学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(令和4年度~)(第5回)議事要旨

1.日時

令和6年3月22日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

ウェブ会議

3.出席者

委員

<委員>
荒瀬主査、伊香賀副主査、伊藤委員、斎尾委員、高橋委員、長澤委員、樋口委員、細田委員、亀村川崎市教育委員会事務局教育環境整備推進室課長補佐(森委員代理)
<特別協力者>
植田特別協力者

文部科学省

(大臣官房文教施設企画・防災部)森技術参事官
(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)金光施設企画課長、小林企画調整官、遠藤課長補佐
(大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当))梅﨑災害対策企画官
(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)小畑教育制度改革室長

4.議事要旨

 
・荒瀬主査より開会の挨拶
・事務局より委員の出欠の説明
 
議題1:学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループの進捗報告について
・伊藤委員(学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ座長)及び事務局より、資料1に基づき説明後、質疑応答。
 
【荒瀬主査】資料1の20ページ目の京都市立開建高校について、私は京都市の職員をしていた関係で若干知っている。教室4つ分の広い空間をどう使うのかが、なかなか大きな問題で、先生方からすると、このような広い空間を与えられてもどう使っていいか分からないということで、京都大学の先生にも関わってもらい、相当回数ワークショップを開いた。その先生は、実は不登校特例校である岐阜市立草潤中学校の立ち上げにも関わられた方。この2校は、全く違った視点かもしれないが、視点が違っているということで分けてしまうのではなく、実はつながっているという発想で見ていくと、本当に大事なことが重なっていきながら具体化していくということが非常に大事だと、説明を聞きながら改めて思った。
 
【樋口委員】大変貴重な面白い事例を拝見した。その上で、3点質問がある。
1点目。「学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ」において、「コミュニティ」という言葉をどのように捉えていたのか。資料1でも、例えば6ページ目の「コミュニティ・スクール」、8ページ目の「コミュニティ・デザイン」10ページ目の「児童コミュニティ」という言葉が出てくるが、「地域」という意味合いのコミュニティと、「共同体」というコミュニティをどう捉えるのかによって違ってくる。学校をつくるときにどの程度、「地域」を踏まえた学校にするのかは、実は結構大事な問題。コミュニティ・スクールは典型的だが、「地域とともにある学校づくり」と、「学校を核とした地域づくり」、この2つは文科省がずっとキーワードにしている。私もいろいろなところでコミュニティ・スクールの委員をやっているが、「学校を核とした地域づくり」として地域の方自身も、学校については考えているが、地域をどうするかについては、委員側からむしろけしかけないと地域の方から考えが出てこない部分がある。だから、コミュニティ・スクールの話が最初に出てくる以上、単に子供たちがいる学校という範囲で済まなくなってくるような気がするので、その辺りどう考えれば良いか、「学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ」で議論があったら、お知らせいただきたい。
2点目。資料1の7~9ページに関して、対話をしながらというのはすごく良いと、前も私は申し上げたが、これを教育課程上何の時間でやっているのか。例えば、総合的な学習の時間で学校をつくろうという話は、テーマとしては唐突なところがあって、ある程度目配りしておかないと、実際に学校でやろうという雰囲気にはなりにくいのではないか。それについて、何か議論があれば教えてほしい。
3点目。資料1の学びのパートに探究の場として、21ページの図書室、20ページの京都市立開建高校という事例がある。学習指導要領上、総合的な学習における探究プロセスは、課題設定、情報収集、整理分析、まとめ表現という4つのプロセスを取る。それが良いかどうかは別問題としても、課題設定と情報収集とは役割が違うので、それをこのような一つの空間でやるということで良いのか。他の取組でもっと個人が研究に没頭するような探究空間というと、図書館、あるいは対話の空間とは違う空間等がある。調べ学習のときに図書室とコンピューターがどう関わるのかという問題もある。探究の場として、この2つの例だけで良いのか気になった。
 
