検証して改善を続ける、すなわち「研修を科学していく」視点も重要だろうと思います。よく荒瀬会長が仰っておられる「子供の学びと教師の学びは相似形」という理念の実現には、単なる講義型ではない質の高い研修が不可欠になってくるだろうと思っています。また、地域を超えて評価可能な「よい研修」を示すルーブリック等の開発というのも検討していくべきだろうと思います。特にリーダー層の教師たちには新しい学びの実現に向けて、教職大学院への派遣研修を通じて、現場の実践に対する研究能力を習得することも必要になってくると思います。
いずれにしても、諮問に沿って改革した後の学校現場の具体的な将来イメージ、これを可視化していく必要があると思います。明確にイメージできないものは恐らく実現できないだろうと。
今はゼロ成長の時代とよく言われていますけれども、この時代には子供たちや保護者、また、地域の実情に応じた学校は、ますます多様化していくと考えられます。そんな中、教育委員会や学校がオーナーシップを持って個別の将来像を描いて行動せざるを得ないとする仕組みづくりが求められてくるのではないかなと思います。これらの教員養成改革によって、学校や地域のニーズに応じた柔軟な教育改革も実現可能になると考えます。
以上です。
【秋田部会長】 戸ヶ﨑委員、どうもありがとうございます。多様な専門性を有する人の参入のための仕組みづくり、また、教員養成における単位やオンデマンドの導入など、量と質の改革、そして、新たに学びの所作を養成のときから学び、また、生涯において学び続けるための研修の在り方やその検証、また、それによってオーナーシップを持ってそれぞれが学んでいくことの方向性を御示唆いただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、麻生委員、お願いをいたします。
【麻生委員】 麻生でございます。今回初めて参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
先ほど小原委員からは大学の立場からの話がございましたので、私は短期大学の立場から一言申し上げます。短期大学は私立・公立合わせまして300校、私立は約280校全国にあります。そのうち女子の比率が約90%で、その中で教育を専門としている幼児教育や初等教育が短大全体の35%です。3短大に1校は教員養成系短大の学科を持っているということになります。その中で養成している人材は幼稚園免許、小学校免許、一部の中学校の二種免許で、高等学校の免許は短期大学士の学位では取れない形となっております。
先ほどの小原先生のお話で、大学が124単位なのにということなので、短大にそれを合わせますと、短大は2年生で62単位、3年生で93単位という法令上の定めがあり、62単位で普通は幼児教育学科や、こども学科を卒業しますと幼稚園と保育士、場合によっては幼稚園と小学校の組合せがあり、教員免許で言えば、幼稚園と小学校の組合せの例を言いますと、やはり62単位では全然足りず、これが大体100単位近く取らざるを得ない。ここに単位の実質化の問題が出てくるということです。当然、質の高い専門性を有する教員養成をやっていることは間違いありません。
それから中学校におきましては、なかなか二種免許では履修者がないので、今まで課程認定を受けない短期大学が多いのですが、一部は養成しております。その中で、この諮問について考えたことがありまして、特に幼児教育を輩出する幼稚園免許を取得するに当たって、当然、2年間で二種免許が取れますが、例えば短期大学や大学を出なくても、例えば子育てを経験された方に対して、その方が高等教育を受けて、教職課程を取っていないという方に対しての子育てにおける経験値のようなもの、を何か判断するものを準備し、それが試験なのか、実習なのか分かりませんが、こういった制度を活用し、場合によっては短期大学が一部の単位の認定をするというような形で、2年間在籍しなくてはなりませんが、1年で単位を取れば幼稚園教諭免許が取れるとか、そういったことになれば、幼稚園の現場は助かると思います。私の短大も附属幼稚園がありますが、幼児教育や初等教育を目指す学生の数も教員志願者も減っております。
最後に申し上げたいのは、では教員になるに当たっては、当然質の高い教員を養成したいのですが、初等中等教育の段階で、いかに教員というものが、教育というものも含めてすばらしい職業であるかというような教育を、教員免許の養成の前の段階で実施して頂くことを視野に入れて、今後議論をしていただければ私は考えております。
以上でございます。よろしくお願いします。
【秋田部会長】 麻生委員、どうもありがとうございます。短期大学のお立場から、特に幼小免許等を出されているところでの単位の実質化や、それから新たに人員不足の中で子育て経験者等を今後新たな形で単位の認定をしていくような方策、そこに短期大学が関与していく方向の御意見を賜りました。ありがとうございます。
続きまして、松木委員、お願いをいたします。
【松木部会長代理】 松木です。すみません、発音が不明瞭で御迷惑をおかけします。
私のほうからは3点。1点目は、教員の志望者が減少する中で、免許を取りやすくしながら、同時に開放制のよさと計画養成のよさ、この2つを足すような免許状の改正をぜひお願いしたいと思っています。
例えば開放制に関しては、大学院に入ってからも容易に免許のできる仕組み、あるいは計画養成に関しましては、学部と大学院が一体化することで複数の免許、小学校、中学校、あるいは特別免許と普通免許、そういった複数の免許を容易に取りやすくする中で、子供たち全体を見届けるような資質能力を持つ教員の養成ということを期待できるような免許の改正が必要じゃないかなと思います。
2点目は、計画養成に関してですが、今までどうしても18歳をターゲットにした教員養成を行ってきていますが、やはり教師の専門性から考えると、生涯にわたって学び続けることのできる教師が必要ですし、それを支える機関に大学がなるべきではないか。その場合には現職の先生方の研修ということを大きな業務にしていくべきではないかなと思います。その場合、各都道府県の教員研修センター、これとの連携、協働のための制度づくりというのは必要じゃないかなと思っています。
さらに、現職の先生方が教職大学院等に入学しやすいように2点の検討が必要だと思います。1点目は、奨学金等で入学しやすいようなサポートをお願いしたいという点。もう1点は、現職の先生方が働きながら学べるようにすること。そのためには、14条特例による優遇措置のような形が、働きながらでも活用できるような工夫がやはり必要になってくるんじゃないかなと思います。そういった中で、何度か小原先生の話に出ていましたが、新しい教育観を持った大学の教員を育成していくということを考えますと、実務家教員の養成、あるいはドクターの設置ということも念頭に置くべきではないかなと思います。
3点目は、海外の現職教員に関してです。令和の日本型学校教育、特に総合的に子供たちの資質を伸ばしていく令和の日本型学校教育は、世界、特にアジア、アフリカの国々から非常に評判がいいです。たくさんの現職の先生方が研修に集まってきます。そうした先生方が大学院で学べるように教職大学院でも海外の教員を受け入れることを認めていくということが日本の国益にもかなってくるんじゃないかなと思います。
