中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第145回)議事録

1.日時

令和6年12月6日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

3F2会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 今後議論すべき論点について
  2. 公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正について
  3. 令和6年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査について
  4. その他

4.議事録

【秋田部会長】 定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第145回教員養成部会を開催いたします。
それでは、まず事務局から会議の開催方法と資料について説明をお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 事務局でございます。文部科学省の貝原と申します。よろしくお願いします。会議の進め方につきまして、確認させていただきます。
本会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信しております。Zoomのチャット機能について、傍聴者が閲覧することはできませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただきますよう、お願いいたします。
また、委員の交代がありましたので、御連絡いたします。本日は御欠席されておりますが、10月30日付けで全国都道府県教育委員会連合会会長に坂本雅彦、東京都教育委員会教育長が就任されたことにより、当部会の委員となりましたので、お知らせいたします。
また、本日は前回の部会での皆様の御意見を受けまして、議論の更なる深掘のために、教員養成フラッグシップ大学4大学の方々と、神戸親和女子大学長、東京学芸大学理事の松田様から御説明を伺う予定でございます。それぞれ御紹介いたします。
東京学芸大学副学長、小嶋茂稔様。
【小嶋副学長】 小嶋でございます。
【貝原改革推進係長】 よろしくお願いします。
福井大学教育学部長、澁谷政子様。
【澁谷教育学部長】 よろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 大阪教育大学理事、峯明秀様。
【峯理事】 よろしくお願いします。
【貝原改革推進係長】 兵庫教育大学理事・副学長、吉水裕也様。
【吉水理事】 よろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 神戸親和女子大学学長、東京学芸大学理事、松田恵示様。
【松田理事】 よろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 また、教員養成フラッグシップ大学の御説明がありますので、教員養成フラッグシップ大学推進委員会委員の皆様にも御出席いただいております。それぞれ御紹介いたします。
国士舘大学体育学部教授、北神正行様。
【北神委員】 どうぞよろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 独立行政法人大学入試センター理事長、山口宏樹様。
【山口委員】 よろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 株式会社キャリアリンク代表取締役、若江眞紀様。
【若江委員】 よろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 事務局からは以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございました。浜委員におかれましては、教員養成部会への御尽力、誠にありがとうございました。心より感謝、御礼を申し上げます。また、御多忙のところ、小嶋様をはじめ、当部会での御説明について御対応いただきまして、誠にありがとうございます。教員養成フラッグシップ大学推進委員会の委員の皆様におかれましても、御多忙のところ、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
それでは、本日の議事について申し上げます。議事は議事次第にお示ししている3つになります。それでは、まず議事1、「今後議論すべき論点について」に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】 教員免許・研修企画室長の石川でございます。本日の議事ですけれども、今後議論すべき論点となってございまして、この議事につきましては前回も設定した議事であったことから、前回ありました主な意見について紹介をさせていただきます。
まず1番、総論、全体的なことに関してですけれども、次期学習指導要領に向けてカリキュラムが変わる中で、教師がどうあるべきか。現行の免許制度の在り方でよいのか。令和4年12月の答申以降、様々な取組が進んできたが、制度の根本に立ち返って改めて抜本的に考える時期に来ているのではないか。次期学習指導要領に向けた議論が始まるに当たり、その議論と連携しながら、教師の質と量を確保するための養成・採用・研修の在り方について、制度の根本に立ち返って検討すべき、のような意見がございました。
教職課程の在り方については、まず教職課程の見直しに関しまして、学習指導要領改訂に合わせて、コアカリキュラムや教科の専門的事項の区分の見直しが必要。教員養成フラッグシップ大学の成果を明らかにし、好事例を発信していくべきなどの意見がございました。
教員免許制度の在り方に関しては、教師人材の裾野を一層拡大していくため、免許取得のハードルを下げることも視野に、幅広い学部・学科の優秀な学生に1人でも多く教壇を目指してもらいたいという意見や、18歳人口の減少、採用者の減少を見据え、教員養成の仕組みをどうしていくか、イメージをきちんと持っておくことが必要。今後、地方において複数の学校種を行き来することが想定される。また、特別支援学級や通級指導にも対応できるよう、特別支援の知識も必要になる。こうした観点から、複数の免許状を持つことが重要である。教師に求められる資質能力は多様化。そうした中、教科をベースにした免許でよいのか。一種免許状から単位の積み上げを前提とした専修免許状でよいのか。二種、一種、専修という免許の在り方がよいのか。現代課題に対応するに当たって見直しが必要であるといった意見がありました。
地域の教師人材の確保に関しては、地方の教師の成り手不足は深刻。地域枠事業が始まったが、当該事業を行っている大学だけでなく地域全体の取組に拡大していくことが重要。地方の国立教員養成系大学が、近隣の他の大学へ免許科目の提供ができるような制度設計をしていくべきといった意見がございました。
多様な専門性や背景を有する社会人等の教職への参入促進に関しては、特別免許状の活用等による外部専門人材の活用を、引き続き推進していくことが必要。改めて制度や審査基準、プロセス等の周知が重要。今般のアスリート入職支援はオリンピアン等を任用する場合に加配措置が行われ、現状の人員体制にプラスして専門人材を活用できるという点で高く評価している。多様な教職員集団の形成・高度化に向けて、特別免許状の活用は推進すべき。技術革新が急速に進む中、現下の教育課題に対して現状の教職員集団では不十分。民間の力を活用していくべきではないか。例えば国から認証を受けた民間団体が本採用の前の選考や配置後の研修を担い、2年間の配置研修の後、二種免許状相当を与える仕組みを導入してはどうかといった御意見がございました。
教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方について、採用段階の方策に関しては、教員採用選考の共同実施により、教師に求められる資質能力について、その問題の質や手法によって明確化していくことができるのではないか。採用倍率の低下が質の低下につながっているのか、教師の質をどうモニタリングしていくか工夫が必要。出身地、学歴、キャリア等を分析することも重要といった意見がございました。
研修段階の方策に関しては、研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励について、進捗状況の検証・再点検が必要。子供の学力テストの点数等の数値化できるものだけでは、教師の質を評価することはできない。かつてすばらしいとされた授業が今もすばらしいとは限らない。教師には教育課題や学習環境の変化を踏まえて、常に探求する姿勢が求められ、研修という場を含め、学び続けているという事実が重要である。生涯学び続ける教師を育成する観点から、学部4年間で育成するのではなく、専門職としての現職教師が学びやすいサポートが必要などの意見がございました。
学校管理職のマネジメント力に関しては、大量採用に伴い若い教師の割合が増えている中、これらの教師が近い将来、学校経営・運営の中核を担うことを鑑み、教師の資質能力が一層問われてくると認識。校長になってからではなく、中堅段階から高度専門職としてスキルアップを進めることが必要。今後、教師が多様化していく中、管理職のマネジメント力は重要。教師としての経験だけでは経営が難しい。管理職となるに当たって、それを応援できるような手順を担保することが必要といった意見がございました。
教職大学院での学び直し・指導の質の向上に関しては、令和6年8月の答申では教師を学びの専門職として位置づけた。学び続けるに当たって、教職大学院での学び直しはますます重要になってくる。他方、学校現場が教職大学院への派遣を出し渋る傾向もあり、自治体側に派遣のインセンティブを与えることを視野に入れてもよい。教職大学院の学びの内容について、現場の実践ばかりで新たな気づきを与える学びにつながっていないのではないか。また、学びの多様化を想定した場合、博士課程との接続も視野に入れる必要があるのではないか。教職大学院における実務家教員の養成が必要。また、教職大学院の上に博士課程を置くことは難しくなっているが、博士号も取れるような環境整備が必要。教師自ら主体的に目標を設定し、振り返りながら能力育成を行うと共に、教職大学院のみならず、養成段階も含めた教職生活を通じた学びにおいて、理論と実践の往還の実現が急務などの意見があったところでございます。
私からの説明は以上です。
【秋田部会長】 御説明を、どうもありがとうございました。
本日は、先般の議論に加えまして、教員養成の在り方自体を変革していくために、新たな授業科目を開設するなど先駆的な取組を行っている教員養成フラッグシップ大学より、各大学が開設している授業科目などについて、御説明をお願いいたします。その前に、事務局より教員養成フラッグシップ大学の概要について、御説明をお願いいたします。4大学それぞれに順番に御説明をいただいた後、意見交換の時間を設けておりますので、委員の皆様は御発言をお願いします。
これから4大学に、それぞれ順番に御説明をいただきますが、意見交換の時間をその後に設けておりますので、委員の皆様は御発言をお願いいたします。また、本日は教員養成フラッグシップ大学推進委員会の皆様におかれましても、何かお気づきの点がございましたら、御発言をお願いいたします。
では、事務局より御説明をお願いいたします。
