令和7年3月6日(木曜日)15時00分から17時00分
文部科学省3階 3F1特別会議室 ※WEB会議併用
(委員)内田委員,清原委員,萩原委員
(臨時委員)青山委員,安齋委員,小田切委員,柏木委員,古賀委員,小見委員,関委員,都竹委員,東委員,牧野委員,美田委員,村井委員,八木委員,山本委員
(事務局)茂里総合教育政策局長,江﨑大臣官房審議官,平野社会教育振興総括官,神山政策課長,中安生涯学習推進課長,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,今村日本語教育課長,高木地域学習推進課長,山川地域学習推進課課長補佐,松本地域学習推進課課長補佐 他
【清原部会長】 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから、第6回社会教育の在り方に関する特別部会を開催いたします。本日は、大変御多用のところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
今、日本では大雪の被害や、山火事の被害などが発生しています。そういう被災地の皆様の一刻も早い回復を皆様と御一緒に願いつつ、今日も活発に意見交換ができればと思います。
本会議は、対面とオンラインを併用して開催いたします。なお、本日は、YouTubeのライブ配信に加えまして、会場でも報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から会議の全体について録画を行いたい旨の申入れがありまして、許可しておりますので、御承知おきください。よろしくお願いいたします。
【山川地域学習推進課課長補佐】 それでは、報道関係者による頭撮りはこれまでとさせていただきますので、撮影は終了をお願いいたします。
【清原部会長】 御協力、ありがとうございます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。本日の会議は17時までの開催を予定しています。委員の皆様の貴重なお時間を頂いていますので、限られた時間の中で自由に充実した議論ができるように部会長として努めていきたいと思います。会議の円滑な進行への御協力のほど、改めてよろしくお願い申し上げます。
本日は、まず東委員から御発表いただいた後に意見交換を行います。次に、前回の会議でも御意見を頂いた諮問における「審議事項1の意見の整理(案)」について、事務局から御説明をしていただいた上、自由闊達な意見交換ができればと思います。
それでは、まず東委員から御発表をお願いいたします。よろしくお願いします。
【東委員】 喜入マナビバプロジェクトつわぶきの東です。今回は「若者の社会教育参画へ向けて」、私の実体験を基にお話しさせていただきます。よろしくお願いします。
2ページ目です。まず初めに、私が生まれ育ち、地域活動のフィールドとしているのが鹿児島県鹿児島市の最南端にある喜入という地域です。人口は約1万人、6つの校区から構成され、平成の大合併で鹿児島市に併合された地域になります。喜入地域には6つの小学校と1つの中学校があり、中学校まで電車通学する生徒がいるほど東西に長く、また高校のない地域でもあります。そんな喜入地域ですが、“喜び入るまち”をキーワードに、子ども食堂やコミュニティカフェなど、地域一丸となってまちづくりに取り組んでいます。そして、その担い手というのが、友達のお父さん、お母さんであったり、あそこに住んでいる○○さんと分かっていたりと、子供の頃から身近な存在でした。そして、公民館も身近にあり、地域公民館が1つ、校区公民館が各校区に1つずつ、そして自治会ごとに自治公民館があります。小学生の頃には子ども会活動で自治公民館や校区公民館を利用し、そして地域公民館は、鹿児島市役所喜入支所と同じ建物内にあるため、小さい頃には母が手続などのために支所に行くのについていき、図書館で本を借りて帰ると、幼少期から公民館を利用していました。
次のページです。そんな喜入地域で私が令和3年に設立したのが、喜入マナビバプロジェクトつわぶきという中高生中心の任意団体です。ふだんは、中学校の定期テスト前に無料開放型の質問できる自習室を開設したり、天体観測会などのイベントを開催したりしています。中高生自ら学びの場の提供だけでなく、もっと地域のために活動したいと、まちづくり協議会と共同でイベントを開催したり、校区同士のつながりをつくろうとしていたりと、地域連携にも力を入れ始めました。中高生自身の“やりたい”という思いを大切に、私は日々中高生メンバーのサポートをしています。
次のページです。私がこの活動を始めたきっかけというのが、高校の総合的な探究の時間でした。私はもともと喜入が好きだったのと、地元のほうが知っていることも多いし、つながりもあるからやりやすいかなということで、喜入のために私にできることはないかというテーマで探究に取り組みました。最初は、正直面倒くさいなと思っていましたし、自分で考えて個人で行動していくことが苦手な私は、なぜこんなことをしないといけないのだろうと思っていましたが、地域の方へのインタビューを通して、こんなにも熱い思いを持って喜入のために頑張ってくださっている大人がいるんだ、そんな大人が何人もいる。そして、そんな気持ちにさせる喜入ってすごいと感激し、私も喜入のために何かしたいと本気で思うようになりました。今思い返してみると、探究という学校教育の一環ではありますが、地域に出て、地域のために学びながら考えていくという点で言えば、社会教育と言えるのではないかなと思っています。そして、私は喜入の地域課題を考えたとき、実際に喜入に住んでいる私自身が困っていることなのではないかと考えました。
5ページ目です。当時、コロナ禍ということもあり、図書館も利用時間が制限されており、コミュニティスペースも席数が限られ、カフェやコワーキングスペースというものもなく、喜入地域には、自宅以外で勉強できる場がありませんでした。中学校全校生徒の約8割が喜入に自習室が欲しいと回答したアンケート結果をもって、喜入公民館に自習室設置の相談をしに行きましたが、公共の施設では難しいと断られてしまいます。そこで、ないのなら自分たちでつくってしまおうと、団体を設立し、団体として場所を借りて、定期テスト前に自習室として提供することにしました。ですが、私はこのときは、まだ社会教育という言葉も分野も知りませんでしたし、地域活動をしているという認識でした。それは今も変わっていなくて、社会教育活動をしているという意識は、私にはありません。地域のために、仲間と一緒に考え、活動をしているだけだと思っています。
次のページです。そんな私が社会教育と出会ったのは、独立行政法人国立青少年教育振興機構主催の地域探究プログラムという探究のイベントに参加したことがきっかけです。活動を始めた当初、自習室や学習イベントの場所として公民館を借りることができませんでした。成人が必ずその場にいるようにする、使用料も支払うと言っているにもかかわらず、前例がない、未成年が代表の団体には貸せない、コロナになった子に対する風評被害の責任はどう取るのかなどの理由から、断られ続けていました。そんなときに、高校の友達と参加した国立大隅青少年自然の家でのボランティア養成研修で、地域探究プログラムというのがあるんだけど、参加しないかとお誘いいただきます。活動が行き詰まっていた状況で、何か活動のヒントが得られるかもという思いから、地域探究プログラムへの参加を決めました。
次のページです。このプログラムで、喜入とは違う地域でフィールドワークできたことから、他地域と比較して喜入を見ることができるようになったりと、様々なことを学べたのですが、このときの自然の家の職員さんとの出会いが、私にとっての社会教育との出会いでもありました。プログラムの担当をされていて、私の地元での地域活動の相談にも乗ってもらっていた自然の家の職員さんが、社会教育士の称号を取るためだけに、短期間ですが、沖縄へ行くと伺いました。わざわざ沖縄に行ってまで取りたいと思う社会教育士って、そんなに面白いものなのと私は興味を持ちました。私は、この職員さんと出会っていなければ、社会教育を知るのはもっと先になっていたか、もしくは知らないままだったかもしれません。だから、社会教育を知ってもらうためには、社会教育主事や社会教育士、そしてこれらを目指している人と出会える機会をつくることが大切だと思っています。
8ページ目です。また、会議の中でも高校の探究の授業と絡めてというお話が出ているかと思います。そのことについても私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。2022年12月から2023年2月にNPO法人カタリバが全国高校生マイプロジェクトを自校で推進した全国の教員232名を対象に行った調査では、高校で探究学習の推進を担当している教員や、生徒の伴走に当たっている教員の95%が、探究学習の推進に関して課題を感じていると回答しました。
次のページです。課題だと感じていることの具体例としては、授業案やカリキュラムの設計、調べ学習で終わってしまう、校内で探究学習への理解が広がらないという回答が多く見られています。このように、探究の授業に対して課題を感じている教員も多いのです。教員の多くが探究を経験したことがないのですから、それも当然のことだろうと思います。その結果、本来生徒自身が考えて進めていかなければならない探究の授業ですが、現状、教員にやらされているという生徒も少なくありません。
次のページです。一方、社会教育士というのは、社会教育の制度や仕組み、基礎的な知識に加え、ファシリテーション能力・プレゼンテーション能力・コーディネート能力の3つの専門性の習得を狙いとした課程や講習を修了した人たちの称号とされています。私は、この中の3つの専門性こそ探究のサポート役に必要なスキルだと思っています。探究は、生徒に教えるのではなく、生徒に寄り添うものです。3つのスキルを持っている社会教育士だからこそ生徒の“やりたい”に寄り添うことができるのではないかと考えています。
次のページです。やらされて探究するのではなく、社会教育士が一緒に探究に取り組むことで、自ら考え、行動することの楽しさや、学んでいくことの面白さを伝えることができるのではないでしょうか。ですが、必ず探究の授業に社会教育士が入ったほうがよいというわけでもありません。探究活動に楽しんで取り組まれている教員や、探究メンターとして授業に入っている学生や社会人、企業さんもいらっしゃいます。その動きというのは、私はとてもすばらしいことだと思うのです。だからこそ探究活動をどのように進めたらいいのか分からない、苦労をしているというような学校に、社会教育士が入りやすい、困っている学校と社会教育士とをつなぐことができるような環境づくりというのが必要なのではないでしょうか。
12ページ目です。また、私が社会教育を勉強し始める前、社会教育主事というのは、行政の中にいて、何となく堅いイメージ、そして社会教育という限られた分野のエキスパートというイメージを持っていました。一方、社会教育士というのは、自由で、養成課程で学んだことを生かして、社会教育分野だけでなくまちづくりや福祉など、様々な分野で活躍できるというイメージを持っていました。私は、この社会教育士の自由さにひかれ、今、学部の授業とは別で社会教育士の養成課程を受講しています。
13ページです。そんな私ですが、社会教育とは、まちづくり、地域づくりの手法の1つであるという認識でいます。どこからどこまでが社会教育で、どこからがまちづくりなのか、私にはまだ分かっていないですし、はっきり分ける必要もないのかなと思っています。まちづくり系の学部にいて授業を受けている中で、青年団や公民館活動など、社会教育が出てくることも多いです。しかし、学部の友達に、私、社会教育士を取ろうと思っているんだよねという話をしても、何それと知っている学生は少ないです。ですが、社会教育士について説明すると、興味を持つ学生は多く、もう少し早く知っていたら私も受講したのにという友達もいます。
14ページです。私は、社会教育に自分が気づかないうちに関わっているが、それが社会教育だとは知らないというのは別に問題ないと思っています。ただ、社会教育を知らないだけで、社会教育分野に興味がある人に、その社会教育という存在が知られていないというのは課題であると感じています。
次のページです。思い返してみると、小学生の頃には多くの人が社会教育と出会っているはずです。学校の遠足で博物館や科学館、美術館を訪れていたり、宿泊学習で青少年教育施設に泊まっていたりと、実は利用しているのです。小学校で利用したことがなくても、公民館や図書館など、多くの人が1度は社会教育施設を利用したことがあったり、存在は知っているという人は多いのではないでしょうか。ですが、これらが社会教育施設だと知っている人は少ないです。