以上、大まかに3点、ぜひ論議していきたいと思っております。ありがとうございました。
【秋田部会長】 松木委員、どうもありがとうございました。3点、免許の在り方について、複数免許を取りやすくしていき、子供全体を見通せるような、そういう免許の在り方。また、2点目としては、学び続けるために各都道府県の教育センターとのコラボ、協働や働きながら学び続ける在り方について。そして3点目としては、海外からも日本の教育は大変評判がよいので、こうした海外の方が学べるための支援の在り方についての御発言を賜りました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、佐古委員、お願いをいたします。
【佐古委員】 ありがとうございます。私のほうも3点、今の問題意識を述べさせていただきます。
1点目は、教員養成における学生の学びの質の問題です。私、教員養成大学におりますので、先ほど小原先生がおっしゃったような過剰な単位を取るというようなことも起こっておりますが、そのこととともに、どうしても教職課程というのは免許を取るための単位を履修するという学習になりがちですので、ここで議論していただいているような新しい学びということになりにくいという特徴がございます。
さらにその上に教員不足、それから学校が小規模化するということに伴いまして、複数免許を取ることが採用試験に有利であるというような、これは本当かどうか分かりませんけれども、そういうことを考えているようですので、学生も免許状を複数取るということになります。そうすると、取得単位数がすごく増えまして、過剰な単位を取るような形になっております。したがいまして、そうなると、なかなか学びの質は変わらない。受動的に学ぶということは続いていると思っておりますので、この辺をどうするか。少し学生の目線に立って学びの質というものを変えることができるかという観点で御議論いただければと思っています。
具体的に言うと、これは先ほどの松木先生の議論と重なりますけれども、複数免許を取る学生に対する単位の軽減ができるような、現状よりも少ない単位で複数免許を取れるような方策であるとか、あるいは新たな教師の学びに相当するような科目を教職課程の中に位置づけて共通化するというようなことを考えていただきたいと思います。
2点目は、教職大学院の活用です。これは社会人からの入職ルートの拡張ということが今説明がありましたけれども、本学でも教職大学院に長期履修学生制度というものを入れまして、教職大学院でゼロから免許が取れるような仕組みを入れております。ただし、そうなると教職大学院の履修単位と免許を取るための単位が重なりますので、これも相当多くの単位を取らなきゃならない。したがいまして、2年間の年限では難しいので長期履修、3年の履修で取っていくということになっています。これでは社会人にとってハードルが高いと思っておりますので、社会人からの入職ルートを拡張するという点では、教職大学院で新たに免許を取る際の取りやすさ、これはレベルを落とすのではなくて、教職大学院での免許の取りやすさというものを御議論いただきたい。
具体的に言いますと、教職大学院の授業科目を一種免許取得相当の科目として読みかえるようなことができないだろうか。常日頃そう思っているんですけれども、そういうような制度改革ができれば、相当教職大学院における免許の取りやすさというのが出てきまして、社会人が教職大学院で学び直して教員になっていくというルートが広がるように思っております。2点目です。
3点目は、これからの教員養成のあり方としての大学連携です。人口が急速に減少していますので、これは教員養成をする大学側の問題といたしましては、教職課程を維持することが非常に難しくなっています。具体的に言うと、教職課程担当の教員を配置するということが難しい状況になってきますので、こうなると、大学間の連携で補いながら教職課程の質を落とさずに教職課程を維持するという方策が必ず必要だと思っております。こういうことができやすくなるような制度の方向性というものを御議論いただければと思っております。
以上、3点です。ありがとうございました。
【秋田部会長】 佐古委員、どうもありがとうございます。学びの実質化のために、特に複数免許を取る場合の免許の単位数やその在り方についての検討。また、2点目として、教職大学院の活用として、社会人からの入職ルート等の在り方について御発言をいただき、また、3点目としては、今後、教職を担当する教員の連携という大学間連携という方向性についても御示唆をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、古沢委員、お願いをいたします。
【古沢委員】 ありがとうございます。古沢です。よろしくお願いいたします。
先ほど説明をいただきまして、教員養成・採用、本当に様々な課題があるんだなと実感しております。中でも大きな課題としては、教員の成り手不足が深刻だと思うんですけれど、昨年から今年の春の大学入試の状況を見ますと、やはり教員養成系の学部が志願者の減少、少子化も見据えているとは思うんですが、全国的に募集人員を縮小する傾向が顕著だと思います。それは非常に懸念するところで、各地で一定の養成数を確保するために大学への支援とか、自治体との連携を含めて対応が急がれるのではないかと思います。特に、免許の取得学部が限られる小学校で非常に問題が大きいと思います。
さらに、教育の質を確保しつつ、より多くの人を多様なルートで教員を目指せるような仕組みは必要だと思いまして、こちらにもいろいろな方策が出ているところでありますけれど、先ほど教職課程を履修したんだけれど、免許取得に至らなかった学生という説明を受けたんです。まさに私の個人的な話ですが、学生時代、そのような状況で、社会科学系の学部にいたんですけれど、かなり負担が重くて途中で挫折してしまって、実習まで至らなかったという経験があります。4年制でも二種免許を取れる仕組みを導入されたということで、こういった新しい仕組みを活用して裾野を広げていく、質を確保しつつ裾野を広げていくことが大事だと思います。
その一方で特別免許、なかなか活用が進まなくて、特に地方で非常に慎重な傾向にあるのかなと思うんですけれど、一方で都市部の私学などはかなり活用していると思います。年限の問題を指摘される方も地方の教育委員会にはいらっしゃいますけれど、より柔軟な制度に工夫していくことも必要かなと思います。
最後に、教員資格認定試験、今のところ合格率が非常に低くて難関になっています。養成課程を受けていなくても教員になれるルートということで、それは当然ではあるのかもしれませんけれど、質を確保しつつ、優秀な人材の採用に結びつくような制度にしていく必要があると思います。
