令和7年4月18日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他
「子供の読書キャンペーン #あなたと読みたい1冊」の実施、指定宗教法人の清算に係る指針検討会、公立小中学校の適正規模・適正配置等に関する見解、財政制度審議会における私立大学の質をめぐる議論について、日本学術会議に対する期待、靖国神社春の例大祭への参拝予定、部活動改革による教員への働き方改革への影響、サイバー攻撃を受けた卒業アルバム制作業者からの個人情報漏洩への対策、「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」のユネスコ「世界の記憶」国際登録決定
令和7年4月18日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年4月18日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは2件でございます。文部科学省におきましては、4月23日「子ども読書の日」に向けまして、本日より「子供の読書キャンペーン #あなたと読みたい1冊」を実施いたします。その取組といたしまして、子供たちが様々な本に触れ、読書に親しむ機会が増えるよう、著名人の皆様からのお薦めの本とメッセージを御紹介しています。今回はLiLiCoさん、Snow Manの阿部亮平さん、長濱ねるさん、宮島未奈さん、ラランド ニシダさん、けんごさんの6名の方々にお願いをしています。また、今回のキャンペーンでは、新たに動画による本の紹介、また魅力的な図書館の紹介も行います。文部科学省といたしましては、本キャンペーンを通じまして、子どもたち同士が、読んだ本の感想をSNS等で適切に発信・共有するなど、読書を通じてつながりが生まれることも期待をしているところでございます。
2件目でございます。この度、被害者救済特例法に基づきまして、指定宗教法人が清算に入る場合についての対応を検討するために、文化庁に検討会を設けることといたしました。指定宗教法人は被害者も多いなど特殊性があるため、宗教法人制度の所管官庁として検討会を設け、有識者の御意見を踏まえながら、信教の自由に配慮しつつ、清算手続きを通じた被害者の救済と円滑な清算に資するための指針を策定していきたいと考えております。今後、速やかに委員の選定手続きを行いまして、来月にも会議を開始し、本年の秋ごろをメドに指針が策定できるよう検討を進めたいと考えております。なお、この後、事務方によるブリーフィングを行います。詳細につきましては、事務方にお尋ねください。以上でございます。
記者)
公立小中学校の適正規模や適正配置について伺います。文科省では、公立小中学校の適正規模・適性配置等に関する手引きを設けていますが、多くの学校がその基準を満たしていない状況かと思います。現在、協力者会議を開いたり、昨年度補正予算で調査研究費を計上したりして対応に当たっているかと思いますが、少子化時代における望ましい学校の規模や配置について、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
学校の適性規模・適正配置につきましては、各地域の実情に応じて設置者である自治体においてご判断をいただくものでございますが、多くの地域で少子化による学校教育への影響が課題となる中にありまして、文部科学省におきましてもGIGAスクール構想など、昨今の教育環境の変化等を踏まえた対応を検討していくことが求められているものというふうに考えているところでございます。このため、ご指摘いただきましたように昨年度の補正予算におきまして調査研究費用を計上いたしまして、通学の在り方、また都道府県と市町村の連携の在り方、また教育効果における(注)情報収集を行うとともに、本年の2月から調査研究協力者会議を開催いたしまして、学校の適正規模、適正配置の在り方について御議論をいただいているところでございます。これら有識者会議における議論、調査研究につきましては、本年度中を目途に一定の整理を行うこととしておりまして、その状況を踏まえながら必要な対応を、順次、検討してまいります。以上でございます。
(注)「おける」は、正しくは「ついて」です
記者)
財務省が15日に開きました財政制度等審議会について質問させていただきます。こちらの分科会のほうで、財務省のほうからは定員割れとなっている一部の私立大学の教育内容を具体的に事例として挙げた上で、「義務教育もしくは中等教育で学ぶような内容」だと厳しく指摘しています。その上で、大学を評価する今の認証評価制度を見直すなどして教育内容の質や人材育成の観点で私学助成の額の配分の見直しを検討する、その仕組みの提案をしています。文科省としては、3月に開かれた有識者会議で既にこれを検討している最中かと思いますけれども、財務省がこういった定員割れの大学の授業例というのを示した上でこういった見解を出したことへの受け止めをお聞かせてください。また、文科省としてはこういった一部の大学がこういった「義務・中等教育で学ぶような」授業をしていることについてどういう背景があるとお考えなのか、そしてそういった授業をする大学の教育の質をどのように評価されているのか、これも合わせてお伺いできればと思います。
