令和6年10月11日(金曜日)
教育、文化、その他
衆議院解散・総選挙、全国学力・学習状況調査に係る村井全国知事会長からの指摘、秋の例大祭時の靖国神社への参拝、札幌市・茅ケ崎市における性的ないじめ事案への対応と被害者ケア、国立劇場の再開場について、トビタテ!留学 JAPAN の「海外留学に関する意識調査」の結果と今後の取組、日本大学における授業料等の不正徴収に対する対応
令和6年10月11日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年10月11日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
記者)
衆議院が解散になりまして、その御所感を伺いたいということと、あと大臣御自身も選挙を抱えられているわけですけれども、一部報道で比例九州というお話もありますけれども、その辺の戦況について伺えたらと思っております。どういうふうに臨まれるかお願いします。
大臣)
総理が、先般9日でございますが、記者会見で「国民の納得と共感なくして政治を前に進める事はできない」としたうえで、国民に信を問い、その信任を得て、新政権の掲げる政策に力強い後押しをお願いしたい、というふうなことをおっしゃったところでございます。民主主義の根幹であるところの選挙、国民の皆様の御意見を聞く貴重な機会でございまして、選挙を通じた国民の御意見をしっかりと耳を傾けてまいりたいというふうに考えているところでございます。一方、この場では、文部科学大臣の立場での会見を行っておりますので、私自身の選挙の展望については、コメントを差し控えさせていただきます。いずれにいたしましても、私としては、文部科学大臣としてしっかり職務を全うしてまいります。
記者)
札幌市の小学校の男子児童が男子中学生からの性的ないじめを受けていたという問題が明らかになりました。調査検討委員会は今週、報告書を公表しまして、保護者からの連絡で問題を把握していながらも、関係者で情報が共有されていなかったとして、適切な対応とは言いがたいと指摘しています。神奈川県の茅ケ崎市でも、9月に市教委が子供間の性暴力の事案を把握していながら、適切な対応がなされなかったとして謝罪をしています。いずれの事案についても警察が対応していることを理由に学校や市教委が早急な対応をしなかったりですとか、性被害者へのケアの重要性について認識が不足していたりすることから、こういった二次被害が生まれてしまう状況になっていると考えますが、文科省としてこういった事案が相次いでいることへの、そして札幌市の事案についての受け止め、そして文科省として指導助言をするおつもりはあるのかどうか、今後どういう対応を取る必要があるとお考えなのかの御意見を伺えればと思います。
大臣)
まず、札幌の件でございます。性被害に関しては、私ども、本当に重要な課題であるとともに、子供たちに対する影響が大変大きいというふうに考えておりまして、本当に私ども、しっかり文部科学省としてもするべきことはしていかなければいけないという中にあって、報告書を私どもいただいておりまして、当該報告書におきましては、この札幌に関しては、小学生が通う学校におきまして、対応や支援が教頭のみで行われて、組織的な対応ができていなかったこと、また、この中学生が通う学校においては、加害生徒の指導・支援を行うことも最大の役割であると認識していたこともございましたが、被害児童に対しての対応は不十分であったことなどが指摘されているところでございまして、札幌市の教育委員会及び学校においては、今回の事案について自らの対応をまずは省みていただきながら、再発防止に全力を尽くしていただきたいというふうに考えているところでございます。文部科学省といたしましても、8月30日の段階で、いじめ重大事態のガイドラインを改訂したところでございまして、学校におけるいじめの組織的対応などを推進しているところでございまして、各教育委員会、また学校に対して丁寧に情報発信を行うなど、周知徹底に取り組んでまいります。
もう1件お尋ねがございました茅ケ崎の件でございます。神奈川県のほうのところでございましても、特に二次的な被害を生じることがあってはならないと私ども本当に思っているところでございまして、このことに関しましても、令和4年の12月に生徒の指導提要、この改訂をいたしまして、被害にあった児童生徒に対して、誤った指導を行うことによっての二次的な問題が生じないよう、最大限に配慮するということが求められること、性的な被害に遭遇した場合の児童生徒に関しては、PTSDを引き起こすことも大変多く見られまして、それはそのときだけの問題ではなく、生涯起きることでもありますので、心身に及ぼす影響は深刻なものがあるということを、私ども党としても性被害の話をしていく中で本当に感じているところでございまして、慎重な対応が求められること、関係する記述の充実を図って、その周知・徹底を努めているところでございますが、また子供たちが性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないようにするため「生命の安全教育」の取組、全国の学校においても推進しているところでございますが、子供たちが充実した学校生活を送って、穏やかな成長を遂げるためには、教育委員会、学校の取組は極めて重要であることは言うまでもございませんが、文部科学省といたしましても、今後とも、各教育委員会、学校において適切な対応が図られるよう、指導助言に努めてまいります。
記者)
2点質問させていただきたいのですけれども、まず学力テストについて質問させていただきます。先日、全国知事会長を務める宮城県の村井知事が記者会見の中で、文科省が毎年行っている全国学力調査について、毎年やる必要があるのか、そして、都道府県ごとの正答率を公表する意味があるのかという疑問を提示されていました。文科省として、こうした声が上がっていることへの受け止めと、今後学力テストについて何かしら変更を検討する可能性があるのかということを教えてください。
二つ目になるのですけれども、少し先ですが、10月17日から19日に靖国神社で秋の例大祭が開催されます。大臣も期間中に参拝されたり、真榊などの供物を奉納される意向があるかどうかというのを教えてください。
大臣)