以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。特に、まず最初に、教職志願者の減少についての問題について御指摘をいただきまして、多様な入職ルートの必要性。また、2点目としましては、さらに特別な免許状等のことについての必要性。そして、3点目としては、教員の資格認定試験の在り方ということについて御発言をいただきました。2点目、特別免許状の在り方の活用のことについて御発言いただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、松田委員、お願いをいたします。
【松田委員】 ありがとうございます。私からは特別免許状と資格認定試験の観点でお話をさせていただきたいと思います。これらの2つの制度に共通して見られる課題として、取得希望者や受験者に対する認知度の低さ、あとは申請受験プロセスの複雑さであったり煩雑さ、最後に学校側の受入体制の整備不足が挙げられるのではないかなと考えています。
まず、特別免許状や資格認定試験は、一般的に知られておらず、認知度も低いことを認識することが大事だと思います。ま今後、大々的な広報活動や情報発信を強化していかなければ、多様な人材の参画は進まないと感じます。
次に、申請プロセスの煩雑さ、複雑さについてですけれども、特別免許状は申請から審査までの手続が都道府県教育委員会ごとに異なっており、社会人には非常に分かりづらいと感じられてしまっており、身近な制度に感じにくいと思います。申請フローを全国的にある程度標準化して書類作成の簡素化、あとはオンライン申請を導入するなどの取組が必要だと思います。教員資格認定試験でもインターネット申請の導入、受験日を複数準備する。あとは社会人が受験しやすい仕組みを整備していくことが急務だと考えております。
学校の受入体制ですが、特別免許状を通して入職した方や教員資格認定試験を通して入職した方が、いざ学校での勤務を開始し、生徒指導に当たる際にサポートや研修、メンター制度が十分に整備されていないケースがあって、入職後、困る方が多いように感じます。特に民間企業から転職する方にとっては、教育の実践とかノウハウを習得するための研修、あとはほかの先生方の連携が不可欠です。そこで、民間を含む外部の研修機関の活用であったり、学校と特別免許状取得者をつなぐメンター制度の拡充を図っていくのはどうかなと、そういったところも今後考えていければなと思っております。
あとは教員資格認定試験の試験制度や審査内容の柔軟化です。試験日を複数回設けるということにとどまらず、内容をより民間企業やマネジメント経験を持っている人の特性みたいなものも評価できるような柔軟な評価の仕組み、審査の仕組みを導入するといいのではないかなと考えております。
最後に免許種別です。これもいろいろな論点がこれまであったと認識しておりますけれども、資格認定試験においては、中学校、高校のほか、他科目にも広げていくことができないかということも今後議論していければと思っております。
特別免許状と教員資格認定試験のそれぞれの課題に丁寧に対応していきながら、社会人をはじめとする多様な人材が教育現場にスムーズに入職できるようにしていく、そういった環境を整えていくことが大事だと思っています。特に特別免許状の利活用については、国は制度を整えたので、あとは各自治体の運用次第という国のスタンスも改めていかなければいけないんじゃないかなと思っております。これは大事な国策だと思っておりますし、特別免許状の活用を先導して仕組み化していくということはとても大事なので、ぜひ今後リーダーシップを発揮いただけるようなマインドで取り組んでいかれることも期待していきたいなと思っております。
以上です。
【秋田部会長】 松田委員、どうもありがとうございました。特別免許状並びに教員資格認定試験の制度につきまして、認知度の低さ、申請プロセス、それから学校の受入れというところについて、それぞれについてよりよくなる方策に関連する御意見を賜りました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、荒瀬委員、お願いをいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。1点だけ申し上げようと思って手を挙げたんですが、待っている間にうちのことでいろいろとお話しいただいて、ありがとうございます。2つのことをまず申し上げた上で、私の申し上げようと思っていたこと、を申し上げたいと思います。
まず1点は、戸ヶ﨑委員から、先ほど私が子供の学びと教師の学びは相似形だと言ったというふうにおっしゃっていただいて、大変この誤解はうれしい誤解なんですけれども、実はこれはうちの職員がこの言葉を使いまして、私自身はイメージとしてはそういうイメージを持っておりましたけれども、この言葉を最初に使ったのはうちの職員です。それが幸い、令和4年答申に取り上げられて、今や全国的に使われているということで大変喜んでおりますが、うちの職員の名誉のために申し上げますと、私ではございません。すみません。私が偉そうに自分が言ったかのような言い方をしてしまっているのかもしれません。それならば、申し訳ありません。
それから、教員資格認定試験に関して、これは古沢委員からも松田委員からもございまして、特に松田委員のほうから詳しくこんなふうにしてはどうかというようなお話もいただきました。そういったことについて、この部会でぜひ検討していただいて、私たちも文科省と相談しながら考えていけばいいと思うんですけれども、少なくともそういったことをやっていく上では、私たち教職員支援機構の組織の問題というものもございまして、これは今のままではとてもできない。もっと巨大な組織にならなければならないわけであります。その辺りも含めた議論になっていくのかなと思いながら聞いていました。
それで、私が申し上げようと思っていたことです。私たちが今、この部会で議論していく際に、一方で、教育課程部会のほうで新学習指導要領に向けた改訂の議論も行われていくわけなんですけれども、それを支える、AIではできない、人間の教師の役割というのは何なんだろうかということを考えていくことを忘れずに議論を進めなければならないと思っています。ある物について考えるとき、どんどん精緻に詰めていこうとするのは、私たち人間の習性であるわけなんですけれども、物事が精緻化されていくと、その形自体はよいものになっていくかもしれませんが、実質的に果たしてどうなのかというのを考えなければならないことにもなる可能性があると思います。ですから精緻には考えるんだけれども、柔軟に運用するということも併せて常に意識する必要があると思います。
令和4年答申に至る議論の中でも教員の新たな学び、教員免許更新制を発展的解消して教員の新たな学びを進めていくという議論の際に、その成果はどうなのかということが常に問われました。学んで成果はどうかということを問うのは当たり前なんですけれども、しかし、すぐにその成果が出るのかどうかというと、これはなかなか分からない。また、質の高い教師と言うんですけど、最初から質の高い教師がずらっとそろって学校が始まるわけではなくて、みんな学ぶことを通して質が高くなっていくわけだから、そういったことを考えると、あまりぴりぴりした状態で議論をするのはやめたほうがいいんじゃないかなと思います。
