令和7年3月21日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化
令和7年4月開校予定の「学びの多様化学校」、北極域研究船「みらいⅡ」の命名・進水式、遺伝子組み換え生物等を使う研究の確認手続きの見直し、国立研究所等の「雇い止め」問題、第57回国際化学オリンピックの日本代表決定、旧統一教会からの令和6年度第3四半期財務状況の報告、朝鮮学校を高校無償化等の対象に加える要望
令和7年3月21日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年3月21日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私から3件ございます。文部科学省では、令和5年3月に取りまとめました不登校対策COCOLOプラン(注1)に基づきまして、「学びの多様化学校」の設置を促進しているところでございます。この度、令和7年4月開校予定分といたしまして23校を一昨日、19日付で新たに指定をさせていただきましたことをお知らせ申し上げます。学びの多様化学校、令和6年度時点で35校でございました。今回の指定で全国に58校となります。また、来月には、7つの県で県内初の開校を迎えることとなります。文科省といたしましては、引き続き、学びの多様化学校の設置促進を含めまして、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策にしっかりと取り組んでまいります。
続きまして、2点目でございます。3月19日にJAMSTEC海洋研究開発機構が建造中の我が国初の砕氷機能を有する研究船でございます北極域研究船の命名・進水式が開催されました。文部科学大臣として、本船を「みらいⅡ」という形で命名をさせていただきました。式におきまして、愛子内親王殿下によりまして、支綱が切断されまして、「みらいⅡ」が無事に進水したことを喜ばしく思っているところでございます。文部科学省といたしましては、令和8年秋の就航、研究航海の開始でございますが、に向けまして引き続き「みらいⅡ」の着実な建造を進め、気候変動対策や北極海航路の利活用等に資するため、北極域研究の推進に努めてまいりたいというふうに思っております。
3点目でございます。3点目でございますが、本日、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」、カルタヘナ法と言いますが、の省令を改正いたしました。同法のもとに、遺伝子組換え生物等を行う(注2)研究につきましては、環境中への拡散防止措置の確認手続が必要な場合がございますが、同法の施行から20年の実績等を踏まえまして、研究機関における安全確保が可能な範囲におきまして確認手続の要否の見直しを行ったところでございます。今回の改正によりまして、安全性を確保しつつ、研究機関における遺伝子組換え生物等を用いた研究に際する手続的な負担、これを軽減するものと考えておりまして、我が国における基礎研究や医薬品開発等がより活発に行われることをご期待申し上げます。以上でございます。
(注1)「COCOLOプラン」は、正しくは「COCOLOプラン等」です
(注2)「行う」は、正しくは「使う」です
記者)
先日18日に、理化学研究所の労働組合などが「雇い止め」の問題に対して研究者の雇用安定を図るよう求める要望書を文科省の方に提出しましたが、大臣の受け止めについて教えてください。
大臣)
ご指摘いただきました要請書に関しまして、昨日(注)、理化学研究所労働組合等の6つの団体から厚生労働省と文部科学省にご提出いただいたものというふうに承知をしているところでございます。研究者・教員等が有期労働契約の更新によりまして10年を超えると無期転換できるルールの適用を免れる意図をもっていわゆる「雇い止め」を行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えます。文部科学省といたしましては、これまで大学や研究機関等における研究者の雇用管理等については、実態把握のための調査を行っているとともに、各機関における適切な対応、これを促してまいりました。これまでに実施しました調査の結果等も踏まえまして、人材の流動性の確保と安定的な研究環境の確保の両立を図ることができるよう、引き続き有識者の意見も踏まえまして関係府省と連携しながら対応してまいりたいというふうに思います。以上でございます。