【斎尾委員】1点目。令和6年能登半島地震等に絡めて、これから安全のパートについて強化していくということだった。地震だけでなく豪雨災害の際など、公立学校を避難所利用する機会が増えていっている状況がある。避難所運用と学校運営が並行して行われる期間が長くなる場合、学校教育環境の担保は重要な課題であり、資料1の24ページの和歌山県のくしもと小学校の事例はとても大事だと思った。避難所の部分と、学校の部分をただ切り分けるのではなくて、学校と地域の日常の関わりが非日常に自然につながるような計画が、難しいが重要だと思う。その点を強調できれば良い。
2点目。すばらしい校舎の屋内環境はできても、屋外空間の質が伴っていない、ランドスケープまでは配慮が薄いという学校は相当多いと思う。屋外空間も含めて学校なので、アイディア集の、例えば生活のパートに過ごしやすい室内環境だけでなく過ごしやすい屋外環境の記載を入れるとか、学びのパートに屋外環境や地域環境も学び場になるみたいな記載を入れる、資料1の25~29ページの「取組のステージと参画のマッピング」に屋外空間も記載する、といった方法があるのかなと思った。
3点目。子どもたちは、年齢が上がれば、体力はもちろん、空間を使いこなす能力や空間を選択していく能力が備わり高くなっていく。発達段階に応じたウェルビーイングの考え方が異なると思うので記述してはどうか。
 
【細田委員】大変素晴らしい調査で、感激した。伊藤座長がおっしゃっていた、「自分事としていただけるようなアイディア集にしてみんなに手に取っていただけるように」という部分については、様々な工夫のアイディアについての記載があることで、学校をつくっていこう、大規模な改修をしていこう、というフェーズになっていない多くの学校にとっても、これを自分たちのまさに自分事として捉えて、アイディア集を手に取っていただけるんじゃないかという期待感がある。例えば、資料1の7ページ、共創03「自分たちで、教室を変える」の子どもたちが自分たちで教室を変えていくことに参画するというところに大変意義を感じており、このような取組が、自分たち自身も参画しているという社会参画の意識をしたり、そのときにSDGsの観点でものを考えたり、この活動が様々な学びにリンクしていると実感した。
2点目。学校づくりに関わった行政や施工業者、研究者が、その学校にずっと関わっていくという内容について大変感銘を受けた。完成すると引き渡して終わりというようなことが往々にして起こると思うが、引き続き、そこに研究者などが関わって、さらにそれを使う側もただ使うだけではなく、どんどんカスタマイズしていくという仕組みができると、広くいろいろなところに応用できるのではないかと思う。
3点目。資料1の23ページの安全02の「避難所として必要な機能を整える」というところについて、今、私たちは災害と災害の間にいるなと思っている。例えば、津波浸水想定地域等の高台移転というようなフェーズではない、日本中のごくごく普通の3万校も、どこも避難所として活用していくような方向になっているので、先ほどの斎尾委員の御指摘の通り、長引く避難生活の中で、通常の学校教育との間でどうやって共存していくかという観点も、避難所の機能という観点も、行政と協力しながら高めていかなくてはならないと思う。この点のグッドプラクティス、アイディアが、できる限り多く必要ではないかなと思っている。
 
【荒瀬主査】細田委員の意見の1点目については、樋口委員からこれはどういう教育課程上の取組になるか、という質問もあったが、細田委員、教育長もなさっていた経験から、この質問について、知見をお聞かせいただけるならばお願いしたい。
細田委員の意見の3点目について、実際に被災地においていろいろな経験をしているにもかかわらず、それがなかなか共有されていないという面があると思う。逆に言うと、共有できない状況というのもあるのかもしれない。今回の能登半島は、地理的な関係で東北とも阪神淡路とも違う。共通するものももちろんあるだろうが、そうでない部分もある。今回、石川県では、能登地域から白山市や金沢市へ生徒が避難している。そういう二次避難先へ、文科省の呼びかけもあって、教職員支援機構や教育委員会からの人の派遣もしている。そこで、教職員支援機構からの派遣職員にも言っているが、しっかりと具体的な取組について記録をしておくと、すぐに役立つかどうかは分からないが、記録がいろいろと集まる中で、重なるものと重ならないものというのは分かれていくだろうけれども、使えるものも出てくるのではないかなと思っている。
 
