令和7年3月25日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他
文部科学省の幹部人事、AMEDによる医学系研究支援プログラムの公募、旧統一教会の解散命令請求を巡る報道について、山川JAXA理事長の再任、「学びの多様化学校」の設置促進に向けた支援、教育無償化と国立大学の授業料標準額、脊椎損傷患者にiPS細胞を活用した臨床研究の成果
令和7年3月25日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年3月25日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私から2件でございます、この度、都倉文化庁長官の任期につきまして、令和8年3月末まで更新することを決定いたしました。都倉長官におかれましては、令和3年4月に文化庁長官に就任されて以来、文化庁の京都移転の着実な実施など、諸課題に取り組みまして成果を挙げて頂きました。今後も我が国の文化行政の顔といたしまして、リーダーシップを発揮し、また引き続き文化施策の推進に尽力されることを期待しております。また、本日の閣議におきまして、4月1日付で国際統括官(局長級)に北山大臣官房国際課長を起用する人事の承認を得ましたので、御報告申し上げます。新たな体制によりまして、文部科学行政をより一層強力に推進して参りたいというふうに考えております。
2点目でございます。2件目でございますが、本日、AMEDにおきまして医学部を持つ全国の大学を対象にいたしました、医学系研究支援プログラムの実施機関の公募を開始させていただきます。医学研究にかきましては(注)、国民の健康・医療に直接的に貢献するとともに、創薬力の向上などを通じまして、我が国の産業競争力にも直結する重要な研究領域でございます。本事業は、このような医学系研究の研究力を抜本的に強化するために、創薬構想会議における議論も踏まえまして、令和6年度補正予算において創設をしたものでございます。今後、今回の公募で選定される大学を中心にいたしまして、国家戦略上重要な研究に取り組む研究者の研究活動と多様性・流動性の向上や研究に専念できる環境の整備等の機関の取組等を一体的に推進をしてまいります。全国の医学部また大学病院から積極的な提案が寄せられ、本事業が、創薬力の強化等に資する革新的な研究成果の創出につながることを期待しております。以上でございます。
(注)「かきましては」は、正しくは「おきましては」です
記者)
旧統一教会に対する解散命令請求に関して、東京地裁は今日25日にも判断を示すとの報道があります。改めて、地裁に対してどのような判断を期待されているかお聞かせください。
大臣)
お尋ねのような報道があったことは承知をしております。旧統一教会に対する解散命令請求の手続きに関しては、非公開の非訟事件でありまして、現在審理中であるためお答えすることは差し控えます。いずれにいたしましても、今回の解散命令請求におきましては適正に行ったものでありまして、審議への対応について引き続き万全を期してまいります。以上です。
記者)
昨日の参議院文教科学委員会で、共産党の吉良佳子議員に対してあべ大臣が美しいお顔で怒っているのもよく分かるのですがという発言をされました。その発言について、どのような意図で行ったのか大臣の御見解をお伺いします。また、教員の働き方に関する質問に対して議員の容姿に言及する必要はなかったと考えますが、大臣は御自身の発言が適切だったとお考えなのか、理由も合わせてお答えください。
大臣)
昨日の委員会における私の不適切な発言によりまして、吉良議員をはじめ多くの方々に不愉快な思いをさせてしまったことに関しましては、心よりお詫びを申し上げる次第でございます。申し訳ありませんでした。発言の取り扱いにつきましては、理事会において御協議いただくことになっております。私といたしましては、吉良議員への謝罪と発言の撤回をしたいというふうに考えておりまして、今後このようなことがないように自らを厳しく律するとともに、引き続き文部科学大臣として真摯に国会審議に挑んでまいりたいというふうに思います。
記者)
発言の意図についてお答えいただけなかったと思うのですけれども、どうしてあのような発言をされたのかというところについてもう一度お願いします。
大臣)
私自身が、本当に吉良委員が真剣にいろいろ質問されている中にあって、私自身が本当に不適切な発言がありまして、本当に私自身の本当に申し訳ない、不愉快な思いをさせてしまって申し訳ございませんでした。
記者)
お答えになっていないと思うのですけれども、どういう意図でされたのでしょうか。
大臣)
意図は大きくございませんでして、本当に不適切な発言で申し訳ございませんでした。
記者)
人事についてお伺いをしたいと思います。本日の閣議でJAXAの理事長の人事が出たかと思います。それでは、現理事長の山川理事長が再任となったかと思いますが、山川理事長への期待を教えていただきたいのと、これまでJAXAの理事長は任期期間を終えた後に再任するケースはなかったかと思うのですけれども、再任となった理由があれば教えてください。
大臣)
