令和6年7月19日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化
7月23~30日のフランス出張、令和5年度文部科学白書、徳島県・高知県の視察報告、「脳神経科学統合プログラム」の採択課題の決定、自治体の学習端末における適正な個人情報管理の在り方、博士人材のスキルの可視化に向けた方策、東京大学における授業料の値上げに係る検討について、「佐渡島の金山」の登録に向けた世界遺産委員会の審議、日本大学重量挙部における不正な授業料等の徴取
令和6年7月19日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年7月19日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
今日は冒頭、4件ございます。まず第1は、来週23日の火曜日から30日にかけまして、フランスを訪問いたします。今回の訪問では、まずユネスコ主催のスポーツ閣僚級会合に出席し、我が国のスポーツ政策について発表を行うほか、フランス政府主催の「持続可能な開発のためのスポーツサミット」に出席します。教育や健康増進をはじめ、持続可能な開発のためにスポーツが果たす役割などスポーツ政策について議論する重要な機会となると考えています。また、日本スポーツ振興センター、JSCのことです、これが日本選手団への支援のために設置する、サポートハウスの取組や競技を視察するとともに、パリ2024大会の開会式に出席いたします。パリ2024大会では、団体競技での活躍や、あらゆる競技での幅広い世代の選手の活躍が期待されます。選手の皆さんが、日頃の鍛錬の成果を思う存分発揮されること、また、国民、そして世界中の人々に感動を届け、スポーツの素晴らしさを伝えてくれることを願っています。
それから2件目です。本日の閣議で、令和5年度文部科学白書を配布いたしました。今回の白書では、第1部は特集として二つのテーマを取り上げています。一つ目は、昨年3月の文化庁の京都移転の経緯や、移転を契機とした食文化・文化観光の推進による地方創生といった新たな文化行政の展開について紹介しています。二つ目は、昨年8月の「せかい×まなびのプラン」について紹介しています。本プランは、各学校段階やその後の社会との接続も見据えた、グローバル人材育成のための政策パッケージとなります。また、例年同様、第2部は年次報告という形で省全体の施策を紹介するとともに、能登半島地震への対応について、追部という形で記述しています。文部科学省としては、引き続き、国民に活用される白書を目指すとともに、文教・科学技術施策の更なる充実を図ってまいります。
3件目です。一昨日17日から昨日18日にかけまして徳島県と高知県に出張してまいりました。徳島県では、昨年度開校した神山まるごと高専に伺い、起業家精神を重視した特色ある教育を拝見するとともに、学生との意見交換を行いました。また、重要文化財である「木村家住宅」や重要有形民俗文化財である「祖谷の蔓橋」を訪問し、地域の文化財の保存・活用の現状を伺いました。高知県では、県立牧野植物園に伺い、高度な研究に裏打ちされた充実した展示を拝見し、植物園の運営の現状や課題等について伺いました。また、高知大学で受田学長らと意見交換を行うとともに、AIを活用して野菜等の生産管理を行う農業用ハウスや、JAMSTECと共同運営し、海洋掘削コアの保管施設の一つとしての役割を担う「高知コアセンター」などを視察しました。今回の視察を通じて得られたことを踏まえ、関連施策の充実にしっかり取り組みます。
最後、4点目です。本日、我が国の脳科学研究を推進する「脳神経科学統合プログラム」の採択課題が決定しましたので報告いたします。本事業は、脳のメカニズム解明等を進めるとともに、将来的な臨床での実現を目指し、認知症など脳神経疾患・精神疾患の診断・治療・創薬につながる研究開発を推進するものです。今回の公募に合計478件もの応募があり、審査の結果、97課題が採択されました。このうち、若手育成枠には、121件もの申請があり、24課題採択されました。本事業により、我が国の脳科学研究が一層進展するよう、関係府省や製薬企業等とも密に連携しつつ、進めてまいります。詳細については報道発表資料を御覧いただきたいと思います。以上です。
記者)
一部報道で、小中学校の学習端末で収集される個人情報を民間企業に直接取得・管理させている自治体があるとされていますが、本件に対する大臣の受け止めを教えてください。また、文科省が全国の自治体に対して実態調査を開始したとの報道がありますが、事実関係や今後のスケジュールや対策などを教えてください。
大臣)
教育データの利活用は、学びの質の向上などのメリットがあると考えていますが、他方、それは、児童生徒の個人情報を適正に取り扱うことが前提であります。今御指摘の報道につきましてでございますが、自治体が所掌事務の遂行のために、例えば、授業などの児童生徒が一律に参加する教育活動の一環で学習ツール等を活用することにより、取得される個人情報については、学習ツール等を提供する民間事業者での取扱いも含め、当該自治体が適正に管理する必要があり、仮にそうでない自治体があるのであれば、改めていただく必要があります。このことも含め、今週の16日、全ての教育委員会に対し通知を発出し、個人情報の取扱いに関する実態把握調査を開始したところです。その中で、個人情報保護法で求められる対応や、学習ツール導入時の個人情報の管理主体等について、各教育委員会で自己点検をしていただくとともに、国としても、その状況を把握することとしております。文部科学省としては、まずは、調査を通じて実態を把握した上で、個人情報保護委員会とも連携しながら、必要な対応を行ってまいります。以上です。