【長澤委員】私はワーキンググループの委員でもあるので、今日発言いただいた内容を反映する役割もあると思っている。はじめに伊藤座長から資料1の25~29ページ「取組のステージと参画のマッピング」について説明があったが、その後、事務局からは、各項目について、その計画に至った背景や経過を丁寧に説明していただいてから事例の内容に入っていただいたのがとても良かったと思う。今回のアイディア集は、アイディアそのものだけでなく、実現に至るプロセス、いろいろな参加や参画が大事で、それが完成後の活用につながっていくことをまとめた内容になるのかなと改めて感じた。資料1のページの構成は、そうしてできた施設・空間でこんなことが行われているということだったが、事務局の説明にあったようなプロセスの話があると、非常に伝わる力が大きいと感じた。その実現プロセスについての記述を丁寧にすると良い。
実例として扱われている、京都市立開建高校(資料1の20ページ)、柏市立田中北小学校(資料1の16ページ・21ページ)、和歌山県串本町立くしもと小学校(資料1の24ページ)、福島県大熊町立学び舎ゆめの森(資料1の13ページ)は私が直接計画に関わった。だが、例えば、京都市立開建高校は、設計者選定のプロポーザルで従来型の施設の計画が選ばれたが、学校も教育委員会も、これが未来の学校だろうかというような問いがあった。それに対して先生方と議論し、そういう先生方の積極的な姿勢を受け止めながら、こんな考え方はどうだろうかと提案をし、先生方も、市も、大喜びで受け止めてくれた。校長先生をはじめとした先生方の、新しい学校・新しい教育への思いがあって実現されたことをきちんと伝えていくということも大事だと思った。柏市立田中北小学校(資料1の16ページ・21ページ)も、今はこういう使われ方がされているということだったが、そこに至るまで、休日に何回も教職員や地域の人たちが参加するワークショップを開催した。先生方が非常に積極的に参加されたことでこういう空間が生まれている。また、福島県大熊町立学び舎ゆめの森(資料1の13ページ)は、外部の復興支援の各フィールドの専門家がたくさん委員会やワークショップに参加して、そこに地域の人、子供たちも一緒になって話し合いが重ねられた。
それぞれ特色があり、その成果として生まれてきている。そのことがぜひ読み手に伝わるようなまとめ方を工夫していけると良いなと思った。
 
【荒瀬主査】先ほど斎尾委員が、日常のつながりが非日常にも生きてくるという話をされた。京都市立開建高校のケースでいうと、京都市の高等学校は、京都市立も、京都府立も、私立も、探究ということに対して非常に関心が高い状態になっている。二十数年前から高等学校で探究に取り組んできたという歴史の中で、いろいろな広がりが出てきている。だから、これから探究学習を始めようとする学校が遅いとかいう話ではなくて、やっていくことが蓄積され、形がだんだんできて、それがまた応用されて、あるいは、また見直されて改善されていく、ということがあると思う。日常が非日常につながるということと同時に、日常が次の新しい形につながっていくということも、言えるかと思う。そういった意味で、今の長澤委員の話、大変重要な指摘をいただいた。
樋口委員からいただいた質問をはじめ、ワーキンググループの伊藤座長や事務局から、コメントお願いしたい。
 