【小倉教員養成企画室長】 教員養成企画室の小倉でございます。事務局より、教員養成フラッグシップ大学について、簡単に御紹介します。
資料の1-2を御覧ください。冒頭1ポツ目にありますように、教員養成フラッグシップ大学の役割ですが、令和の日本型学校教育を担う教師の育成を先導し、教員養成の在り方自体の変革を牽引する役割を果たす大学について、文部科学大臣が大学を指定する制度となっております。2ポツにありますように、現在、指定大学は御覧の4つでございます。3ポツ、制度上の特例でございますが、指定大学につきましては免許状取得のための免許法令上の特例規定がございまして、こちらは専修・一種免許状の授与における必要単位数について、指定大学が加える科目の単位を充てることが可能という特例が設けられております。4ポツ目、制度改善に向けた具体的な取組ですが、教員養成フラッグシップ大学推進委員会と共に、大学において新しい取組をしているところでございます。5番、スケジュールでございますが、現在、中間評価を迎える令和6年度の3年目になってございます。
次のページを御覧ください。こちらは特例のイメージでございまして、2ページ目は小学校、3ページ目は中学校となっておりますが、このように指定大学が加える科目ということで、独自設定科目を加えられることが制度上の特例となってございます。
事務局からの説明は以上でございます。
【秋田部会長】 御説明を、どうもありがとうございます。
では、まず兵庫教育大学の御説明をお願いいたします。その後に、大阪教育大学、福井大学、東京学芸大学の順に御説明をお願いいたします。それでは、兵庫教育大学の吉水理事、御説明お願いいたします。
【吉水理事】 それでは、自律した学習者を育てる教師の養成プログラム、TEX、兵庫教育大学でございます。今回のフラッグシップ大学事業は、コンピューターに例えるならOSが変わるくらいの、教職課程カリキュラムの大改革と捉えております。ですから、授業科目という個々のアプリの開発だけではなく、本学では教員養成スタンダードというOSの入替えと、統合型アプリであるカリキュラムの開発が重要で、それらに基づいて個々の授業科目であるアプリの開発を行っております。
これが本学の取組の全体像です。特に下半分にある、42機関で構成される産官学連携組織(コンソーシアム)をつくり、科目開発等はこの組織を中心にアジャイル型で展開しています。この事業を始めるに当たり、我々が考える教員養成プログラムのよりどころとなる教員養成スタンダードのつくり直しをまず行いました。我々が目指す教師像は、学び続ける教師で変わっていません。自律した学習者を育てるために学び続けてもらいたいということです。一番下の2行で、本学での学修をスタートラインにして、生涯にわたって継続的に自己の専門性を高め続けていける、そんな力、これを我々はCPD(Continuing Professional Development)と定義して、目指す教師像を提示しています。
CPDをコンセプトにしたため、これまでのスタンダードでは指標と位置づけていたスタンダード項目を「教職基盤」という概念に置き換え、19設定しました。さらに、それらを幾つかにまとめ、AからDを常に働かせる教職基盤、EからGを場面や状況に応じて働かせる教職基盤と整理しました。これらの教職基盤を働かせることができるように、大学が提供する授業のみならず、学びのコミュニティを学内外に求めて経験からの学び方を学ぶなど、省察的な学びのサイクルを形成し、問いを持ち、課題を設定できる力などを身に付け、学生自身が徐々に自律することを確認しつつ、教員養成から入職後の教職人生につないでいきます。
スタンダードで目指す教師像や教職基盤等に基づいてカリキュラムポリシーを策定し直し、5つの科目群を設定し、そのうち中央の2つの科目群にフラッグシップの科目を位置づけています。フラッグシップで新設した科目は教師の連携協働、インクルージョン、学習観・授業観の転換、EdTech、教育データサイエンス、STEAM教育の6テーマ、13科目21単位分、全て必修です。これらを1から3年次に配置しています。
学習指導系のカリキュラムの構成です。1・2年次には授業づくりの基礎・基本となる従来のコアカリを満たす科目群を配置し、その後、学習観・授業観転換科目、ICT・情報データ利活用科目、STEAM教育科目など、フラッグシップで開発した科目を配置しています。並行して、学校観察実習やフレンドシップ実習を履修します。また、学習観転換科目と関連づけ、今回フラッグシップ科目以外で新設した、初等教科授業デザイン科目(各1単位)を5科目以上選択必修とし、主に2年次後半から3年次にかけて履修します。3年次以降は、学びの個性化・専門性の向上につながる多様な選択科目、専門科目を配置しています。実習は初等基礎実習とリフレクションが対応します。4年次では、中等基礎実習に加え、小中高いずれかで学校教育応用実習を選択で受講でき、CPDへの方向づけとして教職実践演習を受講します。
現行の教職科目から減ずる科目です。21単位分を現行教職科目から減じております。表を御覧ください。教科及び教科の指導法に関する科目では、初等教科教育法10科目20単位必修にしていたものを、10科目11単位必修にしています。英語はコアカリが違いますので変更していませんが、ほかは全て1単位科目にしました。それから、初等教科内容科目は現行各1単位10科目必修ですが、6科目以上の選択必修として、ここで13単位減。
以下、2つの科目群ではほぼ全ての科目を2単位科目から2つを1単位科目、例えば教育基礎論は教育基礎論Ⅰと教育基礎論Ⅱに分割し、Ⅰをコアカリを満たす必修科目、Ⅱを選択科目としました。
教育の基礎的理解に関する科目では、教育基礎論と教育史、各1単位にして選択必修、教職原論は1単位必修、教育社会学と教育制度論、各1単位科目にして選択必修、発達心理学と教育心理学も同様に各1単位選択必修、全体で4単位減です。道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目は、教育方法論、総合的な学習の時間の理論と実践、教育相談論、特別活動論を各1単位科目にして4単位減。このように合計21単位分を削減しました。
本学ではカリキュラム全体をスタンダードとの対応関係で見直し、フラッグシップ科目以外にも新設した科目があります。例えば自律した学習者を育てる教師としての素地となる、自身の自律的な学習について、教職基盤に基づいて深める「教職基探究」、教科の指導法の時間減との兼ね合いで、附属小学校での3年次基礎実習にスムーズに導入できるよう、事前事後指導とは別に設定した「小学校授業づくり入門」、先ほども説明した選択必修の科目で学習観転換科目を受講した後に、「初等教科授業デザイン」を5単位以上選択必修で、主に2年次の後半から3年次にかけて履修します。
試行実践での授業評価はおおむね良好です。4件法でほとんどの試行実践が3点台後半の高い評価となっています。
最後に具体的内容です。これはSTEAM教育演習ですが、3Dプリンター、レーザー加工機などデジタルファブリケーションを備えたSTEAMLabを学内及び附属学校に整備し、企業等と連携しながらフィールドワークやワークショップを実施しつつ、PBL型で授業を展開しています。その成果については、論文の形でも報告しておりますので、ぜひ御覧いただければと思います。
以上、簡単ですが、報告でございます。
【秋田部会長】 御説明をどうもありがとうございました。
それでは、続きまして大阪教育大学、峯理事、御説明をお願いいたします。
【峯理事】 大阪教育大学の峯明秀です。教員養成フラッグシップ大学としての本学の取組について説明いたします。
大阪教育大学の取組全体の目標を示す資料です。本日は、改革全体の説明は省きますが、大学はダイバーシティ大阪の諸課題に応え、学習者の学びに寄り添う教師の育成をテーマとして改革を進めており、「問い続け、寄り添える教師」を育てる教職プログラムを開発し、その全国展開と組織連携を担う拠点となることを目指し、産官学連携の様々な取組を進めています。
本学の新カリキュラムの全体像です。ダイバーシティの観点に基づく三層省察型カリキュラムと名を付しています。ピンクの部分がフラッグシップの制度を用いて開設した科目になります。まず1年次科目として黒い4つの部分、ダイバーシティ教育科目群を土台に据えました。本学が大阪で力を入れて取り組んでいた多様な社会、多様な子供たちへの対応は、これからの時代の教育に必要な基礎知識ということで、1年次で学びます。2年次以降、それらの多様な知識を学校現場でどう生かしていくかの方法論の面から4色の部分、特例4領域科目で新しい時代の教育法、教育技術を学びます。そして、同時並行でそれらの理論と青色の実習科目をつなぐため、4年間を通して省察活動を体系的に繰り返し行います。三層の省察という仕組みを習得することで、卒業後、学校現場に出た際に、自らの活動、学校の教育活動に対して常に振り返り、問い続けながら、子供たちに寄り添える教師になれると考えています。
特例制度を用いた教育課程について御説明いたします。左の列、教職課程の科目区分に分けて、従来の小学校、中学校、高等学校の各一種免許状における免許法上の必要単位数と、令和6年度以降の特例制度を用いた教職課程での必要単位数を比較した表です。本学では青色の部分で小学校、中学校、高等学校共通してフラッグシップ指定科目を新たに10から12単位加え、その一方で、オレンジ色の枠の部分で単位を減ずるという仕組みになります。教科及び教科の指導法に関する科目を中心に圧縮しています。義務教育特例枠により、教育実習を小学校と中学校で共通開設しています。
小中高に共通した教職科目の説明は後で行うとして、まず教科及び教科に関する指導法の対応について、校種を分けて説明します。具体的には、小学校一種免許状の教育課程では、オレンジ枠の教科及び教科の指導法に関する科目が従来、本学のカリキュラムでは教科専門の科目を18単位、教科指導に関わる科目を20単位、計38単位を必要単位としていました。免許法上の必要単位数は30単位ですので本学が独自に多く開設していましたが、令和6年度より各2単位から各1単位の科目にして計20単位に減じました。
その理由と考え方ですが、まず教科の専門については引き続き免許法施行規則に定める10教科に対応する科目の開設数を維持して、小学校教員に必要な内容を精選することにより、単位数を減じることができることとしました。また、教科指導法科目についても内容を精選すると共に、新設した4科目において学習指導案や模擬授業について取扱い、さらに新しい時代に対応した指導法を学ぶことができるようにしました。
中学校免許の教育課程については、教科のフラッグシップ科目を新たに追加する一方で、オレンジ枠の教科専門の科目を理科教育コースの場合、免許法上の必要単位数は一般的、包括的内容を含んだ上で20単位から12単位まで減じました。なお、コースの専門教育の卒業要件としては12単位を含む32単位としており、教科の学びを保障しています。高等学校についても同様に、理科教育コースの場合、教科専門科目の免許法上の必要単位数を20単位から12単位に減じました。
また、小中高に共通して黄色部分、教職に関する科目も本学では4単位減としています。ここは免許法上、免許施行規則の区分に応じて1単位科目を中心として開設し、教職課程コアカリキュラムに沿って内容を精選しました。科目を減じる代わりに、新たに2つの授業科目を開設し、次世代の教員に必要な省察力を身に付けながら、教職を理解できる科目としています。なお、今回、小中高共に必修の単位数全体を削減しました。教員養成におけるカリキュラムオーバーロードや複数免許取得促進などの観点を踏まえ、効果的、効率的なカリキュラムづくりを進めています。
