日本語教育部会(第5回)議事録

1.日時

令和7年3月3日(月曜日)15時30分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 地域の日本語教育に関するヒアリングについて
  2. 日本語教育実態調査(令和5年度)の結果について
  3. 日本語教育機関認定法の施行状況について
  4. 国家戦略特区における規制改革事項に係る検討について
  5. その他

4.出席者

委員

浜田麻里委員(部会長)、石黒圭委員、小澤伊久美委員、勝永敏也委員(代理出席)、是川夕委員、島田徳子委員、徳永智子委員、戸田佐和委員、根岸雅史委員、毛受敏浩委員、四ツ谷知昭委員

文部科学省

今村日本語教育課長、佐々木地域日本語教育調整専門官、石川日本語教育課課長補佐

5.議事録

【浜田部会長】それでは、定刻となりましたので、ただいまより、今期第5回の日本語教育部会を開会いたします。
 本日は、御多用のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。今回は、対面とオンラインを併用した、ハイフレックスでの開催なります。会議は公開となっていますので、傍聴の方々もオンラインでこの会議を御覧になっていることを御承知おきください。
 本日は、委員総数15名に対し、11名の委員に御出席いただいております。福岡県の勝永委員におかれましては、後ほど御報告いただきます渡邉様が代理で御出席ということでございます。また、大下委員におかれましては、後ほど御参加と伺っております。したがいまして、中央教育審議会令第8条に定められた会議開催に必要な過半数に達しており、定足数を満たしております。
 では、まず、事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【石川日本語教育課課長補佐】事務局でございます。配付資料でございますが、議事次第に記載のとおりでございまして、資料1から6まで、また、参考資料1から3まで、こちらはいずれも文部科学省ホームページにも掲載しているものでございます。 なお、資料6につきましては、本日、御審議はいただきませんが、先日、書面にて委員の皆様に御審議をいただき、承認をいただいておりました、認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項等の改定で、本日の会議において書面で御報告させていただくものです。委員の皆様の御協力に感謝申し上げます。事務局からは、以上でございます。
【浜田部会長】ありがとうございました。それでは、議事次第に従いまして、議事に入らせていただきます。
 一つ目の議事は、地域の日本語教育に関するヒアリングでございます。昨年7月の日本語教育部会(第2回)では、今後の日本語教育に係る主な論点について議論を行い、関係者のヒアリング等も行いながら、引き続き審議することとしておりました。このことを踏まえ、今回は、福岡県企画・地域振興部長でいらっしゃいます勝永委員の代理として、渡邉国際局長より、福岡県における日本語教育の取組について、御説明をいただきます。また、福岡県からの御説明の後に、関連する国の取組として、地域における日本語教育施策について、事務局から御説明をいただきます。
 なお、議事2及び議事3としております、日本語教育実態調査の結果、日本語教育機関認定法の施行状況につきまして、この議事1と関連する内容もあるものと思われますので、これらについても併せて事務局から御説明をいただいた上で、議事1から議事3まで、まとめまして意見交換の時間を取ることとしたいと思います。
 それでは、議事1について、渡邉様、御説明をお願いいたします。

【勝永委員(代理)】福岡県の国際局長をしております、渡邉と申します。本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。本県が実施しております日本語教育環境整備事業について、これまでの取組や今後の課題について、報告をさせていただきたいと思います。実は、正直申し上げまして、なかなか簡単ではないなという感覚を持っておりまして、そのような地域の現状をお知らせしまして、日本語教育に造詣の深い皆様方に何かアドバイスをいただければと、そういった思いでお時間をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、2ページをお願いいたします。これらは本日お話する内容でございまして、早速、次の3ページのほうから御報告させていただきます。
 まずは、福岡県の概況でございます。本県は、人口が約500万人、そのうち外国人が約10万5,000人と、直近の数字で初めて10万人を超えました。在留外国人の国籍別では、全国と比べてネパールの割合が高い。そして、在留資格別では、留学生が最も多くて、2割を占めております。これは、県内に多くの大学、専門学校、日本語学校が集積していること、そして、一定のネパールからの留学生がそのまま就職して本県にとどまっていることなどが原因と考えております。次のページをお願いいたします。
 令和2年度に県が実施いたしましたアンケート調査の結果によりますと、外国人を雇用する事業者の最も大きな課題は、日本語でのコミュニケーションが取りづらい。そして、行政に期待することは、外国人の日本語教育習得支援ということでございました。これを踏まえまして、国からの支援を活用させていただき、日本語教育環境整備事業を開始したところです。令和2年度に直方市と古賀市を、令和3年度に苅田町をモデル市町に選定いたしまして、関係者が連携して運営し、また、外国人が身近な場所で学べる、日本語教育の立ち上げに取り組んでまいりました。令和5年度には、そのような取組が他の市町村の参考となるよう、「日本語教室立ち上げ事例集」を作成したところです。
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 このモデル事業で立ち上げました日本語教室について、簡単に御説明いたします。どの市町も技能実習生を中心とした外国人の増加を踏まえて県のモデル事業に応募いただきまして、企業訪問やニーズ調査を経て、立ち上げに至りました。一番上の直方市、そして一番下の苅田町は、技能実習生向けの教室と交流型の教室の二つの教室を立ち上げまして、企業と連携した点が特徴です。直方市は受講料を企業が全額負担、苅田町は受講料を企業と町が折半で負担しております。これは、全国的にもあまり例がないものと認識しておりまして、モデル事業で得られた大きな成果だと考えております。そして、真ん中の古賀市ですが、ボランティア主体の交流型日本語教室を立ち上げまして、水曜日と日曜日の週2回開催、日曜日は子供を対象とした教室も実施しております。
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 モデル事業で得られましたノウハウを他の市町村に広めていくこと、また、日本語教育を担う人材を育成することにも取り組んでおります。まずは、地域の日本語教室コーディネーターを各地に派遣いたしまして、教室の立ち上げや課題の解決を支援するコーディネーター派遣。そして、地域で活躍する人材の育成・発掘のために、ボランティアや日本語教師を対象にした、研修やセミナーを開催しております。そして、オンライン日本語教室は、今年度から新たに取り組んでいるんですけれども、より多くの方に日本語を学んでいただく機会を提供するということでやっております。最後に、赤字で書いております日本語教室コーディネーター等意見交換会ですけれども、これは、各地の日本語教室で活躍されている方、コーディネーターとして活躍されている方、また、行政職の意見交換会を年4回実施いたしました。本日は、この意見交換会で出された意見を基に、地域日本語教室の課題などを報告させていただきます。
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 まず、課題の1番目ですが、学習者が集まらない、学習者のモチベーションの維持です。これは、どの自治体も課題として取り上げておりました。一つには、教室の周知不足であったり、学習者が時期によっては多忙であったりで、参加者が集まらない。また、安定的な運営が難しいということ。そして、二つ目に、3年でN3の取得を目指すというような長期的な目標を立てた学習の場合、学習者のモチベーションを維持するのがなかなか難しいということでした。
 その対応策としては、一つ目、市役所の窓口で教室の周知をしたり、協力いただく地元の企業に教室を案内していただくなど、周知を丁寧にやっていくこと。また、技能実習生、子供、配偶者など、それぞれの学習者に合わせた、指導方法、開催時間、開催場所を検討するなど、柔軟に対応していくこと。そして、二つ目には、学習者のニーズ把握のためにアンケートを実施したり、継続的に、密にコミュニケーションを取ることで、よりよい教室にしていくとの意見もありました。
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 課題の2番目ですが、家族滞在の在留外国人など、多様な学習者への対応です。日本語教室に来られる学習者は、年齢、日本語レベル、学習目的など、様々です。これまでは、比較的、技能実習生の方が多い傾向にありましたが、現在は家族滞在の配偶者や子供が増加しており、そういった方々を地域で孤立させないためにも日本語教育支援が必要だといった声がありました。
 対応策としては、配偶者や子供などに対応できるよう、新たな教室やコース設定を検討すること。例を下に記載しておりますけれども、例えば、日本人親子と外国人親子との交流会を開催するだとか、働いていない配偶者向けのオンラインもしくは対面の日本語教室、そして、小学生、中学生、高校生といった、子供向けの日本語教室、あるいは学校と連携した日本語教室などです。また、多様なニーズに対応できる日本語教師向け研修、例えば、日本語が全く分からない方や子供に対する教え方など、そういったことに対する研修を検討することも必要ではないかとの意見もありました。
 次のページをお願いいたします。
 課題の3番目ですが、ボランティアの育成です。地域日本語教育においては、多くのボランティアの方が活躍されておりまして、また、重要な役割を担っていただいております。ですから、その方々のスキルアップが不可欠との意見がありました。
 対応策としては、これまでもボランティア研修は開催しているんですけれども、その内容を充実させたり、研修の機会を増やしたり、効果的な研修方法の検討をしたりして、より一層、ボランティアを育成していくこと。今後開催する研修の例としては、先ほどの多様なニーズに対応するものとなっておりますが、日本語が全く分からない配偶者に対する教え方、小学生、中学生、高校生など、子供に対する教え方、そして、オンラインで日本語を教える場合の教え方などが考えられます。
 次のページをお願いいたします。
 課題の4番目は、関係機関との連携の必要性です。これが最も大きな課題ではないかと考えますが、これまで述べてきたような、多様な学習者、多様なニーズに対応するためには、県や市町村が主体の地域日本語教室のみで取り組むことは困難でございます。地域で暮らしている、あるいは働いている外国の方に関わる全ての機関、企業や教育委員会や自治会などと連携していく必要があります。特に、今後ますます増えるであろう外国人労働者を雇う企業、そして、同じく増加している家族滞在による配偶者や子供と関わる教育委員会と連携して、取り組んでいく必要があります。連携の例としては、そこに挙げておりますけれども、企業であれば、従業員が日本語教室に通うことへの配慮、通いやすいような環境を考えていただくこと。そして、地域日本語教室の運営を支援してもらうことなど。教育委員会のほうは、地域日本語教室との橋渡しをしてくれる方がいらっしゃったら非常にありがたいとか、小学校で日本語教室の場所を提供してもらうなど、そういった連携が考えられると思います。
 次のページをお願いいたします。
 最後に、これまで述べてきた課題は地域で対応していかなければならないものと考えておりますが、今後必要となる施策で、なかなか1地方自治体では対応が困難なもの、あるいは、全国共通の課題であり、一律の対応が必要ではないかと考えられることについて、述べさせていただきます。
 1番目は人材育成です。家族滞在で来られる配偶者や子供など、日本語が全く分からない方に対する指導方法を学ぶための研修プログラムの開発が必要だと考えます。また、文化庁が作成された地域日本語教育アドバイザーリストの助言可能な内容に子供への日本語指導という項目を追加いただけないかと、そういった意見もございました。
 2番目は企業への啓発です。企業や事業主が日本語教育の推進に関する法律に定めてあります責務を認識していただいて、地域の日本語教育に積極的に協力や支援が行われますよう、企業への意識啓発や指導などが必要なのではないかということでございます。例えば、国がいろいろなツールや場面において企業における日本語教育の必要性を訴求いただくなどして、企業内での日本語教育や地域日本語教育との連携に積極的に取り組んでいただけるような流れをつくれないものかと思います。
 3番目は学習ツールです。学習者の年齢、日本語レベル、学習目的など、多様な学習者に日本語を学んでもらうためには、いつでも、どこでも、楽しく日本語を学べて、また、インプットするだけでなく、アウトプットできる、対話型の学習ツールが有効ではないかと思います。既にいろいろな機関が作成した日本語学習ツールが多数あることは承知しておりますが、実は、外国の方に聞いてみると、あまり知らなかったりとか、使われていなかったりとかいうことがありまして、それは楽しくないからではないかという意見がございました。例えば、AIなどを活用して対話しながら学べるようなアプリなど、新たな学習ツールの開発を御検討いただけるなど、何か対策ができたらいいなと考えております。
 4番目は担い手の確保です。今後、地域日本語教室をはじめ、地域で日本語教師になりたいという方が増えていくように、報酬など、教師の待遇の改善が必要ではないかと思っております。先日、県が実施した日本語教育セミナーの中でも、若い方から、地域で日本語教師として活躍したいけれども、報酬がネックであるというような意見もございました。今後ますます在住外国人が増加していくこと、そして、その方たちに対する日本語教育と、それを担う日本語教師の重要性も増していくのは明らかだと思います。政府としてもそこは十分認識されて、現在、この部会をはじめ、いろいろな施策を展開されていることと思いますが、日本語教師の待遇改善について何らかの対策が講じられることを切に望みたいと、そういったような意見が出されました。
 以上、いろいろ申し上げましたけれども、福岡県で活動する日本語教育コーディネーターの方々の意見を踏まえて、発表させていただきました。
 御清聴、ありがとうございました。