【伊藤委員】共通する部分については、まず、私からお答えする。
まず、樋口先生御指摘の「コミュニティ」という言葉の扱いだが、最終版をつくるまでにきちんと整理が必要だろうと思った。いろいろな事例を見ていくと、「コミュニティ」が地理的な範囲の意味で使われている場所と、共同体の意味で使われている事例が混在している。中頓別町のケースの場合には、町という地理的なまとまりの「コミュニティ」がだんだん共同体としての「コミュニティ」になっていくというプロセスの中で、学校がその核になっているという見方ができる。一方で、コミュニティ・デザインは、活動をハブに人が集まることで、共同体としての「コミュニティ」が形づくられていく、そこをどうつくっていくかという議論だと思う。「コミュニティ」という言葉がどの部分を指していて、プロセスを通してコミュニティの性質がどう変わっていったのか、読んでいて分かるような区別や概念整理をしていきたいと思う。空間づくりのための対話を教育課程のどこで行っているかは、もし教育課程と関連して行われている例があれば、それも明記したい。
何人かの委員先生がおっしゃっていた避難所や災害については、悩んでいるところ。災害の種類も多く、災害が起きるたびに予期せぬことが起きて、また考え方が変わっていくテーマをアイディア集でどこまで網羅できるのか。全体を網羅するのは恐らく無理で、アイディア集の役割ではない。もちろん様々なキーとなる事例を示すが、災害や避難所にテーマを絞って内容を充実させた既出の報告書も見てほしいと積極的に誘導したい。避難所や学校がどう機能しているのかというときに、アイディア集を手に取る方々のことを考えると、技術的な面よりも、避難所運営や計画時に「災害」をどう織り込むか、学校や先生や児童生徒が関わる段階での工夫のグッドプラクティスをできるだけ入れたい。令和2年の「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」に掲載された事例で、能登半島地震で被災した学校もあり、避難所になっている。今は時期が早いかもしれないが、避難所や災害を想定して計画したケースが実際にどう機能したかを何らかの形で把握して記録できたら、タイムリーな例として参考にできるのではないか。
プロセスや何がきっかけでどういう人が関与したから可能になったのか、という部分は非常に大事。プロセスを事例ごとに示すと同時に、アイディア集を手に取った人が、「取組のステージと参画のマッピング」(資料1の25~29ページ)から、例えば自分の学校は運用段階である、改修を迎えている、これからつくる、など、学校づくりのどの段階にいるかというところから逆引きできる表現も検討したい。
発達段階に応じたウェルビーイングというのは、すごく大事なポイントで、言及しなければいけないと思う。
 
【遠藤補佐】樋口委員からの「コミュニティ」についての質問について。まず、テクニカルタームとして使っている部分もある。また、例えば中頓別町(資料1の8~9ページ)のような小さい町と、東京学芸大学附属竹早中学校(資料1の7ページ)のような都会にあるところでは、コミュニティや地域の捉え方も変わってくると思うので、その学校がどういう地域にあるのかということも踏まえて、説明を工夫していければと思う。概念の整理も精緻にしたい。空間づくりのための対話について、教育課程とのリンケージまで整理し切れていない部分があるので、事例のヒアリング等も重ねていきたい。探究に関しても、あの部屋だけで完結するのかというところもあろうかと思うので、事例を充実させていく中で、なるべく全体を拾えるように工夫をしていきたい。避難所機能の観点についても、意見を踏まえて充実に努めていきたい。斎尾委員の屋外環境や発達段階についての指摘については、非常に重要だと思うので、反映できるように検討を進めたい。長澤委員からも、今回のアイディア集の記載の観点、事務局の説明で抜けていた点を補足していただいた。今後、記載を充実させていきたい。実現プロセスを大事にしているというところもしっかり丁寧に書いていきたい。
 
【荒瀬主査】具体的に、教育課程上、どんなふうに対話の時間を位置づけていくのか、もし知っていたり、経験があったりしたら、細田委員からお話しいただけるとありがたい。
 
【細田委員】私がさいたま市の教育長を務めていたときに、SDGsの考え方やSTEAM教育について、総合的な探究の時間が高等学校の教育課程に位置づいたことに触発されて、義務教育段階でも、探究学びの時間を教育課程の中に組み込みたいという思いが強くなった新たにつくるのは今の時代はなかなか難しいので、義務教育段階の総合的な学習の時間の中に、根っこのところは同じだが、探究学びを、SDGs、STEAM、ウェルビーイングという観点で、各学校が9時間以上やろうということで入れた経験がある。教育課程の決定権は各学校の校長先生方にあるので、教育委員会としては、方向を示した。そこで私は、自分たちの教室の改善のプログラムという学びも十分にできるなと思った。
 