減じる科目について、これまで実施した科目のアンケート結果を掲載しています。6教科の小学校、教科専門科目及び教職科目の受講生アンケートの結果からは、授業内容への理解、また新しい知識・技能を得られたかどうか、そして質問や意見を述べる機会があったかどうかについても、「そう思う」「ややそう思う」の肯定的回答が9割前後の結果が得られています。
新たに開設した科目の受講生アンケートです。前期3科目分のアンケート結果ですが、授業形態に対する満足度、また授業内容への理解について、肯定的回答が9割を超える結果となっています。
新たに加えるフラッグシップ特例科目の目標と概要を掲載しています。このページは1年次科目です。2年次科目については次年度、令和7年前期からの実施が予定されています。
最後に、フラッグシップ指定科目の開発に当たっては、産官学連携の取組を授業に反映することで、新しい時代に対応する教員養成を進めようとしています。例えば、特別支援教育のバーチャルスクール教材を開発し、授業で活用する試みをしています。また、他大学で活用いただくことを見据えて、サイトでの公開を進めています。大阪の教育課題は全国の教育課題解決に資するという考えの下、本学の取組成果については、できることから全国に広げていきたいと考えています。
説明は以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 峯理事、御説明をどうもありがとうございました。
それでは、続きまして福井大学、澁谷教育学部長、御説明をお願いいたします。
【澁谷教育学部長】 それでは、福井大学でございます。「教職課程を最適化し高度化するリエゾン型学びのネットワークへ」ということで説明させていただきます。
福井大学のフラッグシップの取組は、学部と教職大学院の双方向から地域と共に教員養成、教師教育の高度化に取り組む点が大きな特徴ですが、今回は学部の取組とその基本デザインに絞って説明いたします。カリキュラム改革を行うに当たり重点を置いたタスクをスライド左にまとめました。特に福井大学で従来から強みのある、3、理論と実践の往還、4、地域との協働、5、教職大学院の学びとの相似構造を有機的につなぎ、構造化することを狙いました。
一方、2のミニマムな単位数への再構成はチャレンジでありました。特に多数のコアカリキュラムを59単位内に配置する、どう配置するかの問題です。現在、第3、4欄に14の項目、129の到達目標が設定されています。今回、この構造に従い、1単位科目を複数設定せざるを得ませんでしたが、時間数減の上、これらの目標を個別の授業の1回1回で潰していくような考え方では、必要最低限の学びを担保することすら危うくなり、カリキュラムの高度化というタスクを果たせません。さらに付け加えるならば、コアカリキュラムの細分化は客観的知識の習得を一つ一つばらばらに積み重ねる学習スタイルと安易に結びつきやすく、さらにそのような学習スタイルが法令上正しいとするような見解に結びつくリスクもあります。今後、時代の要請の中で浮上する新たな課題に対応していくことが必要であるのに対し、現行のコアカリキュラム方式は硬直化に傾きやすいようにも思っております。
こうした問題を解決する方策として必然かつ有効な解であると我々が考えているのが、地域の実践コミュニティに参画しながら省察的に学ぶ、リエゾン型学びのネットワークというデザインです。時間数を減じながらも関連のある事項同士の多重的な架橋、つまりリエゾンを設計し、複数の学習内容、多様な学習の場、理論と実践の間のtrans-actionalな学びのプロセスの中で、学生がフィードバックを繰り返しながらコンピテンシーを高めていくことを狙います。これまでは学生自身に個々の科目間の関連づけや転移を任せていたと言えますが、リエゾンの仕掛けをカリキュラムとして確実に設計し、コンパクトなカリキュラムで学びの高度化を目指します。
この基本デザインに基づいたカリキュラムの具体の概要を説明いたします。福井大学教育学部の新カリキュラムは令和6年度から本格実施をいたしました。フラッグ特例により減じたのがこの薄紫の欄です。特徴は第2欄の教科に関する科目については極力維持したという点です。これは、県教委や地域の学校からの、教科の力のある教員を育ててほしいという要望も踏まえたものですが、教職科目の方がリエゾンを活用して時間数を比較的圧縮しやすいという判断をしたためです。生み出した差分を使い、フラッグ科目、黄色ですが、小で7単位を、中高で5単位を必修としました。
その結果、第3欄、4欄では2単位科目の多くを1単位に切り詰めますが、しかしリエゾン科目を設定しています。枠外に連携科目として囲って示しました。教職科目同士のリエゾンについては次ページで説明します。第4欄の総合的な学習の時間は、地域の子供たちとの学びの実践を行う協働学習支援プロジェクトⅠと同じ時間割コマに設定し、理論的な学びの回と実践企画や振り返りの回を組み合わせて進行します。また、学校や家庭に赴き、気掛かりな子供を年間を通して支援する心理発達支援プロジェクトⅠは、教育相談の理論と方法、生徒指導論を同じ時間割コマに組み合わせて進行します。
このように、教職科目をリエゾンにより有機的に連携させ、効率的に学習することで、2年生までに基礎力の育成をおおよそ終え、3年生からは自分の目指す教員像に沿って特別支援免許、あるいは複数の中高免許などの履修プログラムを選択するという設計を行っています。なお、他学部の展開については時間の関係で割愛しますが、特例の二重適用ができないという現状では、フラッグシップカリキュラムを他学部へ展開することは困難だと思います。よりフレキシブルな制度設計が望ましいと考えます。
福井大学の教職の学びのリエゾンの核となるのが、ここにお示しする6科目のリエゾンプラットフォームです。具体的には金曜日2限に4学年が一堂に会し、異学年チームを組んで協働学習を進めます。その際、各学年には異なる学習目標が設定されます。また、学年別の学習機会も設定します。例えば、1年生は上級生の教育実習の体験を参考にしながら、教職入門のテキストを読解する。上級生は下級生の発表に対して、自分の体験に照らしてファシリテートし、自分の1・2年生での学びを振り返り深めるというサイクルの中で、trans-actionとしての学びの具体化をモデル化しています。
そして、フラッグシップ科目の4科目も単独で完結するものではなく、多様な場で実践的な学習の中でコンピテンシーを高めていく機能を担います。ここではフラッグシップ科目同士、あるいはフラッグシップ科目と教職科目のリエゾンを図示しましたが、STEAM・総合探究では教科横断的な教材開発を進める中で、各教科領域の専門的事項の学びとの架橋も加わります。全てを実践に集約していくのではなく、個々の科目での知識・技能の深まりも担保するというバランスを、いかにとっていけるかが重要な課題です。
地方国立大学教員養成学部としては、地域の教員養成、教育委員会との協力関係は必須であり強みでもあります。これを活用した嶺南地域教育プログラムを令和4年度から稼働しています。地域のニーズに応えるだけではなく、市町教育委員会、学校と共に授業を運営していくことにより、大学と地域が共に教員を育てるコミュニティを編み、学生が安心して職業として学校教員を選ぶことへの支援へつなげます。
多様なエージェンシーのネットワークによるコミュニティの醸成は、嶺南プログラムに関わらず福井大学全体としての重要な戦略です。これについては、教職大学院が重要な牽引役となります。学部において新しい学習観を身に付け、意欲を持って学校に入っても、学校現場が旧態依然では改革は進みません。こうした様々なエージェントの、リエゾンによる教師教育のエコシステム構築が、今後のフェーズとして鍵となるだろうと考えます。
以上で終わります。
【秋田部会長】 御説明を、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして東京学芸大学、小嶋副学長、御説明をお願いいたします。
【小嶋副学長】 小嶋でございます。それでは私から、フラッグシップ大学の東京学芸大学での取組につきましての御説明をさせていただきたいと思います。
本学では、フラッグシップ大学としてどのようなテーマで臨むかということにつきまして学内で検討いたしました結果、今スライドの頭のほうに出ておりますが、「子供と教師が共に新たな社会を創造していく学校教育の実現」という考え方の下に、対子供、それから教師自身として目指させたい人材像というものを設定いたしまして、それに伴って、右側のほうにございますが、1から6までの資質能力をフラッグシップ大学として伸ばしていくという考え方の下に、令和5年度の入学生から今お示ししているようなマップに基づくカリキュラムをつくりまして、現在2年目で動いているところでございます。
こちらの左下のほうに大きく括ってございます教育創成科目という科目群を、今回のカリキュラム改訂でフラッグシップ大学の特例を活用させていただくことに併せて、設定をいたしました。後ほど詳細に御説明をさせていただきますが、こちらの教育創成科目には1単位科目としておよそ50科目の、本学として開発した新たな科目を開設しているところでございます。なお、そのうちの5科目が特例を使わせていただく科目として、カリキュラム上は位置づけていると御理解いただければと思います。
併せて今回のカリキュラム改訂では、上のほうにございますが、自律型カリキュラムデザインということで、学生自身がこの教育創成科目群の科目をどのように学ぶかを、学生自身にデザインさせ、その中で学生一人一人がどのような教師を目指していくかということを考えさせる。そのような取組と組み合わせて、フラッグシップ大学の特例を活用させていただいているということでございます。
たまたまフラッグシップの申請と本学がそれ以前から進めておりました令和5年度カリキュラム改訂が重なりました関係上、令和5年度カリキュラム改訂に当たっては、教育創成科目を履修させることに伴いまして、既設の科目を大分スリム化いたしました。それに伴って、いわゆる単位の実質化と併せて、より効率的に自主的な学習が実現できるようにデザインしたものでございます。前のカリキュラムと特例も活用させていただく新しいカリキュラムの数的バランスは、こちらの表で御確認いただければと思います。
本学がフラッグシップ特例を活用させていただく科目を含んで、新たに開発いたしました教育創成科目の内容でございますけれども、本学の考える、また目標とする人材像やこれからの教師に必要な資質能力に分類される科目群でございまして、詳細につきましてはまた後ほど表にしてございますので、御覧いただけるかと思います。この科目は学校教育にフォーカスするⅠ群科目と、学校内外でも様々な教育課題に関わるⅡ群科目とに分けて履修させることとしております。
今画面に出ておりますのが、教育創成科目の中で必修科目として学生に履修を求めているものでございます。「社会に開かれた探求と創造の学びのデザイン」、「学びを支えるファシリテーションの技法」、「教師のレジリエンスと自己管理能力の育成、教師のためのデータサイエンス」、「チーム学校と多職種協働」ということで、こちらにつきましては2年生から3年生にかけて履修をするということで、現在、既に「教育のためのデータサイエンス」は実施済みでございまして、3年生を対象としているものにつきましても現在、試行的に履修を希望する学生に履修してもらって、アンケートなどで効果を測定しているところでございます。