子供は有能な学び手であるということはよく言われるし、そういったことが単元内自由進度学習なんかでも本当に発揮されているのを私も幾らも見ておりますけれども、子供だけではなくて、実は人間というのは、本来有能な学び手ではないかなと思います。子供も大人もそういう点では本当に相似形で、私たち人間は学びながら成長していくので、そういったことを忘れずに議論をしていければいいなと思っています。
以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 荒瀬委員、ありがとうございます。まさに子供も大人も有能な学び手として、AIではできない、人間ならではのものは何なのか。つい議論し過ぎると精緻になり過ぎる。そこのしなやかさ、柔軟さというところも含み込みながら議論をしていくことの必要性を御指摘いただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、貞広委員、お願いいたします。
【貞広委員】 よろしくお願いいたします。千葉大学の貞広でございます。私からは3点申し上げたいと思います。2点目と3点目は短く申し上げます。
まず、1点目につきましては、主な検討事項に関わるマル1とマル3についてでございます。先ほど諮問の御説明の中で、「タテとヨコ」ということが1つのキーワードとして出てきました。私自身は、これを教師の強み、専門性、得意分野などのヨコのバリエーションを広げつつ、タテの卓越性を伸ばすと。つまり、いろいろな強みや専門性を持っている人がいる中で、でも全体も底上げをしていくというヨコのバリエーションとタテの卓越性と理解をしました。
そのように考えたときに、例えば過去の私が行った研究でも、何か強みを持っていたりとか、得意分野を持っている方というのは、それをエンジンにして学び続け、成長していくことがわかっております。つまり、そういうものが成長のエンジンになっていくということです。従って、考え方の方向性は歓迎したいと思います。
ただ、そうしたときに多様性ということを想定すると、いわゆる教員養成課程の教育課程も含めまして、今までのように量と網羅性で質の保証をしていくという考え方のままでいいのかどうかという疑問が出てきます。もちろん共通に求められるものについては何らかの質保証の仕掛けというのは必要なんですけれども、もう少し柔軟で多様な学びを促進するような仕掛け、先ほど佐古先生がなかなか主体的な学びになりにくいとおっしゃったんですけれども、私も同様の問題意識を持っています。
例えば、総単位数の議論もさることながら、教職課程の必修の単位や科目を圧縮し、大学独自の取組を促進していくというような改革の方向性もあり得ると思います。特に教育課程養成部会における過去の主な意見の中に、教育現場における課題に応じた科目を充実させるべきという御意見がありましたけれども、こうしたところについては、大学が独自に機動的に目の前の学生の主体的な学びを見極めながら企画運営をしていくというやり方もあるかと思います。これが1点目です。
2点目は、主な検討事項のマル2に関わってです。教員の質を維持・向上させるための採用、特に研修の在り方についてですけれども、これは申し上げるまでもなく、学びたいと思っている先生方も心と時間のリソースがなければ学べません。各教育委員会や服務監督者の方々におかれましては、教員の心と時間の余裕を確保しないと職能開発ができないという不退転な思いでしっかりと働き方改革を進めていただきたいと思います。
3点目は、すみません、本当におまけみたいなことで、私ここに座っている立場、難しいですね。いわゆる教員養成をどうしていくかとか、教員の採用研修をどういうふうに考えていくかという俯瞰的な立場だけではなく、私自身が教員養成課程に身を置いておりますので、当事者的な目線でも見てしまいます。ということで、陳情の場じゃないんですけど、3点目にお願いがございまして、答申を待たず、かなり短期的に御検討いただきたいのが介護等体験の在り方です。ヨコのバリエーションもさることながら、大学院で教員免許を取ろうとするタテの卓越性を考えても介護等体験の存在というのが結構な足かせになっております。
もちろん、特別支援学校での経験や特別支援学級での経験というのは、今も重要性というのは失われていないと思いますけれども、福祉施設等での介護等体験はなかなか、我々はもとより、我々というよりも相手方の受け入れてくれる方々の御負担が大きくなっています。コロナ禍では別の代替的な学びで学生たちは同様の学びをしておりましたので、ぜひこれについては、短期的・機動的に御検討いただけないかと。すみません、当事者的な陳情的な発言で申し訳ありませんが、3点目は以上でございます。
【秋田部会長】 貞広委員、ありがとうございます。タテとヨコというところにつきまして、まさにヨコとしての強みやバリエーションを見ながらも、タテとしての卓越性を高めていくのに、今後、これまでの量と網羅性から具体的に質や大学独自の目の前の課題に対応した機動性を重視していく在り方。また、2つ目として、質の向上ということのためには心と時間のリソースをというお話、そのために働き方改革も一緒に考えていくこと。また、3点目としては、介護等体験についてということの見直しの必要性ということの御発言をいただきました。私も教員養成の教員として本当に実感を持って3点目は感じた次第でございます。ありがとうございます。
それでは、続きまして、松原委員、お願いをいたします。
【松原委員】 全国連合小学校長会の松原と申します。お時間をいただきまして、ありがとうございます。諮問の感想のようになってしまいますけれども、よろしくお願いいたします。
小学校の喫緊の課題は、やはり教員不足でございます。また、質の高い教職員集団を形成することは、教育への期待に応えるために重要だと考えております。まずは教員の数をしっかり確保して、同時進行にはなりますが、質の向上を図っていく必要があります。教員の数を確保するためには、小学校の教員免許を取得するための負担を軽減する必要があります。先日も小学校の教員に興味があるという大学生と話をしましたが、大学を卒業して、さらに通信で学ぶのは負担が大きいと漏らしていました。小学校の教員になりやすい仕組みと適切な質を確保するシステムが必要となります。教員免許制度の在り方や教職へ参入しやすくなるような制度の在り方には注目しているところです。
教員の質を向上させるためには、指導法の進化や新たな教育課題への対応が求められます。教員になる前に身につけておくべきことと、教員になってから身につけることの整理が必要です。また、現場の感覚では、教職大学院を修了していることと、教員として優秀なことは必ずしもイコールではありません。そういう意味で教職課程の在り方、教職大学院での指導の質の確保について議論を深めていければと思っております。
私どもの会長は、いつも学校を元気にということを言っておりますが、そのためには教員が自信を持って子供たちの前に立てるようでなければなりません。教員養成は環境整備に深く関わっておりますので、これからの審議、どうぞよろしくお願いいたします。
以上となります。