次のページです。社会教育とは出会っているのに、社会教育と知らない人が多いというのはなぜか。考えてみると、そもそも社会教育という言葉と出会っていないのです。私も社会教育士を目指している方とお会いするまで、社会教育という言葉すら知りませんでした。だから、まず社会教育という言葉と出会う機会をつくることが、若者の社会教育参画に向けて初めの一歩なのではないでしょうか。私は、もしかしたら将来、今目指している道と違う道に進みたいとなったときに、必要になるかもしれないから物理や科学を勉強するというのと同じで、もしかしたら将来社会教育という分野の知識や助けが必要になるかもしれないから、社会教育という言葉を何となくでも聞いたことがあるなぐらいでも知っておいたほうがいいのではないかと思っています。何か相談したいことができた時、困り事が出てきたとき、青年団や公民館についてもっと詳しく知りたいと思ったとき、そういえば、社会教育ってと思い出すきっかけをつくっておく必要があると思うのです。言葉と出会っていなければ、思い出すこともありません。そして、その出会い方として、私は社会教育という言葉が入っている社会教育士さんが、自分は社会教育士だと名のりやすい、名のったほうがメリットがあるなと思える工夫をしていく必要があると思っています。ちなみにですが、私自身は、地域で活動していく中で、私のことを知らない人でも、社会福祉士ですと名のれば何者か分かって安心するというように、社会教育士ですと名のることで、地域の方に少しでも安心してもらえる安心材料の1つとして社会教育士という肩書を使いたいなと思っています。
17ページです。もう一つの課題として、小学生は、子ども会活動や公民館講座など、地域や人とつながる場が地域の中にありますが、中学生、高校生になってくると、このような場はなくなってしまいます。私も小学生の頃は子ども会活動を楽しみにしていましたし、公民館講座にもよく参加していました。しかし、中学生になると、子ども会活動もなくなり、参加できる公民館講座は減り、地域とのつながりが一気になくなりました。この役割を担っていたジュニアリーダーも現在ではなくなってしまっている地域が増えてきました。しかし、中高生の地域での居場所や、地域とつながる場、自分なりに挑戦できる場の需要がなくなったわけではないと思うのです。実際に、当団体にほかの地域から喜入に通っていた高校生がいたのですが、最近、彼は自立して、自分の地元で高校生のボランティア団体を設立したそうです。中高生自身がこのような場をつくっていくというのも、とても大切で意義のあることですが、学校生活との両立や、金銭面、活動の継続という面で難しい点も多いです。だからこそ、中高生自身が考え、自分たちで進んで行動し、自分なりに挑戦し、地域で成長していける環境づくりが必要だと私は考えます。その1つの例として、鹿児島のある公民館では、中高生が公民館事業の運営や地域貢献に取り組める体制がつくれないかという動きがあるそうです。
18ページです。若者、特に中高生が地域で活動を始めるとき、様々な障壁があります。その中には取り除いたほうがよい障壁もあるでしょう。しかし、障壁というのは、時に成長の糧となります。障壁全てを取り除くのではなく、彼らの成長を見守り、時にはアドバイスをし、一緒に考え、共に壁を乗り越えていく存在が社会教育職員であってほしいなと私は思います。私の場合、その障壁が残念ながら公民館職員でした。今の館長さんや職員さんたちは、親身になって私たちの活動に寄り添ってくださっています。しかし、社会教育職員が若者にとっての障壁となってはいけないと思うのです。だからこそ、社会教育とは何なのか、社会教育や自分たちの役割を通してどのような地域にしていきたいのかなど、考え方の共有を職員同士で定期的に行う必要があるのではないかと思っています。
次のページです。私たち若者は、誰がいい人で、誰が悪い人なのか、誰の言葉を信じていいのか分かりません。そして、若者に限らずですが、地域で何か地域のために活動するとなると、1人では絶対にできません。そんなときに信頼できる大人の存在が必ず必要になってきます。私たち住民にとって、行政職員というのは特に信頼できる大人です。
20ページです。だからこそ、社会教育職員や社会教育士には、挑戦する若者の伴走者であってほしいと思っています。大人から見てどんなに小さなことでも、無謀なことでも、その子からしたら大きな挑戦で、不安や怖さも希望も大きいです。どうか私たちのことを見守ってほしいと思います。そして、若者だけでなく、地域の人たちにとっても気軽に頼ることのできる存在であってほしいです。そして、私たちが何か困ったとき、相談したいことがあるとき、相談しに行くのは役所です。役所に相談しに行ったときに、分かりません、ここでは対応できませんではなく、社会教育主事さんや社会教育士さんに相談したらいいよ、紹介するよと次につなげられるためにも、行政職員内で社会教育をはじめ社会教育主事や社会教育士の存在を知ってもらいたいなと思います。
次のページです。最後に、若者の社会教育参画に向けてまとめますと、社会教育という言葉や社会教育人材と出会う機会をつくること、高校の総合的な探究の時間との連携、中高生自身が考え、自ら進んで行動し、自分なりに挑戦していける環境づくり、この3点が今後必要になってくるのではないかと私は考えています。私は、高校生のときにまちづくり分野に足を踏み入れ、まちづくりを軸に社会教育を勉強中の身です。考えが深められていない部分も、突っ込みどころも多いお話だったかもしれませんが、一若者として皆様と若者の社会教育参画に向けて考えていけたらと思っております。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
【清原部会長】 東委員、御発表をありがとうございます。まさに「若者の社会教育の参画に向けて」、御自身の探究学習から、地域活動、そして社会教育との出会いという御経験を踏まえて、建設的な御提案を頂きました。東委員の御発表を踏まえて、これから皆様と意見交換をしていきたいと思います。どなたからでも結構でございますので、オンラインの方は挙手ボタンを押してください。そして会場の方は名札を立ててください。私のほうから指名をさせていただきます。感想であるとか、共感であるとか、この御発言を踏まえての御提案でも結構です。
では、関委員、お願いします。
【関委員】 関でございます。東さん、若い世代の元気な活動実践をご紹介いただき本当にありがとうございました。勇気と希望を頂きました。私にとっては結構厳しいところもありました。今日のお話を伺い、そういう風な社会教育主事だったかもしれないなと反省しているところです。
様々な若者が主体となった活動を鹿児島の地で起こし、成果を生み出すことで、成功体験を積み重ねていくことの大切さ、それがきっとどんどん拡がっていくに違いなという、そういう力強さを強く感じました。
「公民館に頼んでも自学自習をする場を貸してくれなかった」同じようなことは、多分今全国津々浦々であると思います。かく云う、私たちの市でもありました。要望したきりで終わるのではなく、諦めずにその実現に向けて、根気強く続けていく、その過程で共感者が増え、結果的にコトが成し遂げられる。東さんたちが取り組まれたことが、本日の部会での活動報告などを通じて、全国に拡散していけば、それが多くの若者に、希望や勇気を与えてくれるはずです。我々の世代は、きちんと声に耳を傾け、伴走していきたいと再確認したところです。
「社会教育」という言葉は、若い世代にとっては死語になってしまっていることも再認識しました。若い平成世代にとっては、昭和から平成に変わった際に、「社会教育」から「生涯学習」みたいに世の中のムードが替わってしまい、昭和世代が持っている「社会教育」の概念はきっと継承されていないのだろうなとも感じました。そんな今だからこそ、もう一度「社会教育」なるものをもっと分かりやすい言葉で、みんなの心に響くような言葉で説明する必要があるのではと思ったところです。今後の議論の中で出てくるのかとも思いますが、そのあたりを煮詰めていくことが必要かと改めて思いました。
以上です。
【清原部会長】 どうもありがとうございます。
ほかに。それでは、順次、よろしいですかね、こちらから。青山委員、安齋委員、美田委員の順でお願いします。
【青山委員】 青山です。東さん、発表をありがとうございました。
若者自身が地域でいろいろな活動を展開していくというところの力強さと、また社会教育の意識がなくても結果としてとても社会教育的な取り組みがたくさんあるし、そういう活動が広がるといいなと思って聞いておりました。
私からは、感想と含めて考えたことが2点あります。1点は、この中高生や、もう少し上の世代もそうかもしれませんけれども、若者たちが地域で主体的に活動をしていくことにどう伴走できるのか、その役割が社会教育にあるのではないかというようなお話だったかと思います。そこで言うと、何度かこの会議でも発言をしているかもしれませんが、近年、ユースワークとかユースワーカーというような言い方をされることが多くなっています。裾野が広がった社会教育の中で、教育や福祉を超えて、しんどい状況にある若者たちも、そうでない若者たちも含めて、多様な若者たちが自分らしく活動を展開したり、あるいは余暇を充実させたりできるような、地域のユースワーク、ユースワーカーの役割を社会教育が担えるのだということが確認できるといいと思いました。特にお話にもありましたとおり、中学生以降、十代とか思春期以降の人たちにとっての地域とのつながりがどうしても抜けてしまう部分が多いと思うので、その部分をどうつくっていくかということを含めると、「ユースワーク」がキーワードになると改めて思ったのが1点です。
もう1点は、東さんの発表の中に、様々な社会教育施設の名前が出てきたのが印象的でした。現在の活動の1つのきっかけになったのは、国立大隅の少年自然の家のセミナーだったということがありましたけれども、昨日もちょうど国立の青少年教育施設の部会があったかと思いますが、この20年、全国の青少年教育施設が激減している中で、特に地域の中で体験格差という指摘も考えると、こういった青少年教育施設が果たせる役割や提供できるきっかけや体験がまだまだたくさんあるなということを再確認しました。なかなか厳しい状況ではあるんですけれども、こういう施設をいかに充実させていくかということも改めて考えたいなと思ったことのが2点目です。
3点目に、こういった青少年向けの施設を充実させていくという方向性と同時に、もう1個の方向性として考えたいのが、公民館や図書館の中での自習室の話もありましたけれども、多世代型の施設の中に、子供や若者を応援する役割をどう入れ込んでいくかという視点です。本来、公民館には若者を支援する役割もあったはずですけれども、若者支援の役割が公民館にあるという発想は、現場ではすごく希薄な感覚がずっとあります。国内で上手に居場所づくりをしているような事例や、北欧に行けば図書館の中にユースセンターがある事例などもあるんですけれども、公民館や図書館の中に居場所とか子供に関わる要素をどう組み込んでいくのか、そこを再編していくということもすごく重要だなと思いました。以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。ユースワークということや、また施設の重要性、多世代型の在り方などについて提起していただきました。
それでは、次に、安齋委員、美田委員、そして古賀委員、牧野委員、萩原委員の順でお願いします。では、安齋委員、お願いします。
【安齋委員】 安齋です。
緊張したと思うんですけれども、とっても上手で、プレゼンテーション能力も高いなと思ってお聞きしておりました。きっとそれは、小中学校、高校を通じて、東委員がいろいろな地域活動、総合的な探究の時間もそうでしょうが、そういう地域活動に参加することによって、いろいろな大人と交流してきたからこそ、そういうコミュニケーション力や、それからプレゼンテーション能力が高いのかなと感じました。東委員の高校であったり、小中学校は、コミュニティ・スクールにはなっていましたか。
【清原部会長】 いかがでしょうか。
【東委員】 なってないです。
【清原部会長】 なっていないそうです。
【安齋委員】 ありがとうございます。よく自分の学校がコミュニティ・スクールかどうか分からない子供たちが結構多いんですけれども、実は、コミュニティ・スクールになっていても、自分の学校がコミュニティ・スクールだということが分からない子供たちもいるんですけれども、私はコミュニティ・スクールを推進する立場にいたときに、まさにこの若者たちが地域とつながる、社会教育とつながる最初の接点がコミュニティ・スクールや地域学校協働活動で、地域の人たちが学校と関わっていくことがすごくいいきっかけになっているのかなと思うのです。先ほど、高校の先生方の実態の報告もありましたが、まさにこれから高校がもっともっとコミュニティ・スクールを導入することによって、この総合的な探究の時間も充実していくのではないかなと期待していますし、そのことによってその若者たちが社会教育に触れていくのではないのかなと感じています。