【浜田部会長】 渡邉様、大変興味深い御発表、ありがとうございました。それでは、先ほど申し上げましたように、関連する、地域における日本語教育施策について、事務局のほうより御説明をお願いしたいと思います。
【佐々木日本語教育課地域日本語教育調整専門官】文部科学省日本語教育課の佐々木でございます。
 それでは、文部科学省日本語教育課より、地域における日本語教育施策について、御説明させていただきます。
 資料の2ページ目を投影していただけますでしょうか。
 こちらは、文部科学省が実施しております予算事業で、大きなものでございますけれども、「外国人材の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業」でございます。こちらは、都道府県・政令市を対象としておりまして、それぞれ、都道府県・政令市における総合的な日本語教育の体制づくりを推進していくための補助を行うというものでございます。資料の右上のほうにございますけども、令和7年度の予算案では5.5億円ということで、各自治体の皆様からも非常に大きな予算の要望がございました。そちらを踏まえまして、財政厳しい折ではございますけれども、何とか、前年度から5,500万円増の5.5億円という予算の金額を確保しているところでございます。
 その下、背景・課題の①のところに記載がございますけれども、地域の日本語教育の体制づくりにつきましては、いわゆる「骨太の方針」でございますとか、あるいは「成長戦略」といったような政府の政策文書にも位置づけられておりまして、その重要性が政府全体としても認識されているところでございます。
 その下辺り、資料の中ほどの事業内容のところにございますけれども、この事業、基本的には、今年度も実施しているものと、内容に大きな変更はございません。基本的に、2ポツの地域日本語教育の総合的な体制づくり推進というところで、先ほど申し上げましたとおり、各都道府県・政令市のほうで総合的な域内全体の体制づくりを推進していただくというところでございます。内容としては、その下に(1)(2)(3)というふうに書いてございますけれども、まず、(1)として、総合的な体制づくりということで、地域日本語教育推進施策の全体の協議を行う総合調整会議を設置いただくとか、日本語教育を総括する総括コーディネーターを配置すること、あるいは、日本語教室への指導・助言を行う地域日本語教育コーディネーターを配置していただくというようなことが、まずはございます。そして、(2)のところにございますように、実際の日本語教育の実施、ICTの活用でございますとか、あるいは教材作成、それから、人材の育成をはじめとした研修等も含めて、ここで実施していたことができるということになってございます。それから、(3)として、市町村への支援ということで、各市町村さんが都道府県さんと連携していただいて行う日本語教育について、その取組を間接補助という形で支援しているところでございます。
 この事業、先ほど大きなスキームは変更ないというふうに申し上げてございますけれども、1点、大きく変更があったところは、これまでは(3)の市町村への支援、市町村への間接補助部分につきましては、市町村の負担部分は、特別交付税措置ということで市町村の負担を軽減させる交付税措置がされておりましたが、都道府県・政令市さんの実施分についてはこれまで交付税措置がなかったところを、令和7年度から新たに、(1)(2)のブルーのラインの横のところにも書いてございますけれども、普通交付税が措置されることになりまして、都道府県・政令市さんの取組につきましても交付税措置の対象となっているところでございます。
 1点、追加で申し上げさせていただきますと、資料のちょうど中ほどに取組例というような形で水色の四角に書いてございますが、これまでも取り組んでいただいている自治体さんもございますけれども、これからさらに、まだ取り組んでない、取組を広められていない自治体に取組を広めていくという意味では、市町村さんとの連携、あるいは市町村同士が連携して日本語教育を実施する体制をつくっていくとか、オンラインによって都道府県内で広域的に日本語教育を実施する体制をつくっていくというようなことを検討していただくということが今後の取組例として考え得るかなというところで、あえて特出しをしているところでございます。
 次のページをお願いいたします。
 この事業、補助率は2分の1ということになってございますけれども、補助率の加算措置がございます。これは、もう取り組んでおられる自治体さんとか、あるいは先生方も御承知かもしれませんけれども、「日本語教育の参照枠」、それから、その参照枠に基づく「生活Can do」を活用した体系的な日本語教育を実施していただくというような補助事業の計画になっている場合には、補助率を2分の1から最大3分の2に加算するとという措置を行っておりまして、今年度(令和6年度)は4団体がこの取組を行っていただいているところでございます。我々としましても、こういった形で都道府県さんのほうでより体系的な質の高い日本語教育を実施していただけるように、支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 令和6年度の補助事業、体制づくり推進事業でございますけれども、全国67の都道府県・政令市のうち、今、57団体で実施していただいているところでございます。令和元年度に17団体の実施から始まったところでございますけれども、今年度、57団体、約85%の自治体に取り組んでいただいているところでございます。今年度も新たに、青森県、岡山県、高知県に参加していただくということになってございまして、だんだん増えているということで、令和7年度も新たに取り組んでいただける自治体が増えるという見込みでいるところでございます。
 次のページをお願いします。
 もう1点、国のほうで実施している事業でございますが、「生活者としての外国人」のための日本語教室空白地域解消推進事業ということで、空白地域と言われる、いわゆる日本語教室がない自治体でございますけれども、文部科学省のほうでは、空白地域の解消を目的としまして、こういった空白地域における日本語教室の立ち上げでございますとか、あるいは遠隔による日本語教育機会の提供を行っていくということで、こちらの事業も実施しているところでございます。こちらも、令和7年度予算案では前年度とほぼ同額を何とか確保できているところでございます。事業の内容は、こちらも中ほどに1、2、3と三つ柱がございますけれども、まず、1の地域日本語教育スタートアッププログラムは、名前のとおり、日本語教室がない市区町村に対して、アドバイザーの派遣を行うことで、3年間、チームでのサポートを行って、日本語教室の開設まで伴走支援を行うというものでございます。2のICT教材の開発・提供というところでございますけれども、こちらは、「つなひろ」と呼ばれている、「つながるひろがる にほんごでのくらし」という日本語学習サイトをつくって提供しているということでございまして、対応言語は、19言語となってございますが、シンハラ語の「予定」が取れまして、12月にシンハラ語も無事リリースできましたので、今、20言語ということになってございます。来年度は引き続き、新しいコンテンツの追加と、新規の言語追加も考えていきたいというふうに考えているところでございます。また、3にございますように、空白地域解消推進セミナー、あるいは研究協議会という形で、まだ日本語教室の開設ができていない自治体さんに対する情報提供でございますとか、先行事例の紹介などを行って、自治体での取組の推進を図っていくといったことを取り組んでいるところでございます。
 時間も過ぎておりますので、ちょっとページを飛ばしまして、7ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらは総務省さんの資料でございますけれども、総務省さんのほうで、地域における多文化共生の推進について、地方財政措置ということで措置いただいているものでございます。これも、中には幾つも多文化共生のための交付税措置が記載されてございますが、一番下の⑦のところは、私ども文部科学省で実施しております、先ほど申し上げた「外国人の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業」でございまして、「新規」と書いてございますように、これまでは市町村分について特別交付税措置がされていたものでございますけれども、新たに都道府県・政令市分についても普通交付税措置がされる予定であるということでございます。
 次のページをお願いいたします。
 地域における日本語教育の推進につきましては、いろんなステップがありまして、このページでいきますと、立ち上げのプロセスの検討でございますとか、関係機関との役割分担、あるいは域内のニーズの調査というようなところが実際に立ち上げる前に必要になってくるところかと思いますけれども、そこで必要な情報収集ということで、先ほど申し上げたセミナーなんかもそうですが、文部科学省が実施しております、担当者の方向けの研修でございますとか、連絡会議、あるいは空白地域解消セミナーといったようなところで、ぜひ全国の取組の情報を収集していただければありがたいなというふうに思っているところでございます。
 次のページ、お願いいたします。
 その2で、実際に始める段になったところになると、例えば、実施体制の検討でございますが、どういった教育内容を行うとか、どういう教材を使うのかというようなところがまた課題になってくるということで、ここにも、事例収集というところで、先行事例を集めた、文部科学省が補助事業あるいは委託事業でやっている事業の成果を集めた報告書等を公表してございますし、先ほど申し上げた、「つながるひろがる にほんごでのくらし」というようなICT教材も活用しては公表してございますので、そちらを活用していただければありがたいなというふうに思っているところでございます。
 最後のページに、都道府県さんの実施状況等につきまして一枚にまとめた資料を作ってございますので、参考にしていただければありがたいなと思います。
 以上でございます。

