令和7年3月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他
柏原京都大学教授の2025年アーベル賞受賞、油井宇宙飛行士の搭乗機決定、あべ大臣が寄付をした東京の政治団体に関する報道について、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査項目の在り方、朝鮮学校への教育無償化を求める要望に対する見解
令和7年3月28日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年3月28日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私から2件でございます。一昨日、3月26日でございますが、数学分野のノーベル賞とも称されます本年のアーベル賞の、京都大学柏原教授への受賞が発表されましたことを大変喜ばしく思っております。今回の受賞者は、代数解析、また表現論を含む多岐にわたる優れた成果を挙げたことが高く評価されたものと伺っておりまして、現代数学の発展に広く貢献し、物理学など研究分野の垣根を越えた影響を与えているものと認識をしているところでございます。日本の研究者として初となる快挙でございまして、一昨日、大臣談話を出すとともに、昨日27日でございますが、柏原教授に対してお電話で祝意を申し上げました。柏原教授からは、「学術研究で重要なことは新しいことを作ること。そこに心を砕いて、頑張っていただきたい。」という次世代を担う若者へのエールとともに、我が国の優秀な若手研究者の受け皿に関する課題意識を示していただきました。文部科学省といたしましても、研究者が独創的な研究に専念できる環境づくりなどをより一層推進してまいります。
2点目でございます。JAXAの油井亀美也宇宙飛行士が搭乗する宇宙船と、その打ち上げ時期の決定について、ご報告をさせていただきます。油井宇宙飛行士について、国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在を行う旨、一昨年に発表していました。このたび、今年の7月以降に打上げ予定の米国クルードラゴン宇宙船11号機への搭乗が決定いたしました。本日午後にJAXAからも公表される予定でございます。油井宇宙飛行士は、ISSに滞在する一部期間におきまして、3月16日からISSに長期滞在中の大西卓哉宇宙飛行士と時期が重なるため、2名の日本人宇宙飛行士が同時にISSに滞在することになります。油井宇宙飛行士は、2015年以来、10年ぶりとなる2回目のISS長期滞在となります。今回の長期滞在におきましても、前回同様、素晴らしい成果を上げられることを御期待申し上げるところでございます。私からは以上でございます。
記者)
政治資金収支報告書をめぐる報道について伺います。大臣が2022年に東京の政治団体に寄付した個人献金に関して、住所欄に議員会館の事務所が記載されていたとの一部報道がありました。本来、自宅の住所を書くべきとされているものなのですけれども、まず報道の事実関係について御説明いただきたいのと、あと先方の政治団体へ何かしらアクションと言いますか、対応の働きかけを行ったのかどうかお願いします。
大臣)
令和4年に個人として、女性の社会進出を促進することを目的といたしました一般社団法人である政治団体(WIN-WIN)でございますが、に対しまして、5万円の寄付を行ったことは事実でございます。また、今回、報道機関からの取材を踏まえ、当該団体の政治資金収支報告書を確認させていただきましたところ、住所欄に私の衆議院議員会館の住所が記載されておりましたところでございます。我が会計責任者が当該団体に確認をさせていただきましたところ、団体が私どもの事務所、こちら側に確認をしない形で記載を行ったとのことでございました。収支報告書の記載は正確を期すべきでありますところ、当該団体、私が寄付した相手側でございますが、の対応は遺憾でございまして、正確な記載を行うようこちら側からも求めさせていただいたところでございます。以上です。
記者)
全国都道府県教育長協議会というところが3月24日に公表した調査研究で不登校に関するものですが、各地の教育委員会への聞き取りの結果、文科省の問題行動等調査の仕方に課題があるとした自治体が6割弱ありました。不登校の背景として発生した事実が要因と結びついていないとか、保護者や本人への直接的な調査が必要であるという提言を出されていたかと思います。結果の受け止めと問題行動等調査の手法であったり内容であったり、見直すような必要性であるとか、それとは別にでも本人、保護者に直接聞き取るような調査をする必要があるかどうか、そのあたりを教えてください。
大臣)
御指摘の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」につきましては、従来の調査において不登校の要因の多くが「無気力・不安」とされまして、その実態が見えづらいという課題がございました。実態をより反映する観点から、令和5年度調査から不登校の主たる要因等を回答する「不登校の要因」の説明(注)に変わりまして、「不登校児童生徒について把握した事実」と