自律型カリキュラムデザインでございますが、これは私どもが狙っている、つまり学生自身が与えられたカリキュラムをそのまま受け入れて教師になるのではなくて、自分だけのカリキュラムをつくっていけるようにする。そういうようなことで、このような仕組みを取り入れたということでございます。
改めて、教育創成科目の中の構造を御確認いただきたいと思います。冒頭で申し上げました本学がフラッグシップ大学として目指す人材像と、フラッグシップ大学として学生に身に付けさせたい資質能力ごとに、必修科目を配置してございます。赤字になっているものが先ほど御紹介した必修科目でございますが、必修科目ごとに様々な選択科目を用意してございます。これらの選択科目は主に1年生・2年生に履修することとなってございますので、先ほどの自律型カリキュラムデザインの取組の中で、入学間もない時点から、学生一人一人がどのような教師を目指すのかということに基づいて選択科目を選択させていく、そのような構造で運用しているということでございます。それを図示したものがこちらでございますので、御確認ください。
その後、自律型カリキュラムデザインの中で、教育実習も来年からそれに基づいて新たな取組で始まっていくところでございますが、現在私どもで手応えを感じておりますのが、この「自己創造のための教育体験活動」ということでございます。つまり、学生は当初想定していた教師に対するイメージが、この「自己創造のための教育体験活動」を通してさらに変化をしたり深めたりということで、当初考えていた選択科目の選択が変わっていくというようなことを、私どもは把握をしているところでございます。ということで、「自己創造のための教育体験活動」につきましてはこのような内容でございますので、こちらを御確認いただければと思います。こちらも既に説明した内容の確認でございますので省略させていただきます。
とにかく私どもが手応えを感じておりますのは、自律型カリキュラムデザインを取り入れたことで、学生が自律的に、自らが目指す教師に向かって学びを深めているということでございまして、例えば現在の2年生でございますが、ある学生から聞き取りをいたしましたときは、入学時は漠然としていたのだけれども、自己分析を深めたり、他専攻の学生と議論をしたりしていくような過程で、様々な環境における子供たちに対応できる教師になっていきたいということや、「自己創造のための教育体験活動」を通して、選択しようと思っていた教育創成科目を修正して、学びを深めているということが確認できているところでございます。時間がございませんので、あと2人の事例についてはお手元の資料で後ほど御確認をいただければと思います。
フラッグシップ大学の特例を活用することによって減じる科目についてでございますが、本学では小学校の教職課程におきまして、従来の教科専門の科目を1単位化いたしまして、そこの5単位分に特例科目を充てるということで対応しておりましたが、来年度の入学生からは幼稚園・中学校・高等学校においても、特例の5科目を教科または領域に関する専門的事項の内容を精選することと併せて、特例が適用できるように現在、手続を進めているところでございます。
少し早口になりまして、分かりにくかったかもしれませんが、以上で本学からの説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【秋田部会長】 説明を、どうもありがとうございました。4大学の皆様、御報告を、ありがとうございます。
では、ここから25分程度の意見の交換の時間とさせていただきます。各大学への質問等でも問題ございませんので、挙手をいただきまして、御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。どうぞ。
ありがとうございます。それでは松田委員、お願いをいたします。
【松田委員】 ありがとうございます。兵庫教育大学の発表について御質問させていただきたいと思っております。
学び続ける教師という考え方に大いに共感いたしました。カリキュラムを明確に設計し、教員候補者が学び続けられるように支援することは重要だと思いますけれども、教職に就いた後も教師自身が主体的な学習者として探求心を持ち続けて、挑戦し続ける姿勢を育むことも不可欠だと感じました。本日御説明いただいた教職基盤探究は、こうした主体的な学習者としての基礎を築く上で有意義な取組だと思いました。一方で、全体的に整えられたカリキュラムに基づいて学びを深めさせるという要素が強いようにも感じて、学校現場に入ってからの継続的な自己研鑽であったり、試行錯誤をより促す仕掛けが求められているようにも感じましたが、ここで幾つか教えていただきたいと思っております。
1点目が、学習者の学習能力を育む仕掛け、カリキュラム以外で何かあればお教えいただければと思っております。例えば、教師自らが授業であったり指導法をビデオで撮影してそれを振り返っていったり、メンターとの振り返り会があったり、リフレクティブプラクティスと言われるものがあるのかどうか、あとはメンタリングやコーチング体制とか、学生同僚のコミュニティの形成がどうなっているのかです。
2点目について、学習能力を評価する仕組みがあれば、ぜひともお教えいただきたいと思っております。
3点目が、教職に就いてからも主体的に学び続け、挑戦し続けられる教員を育むための、何か適性要素とか条件があれば、その知見をぜひとも共有いただきたいと思っております。
最後に、受講者による評判であったりフィードバック、現状集まっているものがあればお教えください。特に今集まっている改善に向けたフィードバックがあれば、ぜひともお教えいただければと思っております。
以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
松田委員から兵庫教育大学の吉水理事への御質問だったと思いますので、吉水理事、お願いをいたします。
【吉水理事】 御質問、ありがとうございます。4点、御質問いただいたかと思います。1点目、学習者の学習能力をつくっていくような仕掛けということについてです。今日御覧いただいたスライドの4枚目のところにスタンダードの仕組みを記載しておりますけれども、その右側のほうに教員養成スタンダードの枠組みというところから上に矢印が上がっていくところがございます。この中に学びのコミュニティというような用語もございますけれども、本学は多分日本で一番たくさん現職教員の方が大学院で学んでいらっしゃる大学だと思っています。その現職教員の方ですとか附属の先生ですとか、そういった方々との学びのコミュニティを意図的にいろいろなところで仕掛けていくというようなこと、特に3年次、4年次になってきましたら、ゼミの中なんかでも現職教員の院生さんたちと一緒に触れ合う機会みたいなものができてくるということです。そんなことを大学の中で、授業科目として提供しているところ以外のところでも仕掛けて、学びのコミュニティをつくっていくというようなことを、これまでもできてきたかと思っているのですけれども、これを継続したいというところが1点目です。
それから2点目ですけれども、能力を評価するような仕掛けということなのですが、1年次から4年次にかけて、度々リフレクションのミーティングをするようなことを設定しております。その中で、我々はこれまでのスタンダードでもTSSという、ティーチャーズ・スタンダードベースド・スコアという、自分がどの程度、科目を履修しているかということと、その科目の中でどれくらいの評価をもらっているか、成績ですね、こういったものに基づいて領域ごとに自分がどれくらいできているか、それから全体の平均と比べてどれぐらいの位置にいるかということが可視化できるような数値を採用しております。
それが、今回のフラッグシップの授業に関しましては、1年次なんかなかなか取っている科目も少ないわけですから分からないので、2年次の後半くらいからTSSという数値を活用しながら、自分の能力がどれくらい付いてきたかということを見ようということを考えています。
3点目のところが、今うまくお答えすることができないと思いまして、少し考えさせていただければと思っております。
それから授業評価ですけれども、特に先ほど御覧いただきました授業評価の結果、おおむねよい評判をもらっていると思うのですけれども、特にデータサイエンス系の科目に関しましては令和4年度もほかの科目に比べて低いです。大体3.5以上あるのですが3.2とか、その次の年、改善してやっても3.5をちょっと超えるぐらいという形になっておりまして、この辺りは教育学部に入ってくる学生さん、特に本学の場合は入学試験も理系の方が有利な試験を今まではやっておりませんでしたので、そういったところからするとやや難しいということで、この辺りは改善の余地があると思っております。すみません、そんなところでと思います。
【松田委員】 最後に定性的なところで何かコメントとかがあれば。点数は御提示いただいているんですけれども、もし生の声として何か集まっているものがあれば共有いただけないでしょうか。
【吉水理事】 今年度実施した科目につきましては授業評価の結果がまだ出ていないのですけれども、授業の中での学生さんたちの声は集まってきております。中身につきましてはおおむね好評な評価をいただいているのですけれども、特にグループワークなんかを中心にした科目になっていますので、そういったところでは割と充実したような中身になっているのではないかという評価をもらっております。ただ、学内外といろいろ連携しないといけないようなところなんかについては、まだまだ改善の余地があると思っております。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、続きまして高橋委員、お願いをいたします。
【高橋委員】修正なし(最後に削除) ありがとうございます。これまでの主な意見や各大学の教員養成フラッグシップ大学の御発表を聞きまして、コメントをさせていただきたいと思っております。
私、昨年度、4つのフラッグシップ大学を実際に見学させていただきまして、各大学訪問しますと大学ごとに学生の特徴というか特性というか、興味も非常に異なる部分がございまして、そういった意味では地域の持っている課題とかもありますので、教員養成に関するカリキュラムが柔軟であるということは一つ、重要な観点だというふうには感じたところです。ただ一方で、実際に教職課程に関わるいろいろな審査というか、申請を拝見させていただきますと、必ずしも教職の理念をしっかり理解して教職課程を設置しようと考えている大学ばかりではないのではないかと思うところがあります。そういった意味で、コアカリに対する批判もございましたけれども、一定程度の質保証としてのコアカリみたいなことも、非常に私は重要な観点ではないかと思います。柔軟であり、かつ少ししっかり基準を守っていくというか、底抜けがないようにしていくみたいな、こういったバランスが重要だと思っています。
全体を通しての方向感として、私、兵庫教育大学の御発表で、統合的なアプリみたいな例え方をしていただいているところに非常に興味を持ちました。多分、どういう認識かというのはお互い理解が違うかもしれませんが、私自身は近年のちょっとした我々の生活の中の歴史を考えても、例えば30年ぐらい前、20年ぐらい前は駅にチョークで書く伝言板があってそれで待ち合わせをしていて、それが携帯電話に統合されて、その携帯電話すらスマートフォンに統合されていくという歴史を考えると、基本的にはだんだんより汎用的なものに統合されていくという、こういう歴史を繰り返していますので、統合とか汎用って言葉は一つキーワードで、そういった意味では各大学のカリキュラムがある意味統合的になって発展していくということが、一つの形として見えているのではないかと思っています。