【秋田部会長】 ありがとうございます。松原委員から、小学校のお立場から小学校の教員養成に関しまして、確保しやすくなるための問題と質の向上の問題。そして、重要な点だと思いますが、養成や教職大学院の在り方とよい教員というものの関係というのは一体どうあったらいいのかということについての御提案もいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、山辺委員、お願いをいたします。
【山辺委員】 早稲田大学の山辺と申します。よろしくお願いいたします。ちょっと手を挙げている間にほかの委員の方々にもおっしゃっていただいた点があって、重なるところもあると思うんですけど、幾つか述べさせていただきます。
まず1点目というか、前提として、教員不足といった緊急の問題があるのはもちろん把握しているんですけれども、それでも特別免許状とか資格認定試験とかという制度を否定するわけではないですけど、やはり教員免許を持っている人たちを前提に、まずは、どうその先生方の力をより一層生かしていくのかということを考えるほうが先決かなと思っています。それが教師の質の保証ということにもつながってくるだろうと思っています。
ここでの議論が、高度専門性の議論とか、専門性の多様化の議論というのが、今いる先生方の専門性を軽く見るような議論になってはいけないということを強くまず思っているということを前提に幾つか話させていただきます。
具体的には、1つ目なんですけど、教員免許を持っているけれども、今企業で働いているとか、教職に就いていないという方たちもたくさん日本にはいらっしゃいます。そういう方たちに、まず、先生になっていただくことを検討するというのが、多分スムーズな採用の仕方なのかなと思っておりまして、そのためにはペーパードライバー研修のような簡単な、もう1回教職を考えてみませんかという、教員免許を大学院に入ってまた取るというよりは、もっと軽い研修で再度教職員を考えていただくようなシステムというのがあるといいのかなと思います。
もう一つは教職課程の話なんですけれども、貞広委員とか、ほかの委員もおっしゃっていたとおり、コアを縮小した上で、ここが共通の教員に必要なものだというのを縮小して考えた上で、各大学の裁量でそれぞれ、大学、あるいは学部の裁量でプラスして、より教職を魅力的に見せるような取組というのをしていくということが大事なのかなと思っています。それが恐らく、大分前になりますが、小原委員の御発言のところにもつながってきて、例えば工学部だったら、教育学の科目というのはカリキュラムに入りづらいと思うんですけど、魅力化のところで入れていただき、大学独自の科目として設定し、教職科目は凝縮するということで対応できるのかなと思っています。
これは、私はすごくこれまでのキャリアでも海外に留学する学生を多く指導してきましたので、そこを見てて思うんですけれども、日本の大学で教員免許を取ろうと思っていて海外留学も検討するというと、4年で卒業できないケースがほとんどだと思います。そこをスリム化することで、海外留学で海外の学校訪問とか、海外との教育実習というのも4年の中の、そういう経験を持った先生が教職に就くということを可能にするかなと思います。
さらに言えば、海外の教員養成課程との連携、単位互換というのも非常に難しい状況なので、そういったことも検討してどんどん、それこそ多様な専門性を持った人たちの養成というのが教員養成課程の中でもできるといいなと思っております。
3つ目に、教員養成課程を出ていない、教員免許を持っていない人たちの採用についてですけど、やはり働きながら、働き始めてからも正規の教員免許を取得できるように、これは松木委員とかもお話ししていたことにもつながるのかなと思いますけれども、働きながら教職大学院なりで教員免許の取得も進めていける、そういうシステムがあるといいなと思います。
以上です。
【秋田部会長】 山辺委員、どうもありがとうございます。さらに、今、免許を既に持っているけれども、まだ教員になっていらっしゃらない方へのアプローチであったり、それから教員養成としてコアに焦点を当てながらも、各大学の固有性を生かしていくような在り方、また、海外の大学の免許との互換性、そして、3つ目としては、働きながら免許が取れるような在り方に関連する御意見を賜りました。ありがとうございます。
それでは、この後、木村委員、甲斐委員、まだ御発言ない方も御発言のお手を順に挙げていただければ幸いです。
それでは、木村委員、お願いいたします。
【木村委員】 長崎大学の木村です。よろしくお願いいたします。
今回の議論においては、養成・採用・研修の当事者である大学、教育委員会、学校現場の声をはじめ、これからの学校教育の担い手となる大学生や高校生の声を大いに聞いていただきたいと思います。あわせて、その方策については、大学、教育委員会、学校現場に加えて企業等地域社会との連動を期待しています。
極めてささやかな例ではありますが、長崎県ではこれからの学校づくりにおいて管理職員の役割は大きいとの実感から、長崎大学と教育委員会で協力し、教職大学院の中に管理職養成コースというのをつくりました。これをつくっただけではなくて、修了生が引き続き現場に出ても教育実践研究の成果を報告し合う、または大学の講義に講師として参加する、さらには教育課程の編成等においても教育委員会と協力しています。。 なお、教育委員会は管理職養成コースのキャリアを尊重するという立場にも立ってくださっています。
採用においては、これからの地域社会の発展の担い手としての教師の育成という視点から、大学と県と企業等地域社会が協働して、中高生と大学の関わり、大学入学と教員採用の接続、また、大学の教育課程そのものが教職の魅力化につながるといったことについても深化に努めています。
加えてなんですが、長崎大学は総合大学なんですけれども、総合大学の強みというのは他学部を持っている。簡単に言うと、他学部の所属生が教員になるような仕組みというのを制度化していく、そこにも着手した次第です。一方で、そのような取組を進めていくと、それを促進・支援してくださるような施策を期待するのですが、それよりも何よりも、一体教職に欠かせない資質・能力の本質は何なのかというような部分で、その共通項を極める必要性を感じています。今回の審議では、これまでの委員の先生方のお話からもあるように、今、様々な入職ルートがありますが、欠かせない資質・能力というのは何なのかというあたりも鮮明になればいいなというようなことを考えています。
私からは以上です。
【秋田部会長】 木村委員、どうもありがとうございます。私が今まで復唱をし過ぎて時間を取ってしまいましたので、今後、順に指名をさせていただく形に変えさせていただきます。ありがとうございます。
それでは、続きまして、甲斐委員、お願いいたします。
【甲斐委員】 佐賀県の教育長をしております甲斐と申します。今回初めての参加です。
佐賀県の教員採用試験の状況から少し御説明をしますと、やはり本県も倍率というのは厳しい状況にございます。新卒の方については横ばいなんですけれども、やはり既卒の方のところが少なくなってきています。それでも、今年度は昨年度よりやや増加しました。6月に採用試験の早期実施というのを九州各県そろってやったんですけれども、その効果なのか、ここについてはもっと見ていきたいなと思っております。それから大学3年生のチャレンジ受験もやったんですけれども、かなりここ成績がよい結果が出ておりまして、早くから意思を固めていただくにはすごく手応えを感じているところです。