記者)
追加なのですけれども、子供のデータが外国で交換や処理をされているという報道だったのですけれども、この場合、何か問題はあるとお考えでしょうか。
大臣)
個人情報が海外で取り扱われる場合には、日本法が適用されない可能性があります。そうしたことも踏まえて、その国の特定、あるいは個人情報保護の制度等を把握し、安全管理のための措置を講ずる必要があると考えています。このことは、今年の3月に公表した「教育データの利活用に係る留意事項」の第2版においても示しております。仮にこのような取扱いがなされていない自治体があるのであれば、改めていただきたいと考えております。当省としては、まずは、調査を通じて実態を把握した上で、個人情報保護委員会とも連携しながら、必要に応じて対応を取ってまいります。以上です。
記者)
昨日、CSTI、総合科学技術・イノベーション会議の有識者会合が開かれて、そこで大学支援フォーラムのワーキンググループが、アクション・プランを公表しました。その中で、大学が実行するアクションとして、大学院改革を行って博士人材が身につけたスキルを可視化するという取組があったのですけれども、今後こうした取組をどのように後押していくのか、あるいは大臣御自身、このスキルの可視化についてはどのようにお考えなのか教えてください。
大臣)
大学支援フォーラムの産学人材流動ワーキンググループがアクション・プランを公開し、その中で、今おっしゃられたように、大学自らが行う取組として、大学院改革の推進や博士課程学生が身につけたスキルの可視化等が記載されていることは承知しております。今年の3月に私を座長とする省内タスクフォースにおいて、「博士人材活躍プラン」を取りまとめたというのは御案内のとおりかと思いますが、その中でも、博士人材が、高度な専門性や幅広い能力を多様な場で発揮できるよう、産業界などとも連携をしながら、大学院改革の取組を進めていく必要があるとしているところです。当省としては、今後、このプラン等も踏まえた上で、世界トップ水準の大学院教育を行う拠点の形成、産業界の人材ニーズを踏まえた、社会人への大学院教育の推進、教育研究の国際化や学生等の海外研さん・留学機会の充実などを着実に進めていくこととしております。引き続き、産業界や大学関係者とも連携しながら、博士人材が多様な場で活躍できる社会の構築に向けた取組を力強く進めていきたいと考えています。
記者)
大臣御自身は、例えば大臣は博士号を二つ持っていますけれども、その博士のスキルを何ができるのかという可視化についてはどのようにお考えでしょうか。
大臣)
これは個人的な感想ですけれども、くその役にも立たない博士を取ってどうするのだというふうに言われたこともあるのですが、くその役に立たないということはなくて、やはりトレーニングがされたということで、私は記者の皆さん方と違って文章を書くのは本当に大嫌いだったのですけれども、ある程度書けるようにもなりましたし、それからいろんな調べもの、できるだけ原典にあたって調べるにはどうしたらいいのかみたいなことも分かるようになりました。それで、私の場合には、売れない本でありますが23冊書いたのですけれども、強いて言うなら、そういうのが可視化の一つの例かなと。皆さん人によっていろいろだと思うのですけれども、論文だとかを含めて発表する、そういうのは一つの可視化の例ではないかと。ただ、可視化といってもそれぞれの研究分野ですとか、そういったものによって違うと思うのですよね。例えば医学の、昨日も見に行った高知大学なんかとの関係で言うと、がんや何やの悪いところがどこにあるのをどのようにして見える化をしていくのか、それこそ可視化していくのか、そういうような研究をされるというのも一つのやり方でしょうし、あるいは海底のコア、土というか泥というか、そういうところをボーリングして取ってきてそれを保存しておられるわけなのですけれども、そこから出てくるものをどのようにして判断をしていくのか、私は詳しくないので分かりませんが、ガンマ線だったかな、何か出るらしいのですよ。それによって、このときはこういうのがああだこうだ、そういうのも含めてそれぞれの分野で皆さんがその分野だけなのか、その分野に限らず博士を取ったということでそのトレーニングを生かして次のものに進んでいかれる、そういうことが可視化というか、博士を取ったことによる次のステップへの成果ということにつながるのではないかなと思いますけれども。
記者)
東大の授業料について伺います。東大は先日会見を開いて、来年度の入学者の募集要項を公表する11月までに授業料値上げの可否を決定して発表するということを明らかにしました。東大は学生との対話などを通じて丁寧な検討プロセスを経ていると説明しています。一方で、学生の反発は依然として続いている、そして本格的な入試シーズン到来の2カ月ぐらい前の11月にならないと示されないということに対する遅さを指摘する声も一部ではあるということで、授業料をめぐっては、大臣も1か月ぐらい前の閣議後会見のときに、適切な対応がなされることへの期待もおっしゃっていましたけれども、改めて値上げの可否を判断する時期が示されたこと、これまでの検討過程を俯瞰して現時点で大臣がお感じになったことを、おっしゃれることがあれば教えてください。