学びの好循環ということで、社会教育で学んだことを子供たちの教育にうまく転用していく、展開していくということが、今その地域学校協働活動などでは多く求められている姿なのだろうと思うんですね。そういう意味で、社会教育がさらに本当に実のあるものとして行われるためには、まさに本当にこの学校と関わりながら、子供たちに大人が関わっていく、そんな場をたくさんたくさんつくっていく必要があるのかな。
若者がこの社会教育という言葉に出会わないという話もありましたけれども、若者だけではなくて、大人自体が本当にこの言葉に出会っていない。公民館や何かでいろいろなものを活動の場にはしているんですけれども、出会ってない。だから、先ほども少しお話しをさせていただいたように、コミュニティ・スクールなのにコミュニティ・スクールだという自覚がない子供たちには、自分の学校はコミュニティ・スクールで、地域学校協働活動で、地域の人たちにたくさんお世話になっているんだよということをしっかりと子供たちが教えていきましょうということを学校の校長先生方にはお話ししていますが、まさにそういう、積極的に社会教育、そういったものを使って地域の人たちにも話していく、そういう必要性があるのかなと、東委員のお話を聞いて感じました。
以上です。
【清原部会長】 安齋委員、ありがとうございます。東委員が、まさに「高校の探究授業との社会教育の連携」を提案されたことに触発されて、コミュニティ・スクールそのものがまさに社会教育による若者の参画の1つの道筋を示していくのではないかということです。
ここで、東委員の肩書が「喜入マナビバプロジェクトつわぶき代表」になっているものですから、若者当事者といってももう一つ「大学生」でもあるということを確認させていただいて、まさに若者として、今日は社会教育の若者への広がりについて提案していただいたということを再確認しながら、皆様、意見交換をしていきましょう。
それでは、美田委員、お願いいたします。
【美田委員】 ありがとうございます。美田でございます。
まず、お礼といいますか、子ども会という言葉を多用いただきまして、本当にありがとうございました。また、残念ながらなくなったということでしたけれども、ジュニアリーダークラブというものが中高生をもって現在全国でもまだまだ残っている地域は多々あるのですが、おっしゃったとおり、残念ながらどんどん減ってきているのが現状でございます。
非常に感銘を受けたのが、この子供たちが、小学生・中高生もそうなんですけれども、自ら考えて能動的に動けるような環境、そういった場所が保障されるというのが私も非常に大事だと思っておりまして、特に今回の発表の中で感じたのが、まさに社会教育士も今後裾野を広げて展開していこうという中で、やっぱり教育委員会だけではないなというところをすごく感じました。首長部局でありますとか、様々な行政機関での理解といいますか、そういうことが本質的に必要なのだなということを強く感じました。
以上でございます。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさに教育委員会だけで考えるのではなくて、首長部局の中に若者の位置付けがあるということも重要だと私も思います。
それでは、古賀委員、よろしくお願いします。
【古賀委員】 古賀です。東委員、発表をありがとうございました。私も非常に感銘を受けました。
このところ、「小さな拠点」とか「農村RMO」とか、様々な場面で、20代の地元で仕事を起こしている若者やUIターンで入っている若者と度々意見交換をする機会がありまして、東委員のお言葉を借りると、居場所とか活躍の場のニーズというのは、減っているわけではなくむしろ増えていると感じているところです。
こうした方々をうまくたきつけている社会福祉協議会とかNPOの関係者の動きを見ていると、やはり「社会教育」とほぼ擦れ違いもせず活動をしている方が多く、よく見ればそのプレーヤーが多様化していて、層も厚みを増していると映ります。一方で、社会教育を学び始めている人たちもいて、「もっと早く知ればよかった」という声も聞かれます。多様化するプレーヤーにいかに訴求をしていくかということと、今なぜあえて「社会教育推し」をしていくのかというところをもう少し言語化して、いろいろなところでPRしていきたいなと思いました。「信頼できる大人」とか、「伴走役」は恐らく社会教育に深く関わってきた人たちに多くいるとも考えていて、もっとフィールドを共にしていけるといいなと思いました。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさに地域で若者たちが、多様にまちづくり、地域づくりに関わっている中に、いかに具体的に早く社会教育の働きを伝えて具体化していくかという御提案です。ありがとうございます。
それでは、牧野副部会長、お願いします。
【牧野副部会長】 牧野です。東さん、プレゼンをありがとうございました。とてもいい勉強になりました。
ちょっと深読みしたい気がしたのですけれども、先ほどの御発表の中で、幾つかのキーワードが出てきたと思うのです。1つは“やりたい”ということであったりとか、それからあとは、“社会教育士”は当然なのですけれども、“出会える機会”であったりとか、さらには“自由”という言葉であったりとか、それから、“伴走”という言葉であったりとか、あと“信頼できる大人”であったりとか、たくさんいろいろなキーワードが出てきたと思うのですが、今日、東さんのお話を伺っていて、社会教育人材部会で議論をしたことを少し思い返していました。例えば、社会教育人材といったことを議論するときに、この社会教育士にもっと関心を持ってもらうために、例えば、高校生たちぐらいまでにユース社会教育士であったり、ジュニア社会教育士という称号を出すことはできないかというような議論をしたことがあるのです。
今日のこの御発表の中で、私がとても感銘を受けたのは、“やりたい”ということと、それから、多分、東さん自身は、社会教育主事が少し堅い感じがしていて、社会教育士が“自由”だというときに、結構いろいろなことができるのではないかと思われたと思うのですけれども、この“自由”を深読みをしていくと、例えば若者たちが“やりたい”と思えるのは、実は“自由”であるからだと思うのですが、その“自由”というのは、何か束縛から逃れて、好き勝手できるようになっているということではなくて、むしろ、先ほどお話のあった“伴走支援”であったり、信頼できるといった、ある種よい人間関係があるというか、自分がきちんとこの社会の中に位置付けられているという感覚を持つことによってやりたいことが出てくる、そういうことなのではないかなと思ったのです。
例えば、少し前ですけれども、高校が荒れているときに、非行の子供たちにいろいろな聞き取り調査があって、何でこんなことしたんだと聞くと、暇だったからという答えが結構多くて、なぜ暇だったらこんなことするんだと言うと、退屈だったからという話になるのです。今のこの社会で、“自由”というのは、実は、人間関係から切れていく自由みたいな捉え方、個人が好き勝手できる自由みたいな議論になっていってしまっていて、そうすると孤立していくわけですよね。そうすると、やることがなくなってしまうので、自由だけれども暇になってしまって、暇だから退屈になってしまって、刺激が欲しくて悪いことをしてしまうみたいなことが起こっていた。その時、学校はどう動いたかというと、だから部活をたくさんさせるとか、管理を強化するとか、宿題をたくさん出すとかという形で、忙しくして、暇をなくすということになっていたと思うのですが、本当は、人間はそうではないのではないか。今日のお話は、どちらかというと、子供たちも含めて良い人間関係の中に自分がきちんと置かれているということにおいて、やりたいことが出てくるようになってくるというか、そういう“自由”があるのだというか、それこそが本当の“自由”なのだというふうに東さんはおっしゃりたいのかな、少し深読みし過ぎかもしれませんけれども、そう思ったのです。それは、私たちが社会教育を考える上で、とても大事なことなのではないかと思うのです。その意味では、社会教育に触れる機会が少ないとか、社会教育士があまり知られていないといったこともあるのですけれども、むしろ若者たちがそういうよい関係の中に入ることで、ごく自然に実は社会教育に関わっているのだということになるような、そういう社会づくりをしていかなければいけないなと思って話を伺っていました。どうもありがとうございました。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさに東さんが提起してくださったいろいろなキーワードを受け止めていきたいと思います。
それでは、萩原副部会長、お願いします。
【萩原副部会長】 東さん、どうもありがとうございました。先ほど青山さんもおっしゃっていましたけれども、私も青少年の施設に関しての検討委員に入っているので、そことの出会いが大きかったというのは、大変うれしく思っております。
1つ、中高生自身が考え、自ら進んで行動できる環境づくりが必要だという御提案、1つ前例、既にあるものなんですけれども、今、豊島区が、これは条例制定をされているんですけれども、中高生センター条例というのを持っていまして、これは中高生センタージャンプという、中高生が自ら運営とか企画とかをやっているところが2つございます。このきっかけになったのが、10年前に消滅可能性都市と言われたときに、若い不安の女性たちが集まって意見交換をしました。その中で、まさにおっしゃったように中高生の居場所がないじゃないかということを若者から出まして、そういったところから、区のほうで児童館なんかを改装して造っているものです。そこでは、中高生たちの自主的な活動を応援する大人たちが周りにいます。心の健康も含めてなんですね。ですから、そういう場を提供するということは、各地域にとって非常に重要なことではないかなと思いますので、ちょっと見てみてください。中高生ジャンプと引いていただくと、ホームページにぱっと出てまいります。
もう一つ、地域で何かをするとなると、1人では絶対にできません。NPO業界では、古賀さんもいらっしゃいますけれども、私たちは、最初はNPPというふうに言っています。NPPというはノンプロフィットパーソン、もうけにもならないことを率先してする人ということですね。何かこれ変とか、どうしてこうなっているのとか、何か美しいなとか面白いなって、そういうふうに思った人が言ったり行動したりしていると、そこに集まってくる人たちがいる。それが同年代であったり、あるいは大人だったり、そういったところで、何か言ったりやったりということがすごく重要で、東さんが行動を起こしたことが地域を変えていっているんだなということを今日改めて実感して、やっぱり1人から始めるというのも大事かなと思った次第です。ありがとうございました。
【清原部会長】 ありがとうございます。やはり中高生の居場所を中高生が運営するという、東さんも同様の取組をされているわけですが、そしてNPPということも改めて確認したいと思います。
それでは、柏木委員お願いします。
【柏木委員】 本日は御発表をありがとうございました。私から3つ質問があります。
まず1つ目は、探究学習を進める際に、先生が困っていることという資料があったんですけれども、実際に生徒さんが探究学習を進める中で、資料に書かれている内容以外に困ったことがほかにあったかというのをお伺いしたいのが1つ目です。
それから、2つ目としては、若者、あるいは学生さん、高校生さんがいろいろな活動をしたいという思いは持ちつつも、最近バイトをしなくちゃいけないとか、ボランティアをしている場合じゃないというようなところで、なかなかしたい気持ちはあっても、もうそこに時間とか労力を振り向けることができない状況というのも聞いたりします。東さん自身は、周りの学生さんを見ていて、そういうような状況にあるのかどうか。そういうような中でも、もし活動に一歩踏み入れるとしたら、どういうようなことが考えられるのかということを教えていただきたいと思います。
それから、3つ目として、信頼できる大人の存在が必要と書いてありました。恐らく学校の先生は信頼できる中に含まれると思うんですけれども、この意味は、信頼できる大人の方々がいろいろな場所にいるとか、何人もいるといったことが必要という意味で書かれているというような理解でいいのかどうか、もう少しここを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【清原部会長】 3つの質問を頂きました。1つは、探究学習で困ったことについてもう少し。2点目は、ボランティアの活動をするときに、若い人たちに思いはあっても、それに取り組めないような状況が今あるかどうか。そして、3点目においては、信頼できる大人についての再確認です。よろしくお願いします。