山川理事長は、平成30年4月の就任以来、卓越したリーダーシップを持ってJAXAの組織改革を着実に進めてこられました。今回、第5期の中長期目標期間の立ち上げにあたりまして諸外国との関係強化、またサイバーセキュリティ対策など、これまでの取組を継続・発展させることが必要との観点から再任させることといたしました。山川氏におきましては、引き続き、これまでの経験を生かし、我が国の宇宙航空分野における研究開発を牽引していただけるものと御期待申し上げるところでございます。
記者)
先週発表があった「学びの多様化学校」についてお伺いします。先週、4月に開校する23校を指定したと発表がありました。これで23都道府県58校になりましたが、文科省が掲げる27年度までに全ての都道府県と政令市に1校以上設置するという目標の達成にはやや厳しい状況かと見受けられます。全国的に「学びの多様化学校」への期待は相当高いと思うのですが、一層の設置促進に向けて自治体をどう後押ししていくか、来年度とさらにその先を見据えた支援のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣)
「学びの多様化学校」につきましては、今月19日に、令和7年4月開校予定分といたしまして23校を新たに指定したところでございまして、学びの多様化学校、全国で合計58校となりますけれども、不登校児童生徒の多様な学びの確保等の観点から、その設置をさらに促進することは重要というふうに考えているところでございます。文科省といたしまして、このため令和7年度予算案につきましても学びの多様化学校の設置促進に資する経費を計上させていただいたほか、設置・運営につきまして豊富な知識を有する者を教育委員会等に派遣する「学びの多様化学校マイスター」制度、これを来年度も実施する予定でございまして、その設置促進に必要な支援を進めてまいりたいというふうに思っております。また、令和8年4月以降の具体的な設置見込みについて現時点でお答えすることは難しいところでございますが、例えば令和6年度におきまして先ほど申し上げました「学びの多様化学校マイスター」、各自治体等に派遣した回数が30回になるなど、現在も自治体等から文部科学省の担当宛に設置に向けた御相談をいただいているところでございます。文科省といたしましては、引き続き学びの多様化学校の設置促進を含めまして、誰一人取り残されない学びの保障に向けました不登校対策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
記者)
東京大学は、4月入学の学部生から授業料を標準額の限度額である64万円引き上げます。国立大学の機能強化検討会で教育研究のコストの負担について議論が進むと思うのですけれども、教育無償化の議論が国会でも盛んに議論される中で、文科省としては現状、無償化と国立大授業料の標準額についてどのようにお考えか教えていただけますか。
大臣)
経済的な理由で学生が学びをあきらめることがあってはならないというふうに私ども考えておりまして、文科省といたしましてこれまでも授業料の減免、また奨学金などの経済的支援については充実を図ってまいりました。御指摘のように、令和7年度から多子世帯の学生等を対象といたしまして、所得制限なく一定の額まで大学等の授業料・入学金を無償とするための法案について現在、国会で御議論いただいているところでございます。本法案をお認めいただければ、まずは制度を着実に実施に移しまして、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点からその効果を見定めつつ、引き続き高等教育費の負担軽減に取り組んでまいりたいというふうに思っております。また、国立大学の授業料の在り方に関しましては、「国立大学法人等の機能強化に向けた討論会」(注)における議論、また教育費の負担軽減に関する国会での議論の状況等を踏まえつつ丁寧に検討していくことが必要だというふうに考えているところでございます。以上でございます。
(注)「国立大学法人等の機能強化に向けた討論会」は、正しくは「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会」です。
記者)
21日に慶応大学の研究チームはiPS細胞を使った脊髄損傷治療についての臨床研究結果を発表しまして、安全性が確認できたということと一定の有効性がある可能性が示されたという結果を発表しております。今後の期待について、大臣の御所感を伺えればと思います。
大臣)
慶応義塾大学におきましての研究チームによりまして実施された臨床研究におきましては、iPS細胞由来の細胞を脊髄損傷の患者に移植をし、一部の患者の運動機能に改善が見られたことは承知をしているところでございます。文部科学省におきましては、平成25年度から令和4年度まで、本臨床研究につながる基礎研究への支援を行ってまいりました。現在、有効な治療法のない脊髄損傷に対しまして、世界で初めてiPS細胞を用いた臨床研究が実施されまして、革新的な治療法の実現に向けた大きな一歩になる成果が見出されたことを大変嬉しく思っております。引き続き、我が国の強みを有する本分野の研究成果を一早く国民の皆様に届けられますよう、関係府省と連携しながらしっかり支援をしてまいります。以上でございます。
(了)
大臣官房総務課広報室