地元の大学とも本当によく、コンパクトの県で大学の数も少ないので、地元の大学とも本当によく連携させてもらっていまして、新卒の方は横ばいと言ったんですけれども、教員養成課程の学生さんというのはしっかり受けていただいているなと思っております。先ほどありましたように、他学部の学生さんにもぜひ受けていただきたいということで、今年は大学と協力してもらって理工学部のほうで説明会を、単位の取り方と併せて私どものほうから教員の魅力とか、実際の現場はこうですよとかというのを伝えていきました。こういった取組、アプローチを広げていきたいと思っています。
どうしてもやっぱり単位をたくさん取らないといけないから、最初から教員を諦める方もいらっしゃるんじゃないかと、単位の取りやすさが、環境が整えば、あとはこちらで教員の魅力ですとか、安心して働ける職場ですよというような環境も整えながらやっていきたいと思っております。
それから、私学の4年制大学、短期大学とも距離は近くございまして、短期大学の方、若くして教職に就かれるんですけれども、非常に熱心な方が多くて、現場では大変力になっていらっしゃると聞いております。採用された皆さんが同じように初めから多能ではないと思っていまして、小学校とか行かせていただきますと、日々の学び、いろいろ校時時間を工夫されまして、一斉下校や完全下校を早くして、そこで学ぶ時間とか、お互いにフォローし合える時間、保護者対応のフォローし合える時間とかを設けていらっしゃる学校がありまして、研修ももちろん大事ですが、こういった日々の学びというのも大事なのかなと思っています。自主的に教員の方々が、これをもっと深めてみようとかという環境ができている小学校を見てきましたので、すばらしいことだなと思っています。
教員の方々は皆さん、真面目でたくさんのことをいっぱい背負っていらっしゃるような気がしまして、これまで取り組んできたことを変えてみて、失敗してもいいんだよとかということを、もっと緩めていいんだよというようなことを我々はもっと言っていかなきゃいけないし、そういう働きかけをしていかなくてはいけないのかなというふうなことを感じております。
あともう1点、私ども社会人特別選考というのを特別免許状前提でやっているんですけれども、実はなかなか応募がないんです。もっと知らせていかなくてはいけないし、先ほどよく分からない、認知度が低いというお話もあったので、ここもしっかりやっていきたいし、もしかすると私ども地方ですと、移住施策と絡んでいろいろなことを考えていけるのかななんていうことを思っているところです。
あと、採用試験の一次選考の共同実施には期待をしております。今のところは「共通問題配付方式」をカスタマイズできるほうがいいのかなということを考えています。
以上でございます。
【秋田部会長】 甲斐委員、どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、森田委員、お願いをいたします。
【森田委員】 ありがとうございます。立命館大学の森田でございます。時間の関係もございますので、簡単に3点ほど述べさせていただきたいと思います。
教師の専門性が非常に多様化する中で、また、社会人の方の免許を取りやすくするなどの様々な側面から考えたときに、今の一種、二種、それから専修という免許の在り方が本当によいのかについては、やはり議論が必要であると思っておりますし、同時に、改めて教員免許状というものは何を担保するものなのかという議論も併せてしないといけないのではないかと考えているというのが1点目でございます。
それから2点目で、学習指導要領の改訂等もありますので、学校の変化に合わせて、先ほど御紹介がありましたようなコアカリキュラムの改正なり、それから教科の専門的事項の枠組みの見直し等も当然同時に考えていかないといけないと感じておりますが、その一方で、いわゆる大学が大きく改革していく時代といいますか、変わっていかざるを得ないような状況になっていますので、教員養成の中心を担っている大学の改革の議論の中にどう養成を位置づけていくのかという視点でも考えていかないといけないだろうと思います。
そこでは、単位の実質化とか評価の在り方等も含めて検討することは重要であると思いますが、例えば、大学が新しい学問領域にチャレンジするために神学部や新学科などを設置すればするほど、もしかすると教職課程が置きづらくなっていくのではないか、免許種とのずれが生じてしまうのではないか。それから、教師に求められる資質として最近議論されています、例えば心理とか福祉に強い教師の養成ということを考えるときにも、では福祉や心理を専門的にしている学部・学科でどの学校種・教科免許が出せるのかという議論点まで考えていくと、やはり今の制度というものを見直していかないと、冒頭の諮問の御説明にあったような持続的に教職課程を開設したり維持したりしていくこと自体難しくなってくるように思いますので、そういった視点からの検討も必要ではないかと思います。
最後になりますが、学び続ける教師や、力のある教師を育成していくために教職大学院の役割はますます高まっていくと思います。佐古委員からの御発言にも関連しますが、教職大学院で学部と比較すれば質の高い授業科目なり実習を行いながらも、実際に他校種・教科の免許を取ろうとするときには、学部レベルにもう一度戻って学部生と一緒の授業を受けなければならないという、そういったある種の矛盾のようなことも生じています。それから教職大学院の創設期に学部、新卒学生として学んだ学生たちは、既にミドルリーダーなりスクールリーダーの手前の世代となっていますから、教職大学院で学校マネジメントなどを学ぶことが必要な世代になっています。そうすると、一度教職大学院を出て入職した人たちが、再度マネジメントを学ぶために教職大学院に戻ってくることを考えたとき、教職大学院の履修の在り方はどうするべきなのかという課題が出てきていると思いますので、そういったことも含めた教職大学院のカリキュラムや、免許取得のための単位の在り方というところも検討が必要ではないかと考えております。
以上でございます。
【秋田部会長】 森田委員、どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、森山委員、お願いをいたします。
【森山委員】 玉川大学の森山です。私のほうから3点ぐらいになるんでしょうかね、ちょっとお話をしたいと思います。今さらでもないですけれども、いわゆる我が国は第二次世界大戦後に一貫して教員養成に関する基本的な原則とされている、いわゆる大学における養成と、それから開放制という、このことによって自ら学んでいく教師を育てていくということを、このときから少なくとも主眼としたものであったと思っています。そういう意味では、今回、まさに開放制の原則は、言い換えれば、ある面では実際においての広い意味でいけば多様性という言葉を相当やっぱりこの開放制の原則は、そのようにも理解できるのではないかと思いました。