【東委員】 探究の授業で困ったことなんですけれども、私の学年の先生方は、何かすごく探究の授業を楽しんで一緒にやってくださっていたので、自分が何か困ったことがあっても、すぐ相談したら一緒に考えて、こうすればいいんじゃない、あの人に聞けばいいんじゃないみたいな感じで寄り添ってくださっていたので、そこまで私自身は困ったことはなかったなとは思うんですけれども、弟がいるんですけれども、弟の探究を見ていると、やっぱり、何というか、調べ学習で終わっているなみたいな子が多くて、あまり探究に対して理解がないとか、そんなに熱心じゃないみたいな先生方が担当だと、何か自分がやりたいと思ってもつながりを作ってくださる人がいないので、そういう面では困っている高校生も多いのではないかなとは思います。
2点目なんですけれども、地元の団体の中高生メンバーを見ていても、本当に今の子たちってすごく忙しくて、部活も遅くまであったり、あとは勉強もすごく大変で、宿題もたくさん出ているしみたいな形で、なかなか活動に参加したくてもできてないという子は、割とたくさんいるなと感じています。だから新しいことを何か始めるというのは、すごくパワーの要ることですし、私は部活動をやっていなかったからこそできたんだろうなと思っているので、何かやりたいとなったときに、その土台は既にあるみたいな、例えばですけれども、それこそジュニアリーダーに入ったら何か新しいことに自分も挑戦できるみたいな、そういうやりやすい、挑戦しやすい環境みたいなものは必要、今後本当に大事になってくるんだろうなと考えています。
信頼できる大人ですが、地域で活動している中で、悪い大人の方たちもいるなみたいなことは思っていて、私たちは何も知識もないですし社会経験もないので、すぐにだまされちゃうんですよ。だから、絶対にこの人は大丈夫だって安心できる人というのがすごく大事だなと思っていて、その存在がいるからこそ保護者の方たちも安心して送り出せる、挑戦させることができるのかなと思っていて、保護者目線で考えたら、それこそ行政の職員さんたちって絶対に安心できる方たち、もちろん学校の先生もそうなんですけれども、行政の方たちもすごく信頼できる大人だと思っているので、我が子が何か地域でやりたい、外に出ているみたいなときに、相談しに行っている相手が行政職員とか、本当に保護者目線でも信頼できる人という存在がいると、安心して保護者の方たちも我が子を応援できるのではないかなと思っています。
【清原部会長】 柏木委員、いかがでしょうか。
【柏木委員】 ありがとうございます。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさに今のやり取りは、東さんが最後のページに「さいごに」ということで書いてくださった、「若者の社会教育参画のために、『社会教育』という言葉や社会教育人材と出会う機会の創出」、そして「高校の総合的な探究の時間との連携」に加えて、「中高生自身が考え、自ら進んで行動できる環境づくり」に、まさに信頼できる大人がきちんと伴走をしている必要があり、それが社会教育主事や社会教育士といった存在ではないかというようなことではないかと思います。
私からまとめさせていただきますが、本日の「若者の社会教育参画へ向けて」という東委員の御発表からは、まさに実際に若者当事者として社会教育と出会い、そして自ら仲間と一緒に中高生の居場所づくりを地域で実施してくる中での「信頼できる大人」との出会いの意義、「社会教育人材」との出会いの意義から、それをもっともっと多くの若者たちに広げていきたい、伝えていきたい、そして活動をしていくことにつながればという思いが伝わりました。
「こども基本法」の第3条の理念には、もちろん子供に関することについて、子供たちの意見を聞くことが求められていますが、それと同時に、子供たちの社会的活動への参画の機会を保障するということも並んで書かれています。すなわち、単に子供たちの意見を聞けばよいというのではなくて、子供、若者も含むのですが、子供・若者の社会的な活動への参画を保障するということも理念として掲げているわけです。文部科学省の学校教育、社会教育に関する政策というのは、それぞれの子供・若者が、それぞれ自主的・自発的に学び、そしてそのことを通してそれぞれの人生を豊かにしていくことを目指す中に、地域との関わりは欠かせません。東さんが、まさに学校の探究活動から地域へと活動を広げて、今また社会教育の重要性を発表してくださいました。そのことを重く受け止めて、次の議題に移りたいと思います。よろしいでしょうか。皆様の活発な意見交換が東さんの発表をさらに深めて、私たちの共通事項を増やしてくれたように思います。
それでは、「審議事項1に関する意見の整理(案)」の議題に移りたいと思います。まず、事務局から説明をしていただいた上で、皆様との意見交換に入ります。議題の(2)、「審議事項1に関する意見の整理(案)」について、それでは、高木地域学習推進課長、事務局からの発表をよろしくお願いします。
【高木地域学習推進課長】 地域学習推進課長でございます。資料2-1と2-2を用意させていただいているところでございます。2-1は本文でございますが、2-2のほうが前回御提示させていただいたものからの修正点が分かるものでございますので、2-2で御説明させていただければなと思っておるところでございます。
説明の便宜上、2ページをお開きください。2ページの中ほどに、諮問の中の審議事項として1、2、3というものを示させていただいているところでございます。審議事項1、「社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策」といったことを御審議いただいているところでございますけれども、前回お示しさせていただいたのは、その1つ目の「社会教育人材を中核とした目指すべき社会教育の在り方」、ここの部分だけを反映したものだったんですけれども、前回までの御議論を踏まえまして、「社会教育主事・社会教育士の役割・位置付けの明確化」、「社会教育主事・社会教育士の養成の在り方」につきましても反映したものを今回示させていただきました。
1ページに戻ってください。その目次、アウトラインに関わるものでございますけれども、柱書きとしましては、3ポツ、「社会教育の推進に向けた今後の方向性」の「(1)社会教育人材を中核とした社会教育の推進」の中に、「社会教育人材に期待される役割・能力」、「社会教育主事・社会教育士の位置付け」、「社会教育主事・社会教育士の養成の改善」、それと、マル6でございますけれども、「若年層を中心に社会教育への関心や参画を広げる工夫」を新たに項目として追加させていただきました。特に若年層を中心に社会教育への関心や参画を広げる工夫というのは、今回、東委員にプレゼンをしていただいた内容、かつ今のいろいろな委員の方々の御意見を踏まえまして、また厚くなると思いますけれども、まずは前回までの御審議、御議論の中のものを反映したものでございます。
2ページに戻ってください。この意見の整理の趣旨を、最後の3行に新たに付け加えさせていただきました。この本意見の整理を踏まえまして、審議事項2では社会教育活動の具体的な推進方策、審議事項3では国・地方公共団体の体制の在り方や、制度的対応も含めた方策について審議する予定であることを追記させていただいたところでございます。
3ページでございます。前回の委員の意見の中で、主語、主体がよく分からないという御意見がありました。それを踏まえまして、ここの3ページで言いますと、下のほう、「国・地方公共団体が関係機関とも連携しながら」でありましたりとか、「国・地方公共団体において」といったような修正をしているところでございます。こういったところが多々ありますが、非常に多いものですから、今後御説明は割愛させていただきます。
4ページから、「社会教育における学びの特徴」ということで、5ページに行きまして、その学びの特徴の主な検討の視点の中で、学びを通じて地域への愛着が醸成、育まれるといった話があったんですけれども、地域に若者を留まらせよう、というような形ではなくて、もっと幅の広い地域のつながりを見せるような、広く貢献するという形の方向性を示したほうがいいのではないかといった御指摘がございましたので、「地域への愛着や社会への貢献意識が育まれ」という形で修正しております。
5ページ、下のほうに行きまして、(2)の社会教育に期待される役割につきまして、6ページに行きますと、大きく修正されておるところでございますけれども、こちら、以前あったものから前のほうに、検討の順番を入れ替えてエッセンスを大きく入れたところでございます。教育基本法第12条に示されているような「個人の要望」の観点、「社会の要請」の観点という形で整理させていただいた上で、社会教育は、人々の自由で主体的な学びに基づいて行われるものであることに留意する必要があるといった形で示させていただいているところでございます。
6ページ、主な検討の視点の中で、下のほうでございますけれども、また、地域づくりを担っている地域コミュニティに関する分野で活動する人々に向けて、社会教育とは何か、またその魅力が伝わるような発信をしていくことが重要という形で、御意見を踏まえまして反映しているところでございます。
6ページの下のほうから、「人づくりとつながりづくり」の話が始まりまして、7ページでございます。その中で、学校教育との連携というところがありましたけれども、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進について、明示的に示しているところでございます。
7ページ、下のほうから、「つながりづくりと地域づくり」といった話が始まるんですけれども、最後のところで、8ページに行きまして、地域コミュニティの希薄化、衰退は顕著といったことだけ示しておったんですけれども、その根拠となるようなデータ等を欄外のほうに記載させていただいているところでございます。
10ページから、3ポツの「社会教育の推進に向けた今後の方向性」というものに入ります。1つ目としまして、「社会教育人材を中核とした社会教育の推進につきまして、マルの2つ目、社会教育行政に対する説明が若干稚拙なところがありましたので、地方教育費総額に占める社会教育費の割合が年々減少傾向であるといったことなどを含めて、またバックデータになるようなものも欄外に示させていただいているところでございます。
中段のほう、幾つか消しておるところがあるんですけれども、そちらは、新たに項目立てをさせていただいたほうに持っていっておりますので、同様の内容は盛り込まれているところでございます。
その中で追記しているものでございますけれども、社会教育と関わりの薄かった層から新たな関心を向けられている今を好機と捉えまして、社会教育人材の育成、活躍を加速度的に広げる次の一手を打つことが必要といったものを追記させていただいたところでございます。
その社会教育の推進に関して、主な検討の視点、この10ページの最後の行でございますけれども、社会教育行政は主に社会教育施設の設置・運営に重きを置いてきたといった経緯があると。近年、次のページへ行きまして、その状況を踏まえれば、今後はこれまで以上に社会教育人材の育成・活躍促進についても重要な柱として捉えていくことが必要といったことを書かせていただいているところでございます。
11ページの中段ぐらい、マル2の手前でございますけれども、ここも追記させていただきました。社会教育人材が可視化され、活躍事例が増えつつある現在におきまして、社会教育人材をネットワーク化しまして、点ではなくて線、面としての地域の教育力の発揮に発展させていくことが必要と、こうしたことが社会教育全体の振興にも資するものであるといったことについて追記させていただきました。
下段のほうから、「社会教育人材に期待される役割・能力」、新たな柱でございます。そちらに関しまして、12ページに行きまして、行政の専門的教育職員としての固有の内容を明らかにするといった形になりまして、社会教育人材部会の最終まとめでは、整理としまして、社会教育士は「各分野の専門性を様々な場に活かす学びのオーガナイザー」として整理しています。
2つマルが下へ行きまして、社会教育人材に必要な能力といったものに関しましては、コーディネート能力、ファシリテーション能力、プレゼンテーション能力といった汎用的に活用し得る能力が整理されているといった形でございます。
主な検討の視点としましては、ここから細かく項目立てをさせていただいているところでございます。まずは、期待される役割の具体的なイメージといったところでございまして、13ページに行きまして、人づくりとつながりづくりの観点では、その活動に向かう主体性を高めて、継続的なものとしていくような役割が期待されているところです。
次に、つながりづくりと地域づくりの観点からは、対話の中で生まれたアイデアを、人々が主体的に実現するための支援などが期待されておるところであると。加えて、共生社会の実現の観点からは、多様性を尊重する視点が重要。マイノリティも含めた多様な人々が参画するきっかけづくりでありましたりとか、エンパワーメントする役割も重要と。こうした社会教育人材の学びの支援というのは、自己肯定感の向上にも資するものであるといったことでございます。