【浜田部会長】 御説明、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議事(2)に進ませていただきます。ただいまの御説明に対する御質問についても、議事(2)、議事(3)の説明の後、出していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、議事(2)といたしまして、日本語教育実態調査の結果、そして、議事(3)日本語教育機関認定法の施行状況について、事務局のほうより御報告をお願いしたいと思います。

【石川日本語教育課課長補佐】文部科学省日本語教育課の石川でございます。私から、議事(2)として、資料3にあります、日本語教育実態調査(令和5年度)の結果について、御説明をさしあげます。
 まず、日本語教育実態調査でございますけれども、文部科学省が毎年度実施をしている調査でございまして、文部科学省が把握しております国内の日本語教育を行っている機関・施設等に対して調査を御依頼さしあげまして、そのうち回答があったものについて集計したものということでございます。
 まず、2ページを御覧いただきまして、こちらは、国内の日本語学習者数、教育機関・施設数、また、日本語教師数等の推移でございます。令和5年においては、日本語学習者数は約26万人、日本語教育実施機関・施設等数は2,727機関、日本語教師等数は4万6,257人ということになってございます。特に日本語学習者数につきましては、新型コロナウイルスによる入国制限の影響により一時的に大きく下振れした時期がございましたけれども、令和5年には平年並みにほぼ戻りつつあるというような、大きな状況が見てとれるところでございます。
 続きまして、3ページに行っていただきますと、こちらは、教育機関別に、機関数、教師教、学習者数等の内訳を示したものでございます。
 続きまして、4ページでございますが、こちらは日本語教育を行っている機関・施設等数を類型ごとに各年の推移を表示しているものでございます。
 続きまして、5ページでございますけれども、こちらは、日本語教師等数の推移のうち、ボランティアの方、非常勤の方、常勤の方というふうに分けて、その推移を示しているものでございます。継続している傾向として、ボランティアによる方が約5割、非常勤による方が34.1%ということでして、日本語教育の提供というのは、ボランティア、非常勤の教師の方々に大きく支えられている状況があるということが分かるところでございます。
 続きまして、6ページでございますけれども、こちらは、国内の日本語学習者数の推移を、それぞれどの機関で学んでいるか別に分けて、出しているものでございます。
 続きまして、7ページでございますけれども、こちらは国内の日本語学習者数の属性別の割合ということでございます。左側に平成30年度時点での割合、右側に令和5年度の割合を示しております。日本学習者数のうち、留学生、ビジネス関係者及びその家族の割合が増加傾向にあることが見てとれるところでございます。
 続きまして、8ページでございます。ここは、今回御発表いただきました地域の日本語教育にも大きく関わってくるデータということでございますけれども、機関別日本語学習者数のうち、就労者のものを示しているものでございます。これは、日本語学習者のうち、就労者に当たります技能実習生等と特定技能の方々が、それぞれどこで日本語学習を行っているかということを示しているものでございます。技能実習生と特定技能のいずれにも言えることとして、左側の法務省告示校などの専門的な日本語教師が教える機関というよりも、右側の、地方公共団体、国際交流協会、地域・任意団体のような、地域の日本語教室で学習している方が多いという傾向が見られるところでございます。
 続きまして、10ページでございますけれども、こちらは、日本語教師の養成の関係で、日本語教師の養成・研修の実施機関、施設等数の推移、また、教師と受講者数の推移というものを示しているものでございます。
 続きまして、12ページに参りますけれども、こちらも地域における日本語教育に大きく関連するデータということでございまして、市区町村における日本語教室の有無の推移ということでまとめているものでございます。市区町村の域内に対面での日本語教室というのが一つも行われていない地域を日本語教室空白地域というふうに呼称してございますけれども、全体の市区町村に対する日本語教室空白地域の市区町村の割合はオレンジで示しているところでございます。令和5年度には38.9%となっておりまして、日本語教室の空白地域の解消というものは着実に進んでいることが見てとれるデータとなってございます。
 簡単に、ポイントだけになりましたけれども、日本語教育実態調査(令和5年度)の結果についての御報告は、以上でございます。