そういうことの中から学校を見てみますと、学校も子供も多様化している状況の中で教師の側も、この諮問のテーマでもありますけれども、やはり多様な専門性を有する質の高い人材確保という仕組みを検討することの重要性というのは非常に現実的にも明らかだと思います。そういう意味で、教員にとって、先ほど森田委員のほうからもありましたけど、国家試験に相当するものが教員採用試験みたいなものですよね、例えばですね。だけども、教員の資質能力には少なくとも養成段階、あるいは採用段階とか、研修の3つの段階があるわけですけれども、その中で、例えば教員免許状の授与だけでは、当然教員の質保証というのが成り立ってはいないわけですよね、現実は。ですから、その辺りのところの非常に混沌とした明確に示せないようなところとか、はっきりと理解ができないようなところの要素もあります。とはいえ、養成段階としては、まずは教員免許状による質保証というのが大前提ですので、ここでの質保証というのはどの程度のものなのかということの議論をする必要があるんじゃないかというふうに一つ考えています。ここには当然、教職課程の課程認定基準というのが大きな要素となっているのも事実ですので、そこまで含めて検討する必要があるのではないかと思いました。
それからもう一つは、教員養成制度においては、やはりカリキュラムの改善というのが必要になってくるわけですけれども、先ほど以来、いろいろな委員からお話もありましたが、今の時代、これからの時代を踏まえた科目の精選とか、内容の精選がなされなければいけないと思いますが、その全体の中で、やはり理論と実践の往還、その結果として理論と実践の統合というか、そういう観点からの見直しを行う必要があるだろうし、それから全体的にはやはり学び続ける教師のいわゆる基礎基本的な基盤になるのが養成段階だと思います。ですから、そこにちゃんとつなげるような形のカリキュラムの検討の場合は、その2つのことは少なくとも大前提として置きながら検討する必要があるのではないかと思いました。
あと3点目、最後ですけれども、専修免許状の制度とか、あるいはもっと広く言えば、大学院のいわゆる修士課程とか博士課程においての学びをもう少し教員養成というところに関わって積極的にこれを進められるような、そういう仕組みをつくっていただくのがよろしいんじゃないかなと思いました。総じて全てのことを言えば、新たな令和の多様性の実現というか、そういうことの一つがそういう位置づけになるのではないかというふうに今回の諮問を読ませていただいて感じたところです。
以上です。
【秋田部会長】 森山委員、どうもありがとうございます。
大変、私の不手際でございますが、あと5人、御発言をいただく予定でございますので、申し訳ありませんが、お一人様一、二分ということでお願いしたいと思います。
岡本幾子委員、お願いをいたします。
【岡本(幾)委員】 私からは2点ほどで、1点目は、制度の根本に立ち返った検討というところで話題にも上がっておりました免許制度の在り方に関連して入職ルートの多様化を推進していくということに異論はございません。
また、教職課程の単位の見直しを行い免許取得のハードルを下げることに関して、質保証をしっかりと考えていくことが絶対に必要であると申し上げたいと思います。
それと、入職後のフォローアップの仕組みづくりについて、教員研修という形だと一律になるので、これを個々の教師の資質のレベルによってのフォローアップしていく、きめ細やかな研修が必要になると考えております。
2点目は、学び直しに関してです。現在、教員免許を持っていらっしゃらない方が教職大学院で免許を取得するというようなご意見が出ております。これに関しましては、教員養成大学や教職大学院におけるリスキリング、あるいはリカレント教育といった、新たな任務として、教員養成大学、あるいは教育学部が担うというのがより現実的だと考えます。
学び直しではキャリアアップにつながるプログラムを開講する。もっと具体的に申しますと、科目等履修生制度の充実、例えばマイクロクレデンシャルによる学びですとか、大学間の単位互換というような具体的な方策を考えつつ、学び直しが実現しやすいということに関して、質を保ちながら在職のまま受講を容易にする制度を確立していく必要があるのではないかと考えております。
【秋田部会長】 岡本委員、どうもありがとうございます。
続きまして、岡本潤子委員、お願いをいたします。
【岡本(潤)委員】 千葉幼稚園の岡本でございます。遅れて参加、失礼いたしました。
幼稚園の先生と言いますと、子供がなりたい仕事のランキングでは上位に上がっていた職業でございますけれども、先日来、養成校の先生方ともお話ししながら、幼稚園教諭が不足しているのではなくて、幼稚園教諭になりたい人が不足しているのではないかということで、私自身もこの仕事がすばらしい、すてきだということを日々言いつつ、それを仕事として過ごしておる一人でございます。諮問を読ませていただき質が高いということ、これは幼稚園の組織でもいろいろ、何をもって質とするか。教員ということの質や幼稚園という少し小学校以上とは違う中で私は保護者の方に、「皆さんは、お子さんにどんな先生に担任をしてもらいたいですか」というアンケートを取ったことがございます。様々な項目を入れたつもりではございますが、おうちの方の答えは、人間性豊かな先生に我が子を持ってもらいたいと、それが最も多い意見でございました。
そこで教員たちを人間性豊かな先生に育て上げねばならないという意識を持ちながら過ごしております。また、私ども教員は音声言語をよく使って仕事をしております。学業だけではなく生活そのもの、そして人としてということを育てるに当たっては、音声言語が必要にもかかわらず、現代が音声言語を使わずとも生きていける時代になっておりますので、その辺りのことも考えることが必要ではないかなと。先日も中学校の先生と、先生になりたい理由の一つに子供が好きということが挙げられますが、今、子供をめぐってネガティブな意見が多い中で、それをポジティブに伝えていくことや、言葉を豊かにしながら子供たちと関わるということを養成、そして養成が終わって教員として研修を積むときにも常に心がけている一人として、この会議の中でもいろいろ御発言させていただきたいなと日々思っております。
以上でございます。
【秋田部会長】 岡本潤子委員、ありがとうございます。
それでは、続きまして、國分委員、お願いいたします。
【國分委員】 國分でございます。教員養成を担う国立大学の立場として、諮問内容の1点目について主に述べさせていただきます。
現在の教員不足の現状を踏まえ、そうした中で令和の日本型学校教育を担う、より意欲的で高度な教師人材を確保するためには教職課程、そして教員免許の在り方について柔軟な対応も考えていく必要があるかというふうに思います。
まず、教員免許取得に係る学生の負担軽減を図りつつ、質の保証を担保する方策としてはフラッグシップ大学の取組を生かすということで、フラッグシップ大学では二種免許状を基準として、一種免許状との差分、20単位程度について新しい教職科目の開発を行っているところでございますが、それを参照いたしまして、教員免許状の標準を二種免許状相当とした上で、フラッグシップ大学で開発される教職科目を4単位から8単位程度入れていくというようなことを学部の教職課程で行い、さらなる質の保証、より高い専門性は教職大学院で担保するような仕組みが考えられると思っております。