基本的に今の業務や学習指導というのは非同期で分散、でも協働みたいな、ある意味矛盾したものを上手に包摂するようなデジタル技術というものが生まれていて、だからこそ多様な働き手が多様に働ける。学校の先生もフルスペックで、フルで働くだけではなくて、自分が働きたいときに、働けるときに働けるみたいな、そういうような多様な働き方をこういうデジタルみたいなもので認めていくことが、結局、多様な子供の多様なニーズを満たしていくことになるのではないかと思っています。そういった意味では、私は、GIGAスクール構想でかなり最新のクラウド技術が導入されていますので、教員養成の基盤とする環境としてGIGAと同じ環境が教員養成の中で積極的に使われていく。それがそのまま現場でも役に立っていくのではないかと感じるところです。
私からは以上です。
【秋田部会長】 高橋委員、どうもありがとうございます。
それでは、続きまして荒瀬委員、その後、白水委員と進めたいと思います。荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。荒瀬でございます。4大学のそれぞれの御説明、ありがとうございました。もっといろいろと時間をかけてお聞きしたいと思うような中身ばかりで、大変心強く感じた次第です。それぞれの取組、授業の質をしっかりと担保していただいて、教職に就いた後、本当に例えば学び続ける教員であるとか、あるいは様々な課題に対してしっかりと取り組んでいくということ。また、その学び方について学生本位という感じもとても強く受けたところであります。当然のことながら時代はどんどん変わっていくし、社会は複雑化していくし、その中でどういった学びが必要かということで、非常に工夫をしていただいて取り組んでいただいて、また省察をして改善をしていただいているというところで、さっきも申しましたように非常に心強く感じたところです。
そこで、ちょっと感覚的な質問になってしまうかもしれないんですけれども、それぞれの大学にお尋ねしたいと思いましたのは、こういった取組をしていかれる中で、これまでと違って教員志望が増えたという感じをお持ちなのかどうか、これは、ですから具体に数字には出てこない、データには出てこないと思うんですけれども、やり取りをしておられて、そこのところは非常に先生方も気になさって取り組んでいらっしゃることかと思います。その辺りのことについて、簡単で結構です、簡単に御説明くださいというのは非常に失礼な言い方かもしれませんが、お気づきのところを御紹介いただけると大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、各大学に簡潔に、教職志望者の件について御回答いただければと思います。ではまず、最初に兵庫教育大学の吉水理事から、いかがでしょうか。
【吉水理事】 荒瀬先生、御質問ありがとうございます。なかなか難しい御質問なのですけども、本学はこれまでもほとんどの学生が教職志望であったということです。これは減ってはいないと捉えております。特にカリキュラムとか科目をつくっていくということだけではなくて、併せて教育実習の改善なんかもこの間、取り組んできております。それで、実習に行ってより教職に就きたいという学生が増えているのではないかと思っております。以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして大阪教育大学の峯理事、いかがでございますでしょうか。
【峯理事】 フラッグシップの効果そのものとしては、今始まったばかりですので、具体的には出ていないですけれども、ただ昨日もそうなんですが教員の1年次からの深い関わりが教職に就くことを誘うという、つまり教員養成に関わる先生方が1年次の入学時点からアウトプットの卒業まで非常に手厚く関わっている姿が、実は教員に向けていく、教職への魅力を高めているということが分かりました。それからもう一つは自治体さんが3年次からの採用というのを早めてきましたので、この効果が今出てきているということも伺っております。以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして福井大学の澁谷学部長、いかがでございますでしょうか。
【澁谷教育学部長】 御質問、ありがとうございます。私どもも今年度、本格実施なので、カリキュラムの効果と言えるかどうか分かりませんが、ただフラッグシップに取り組むことで高校生に対する、うちは教員養成、こうやって頑張りますというようなことを今まで以上にアピールすることで、入学生が教員になろうと、この時代でも思って入ってきてくれるという傾向がちょっと強まっているということで、減ってはいないですし、今年度、おかげさまで増えているかと思います。それから、今大阪教育大学さんと同じように、福井県も3年次の一次前倒しがありまして、それでかなり学生がやる気になって教職に向かっているという現状があると思います。以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして東京学芸大学の小嶋副学長、いかがでしょうか。
【小嶋副学長】 東京学芸大学の資料の9枚目にございます教育創成科目のリストの中には、ちょっと手違いがあって入っていないのですが、私が担当しております「現代の学校教育をめぐる諸課題と教育行政」という、これは東京都教育委員会様と連携して進めている授業があるのですが、今年度、1単位分が終わったところで幾つかアンケートを取りましたところ、授業を受ける前よりは受けた後の方が、教員志望度が高くなったという学生の比率が、向上していることが見て取れております。また、東京都で教員になりたいという気持ちが高まったという比率も高くなっておりまして、1科目の事例だけではございますが、こういう取組が学生にも伝わって、従来のカリキュラムよりは一人一人の学生の教職へのモチベーションは向上しているのではないかと、希望的観測の部分もございますけれども、そのように受け止めているところでございます。
【秋田部会長】 誠にありがとうございました。
それでは、続いて白水委員にお願いをいたしますが、このディスカッションは11時15分までで終わりたいと思いますので、意見がある方はお早めにお手を挙げてください。白水委員、お願いをいたします。
【白水委員】 今日は発表ありがとうございました。教員養成フラッグシップの推進臨時委員を引き受けている関係で、後半に向けて2点ほど、こんなことができるといいのではないかというお話をしたいと思います。
1点目は非常に、今日もあったんですけれども、いろいろなところで考えの違いがお互いの大学にあるときに、それを坦懐に話し合っていけるといいのではないか。例えば今日、福井大学からは各単位をばらにすることによって到達目標をしらみ潰しにしてしまうような、教員養成の高度化につながらない学びになってしまうのではないかということに対して、東京学芸大学様の1科目50単位というのをどんなふうに捉えられるか。逆に福井大学様に対して学芸大学様は、カリキュラムは与えられるのではなくて自分でつくっていくのが大事だというのに対して、福井大学のやり方ではまさに与えられたものになるのではないかという、本当に印象的な違いでございました。
こういうものをしっかり議論していく、腹を割って話し合っていくことによって、その先に、もう1点としては実際に子供たちがカリキュラムを与えられたと思っていても、案外自分でつくっていく余地があったりとか、あるいは子供たちが単発の授業を取っているように見えても、自分たちなりにいろいろなとこに関連を付けているという可能性もあると考えますと、今日各大学がお出しになったカリキュラムのモデル図みたいなものの中に、一人一人の学生がこういう科目の中で、半年間で何を学んで、ほかの科目とその学期に何をつなげて、あるいは教育実践現場の体験とどんなふうにつなげていったか、こういうデータがそれぞれの大学で充実して入ってくることによって、私たちはカリキュラムが与えられるか自分でつくっていくか、あるいは単位というのをばらばらにせずに連関させていくのがいいか、いろいろなものがバラエティ豊かに取れるようになっていくのがいいのかという、単純な2項対立ではないところにカリキュラムデザインをつくっていく、そんな原理が見えていくのではないかと感じました。
ということで、意見を求めるとちょっと言いにくいかもしれないところですので、感想とさせていただきます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 よろしいでしょうか。それでは、今のは御意見ということですので各大学にお尋ねはしませんが、大変重要な点を指摘をいただきました。学生が、教員側が準備したカリキュラムではなく、それを学生自身が新たな科目等を含めどうつなげていったのかというような、学生の視点からの連携やリエゾンはどうだったのかというところが重要かと思います。
それでは、ほかにもしフラッグシップの委員で今回、御参加いただいている委員の方でも御意見がありましたら、お願いをいたします。
特にはございませんか。よろしければ、これでちょうど時間で25分経っておりますので、このセッションにつきましてはこれで終了とさせていただきたいと思います。教員養成フラッグシップ大学の御担当者様及び教員養成フラッグシップ大学推進委員会の委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございました。この後は引き続き御参加いただいても、御退席いただいても問題ございません。
次に社会人の教職への参入の促進につきまして、社会人向け教職プログラムに携わっていらっしゃる親和女子大学の学長であり、東京学芸大学の理事の松田先生より御説明をいただきます。先ほど同様、まずは事務局より、自治体における社会人の教師への入職促進策など、社会人が教師になるための取組について、御説明をお願いいたします。その後、松田先生より御説明をいただいた後、意見交換の時間を設けておりますので、委員の皆様は御発言をお願いいたしたいと存じます。
それでは、事務局からお願いをいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 ありがとうございます。教育人材政策課課長補佐の柴田と申します。それでは、まず事務局から社会人の方の教師への入職促進ということで、実際の例でございますとか制度について御説明を差し上げます。
資料1-7の1ページでございますけれども、まずは各自治体における社会人の教師への入職促進策ということで、御説明を差し上げます。上に2つポツございますけれども、1つ目に書かれているように社会人の特別選考でございますけれども、現在、68自治体中59自治体、令和4年度の実施の結果でございますけれども、実施されているところでございます。以下のように、免許取得まで例えば猶予期間を設けて、社会人等を対象とした特別な選考を実施されたりですとか、社会人から入職する方に対する研修を実施している例があるところでございます。
まずは東京都の事例、左側でございますけれども、社会人特例選考ということで、25歳以上の方で教職以外の民間企業等も含む社会人経験が2年以上ある方が受験可能という選考がございます。仮に免許がない場合でございましても、必要な免許状を選考合格後2年以内に取得できる見込みの方は受験が可能になってございまして、その場合は免許取得後に採用になるところでございます。加えて、東京様におかれましては社会人等を対象とした任用前講座というものもやってございまして、いわゆるペーパーティーチャーの方でございますとか、ほかの職に就くなど教育現場から離れてしまった方を対象に、任用前に学び直しができる講習を開催されているところでございます。