【浜田部会長】ありがとうございます。では、議事(3)のほうの御説明をお願いいたします。

【今村日本語教育課長】失礼いたします。日本語教育課長です。資料4に沿いまして、日本語教育機関認定法の施行状況について、概要を御説明いたします。
 昨年4月に日本語教育機関認定法が施行となりまして、大きく三つの仕組み、一つ目は認定日本語教育機関の認定審査、二つ目は登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関の登録審査、三つ目は日本語教員試験の実施及び日本語教員の登録という仕組みが動いております。
 まず、1ページ目でございますけれども、日本語教育機関の認定でございます。年に2回のスケジュールで審査を行っておりまして、1回目につきましては、昨年10月30日に公表しましたとおり、申請機関72機関のうち、認定機関が22機関、全て留学のための課程でございます。現在、2回目の審査を実施中でございまして、申請機関が48機関、内訳としましては、留学のための課程が46機関、就労のための課程が2機関ということで、今年の4月目途で結果を公表できるように、今、審査を進めております。
 2ページ目を御覧ください。登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関の登録審査につきましても、年に2回のスケジュールで進めております。1回目の審査結果は、昨年11月29日に公表しております。実践研修機関のほうは、申請機関数38機関に対し、登録可となりましたのが34機関です。日本語教員養成機関につきましては、申請が47機関に対して、登録可が40機関でございました。現在、2回目の登録審査中でございまして、申請機関としましては、実践研修のほうが24機関、養成機関のほうが27機関ということで、5月末までに結果が出るようにということで、今、進めているところでございます。
 三つ目の、日本語教員試験、登録日本語教員の関係です。こちら、出願者数とありますが、受験者数の間違いでございまして、失礼いたしました。受験者数1万7,655人、合格者が1万1,051人、合格率は62.6%でございます。詳細は、また後ほど御説明いたします。
 3ページ目は、今申し上げた全体のスケジュールの状況でございまして、来年度につきましても、審査については年2回のスケジュールで、教員試験につきましては11月2日に実施するということで、公表しているところでございます。
 次、4ページ目でございますが、これらの制度全てにおきまして、情報公開については日本語教育機関認定法ポータルを用いて行うということにしておりまして、認定機関につきましては、既にこのポータル上で情報公開をしているところです。登録機関につきましては現在準備中、それから、登録日本語教員につきましても現在準備中になっております。
 続きまして、5ページ、6ページ目は、認定機関、認定に向けた支援ということで実施しているものです。5ページ目は教育モデルの開発・普及事業でございまして、今回、認定機関は「日本語教育の参照枠」にのっとった形で教育課程を組んでいただくということになりますので、その参考に資するような、生活、就労、留学、それぞれの課程に向けたモデルを開発して、その普及を進める事業でございます。
 次のページは、認定日本語教育機関の活用促進事業ということで、今年度の補正予算のほうで予算が計上できたものですので、今、全体統括機関を選定しているところでございますけれども、こちらは、認定日本語教育機関を中核としたモデルを構築するということで、企業等からの教育投資を受けまして、認定日本語教育機関がそうしたニーズにきちんと即した質の高い教育プログラムを提供していく。そして、そこから人材が輩出されて、その人材が企業あるいは大学等で御活躍いただいて、そういった営みが、地域経済の活性化ですとか、共生社会の実現に貢献していく。こういった好循環モデルを構築していく、そういったモデル事業でございます。
 続いて、7ページ、8ページは割愛させていただきまして、9ページ目は日本語教員試験の結果の内訳でございます。左の表二つは既に公表しているものでございまして、経過措置ルート等の内訳になります。右側は、合格者の所在地の都道府県別の一覧となっております。御参考でございます。
 続きまして、10ページ目を御覧ください。こちらは、これから、登録日本語教員の規模といいますか、どれぐらい増えてくるのかという御質問を度々いただいておりますので、何か参考にできるものはないかということで作成してみたものでございます。青いグラフは、先ほど御報告しました調査で毎年調べております、日本語教師数でございます。グレーのところは、日本語教員養成課程受講者数でございます。黄色は、日本語教師養成課程の修了者数でございます。オレンジは、日本国際教育支援協会が実施しております、日本語教育能力検定試験の合格者数になります。黄色のところとグレーのところが日本語教員の養成課程の受講者数と修了者数になりまして、ただ、修了者数は古くから毎年度取っているものではございませんので厳密な修了者数の累計というものは分かりませんが、仮に、毎年、受講者数の10%が無事に修了したという、かなり堅めの数字なんですけれども、堅めに見積もった場合の推計値としまして、10%と見積もった場合でも、令和4年度末までに累計で8万6,000人規模の修了者の方がいらっしゃるということでございます。それから、日本語教育能力検定試験の合格者数については、累計ですと4万9,000人強いらっしゃるということでございます。こちらはあくまでも単純に足し上げたものになりますので、厳密な数ではございません。それから、養成課程の修了者数と検定試験の合格者数は、両方お持ちの方も当然いらっしゃいますので、そういうことも勘案する必要があるかとは思っておりますけれども、少なくとも10万人規模で有資格者に該当する方はいらっしゃるのかなというふうに想定をしておりまして、こういった修了者あるいは合格者の方が、今回の日本語教員試験、あるいは実践研修等、それぞれ必要な試験あるいは講座を修了していただきまして、登録日本語教員になっていただければというふうに考えているところでございます。
 続きまして、11ページ目を御覧ください。こちらは、日本語教育機関の認定審査における運用改善の状況でございます。申請者全体を対象とした見直し事項と、法務省告示校に対しての見直し事項と、大きく分けてございます。申請者全体に対しましては、既にこの会議で御審議いただきました、窓のない教室の取扱いですとか、実地確認を一部省略できるということ。それから、手続上、提出書類を省略させていただきましたり、あるいは、この間、様々な御質問等もいただきましたので、それを「よくある質問集」に反映いたしまして、公表しているところでございます。加えまして、法務省告示校につきましては、負担附き校地・校舎の取扱いについて、抵当権の取扱いについて緩和できる解釈を示しているところと、それから、教員要件に関するもの、施設・備品に関するものの書類提出の省略を可としているところでございます。
 続きまして、12ページを御覧ください。こちらは、認定日本語教育機関等の関連する制度における取扱いの現状でございます。一つ目は、まさにこの認定機関制度が始まったことと在留管理制度をどう関連づけていくかということで、この認定機関、留学のための課程であることを、専ら日本を学ぶために留学の在留資格で入国される方の受入れ要件とするということで、運用が始まっているところでございます。
 続きまして、国民年金保険料の学生納付特例、健康保険・厚生年金保険の適用除外については、留学生において猶予あるいは適用除外の対象となるということになっております。
 それから、著作権法第35条につきましては、解釈において、「学校その他の教育機関」に認定日本語教育機関というものが該当し得るということで、解釈を確認しているところでございます。
 続きまして、登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関につきましてですけれども、こちらは、一つは教育訓練給付の支給対象講座として指定を受けることが可能となっているということでございます。二つ目は、国際交流基金が実施されている、日本語パートナーズという、現地の教育機関での日本語教育のパートナーとして、補助の役割で入るということで派遣される事業でございますけれども、この大学連携インターン派遣枠におきまして、登録実践研修機関につきましては選考の際に加点対象としていただいたところでございます。
 最後に、13ページを御覧ください。こちらは、登録日本語教員の確保と活躍促進に向けましての、文部科学省日本語教育課の取組を少し分類して、まとめたものでございます。
 まず一つ目、登録日本語教員制度の周知・認知度向上につきましては、先日2月10日、日本語教育大会のテーマを「登録日本語教員」として実施をしたところでございます。また、教育委員会委向けの会議におきましても、登録日本語教員の制度等について説明をさせていただきました。
 また、現職の方を中心として登録日本語教員に円滑に移行していただくということが重要でございますので、既に経過措置ルートを設定しまして、試験の一部あるいは全部免除を実施しておりますし、経過措置講習につきましては、11月1日から受講可能ということで、現在、多くの方に受講いただき、既に就労されている方も多数出ているところでございます。
 それから、先ほど申し上げたとおり、潜在的な日本語教師層が相当数いるということで、こういった方々に登録日本語教員になっていただきたいというふうに考えておりまして、動画を作成してYouTubeで公開いたしているところでございますし、今後、noteといった媒体も活用して、そういった情報にアクセスしやすい環境を整えていきたいと思っております。
 それから、養成、登録日本語教員になられた先のキャリア形成支援も含めました対応も重要だと思っておりまして、一つは教員研修のプログラムを引き続き実施をしてまいります。また、この現職教員のプログラム修了者に対しましては、オープンバッジを発行するということにしております。また、日本語教師養成・研修拠点ということで、地図に描いておりますとおり、ブロック単位で、大学に中核になっていただきまして、その域内の、日本語教育機関も当然ですし、自治体ですとか、あるいは、外国人、日本語を学ばれた人が働く先の企業等も含めたネットワークを構築していただきまして、その域内での日本語教師の養成、そして、日本語教師のキャリア支援を面で担っていただく、そういうような事業も実施しております。それから、先ほど申しましたとおり、今後、登録日本語教員の情報につきましては、日本語教育機関認定法ポータルで公開をしていくということにしております。また、先ほど御紹介した認定機関活用促進事業におきましても、登録教員に御活躍いただいて、地域での共生社会の実現に参画していただければというふうに思っているところでございます。
 説明は、以上となります。