続きまして、期待される能力の具体的なイメージといったことで、3点ほど書かせていただいていますけれども、第一に、人々の持ち味を最大限引き出す関わり方ができるといったこと。触媒のような存在であるということでありましたりとか、自らが活動を担うプロモーターとして関わるということも考えられるのかなと。
第二にでございますけれども、人々が結果として無意識にそれに貢献していくような工夫ができること。活動の楽しさや人々が関わる中で仕掛けていくことが有効ではないか。
第三にということで、多様な主体との連携・協働ができることということで、ネットワークを構築することも望まれるといったところでございます。
最後のマルでございますけれども、社会教育人材に期待される役割や能力は、社会教育分野に限らず、地域住民に関わる様々な施策を実施する上でも重要といったところでございます。
次に、社会教育主事固有の役割等でございますけれども、14ページに行きまして、社会教育主事は、他分野の専門職と対等に協働しながら多様な分野と社会教育をつなぎ牽引する、言わば「地域全体の学びのオーガナイザー」として、地域の社会教育振興の中核を担うことが求められる。このため社会教育主事は、教育行政職員として求められる専門的知見を学ぶことが必要であるといったところでございます。
最後のマルでございますが、社会教育主事及び社会教育士について、それぞれの立場に応じた位置付けを明確化することが必要といったところでございます。
マル3として、「社会教育主事・社会教育士の位置付け」でございます。まず社会教育主事であります。社会教育主事は、教育委員会事務局に置かれる専門職であり、社会教育関係者に対する専門的技術的な助言指導を行うといったことでありましたりとか、学校が社会教育関係団体等と協力して行う教育活動に対しまして、求めに応じて必要な助言を行うことができると。それ以外にも、地域の学習課題やニーズの把握であったりとか、学習プログラムの立案、地域人材の育成等々、広範多岐にわたっているところであると。
そうでありながら、社会教育主事の配置率というのは、市が約4割、町村が約3割といった状況でございまして、未配置の主な理由としては、有資格者がいないであったりとか、未発令であっても社会教育に関する事務が可能ということが挙げられていると。主事が期待される機能を果たしていない状況をどのように改善していくのかといった検討をすることも必要といったことで、主な検討の視点でございますけれども、15ページに行きまして、まずは柔軟な受講環境が必要ではないかと。有資格者がいない背景としましては、主事講習の受講負担の重さが指摘されていると。オンライン・オンデマンドや夜間・休日での開講等、働きながら受講ができる柔軟な受講環境の整備が急務であると。
次に、職務内容の明確化といったところで、例えば、社会教育計画の策定でありましたりとか、首長部局の協働領域における助言指導、ネットワークの構築・活性化などが挙げられ、これらを明確化することが考えられるのではないかと。
適切な任用要件の設定・見直し。社会教育主事の配置に課題のある地方公共団体においては、適切な任用要件の設定であったりとか人事計画の策定、それらの見直しが必要ではないかと。例えば、社会教育士等を中途または任期付きも含めて採用するなど、地方公共団体の判断で柔軟な配置の在り方というものも考えられるのではないかと。
あと、戦略的なキャリアデザインの明示ということで、学校現場から社会教育主事になった方に対しまして、社会教育主事を離任しても、立場や職位に関係なく、社会教育人材ネットワークによって、本人のその後のキャリアにも生かせるようなことであると財産ではないかと。
各地方公共団体において、社会教育主事の経験を戦略的に位置付けたキャリアデザインを描くことは、その地域コミュニティ政策に携わる人材を育成する観点からも有効ではないかと考えているところでございます。
16ページに行きまして、教員を社会教育主事に任用している主に都道府県教育委員会としましては、社会教育主事の経験が教員としての側面、社会教育人材としての側面の双方から相乗効果が生かせるようなキャリアデザインを示すことも重要と。
体制面のサポートとしましては、社会教育主事を孤独にせず、チームで活動できるような工夫が必要。社会教育主事のネットワークがキャリアを重ねた社会教育主事の豊富な経験の蓄積が評価され、その成果が若手育成等に還元するインセンティブとなるような仕組みは考えられないかと。
社会教育主事の設置ということで、社会教育主事は教育専門職として社会教育全般の指導助言の事務を掌ることから、社会教育主事が「地域全体の学びのオーガナイザー」としての役割を求める上で、教育委員会事務局への設置は必須でありながら、次のマルでございますけれども、公民館等の社会教育施設や学校、首長部局の職員の職を兼ねさせるといったこと、各地方公共団体において柔軟に対応することが考えられると。
国としては、こういった好事例を収集・周知することで、市町村の社会教育主事の配置に係る有用性の理解増進を図る必要があると。
社会教育主事の給与費に関しては地方交付税措置が講じられているところでございます。また、都道府県からの派遣社会教育主事制度における経費につきましても、平成10年以降、地方交付税措置が講じられているところでございます。また、地方自治法第252条の7に基づきまして、社会教育主事を複数の自治体で共同で設置することが可能になっているところでございます。国としましても、市町村における社会教育主事の設置、未設置市町村に対する都道府県の支援を促進していく必要があるとしているところでございます。
次に、社会教育士でございます。17ページでございます。社会教育主事講習の受講者が増加傾向ということで、社会教育士取得の新たなニーズが生まれていると。ただ、所属先や活躍先は多様である一方、認知度は低く、具体的な活用のイメージが持ちにくいという指摘があるところでございます。
主な検討の視点として、想定される活躍先としましては、社会教育施設の職員であったりとか、学校と地域の連携・協働の担い手、NPO法人、地域おこし協力隊、地方公共団体における住民との協働分野や子供・若者支援に携わる職員等。
採用等における評価の促進といったところで、企業でありましたりとか、行政等の採用等における評価される仕組みが必要ということで、例えば、社会教育施設の職員採用であったりとか、指定管理を導入する場合の公募や審査において、社会教育士取得者を評価することが重要であるといったことでありましたりとか、あと教員採用の選考におきまして、工夫の一環として社会教育士取得者への加点措置でありましたりとか、地域連携担当教員としての積極的な活用が行われている実態があります。
さらに、地域学校協働活動推進員でありましたりとか高校コーディネーターを配置する際に、そういう社会教育士の活用を促進するため、国において好事例を収集・展開していくということでありましたりとか、手引きなどにおきましてもそういったことを周知することが必要と。
首長部局におきましても、こども家庭庁が進めておりますこどもの居場所づくりコーディネーターをはじめとしまして、社会教育士が地域において活躍できる場を積極的につくることが必要ということでございます。
活躍をサポートする方策といったところで、地方公共団体における社会教育士のネットワークが形成されるように、国として全国の社会教育士の活動地域とか活動内容を検索できるような情報の集約・収集等が必要ではないかと。
また、地方公共団体におきましても、18ページに行きまして、社会教育士と連携した事業でありましたりとか、活動を後押しするような取組が期待されているところでございます。国・地方公共団体におきまして、継続的な学習機会を提供するとともに、民間も含めた様々な学習機会の情報を提供することが重要と。
地域づくりの専門人材というのは、関係省庁の政策で様々なコーディネーターが存在するところでございます。例えば社会教育士と様々な分野におけるコーディネーターが連携していけるように、活躍していけるように、制度の周知とか活躍事例の収集・展開を図ることが必要といったところでございます。
4番目が主事・士の養成の改善といったところでございまして、マル2つ飛びまして、現在の社会教育主事講習は、行政の専門職の育成を前提としたカリキュラムになっていると。社会教育士を目指す新たな受講層とのニーズと講習内容のミスマッチが生じているという指摘があると。
社会教育主事と社会教育士について、異なる役割に応じた養成方法や内容の改善方策を検討する必要があるといったところでございまして、主な検討の視点で、養成方法や内容の見直しといったところで、社会教育士として地域の学びを支援するために必要な学習内容を土台、1階におきまして、社会教育主事として地域全体の学びをオーガナイズするための学習内容を設けるという2階建てのカリキュラムを再構築してはどうかということで、19ページに移っています。その際も社会教育士が行政と連携できるような、1階部分の学習内容に社会教育行政に関する基礎的な学びは必要であると。
社会教育士を取得した上で、様々な分野に特化した専門性のある学びの機会も、さらなる資質向上のオプションとして継続的に提供していくことが重要と。国が行っています「社会教育士フォローアップ研修」なども活用することが考えられると。
主事、士を前提としながらも、同様の力を持つ人材を広く育成していく方法も検討が必要と。称号取得が容易になるような段階的な仕組みを検討することも必要と。
主事講習につきましては、既に社会で様々な分野で活躍している人々が、社会教育の手法や魅力を広げる担い手となっていくという考え方も重要と。
受講環境の整備でございますけれども、夜間・休日、オンライン・オンデマンドの活用など、多様なニーズに応じた環境整備が必要と。
主事養成課程と教職課程の連携と。教職課程では、「学校と地域との連携」というのは必修で行っているところでございます。主事の養成課程の科目のうち、教職を目指す学生にも有益であると考えられるような科目につきましては、教職課程の大学独自設定科目に位置付けることの有用性について周知することが必要と。
令和4年12月に中教審で出された答申におきまして、教師一人一人の「強みや専門性」を高めることが必要となっているところでございます。19ページの下のほうでございます。この「強みや専門性」が幾つか例示されていますけれども、その中には社会教育が含まれているところでございます。
20ページに行きまして、こうした答申なども踏まえまして、主事養成課程において、教師を目指す学生が、社会教育士も併せて取得しやすくなるような工夫が必要と。国は、主事養成課程と教職課程の両立を目的とした教育課程の編成等の検討を促すことも必要と。
また、さらに昨年12月に新たな諮問があったところでございますけれども、初等中等教育分科会教員養成部会のほうで、新たな教員養成の方策の審議が行われているところでございます。国としましては、社会教育主事養成課程との有機的な連携方策について検討をすることが必要といったところでありますし、また、国としても地域とともにある学校づくりにおいて社会教育人材の果たす役割や連携事例等についての周知を図ることが重要となっているところでございます。
社会教育人材ネットワーク、これは前回のところで書かれているところでございますので、説明は割愛させていただきます。若干修正をしているところでございます。
21ページでございます。マル6番、「若年層を中心に社会教育への関心や参画を広げる工夫」でございます。小中高校生に対しまして、探究学習の先につながるものとして社会教育における学びを示すことが分かりやすいのではないかと。
高校の総合的な探究の時間のカリキュラム開発において、公民館と高校コーディネーターが中心的な役割を担っている例が見られるといったことでありましたりとか、次のマルでございますけれども、地域学校協働活動推進員が探究学習をはじめ高校の教育活動につながる地域との連携・調整やカリキュラムづくりへの助言等を担うケースも増えつつあるということを踏まえて、主な検討の視点でございます。国におきまして、社会教育が学校の探究活動に対して連携・協働している好事例を収集して、学校関係者、社会教育関係者の双方に周知することが必要と。探究学習を通じて子供たちが社会教育に触れるきっかけになるとともに、地域や関係団体等との調整業務に関する教師の負担軽減にも資すると考えられると。
最後のマルでございますけれども、高校生をターゲットに、地域づくりや社会教育に興味関心を持ってもらえるようなプログラムをe-ラーニングなどを活用して提供することが考えられるといったところでございます。
「(2)社会教育行政と関係機関との連携」でございます。22ページに行きまして、学校教育との連携でございますけれども、主な検討の視点のところで、「社会に開かれた教育課程」との関係などが書かれれているところでございます。
下段のほうから、首長部局との連携でございます。23ページに行きまして、社会教育人材が有用なことを首長部局に理解されていくためには、教育委員会においても積極的に活用することが必要と、国としてもそうした事例を収集・周知をしていくことが重要といったところでございます。