右でございますけれども、こちらは埼玉県様における施策でございます。こちらもセカンドキャリア特別選考という名称で、民間企業等における本採用職員としての勤務経験、これは選考前年度まで通算で5年以上有した方が対象という選考をされてございます。こちらも東京都様同様、免許がない場合でも2年以内で取得できる見込みの方が受験可能となってございます。埼玉県様におかれましては、セカンドキャリア向けの教員採用説明会ということで、他業種からの転職を考えている方ですとか、育児・介護等で離職したが教員の仕事にまた興味のある方を対象に、説明会をされるところでございます。東京都様、埼玉県様以外においても、同様の取組が全国でなされているところでございます。
おめくりいただきまして、2ページでございます。こちらからは制度の御説明となります。まずは特別免許状についてということでございます。委員の先生方は御案内のところも多いかもしれませんけれども、特別免許状という制度の目的・概要でございますが、教員免許状を持たない、だけれども優れた知識経験を有する社会人の方などを教員として迎えることにより、学校教育の多様化への対応でございますとか、その活性化を図るために、授与権者、都道府県教育委員会が行う教育職員検定により、学校種及び教科ごとに授与する教諭の免許状というものが特別免許状でございます。
担当する教科等については資料のとおりでございますけれども、授与を受けた都道府県のみにおいて有効というところが少し特徴となっております。授与の手続ですとか授与要件でございますけれども、手続としましては任用しようとする者、都道府県でありますとか指定都市教育委員会、学校法人等の推薦がありまして、先ほど申し上げた都道府県教育委員会が行う教育職員検定というものの合格が必要となってございます。授与要件といたしましては、担当する教科に専門的な知識経験、または技能があること。また、社会的信望、熱意と識見を持っているということになってございます。
授与件数でございますけれども、下に表がありますけれども、直近の令和4年度の数字につきましては合計で500件という授与件数になってございます。事例といたしましては、例えば外国語の英語のALT、英会話講師、通訳といった職歴を持った方が外国語、英語の特別免許を授与されたりという例が幾つかございます。また、表のとおり各種、教科に対して特別免許状が発行されているところでございます。
また、おめくりいただきまして、3ページでございます。特別非常勤講師制度ということでございます。こちらの制度ですけれども、目的・概要といたしましては、地域の人材や多様な専門分野の社会人を学校現場に迎え受けることにより、学校教育の多様化への対応でございますとか、その活性を図るために、教育免許を有しない非常勤講師を登用し、教科の領域の一部を担任させることができるという制度になってございます。担当する教科でございますけれども、基本的に学校における全教科でありますとか外国語活動、道徳、総合的な学習、探求も含みますけれども、の領域の一部でありますとか、小学校のクラブ活動といったところを担当することができることになってございます。手続・要件でございますけれども、任命及び雇用とする者から授与権者、こちらもまた都道府県教育委員会でございますけれども、届出が必要となってございます。こちらは平成10年にもともと許可制だったものから届出制に変更されているものでございます。届出件数でございますけれども、またこちらも直近、令和4年度の数字でございますが、およそ1万9,000件程度という届出が出されてございます。
事例といたしましては表のとおりでございますけれども、例えば医学・看護・保健でありますとか、先ほどもありました外国語でありますとか、家庭科教育というところが例として挙がっておりまして、ほかにも表にあるような例の非常勤講師がとられているところでございます。
最後に4ページでございます。こちらは先ほどと少しまだ毛並みも違いますけれども、教員資格認定試験というもの概要でございます。こちらは大学などで教職課程を取らなかった方で、教育者としてふさわしい資質を身につけ、教職を志すに至った方に対して、教職への道を開くということを目的として創設された試験でございます。本試験に合格された方は、免許の管理者である都道府県教育委員会に申請することによって、教諭の普通免許状が授与されることになってございます。その下、制度の経緯でございますけれども、昭和39年度に創設されたものでございまして、当初は高等学校の教員資格試験で創設されてございます。
その後、制度の改変が幾つかございまして、直近ですと令和6年度でございますが、もともとあった特別支援学校の教員資格認定試験を休止したんですけれども、一方で高等学校教育、教員の資格認定試験、こちらは情報に関して再開をしたというところになってございます。現行の実施種目でございますけれども3つございまして、幼稚園の教員資格認定試験、二種免許状になりますけれども、その試験。小学校の教員資格認定試験、こちらも合格すれば二種免許状が授与されるところでございます。最後に高等学校教員資格認定試験、こちらは一種免許状しかございませんので、一種免許状の情報というものが、申請すれば授与されるということでございます。
受験者ですけれども、直近の令和5年度の数字でございますが、小学校においては出願者が大体1,000名程度、合格者が191名でございまして、合格率が約22%となってございます。
駆け足ではございますけれども、資料1-7の説明につきましては以上でございます。
【秋田部会長】 御説明をどうもありがとうございました。
それでは、松田先生、御説明をお願いいたします。
【松田理事】 それでは、松田です。どうぞよろしくお願いいたします。資料に基づいて御報告させていただきます。
大学と民間と教育委員会が連携いたしまして、免許の取得、非取得に関わらず、ある教育プログラムの実施を通して、ニーズに応じて社会人が教職に入職するという仕組みづくりに、ここ4年ほど取り組んでまいりました。本日はその取組について、少し御報告をさせていただければと思います。
当初3年間は文科省から補助金をいただきまして、まずプロトタイプというものをつくってまいりました。本年度からは自主財源と受益者負担という形で進めているところでございます。繰り返しますけれども、目的といたしましては、教員養成においてもリカレント教育を通じまして社会人からの転職・就職による即戦力の人材を輩出したいということで、特に学校現場では40歳代の就労者の方が少ないという現状がございますので、年齢構成のバランスということも何がしかの形でプラスになるようにというような趣旨で始めたものでございます。
この事業の実施体制といたしまして、4者が連携をしているんですけれども、これが右下にある図になりますが、少し拡大させていただきますと、大学としては東京学芸大学、神戸親和大学が連携いたしまして、そこに民間のTeach For JAPANさんが、これは古くから社会人の入職ということに関して御事業を展開されていらっしゃいまして、そこに教育委員会が加わって行っているというような状態でございます。
事業の趣旨といたしましては、通常社会人の方が教職に入職される際には一旦通信制、あるいは先ほど御紹介のありました資格認定試験等で免許を取得した上で、採用試験を受けられて入職するなど、現状はいろいろ工夫がされているということも今御紹介ありましたけれども、そうしますとどうしても数年以上、社会人の側から見ますと入職のために時間がかかるということがあって、ところが現場では即時的に非常に人材が不足しているというような状態を課題として持っていますので、何がしかの形でそれを解消したいというようなところで動いております。そのために、就労途中といいますか、社会人が在職中にあるプログラムを受講していただくことで、機会に応じて特別免許、あるいは臨時免許等を用いて入職をしていただき、その過程においても、その後においても学びを続けていただいて、言わば免許取得と就職というものが直線型ではなくて循環型で動くような仕組みを、基本的には考えようとしているところでございます。
少し詳しくそれぞれの立場の組織が担っているものを御説明させていただきますと、資料の左の真ん中に希望されている社会人の方がいらっしゃって、まず大学やTeach For JAPANさんが連携し開講する講座を受講していただき、その講座の一部はその後の神戸親和大学の通信教育の履修単位としても認定をすることができるような仕組みで勉強していただき、そしてニーズに応じて特別免許、あるいは臨時免許等を用いて学校現場へ先行して入っていただきながら、その後、通信教育をさらに続けていただいて、正規免許を取得していただくというような、そういう仕組みづくりでございます。教育プログラムの修了生は、非常勤、常勤教諭、両方ですけれども、教員になられる方もいらっしゃいます。また教育支援職という形で学校に関わられるという方も、現状ではいらっしゃるところでございます。
本年度の具体的な様子を若干御紹介させていただきます。9月から、現在も含めて1月30日までの間でほぼ、145時間ということなんですけれども、後ほど授業科目を御紹介いたしますが、大体大学の単位換算でいきますと14単位分ぐらいの学習をしていただくという仕組みになってございます。下にプログラム構成がありますが、少し拡大いたします。内容といたしましては講義と実習、そして演習という3区分で行っておりまして、まず講義は下の表に書いてございますような内容を学習していただいております。
講義に関しましては、例えば子供と家庭・学校・地域という講義ですと、通常の大学の講義よりはパッケージングされたものといいますか、必要なものを現場の目線からチョイスしまして、構成し直しているところがございまして、特に管理職を御経験されました実務家教員の先生を中心にご担当いただいているところでございます。また、教育・教育支援基礎という授業におきましては、チーム学校とか連携協働が進む現在の学校において、多様なステークホルダーや関わられるスタッフがいらっしゃいますので、そういう方々の立場からできるだけ専門家の方に来ていただいて、御一緒に討議をするというような授業になってございます。
また、総合演習におきましては幾つかのテーマ別の部門を設けまして、選択の上で各自がレポートをして発表し合うというような、総合学習がオンライン上で進むというような形で執り行っているものでございます。とりわけ社会人の受講になってございますので、一定の学習のしやすさということには配慮しているところなんですけれども、特に実習系のものが免許取得のための実習というのではございませんので、東京都と神戸市の教育委員会に御協力をいただきながら進めていますが、こちらで参加が難しいという受講生の方もよくいらっしゃいますので、そういうときに、オンラインで実施するというプログラムを少し工夫しているというところが特徴の一つかと思います。
また、この履修が終わられた後に就職支援を行うんですけれども、まず申込み時に担当教員が面談を行ってその旨を確認したり、あるいは適性をご相談する中で、ここで受講を御遠慮いただくというようなことも時には行っております。その上で、プログラムの中でキャリアコンサルタントの方によるキャリア形成の授業も受けていただきながら、実習時にはこれも退職校長先生、教育委員会を退職されたOBの実務科の先生方にメンターとして帯同していただき、現場の校長先生と御一緒になって人材を指導していただいたり、あるいは評価していただいているという次第です。また、最後に状況に応じて入職という機会が生じました場合には、リカレントプログラムの履修証明というものを発行してございます。