【浜田部会長】 今村課長、御説明、ありがとうございました。
 それでは、ここまでの、福岡県の御発表、そして、文部科学省よりの説明について、御意見、御質問等をいただきたいと思います。
 最初に、福岡県様の御発表につきまして、基本的な事項の確認から施策との関わりまで、御質問、御意見がございましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 御質問がおありの方は、オンラインの方は挙手ボタンを押していただきますよう、また、対面で御参加の委員におかれましては、ちょっと見えやすいように、画面に向かって挙手をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。では、四ツ谷委員、お願いいたします。

【四ツ谷委員】ありがとうございます。福岡県庁さんの御報告で非常に関心を持ったのは、日本語教育関連の施策のうち、直方市の日本語教室で、3年間かけて技能実習の方々が最終的には、JLPTのN3程度、A2・B1くらいになっていくというなのですが、このような、3年間、仕事をしながら日本語を学習していって、最終的にA2・B1ぐらいのレベルになっていくというような、そういう日本語学習の場というのが提供されるようになれば、これから始まる育成就労制度、さらに、その後、特定技能制度へ接続していき、そこはA2レベルが必要になるわけですが、そこがスムーズに接続していくことができるようになるのではないかと思います。ただ、課題のところで、多分、直方市の教室について言うと、モチベーションの維持が難しいということが課題なのかなというふうに理解したのですが、この辺り、実際にアンケートを取ったりとかヒアリングをしたりとかしてコミュニケーションを取られていらっしゃるかと思うのですが、モチベーションを維持するのがなかなか難しいという、最大の理由といいますか、どの辺が3年間学習し続けることの大変さというか、どの辺りをクリアすればそれがうまくできるようになるのかというところを、分かる範囲で教えていただければと思いました。最後のほうで魅力的な教材がないという御指摘もありましたけれども、この辺りは、対話型ということで、子供向けに特にそういうのがないということなのかなと理解したのですが、もし、モチベーションの維持の課題みたいのが見えているようであれば、教えていただければ幸いです。

【浜田部会長】渡邉さん、お願いいたします。

【勝永委員(代理)】  モチベーションの維持というのは直方市さんも悩んでいるところで、もちろん個人差というのもあると思いますし、興味を持ってずっとやってくれている人もいれば、そうならない人もいるということで、そこは何とも言えないところなんですけれども、対策としては、より興味を持ってもらえるような、面白いやり方をしていくしかないのかなあというところでございます。もし、何か工夫とか、そういうことの例があったら、皆さんのほうが知りたい、そんな感じだったと思います。
 すみません。あんまり適切な答えになってないと思いますが。

【四ツ谷委員】ありがとうございました。そうしますと、学習を継続しようという意欲を持たせるような、興味・関心を惹起するのがなかなか難しいと、そういうことでしょうか。

【勝永委員(代理)】  そうですね。

【四ツ谷委員】 分かりました。ありがとうございます。

【浜田部会長】 ありがとうございます。企業側のインセンティブというか、例えば、N3に合格したらちょっとお給料が上がるような、あるんでしょうか。

【勝永委員(代理)】 そうですね。実は、たしか苅田町さんだと思うんですけど、合格したらというよりも、日本語教室にきちんと出る場合に時給をちょっと上げるとか、そういうインセンティブを考えていただいているところはあります。上げるといっても、例えば10円とか、非常に小さな額なんですけれど、気持ちという感じですね。だから、N3取得ももちろんなんですけど、まずは、場を設定している日本語教室にきちんと出てきてもらうということが一番大事じゃないかなと思っています。

【浜田部会長】ありがとうございました。そのほか、質問はいかがでしょう。
 では、戸田委員、お願いいたします。

【戸田委員】 ありがとうございます。渡邉委員、御発表、ありがとうございます。いろいろとお伺いしたいと思っているんですけれども、私もやはり、受講料を企業が負担しているという点について、直方市の取組に大変興味を持ちました。ということは、企業が日本語教育の必要性を認識されているということの表れであると捉えてよろしいでしょうか。また、ここに集まっている技能実習生は複数の企業から集まっているのか。この受講料に関しては、直方市からの御提案であったのかなど、少し詳しくお伺いできればと思います。

【勝永委員(代理)】企業側に負担を求めるというのは、非常に丁寧なプロセスを踏みました。アンケート調査であるとか、企業を個別訪問して意見をヒアリングするなど、そういったことで非常に時間をかけて丁寧にやっていって、それで企業のほうも最初と認識がちょっと変わってきたというようなところもあります。決して、最初からものすごく協力的であったということではないかもしれません。でも、日本語を分かるようになってくれることは企業のメリットにもなりますので、その意識は、多分、企業さんはお持ちなんだろうと思います。いかに地域で協力してそういう体制をつくっていくのかというところじゃないかなと思って、実は、そこが一番苦戦するところであり、時間がかかるところだと思います。2番目の御質問は、複数の企業からです。

【戸田委員】 ありがとうございます。
 もう一つあります。苅田町ではオンラインで15回の日本語教室を行っているということですけれども、こちらへの参加率というのは、やはりモチベーションを維持するのが難しかたのでしょうか。

【勝永委員(代理)】  先生がオンラインで。つまり、遠隔にいらっしゃる先生ということです。

【戸田委員】先生がオンラインで、学習者は教室に集まっている。

【勝永委員(代理)】はい。

【戸田委員】ありがとうございます。以上でございます。

【浜田部会長】 ありがとうございました。では、小澤委員、よろしくお願いいたします。

【小澤委員】 ありがとうございます。福岡の話は大変参考になりましたし、今日、このような場で、広く、また、多くの方に聞いていただけて、大変参考になったのではないかと思います。ありがとうございました。
 企業との連携は、文科の施策でも認定日本語教育機関にそのようなことをもっと広めていってほしいというようなことがあるわけですが、実際問題、どのように取り組むといいかというのが分からないところもあると思うので、お話は大変参考になったのではないかと思いました。
 一つ、福岡だけのことではなく思っていることですけれども、日本語教育の現場に学習者の皆さんに来ていただくためにどのように学習者の意識を高めるかという問題は、言語教育を広く捉えた観点が必要だと感じました。どのようにモチベーションを維持するかとか、何がその学習者の行動変容に作用しているのかというのは、広い観点から丁寧に事例研究などをしたほうがいいのではないかと思いました。そのことは「日本語教育の参照枠」の柱となっている三つの点の一つ目にも関わると思うんですね。日本語学習者は社会的存在であり、「言語を学ぶ者」ではなくて、新たに学んだ言語を用いて社会に参加するということを「日本語教育の参照枠」として一生懸命推進しているわけですので、そこを考えたときに、単純に、ここに来て学習すればN3に日本語力が上がるとか、日本語のコミュニケーションで職場で単純なことができるようになるとかではなく、そういったいろいろな言語のリソースを使って職場内でよい交流が生まれつつあるとか、地域の方とも、いろいろな行事に参加したり、顔見知りが増えたりというところがそもそもの目的なのだと思います。その辺りがどのように変わったのかということなども御報告いただくと、ほかのところでも、そういう好事例から学んで、やっていくようになるかなと感じました。
 福岡のお話は、運営されている教室が持っていらっしゃる目標が非常にいいなと思いまして、恐らく集まる方々のニーズに合わせて多様なものを選ばれたんだろうなと思ったんですけれども、例えば、かんだ日本語パンジーの「笑顔になれるあたたかな居場所をつくる」とか、そういうところが必要だというふうに判断される教室の立ち上げ方にも、日本語教育の専門家の資質やスキルが生きるところだと思います。日本語教育のボランティアさんたちへの支援といったときに、すごく分かりやすい側面である「Can doに対してパフォーマンスをどう上げるか」というところにどうしても注力しがちですけれども、それ以前に、どうやったらこの人たちが言語を使って社会に参加できるようになるかという観点で、教室を立ち上げたり、カリキュラムをつくったり、学習者に呼びかけたり、彼らのパフォーマンスを見たりするというところの支援が必要ではないかと思いました。これは、福岡だけではなく、日本語教育課のほうでも「日本語教育の参照枠」の推進を一生懸命やってくださっているので、そんなところも力を入れていただけると非常にいいのではないかと思いました。
 長くなって、すみません。以上です。