さらに、安定的な教師人材の確保、それは特に地方において深刻な課題だと思いますが、少子化、18歳人口の減少が進む中で、大学の教職課程を国公私の枠を超えて連携、一体となって教師人材の育成を進めることが必要になってくると思っております。単位互換や連携教職課程といった仕組みを利用しながら、地域地域の教育委員会のニーズに応じて、また、地域教員希望枠などの事業も活用して地域に求められる教師人材を確保していく。その中において、国立の教員養成系大学・学部は他の公私立大学と連携し、中心的な役割を担っていくことが求められているかと思っております。その負託には応えていきたいと思っております。
以上でございます。
【秋田部会長】 國分委員、どうもありがとうございます。
それでは、白水委員、お願いをいたします。
【白水委員】 国研の白水と申します。今回の裾野を広げて質を下げないという改革はジレンマをはらんだ難しいものかと思います。この実現のためには、関係の皆様の知恵と力というのを総動員していく必要がある。そんなふうに考えたときに、今後の議論の進め方として、よくフューチャー・デザインというような言い方をしますけれども、今ある課題や制度からの、フォアキャストで考えていくだけではなくて、実現したい未来のイメージからバックキャストして、どんなことができるかを考えていく道筋もあるかなと考えております。実現したい学校像、実現したいその中での教職員の集団のイメージ、その中で学び続ける姿を考えながら採用ですとか養成の在り方を、ちょっと無責任かもしれませんけれども、提案してみる、そういうイメージから始めていくということもやれるとよいかなと思いました。
以上です。
【秋田部会長】 白水委員、ありがとうございます。
それでは、最後になりましたけれども、真島委員、お待たせいたしました。よろしくお願いします。
【真島委員】 お願いします。私は、国立大学の教員養成に所属している関係上、2点、その立場からお話をさせていただきたいと思います。
1点目は、4年間をかけて教員になりたい、あるいは教職を支援する専門職になりたいというモチベーションを持った学生、それが教育大学のほうには入試を経て入学してきます。その学生の多様性をいかに、多様な専門性をいかに確保するかというのが喫緊の課題であると考えております。先ほど青海委員のほうからも、諮問の中で同じ背景、経験、知識・技能を持った均一な集団ではなくという文言に対する批判的な指摘がございましたが、国立大学の教員養成も全体を通して均質性であると見られるのであれば、それは制度的な疲労の問題であって、つまり、これまでの免許の在り方等を含めて、ある種の均一性を求め過ぎてはいないか。
つまり、今、本学で128単位を卒業要件としているんですけれども、それをクリアしないと卒業できない。つまり、教員免許としてはそういったものが必要だといったときに、それを取るだけで精いっぱい。つまり、自分の目指したい教師像とか、強みを生かした自分の特性とか、強みを生かしたこんな教師になりたいという視点から自らがカリキュラムをデザインしていき、自らがなりたい教員像になるという教員養成大学としての在り方で本学が教育大学として質保証しているのかといったところの、そういったところが非常に課題になっているのではないかと考えております。
そういった意味では、本学全体としては強みのある、専門性のある教員を育てていますが、そうではなく、今度は個人個人、個別最適と言われて、あと協働的な学びを言われていますけれども、学生自身が自らの特性が何なのか、その強みをどう生かしたいのか、それを4年間の中で比較的柔軟な形で取得してカリキュラムをデザインしていける、そういう教育大学にしていくことが多様な専門性のある教員を輩出できるのではないか。
つまり、うちの場合は、1回社会科というところに入ったら、社会科の教師になるためのシステム、理科の教科をやりたいと思ったら理科の教師、あるいは音楽の専門性を取りたい、音楽という一つの専門性というところの制度的な課題。そこに、もちろん本学では特別支援とか、外国人の日本語支援ができる教員、教科横断的な学びができる教員というものをプラスアルファで取れるような仕組みにはなっていますけど、もっともっと柔軟に自分の特性や学年次に応じて、いろいろな教員の在り方というのは経験や学年に応じて変わってくる。そのときにどれだけ変わり得る自分の特性や自分の経験値に応じて、よりよい目指したい教員像に近づけるかというカリキュラムを国立大学の中でも目指していける。そういったシステムの在り方、そしてそれがきちんと採用の段階、そして研修の段階でインセンティブとして働くように、4年間学んだことが無駄にならないような、そういった仕組みも必要ではないかなと思います。
2点目が大学の教員の質保証です。教員養成大学に必要な教員の資質とは何なのか。大学教員として、一般的な大学教員ではなく、教員を養成する大学として、どのような大学教員が質を担保するべきなのか。どんな幅広い知識や技能、そういった専門性、自分の強みプラス、今のこのような中教審の答申をどれだけ理解できて、それをもってして大学教育に当たれるか。そういったところはファカルティ・ディベロップメントも必要なんですけれども、そういった大学教員をどのように育成していくのかというところも非常に重要な課題になります。それが国公私立大学を含めた大学間連携の中でより豊かにそれを育んでいけるかといったところが非常に重要な課題になってくるのではないかなと思います。
以上です。
【秋田部会長】 真島委員、どうもありがとうございます。
皆様、数々の視点から貴重な御発言をありがとうございました。今回頂戴しました御意見につきましては、今後、個別の論点について議論していく際に参考にして生かしていきたいと思います。
それでは、議事2がございます。議事2は非公開の議事となりますため、事務局より先に御連絡をお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 事務局でございます。議事2につきましては、課程認定に関する事項の審議となりますため、教員養成部会運営規則第6条に基づきまして、非公開の議事とさせていただきます。
本日配付しております参考資料でございますが、3点ございます。参考資料1、特別免許状の授与及び活用等に係る指針の改訂を踏まえたフォローアップ調査の結果について、参考資料2、令和6年度(令和5年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施要綱について、参考資料3、国立の教員養成大学・学部及び国私立の教職大学院の就職状況等の調査について、その3つにつきましては、配付をもって御報告とさせていただきます。
最後でございますけれども、次回の教員養成部会の日程でございますが、こちらにつきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、議事2に入ります。教員養成部会運営規則に基づきまして、非公表の議事となっておりますので、ライブ配信のほうはこちらで終了とさせていただきます。
―― 了 ――