大臣)
財政制度審議会からの指摘の内容のうちでございますが、規模の適正化、また設置認可の厳格化、さらには私学助成のメリハリ強化、安易な公立化の抑制、業務効率化の推進等につきましては先般の中央教育審議会の答申、また「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」の検討の方向性とも共通しているところでございまして、しっかりと施策の具体化を図ってまいりたいというふうに思います。一方、一部の大学では後期中等教育以前の学び直し、御指摘のあったところでございますが、を行っているという指摘がございますが、これは高等教育の円滑な導入のために実施しているものであるというふうに私ども承知をしております。教育の質に関しては、課題解決能力の涵養等の学生の成長への寄与、また学生の卒業後の就職状況等を総合的に評価することが必要でございまして、学び直しに関する内容が含まれていることのみを持って評価することは適当ではないと考えております。以上です。
記者)
本日、日本学術会議法の審議が衆議院の本会議で始まります。15日にあった学術会議の総会では、自律性や独立性の懸念が払拭されていないなどとして国会に対して法案修正を求める決議も行われました。もう一つ声明が発表されて、今後、「社会課題の解決に寄与し学術のさらなる発展のために次世代に引き継ぐことを約束する」というふうにも語っています。ナショナルアカデミーの転換点になる可能性がありますが、文部科学大臣として学術会議に期待することや学術会議との連携をどう深めていくかについて、お考えを教えてください。
大臣)
今回の法案に関しましては、日本学術会議の機能強化に向けて独立性また自律性を抜本的に高めるために法人化するものと承知をしているところでございます。社会課題の複雑化・深刻化が進みまして国民生活、政策立案に学術的な知見を取り入れていく必要性、これまで以上に高まっている中にございまして、本改正により日本学術会議の機能が強化され、国民の期待に応えていくことを期待しているところでございます。以上です。
記者)
来週、靖国神社で春季例大祭が開催されます。大臣は、期間中の参拝や真榊の奉納の御予定などがおありでしたら教えてください。
大臣)
私といたしましては、いわゆる参拝する予定も真榊を奉納する予定もございません。以上です。
記者)
部活動改革についてお尋ねいたします。部活動改革は本年度に改革推進期間の最終年を迎え、現在、有識者による実行会議では26年度以降の次期推進期間に向けた最終取りまとめの素案が審議されています。実行会議のワーキンググループでは、今回の26年度以降の素案が「将来にわたって生徒がスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を設けるということが明確になった」と評価する一方で、「教員の働き方という観点から言うと後退したのではないか」とする意見が一部の委員ですとか教員から上がっています。直接の所管はスポーツ庁、文化庁ではあるのですけれども、教員の働き方改革の観点から文科省としてこの改革推進期間での成果、課題をどのように捉えていらっしゃるのか、次期改革期間に向けた展望や期待についても併せてお聞かせください。
大臣)
昨日の有識者会議で示されましたいわゆる素案の最終取りまとめにもございますように、部活動改革、急激な少子化に進む中、将来にわたって生徒がスポーツ・文化芸術活動を親しむ機会を確保することが主目的としているところでございます。こうした中で、文科省といたしましては、令和5年(注)から実証事業を実施しておりまして、部活動改革に着手している地方自治体におきましては、生徒の多様な体験機会を確保する取組がなされているところでございまして、これらの取組は、学校における働き方改革にも資するものと私ども認識をしているところでございます。文科省といたしましては、実行会議の「最終取りまとめ」、これを踏まえながら令和8年度以降、改革実行期間におきまして子供の視点から、特に部活動改革の全国的な実施を推進してまいりたいというふうに思っているところでございます。
(注)「令和5年」は、正しくは「令和5年度」です
記者)
教員の働き方の観点から言うと、26年度以降に対して何か御期待ですとか展望はありますでしょうか。
大臣)