こちらは本年度の受講生の様子です。50名の定員に対しまして56名の申込者があったんですけれども、具体的には48名、受講料をお支払いいただいてスタートしているという状態です。オンラインですので、地域的には広がりがございまして、年齢層もほぼ期待しているところがボリュームゾーンになっているかな、やや少し高い年齢層かもしれませんが、というところです。現在の職業例というところでは、以下のような方々にお集まりいただいているところでございます。
こちらは昨年度の受講修了生のその後を少し書いてございますが、昨年度はプロトタイプの開発ということで20名の募集で行いましたけれども、そのうちの7名が実際に4月から現場に立たれていらっしゃいまして、その他の教育支援職に就かれている方もいらっしゃいます。内容につきましてはスライドにあるとおりなんですけれども、修了者からの評価も比較的高くいただいていると考えております。
こちらからは、こういう取組を通しまして私が少し感じていることを若干御紹介して、報告を終わらせていただきたいと思います。まず、この取組の中で社会人の特性に応じたプログラムの流れというものが、比較的安定した形で構成できてきたと考えております。また、入職のための質担保ということが社会人の場合、よく問題になるんですけれども、その辺りのところも少し、ある種労力がかかる仕組みになっているんですけれども、一定の効果を上げていると考えます。また、特に社会人の方の入職過程を見ておりますと、切れ目のない連続性とか、その後も学び続けるというようなプロセスが非常に大事なんだということを実感しております。あとは、特に企業人材の方へ直接働きかけるというところに、本年度、次年度以降の展開を見て少し力を入れておりまして、できましたらいわゆるばりばりと企業でお仕事をなさっている方が教育界に転職してくださるということが、さらに拡大すればいいと考えております。また、他大学の先生方にもぜひ、いろいろな形で御連携を広げさせていただければいいなと考えているところでございます。
こちらでは4つほど、社会人の教職参入に関してということで、感じていることをまとめております。まずは、学習内容を通してどう質を担保していくかというところなんですけれども、特に入職サポートの場面で現場や教育委員会とのやり取りで感じられるところなんですが、例えば組織として学校を支える力とか、子供の生活を支える力とか、あるいはウィン・ウィンの関係をお互いに地域や保護者と構築していく力とか、一般的になかなか可視化しにくい能力を評価されることが多いと感じております。その意味で、知識技能と共に働く学校現場でのコンピテンシーのようなものが、どちらかというと教科指導力よりも注目されやすい現場の実情というのが少しあると感じ留意しております。
また、そういう実践力というだけではちょっと届いていない教職に関する力がもう少し可視化されたり、あるいは社会人の可能性として逆にそれを鑑て取る必要があると感じたりしております。一方で、社会人だからこその学習の必要性も感じておりまして、例えばこれまでの職業経験、あるいは学習経験等を通して固まった価値観や態度が正直ございますので、学習によってアン・ラーンされたり、あるいは職場的なアイデンティティーにつながる、教育公務員等の信念の形成等は必要なところだと感じております。
一方で、教育免許状との関係で申し上げますと、より特別免許状の活用が進むようになればいいと強く感じます。特にその授与の過程で評価される部分の内容の多様化とか、あるいは基準の運用のしやすさ等について、さらに検討が進めばよいのではないかと感じます。また、社会人の方の場合、学習のためのアクセシビリティみたいなものが非常に大きな条件になっていると感じておりまして、その意味では逆に企業等からの社会的支援、これは学習する時間などを保障するというようなニュアンスですけれども、例えば、実習参加時の勤務の取扱い等の柔軟な御支援等が社会的に環境として広がればいいと思います。
また、学校現場で評価される実践力と教員養成ということを考えたときに、教師の成長というところでどのような力、あるいはどのような役割を教職経験の時期に応じてというのが、実践的には積極的に出てくるようなところがありまして、免許制度の検討からしっかりとそれを時系列的に担保していく、あるいはそれに向けて養成していくというところがもう少し構造化といいますか、工夫されることで、労働形態が多様化する中で優秀な人材を受け入れていくというようなことも、ひょっとしたら検討できる余地があるのかと感じたりもしております。
先ほども申し上げましたアクセシビリティについては、特に教職参入時に他の職をお持ちということで、その状態から切れ目なく転職できるというところが、非常に社会人の方が希望され、要望としてもおっしゃることだと感じております。ですので、その負担とか在り方と共に、なにがしか転職時期に重なる期間という言い方は適切かどうか分からないんですけれども、現職と転職のための準備が無理なく重なる、転職のための助走の期間のようなものが社会的に、構造的に担保できるということになると、ダブルワーク等労働形態も変化する中で、さらに転職のしやすさというのが出てくるのかと感じます。最後に、学ぶということは楽しいことなんだという、学びによって紡がれていくコミュニティというものは、どのときにおいても必要だと感じています。
こちらで最後になりますが、免許状を含めまして社会人の教職参入の形態は、先ほども御紹介があったように非常に多様にございます。こういうところに転職、あるいは副業、あるいは非常勤というような形で、また多様な参入の仕方も時期や時間的な広がりもございますので、その辺りをより細かく少し検討していくということが進められるといいのかと感じます。また、なかなか教員養成大学も教育委員会も、本当に今の養成でもう手いっぱいというところもございますし、また一方でそういう取組を循環的に相対化して創造していくためにも、一定程度何か公共性を担保する第3の立場からの組織的取り組み、あるいはリカレント養成の総合的なあり方の検討というものも、一定程度そもそもの議論として余地があると感じているところでございます。
以上でございます。ありがとうございます。
【秋田部会長】 松田先生、御説明をどうもありがとうございます。貴重なお話を、ありがとうございます。
ではここから、時間の関係で12~13分になるんですけれども、委員の皆様からの意見の交換の場とさせていただきたいと思います。今いただきました松田先生への御質問等でも問題ありませんし、御意見がおありの方はぜひ、挙手をお願いさせていただきたいと思います。
それでは、戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 すみません。今、議会で中座していたものですから、フラッグシップ大学の話もちょっとだけ触れてもよろしいでしょうか。
【秋田部会長】 はい。松田委員の話と、フラッグシップも若干触れてくださっても結構です。
【戸ヶ﨑委員】 それでは、フラッグシップ大学の資料、それから松田先生の資料、事前に拝見しまして、この令和の日本型学校教育を担う教師の養成を牽引していく大学の取組が、全国の教員養成大学でも実施されること、そして教師の質の向上につながっていくことを強く望みたいと思います。
特にフラッグシップ大学の在り方の最終報告の中にある、その役割を示す文言として大きく3点あります。一つは我が国の教員養成を新たな次元へと変革する牽引役、二つ目は我が国の教員養成ネットワークの中核となること。さらに三つ目は学校教育の課題解決への寄与、また政策提言の機能であり、まさに新たな教育を創造する「研究開発大学」、また教員養成ネットワークの「ハブ大学」、さらには教員養成全体を支える「基幹大学」などの役割・使命があります。これからの教員養成大学をリードする、ある意味尖った取組を一層打ち出していただきたいと思いました。
また、今後の教員養成に関しては、教員の質の向上を目指しつつ、多様な背景を持つ多くの人材に教師を目指してもらう方策は、待ったなしではないかと考えています。そのためには、先ほどのフラッグシップ大学の先導的な取組の成果や知見を踏まえて、教育課程や免許制度の在り方自体を改めて見直して、教育現場における課題に応じた科目の充実を図ることで1人でも多くの優秀な人が教職を目指すように、場合によっては単位数の見直しなども検討する必要があるものと考えています。
そういう観点から、ただいまの松田先生の御発表については、社会人から教師への入職、これをスムーズにしていくという大変先進的な取組であると理解をいたしました。今後は多様な専門性を有する質の高い教師集団の形成に向けて、社会人の入職を推し進めていく必要があるだろうと思います。そのためには、これまでこの部会でも何度も申し上げてきましたけれども、特別免許状の更なる活用推進のための方策に加えて、例えば学生時代に免許を取得していなくても、社会人になってからでも教員免許を取得しやすくするような仕組みなどを、総合的に検討していく必要があると思います。
また、質の高い教師の育成に向けては、教職生活を通じて学びをアップデートし続けていく必要があり、若手や中堅教師の研修や学び直しも重要と考えます。これについても、教員養成大学の役割への期待とともに、前回も申し上げましたけれども、「対話に基づく研修の受講奨励」の現場での浸透状況を改めて確認、把握する必要があると思います。
最後ですけれども、教職生活の学びでは「理論と実践の往還」の実現が急務ではないかと思います。「理論の実践化」と、「実践の理論化」が必要だろうと思います。単に学んだ理論を学校現場で実践するのみならず、教師が自らの実践を理念に基づいて省察していくことも重要だろうと思います。
目の前にいる子供を見詰め抜いて、課題を明らかにして、その解決に向けた手立てを迅速且つ的確に講じること、それも経験と勘という2Kだけではなくて、科学と根拠という新たな2Kの視点からの手だても重要です。つまり、理論に裏づけられた実践的指導力が大事だろうと思います。
そのために、見えにくい情報をも含めた幅広い教育データを利活用して、それに基づいて適切な対応や指導を行っていく能力が必要だと思っています。こうした能力こそが高度専門職である教師に、今後求められていくスキルだと思います。
【秋田部会長】 どうもありがとうございました。今後の教師の在り方と共にフラッグシップ大学の在り方であり、また社会人のリカレントという松田委員の御説明についての御意見をいただきました。
この後、荒瀬委員、松木委員、真島委員に御意見いただく予定です。
では、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。松田先生、ありがとうございました。大変丁寧にやっていらっしゃるのをお聞きしまして、非常に勉強になりました。ありがとうございます。私、先ほど事務局から御説明いただいた資料の中に書いてあるのに、何も発言しないのはよろしくないかと思いまして、それでちょっとだけお話をさせていただきます。
教員資格認定試験の概要というのが資料1-7の最後のページに載っておりました。ここのところで根拠法令というところも、2つ目ですけれども、第16条の2項でありますけれども、文部科学大臣は事務を機構に行わせるものとするということで、この機構というのは教職員支援機構でございます。今、我々がやっております。昨日もそのことに関しまして、高校の情報の総括会議をしていたところであります。この資格認定試験で合格した方が、実際に小学校であれば191名の方が合格して、この方が、多くが実際受けていらっしゃって、採用されているケースがございます。その際、我々がつくっております研修の動画を御覧いただくことをお勧めしています。