大臣)
前回の閣議後会見で申し上げたこととあまり変わらないのですけれども、東大側で判断の時期をそういう時期にするということをおっしゃったというのは承知しております。他方、前回ここで申し上げたとおり、国立大学の授業料については、国が標準額を示して、その120%を上限として、各大学法人が個別に設定できるということでありますので、その仕組みの中で、どういうふうにされるのかということで、東大側としてもその中で今検討する、ただ、検討のタイムリミットというのが11月ぐらいですか、そこにというふうに公表されたということでありますので、しばらく時間も長くなるわけでありますけれども、適切な対応、それこそ学生さんだけではないと思いますけれども、関係者の皆さんとも、よく納得が、どこまで100%納得してくれるかは分かりませんですけれども、できるだけ広く合意を取っていただければありがたいなと期待しているというところですね。
記者)
幹事社から質問がありました教育データについて追加でお尋ねします。先ほど大臣から、そのような自治体は改めてもらうというような趣旨の御発言がありましたけれども、これは、民間事業者に個人情報を取得管理させている場合は取扱いを改めさせるということなのか、何を改めるべきだと考えているのか、見解の部分をもう少し詳しくお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
大臣)
それは個人情報の取扱い、つまりそういったことは軽々に外部に流出しない、そういうことを十分によく認識していただいて扱いを適切にしていただきたい、情報の管理の徹底ということであります。
記者)
そういった民間事業者に個人情報を直接取得・管理させていること自体については御見解をお持ちでしょうか。
大臣)
そこについては、各自治体のほうで、自治体の中で、インハウスでと言うのかな、そういうような情報管理を必ずしもできないのではないかと思うものですから、そこは民間の事業者を使うというか、協力をしてもらって管理をするということは仕方がないというか、あってもいいのではないかなと思っております。ただし、情報管理というのはしっかりお願いしますねということです。
記者)
加えて、今回の実態調査の結果を受けて教育データの留意事項を改訂する、そういったことも検討されるのか、今後の対応の部分についてももう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
大臣)
先ほど言いましたけれども、3月に公表している「教育データの利活用に係る留意事項」の第2版で、個人情報等の適正な取扱いその他については記載しているところでありますけれども、今回の今後の調査、その他も含めて、今後、必要に応じて適宜更新を行うということでありますが、まずは調査を通じて実態の把握、これがまず第1だろうと思います。どこまでどうなのかという実態ですね。その上で、個人情報保護委員会とも連携をしながら、必要に応じた対応を取るということだと考えています。
記者)
「佐渡島の金山」の世界遺産登録について伺います。間もなくユネスコ世界遺産委員会が始まり、その場所で登録の可否が決まっていくことになろうかと思います。現時点で準備状況に対する評価と、できたら登録に向けた自信のほどを伺えますでしょうか。
大臣)
もうすぐ21日からインドのニューデリーで第46回の世界遺産委員会が開催されますので、そこで「佐渡島の金山」の審議が行われるということであります。関係省庁、それから地元とともに「記載」に向けて全力で努力をしているところでございますので、引き続き、インド現地で「記載」が実現するよう今後とも努力を続けていくということに尽きますね。
記者)
準備としてはもうできることは全てやったという状況でしょうか。
大臣)
大体やっていると思います。
記者)
もう1点、パリの御出張では何か、世界遺産委員会自体はインドですけれども、パリはユネスコ関係の本部もありましていろいろあるということで何か世界遺産に絡んだ動きというのは予定されていますでしょうか。
大臣)
それはありません。さっき言ったように、ユネスコでユネスコ主催のスポーツ閣僚級会合がありますのでそこには行きますけれども、この世界遺産については同じタイミングで21日から31日までだったかな、ニューデリーでやっていますので、そちらでやっているからこれは全く別です。
記者)
日大の重量挙部の幹部が、新入生から、免除されているはずの入学金ですとか授業料を不正に徴収して私的に利用していると、数千万円レベルという話もありますけれども、日大はこれまでのアメフト部の違法薬物事件の対応もガバナンス部分で指摘されて、また新たな運動部の問題が指摘されたわけですけれども、これについての大臣の受け止めと今後の対応についてお聞かせください。
大臣)
今おっしゃったとおりの状況の中でこういう事態がまた明らかになったということは大変残念に思います。本当にそれにつきますね。それで、日大から事案の概要の報告その他を受けておりまして、日本大学に対しては事案の究明、被害者への丁寧な説明、被害の回復、関係者に対する厳正な処分を行うよう求めておりますので、しっかり立て直してくださいというか、しっかりやってくださいよということに尽きます。
(了)
大臣官房総務課広報室