また、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な取組についても記載を充実させているところでございます。
(3)からが、「社会教育行政を推進するうえでの重要な視点」で、まず、共生社会の実現でございます。こちらも前回御意見をいろいろと言われていたところを含めて、24ページについて幾つか修正をしているところでございます。24ページの最後の3行ところでございますが、地方公共団体が取り組んでいる子供・若者の支援の担い手に、社会教育士を活用できるのではないかといったことも、委員の御指摘を踏まえて追記しています。
25ページでございます。幅広い世代の参画を促す工夫ということで、公民館が、高齢者が主たる対象者というような認識を払拭することが必要といったところについては、公民館は高齢者についても良い活動をしていると、重要な役割を果たしているということで、書きぶりを修正しているところでございます。
すみません、時間がオーバーしましたけれども、大体こういうところが修正箇所でございます。よろしく願いいたします。
【清原部会長】 ありがとうございます、高木課長。「審議事項1に関する意見の整理(案)」について御説明いただきました。
今回、「3、社会教育の推進に向けた今後の方向性の(1)社会教育人材を中核とした社会教育の推進」について、かなり書き込んでいただきましたので、この部分を先に意見交換させていただき、その他の部分について、あと残りの時間、意見交換をしたいと思います。
例えば、この間の皆様との審議、それからメールや、あるいは個別に頂いた情報などを踏まえて、この3の(1)を補強しています。1つの例では、16ページの一番下の〇でございますが、「特に小規模自治体においては」というところで、「自治体同士が協働・連携して、教育行政に係る事務を共同で実施する体制を構築することが有効であり」というところについては、私が初等中等教育局の「令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の在り方についての有識者会議」の審議過程でこのことを確認しましたので、事務局と御相談して、特に「小規模自治体における取組」について補強していただきました。
というように、かなり皆様の御意見を反映して3の(1)を補強していただいていますので、これにつきまして、さらに付け加えるべき点やお気づきの点がありましたら、今日の会議が17時まででございますので、16時40分頃まで皆様と3の(1)の充実した部分について御意見を頂き、残りの部分を17時までにと思いますので、どなたからでも結構ですので、時間が惜しいので、どうぞ一言でも御発言を頂ければありがたいです。
それでは、美田委員、お願いします。
【美田委員】 ありがとうございます。意見といいますか、感想に近いかもしれませんが、社会教育主事の、例えば14ページからの位置付けについて、後につながる社会教育士の役割との違いで、社会教育主事の役割をより法令に基づいたものに近づけて、より強制的にすることによって、結果、社会教育士の役割というのも高まるのかなと感じて見ました。その配置の必須であるとか、様々その辺のところが、結構、これが具体的にどう取り上げられるのかは定かではございませんが、このような書きぶりが、何ならもう少し強く言ってもいいのかなと思ったぐらいの感想でございます。
以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。
それでは、小見委員、よろしくお願いします。
【小見委員】 ありがとうございます。まず、今、美田委員も今おっしゃっていたその社会教育主事の役割とか位置付けについてです。10ページとか14ページ辺りに書いてあるところなんですけれども、社会教育主事は教育委員会に置くことが法律で定められていますけれども、今、公民館の機能を首長部局に移管している行政が増えているということを考えると、教育委員会だけに設置するというふうに限らずに、行政内の社会教育的な取組をしている部署にも社会教育主事を設置するということが今後求められてくるのではないかなと考えています。そうすると、社会教育主事の発令を、教育委員会に限らず、その自治体の状況に応じて柔軟に社会教育の機能を果たしていただくということが、ゆくゆく検討していけるとよいと感じました。
同様に、15ページとか16ページに書かれている、また社会教育主事の配置についてなんですけれども、複数名の社会教育主事を発令している場合、県や市町村によって違うんですけれども、行政職の方と教員職の方がバランスよく発令されると、教員職の方は学校教育とつながるのがきっとお上手ですし、首長部局のもともとの方は地域コミュニティとの連携・協働というところがお得意だと思うので、チームで社会教育主事というか、その役割を果たしていくということを考えると、そこの偏りをなくし、バランスよく機能するよう働きかけも必要になるのかなと考えました。
あと13ページに示されている、少し具体的な話になるんですけれども、「プロモーターとしても関わる」という文言についてです。以前から審議会の中で何度か出てきている言葉ではあるんですけれども、改めて読み直してみると、地域ではまだプロモーターという言葉は一般的に使われてない用語ではないかなと感じました。解釈にぶれが生じそうなので、注釈等で解説を入れられるとよいかなと思いました。
最後に、21ページに、探究学習等における社会教育の役割について書いていただいているんですけれども、主語が分かりにくい表現があるなと思いまして、探究学習に関わる社会教育人材や、先ほど古賀委員もプレーヤーが多岐に及んでいるという話があったので、21ページの主な検討の視点の1つ目のところなんですけれども、「こうした事例は、探究学習を通じて子供達が社会教育に触れるきっかけになるとともに、地域や関係団体等との調整業務等に関する教師の負担軽減にも資すると考えられる」とあるんですけれども、ここの主語の部分が、公民館に限らず社会教育施設ですとか、社会教育士など、多様な方がハブになるということが少し加えられると、公民館だけではなくて、社会教育人材もここに資するということが読み取れると思いました。
すみません、以上です。
【清原部会長】 丁寧に読んでいただき、御提案をありがとうございます。特に「教育委員会と首長部局との連携」というのを3の(2)には書いているわけでございますから、その中でも社会教育主事の配置について、どのように具体的に自治体の実情に沿って対応できるかということについての御提案は、丁寧に書き方は考えていきたいと思いますし、今御指摘の点や、プロモーターという概念などについても承りました。ありがとうございます。
それでは、続いて青山委員、関委員、牧野委員、柏木委員の順で御発言をお願いします。青山委員、お願いします。
【青山委員】 青山です。私からは3点あります。
1つは、13ページのところに、社会教育人材に求められる力や期待のところが述べられて3点まとめられています。これまでの議論がうまく落とし込まれていると思うんですけれども、これが今後のパワポのスライドとかになったときに、社会教育人材に求める力はこの3つですみたいな形で独り歩きし過ぎると、少し趣旨とずれるかなと思っています。この3つの位置付けなんですけれども、これまで言われてきたことに加えて、今後特に重要になるのがこの3つなんだというぐらいに、少し限定をかけて位置付けを明確にしたほうがこの3つが生きるのではないか。何とか能力が大事みたいな言われ方は他にもいっぱいありますので、そこの関係性が見えるほうがいいかなと思ったのが1点目です。
2点目は、主に18ページから19ページのところで、以前私もここで話題提供をさせていただいたところで、社会教育士、社会教育人材の養成のところです。今回のこの文章では、人材部会の議論を踏まえて、社会教育士は「各分野の専門性を様々な場に活かす学びのオーガナイザー」だという書き方があるんですけれども、社会教育に関する専門性と、各分野に関する専門性のいくつかの関係が混在しているかなという気がしています。つまり、すでにいろいろな分野で活躍している人たちが社会教育士になって、その分野と社会教育を組み合わせていくというような活躍の仕方をパターン1、ここに書かれている1階、2階の次に、さらに3階部分として各分野の専門性を取得していく、例えば大学で社会教育の称号を得た人がその後に社会に出て様々な分野で活躍するような場合をパターン2とすると、パターン2では他分野の力が3階部分、パターン1では地下1階になるわけで、どちらのパターンもありうると思うんですよね。この活躍の仕方が2パターンある書き方が両方混在しているようなことがあるので、これは両方あるという前提で、少しそういう構造が見え書き方にすると、他分野と社会教育の組合せ方のルートが見えやすくなるのではないか、何かそういった書き方ができるといいなと思いました。
3点目です。21ページのところ、今日の東委員の発表にもあった若年層のところですけれども、ここでの記述はとてもいいと思うのですが、内容がかなり探究とか、地域学校協働とか、学校を中心としたものに限定されてしまったような印象も一方で受けました。先ほどの話題にもあったように、例えば公民館や図書館、あるいは青少年教育施設といった既存のところももちろん大事だよということも入れておくと、各分野のみなさんがこの文章を根拠に考えやすくなるでしょうし、さらに裾野の広がりを考えれば、先ほど私が申し上げたユースワーク分野であるとか、こども家庭庁との連携であるとか、先ほどの豊島区のジャンプのような児童館のような枠組みであるとか、そういった裾野が広がった社会教育のところでも、またユースワーク的な社会教育の在り方が求められるんだという、この学校以外の連携の部分もここにはぜひ含めていただきたいというのが3点目です。
以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。今、青山委員の御指摘を踏まえて、そういえば概要版とかパワーポイントバージョンになったときに、私たちの論理が見やすくなるような記述の仕方も必要なのかなと改めて思いました。文章って本当に多義的なので、私たちとしては、できる限り分かりやすいような書き方をさらに工夫したいと思いました。ありがとうございます。
それでは、関委員お願いします。
【関委員】 ありがとうございます。関です。
私の方からは、まず社会教育主事・社会教育士の養成の改善、18ページの部分です。先般、私も国立社会教育実践研究センターの社会教育主事講習Bの演習を担当させていただきました。そこに集まっている方は、本当に多種多様な職の方がおられました。地域おこし協力隊や保育士の方など従来は見なかった顏が間違いなく増えていることを実感しました。
でも演習のテーマは、行政職の社会教育主事をターゲットにした設定になっているんですね。他の実施機関の内容までは知らないのですが、「社会教育士」としてこれから活躍していこうとする人に対してのメニューがあってもいいのかなということを感じました。もう一つは、19ページの社会教育士のフォローアップ研修ですが、今年度から始まり、初年度は北海道と和歌山県で開設されたと思うのですが、そこで行われた事業プログラムをもっと検証して全国に拡大していくことが大事だと考えています。ちょうど先日、次年度の公募が始まったようですが、初年度の成果をきちんと踏まえ、より多くの地域で展開されるよう周知を図ることが必要なのではないかと思っております。
【清原部会長】 ありがとうございます。研修の在り方について、大変重要な御提案を頂きまして、ありがとうございます。
それでは、柏木委員、先にどうぞ。
【柏木委員】 様々な意見をここまで充実してまとめていただきまして、ありがとうございます。可能であればというところで、私のほうからは、この部分に関連して5点お願いをしたいことがございます。
まず1点目は、学校との連携というのが非常に多く出てくるんですけれども、保幼との連携、幼稚園とか保育所との連携というような言葉を少し付け加えてもいいのではないかと思います。幼稚園は、図書室に読み聞かせに行ったりだとか、絵本を借りてきてねって言ったりしたりする取組も行っておりますので、その点も踏まえてというところになります。
2点目といたしましては、探究学習のところで、先ほどの東委員の御発表を受けて考えたところ、先生がつなげられないような場合は、代わりにこういう社会教育人材がいろいろな探究先とつなげるといいのではないかと思います。恐らくそれができると学校は柔軟なカリキュラムデザインをすることができるようになるので、もう一歩、もしできるのであればでいいんですけれども、踏み込んで、柔軟なカリキュラムデザインと、横断的で主体的な学びを支えるような社会教育人材みたいな位置付けをしてもいいかなと思います。