【浜田部会長】 ありがとうございました。それでは、そのほかいかがでしょうか。では、徳永委員、お願いいたします。

【徳永委員】 私も、福岡の事例、大変参考になりました。ありがとうございました。
 今のご意見と関連しているかもしれないですけれども、課題1の学習者が集まらない、モチベーションを高めるというところに大変関心を持ちまして、例えば、なぜ学習者がなかなか日本語教室に来れないのかとか、そういうことを知るために、外国人当事者がそういったヒアリングに関わっているのかとか、外国人当事者がコーディネーターになっているのかということも、重要なのかと思いました。もしかしたら、聞き取れていない部分があるのかもしれません。例えば、学習者の家族の事情だったりとか、仕事だったりとか、その教室についてあまり周知がされていないとか、外国人側の視点というのを含めて聞くことも重要だと思いましたが、その点について、もし、何か御存じのこと、あるいは既にやっていらっしゃることなどがあれば、教えていただきたいと思いました。

【勝永委員(代理)】  ありがとうございました。今、実際に、外国の方、受講者、生徒さんに対するアンケートはやっているということです。
 確かに、参加する側に立って考えていかないと、運営側ばかりのことを考えても駄目かなあと思いますので、それは今からの課題としてやっていきたいと思っております。

【徳永委員】運営側に外国人の方が入ったり、コーディネーターのほうに外国人が入ったりすると、少し違うかと思いました。

【勝永委員(代理)】 苅田町さんで、1人、外国籍の方と結婚されているコーディネーターさんはいらっしゃるらしいんですけれども、今のところ、コーディネーターは日本人です。

【徳永委員】 ありがとうございます。

【浜田部会長】 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。では、石黒委員、お願いいたします。
 石黒委員、お声が聞こえていないようなんですけれども。マイクはオンになっているようなんですけれども、音声がこちらのほうに届いていないようですが。

【石川日本語教育課課長補佐】 石黒委員から、マイクの調子がということで、チャット欄にテキストで御質問をいただきました。私のほうで読み上げさせていただきます。

【浜田部会長】 お願いいたします。

【石川日本語教育課課長補佐】 福岡県のモデルケースは大変参考になりました。
 質問は2点です。1、必要となる施策11ページの1.人材育成ではボランティアとある一方、4.担い手確保では待遇の改善及び報酬とありますが、説明の中でもそうした声が強いと理解しましたが、日本語教師に対する報酬をどう考えていらっしゃるのでしょうか。
 2、福岡県における日本語教育において、地域性をどのように考慮していらっしゃいますか。役所、地理、外食、学校、就労等の生活情報をどう入れておられるのでしょうか。また、方言というものをどのように位置づけ、生活者として支援していますか。
 という御質問でございます。

【浜田部会長】  渡邉さん、お願いいたします。

【勝永委員(代理)】 1番目の御質問のほうは、日本語教師さんというのは、最後に申し上げたとおり、やっぱり待遇の改善というのが一番の課題かなあと思っております。ボランティアさんは、本当にボランティアでやっていただいているので、その人たちについては、スキルアップのためのもっと効果的な研修ができたりとか、もっと広く呼びかけてボランティアさんを集めたりとか、そういうことができていけばいいのかなあと思っております。質問の趣旨に合ってているのかどうか、ちょっと分かりませんけれども、そういうふうに考えております。
 2番目のほうですが、地域性というのが特別に何かあるのか、福岡の地域性というのがあるかどうかというのは分かりませんけど、生活情報的なことは、例えば、ごみの収集の仕方とか、ごみの出し方とか、そういったものを日本語教室の中で日本語を使いながらやったりとか、あと、防災ですね。避難所はどこであるとか、こういうときにはどうしたらいいかとか、そういったことを市町村の防災担当の人が来て日本語教室で話してくれるとか、そういったことを日本語教室ではやっております。

【浜田部会長】ありがとうございます。
 1の御質問についてちょっと確認なんですけれども、いわゆるボランティアというふうにおっしゃっている方と、それから、日本語教師として報酬を得て、例えばコーディネーションとか、そういったことをされている方と、それぞれ役割分担をされて日本語教育を運営しておられるということでしょうか。もしお分かりのことがあったら、教えていただければと思います。

【勝永委員(代理)】日本語教師の方は、教師としてのスキルをお持ちですので、日本語をどう教えていくかというようなことを中心にやっています。ボランティアさんというのは、それを助ける、また、寄り添っていくみたいな感じで、例えば、教室によっては生徒何人かの中にボランティアさんが1人入って、先生が言っていることを手助けするとか、そういった形で、いろんな役割分担をしてやっていると思います。

【浜田部会長】ありがとうございます。ということですけれども、さらに日本語教師の専門家として関わる方について、待遇の改善が必要であるということでございますね。

【勝永委員(代理)】はい。

【浜田部会長】ありがとうございます。石黒先生、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、福岡県様の御報告以外に、文科省からの御説明もございましたので、併せて、御意見、御質問を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。では、是川委員、お願いいたします。

【是川委員】ありがとうございます。福岡県さんからの説明と併せまして、文科省のほうから、日本語教師、認定日本教育機関の普及・展開に関して様々な事業をされているという御説明があり、大変参考になりました。
 日本語教育という点に関しましては、先般行われた日本語教育大会のほうでも基調講演の機会をいただきまして、そちらでもいろいろとお話をしたところです。今後、日本語教師や認定日本語教育機関の役割といったところで、育成就労制度とか特定技能といった、就労関係というもののニーズがすごく強くなっていくというふうに思っております。ちょうど、今、同時並行で、厚労省、入管庁のほうで、育成就労の法案の3年後の施行に向けていろいろな、基本方針の検討や、省令・政令の制定に向けた会議体というものが運営されておりまして、そちらのほうにも私は委員として入っているところです。先週、省令・政令に関する有識者懇談会のほうで申し上げたことについて、ちょっとお話ししたいと思います。
 今、育成就労制度及び特定技能1号から2号にかけてのところに日本語の要件というのが課せられてくることになっています。育成就労のほうは現段階でも、特定技能1号に上がるに当たっては、日本語試験はございます。これに加えて、特定技能2号に上がる際にも日本語試験を課すというようなことが予定されているところです。また、それに伴って、雇用者の責務として、日本語の学習時間について、育成就労では、最初、1年目のところで100時間で、その後3年以内に100時間というものが示されているところです。一方で、何をどう教えるかということについては、そちらのほうの会議体では、日本語教育の会議ではないので、あまり詳しく議論されておりません。
 そういった中で、一応、私のほうから、担い手をどう確保するのかという点や、何を教えるのか、また、日本語能力をどのように測定していくのかということについて、育成就労や特定技能制度の側でも、もう少し解像度高く、しっかり制度として書き込んでいく必要があるということを申し上げたところです。今日の御説明を伺って、それに向けた動きというのが文科省のほうでも進んでいるんだなということを改めて認識したところです。
 ただ、その一方で、マーケットにおける事業としてどう展開していくかという点について、より一層後押ししていく必要があるかなと思っています。一つ、御提案、意見として申し上げたいのは、認定日本語教育機関の就労に関する課程の認定に関して、現在、オンライン授業を全体の4分の3以下とするという規定がありますけども、こちらのほうについて改めて、撤廃や例外の設定も含めて議論していく必要があるんじゃないかなということです。そういった必要性について、育成就労側の会議でも申し上げたところです。
 文科省のほうでは、モデル事業、カリキュラムとか、担い手との、実際にどういう形で教育を供給するのかということについて、補正予算等でも事業を進めていらっしゃったり、また、生活類型のほうですけども、今日、御説明があったように、交付税の補助対象にするなど、様々なところで底上げされているところですが、施行までの間に、就労類型の認定日本語教育機関を中心とした、外国人労働者向けの日本語教育、そういったもののエコシステムをつくっていく必要がありますので、そういった事業が民間ベース・市場ベースで広がっていく一つの引き金として、オンライン要件についていま一度議論をする必要があるんじゃないかなというふうに思ったところです。こちらは意見となります。
 以上です。