(注)「昨日」は、正しくは「18日」です
記者)
このほど、今年7月にアラブ首長国連邦で開催される国際化学オリンピックの日本代表の4名が決まりました。高専の生徒も含まれているとお聞きしております。御所感をお聞かせください。
大臣)
第57回国際化学オリンピック大会の日本代表として、4名の方が選出されたということは聞いているところでございます。そうした中で、本年7月の大会本番におきましては、日頃の努力の成果を十分に発揮していただくとともに、他国の代表生徒と交流を深めながら大会後も切磋琢磨できる、そういう関係を築いていただきたいというふうに思っています。文部科学省といたしましては、引き続き初等中等教育段階における理数系教育の充実に努めていくとともに、次世代の科学技術・イノベーション人材、この育成に取り組んでまいりたいというふうに思います。以上です。
記者)
旧統一教会が指定宗教法人の指定に基づいて今月、財務書類を提出しているかと思いますが、この精査状況を教えていただきたいのと、あと「特別指定宗教法人」の要件を満たすような状況が確認されているかどうかというのを教えてください。
大臣)
特定不法行為等被害者特例法に基づきまして、「指定宗教法人」への指定を行った旧統一教会から3月5日に令和6年度第3四半期、10月から12月期でございますが、財務書類の提出がございました。提出された財務書類を十分に精査をしてきたところでございますが、現状におきまして「特別指定宗教法人」の要件を満たすと認められる状況は確認されておりません。引き続き、旧統一教会においての情報収集に努めまして、「財産の隠匿・散逸のおそれ」が把握された場合には、法令に則り、適切に対応してまいります。特例法におきましては、「特別指定宗教法人」の指定については、対象宗教法人の「財産の内容及び額」、「その財産の処分及び管理の状況」等を考慮して、財産の隠匿・散逸の恐れがあることを指定の要件としております。旧統一教会の財産状況の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、提出された財産目録等から現預金や固定資産の状況等の項目を精査させていただきまして、財産の内容及び額、処分及び管理の状況等の確認を行った結果、「特別指定」の要件を満たす状況は認められなかったものとなります。以上でございます。
記者)
3月7日なのですが、東京朝鮮中高級学校の高校生たちが、あべ文科大臣宛てに朝鮮学校に対して高校無償化制度、それから幼保無償化制度、高等教育への修学支援の新制度などの適用を求める4項目の要請書を提出しました。朝鮮学校は戦後80年間、日本各地で民族教育を続けてきたのですが、2010年以降、教育無償化制度の拡充から排除され続けてきました。この十数年、国連からも日本政府に対して制度的な差別を是正するように何回も勧告が出てきており、それから昨年6月にも子どもの権利条約に基づいて、子ども基本法に則って日本の市民団体が朝鮮学校や外国人学校の制度補償を求める6万2,000を超える署名を文科大臣やこども家庭庁の担当大臣宛に提出しました。今国会でも1月28日の参議院本会議で朝鮮学校への差別の是正を求める立憲民主党の水岡議員の代表質問もありました。それで、大臣は今言った昨年6月に提出された6万を超える署名ですとか、それから3月7日の4項目の要請書を御覧になったでしょうか。そして、国連から相次いで出されてきている差別是正を求める勧告をどのように受け止めているのか。それからもう1点、今国会で教育無償化制度の法整備において朝鮮学校への適用も検討されるのかどうか。この3点についてお願いいたします。
大臣)
御指摘の要望書の提出があったことは承知しておりますが、各制度に関しましては関係法令に基づきまして適切に運用しているところでございまして、要望書にあるような「朝鮮学校への不当な差別」との指摘は当たらないものというふうに考えております。例えば高等学校等就学支援金は、法令上、支援対象である学校に通う生徒が日本国内に在住していれば国籍を問わず支援対象になりますが、朝鮮学校はこの法令に基づいて定められた審査基準に適合すると認められるに至らなかったため、高等学校等就学支援金制度の対象には指定されておりません。文部科学省といたしましては、引き続き各所管制度について法令に基づき適切に運用してまいりたいというふうに思いますが、また他の案件に関しましては追って担当課のほうにお問い合わせいただきたいと思います。
(了)
大臣官房総務課広報室