3点目としては、これも東委員の御発表を受けてですけれども、安心できる、信頼できる存在としての社会教育人材という言葉があってもいいかなと思います。これは、若者の参画というところでもそうですけれども、もしかしたら高齢者の参画でもそうなのかもしれませんけれども、共にコミュニティをつくっていくとか、その対等性に加えて、伴走して支えて守るというような側面も一方で必要なように思います。実は、大学でもこういうコミュニティの活動を自由にしてねと言うと、手をつけてはいけないところに連絡したりフィールドワークに行ったりするんですね。そうしてすごく大変な目に遭って帰ってくるとか、帰ってこなかった場合とかもあったりするのです。そういうことも踏まえると、安心して信頼してつなぐことができる人というのは、非常に重要だなと思います。
4点目といたしまして、こちらも東委員の発表で考えたところなんですけれども、ハードルとして、行政の方々が少しそれは難しいというところとしては、先ほどは感染症のことも挙げられていましたけれども、例えば子ども食堂をするといったときにも食中毒が出たらどうするんだとか、あといろいろなユースの活動をするときも個人情報をどうするんだとか、いろいろな問題が出てきます。そういういろいろな、行政としては責任を担保するためにも考えなければいけないところだけれども、そこをどう超えるのかというような問題対処というような存在、壁を乗り越える存在としての社会教育人材というようなところでの書きぶりを何かもう少し付け加えてもいいかもしれません。
それから最後に、認知度というところで17ページ目に書いてあります。そこで社会教育士の認知度を高めとありますけれども、この認知度を高めるときに、恐らく多世代のアクセシビリティを考えるといろいろあると思うのです。そして、例えば若者の認知度を高めるのであれば、インスタ等を使ってSNSを活用するといったような方向性もあると思われますので、ここは、もう一歩踏み込んで書くのであれば、幅広い世代のアクセシビリティに応じてぐらいのところで、多様な在り方が考えられるところを広げておくのもいいかなと思いました。
以上になります。
【清原部会長】 ありがとうございます。この社会教育について考えるときに、初等中等教育の分野と、省内でもいろいろこれまでも対話をしていただいているのですが、その対話をさらに深めていただくことで、もう少し社会教育の視点から幼稚園とか保育園とかも入れたような形が可能かどうか、そして探究学習についてもさらに御提案が反映できるか、省内のそれこそ「横連携」の中で検討していければと思います。
そして、キーワードとして、「信頼」だけではなくて「安全・安心」、あるいは「個人情報保護」や「危機管理」を含めるということも御提案いただきました。これは恐らく今回だけではなくて、私たちが全体の答申、諮問に応える中で重要なキーワードになってくるのかなと受け止めました。よく読み込んでいただいてありがとうございます。
それでは、今手が挙がっていらっしゃるのは牧野副部会長ですね、よろしくお願いします。
【牧野副部会長】 すみません、よろしくお願いいたします。
とてもたくさんきちっと書き込んでいただいて、大変だったなと思います。ただ、書き込まれてあるということの上で、何かいっぱい詰め込まれていて、ほとんどが並列的な関係で書かれているので、少し分かりにくいのかなと思います。そういう意味では、先ほど青山さんがおっしゃったような心配が出てくるということにもなるのではないかと思っています。少し大きな話になるかもしれませんけれども、重点の置き方を変えていくというか、全体の大きな枠組みを示していく中で、重要なことを入れ込んでいく、つまり、今日は3の(1)だけを議論していますけれども、本当は大きい1と2と関わってくると思いますので、少し何か全体をもう少し大きく構造化していくというか、枠組みも示していきつつ、その中に重要なことを入れ込んでいくというような書き方というのはできないだろうかとも思ったりしました。
例えば、この部会で議論をしていますのは、文部科学大臣からの諮問が出て、3つの審議事項があって議論をしているわけですけれども、基本的には、大きな方向性としては、人を中核とした、人を中心とした社会教育の在り方について議論をしていくということになると思います。ここの議論では、どちらかというと、社会教育主事はきっちりと必置にしていくということであったりとか、さらには、ただ必置にするということだけではなくて、むしろ社会教育主事の在り方も変えていくというか、そういう議論をしているはずですし、社会教育士をさらに育成をして、社会のいろいろな営みの中に埋め込んでいくというか、その方々が社会を学びという形で組織をしていくような形が取れないかという議論をしていると思いますので、そういう意味で、もう少し言えば、なぜ社会教育主事を組み替えて必置にするのかといったことを、前提的な議論として置いておかなければいけないのではないかと思うのです。
大きい1と2のところで、例えば教育基本法の話ですとか、社会情勢の変化みたいなものがあるわけですけれども、もう一つ少しこだわれば、例えば第4期の教育振興基本計画が社会教育概念の組替えというか、再定義を試みているといったこともあって、それは社会の大きな変動の中で、従来の学校教育中心の在り方だけでは、教育が語れなくなってきたということがあるのではないか。その意味で、社会基盤をつくっていくというか、人々の関係性を整えておくということにおいて、社会教育を改めて捉え返そうという動きがあったわけで、そういう意味で、この社会の人々の基本的な在り方に関わるものとして社会教育を置き直そうということになっていたのだと思うのです。その意味では、第4期教育振興基本計画の議論も含めた上で、きっちりとこの社会教育を位置付けていく、その上でこの人材論というのか、主事を必置にするのはなぜかといったことがきちっと言えるような構造にしておく必要があるのではないかとも思いました。
さらに言えば、この第4期教育振興基本計画は、大きな方向性として、教育こそが社会を牽引する駆動力の中核を担う営みであるということが書かれてあったり、さらには、先ほど教育委員会の議論もありましたけれども、次世代、次の社会、持続可能な社会の創り手を育成するということが書かれてあったり、さらには、日本社会に根差したウェルビーイングを向上させていくという議論になっているということがあって、その基盤としての社会教育といったことがきっちりと書き込まれてあるのだと思うのです。そうしたことも少し捉えた上で、これは言い過ぎかもしれませんけれども、教育と聞くと学校教育と思ってしまうような社会の在り方を変えていくというか、もう少し言えば、教育という概念そのものを捉え返していくことも含めた形で、社会教育の在り方を考えていくという議論をしておく必要があるのではないかとも思うのです。そういう意味で、こんなことを言い始めて申し訳ないと思いますけれども、何か少し大きい枠を置いてみるといったこともあるのではないかなとも思いました。
さらに、この議論の中で、社会教育人材ということで議論をしていくと、当然、教育委員会の在り方についても言及せざるを得ないところがあるのではないかと思います。これも言い過ぎになるかもしれませんが、社会教育士を創設する議論のときに、実は社会教育主事の必置を外してほしいという全国市長会からの要望があって、それで慌てたというか、危機感を持ったわけですけれども、それは単に社会教育主事が必置ではなくなるということだけではなくて、むしろ教育委員会そのものを実は任意設置にしてくれという議論があったりすることの流れの中で議論が起こっているわけで、そこを放っておくとまた出てくるのではないかと思うのです。むしろ教育委員会がきっちりと機能を果たしながら、この社会の、学習社会化というか、生涯学習に向けての教育の在り方をきっちりと教育委員会がグリップして、そして地方自治の中できっちりとそれを実現していくというような議論をしていく中で、社会教育人材の在り方はどうなのかといったことを言っておかないと、大丈夫かなという感じを持ってしまうのです。
しかも、それは当然、次の世代の育成と関わってくるからこそ、実は社会教育が教育委員会の中にあるべきだというか、学校教育と連携が取れる状態にしておくといったことが必要であるわけで、しかし、それは学校教育だけに関わる問題ではなくて、むしろ一般行政の基盤を整備していくといったことにも実は社会教育は関わっているのだという話になってきているので、そういう大きなことをきっちりと押さえておいた上で、ここに描かれてあるようなことが組み込まれていくと、もう少し位置付けがはっきりしてくるのではないか。社会教育人材の役割や能力といったものであったり、また、主事や社会教育士の位置付けであったり、養成の在り方であったりといったことが、そういう枠組みがきっちり描かれて、そこに組み込まれていくと、すっと理解できるような議論になるのではないかと思います。少し難しい話をしましたが、何かその辺りも少し全体の構造としてお考えいただけないかと思いました。失礼しました。
【清原部会長】 ありがとうございます。部会長としては、今回、審議事項1に関する意見の整理をしたのであって、牧野副部会長の問題意識というのは、次の2の「社会教育活動の推進方策」であるとか、3番目の「国・地方公共団体における社会教育の推進体制等の在り方」に受け継がれていく出発点だからこそ、重くきちんと考えておかなければいけないという御提案だと受け止めました。
ですから、ひょっとしたら次の項目である「社会教育活動の推進方策」をまた御議論していく中で、今、牧野副部会長が言ってくださった、今の社会教育がこれからどのようにしていくことが望ましいのかということについて、また繰り返し議論をしていくということになって、さらに深まっていくものだと思っています。まだその熟度が足りないのではないかという御懸念なのですが、まずは、「社会教育人材を中核とした社会教育の推進」について、人材部会の成果も受け継ぎながら一定程度まとめて、また、これで完結するわけではないので、次の課題に、今の思い、問題提起は引き継いでいきたいなと部会長としては思います。その気持ちをしっかり副部会長とシェアしながら受け止めました。
それで、このコーナー、次に山本委員、そして小田切委員に御発言いただいた後に、3の(1)以外に残りの時間を使いたいと思います。
山本委員、どうぞ、お待たせしましたが、よろしく御発言ください。
【山本委員】 東神楽町長の山本でございます。お世話になっております。
今、牧野先生の話を聞きながら、やっぱりそうだよなと思った部分が、実は、首長部局の政策の中で社会教育のことを考えないことってあんまり実はないような気がしていて、コミュニティ政策の中では、社会教育を基盤としたものってすごいいっぱいあるなと思って聞いておりました。その意味では、社会教育のもっとにじみ出しというか、いわゆる首長部局とか様々なところに対してにじみ出しというか、波及みたいなものを次にまたお話しできればと思っています。
今回の意見の整理の中で、私も本当に首長部局に対することを非常に書いていただいてありがたいなと思っておりますし、かなり賛同するところであります。ただ、先ほど小見さんがおっしゃいましたように、首長部局でも、例えばいわゆる文化的なものだったり、あるいはスポーツ的なものだったりというようなことで、首長部局に移管しているものがある。あるいは社会教育施設の中で、例えば図書館だったり、博物館といったような、美術館といったような、学芸員とかを含めて、また別な資格を持ちながら地域の中で社会教育的に関わっている人たちがいるということがある中で、そこらにどうコミットするかというのは、もう少し考えてもいいのかなと思っておりました。
そういう意味では、逆に社会教育主事が、別に首長部局に置いてあっても、それはいいのではないのかと。例えば、総合教育会議なんかは首長部局が主催するものですから、そういった部分はそういうのもあり得るんだろうななんていうことも漠然と思って、これは制度論になるので難しいかなと思っていますので、私のほうで問題提起とか、というふうに思っています。
それともう1点、これはちょっと、ごめんなさい、おかしな話になってしまうので、もしかしたら捨てておいていただいてもいいのですが、実は、地方自治体なので、どうしても議会と関わるのですが、議会の議員さんも、実は社会教育に対して大変関心を持って活動をされている方がいらっしゃったりする中で、そこを関与させたほうがいいのかどうなのか。これ、執行機関の話だから関係ねえよって言ったらそれまでなのかもしれないのですが、議会とかを含めた、いわゆる地域の代表者と言われるようなところに対してのコミットというのも、それはどうなのかなと思っています。実は、私どもの北海道は、道議会議員の先生方が非常に関心を持っていただいて、そこでかなり私どもに対してコミットいただいている部分があります。そうしたところで反映をしていって逆に通すと、あるいは市町村の教育行政あるいは一般行政に反映している部分もありますので、そういったところは事例としてはあるよという形でお話をさせていただければと思っていました。
以上でございます。ありがとうございます。