【浜田部会長】大変貴重な御意見、ありがとうございました。オンラインベースでの教育を進めていくべきと。
 そのほかいかがでしょうか。
 では、戸田委員、お願いいたします。

【戸田委員】ありがとうございます。今、是川委員がおっしゃったオンラインの要件についてなんですけれども、ここのところ、いろいろな企業の方にお話を伺うと、全国津々浦々に就労に関わる人材がいるというところから、このオンラインの要件を、日本語教育の専門家、つまり登録日本語教員が担うのであれば、例外を認めるということもあるのではないかというふうに思いました。
 それから、先ほど福岡県の御発表の中の課題の一つに人材の育成ということが取り上げられていまして、これは、福岡県のみならず、日本全国、日本語教育の中ではとても大事な点だと思うのですが、これについても文部科学省のほうでいろいろな取組がこれから行われるということで心強いですけれども、今、50%のボランティアの方々に支えられている状況の中で研修というのをどうするのかということは、喫緊に解決しなければならない問題ではないかというふうに、お話を聞いていて感じました。
 以上でございます。

【浜田部会長】ありがとうございます。実際はボランティアという名前で日本語教師に相当するようなお仕事をされている方も現実としてたくさんあるということで、今後考えていくべき重要な課題かと思います。ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 では、毛受委員、お願いします。その後、続けて、小澤委員、お願いいたします。

【毛受委員】福岡県の御説明、それから、文科省の御説明、ありがとうございました。文科省の皆さん、本当にお忙しい中、非常に詳細な資料を見せていただきまして、ありがとうございます。
 私は、日本の外国人の受入れにおいて、多分、日本語教育が一番進んでいるし、先進的にやっていただいていると感謝しておりますし、私もぜひそれを支援したいと思っておりますけれども、一方で、課題といいますか、今、日本に外国人の方は1年間に34万人増えております。ですから、私が関わっている新宿区で言うと130か国の人たちがいて、先ほども話がありましたように配偶者の方とか子供も非常に増えているとということでありまして、率直な気持ちとして、今、日本語教育は進んでいるとはいえ、本当に追いつくのかなという気持ちも実はあるわけですね。
 その中で、日本語教育のほうは、登録日本語教員ということができて、日本語学校も認定制ということで進んではいるんですけれども、議論されていない最大の課題、あるいはこれからの課題というのは、登録日本語教員はあったとして、その給料は誰が出すのかという話ですね。外国人本人が出すのか、企業が出すのか、あるいは政府が一部出すのかという話がされてないんですけども、今のところは恐らく企業に出していただこうということだと思うんですが、本当に、企業が出して、登録日本語教員が生活できるくらいの給与が出るのかどうかというところだと思うんですね。今まで、この中での議論でヨーロッパの例がありましたけども、ドイツでは相当レベル、政府がお金を出しているという話がありました。日本も外国人の日本語教育については大分進んできたわけですけども、残された課題というのは費用の話ですね。これを企業に負担させるのでいいのか。それから、育成就労で100時間という話がありましたけども、この100時間の費用は企業が出すのか。もし出すとしても、就労時間内にこの時間を取るのか。就労時間外であれば、これは恐らく残業ということなるんだと思いますけども、やっぱりこれは費用がかかってくる。あるいは、就労時間内であれば時間を割くということになると思いますけれども、これをどこまで企業の人たちに徹底してやってもらうのかというところは重要な話で、育成就労というのは、日本語教育についての非常に大きな転換点というか、一種、突破口でもあるし、転換点でもあると思いますので、この部分でしっかり、日本の日本語教育の将来の在り方を転換させる一番大きなところだと思いますので、ぜひ文科省の方々には頑張っていただきたいというふうに思います。

【浜田部会長】ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。
 では、続きまして、小澤委員、その後、大下委員、お願いいたします。

【小澤委員】ありがとうございます。文科の皆様へのお願いになります。
 今回、教員養成課程を受けても日本語教師にならない方が多いという報告がありましたけれども、その中には、地方自治体に就職したり、企業に就職して外国人従業員の方との橋渡しのようなことを担っていらっしゃる方も割合いるというふうに聞いておりますので、そういうものが数字で見えると、皆様が一生懸命推進してくださっていることは決して結果が出ていないわけではないということが見えますし、企業の側でもそういう人材を使っていこうとか、地方の市役所等でもそういう方を活用していこうという機運が生まれるのはいいことではないかと思うので、そういう調査があるとよいと思いました。
 もう1点はお願いなんですけれども、日本語教育部会のほうでは、国際教育ではないので年少者の日本語教育は正面切っては扱わないということなっていると思うんですが、先ほどの福岡のお話を聞いていても、地域の皆さん、あるいは企業で働いている皆さんの関心事として、御自分の配偶者やお子さんの問題を抱えていらっしゃることが報告されました。そうすると、それがボランティアの方や地域の日本語教育の現場に問題として寄せられるのではないかという気がするんですね。そういったときに対応する方が、例えば年少者であれば本来は全人教育として当たらなければならないところを、日本語だけ頑張りましょうとなるのは望ましくないですし、「日本語教育の参照枠」のCan doも認知的に年少者に向かないと言われているようなことなどを御存じないと問題になるのではないかと思いますので、国際教育課との連携をますます深めていただいて、学校関係者だけではなく、地域の皆さん、企業の皆さんとの間でも連携していきましょうというふうな機運をつくっていただけると大変ありがたいというふうに思いました。
 以上です。

【浜田部会長】2点、重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 では、大下委員、お願いいたします。

【大下委員】日本商工会議所、大下でございます。少し予定がございまして、遅参いたしまして、申し訳ございません。文科省さん並びに福岡県さんの資料については、事前に拝見させていただきました。大変充実した取組であると思いました。
 先ほど是川委員からもお話ございましたが、私も育成就労に関する国の会議に参画させていただいております。その場で私からも意見を申し上げた内容ですが、技能実習が育成就労に変わることの大きな意味の一つは、特定技能への連携がさらに緊密になり、特定技能2号に上がることによって、定住が可能になり、家族の呼び寄せも可能になるところだと考えています。これまでの3年程度のローテーションで外国人材を受け入れてきた技能実習の在り方を見直して、定住していただいて、地域で働いてもらう外国人をしっかり受け入れていくということに、大きな意味があると思っています。今、技能実習等で来日して働いている外国人の中にも、家族を呼び寄せたいというニーズは非常に高いです。なおかつ、受入れている企業や監理団体から大きな課題として常に出てくるのは日本語教育の問題です。今、日本語教育の質を上げるための取組を行っていて、これも非常に大事なことだと思いますが、同時に、必要な量をどうやって確保し、なおかつ、技能実習生を受け入れている事業者が所在をしている都市部以外まで行き渡らせるのかが重要だと思います。質と量、都市部以外も含めてどうやって教育を担保し確保するのか、日本語の勉強ができる環境を整備するのかということが非常に求められていると思います。そういう意味では、是川委員からもお話がございましたが、オンラインも含めて、一定の質を担保しながら柔軟に日本語が勉強できる環境を幅広く提供できるという方向性が非常に大事だと思っております。質を落とさずに、一定程度、量と地域をカバーするという意味では柔軟な運用も必要ではないかと思います。
 併せて、その際に、先ほど毛受委員からお話ございましたが、今、基本的には、技能実習生等の受入れに当たって、日本語の教育や生活する場所の確保等々、企業側の負担が相当大きくなっています。どんどん受入れ人数が増えて、企業側からすると負担が重いという状況の中で、これから受入れがさらに拡大し、さらに家族の呼び寄せということまで増えてくると、これらについて全てを、基本的には企業が面倒を見るのは、頑張らなければいけないとは思いますが、相当、無理が生じてくると思います。日本語に関しても、就労に必要な日本語は企業側がしっかり教えるべきだと思いますが、それ以外の生活面で必要な日本語に関しては、ぜひ国や自治体がしっかりカバーしていただきたいと、我々はずっと申し上げてきています。日本語が必要で一番困るのは、日々の仕事ももちろんありますが、例えば、何らかのトラブルに巻き込まれたり、あるいは病気になったりしたときです。今は企業側が一生懸命カバーしているのが現実です。そういう意味では、日本語教育に関する企業の負担をある程度カバーしていただくために、自治体や国の支援もぜひお願いしたいと思っております。
 私からは、以上です。