【荒瀬主査】樋口委員の質問については、教育課程は校長の権限なので、各学校での取組ではないかと思う。私の経験だと、例えばロングホームルームや高等学校の特別活動の時間、あるいは放課後の時間、希望者のみ参加するなど、いろいろと使える時間はあるので、教育課程上、何時間目にこれをやるといった位置づけになるかどうかは別として、いろいろな工夫が各学校でできるんじゃないかと思う。
 
【細田委員】さいたま市においては、これを教育課程上に位置づけた。
 
【荒瀬主査】各学校でいろいろと校長が工夫するところだと思う。今後校長のリーダーシップが非常に重要になってくるので、このまとめだけではなく、いろいろなレベルでもって進めていければと思う。その辺りも含めて、実際現場にいっぱい入っていて、いろいろな取組を見ている、「学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ」にも入っている高橋先生、何かあったらコメントいただけるとありがたいが、いかがか。
 
【高橋委員】資料1に、共創、生活、学び、安全、環境とあるが、これらを何かもう一つ上位の概念でつないでいって、理解していくと良いのではないかと思いながら、改めて読み直してみた。そう考えると、教育振興基本計画(令和5年6月16日)に、日本社会に根差したウェルビーイングという考え方が示されており、これが整合するかもしれない。ウェルビーイングそのものの理解というよりかは、個だけではなく、その人たちが所属するコミュニティや場も含めてのウェルビーイング、そこの行ったり来たりの部分が非常に日本社会に根差しているんだ、という説明があったと思う。私も、1人1台コンピューターになってから随分考え方が変わってきた。学校の授業の中で、個がスタートだったということに、ものすごく深い理解が自分自身進んだ。個がばらばらに活動してもコンピューターに記録が残るので、個が把握しやすくなった。その結果、多様なニーズを持って、多様な子供、不登校な子供も、一生懸命勉強するものすごく勉強熱心な子も、あらゆる子供が自分なりにコンピューターでアウトプットしていくことが行われる。それについて、教師のみならず、子供同士もそれぞれが、何をやっているのかが手に取るように分かるようになった。そのときに、共同体というか、協働が起こるというか、あの人に聞いてみよう、あの人と一緒に組んでこの問題を解決したい、というようなことが起こっている。私が追究していたことは、全体にも役に立つんだというような、個と全体の行ったり来たりが、コンピューターによって急速に行われていると感じている。もう一つ、先ほどの探究のプロセスの話題についてもコンピューターの影響を強く受けている。情報の収集と整理分析を高速で行ったり来たりするということが起こっている。その情報自身も、サブスク形式の図書や、中学校の高学年や高校生ぐらいになると、J-STAGEや論文みたいなものも検索するようになったりして、情報の収集と整理分析が高速に行われる。先ほどの話と絡めていくと、それがクラスの他の子にも共有されているので、それによって話し合いも加速して起こる。広い空間があれば、そういうことが多様に組み合わせられると感じている。したがって、コンピューターによって、個とコミュニティみたいなものの行ったり来たりが高速に行われている印象を受けている。資料1の19ページにも取り上げてもらっている富山市立芝園小学校は、小学校なので限界はあるが、そのような学習になっている。
 
【荒瀬主査】ウェルビーイングに至るためには、例えば資料1の2ページや5ページに書いている学校施設の5つの姿も、非常に重要な考え方になってくると思う。とりわけその中で、共創が、非常に全体に通じる大変重要な考え方というか、指針のようなものかと思った。
樋口委員がおっしゃっていた、学校を核とした地域づくりについて、質問いただいたお立場からいかがか。
 