働き方改革に関してになりますが、繰り返しになりますが、部活動改革、先ほども言いましたように将来にわたり生徒がスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保することが主目的でございまして、令和6年度に関しては運動部の活動で510自治体、文化活動で162自治体と前年より多くの自治体に取り組んでいただいておりまして、令和7年度はさらに増加する予定でございまして、この実証事業を通しまして、自治体の創意工夫によりまして、地域の実情に応じました多様な地域クラブの運営形態が形成されると同時に、実は指導者の確保、さらには活動場所への移動手段の課題、これも大きゅうございますが、解決に向けた方策等が見出されているところでございます。令和8年度から令和13年度の「改革実行期間」におきましては、休日につきましては、原則、全ての部活動におきまして地域展開の実現を目指すことなどを含めて、有識者会議における議論を踏まえまして地域展開の全国的な実施に取り組んでまいりたいというふうに思います。なので、働き方改革の観点からも私は資するというふうに思っているところでございます。
記者)
旧統一教会の清算の検討委員会、検討会ということなのですけども、有識者というのは宗教学者、それから宗教者、どんなメンバーが入るのかということ、それからおおよその人数、それと解散命令請求を出したときに宗教法人審議会というのが約15、6人くらい、今もいる方もいますけれどもこれで成立していますけれども、そこのメンバーと重なることはありますか。それから、秋に発足予定ということですけれども、秋に発足してすぐ検討に入るということですか。
大臣)
この後、事務方によりブリーフィングがございますので、詳細につきましては事務方にお尋ねいただきたいというふうに思っておりまして、委員の選任手続に関しましては来月にも会議を開するということでございまして、来年秋ごろ(注)をめどに指針が策定できるよう検討を進めてまいりますが、先ほど申し上げたようにこの後、事務方によるブリーフィングを行いますので詳細については事務方にお尋ねください。
(注)「本年秋ごろ」は、正しくは「来年秋ごろ」です
記者)
卒業アルバムの情報漏洩の関係でお伺いします。学校から再委託を受けているアルバム業者がランサムウェアによる攻撃を受けて主に小中学生の氏名と写真データが漏洩した可能性がある事案が全国で相次いで発表されています。こういった事案が出ていることの受け止めをまずお伺いしたいというのが1点と、あと個人情報を業者がどう管理しているかを確認、把握しておく地理的な責任というのは選定する学校にあるものの、児童・生徒や保護者としては悪用された際の影響や懸念はとても大きいと思います。国として児童生徒を守るために今後の事案、今回の事案を受けてガイドラインの改定や通知を発出するなど、対策を促す予定はありますでしょうか。大臣の見解をお願いいたします。
大臣)
御指摘の事案につきましては、報道により承知をしているところでございます。各学校におきましては、個人情報保護法などの関係法令に基づきまして適切な委託先の選定を行うとともに、各学校の設置者においても、適切に指導や助言を行っていただくべきだと考えているところでございます。文部科学省といたしましては、個人情報の適切な取り扱いにつきまして機会をとらまえて(注)周知を行ってきたところでございますが、都道府県の担当者に向けた会議で個人情報保護の徹底について改めて周知をするなど、引き続き各学校において個人情報が適切に保護されるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
(注)「とらまえて」は、正しくは「捉えて」です
記者)
昨日なのですけれども、ユネスコの「世界の記憶」に千葉の「増上寺が所蔵する仏教聖典叢書」が登録することが決まりまして、一方で広島原爆の視覚的資料は登録されなかったわけですが、このそれぞれについて大臣の見解をお聞かせください。
大臣)
現地時間17日のユネスコ執行委員会におきまして、「世界の記憶」の新規国際登録が承認されまして、我が国から申請案件でございます増上寺が所蔵する三種のいわゆる仏教聖典叢書の国際登録が決定をいたしました。この度、ユネスコ「世界の記憶」への登録が認められましたことは誠に喜ばしいことでございまして、関係の皆様に祝意を表したいというふうに思います。また、「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」の登録に関しましては叶わなかったことについては、残念でございまして、今後につきましては申請者の意向も踏まえさせていただきながら、適切に対応してまいりたいというふうに思います。以上でございます。
(了)
大臣官房総務課広報室