ですから、そういう点からも、松田先生も御活用いただいているかもしれませんが、教職員支援機構に幾つかつくっております研修動画等もぜひ、御活用いただきながらということと、こういったものももっと広げていって、教職に興味関心を持ってくださる方を増やしていきたいと思っております。以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 ありがとうございます。教職員支援機構のお立場からも御発言をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして松木委員、お願いいたします。
【松木部会長代理】 松田先生のお話を伺いながら、社会人の免許取得の仕方については多様な在り方が必要だと、改めて思いました。その中で、例えば教職大学院で社会人が免許を取得することはできないだろうか。そのためには2点、必要なことがあると思います。1点目は働きながら学べるような教職大学院であるということ。2点目は、現在社会人のような免許を持っていない人でも、教職大学院の中で一種の免許を取得するということが前提で成り立っているところがありますが、すごくカリキュラムが窮屈です。大学院の学びに加えて学部で1種免許にあたる単位を取得しなければならないからです。そこで、例えば社会人が入学を希望される場合には、教員資格認定試験に準ずるような入学試験を設けることで、一種の免許を取るのを簡易化する、あるいは特別免許状の期間を延長できる、そんなようなことを含めた教職大学院での社会人の入学の在り方も検討すべきではないかと思いました。以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。今回、パイロット的な試行プログラムのお話ですが、今後広く教職大学院も社会人が参加して免許を取得していく、そのための在り方、条件ということについて御発言をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして真島委員、お願いします。
【真島委員】 先ほどのフラッグシップの大学と併せて、感想となりますが意見を言わせていただきたいと思います。一つは、4つのフラッグシップ大学で特に学習者本位、学習者が自分で自律的に学習をする、そういうカリキュラムを設計されて、自分で目指す教師像とか目指す資質能力というものを構築していくというのが、すばらしい取組だと思いました。このような授業形態は、本学のような国立大学の教員養成大学の学生も非常に望んでいます。なぜなら、教員免許を取るための授業というのは非常に単位数が多くて、取らなければいけない授業というような形になってしまっていて、自ら選択、判断し、意思決定するというようなカリキュラムの流れに、流れというか仕組みが、まだ本学では十分にできていないところがあります。
なので、こういったフラッグシップの大学の4大学の皆様がいろいろな形で工夫しながら、学習者本位でかつ自律した学びを自らデザインしていくというような教師像、あるいは教員の資質能力を高める授業デザインというものを示していただいたことによって、本学でもそこに向かってチャレンジしていきたいと思いますし、かつ国立大学だけではなくて実は私立大学で教職課程を置いているような、教育学部ではない学部でも教員になりたい学生さんのニーズとしては、フラッグシップで示していただいた新しく開設されている科目のようなものを、実際に受講したいという声があるんです。
自分ところの教職科目ではこういった新しい課題に対応できるような科目がない。でも一方で、実際に教員になろうと思ったらそういった課題を解決できる教員として資質能力が求められるとなったときに、ではこういうフラッグシップ大学のような大学の授業をどうやって、国立大学だけではなくて私立大学の一般の教職科目を取る学生さんにまで届けられるかといったときに、さらに今、また一方で進められていく、どうやって地域的な流れで連合していくのかとか、あるいは国公私立大学がうまく連携しながら、そういった教職への取組をうまくやっていけるのかみたいなところも議論が必要なってくると感じました。
もう一つ、今、松田先生から社会人向けの教職についての転職の在り方みたいなところのお話をいただいたときに、本学は、逆に言うと、免許は出しているけれども教員を選択せずに企業を選択したり、公務員を選択したりする学生さんが一定数います。でも、そういった学生さんの中には、自分は企業や公務員になってから教員になりたいと思っている学生さんも一定数います。なので、免許を持っていてもすぐに教員にならないけれども、自分は経験を積んで教員になりたいという学生さんに対するアプローチというのは、もっとしていかなければいけないと感じたのと同時に、先ほど松木委員がおっしゃられたように、教職大学院という場がもっとリカレントの場になるということはすごく重要なことではないかと思います。
実際に教職を取っていて、現場から派遣される教員の先生方にとってもある種のリカレントですし、あるいは企業とか一般公務員の方から、専門職を持っている方が教員になりたいと思ったときに、教職大学院という場がそういったリカレントの場としても非常に機能するんだということになれば、今行われている教職大学院というものの更なる多様化というか、多様な人材を輩出できるような場になっていくのではないかと思いました。なので、こういった取組も併せて、多様な子供たちに対応できる教員を輩出していくという意味でも、非常に重要な取組だと感じました。
以上です。ありがとうございます。
【秋田部会長】 真島委員、ありがとうございます。今後の検討すべき重要な提案を御指摘いただきました。
また、松田先生におかれましては、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
10月の教員養成部会でも申し上げましたとおり、教師の養成・採用・研修につきましては、令和4年12月の答申を踏まえ、様々な取組が進められているところでございますが、前回と本日の御議論や御説明を伺ったところ、教職課程の在り方、多様な専門性や背景を有する社会人等の教職への参入を促進すること、また教師の質を維持向上させるための採用研修の在り方など、重要な、広範な論点がございました。今後の教員養成部会では、制度の根本に立ち返った、より一層の議論の深掘りに向けまして、審議体制の在り方についても今後検討が必要であるということを、強く感じる次第でございます。ついては、議論の充実に向けた教員養成部会の今後の進め方などにつきましても、事務局と検討させていただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。ありがとうございます。
【茂里総合教育政策局長】 事務局でございます。本日はお忙しいところお集まりいただき、また貴重な意見をいただきました。どうもありがとうございます。今、秋田先生から大きな宿題をいただきました。文科省では令和4年答申を踏まえまして、いろいろな取組を行っているところでございます。改めまして、制度の根本に立ち返った検討を行うことが必要だという、そういう御指摘をいただきました。しっかりと秋田部会長からいただいた御意見を踏まえて、事務局としても今後の進め方や審議体制について検討させていただきたいと思います。
その際、幾つかの視点があるかと思います。戸ヶ﨑委員もおっしゃった新時代に適応したアップデートの観点からの質の向上であったり、いろいろな委員からお話がありました外部人材を含めた量的充実のための施策であったり、さらにはこれから新学習指導要領の方向性についての議論が始まるわけでございますが、それとの関連づけであったり、そういった視点からしっかりとどのような方向性がいいのか、また委員の先生方と御相談しながら進めてまいりたいと思います。
【秋田部会長】 茂里局長、どうもありがとうございます。
それでは、本日議事が3つあるということで、これから議事2でございますが、公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の在り方に関する指針の改正について、事務局より御説明をお願いいたします。
【高井教員研修推進専門官】 教員研修推進専門官の高井でございます。私から説明しますのは、資料2にあります指針の改正でございます。この指針というのは任命権者が各教員の資質の向上に関する指標を策定することになっておりますが、その策定指針を国で定めて、それを参酌して各自治体で指標をつくるわけですけれども、その指標の改正でございます。
資料、今映っています「背景」にありますように、去る8月に中教審の答申で、教師を取り巻く環境整備の基本的な方向性が3つ示されたわけでございます。処遇改善ですとか、あるいは学校の指導・運営体制の充実と共に、これまでの働き方改革をさらに加速しましょうということが3点のうちの一つでございます。その中で、校長等の管理職のマネジメントの重要性というものが示されております。そこで、この答申の中で具体的に、この指標に校長が果たすべき役割として、働き方改革に向けたマネジメントの重要性を位置づけることが必要であるということが明記されてございます。こういった答申も踏まえつつ、学校における働き方改革の必要性などを鑑みて、今回、この指針を改正するというものでございます。
資料の画面、下のほうになりますが、現在、校長の指標に関してはこのような概念になっておりますが、特に校長に求められる基本的な役割としてはここの上段にある3つ、緑色でございますが、校長経営指針の提示、それから組織づくり、そして学校外とのコミュニケーションの3つを示しております。こういった3つに整理されたものを果たすに当たりましては、学校教育の質の向上を校長のリーダーシップの下で実現するための前提として、教員、教職員一人一人がその意欲と能力を最大限発揮できる環境を整える必要があることに鑑みて、学校における働き方改革を具体的に進めることも課題意識の一つとして持つことが重要であるというようなことを、この指針の中に明示をするというものがこの今回の改正内容、上段にあります1に当たるものでございます。
併せて2でございますが、教員等の資質の向上を図るに当たり踏まえるべき基本的な視点の中でも、学校における働き方改革の推進というのを明記してございます。そのほか、前回の改正が令和4年度でございましたので、その後、若干陳腐化した部分に関しましては時点修正をさせていただいております。画面投影とはしませんが、具体的な修正内容については、お手元の資料の4ページから5ページに掲載させていただいております。今回、改正の手続を、今後必要なものを行いまして、年度内に決定、公表する方向で進めさせていただけたらと考えております。
私からの説明、以上です。
【秋田部会長】 御説明を、ありがとうございました。
何かこの件につきまして御質問や御意見はございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは皆様、ありがとうございました。この件につきまして、本件はこの御説明のとおり進めることにさせていただきたいと思います。
それでは、これにて議事2番は終わりにさせていただきたいと思います。
そして、議事3は非公表となりますため、事務局より先に御連絡をお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 事務局でございます。次回の教員養成部会についてでございますが、こちらにつきましては追って事務局より御連絡させていただきます。以上でございます。
―― 了 ――