【清原部会長】 山本委員、ありがとうございます。首長部局と教育委員会の連携の内実について、さらに深く検討する課題を示していただいたとともに、自治体は二元代表制でございますので、議会の皆様にも社会教育に関する御理解をいただかなければいけない。もちろん政治的中立ということは、教育には必要ですが、ただ、正しい御理解をいただいて、地域全体として社会教育に対する理解が深まり、広がっていくということは重要ですので、議会の皆様への対応について問題提起いただいたのは、大変重要と思います。
それでは、小田切委員、お願いいたします。
【小田切委員】 ありがとうございます。時間がない中で申し訳ありません。私からは1点だけコメントです。
先ほど青山委員がおっしゃっていただいたことの別の表現なのですが、13ページに社会教育人材のイメージを3つ書いていただきました。これは大変重要なことが書いてありまして、実は、我々が地域おこし協力隊などの外部サポート人材を議論するときに、この3点をまさに議論しております。1点目は、主役は地域だ、それから2点目は、課題解決から入ってはいけない、そして3番目は、ハブ的人材になってくださいという、まさにこのことを議論しております。そういう意味で、社会教育人材に求められているスキルといいましょうか、イメージというのは、地域全体の人材の共通部分だということを改めて確認できると思います。
その中で、18ページに非常に大きなことが書いてありまして、「地域人材政策の横割り化」を意識するという、これはプレゼンテーションで私自身も使った言葉なのですが、非常にドラスチックに言ってしまえば、各省庁がいろいろなコーディネーター施策をなす中で、社会教育士が言ってみれば1階部分で、2階部分に各省庁や文部省省内の専門の部分が上乗せするような、こんな改革も将来的には考えられるのだろうと思います。もちろんそれが今できる状況にあるとはおよそ思いませんが、そういったことに目指して前進するような、今回布石が打たれたと私は意識しております。
ちなみに、地域おこし協力隊7,200人、それから集落支援員で専任型が2,200人いて、両方併せて約1万人近いのです。そういう意味で、こういう方々が社会教育士的なスキルを求めているという、そんなふうに考えると、ボリューム感としてかなり重要なことが今回議論されていると思いました。
以上です。
【清原部会長】 小田切委員、ありがとうございます。特に2点目に言っていただきました地域人材のまさに横連携の中で、他府省庁との連携についても、文部科学省は積極的にこの点を考えていらっしゃるようでございまして、決して文部科学省内に閉じない、初等中等教育局や高等教育局と社会教育の連携だけに閉じない、まさに「地方創生2.0」も言われている中、少子化が進む地域社会がいかに住民本位に活力を持っていくかというときの、まさに社会教育士が果たしている、あるいは地域おこし協力隊が果たしている役割を再確認するときに、社会教育士や社会教育人材をどう位置付けるかということですので、ぜひこれは、先ほどの牧野委員の問題提起と重なりまして、私たちが決して社会教育界だけにとどめるのではなくて、もっと視野を広げて社会教育の問題を考えていくときの基本的なパースペクティブを今御提示いただいたものと思います。ありがとうございます。
それでは、この3の(1)について挙手されている方はもういらっしゃらないようなのですが、残りの重要な1、2、そして3の(2)、(3)などについて御意見のある方、どうぞ、残りの時間があと9分ございますが、御発言いただければありがたいです。もちろん今日の時間に収まらない場合には、いつものように事務局にメールでどしどしお寄せいただくことで結構なのですが、3の(1)に関連して、もう既に牧野副部会長は1や2の大切さを言っていただいていますが、ほかの皆様でもいかがですかね、お気づきの点がありましたら、相互連関性を持っていますのでね、どうでしょうか。
では、柏木委員、お願いします。
【柏木委員】 私からは、1点だけ、9ページ目に書いてあるところですけれども、「アイデンティティやプライド、愛着心が芽生え」というところの、プライドという言葉で表現をしていいのかどうかということの再検討をお願いしたいと思います。
【清原部会長】 分かりました。プライドという言葉が、確かに片仮名語を使うときには、先ほどのこともありますが、気をつけたいですね。再確認いたしましょう。
それでは、都竹委員、御発言をお願いします。
【都竹委員】 ありがとうございます。一般質問がありまして、遅れて申し訳ありません。
感想めいたことになって、全体の話になるので恐縮なんですけれども、ずっと議論をしてくる中で、すごく思ってきたことは、社会教育という言葉の概念と、先ほど山本委員もおっしゃいましたけれども、我々の首長部局で取り組んでいるまちづくりとか、地域づくりとか、あるいは人生100年時代のウェルビーイングの在り方というか、そういった施策はほとんど一致しているんですね。そうすると、いわゆる社会教育の概念よりも、我々首長部局、あるいは市役所全体として取り組んでいることのほうがはるかに大きくなっていて、社会教育という議論をしていくと、何か逆に矮小化した議論になっているような、そんな気がするのです。
例えばまちづくりというのは非常に広い概念ですけれども、多様な主体のコーディネートをして、そこでコンセンサスを得ながらみんながどうやって一致して何かを成し遂げていくかということが、あらゆるところでやられているわけです。なんですけれども、社会教育というと、公民館活動だみたいな感じのイメージがどうしてもあります。恐らく今この時代に新しく法律をつくるとしたら、社会教育という言葉を使ってないのだろうと思うんですね。その辺りで今の時代の地域の中で起こっているということをベースにして考えていく必要はあるのではないかと強く思いました。
その意味では、社会教育士の活用、先ほど小田切先生もおっしゃいましたけれども、例えば地域おこし協力隊、集落支援員というものと社会教育士を重ね合わせていくような中で、また、首長部局と教育委員会の垣根すらなくなってきている中で、地域全体のウェルビーイング、市民の、住民のウェルビーイングを高めていくということが、この社会教育士が中心になりながらできると思うので、そうしたところへ議論が進んでくると、とてもいいのではないかなということを感じました。雑駁で大変申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。
【清原部会長】 とんでもないです。都竹委員、今日私たちが、全体が議論をしてきたことを本当に集約していただいた御発言だと思います。垣根がない多様化の中で、行政の中で社会教育士が培っている能力というのは、本当に活躍の場が広いわけですから、それを社会教育という世界に閉じ込めないで、いかにまさに地域コミュニティに根を張ったものとして、垣根なく共に生きるウェルビーイングのために開いていくかということが私たちの検討の原点であり、また、結論として描きたいものだと思いますので、皆さんうなずきながら聞いていらしたと思いますので、本当にありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。もうそろそろ時間ではございますが、青山委員、どうぞ。
【青山委員】 私も1点だけ確認です。5ページの真ん中のところなんですけれども、「地域への愛着や社会への貢献意識」というところで赤字を足していただいたところです。前回の議論で、地域への愛着とか社会貢献というのはとても大事なのだが、一方でそれが規範化してしまったりとかすることによる苦しさに配慮が必要ではないかというようなことだったと思うんですね。それへの対応として赤字を加えていただいたのかなと理解したんですけれども、それへの対応だとすると、より規範化しているようにも見えるというところがありまして、むしろこのブロックごと取っちゃって、後ろに、結果としてのところに地域人材の育成とか、地域課題の解決にこういうものがつながっていく可能性があるんだということのほうに重きを置いて書くほうが、その精神をどう育むかのところにあまり記述が行き過ぎないほうがいいのか、でもそこを取っちゃうとまたいろいろなハレーションがあるかもしれませんが、でもここは少しデリケートにちゃんと扱ったほうがいいのかなという、前回の議論を踏まえて思いました。
以上です。
【清原部会長】 この点について、ほかの委員の皆様はいかがですか。今の青山委員の、結構デリケートな部分でございまして、強制されることは望ましくないんだけれども、自然にそういう思いがないと、まちづくりとか地域おこしとかという活動はできないという、何とも微妙なセンシティブなところでございますよね。だから、配慮しつつ……、そうですね。今は「健康」だけでなく「貢献」が元気のもとだという、ひっくり返した言葉なんかもあったりするので、必ずしも「貢献」ということはネガティブな言葉ではないかもしれませんが、強制はしないということです。「自発的・自主的な学習者の尊重」というのは、まさに教育の原点ですので、そのことをきちんとどこかに記述しながら、結果として、青山委員が言われたように、こういうようなこともあるというようなふうに何か直していきましょうかね。分かりました。
ほかにかがでしょうか、挙手されている方はいらっしゃいますか、いいですか。
内田委員、どうぞ御発言ください。
【内田委員】 ありがとうございます。先ほどの議論に関して1つだけ。
自発的な貢献意識、あるいは自発的な社会意識とか、何か自発性みたいなことを少し入れておくといいのかなと思いました。というのは、「ウェルビーイングな場づくり」ということが何度か出てくるんですけれども、そこに必要なのは、自分がただ幸せになりたいという意識だけではなく、もちろんそれも大事なんですけれども、それを超えて周りの人をちゃんと幸せにできるような社会活躍、社会参画の場を設けるということが極めて重要な課題だと思うのです。そのような動機付けが自発的に沸き上がってくるというような場の設定がどのようにできるのかというところに関わってくると思いますので、そうした文言の工夫みたいなものがあるとよいのかなと思いました。
以上です。
【清原部会長】 「自発的な」というキーワードを頂きました。青山委員、そんな感じですよね。私たちは、本当に何よりも一人ひとりを尊重していくということは共通認識だと思いますので、誰からも決して強制されたり拘束されたりするものではないという意味でも、「自発的」というキーワードが望ましいと思います。
さて、そろそろ予定の17時になりました。皆様の御協力で、この内容についても多面的な角度から御意見や御提案を頂きましたことに感謝いたします。
さて、一応第12期の中央教育審議会の任期が間もなく閉じるということもあり、私たちの特別部会としても、この審議事項1の取りまとめについては、さらにきちんと一定のまとめをしておきたいなと思いまして、本日御発言いただきました多様な御意見を事務局と共に両副部会長と、可能な限り、もう本当に、ほとんどになると思いますが、反映させていただきたいのですが、一応皆様の信任を、信頼を私が得なければいけないので、部会長がその取組をさせていただくことでよろしいでしょうか。
( 拍 手 )
【清原部会長】 すみません、ありがとうございます。感謝いたします。御期待を重く受け止めて、一生懸命頑張りたいと思います。
それでは、最後に事務局から連絡事項がございますでしょうか。
【山川地域学習推進課課長補佐】 ありがとうございます。今後の審議予定については、別途メールにて御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。
今日は、東委員から、若者の社会教育への取組が活性化するような御提案を頂きました。それから、最後に、どうぞいらしてください。今日、この文部科学省も若者がインターンとして大学生が関わっていて、御紹介したいと思います。せっかくですので。若者参加の部会でございます。どうぞお名前と大学名を。
【藤原睦己さん】 失礼いたします。島根大学から参りました藤原睦己と申します。本日は、この特別部会のほうをお手伝いさせていただきながら勉強をさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
【清原部会長】 ありがとうございます。というわけで、実践する地域学習推進課は、若者の審議会への参加というのを、委員として東委員にお願いするだけではなくて、事務局として藤原さんにも参加していただいているということを紹介させていただきました。どうぞ各委員の皆様、それぞれの地域活動の分野で子供・若者の参画をさらに進めていただければと思います。
それでは、17時を少しだけ私のために過ぎましたが、皆様、寒暖差が激しい中でございます。くれぐれも御自愛いただきまして、次の部会でも元気に再会をしたいと思います。
それでは、本日の「社会教育の在り方に関する特別部会」をこれにて閉会いたします。皆様の御協力に深く感謝します。どうもありがとうございます。(拍手)
―― 了 ――
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