いうことを回答する形で調査項目の見直しを行わせていただいたところでございます。このことに関しまして、今月、全国都道府県教育長協議会が公表した調査報告書におきまして、当該調査に回答した教育委員会のうち約6割に当たる233教育委員会が何らかの課題があると回答したことは承知をしているところでございます。今回の調査報告の中で挙げられている調査項目の見直しについての課題として、例えば教師と児童生徒との認識にギャップがある、また複数の原因が複雑に関係している、本人や保護者への調査が必要等のご指摘があったところでございます。こういった課題に対応していくためには、不登校児童生徒について把握をした事実の回答にあたりまして、原則、教職員が本人や保護者、スクールカウンセラー等の専門家に確認をすることや、また当てはまる事実を複数回答するなどに留意することが重要でございまして、問題行動等調査の回答にあたっても、こうした点をお示しをさせていただいているところでございます。令和6年度の問題行動等調査につきましては、現在、調査の実施中でございますが、引き続き調査の趣旨、回答方法について丁寧に御説明してまいりたいと思っております。以上でございます。
(注)「説明」は、正しくは「設問」です
記者)
先週の記者会見で、3月7日の朝鮮学校の生徒たちの要請について、大臣は朝鮮学校への不当な差別との指摘は当たらないとお答えになりました。ちなみに大臣は朝鮮学校の歴史について何かご存じでしょうか。特に、一例なのですが植民時代から解放後に日本各地に朝鮮学校が設立されたわけですが、当初はGSPの指令で朝鮮学校閉鎖令というのも出されました。それ以降も政治とか外交上の理由で朝鮮学校は何回も日本政府から厳しい政策を受けてきたのですが、それでも1970年代には地方自治体によって各種学校として認可され、いろいろな困難はありますが今日に至り、まさに日本社会の外国人学校の策略としてあらゆる社会分野で活躍する人材を輩出してきました。それで文字通り、地域社会から日本、朝鮮、それから韓国の友好の架け橋としての役割を果たしてきたと思います。それから質問なのですが、大臣は今までに朝鮮学校を訪問されたことはあるでしょうか。それから一つ目です。それから、今言った朝鮮学校の歴史について何か気に留めていらっしゃることはございますでしょうか。これが2点目です。それから3点目は、高校無償化の問題、2010年以降、国連人権勧告から相次いで日本政府に対して法制度自体の是正勧告を求める勧告が出されてきたわけですが、それをどう受け止めているのか。特に2023年に子どもの権利条約に基づいて子ども基本法が制定されましたが、それに基づいて現在、朝鮮学校、外国人学校の法制度について改善するお考えはあるのかどうか。この3点についてお願いいたします。
大臣)
1点目でございますが、訪問したかということに関しまして私は訪問したことはございません。また、2点目の歴史の件でございますが、朝鮮学校を取り巻く歴史、様々な経緯があることは承知をしているところでございます。3点目のところでございますが、国連の人権勧告なども踏まえまして、私どもは御指摘の今おっしゃってくださいました要望書の提出があったことは私は承知をしているところでございますが、各制度におきましては関係法令に基づきまして適切に運用させていただいているところでございまして、この要望書にある形のいわゆる不当な差別の御指摘は当たらないというふうに考えているところでございます。
記者)
国連からはいわゆる法令自体、法制度自体が差別的であるということで法制度の是正をやはり勧告していると受け取れるのですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。朝鮮学校は、やはり国連のいろいろな人権諸条約から照らしてやはりこれは朝鮮学校の差別に当たると国連のいろいろな子ども権利条約ですとか人種差別撤廃委員会ですとか社会権規約ですとか認定しているのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
大臣)
私どもは、あくまで法令の趣旨に則りまして判断したものでございまして、生徒の国籍、人種によって判断しているものではございませんので、子ども基本法第3条1号における差別的な取り扱いがないようにするという趣旨に違反するものではないというふうに考えておりまして、また追加の御質問があれば担当課に追ってお尋ねいただきたいというふうに思います。
記者)
政治資金収支報告書の件で確認させてください。大臣の方から対応を求めたということなのですけれども、これに対して先方の団体の方からこういうふうに対応した、もしくはこういうふうに対応しようとしているというふうな回答があれば教えてください。
大臣)
確認をさせていただきます。
(了)
大臣官房総務課広報室