【樋口委員】先ほども申し上げたように、地域の課題は結構いっぱいあって、少子高齢化もそうだし、逆に全く新しい住民が入ってきてまさにコミュニティをゼロからつくる場合もある。しかし、意外と、地域の方が来られても、学校をどうつくるかという固定された枠組みがあって、地域をつくるという問題を考えたときに学校はどう位置付くかという議論になかなかならないという問題を感じている。コミュニティ・スクール自体もその在り方をどうすれば良いかなと考えているところ。
 
【荒瀬主査】議題1として、大変尽力いただいて時間も労力もかけていただいてまとめていただいた、さらには、「取組のステージと参画のマッピング」(資料1の25~29ページ)のようなイメージも出していただいた。決してこういうふうにやりなさいではなくて、こういうことをきっかけにして、皆さん、ぜひぜひ参画して一緒につくっていこうと、これは終わりのない取組でありさらに改善を図っていくという取組であることを基本的な構えとして皆さんに示していく。さらには、1月の令和6年能登半島地震、それから、それによる学校施設の在り方も加えた形でまとめていただくという方向でお願いするということで、よろしいか。
 
(委員より意見無し)
 
【荒瀬主査】では、引き続き、伊藤座長、長澤先生、高橋先生、お入りいただいて、よろしくお願いしたい。
 
議題2:その他
・事務局より資料2-1に基づき説明
・小畑教育制度改革室長より資料2-2に基づき説明
・委員より質疑応答
 
【荒瀬主査】ただいま説明のあった資料2-2「義務教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」の少し前の段階で、高等学校についても「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」が立ち上がっていて「高等学校教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」(令和5年8月31日)を出している。これからの社会を生きていく子供たちの力をどう養っていくのかという、非常に大事な議論がされていて、次期学習指導要領にもつながっていくということである。
 
【樋口委員】資料2-2の2ページの赤囲みの中の「対面による指導の中でオンラインを適切に組み合わせること」はとても大事。「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」は、学校施設整備指針をどう考えるかが一番大きなミッションなのかなと考えているが、教育の中身との間に取り次ぐものに「教材整備指針」がある。中身の話と施設整備は、だんだん近づいていくのではないかと思うので、そういうところも目配りする必要があるのかなと感じた。
 
【細田委員】「義務教育の在り方ワーキンググループ」で、もし、「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」で議論していることを少し反映させる余地があるならば、先ほど来、議論になっている学校を核とした地域づくりで、地域をつくるときに、ソフトの部分、マインドセットの部分と、もう一つ、学校という箱物を、共同体としてのコミュニティを強化するためにどんなふうに使っていくかという観点が、どこかにエッセンスとして入ってくると、議論の甲斐がさらに深まる。義務教育段階、多分3万校ぐらいある学校が、地域の中でコミュニティをつくる際に、非常にハードの部分でいろいろな役割を果たしていくところが着眼点としてあるといい。
 
【小畑室長】大変大事な指摘をいただいた。「義務教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」の意義、目的、位置づけとして話したように、各会議等において専門的な議論がそれぞれ開始されている状況の中で、今後の義務教育、学校教育の方向性に係る共通理解として「義務教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」を示している。本中間まとめを踏まえて、各会議等における議論を生かしながらより良いものにしていくことで、それぞれの検討が一体的に深まっていくというようなことが、中間まとめの狙いとなっている。今後の議論に、今、指摘いただいたことも含めて、各会議等における議論を生かしていきたい。
 
【荒瀬主査】「義務教育の在り方ワーキンググループ」と「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」も合同で会議をしている。これは初等中等教育局の中の話となってしまうが、局があって省がないということにならないように、関係している皆さん、しっかりと目配りをして、学校教育をどうつくっていくのかを、我々、責任を持って考えていきたい。
 
・事務局より今後の日程等について連絡
・荒瀬主査より閉会の挨拶
 
―― 了 ――