1点目でございますが、知事会長を務める村井宮城県知事のほうから御指摘のような発言があったことは承知をしているところでございます。全国学力・学習状況調査、全国的な児童生徒の学力状況を把握すると同時に、学習指導要領のいわゆる理念を具体化した調査問題を通じまして、一人一人の学習課題を把握する、このエビデンスに基づく学習指導を生かすという目的で、毎年度、いわゆる悉皆により実施をしているところでございます。これにより、我が国の学力水準の維持・向上が図られてきているというふうに感じているところでございます。この調査におきましては、調査データ、還元をいたしながら充実、学校現場の負担軽減に向けまして、GIGAスクール構想と合わせて、CBT、コンピュータベースのところで計画を推進するなど、さらなる改善を今準備を進めさせていただいているところでございまして、引き続き、全国知事会をはじめ関係者の方々の御理解をいただきながら、調査の改善、必要な取組を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
2点目でございますが、靖国ということでございますが、参拝に関しましては私は行く予定はございません。ということで、以上でございます。
記者)
供物の予定も、奉納される予定もないということですか。
大臣)
ないです。
記者)
学力テストについてなのですけれども、都道府県ごとに正答率を公表することへの疑問みたいなことも村井知事は言われていたのですけれども、そうした声があることへはどういう受け止めをされていますか。
大臣)
そういう声があることは聞いているところでございまして、それも含めてしっかりと検討していきたいというふうに思います。
記者)
国立劇場が今月末で閉場から1年を迎えます。この1年の間にPFIの条件変更ですとか少し動きがあったのですけれども、関係者の中からやはり動きが遅すぎるのではないかという声が上がっております。この1年に関しての大臣の所感と、あと再開場が遅れるという中でなるべく早く再開場するためには何が必要なのかというところをお聞かせいただければと思います。
大臣)
国立劇場の再整備に関しては、本当に御心配の声をたくさんいただいているところでございまして、本当に私ども維持しなければいけない伝統と文化のところをしっかりと早急に国立劇場を開くことによってしていかないといけないということは私ども実感しているところでございまして、また、2度の入札不調を受けて、今年の8月末、整備計画の改定に向けた方向性を決定したところでございまして、具体的には、現在の敷地において建て替えにより整備することというふうにいたしまして、各種機能に関する基本的な考え方などは維持をする方向で進めること、また引き続き、PFIということで実施する方向で進めていることをしつつ、これまで必須としておりました、特にホテルの併設などに関しては必須としないこと、また改定に向けた方向性の主な内容としているところでございます。これを踏まえまして、令和7年の概算要求におきましては、国立劇場の再整備をいわゆる要求としておりまして、現在、整備内容また資金計画、財務省や関係者との調整を進めさせていただいているところでございまして、現時点では、次回の入札、再開場などの具体的な時期に関してはまだお示しすることができないところでございますが、一刻も早く、再開場することができるよう、国が責任を持ってしっかりと取り組んでまいります。
記者)
8日にトビタテ!留学JAPANによる意識調査の結果が公表されました。海外留学に興味があっても経済的な余裕がなかったり、それに加えて、円安も留学を検討する際にネガティブに影響しているという結果を示しています。既存の留学の支援というのも既にあるかとは思うのですけれども、それに加えて、この結果を受けて政府として今後どのように取り組まれるのかということと、あと留学を希望する学生や子供たちへのメッセージもあれば教えてください。
大臣)
現下の円安、物価高騰の中にございまして、海外で学ぶ意欲のある学生たちが、その影響で留学を断念することなく安心して留学できるよう支援することは本当に重要だというふうに思っておりまして、そのため、トビタテ!留学JAPAN新・日本代表プログラムにおきましては、令和6年(注1)から留学準備金を増額して支給をさせていただいているところでございます。また、文部科学省の海外留学支援制度におきましても、令和5年(注2)から臨時の渡航支援金を給付しているほか、令和7年(注3)の概算要求におきましても、昨今の物価上昇、為算変動に伴う奨学金の単価の拡充を盛り込ませていただいているところでございます。本当に私自身も留学経験者でございますが、かけがえのない機会だというふうに考えているとともに、日本の素晴らしさを改めて世界からの視点で見ていくということと、また日本に帰ってきて、日本が本当に素晴らしい国であること、さらにそれを加速していくために課題解決型で何が自分たちができるのかということを考えるいい機会でもあるというふうに考えておりますので、ぜひ一人でも多くの学生の皆さんに、海外の留学を経験していただきたいというふうに考えているところでございますし、文部科学省といたしましては、今後とも、留学費用の負担軽減を図っていきながら、意欲と能力のある若者の海外留学促進に努めていきたいというふうに思っています。
(注1~3)「令和6年」「令和5年」「令和7年」は、それぞれ正しくは「令和6年度」「令和5年度」「令和7年度」です。
記者)
日大は昨日ホームページで、奨学生からの不正徴収について発表していました。重量挙げ・陸上部で100人を超えて1億円を超えるという額になった、合計すると。その辺についての御所感と、他大学もこういう仕組みというのはあるのではないかと思いますけれども、その辺について文科省としてどう対応されるのか。
大臣)
昨日の日本大学の対応状況、公表されたことは承知しているところでございまして、本件に関しましては今、日本大学に対して事案の究明、また被害者への丁寧な説明及び被害の回復、関係者に対する厳正な処分を行うことを求めているところでございまして、引き続きしっかりと対応を進めていきたいというふうに思います。
記者)
他の大学への波及というか。
大臣)
そちらも含めてしっかりと対応を続けてまいりたいというふうに思います。
(了)
大臣官房総務課広報室