【浜田部会長】ありがとうございました。国全体としての方針ということで、非常に重要な御意見をいただきました。ありがとうございます。
 そのほかございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、非常に重要な御指摘・御意見を多数いただきまして、ありがとうございました。議事の(1)(2)(3)は、ここまでとさせていただきたいと思います。
 では、次に議事(4)に参ります。国家戦略特区における規制改革事項に係る検討について、事務局から委員の皆様の御意見を伺いたいということですので、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石川日本語教育課課長補佐】文科省日本語教育課の石川でございます。私から、議事(4)の説明として、資料5、認定日本語教育機関の校地・校舎自己所有要件に係る検討についてという資料に基づいて、御説明させていただきます。
 まず、資料の1の経緯のところから、これに沿って御説明させていただきますが、今年度から施行されました認定日本語教育機関の認定基準におきましては、安定かつ継続した日本語教育機関の運営を担保するため、原則として校地・校舎は設置者の自己所有であることとしております。原則としてということでございますので、一部例外を認めている部分もございますけれども、このような仕組みとなってございます。これはまた、法務省告示校の告示基準における基準についても同様となってございました。
 その上で、二つ目の丸でございますけれども、国家戦略特区制度の規制・制度改革の提案募集におきまして、北海道の江別市様より、認定日本語教育機関の認定基準の要件緩和が提案されました。その提案の趣旨といたしましては、市と連携協定を締結する事業者が、自己所有ではない土地・建物、今回の提案の場合には、市内の私立大学の空き教室等ということでございましたけれども、既存の学校の空き教室等を活用して、留学のための課程を置く場合に、校地・校舎の自己所有要件の例外として、認定日本語教育機関の認定を受けられるようにすることを求める提案でございました。
 この提案につきましては、2でございますけれども、国家戦略特区ワーキンググループでのヒアリングを踏まえて、規制改革実施計画の閣議決定文書において、以下の規制改革事項が定められたところでございます。定められた事項は枠の中でございますけれども、まず、「認定日本語教育機関の安定かつ継続した運営を担保するための具体的方策について提案主体」、今回の場合には北海道江別市様ということになりますが、そこで検討した上で、「提案主体における検討と令和6年4月に施行された日本語教育機関の認定制度の運用状況などを踏まえ、より質の高い日本語教育の確保の観点から、「校地・校舎の自己所有」の在り方について更に検討を進め、令和6年度中に検討を得る」ということとされたところでございます。
 その後ですけれども、この閣議決定文書で「提案主体において検討するとともに」とされたことを踏まえ、提案主体である江別さんで具体化について検討がされましたけれども、その検討の結果といたしましては、市内での事業立ち上げ予定はなくなったということでございました。その結果、結果としては、この提案は取下げという扱いとなったところでございます。提案は取下げとなりましたので、「令和6年度中に結論を得る」とされたこと自体は、今年度中に結論を得る必要はない状態になったということではございますけれども、この国家戦略特区の枠組みの中で、認定日本語教育機関の認定基準における校地・校舎の自己所有について規制緩和の提案を受けたということから、この認定基準は、この日本語教育部会の前身である、文化庁時代の日本語教育小委員会における議論を踏まえて策定されたものでもございますので、そこを引き継いでいるこの日本語教育部会の委員の皆様の御意見もいただいておきたいということで、今回、議題にさせていただいたところでございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。

【浜田部会長】ありがとうございます。
 規制改革の御提案について、実際には今回は具体化しなかったということですけれども、ぜひ、委員の皆様の御意見を伺いたいということでございます。
 いかがでしょうか。御意見がおありの委員の方、挙手をお願いいたします。
 では、毛受委員、お願いいたします。

【毛受委員】今のケースは特区での認定要件の緩和ということなんですが、自治体が直接的に関与する日本語学校の在り方ということで意見を申し延べたいんですけれども、石破政権では地方創生ということをこれから大規模にやっていこうということであるわけですが、地方創生の中で、日本人がどんどん減っている中で、地域で増えているのは実は外国人であるということですね。そう考えると、外国人の人たちが地域に定着していくというのは、本来、地方創生の一つの柱になっていいのではないかと私は前から考えているんですけども、そのときに自治体としてできることの一つは、自治体が想定する日本語学校というのがあって、既に幾つかの例が出ておりますが、地域日本語教室だけではなくて、自治体が、外国人のための日本語教室をつくり、カリキュラムをつくり、しっかりした、認定されるようなものをつくっていくと。卒業した人たちは地域の企業に雇用されて定着していくということも、本来、地方創生ということで考えると大きな一つの柱になり得るものだと。これは今すぐにはできないかもしれませんけれども、これはぜひ文科省のほうとして、地方創生というものすごく大きな予算がつく事業がこれから動いていく中で、日本語ということと絡めて、外国人の人たちが地域に定着していくということで、自治体が設立する、あるいは自治体が関与する日本語教室について政府の一部の補助金等予算が振り向けられる、そういうこともぜひ考えていただきたいなというふうに思います。

【浜田部会長】ありがとうございます。外国人の方の定着を目指して、今後、様々な規制の緩和が必要ということでございます。そのほかいかがでしょうか。戸田委員、お願いいたします。

【戸田委員】この件につきまして、私からも意見を述べたいと思います。
 今回の認定日本語教育機関の認定基準については、令和5年度に文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の下に置かれた、認定日本語教育機関の認定基準等の検討に関するワーキンググループにおける議論を踏まえて、制定されたものです。私はこのワーキンググループの座長を務めておりましたので、当時の経緯を含めて、コメントをいたします。
 認定基準の方向性については、ワーキンググループに先立ち、令和4年度に文化庁に置かれた日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議が、報告書「日本語教育の質の維持向上について」として、取りまとめています。その報告書においては、認定日本語教育機関の施設・設備に関する審査基準の具体的な方向性として、「安定的、継続的に日本語教育を実施するため、校地・校舎は設置者の自己所有か、又はそれに準ずるものとすること」とされています。これを踏まえて、原則として校地・校舎の自己所有を求める認定基準の案をワーキンググループとして審議し、了承したものです。
 校地・校舎の自己所有要件の見直しについては、安定的、継続的な認定日本語教育機関の運営を担保する仕組みに重要な変更を加えるものであるため、丁寧な検討が必要かと思いますけれども、認定制度は本年度から開始したところであり、検討の前提となる制度の運用実績が十分にないことから、まずは現行制度を着実に実施して、施行の状況を注視することが重要だと考えております。以上でございます。

【浜田部会長】ありがとうございました。基本になる考え方の取りまとめをいただいた戸田委員から、重要な御指摘がなされたかと思います。
 そのほかいかがでしょうか。この件につきまして、御意見、御質問等ございますか。特にございませんでしょうか。
 ありがとうございました。そうしますと、準備しておりました議事は以上で終了ということになります。外国人の受入れに向かって大きくかじを切った、この時点におきまして、国として明確な指針を持って進むべきという観点から、様々な貴重な御意見をいただいたこと、大変ありがたく思います。
 それでは、最後に、事務局のほうから連絡事項等がございましたら、お願いしたいと思います。

【石川日本語教育課課長補佐】事務局でございます。次回以降の開催でございますが、日程が決まりましたら、事務局より御連絡させていただきます。連絡は、以上でございます。

【浜田部会長】ありがとうございました。そのほか、委員の皆様から何か御意見等ございますか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第5回日本語教育部会を終了いたします。委員の皆様におかれましては、次回以降も部会への御参加、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。